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【発明の名称】 全方向移動車の制御装置
【発明者】 【氏名】阪本 健二

【氏名】岡村 幸彦

【氏名】品川 壮

【要約】 【課題】駆動部の空転や過負荷が生じても操作者の意図する動きを行わせる。

【解決手段】電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることで車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置である。車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から各電動機の負荷の大小を判別して1つ以上の電動機の負荷が大きく且つ1つ以上の電動機の負荷が小さいことによって空転している電動機の判定と該電動機の電動機検出速度を補正する空転検出手段を備える。空転が検出された際に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から各電動機の負荷の大小を判別して1つ以上の電動機の負荷が大きく且つ1つ以上の電動機の負荷が小さいことによって空転している電動機を判定するとともに空転している電動機の電動機検出速度を補正する空転検出手段を備え、空転が検出された際に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることを特徴とする全方向移動車の制御装置。
【請求項2】 負荷の大きい電動機と、負荷の小さい電動機が一定時間変化しないことを検知することで空転している電動機を判定することを特徴とする請求項1記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項3】 複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段、電動機印加電圧指令にしたがって電動機に電圧を印加する電動機駆動手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧指令を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機指令速度と電動機印加電圧指令と電動機検出速度から1つ以上の電動機印加電圧指令が所定の値以上で且つその電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることを特徴とする全方向移動車の制御装置。
【請求項4】 複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から1つ以上の電動機電流が所定の値以上で且つ電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることを特徴とする全方向移動車の制御装置。
【請求項5】 前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出進行方向が、車体指令速度から算出する車体指令進行方向に対して所定角度以上異なる場合に車体指令進行方向に一致するように車体指令速度を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項6】 前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出回転方向が、車体指令速度から算出する車体指令回転方向と異なる場合に車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項7】 前記車体検出進行方向が車体指令進行方向に対して所定角度以上異なるか、車体指令回転方向が車体指令回転方向と異なる場合のどちらか一方以上が一定時間継続するときに、その車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項8】 1つの電動機の過負荷または空転を検出し、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、その電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるように車体指令速度を定数倍することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項9】 複数の電動機の過負荷または空転を検出し、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、各々の電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるような車体指令速度を算出する定数を算出し、その中で最も小さい定数を採用し、車体指令速度をその定数倍することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項10】 空転を検出した際、車体指令速度を0にすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項11】 車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、警報を発生させることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の全方向移動車の制御装置。
【請求項12】 車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、車体検出速度より算出する車体検出進行方向と、車体指令速度から算出する車体指令進行方向の差に応じて警報の種類を変化させることを特徴とする請求項11記載の全方向移動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の駆動部を備えるとともにこれら駆動部によって車体の全方向移動が可能となっている全方向移動車の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】全方向移動車に用いる駆動部3の一例を図15に示す。上記駆動部3は、球体である駆動ボール11と、駆動ボール11の外周に配したリング30と、リング30の内周側に取り付けられた複数個のローラ31と、駆動ボール11の上面に接触する支持ローラ32と、上記リング30をその軸回りに回転させる電動機33とからなるもので、その軸方向がリング30の軸方向と直交している複数個のローラ31が駆動ボール11表面の大円に接している。
【0003】支持ローラ32とローラ31とによってリング30の回転平面と平行な軸の回りの回転(転がり)が自在とされている駆動ボール11は、リング30の軸回り回転がローラ31を介して摩擦力で伝達されてリング30の軸を中心とする回転を行う。ここにおいて、リング30は水平面から少し傾けていることから、駆動ボール11の上記回転で推進力が生じる。
【0004】このような駆動部3を少なくとも3つ備えたものにおいては、各駆動部3の駆動力のベクトルが合成される方向に進むことになり、従って進行方向のベクトルから逆に各駆動部3による駆動力を求めて各駆動部3を個別に制御駆動する制御手段を設けて、駆動ボール11の回転方向及び回転速度を制御することによって、前後左右及び斜めの全方向移動及びその場回転が自在となる。
【0005】図16は上記駆動部3を備えた全方向移動車の一例を示しており、電動車椅子として形成された該全方向移動車は、上記駆動部3(3A,3B,3C,3D)を四隅に備えている。なお、各駆動部3A,3B,3C,3Dは同じ向きに配置されておらず、いずれも電動機33側が中心寄りに位置するように配置されている。図中20はシート、21は背もたれ、22はアームレスト、23はフットレストであり、アームレスト22上にはジョイスティック型ハンドルと複数のスイッチとを備えた操作器5が設けられている。
【0006】上記全方向移動車の制御装置の従来例を図17に示す。各駆動部3A,3B,3C,3Dには電動機33用のドライバー回路である電動機駆動手段34のほか、速度検出部35及び速度算出手段36を設けており、操作器5から入力される車体のX,Y,R方向の指令速度X1,Y1,R1を、電動機速度算出手段MVCにおいて、Vm=J・Vにより各駆動部3A,3B,3C,3Dの電動機指令速度ω1〜ω1に換算する。ただし、【0007】
【数1】

【0008】であり、行列Jの成分は、車体の構造により決定される値である。
【0009】以下は駆動部3A〜3Dにおいて同様であるために、駆動部3Aについてのみ説明すると、速度制御手段VCAは、電動機30に取り付けられた速度検出器34によって発生されるパルスより速度算出手段36によって算出される電動機検出速度ω2と、電動機指令速度ω1の偏差が小さくなるように速度制御され、電動機印加電圧指令V1を出力する。駆動部3Aの電動機駆動手段34は電動機印加電圧指令V1に基づいて、電動機33に電動機印加電圧V2を印加する。
【0010】このように、各駆動部3A〜3Dが独立に速度制御されることによって、操作器5から入力される車体の動きを実現している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の制御であると、図18に示す車体状態ST1から、車体状態ST2で走行しようとする際に、過負荷、空転などで1つ以上の駆動部の電動機が指令速度を達成できなくなれば、車体状態ST2(速度X1,Y1,R1)で進まず、車体状態ST3(速度X2,Y2,R2)で走行してしまうものであり、操作者が意図する動きを実現することができない。
【0012】本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは駆動部の空転や過負荷が生じても操作者の意図する動きを行わせることができる全方向移動車の制御装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から各電動機の負荷の大小を判別して1つ以上の電動機の負荷が大きく且つ1つ以上の電動機の負荷が小さいことによって空転している電動機を判定するとともに空転している電動機の電動機検出速度を補正する空転検出手段を備え、空転が検出された際に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることに第1の特徴を有している。
【0014】この時の電動機の空転の判定は、負荷の大きい電動機と、負荷の小さい電動機が一定時間変化しないことを検知することで行うとよい。
【0015】また本発明は、複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段、電動機印加電圧指令にしたがって電動機に電圧を印加する電動機駆動手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧指令を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機指令速度と電動機印加電圧指令と電動機検出速度から1つ以上の電動機印加電圧指令が所定の値以上で且つその電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることに第2の特徴を有している。
【0016】さらに複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から1つ以上の電動機電流が所定の値以上で且つ電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させることに第3の特徴を有している。
【0017】いずれの場合においても、前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出進行方向が、車体指令速度から算出する車体指令進行方向に対して所定角度以上異なる場合に車体指令進行方向に一致するように車体指令速度を変化させることが好ましく、また、前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出回転方向が、車体指令速度から算出する車体指令回転方向と異なる場合に車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させることが好ましい。
【0018】前記車体検出進行方向が車体指令進行方向に対して所定角度以上異なるか、車体指令回転方向が車体指令回転方向と異なる場合のどちらか一方以上が一定時間継続するときに、その車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させるようにしてもよい。
【0019】1つの電動機の過負荷または空転を検出し、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際には、その電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるように車体指令速度を定数倍したり、各々の電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるような車体指令速度を算出する定数を算出して、その中で最も小さい定数を採用し、車体指令速度をその定数倍するとよい。
【0020】空転を検出した際、車体指令速度を0にしてもよい。
【0021】車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際に、警報を発生させたり、車体検出速度より算出する車体検出進行方向と、車体指令速度から算出する車体指令進行方向の差に応じて警報の種類を変化させることも好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1に示すように、基本的構成は前記従来例と同じであるが、各駆動部3A〜3Dに夫々の電動機33に流れる電流を検出する電流検出手段37を設け、また、該電流検出手段37から出力される電動機電流I〜Iをもとに過負荷を検出する過負荷検出手段OT〜OT、空転を検出する空転検出手段VE、車体速度算出手段VF、補正判定手段VG、そして指令速度補正手段VHを新たに設けたものとなっている。
【0023】各駆動部3A〜3Dに設けられた電流検出手段37は、電動機33の電流を検出し、電動機電流I(I,I,I)として空転検出手段VEおよび過負荷検出手段OT(OT,OT,OT)に出力する。
【0024】過負荷検出手段OTは図2に示すように、電動機指令速度ω1と電動機検出速度ω2との偏差が比較器CP1によって過負荷判定速度偏差ωOLより小さいと判定される状態において、電動機印加電圧指令V1が比較器CP2によって過負荷判定電動機印加電圧VOLより大きいと判定される場合、または、電動機電流Iが比較器3によって過負荷判定電動機電流IOLより大きいと判定される場合に、過負荷信号S2を出力する。過負荷検出手段OT,OT,OTも同様である。
【0025】空転検出手段VEは図3に示すように、軽負荷判定部VEL(VEL,VEL,VEL)を備えたもので、該軽負荷判定部VLEは、電動機指令速度ω1が空転判定電動機速度ωSPより大きく且つ電動機電流Iが空転判定電動機電流ISPより小さいならば、駆動部3Aの負荷は小さいとし、軽負荷信号S8を遅延回路部VEDに出力する。軽負荷判定部VEL〜VELも同様である。
【0026】遅延回路部VEDは、軽負荷信号S8〜S8の各々を所定の時間T1だけ遅延させて遅延軽負荷信号S9〜S9として出力することにより、軽負荷信号S8〜S8それぞれがT1より短い時間入力されていても、遅延軽負荷信号S9〜S9は出力されない。したがって、遅延軽負荷信号S9〜S9は、駆動部3A〜3Dが所定の時間T1以上連続して、軽負荷の状態でなければ出力されない。
【0027】負荷状態計数部VECは、遅延軽負荷信号S9〜S9によって軽負荷である駆動部の数と軽負荷でない駆動部の数を数え、軽負荷である駆動部と軽負荷でない駆動部の数がそれぞれ1つ以上存在する場合においてのみ空転判定信号S10を出力する。
【0028】空転信号制御部VEBは、空転判定信号S10が入力されたときのみ遅延軽負荷信号S9〜S9を空転信号S1〜S1として出力する。どの駆動部の駆動ボールが空転しているかが空転信号S1〜S1として、空転検出手段VEから出力されるわけである。
【0029】電動機速度補正部VEAは、空転信号S1〜S1を用いて、空転信号が入力されている駆動部の補正電動機検出速度は0とし、そうでない駆動部は電動機検出速度ω2〜ω2をそのまま補正電動機検出速度ω3〜ω3として出力する。
【0030】車体速度算出手段VFは、補正電動機検出速度ω3〜ω3より、車体X方向検出速度X2、車体Y方向検出速度Y2、車体R方向検出速度R2を次式V=J・Vmにより算出する。ただし、【0031】
【数2】

【0032】であり、行列Jの成分は、車体の構造により決定される値である。
【0033】補正判定手段VGを図4に示す。信号計数部VG1は、空転信号S1〜S1および過負荷信号S2〜S2の8個のうち、いずれか1つ以上が入力されたならば、補正判定信号S12を出力し、空転信号S1〜S1および過負荷信号S2〜S2をそのまま出力する。
【0034】車体進行方向偏差算出部VG3は、補正判定信号S12が入力されているときのみ、車体X方向検出速度X2、車体Y方向検出速度Y2の各々の符号および値から算出されるθ2の値と、車体X方向指令速度X1、車体Y方向指令速度Y1の各々の符号および値から算出されるθ1の値の偏差を、車体進行方向偏差XYd1として出力する。
【0035】車体回転方向判定部VG2は、補正判定信号S12が入力されているときのみ、車体R方向検出速度R2と車体R方向指令速度R1の符号を違いを判定し、違っている場合は車体回転方向相違信号Rd1を出力する。
【0036】補正信号生成部VG4は、車体進行方向偏差XYd1が、補正判定車体進行方向偏差XYd2より大きいとき、または、車体回転方向相違信号Rd1が入力されるときのみ補正信号S6を出力する。
【0037】遅延回路部VG5は、補正信号S6を所定の時間T2だけ遅延させて遅延補正信号S11として出力する。
【0038】補正信号制御部VG6は、遅延補正信号S7が入力されたときのみ、空転信号S1〜S1を空転補正信号S4〜S4として、また過負荷信号S2〜S2を過負荷補正信号S5〜S5として出力する。
【0039】警報信号生成部VG7は、車体進行方向偏差XYd1および車体回転方向相違信号に応じて警報信号S3を変化させる。
【0040】指令速度補正手段VHを図5に示す。補正計数算出部VH1は、空転補正信号S4または過負荷補正信号S5が入力されたときのみ、補正電動機検出速度ω3Aと、車体X方向指令速度X1、車体Y方向指令速度Y1、車体R方向指令速度R1より式(1)の関係より求まる式(2)より駆動部補正係数αAを算出して出力する。それ以外の場合は駆動部A補正係数αA=1として出力する。
【0041】
m3=J・VA (1)
ω3A=a11・α・X1+a12・α・Y1+a13・α・R1 (2)
ただし、【0042】
【数3】

【0043】であり、行列Jの成分は、車体の構造により決定される値である。補正計数算出部VH1〜VH1も同様である。
【0044】係数判定部VH2は、駆動部3A〜3Dの補正係数α〜αを比較して最も小さい値を補正係数αとして出力する。
【0045】補正速度算出部VH3は、車体X方向指令速度X1、車体Y方向指令速度Y1、車体R方向指令速度R1に補正係数αを乗算したものを、車体X方向補正指令速度X3、車体Y方向補正指令速度Y3、車体R方向補正指令速度R3として出力する。また、空転補正信号S4A〜S4Dのいずれか1つ以上入力されたならば、X3、Y3、R3をすべて0にする。
【0046】実際の動作例に基づいて動作を説明すると、図6は下り坂の走行時を示しており、下り坂を車体状態ST1から、車体状態ST2(速度X2,Y2=0,R2=0)で走行している際、駆動部3A〜3Dの電動機指令速度ω1〜ω1、電動機電流I〜Iは図7に示すようになる。したがって、空転検出手段VEにおいて、駆動部3A〜3Dすべてが軽負荷になるため、負荷状態計数部VECから空転判定信号S10が出力されないために、空転しているとは判定されない。
【0047】図8は車体状態ST1から車体状態ST2(速度X1,Y1,R1)で走行しようとしている際に、駆動部3A〜3Dの電動機指令速度ω1〜ω1、電動機電流I〜Iが図9に示すような状態になって車体状態ST3(速度X2,Y2,R2)で走行してしまった場合を示しており、このとき空転検出手段VEは、駆動部3Aが軽負荷、駆動部3B,3Cが軽負荷でないことから、駆動部3Aが空転していると判断し、補正電動機検出速度ω3=0、ω3〜ω3ω2〜ω2とし、空転信号S1を出力する。
【0048】この時、補正判定手段VGには空転信号S1が入力されるので、|θ1−θ2|>XYd2であるとき、空転補正信号S4が出力される。したがって指令速度補正手段において、X3,Y3,R3はすべて0と出力され、車体は停止する。
【0049】図10は坂道を回転しながら横切る走行を行っている場合を示しており、この場合、車体状態がST1〜ST4へと逐次変化することから、駆動部3A〜3Dの電動機指令速度ω1〜ω1、電動機電流I〜Iは図11に示すものとなる。この時には、各々の駆動部3A〜3Dが軽負荷状態となる時が存在するが、軽負荷と判定する時間Tが遅延時間T1より小さいために、遅延軽負荷信号S9〜S9が出力されず、空転していると判定されない。
【0050】そして、図12に示すように、車体状態ST1から車体状態ST2で走行しようとする場合において、駆動部3A〜3Dの電動機指令速度ω1〜ω1、電動機検出速度ω2〜2、電動機印加電圧指令V1〜1、電動機電流I〜Iが図13のようになる場合、車体状態ST3となってしまう。このとき、過負荷判定手段OT〜OTは駆動部3Cが過負荷であるとし、時間T2後に過負荷信号S2を出力する。したがって補正判定手段VEにおいて、車体R方向指令速度R1と車体R方向検出速度R2の符号が反対になり、過負荷補正信号S5が出力される。これにより指令速度補正手段VHにおいて、X3,Y3,R3が算出され、ω1〜ω1が再計算されることで、車体の走行が補正される。図13は電動機検出速度ω2が大きく、これに伴う電動機33の逆起電圧も大きい場合に電動機印加電圧指令V1〜V1が最大になる場合を示したが、電動機検出速度ω2が小さく、電動機33の逆起電圧も小さい場合には、図14に示すように電動機電流I〜Iが最大になり、過負荷を検出可能である。
【0051】図1に示す警報手段BZはLED、ブザー、バイブレータなどで、車体進行方向のズレに応じて、LEDは表示パターン、点滅パターンを、ブザーは音量、間欠周期、バイブレータは振動の強弱、間欠周期などを変化させる。また、それらを組み合わせて使用してもよい。
【0052】電動機33によって駆動ボール11が駆動される駆動部3が4つ設けられたものを例として説明したが、駆動部の形態は走行面との摩擦を確保できるものであれば上記のものに限るものではなく、駆動部の数も上記数に限るものではない。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明においては、複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から各電動機の負荷の大小を判別して1つ以上の電動機の負荷が大きく且つ1つ以上の電動機の負荷が小さいことによって空転している電動機を判定するとともに空転している電動機の電動機検出速度を補正する空転検出手段を備え、空転が検出された際に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させるために、1つ以上の駆動部が空転した場合において、車体指令速度の補正が可能であるとともに、下り坂走行時においても誤判定することがないものである。
【0054】この時、負荷の大きい電動機と、負荷の小さい電動機が一定時間変化しないことを検知することで空転している電動機を判定すると、回転しながら坂道を走行する際においても誤判定することがない。
【0055】そして第2の特徴とするところでは、複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段、電動機印加電圧指令にしたがって電動機に電圧を印加する電動機駆動手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧指令を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機指令速度と電動機印加電圧指令と電動機検出速度から1つ以上の電動機印加電圧指令が所定の値以上で且つその電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させるために、1つ以上の電動機が高速回転中に過負荷となった場合にも、車体指令速度の補正が可能である。
【0056】また、第3の特徴とするところでは、複数の駆動部、各々の駆動部の電動機の速度を検知する速度検出器および速度算出手段、車体指令速度から各々の電動機指令速度を算出する電動機速度算出手段を備え、前記電動機速度算出手段から算出される電動機指令速度に、前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度を一致させるよう電動機印加電圧を変化させることにより車体の進行を制御する全方向移動車の制御装置において、電動機検出速度から車体検出速度を算出する車体速度算出手段、各々の電動機電流を検知する電流検出手段、各々の電動機指令速度と前記速度算出手段によって算出された電動機検出速度と前記電流検出手段から得られる電動機電流から1つ以上の電動機電流が所定の値以上で且つ電動機指令速度と電動機検出速度の偏差が所定の値以上の状態が一定時間以上継続することによって各電動機の過負荷を検知する過負荷検出手段を備え、過負荷の場合に車体指令速度による進行方向と回転方向を維持するように車体指令速度を変化させるために、1つ以上の電動機が低速回転中に過負荷となった場合にも、車体指令速度の補正が可能である。
【0057】そして、前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出進行方向が、車体指令速度から算出する車体指令進行方向に対して所定角度以上異なる場合に車体指令進行方向に一致するように車体指令速度を変化させることで、車体の進行方向の差異に対して、車体指令速度の補正が可能であり、前記車体速度算出手段から得られる車体検出速度より算出する車体検出回転方向が、車体指令速度から算出する車体指令回転方向と異なる場合に車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させることで、車体の回転方向の差異に対して、車体指令速度の補正が可能である。
【0058】また、前記車体検出進行方向が車体指令進行方向に対して所定角度以上異なるか、車体指令回転方向が車体指令回転方向と異なる場合のどちらか一方以上が一定時間継続するときに、その車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させることで、不用意な車体指令速度の補正によって操作者に不安を与えてしまうという事態を招くことがないものとなる。
【0059】加えるに、1つの電動機の過負荷または空転を検出し、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、その電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるように車体指令速度を定数倍することで、車体指令進行方向、車体指令回転方向を維持したまま、車体指令速度の補正が可能である。
【0060】また、複数の電動機の過負荷または空転を検出し、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、各々の電動機の電動機検出速度と等しい電動機指令速度になるような車体指令速度を算出する定数を算出し、その中で最も小さい定数を採用し、車体指令速度をその定数倍することで、複数の電動機が過負荷または、空転した場合においても、車体指令進行方向、車体指令回転方向を維持したまま、車体指令速度の補正が可能である。
【0061】空転を検出した際、車体指令速度を0にする場合は、車体指令速度の補正を算出することなく停止するのでより迅速に停止可能である。
【0062】そして、車体指令進行方向および車体指令回転方向に一致するように車体指令速度を変化させる際、警報を発生させることで、操作者の無理な操作を防止できるものであり、さらに車体検出速度より算出する車体検出進行方向と、車体指令速度から算出する車体指令進行方向の差に応じて警報の種類を変化させることで、操作者の無理な操作の度合いを定量的に報知することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成11年7月27日(1999.7.27)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2001−45615(P2001−45615A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−212930