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【発明の名称】 ハイブリッド車両
【発明者】 【氏名】落合 志信

【氏名】吉川 慎司

【要約】 【課題】パワードライブユニット内で短絡が発生した場合、モータ制御装置への負荷を増やさずに、すみやかにパワードライブユニットを停止できるようにする。

【解決手段】パワードライブユニット7を構成する自己保護回路75は、スイッチング素子の温度が所定温度以上あるいはパワードライブユニット7に流れる電流が所定電流以上になると、スイッチング素子への制御信号23−1を所定時間遮断する。また、自己保護回路75は、この遮断による自己保護状態を示す短絡信号23−2を外部に出力する。モータ制御装置5は、自己保護回路75からの短絡信号23−2を検知し、自己保護状態が所定回数以上あるいは自己保護状態の累積時間が所定時間以上になると制御信号23−1の出力を停止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、電気エネルギーで作動するモータと、スイッチング素子を有し該スイッチング素子を用いた電流制御により前記モータを駆動するパワードライブユニットと、前記スイッチング素子にスイッチングを行わせる制御信号を出力する制御装置とを備えたハイブリッド車両において、前記パワードライブユニットは、前記スイッチング素子の温度が所定温度以上あるいは前記パワードライブユニットに流れる電流が所定電流以上になると、前記スイッチング素子への制御信号を所定時間遮断するとともに、該遮断による自己保護状態を示す信号を外部に出力する自己保護回路をさらに備え、前記制御装置は、前記自己保護回路からの信号を検知し、前記自己保護状態が所定回数以上あるいは前記自己保護状態の累積時間が所定時間以上になると前記制御信号の出力を停止することを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】 前記ハイブリッド車両は、少なくとも前記自己保護回路および前記制御装置に駆動電力を供給するバッテリを備え、前記制御装置は、前記バッテリの電圧が所定電圧以下の場合、前記自己保護回路からの信号の検知を行わないことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両に関し、特にモータを駆動するパワードライブユニットの保護制御を行うハイブリッド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両走行の推進力として、燃焼エネルギーで作動するエンジンの他に電気エネルギーで作動するモータを備えたハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両の一種に、モータをエンジンの出力を補助する補助駆動源として使用するパラレルハイブリッド車がある。このパラレルハイブリッド車は、例えば、加速時においてはモータによってエンジンの出力を補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行う等、様々な制御を行い、バッテリの残容量を確保しつつ運転者の要求を満足できるようになっている(例えば、特開平7−123509号公報)。ハイブリッド車両は、モータの駆動あるいは回生を行うために、パワードライブユニットを備える。パワードライブユニットは、複数のスイッチング素子を備え、このスイッチング素子を用いた電流制御によりモータを駆動あるいは回生する。また、ハイブリッド車両は、これらスイッチング素子にスイッチングを行わせる制御信号を出力するモータ制御装置を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パワードライブユニット内で短絡が生じた場合、パワードライブユニット内のスイッチング素子の破損を防止するために、すみやかにスイッチング素子による電流制御を停止する必要がある。このスイッチング素子による電流制御の停止は、モータ制御装置に行わせることも可能である。しかし、この場合、短絡への対応のために高速な処理が必要となることから、モータ制御装置は、処理の負荷が大きくなる。そのため、モータ制御装置は、モータ2のトルク制御等の重要な処理を、要求される処理周期で行えなくなるおそれがある。さらに、短絡発生の検出において誤検出が生じることがある。そのため、短絡の誤検出に対する対策も取る必要がある。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、パワードライブユニット内で短絡が発生した場合、モータ制御装置への負荷を増やさずに、すみやかにスイッチング素子による電流制御を停止できるハイブリッド車両を提供することを目的とする。また、本発明は、パワードライブユニット内での短絡に関して誤検出があっても、対応可能なハイブリッド車両を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、エンジン(1)と、電気エネルギーで作動するモータ(2)と、スイッチング素子を有し該スイッチング素子を用いた電流制御により前記モータを駆動するパワードライブユニット(7)と、前記スイッチング素子にスイッチングを行わせる制御信号を出力する制御装置(実施の形態では、モータ制御装置5)とを備えたハイブリッド車両において、前記パワードライブユニットが、前記スイッチング素子の温度が所定温度以上あるいは前記パワードライブユニットに流れる電流が所定電流以上になると、前記スイッチング素子への制御信号を所定時間遮断するとともに、該遮断による自己保護状態を示す信号を外部に出力する自己保護回路(75)をさらに備え、前記制御装置が、前記自己保護回路からの信号を検知し、前記自己保護状態が所定回数以上あるいは前記自己保護状態の累積時間が所定時間以上になると前記制御信号の出力を停止する(実施の形態では、ステップS21〜S29,ステップS61,S62)ことを特徴とするハイブリッド車両を提供する。
【0006】自己保護回路は、短絡発生の判定条件をスイッチング素子の温度が所定温度以上、あるいは、パワードライブユニットに流れる電流が所定電流以上とする。条件を満たすと、自己保護回路は、スイッチング素子への制御信号を所定時間遮断する。これにより、パワードライブユニット内で短絡が発生した場合、パワードライブユニットを構成する自己保護回路によりスイッチング素子による電流制御を所定時間停止できる。これにより、短絡によるスイッチング素子の破損を防止できる。また、制御装置を介さずに電流制御を所定時間停止できることから、短絡に対する対応を高速かつ短時間で行える。また、自己保護回路は制御信号の遮断による自己保護状態を示す信号を外部に出力する。制御信号の遮断は所定時間行われることから、実際に短絡が生じている場合、自己保護回路は自己保護状態とそうでない状態とを交互に制御装置に通知することになる。そこで、制御装置は、パワードライブユニット内で実際に短絡が生じているか否かの判定条件を自己保護回路からの自己保護状態の通知が所定回数以上あるいは自己保護状態を示す時間の累積時間が所定時間以上とする。条件を満たすと制御装置は制御信号の出力を停止する。これにより、制御装置は、自己保護回路の短絡の誤検出により短絡状態の通知が行われた場合と、実際に短絡が生じて短絡状態の通知がなされている場合とを区別できるようになる。よって、制御装置は、実際に短絡が生じている場合にのみ、スイッチング素子による電流制御を完全に停止できる。
【0007】請求項2に記載の発明は、前記ハイブリッド車両が、少なくとも前記自己保護回路および前記制御装置に駆動電力を供給するバッテリ(実施の形態では、12Vバッテリ9)を備え、前記制御装置が、前記バッテリの電圧が所定電圧以下の場合、前記自己保護回路からの信号の検知を行わない(ステップS11)ことを特徴としている。自己保護回路や制御装置へ供給される駆動電圧が低下すると、自己保護回路および制御装置の動作が不安定になり短絡の判断に対する適切な処理が行われないおそれがある。しかし、このような状態において、制御回路は自己保護回路からの短絡信号の検知を行わないことから、動作の不安定にともなう短絡の誤検出を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の制御装置を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるハイブリッド車両の一種であるパラレルハイブリッド車の全体構成を示すブロック図である。この図において、符号1は燃料の燃焼エネルギーで作動するエンジンであり、符号2はエンジンと併用して用いられ電気エネルギーで作動するモータである。エンジン1及びモータ2の両方の駆動力は、オートマチックトランスミッションあるいはマニュアルトランスミッションよりなるトランスミッション(図示せず)を介して駆動輪(図示せず)に伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時には、駆動輪からモータ2に駆動力が伝達され、モータ2は発電機として機能する。モータ2は、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、別途説明を行うバッテリ3の充電等を行う。なお、駆動用のモータ2とは別に、バッテリ3の充電用の発電機を備える構成としてもよい。ここで、バッテリ3は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを1単位として、更に複数個のモジュールを直列に接続して、高圧系のバッテリとして構成される。符号19は、エンジン始動専用のスタータ(セルモータ)である。
【0009】符号4はエンジン制御装置であり、エンジン回転数、車速等を所定期間毎にモニタしており、これらの結果からモータ回生や、アシスト、減速などのモードを判断する。また、エンジン制御装置4は、同時に前述したモードに対応して、アシスト/回生量の決定を行い、これらモードやアシスト/回生量に関する情報等をモータ制御装置5に出力する。モータ制御装置5は、上述したような情報をエンジン制御装置4から受け取ると、この指示通りにモータ2を駆動/回生させるパワードライブユニット7等の制御を行う。符号6はバッテリ制御装置であり、バッテリ3のSOC(残容量)の算出を行う。また、バッテリ制御装置6は、バッテリ3の保護のために、バッテリ3の温度が所定値以下となるようにバッテリ3の近傍に設置されたファン35の制御等も行う。なお、エンジン制御装置4、モータ制御装置5、バッテリ制御装置6は、CPU(中央演算装置)およびメモリにより構成され、制御装置の機能を実現するためのプログラムを実行することによりその機能を実現させる。
【0010】符号7はパワードライブユニットであり、スイッチング素子が2つ直列接続されたものが3つ並列接続されて構成されている。このパワードライブユニット7内部のスイッチング素子は、モータ制御装置5によってオン、オフされ、これによりバッテリ3からパワードライブユニット7に供給されている高圧系のDC分が三相線を介してモータ2に供給される。また、符号9は、モータ2以外の装置・回路に電力を供給し、各種補機類を駆動するための12ボルトバッテリであり、この12Vバッテリ9はバッテリ3にコンバータ8を介して接続されている。コンバータ8は、バッテリ3からの電圧を降圧して12Vバッテリ9に供給する。符号10はプリチャージコンタクタ、符号11はメインコンタクタであり、バッテリ3とパワードライブユニット7は、これらのコンタクタを介して接続される。プリチャージコンタクタ10、及びメインコンタクタ11はモータ制御装置5によってオン、オフ制御が行われる。
【0011】符号12はモータ2の位置及び回転数を計算するセンサであり、符号13は三相線に流れている電流Iu、Iv、Iwを検出する電流センサである。これらセンサ12,13の検出値は、モータ制御装置5に入力される。
【0012】符号14はパワードライブユニット7入力部の電圧Vpduを検出する電圧センサであり、符号15はパワードライブユニット7に入力される電流Ipduを検出する電流センサである。符号16は、バッテリ3側の電圧を検出する電圧センサである。上述した電圧および電流センサ(14〜16)によって検出された電圧値及び電流値はモータ制御装置5へ入力される。符号17は、コンタクタを介してバッテリ3側を流れる電流を検出するバッテリ3側の電流センサであり、検出された電流値はバッテリ制御装置6に入力される。上述したように、各センサ14〜16は、コンタクタ10、11を介して、バッテリ3側の電圧及び電流と、コンタクタを介してパワードライブユニット7側の電圧及び電流を検出している。また、電流センサ15で検出される電流は、コンバータ8に流れている電流分を差し引いた値となる。
【0013】次に上述した構成からなるハイブリッド車両の制御装置の動作を簡単に説明する。先ず、バッテリ制御装置6がバッテリ3側における入出電流25,電圧29等の値よりの残容量を算出し、その値をモータ制御装置5へ出力する。モータ制御装置5は、受け取った残容量をエンジン制御装置4へ出力する。エンジン制御装置5は、残容量、エンジン回転数、スロットル開度、エンジントルク、モータの実トルク等によりモード(アシスト、回生、始動、減速等)と、モータ2における必要電力を決定し、モードと要求電力をモータ制御装置5へ出力する。モータ制御装置5は、エンジン制御装置4からモード及び要求電力を受け取ると、アシスト及び減速時において、パワードライブユニット7の入力側の電力(図1の電圧センサ14、及び電流センサ15側)が、エンジン制御装置5から受け取った要求電力になるようにフィードバックを行い、トルクを算出する。一方、モータ制御装置5は、クルーズ時において、バッテリ3の電力値(図1の電圧センサ16、及び電流センサ17側)が要求電力になるようにフィードバックを行いトルクを算出する。このようにトルクが算出されると、モータ制御装置5は算出したトルクに従ってパワードライブユニット7を制御する。また、モータ制御装置5は、始動時において、パワードライブユニット7を制御することにより、モータ2によるエンジン始動制御を行う。次に、モータ制御装置5はパワードライブユニット7から実トルクを受け取ると、実トルクをエンジン制御装置4へ出力する。エンジン制御装置4、モータ制御装置5、バッテリ制御装置6は、上述した処理を所定のタイミングで随時行うことにより、エンジン1、モータ2、バッテリ3の制御を行い、ハイブリッド車両を駆動させる。
【0014】次に、PDU7内で短絡が生じた場合の制御について説明する。始めに、PDU7の構成について説明する。図2は、PDU7の構成およびモータ制御装置5への入出力信号をより詳細に示した図である。なお、図2において、図1に示す信号に対応する信号には同一符号を付している。また、図2において、図1に示す信号(X)をより詳細に示した信号は、信号(X)に対し他の符号をハイフン(−)で接続した符号により示している。
【0015】図2より、PDU7は、3相線に流れる電流のスイッチングをおこなうスイッチング素子を6個備える。ここで、スイッチング素子は大電流型のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とする。また、PDU7は、バッテリ3からの電流変動の平滑化を図るための大容量のコンデンサ71、スイッチング素子に流れる電流を検出する電流センサ72−1,72−2,72−3、各スイッチング素子の温度を検出する温度センサ73、モータ制御装置5から入力される制御信号23−1をスイッチング素子へ供給あるいは遮断するスイッチ74を備える。ここで、電流センサ72−1,72−2,72−3は、図2に示すように直列に配置された2つのスイッチング素子のエミッタとコレクタ間にそれぞれ配置され、その検出信号は、別途説明する自己保護回路75に入力される。温度センサ73は、各スイッチング素子の温度を検出できるように各スイッチング素子近傍にそれぞれ設けられている。なお、図2では、紙面の都合上、1つの温度センサ73をスイッチング素子の近傍以外の場所に示している。スイッチ74は、通常、制御信号23−1をスイッチング素子へ供給するために”ON”状態となっている。なお、制御信号23−1は、スイッチング素子の個数に応じた本数の信号線によりPDU7に入力されるが、紙面の都合上信号線を1本で示している。
【0016】さらに、PDU7は、短絡を検知すると所定時間PDU7での電流制御を短時間停止させる自己保護回路75を備える。PDU7内において短絡が発生すると、直列に配置さた3組のスイッチング素子のうち、何れかの組のスイッチング素子に大電流が流れる。また、スイッチング素子に大電流が流れると、大電流が流れたスイッチング素子は通常以上に発熱し、その温度が上昇する。そこで、自己保護回路75は、短絡発生の判断を、電流センサ72−1,72−2,72−3で検出された電流値の何れかが所定電流以上あるいは、各スイッチング素子の近傍に設けらた温度センサ73で検出された温度値のいずれかが所定温度以上であることを条件として行う。また、自己保護回路75は、前述の条件を満たした時点で、スイッチ74を所定時間”OFF”とする制御信号をスイッチ74に対し出力する。これにより、スイッチング素子へのゲート信号がなくなり、全てのスイッチング素子が”OFF”状態となる。また、自己保護回路75は、スイッチ74に対するON/OFF制御信号に対応した信号23−2を出力する。これにより、自己保護回路75は、短絡が発生し、自己保護を行っている状態をモータ制御回路5に通知する。なお、以下において、自己保護にためにスイッチ74を”OFF”にした自己保護状態を以下では”短絡状態”と呼び、符号23−2に示す信号を”短絡信号”と呼ぶ。
【0017】図3(a)は、自己保護回路75が出力する短絡信号23−2の一例を示した図である。図3(a)において、自己保護回路75は時刻t1で短絡を検知し、スイッチ74を”OFF”にするとともに、短絡信号23−2を短絡状態を示す”Low”にする。自己保護回路75は、短絡検出時刻t1から所定時間T1(例えば、9〜11[ms])経過した時刻t2において、スイッチ74を”ON”にするとともに、短絡信号23−2を自己保護を行っていない正常状態を示す”High”にする。自己保護回路75における短絡の検出が、電流センサ72−1,72−2,72−3や温度センサ73からの信号エラー等を原因とする誤検出であれば、短時間内に再度短絡が検出されることはなく、短絡信号23−2は正常状態を示し続けることになる。しかし、実際にPDU7内で短絡が生じている場合、自己検出回路75は所定時間T2内に再度短絡を検出する。なお、この所定時刻T2はセンサ72−1,72−2,72−3、温度センサ73の感度やモータ2の回転数等に応じて0〜50[ms]程度の範囲で変動する。自己保護回路75が、時刻t2において再度短絡を検知すると、再度スイッチ74を”OFF”にするとともに、短絡信号23−2を短絡状態を示すLowにする。以上のように、実際にPDU7内で短絡が生じている場合、自己保護回路75の制御により、制御信号23−1のON/OFFが繰りかえされ、モータ制御装置5に短絡状態の通知が繰り返し行われる。
【0018】次に、自己保護回路75からの短絡信号23−2を利用した、モータ制御回路5による短絡判定および短絡判定結果に基づくPDU7保護のための制御について説明する。まず、モータ制御装置5による短絡判定について説明する。モータ制御回路5は、条件1:短絡状態の累積時間が所定時間T3以上となる条件2:累積時間が所定時間T3以上となったのち、PDUへの制御信号23−1の出力を中断し、所定時間T4経過後、再度短絡信号23−2の検知を行い、条件1を満たすことを条件に短絡が実際に生じていると判定する。
【0019】モータ制御装置5による短絡判定およびPDU7の保護のための処理概要を図3、図4を用いて説明する。図3(b)に示すように、モータ制御回路5は、短絡状態の累積時間を計測するために累積時間カウンタを備え、短絡信号23−2が短絡状態を示す時間の累積を行う。モータ制御装置5は、短絡時間カウンタの値が所定時間T3に対応するしきい値Th3に達すると条件1を満たしたものと判断する。なお、図3(b)では、時刻t4で条件1を満たす。ここで、所定時間T3は、自己保護回路75からの短絡状態の繰り返し通知回数を考慮して設定する。本実施の形態では、短絡状態の繰り返し通知回数3回を基準とし、T3=30[ms](自己保護を行う時間T1×3回)とする。
【0020】図4(a)に示すように時刻t1よりPDU7内で短絡が発生し、図4(b)の時刻t4で条件1を満たすと判断すると、図4(c)に示すようにモータ制御装置5は、インターバルカウンタを用いて所定時間T4の計測を行う。なお、所定時間T4は、バッテリ3からPDU7へ供給される電力の瞬断から復帰までの時間(例えば、280[ms])を考慮して設定される。また、モータ制御装置5は、時刻t4においてスイッチング制御のための制御信号23−1の出力を中断させるために、図4(d)に示すようにPDU制御フラグを”ON”から”OFF”にする。なお、この所定時間T4において制御信号23−1の出力を中断している状態を以下では”インターバル状態”と呼ぶ。時刻t4から所定時間T4経過した時刻t5において、モータ制御装置5は、制御信号23−1の出力を再開するために、PDU制御フラグを”ON”にするとともに、図3(b)で示した短絡状態の累積時間の計測を再度行う。時刻t5以降の短絡状態の累積時間が時刻t6で所定時間T3に達すると、モータ制御装置5は、上記条件2を満たすと判断し、図4(e)に示すように短絡フラグを短絡状態の確定を示す”ON”にする。また、これ以後に制御信号23−1の出力を行わないようにするため、PDU制御フラグを”OFF”にする。以上が、PDU7内での短絡判定、および、判定結果に対するモータ制御装置5の制御概要である。
【0021】次に、モータ制御装置5による短絡判定の処理をフローを用いて詳細に説明する。図5はモータ制御装置5における短絡判定処理のフローを、図6は短絡判定処理内で行われる短絡検出処理のフローを示した図である。なお、図6において破線で囲んだステップS21からS29は、条件1に関する判断処理を、図5のステップS13からS19、図6のステップS30〜S36は条件2に関する判断処理を示している。図5に示す処理フローは、エンジン1が始動した後からイグニッションスイッチがオフにされるまで所定周期で繰り返し行われる。また、図5,6に示す処理において、モータ制御装置5は、各種フラグ、カウンタ等を用いる。これらフラグ、カウンタは、イグニッションスイッチがオンにされた際のモータ制御装置5における初期化処理において初期化される。
【0022】モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧が降下した状態であるか判断する(ステップS11)。この処理は、別途説明するモータ制御装置5内のプロセスにより設定される電圧降下フラグの状態を参照することで判断する。12Vバッテリ9の電圧が降下した状態であれば(ステップS11:Yes)、モータ制御装置5は図3(b)で説明した短絡時間カウンタを初期化し(ステップS12)短絡判定処理を終了する。12Vバッテリ9は、自己保護回路75を含む短絡検知のための電流センサ72−1,72−2,72−3,温度センサ73や、モータ制御装置5等に駆動電力を供給している。12Vバッテリ9の電圧が低下し、この電圧がこれらの回路、センサに必要な最低動作電圧近傍になると、これらの回路、センサにおいて誤動作が生じるおそれがある。この場合、PDU7内で短絡が生じていないにもかかわらず、短絡が生じたものと判断されるおそれがある。このような誤動作に伴う誤判断を回避するため、モータ制御装置5は、ステップS11,12の処理を行い、自己保護回路75からの短絡信号23−2の検知を行わないようにする。
【0023】12Vバッテリ9の電圧が降下した状態でなければ(ステップS11:No)、モータ制御装置5は、PDU7に対し制御信号23−1が出力されているか否か判断する(ステップS13)。このステップで、モータ制御装置5は、条件1を1度満たし、図4で示す時刻t4〜t5のインターバル状態であるか否かの判断を行う。インターバル状態か否かの判断は、図4で説明したPUD制御フラグおよび短絡フラグの状態を参照することに行う。
【0024】インターバル状態であれば(ステップS13:Yes)、モータ制御装置5は、図4(d)で説明したインターバルカウンタのインクリメントを行う。(ステップS15)続いて、インターバルカウンタの示す値としきい値Th4とを比較することにより図4に示す所定時間T4が経過したか否かの判断を行う(ステップS16)。図5に示す短絡判定の処理は、所定の周期で繰りかえされることから、しきい値Th4は、所定時間T4と処理の周期との関係より設定できる。インターバル状態が所定時間T4に達していなければ(ステップS16:No)、モータ制御装置5は、短絡判定処理を終了する。インターバル状態が所定時間T4となると(ステップS16:Yes)、モータ制御装置5は、インターバル状態を終了し、続いて再度条件1の判定を行うために、短絡時間カウンタ、インターバルカウンタの初期化を行い(ステップS17,S18)、制御信号23−1の出力を再開するために、PDU制御フラグを”ON”にし(ステップS19)、短絡判定処理を終了する。以上のステップS13〜S19により、モータ制御装置5は、インターバル状態が所定時間T4に達するまでの計時処理を行う。
【0025】インターバル状態でなければ(ステップS13:No)、モータ制御装置5は、短絡信号23−2を検知することによるPDU7の短絡検出処理を行う(ステップS14)。ステップS14の処理を図6を用いて説明する。
【0026】モータ制御装置5は、短絡信号23−2のON/OFF状態を検知するとにより、自己保護回路75で自己保護が行われているか判断する(ステップS21)。短絡信号23−2が短絡状態を示していれば(ステップS21:Yes)、短絡状態の時間累積のために、短絡時間カウンタのインクリメントを行い(ステップS22)、正常時間カウンタを初期化する(ステップS23)。ここで、正常時間カウンタとは短絡信号23−2から正常状態の継続時間を計測するためカウンタである。つづいて、モータ制御装置5は、短絡時間カウンタの値としきい値Th3を比較することにより累積の短絡時間が所定時間T3に達したか判断する(ステップS24)。なお、しきい値Th3は、インターバル判定で用いられるしきい値Th4と同様に、所定時間T3と短絡判定の処理周期との関係より設定される。累積の短絡時間が所定時間T3に達していない場合(ステップS24:No)、モータ制御装置5は、PDU7の短絡検出処理を終了する。
【0027】短絡信号23−2が正常状態を示していれば(ステップS21:No)、モータ制御装置5は、直近において短絡状態があったか判断をする(ステップS25)。モータ制御装置5は、短絡時間カウンタを参照し、その値がゼロの場合、直近において短絡状態がないと判断し、1以上の値であれば直近において短絡状態があったと判断する。直近において短絡状態がなければ(ステップS25:No)、PDU7における短絡はないことから、モータ制御装置6は、PDU7の短絡検出処理を終了する。
【0028】直近において短絡状態があれば(ステップS25:Yes)、正常状態の継続時間を求めるために正常時間カウンタをインクリメントする。(ステップS26)そして、正常時間カウンタの値としきい値Th5を比較することにより正常状態の継続時間が所定時間T5以上経過したか判断する(ステップS27)。ここで所定時間T5は、実際に短絡が生じている際に、自己保護回路75により再度短絡が検出されるまでの時間T2(図3(a)参照)の最大時間より大きな時間とする。また、しきい値Th5は、しきい値Th3やTh4と同様の方法により設定する。正常状態の継続時間が所定時間T5に達していなければ(ステップS27:No)、PDU7で実際に短絡が生じている可能性があるので、カウンタ等の初期化を行わず処理を終了する。正常状態の継続時間が所定時間T2に達していれば(ステップS27:Yes)、直近で生じた短絡状態は、自己保護回路75での誤検出による可能性が高かったことになる。そこで、モータ制御装置5は、新たに生じる短絡状態の検出処理に備えて、正常時間カウンタ、短絡時間カウンタの初期化を行う(ステップS28,S29)。また、上記条件1を満たした回数を示す繰り返しカウンタの初期化を行い(ステップS30)、PDU7の短絡検出処理を終了する。モータ制御装置5は、以上のステップS25からS30により、自己保護回路75からの短絡状態の通知が、自己保護回路75の誤検出によるものか否かを判断する。
【0029】ステップS24において、累積の短絡時間が所定時間T3に達したと判断した場合、モータ制御装置5は、繰り返しカウンタが条件1をすでに1回満たしていることを示す値”1”であるか判断する(ステップS31)。”1”でない場合(ステップS31:No)、図3,図4の時刻t4に示す条件1を満たした状態に相当する。続いてインターバル状態に移るために、モータ制御装置5は、短絡時間カウンタを初期化し、制御信号23−1の出力を中断するためにPDU制御フラグを”OFF”にする(ステップS32,S33)。さらに、モータ制御装置5は、条件1を1回満たしたことを示すために繰り返しカウンタに”1”をセットし(ステップS34)、PDUの短絡検出処理を終了する。条件1をすでに1回満たしている場合(ステップS31:Yes)、図4の時刻t6の状態に相当する。そこで、モータ制御装置5は、PDU7内で実際に短絡が生じているものと判断し、図4(e)で説明した短絡フラグを”ON”にする(ステップS35)。さらに、モータ制御装置5は、これ以降の制御信号23−1の出力を停止するためにPDU制御フラグを”OFF”にし(ステップS36)、PDUの短絡検出処理を終了する。以上のようにして、モータ制御装置5は、短絡判定処理を行う。
【0030】次に、図5のステップS11で参照される電圧降下フラグの設定処理を含む12Vバッテリ9の電圧チェック処理について説明する。モータ制御装置5は、図2に示すように12Vバッテリ9から供給される駆動電力40の電圧を検出する電圧センサ51を備える。モータ制御装置5は、この電圧センサ51による電圧値を参照し、・スタータ19によるエンジン1始動や、モータ2による回生がしばらく行われないことによる充電不足等を原因とする12Vバッテリ9の”電圧降下”状態・12Vバッテリ9からの駆動電力供給系統の故障等を原因とする12Vバッテリ9の”電圧低下”状態という2段の電圧チェック処理を行う。
【0031】始めに、モータ制御装置5による電圧チェック処理の概要を図7に示す具体例を用いて説明する。なお、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧チェックのために、電圧降下/低下を判断するための電圧に関するしきい値Vlと、時間に関するしきい値A1,A2を記憶する。ここで、Vlを降下電圧値、A1を電圧降下判定時間、A2を電圧低下判定時間とそれぞれ呼ぶ。電圧降下判定時間A1は各プロセスの繰り返し周期を考慮して例えば20[ms]に設定され、電圧低下判定時間A2は電圧降下判定時間A1とそれに対する係数により例えば100[ms]に設定される。さらに、モータ制御装置5は、電圧上昇/復帰を判断するための電圧に関するしきい値Vhと、時間に関するしきい値B1,B2を予め記憶する。ここで”電圧上昇”とは電圧降下状態でなくなる状態を言い、”電圧復帰”とは電圧低下状態でなくなる状態を言う。また、Vhを上昇電圧値、B1を電圧上昇判定時間、B2を電圧復帰判定時間とそれぞれ呼ぶ。
【0032】図7において、12Vバッテリ9の電圧Vが、降下電圧値Vl以下となり(時刻t11)、この状態が電圧降下判定時間A1に達すると(時刻t12)、”電圧降下”状態の判定条件を満たし、モータ制御装置5は電圧降下フラグを”OFF”から”ON”にする。12Vバッテリ9の電圧が、上昇電圧値Vh以上となり(時刻t13)、この状態が電圧上昇判定時間値B1以上続くと(時刻t14)、”電圧上昇”状態の判定条件を満たし、モータ制御装置5は電圧降下フラグを”ON”から”OFF”にする。また、12Vバッテリ9の電圧が、降下電圧値Vl以下となり(時刻t15)、この状態が電圧降下判定時間A1を越え(時刻t16)さらに電圧低下判定時間A2を越えると(時刻t17)、”電圧低下”状態の判定条件を満たし、モータ制御装置5は電圧低下フラグを”OFF”から”ON”にする。以上が、12Vバッテリ9の電圧チェック処理の概要である。
【0033】次に、図8を用いてモータ制御装置5による12Vバッテリの電圧チェック処理を詳細に説明する。図8に示す処理フローは、エンジンが始動した後からイグニッションスイッチがオフにされるまで、短絡判定のプロセスと異なるプロセスにより、繰り返し行われる。また、図8に示す処理において各種フラグ、カウンタ等が用いられるが、これらはイグニッションスイッチがオンにされた際のモータ制御装置5における初期化処理において初期化される。
【0034】モータ制御装置5は、電圧センサ51で検出された電圧Vと上昇電圧値Vhを比較する(ステップS41)。電圧Vが上昇電圧値Vhより小さければ(ステップS41:Yes)、モータ制御装置5は、電圧Vと降下電圧値Vlと比較を行い、電圧Vが降下電圧値Vlより大きければ(ステップS42:No)、電圧チェック処理を終了する。
【0035】電圧Vが降下電圧値Vl以下となった時点で(ステップS42:Yes)、モータ制御装置5は、電圧Vが降下電圧値V1以下の状態の継続時間(以下、”降下時間”と呼ぶ)の計時を開始する。なお、降下時間の計時が電圧降下判定時間A1に達する前に終了すると(ステップS43:No)、モータ制御装置5は、電圧チェック処理を終了する。降下時間が電圧降下判定時間A1に達すると(ステップS43:Yes)、モータ制御装置5は、電圧降下判定時間A1に達した時点で、電圧降下フラグを電圧降下状態を示す”ON”にする(ステップS44)。さらに、降下時間が電圧低下判定時間A2に達すると(ステップS45:Yes)、モータ制御装置5は、この時点で、電圧低下フラグを電圧低下状態を示す”ON”にする(ステップS46)。そして、低下時間の計時を終了し、電圧チェック処理を終了する。なお、降下時間の計時が電圧低下判定時間A2に達する前に終了した場合も(ステップS45:No)、電圧チェック処理を終了する。以上のステップS42〜S46が、電圧降下/低下の判定処理となる。
【0036】電圧Vが上昇電圧値Vh以上の場合(ステップS41:No)、モータ制御装置5は、電圧Vが上昇電圧値Vh以上となった時点で、電圧Vが上昇電圧Vh以上の状態の継続時間(以下、”上昇時間”と呼ぶ)の計時を開始する。なお、上昇時間の計時が電圧上昇判定時間B1に達する前に終了すると(ステップS47:No)、モータ制御装置5は、電圧チェック処理を終了する。上昇時間が電圧上昇判定時間A1に達すると(ステップS47:Yes)、モータ制御装置5は、その時点で、電圧降下フラグを電圧降下状態でないことを示す”OFF”にする(ステップS48)。さらに、上昇時間が電圧復帰判定時間B2に達すると(ステップS49:Yes)、モータ制御装置5は、この時点で、電圧低下フラグを電圧低下状態でないことを示す”OFF”にする(ステップS50)。そして、上昇時間の計時を終了し、電圧チェック処理を終了する。実際には12Vバッテリ9からの電力供給系に故障がないにもかかわらず電圧低下と判断された場合でも、ステップS50の処理により、誤った判断の訂正が行える。なお、上昇時間の計時が電圧復帰判定時間B2に達する前に終了した場合も(ステップS49:No)、電圧チェック処理を終了する。以上のステップS41、S47〜S50が、電圧上昇/復帰の判定処理となる。以上のようにして、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧チェック処理を行う。
【0037】次に、短絡判定結果、12Vバッテリ12の電圧チェック結果に基づく、モータ制御装置5のPDU7の制御を図9を用いて説明する。図9に示す処理フローは、エンジンが始動した後からイグニッションスイッチがオフにされるまで、所定のプロセスにより、繰り返し行われる。モータ制御装置5は、短絡判定で状態設定されるPDU制御フラグを参照する。PDU制御フラグの状態が制御信号23−1の出力中断/停止を示す”OFF”に変化すると(ステップS61:Yes)、モータ制御装置5は、制御信号23−1の出力を中断/停止する(ステップS62)。さらに、短絡判定で状態設定される短絡フラグが短絡確定を示す”ON”であれば(ステップS63:Yes)、モータ制御装置5は、運転者にPDU7の異常を知らせるために、運転席の正面にもうけられた警告ランプ41を点灯させる信号を出力する(ステップS64)。
【0038】続いて、モータ制御装置5は、12Vバッテリ12の電圧チェック処理で状態設定される電圧低下フラグを参照する。電圧低下フラグが電圧低下を示す”ON”に変化した時点で(ステップS65:Yes)、モータ制御装置6は、信号21よりモータ2が所定の回転数を越えているか判断する(ステップS66)。モータ2の回転数が所定の回転数を越え、高回転状態であれば(ステップS66:Yes)、モータ制御装置5は、メインコンタクタ11を”ON”の状態にしたまま、エンジン制御装置4からの要求モータトルク32−1に関わらずモータ2の逆起電圧が低くなるよに制御信号23−1を出力し(弱め電界制御)、モータトルクをゼロとする(ステップS67)。また、モータ制御装置5は、実モータトルク・ゼロを信号32−2によりエンジン制御装置4に通知する。低回転状態であれば(ステップS66:No)、モータ制御装置5は、制御信号23−1の出力を停止する。続いて、モータ制御装置5は、メインコンタクタ11を”OFF”にする制御信号26を出力するとともに、メインコンタクタ11の状態を示すフラグを”ON”から”OFF”にする(ステップS68)。なお、モータ制御装置5は、電圧低下状態が発生した以降に高回転状態から低回転状態に達した段階でも、ステップ68の処理を行う。以上のステップS65からS68の制御を行うことにより、12Vバッテリ9の電力供給系統の故障等の可能性のある電圧低下状態において、モータ制御装置5は、完全に駆動電力の供給がなくなる前に安全にモータ2に対する制御を停止することができる。
【0039】電圧低下フラグが電圧復帰を示す”OFF”に変化した時点で(ステップS69:Yes)、モータ制御装置6は、メインコンタクタ11に関するフラグを参照することで、メインコンタクタ11が”OFF”状態か判断する(ステップS70)。メインコンタクタ11が”OFF”状態であれば(ステップS70:Yes)、モータ制御装置5は、モータの回転数が所定回転数(例えば、2500[rpm])以下となった時点でメインコンタクタ11を”ON”にする制御信号26を出力する(ステップS67)。メインコンタクタ11が”ON”状態(ステップS70:No)、あるいは、ステップS71の処理が終了すると、モータ制御装置5は、エンジン制御装置4からの要求モータトルクとなるよう制御信号23−1を出力するとともに、実モータトルクを信号32−2によりエンジン制御装置4に通知する(ステップS72)。電圧低下状態と判断したが実際には12Vバッテリ9の電力供給系統の故障等がなく電圧が復帰した場合において、モータ制御装置5は、ステップS69からS72の制御を行うことにより、通常の制御動作に復帰することができる。以上のようにして、モータ制御装置5は、短絡判定結果、12Vバッテリ12の電圧チェック結果に基づくPDU7の制御を行う。なお、12Vバッテリ12の電圧チェック結果に基づくPDU7の制御を行うことにより、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧変動への対応能力が高まる。また、12Vバッテリ9の駆動電力は、自己保護回路75やセンサ72−1,72−2,72−3,73等にも供給されるが、12Vバッテリ9の電圧が低下すると、モータ制御装置5は、PDU7の制御を行わないことから、PDU7を低電圧で動作するように設計する必要がなくなりPDU7のコストダウンも行える。
【0040】なお、本実施の形態では、本発明の適用されるハイブリッド車として、図1にエンジン1とモータ2の出力を合成したり配分したりするタイプのパラレルハイブリッド車を示したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、クラッチにより動力伝達を接続、遮断するタイプのハイブリッド車両等、種々のタイプのハイブリッド車において適用され得る。
【0041】また、本実施の形態において、PDU7で用いられるスイッチング素子としてIGBTを示したが、これに限定されるものでなく、例えば、パワー電力型のFET(Filed Effect Trangistor)であってもよい。また、本実施の形態において、PDU7に設けられる電流センサ72−1,72−2,72−3は、スイッチング素子に流れる電流を検出できるように、直列に接続された2つのスイッチング素子のエミッタ、コレクタ間に設けられている。これは、PDU7における自己保護は、短絡によるスイッチング素子の破損防止を目的としており、スイッチング素子に流れる電流値に基づき自己保護を行うことで、確実にスイッチング素子の破損を防止できるからである。しかし、これに限定されず、たとえば、電流センサは、図2に示すコンデンサ71への入出力電流を検出できるように、コンデンサ71に対し直列に接続される位置に設けてもよい。この場合、電流センサの個数を減らせ、さらに、短絡によりコンデンサ71に蓄えられた電荷が放出されコンデンサ71に対する平均電流に乱れが生じることから短絡状態の検出が容易となり、電流センサの電流に対する許容範囲がコンデンサ71の容量に対応する程度でよくなる。また、本実施の形態において、自己保護回路75は、PDU7内を流れる電流値およびスイッチング素子の温度に基づき短絡が発生したか否かを判断している。しかし、これに限定されず、PDU7が電流センサ72−1,72−2,72−3と温度センサ73の何れか一方のみを備え、自己保護回路75は、PDU7内を流れる電流値あるいはスイッチング素子の温度のいずれか一方のみに基づき短絡が発生したか否かを判断してもよい。
【0042】また、本実施の形態において、モータ制御装置5は、条件1の判断のために図6の破線で囲んだ処理、すなわち、短絡状態の累積時間が所定時間T3に達したか否かにより、間接的に短絡状態の回数が所定回数に達したか否か判断している。実際にPDU7内で短絡が生じている場合、図3(a)に示すように、モータの回転数によっては時間T2がゼロになる可能性がる。そのため、短絡信号23−2の”H”、”L”の状態変化の検出に基づく判断では、短絡状態の回数が所定回数に達したか否かを適切に判断できない場合があるからである。しかし、モータ制御装置5における短絡状態の回数の検出処理を簡単にするために、条件1の判断の際に、短絡信号23−2の”H”、”L”の状態変化の検出に基づき、短絡状態の回数を直接検出し所定回数に達したか判断するようにしてもよい。
【0043】また、本実施の形態において、モータ制御装置5は、条件1および条件2を満たすことによりPDU7内で実際に短絡が発生していると判断している。これは、条件2を設けることによりPDU7への電力の瞬断を原因とする誤った短絡の確定を防止できるからある。これを、処理の簡素化を図るために、モータ制御装置5は、条件1を満たした時点、すなわち、自己保護回路75から出力される短絡状態が所定回数以上あるいはその累積時間が所定時間以上になった時点で、短絡を確定してもよい。
【0044】また、本実施の形態において、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧降下状態の判定の条件を、12Vバッテリ9の電圧Vが降下電圧値Vl以下の状態で電圧判定時間A1以上継続する場合としている。これにより、モータ制御装置5は、電圧Vが降下電圧値Vl近傍で変動している場合、電圧Vの変動に関わらず電圧降下状態の判定を安定して行えるようになるので好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、処理を簡単にするために、モータ制御装置5は、電圧降下状態の判定の条件を、電圧Vが降下電圧値Vl以下の場合としてもよい。同様に、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧低下、電圧上昇、電圧復帰を、12Vバッテリ9の電圧Vと所定のしきい値との関係のみで判断するようにしてもよい。また、本実施の形態において、モータ制御装置5は、12Vバッテリ9の電圧チェックの際に、電圧に関し2つの異なる値のしきい値、上昇電圧Vhと降下電圧Vlを用いている。このように2つのしきい値を用いるのは、12Vバッテリ9から駆動電力の供給を受ける回路の最低動作電圧と通常の動作電圧とを考慮してしきい値を設定しているからである。これを処理を簡単にするために、しきい値VhとVlとを同じ値としてもよい。また、本実施の形態において、モータ制御装置5は、電圧センサ51を備え12Vバッテリ9の電圧を計測しているがこれに限定されない。例えば、12Vバッテリ9に電圧センサを備え、モータ制御装置5にその電圧センサからの信号を入力するようにして、12Vバッテリ9の電圧を得るようにしてもよい。
【0045】以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるハイブリッド車両の制御装置によれば、下記の効果を得ることができる。PDUを構成する自己保護回路は、スイッチング素子の温度が所定温度以上、あるいは、パワードライブユニットに流れる電流が所定電流以上になると、スイッチング素子への制御信号を所定時間遮断する。これにより、パワードライブユニット内で短絡が発生した場合、スイッチング素子による電流制御を所定時間停止できる。これにより、短絡によるスイッチング素子の破損を防止できる。また、モータ制御装置を介さずに所定時間停止できることから、高速かつ短時間で短絡に対する対応が可能となる。
【0047】また、自己保護回路は自己保護状態である短絡状態を示す信号を外部に出力し、モータ制御装置は、パワードライブユニット内で実際に短絡が生じているか否かの判定条件を自己保護回路からの短絡状態の通知が連続して所定回数以上繰り返されたか否かで判定する。そして、モータ制御装置は、条件を満たすとPDUに対する制御信号の出力を停止する。これにより、制御装置は、自己保護回路の短絡の誤検出により短絡状態の通知が行われた場合と、実際に短絡が生じて短絡状態の通知がなされている場合とを区別できるようになる。よって、実際に短絡が生じている場合にのみ、制御装置はモータの制御を停止できる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年8月30日(1999.8.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−69601(P2001−69601A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−244126