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【発明の名称】 ハイブリッド自動車のパワートレンの故障判断装置
【発明者】 【氏名】瀬尾 宣英

【氏名】森本 賢治

【氏名】松原 泰司

【氏名】小林 明宏

【氏名】間宮 清孝

【氏名】堂園 一保

【要約】 【課題】ハイブリッド自動車のおいて、確実にエンジンの異常を判定する。

【解決手段】ハイブリッド自動車は、電動機(22)及びその駆動部(24)からなる駆動系と、電動機に連結されたエンジン(6)とを備えている。ハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置は、駆動系の異常を判定する駆動系異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段を有し、この失火判定手段は、エンジン出力軸のトルク又は回転数の変動が検出された場合に、駆動手段が正常と判定されたとき、この検出されたトルク又は回転数の変動に基づいてエンジンの失火状態を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、上記駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段を有し、この失火判定手段は、エンジン出力軸のトルク又は回転数の変動が検出された場合に、上記駆動手段が正常と判定されたとき、この検出されたトルク又は回転数の変動に基づいてエンジンの失火状態を判定することを特徴とするパワートレンの故障判断装置。
【請求項2】 上記駆動手段は、エンジン始動時にエンジン回転数を上昇させると共に、上記ハイブリッド自動車は、所定回転数以上の後にエンジンの燃焼を開始させる燃焼制御手段を有する請求項1記載のパワートレンの故障判断装置。
【請求項3】 上記駆動手段異常判定手段は、駆動手段の異常判定をエンジンの燃焼が開始する前に実行する請求項2記載のパワートレインの故障判断装置。
【請求項4】 上記駆動手段異常判定手段は、駆動手段の電気的異常及び機械的異常の一方又は両方を判定する請求項1又は請求項3記載のパワートレインの故障判断装置。
【請求項5】 上記失火判定手段は、エンジン燃焼開始後でエンジン回転数が定常状態となったときに失火判定を行なう請求項2又は請求項3に記載の故障判断装置。
【請求項6】 上記駆動手段異常判定手段及び上記失火判定手段は、電動機の出力電流関連値の変化状態に応じて、それぞれ駆動手段の異常判定及びエンジンの失火判定を行なう請求項1、請求項4及び請求項5の何れか1項に記載のパワートレインの故障判断装置。
【請求項7】 上記駆動手段異常判定手段及び上記失火判定手段は、上記電動機の出力電流関連値の大きさや変化状態に応じて、それらの判定条件を変更する請求項6記載のパワートレインの故障判断装置。
【請求項8】 電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、上記駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段戸を有し、この失火判定手段は、上記駆動手段が正常と判定された時、エンジンの出力軸トルクの実変動形態が予め設定されたエンジン失火変動形態に類似しているときに失火判定を行なうことを特徴とするパワートレンの故障判断装置。
【請求項9】 電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、上記駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段を有し、上記駆動手段異常判定手段及び上記失火判定手段は、電動機の出力電流関連値の変化状態に応じて、それぞれ駆動手段の異常判定及びエンジンの失火判定を行なうことを特徴とするパワートレインの故障判断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置に係り、特に、エンジンの失火判定を行なうようにしたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、種々のハイブリッド自動車が開発されている。ハイブリッド自動車は、走行駆動源として、エンジンと電気モータを用いるものであり、例えば、以下のものが知られている。特開平9−117012号公報には、このようなハイブリッド自動車において、エンジンに発電機を連結し、この発電機を電動機として動作させることにより、エンジンの回転を停止状態から所定のアイドリング回転数まで上昇させ、エンジン回転がこのアイドリング回転数に到達した後に、エンジンに燃料を供給すると共に点火動作を開始することにより、エンジン始動時にガタツキ音や振動の発生を少なくしたものが記載されている。また、特開平9−109694号公報には、ハイブリッド自動車において、車両走行中にエンジン停止状態から、エンジンを始動させる際、変動する出力軸に伝達されるトルクを演算し、電気モータによりこの変動分を補正するように制御し、これにより、最終的に駆動輪へ伝達されるトルク変動が少なくし、走行間隔の変動を抑制するようにしたものが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなハイブリッド自動車においても、一般車両と同様に、エミッションを悪化させないために、万一エンジンに異常(点火プラグの劣化による失火、故障等を含む)が発生した場合には、この異常を速やかに乗員に知らせて、適切な処置が取れるようにすることが必要となるであろうと想定されている。しかしながら、ハイブリッド自動車は、上述したように、走行駆動源として、エンジンと電気モータを用い、さらに、発電機を電動機として動作させてエンジンを始動させているため、単純に一般車両の技術を適用して、エンジンの異常判定(特に失火判定)をすることができないという問題がある。本発明は、従来からの要望に対応するためになされたものであり、確実にエンジンの異常を判定することができるハイブリッド自動車のパワートレイン故障判断装置を提供することを目的としている。また、本発明は、エンジンの失火判定と発電機/電動機の異常判定とを区別して判定し、失火の誤判定を防止するようにしたハイブリッド自動車のパワートレイン故障判断装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段を有し、この失火判定手段は、エンジン出力軸のトルク又は回転数の変動が検出された場合に、駆動手段が正常と判定されたとき、この検出されたトルク又は回転数の変動に基づいてエンジンの失火状態を判定することを特徴としている。このように構成された本発明においては、電動機及びその駆動部である駆動手段が正常であると判定されたときに、エンジンの失火状態を判定するようにしているので、エンジンの失火判定と電動機の異常判定とを区別して判定でき、さらに、失火状態の誤判定を確実に防止することができる。また、本発明においては、駆動手段は、エンジン始動時にエンジン回転数を上昇させると共に、ハイブリッド自動車は、所定回転数以上の後にエンジンの燃焼を開始させる燃焼制御手段を有することが好ましい。また、本発明においては、駆動手段異常判定手段は、駆動手段の異常判定をエンジンの燃焼が開始する前に実行することが好ましい。これにより、エンジンの失火の影響を受けることなく、駆動手段即ち発電機の異常を精度良く検出することができる。また、本発明においては、駆動手段異常判定手段は、駆動手段の電気的異常及び機械的異常の一方又は両方を判定することが好ましい。これにより、電動機に関連する種々の異常を検出することができる。また、本発明において、失火判定手段は、エンジン燃焼開始後でエンジン回転数が定常状態となったときに失火判定を行なうことが好ましい。これにより、エンジンの失火判定の精度を向上させることができる。また、本発明は、駆動手段異常判定手段及び失火判定手段は、電動機の出力電流関連値の変化状態に応じて、それぞれ駆動手段の異常判定及びエンジンの失火判定を行なうことが好ましい。また、本発明は、駆動手段異常判定手段及び失火判定手段は、電動機の出力電流関連値の大きさや変化状態に応じて、それらの判定条件を変更することが好ましい。
【0005】また、本発明は、電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段戸を有し、この失火判定手段は、駆動手段が正常と判定された時、エンジンの出力軸トルクの実変動形態が予め設定されたエンジン失火変動形態に類似しているときに失火判定を行なうことを特徴としている。さらに、本発明は、電動機及びその駆動部からなる駆動手段と、電動機に連結されたエンジンとを備えたハイブリッド自動車のパワートレインの故障判断装置であって、駆動手段の異常を判定する駆動手段異常判定手段と、エンジンの失火状態を判定する失火判定手段を有し、駆動手段異常判定手段及び失火判定手段は、電動機の出力電流関連値の変化状態に応じて、それぞれ駆動手段の異常判定及びエンジンの失火判定を行なうことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に付いて添付図面を参照して説明する。先ず、本発明の実施形態が適用されるハイブリッド自動車について図1乃至図7により説明する。図1は、本実施形態が適用されるハイブリッド自動車の基本構成を示す全体構成図である。図1に示すように、符号1はハイブリッド自動車を示し、このハイブリッド自動車1は、駆動力を発生するためのパワーユニットとして、バッテリ2から供給される電力により駆動されるモータ4とガソリン等の液体燃料の爆発力により駆動されるエンジン6とを併用して走行し、後述する車両の走行状態に応じて、モータ4のみによる走行、エンジン6のみによる走行、或いはモータ4とエンジン6の双方による走行とが実現される。エンジン6は、トルクコンバータ8を介してクラッチ10の締結により自動変速機12に駆動力を伝達する。自動変速機12は、エンジン6から入力された駆動力を走行状態に応じて(或いは運転者の操作により)所定のトルク及び回転数に変換して、ギアトレイン14及び差動機構16を介して駆動輪18,20に伝達する。また、エンジン6はバッテリ2を充電するために発電機/電動機22を発電機として駆動する。さらに、この発電機/電動機22は、電動機として作動して、エンジン6のスタータとしても動作する。なお、本明細書において、この発電機/電動機22を単に電動機22と呼ぶ。モータ4は、バッテリ2から供給される電力により駆動され、ギアトレイン14を介して駆動輪18,20に駆動力を伝達する。
【0007】エンジン6は、例えば高燃費型のバルブの閉弁タイミングを遅延させるタイプのものが搭載され、モータ4は例えばIPM同期式モータであり、バッテリ2は例えばニッケル水素電池やパワーコンデンサが搭載される。電子制御ユニットであるECU30は、CPU、ROM、RAM、インバータ等からなり、エンジン6の点火時期や燃料噴射量等をコントロールすると共に、モータ4の出力トルクや回転数等をコントロールする。ECU30は、エンジン6の作動時に電動機22が発電機として動作して発電された電力を、コンバータとして動作するコンバータ/インバータ24を介して、モータ4に供給したり、バッテリ2に充電させるように制御する。更に、ECU30は、バッテリ2の電力やモータ4から回収した電力をインバータ26で所定電圧(例えば、100V)に整えた後、補機類用モータ28に供給し、補機類32が駆動されるようになっている。
【0008】次に、図2乃至図7を参照して本実施形態におけるハイブリッド自動車の走行状態に応じた駆動力の伝達形態を説明する。
[発進及び低速走行時]図2に示すように、発進及び低速走行時には、ECU30は、モータ4のみを駆動させ、このモータ4による駆動力をギアトレイン14を介して駆動輪18,20に伝達する。また、発進後の低速走行時もモータ4による走行となる。
[加速時]図3に示すように、加速時には、ECU30は、エンジン6とモータ4の双方を駆動させ、エンジン6とモータ4による駆動力を併せて駆動輪18,20に伝達する。
[定常走行時]図4に示すように、定常走行時には、ECU30は、エンジン6のみを駆動させ、エンジン6からギアトレイン14を介して駆動輪18,20に駆動力を伝達する。定常走行時とは、エンジン回転数が2000〜3000rpm程度の最も高燃費となる領域での走行である(図17参照)。
[減速時]図5に示すように、減速時には、クラッチ10を解放して、駆動輪18,20の駆動力がギアトレイン14を介してモータ4に回生され、モータ4が駆動源となってバッテリ2が充電されると共に、補機類用モータ28に回生された電力が供給される。
[定常走行時及び充電時]図6に示すように、定常走行及び充電時には、クラッチ10を締結して、エンジン6からギアトレイン14を介して駆動輪18,20に駆動力が伝達されると共に、エンジン6は電動機22を発電機として駆動してバッテリ2を充電すると共に、余剰電力が補機類モータ28に供給される。
[充電時]図7に示すように、充電時には、クラッチ10を解放してエンジン6から自動変速機12に駆動力が伝達されないようにし、エンジン6は電動機22を発電機として駆動してバッテリ2を充電する。
【0009】次に、図8により、エンジンの全体構造を説明する。この図8に示すように、40はシリンダを有するエンジン本体であり、このシリンダの燃焼室42には吸気弁により開閉される吸気ポート44及び排気弁により開閉される排気ポート46が開口している。吸気ポート44には吸気通路48が接続され、排気ポート46には排気通路64が接続されている。吸気通路48には、その上流側から順にエアクリーナ50、エアフローセンサ52、スロットル弁54及びサージタンク56が設けられると共に、吸気ポート44の近傍に、燃料を噴射するインジェクタ58が設けられている。さらに、吸気通路48には、スロットル弁54をバイパスするISC通路60が設けられ、このISC通路60には、空気流量を調節してアイドル回転数制御を実行するISCバルブ12が設けられている。一方、排気通路64にはO2センサ 66及び触媒装置68等が設けられている。
【0010】インジェクタ58に対して燃料を供給する燃料系は、燃料タンク60、燃料ポンプ62、燃料供給通路64及びリターン通路66を備え、燃料ポンプ62により燃料タンク60から燃料供給通路64を通ってインジェクタ58に燃料が送られるようになっている。燃料供給通路64には、フューエルフィルタ68が設けられている。さらにリターン通路66には、給気圧に応じて燃圧を調整するプレッシャレギュレータ70が設けられている。このプレッシャレギュレータ70は、通常時に、吸気通路48のスロットル弁54の下流部から負圧室に導入される負圧と、インジェクタ58から噴射される燃料の噴射圧力との差圧を一定に維持するとともに、後述するべーパの発生時に、負圧カットバルブ72によって負圧室に導入される負圧が遮断され、大気圧が負圧室に導入されることにより、燃料の噴射圧力を上昇させるように構成されている。つまり、プレッシャレギュレータ70と、負圧カットバルブ72とによってインジェクタ58から噴射される燃料の噴射状態を制御する噴射状態制御手段が構成されている。
【0011】また、エンジン本体40には、クランク軸の回転速度を検出するクランク角センサ74と、エンジンの冷却水温を検出する水温センサ76とが設けられ、エアクリーナ50内には、吸気温度を検出する吸気温度センサ78からなる吸気温度検出手段が設けられている。そして、インジェクタ58及びプレッシャレギュレータ70は、エンジンの制御ユニット80から出力される制御信号に応じて作動状態が制御されるようになっている。なお、この制御ユニット80は、エンジンの制御ユニット80は、インジェクタ58から噴射される燃料の噴射量をエンジンの運転状態に応じて制御するものであり、上述のECU30と接続されている。
【0012】次に、図9により、本実施形態によるパワートレインの故障判断の概要を説明する。この図9には、エンジン及び電動機の回転数、電動機の作動、及びエンジンの作動が示されている。先ず、エンジン6の始動時t1においては、電動機22が電動機即ちスタータとして作動し、エンジン6及び電動機22の回転数がAでの値からBでの値まで上昇する。このとき、t2において、Eで示すように、燃料噴射による初爆を行いエンジンを始動させる。この燃料噴射によるエンジンの始動のタイミングは、例えば、1000rpmである。
【0013】このt1からt2までの間で、後述する方法(図18参照)により、電動機22が正常か異常かの判定を行う。このt1からt2までの間は、エンジン6が燃料噴射ではなく電動機により回転している状態であるため、エンジン側の影響を受けることなく、確実に精度良く電動機22の異常を検出することができる。この後、t2からt5までの期間(例えば、5秒)は、エンジン回転の変動が大きな領域であることが経験的に判明しているため、この間の領域では、何らの異常検出も行わない。この後、t5において、後述するエンジン6の失火判定(図18参照)を行う。t2からt3までの間は、上述したように、電動機22が電動機(スタータ)として作動し、エンジン6及び電動機22の回転数を上昇させているが、所定回転数に到達した時点t3以降では、電動機22を発電機として作動させて、エンジンの回転により生じた電気エネルギをバッテリ2に充電する。また、後述するように、電動機22の回転数を積極的に制御して、エンジン回転数の変動を少なくするように、エンジン変動抑制制御を行うことも可能である。t4後は、エンジン6及び電動機22の回転数は、エンジン6が高効率領域(図17参照)で作動するように所定回転に保持される。
【0014】次に、図10に示すフローチャートにより、本実施形態によるパワートレインの基本制御内容を説明する。このフローチャートに示す処理は、所定期間毎にスタートする。先ず、スタート後、ステップS1において、エンジン回転数Ne、アクセル開度、車速V等のデータを入力する。次に、ステップS2において、入力されたデータに基づき、車両に対する要求トルクTrを設定する。具体的には、この要求トルクTrは、図11に示す車速Vとアクセル開度により設定されたマップにより設定する。次に、ステップS3により、要求トルクTrの値の大小及び車両の走行状態に基づき、図12に示す基本モードを設定する。図12において、要求トルクTr(大)のときは、クラッチ10を締結してエンジン6を作動させる共に、エンジントルクのみで要求トルクTrがまかなえないときには、モータ4を作動させ且つ電動機22を電動機として作動させる。要求トルクTr(小)のときは、クラッチ10を解放してモータ4のみを作動させる。減速時には、クラッチ10を解放して、駆動輪18,20からの駆動力がモータ4に回生され、モータ4が駆動源となってバッテリ2を充電する。要求トルクTr=0(電動機22が発電機として作動していない状態を含む)で且つバッテリ2の充電量が所定値以下の場合には、クラッチ10が解放された状態で、エンジン6が電動機22を発電機として駆動してバッテリ2を充電する。
【0015】基本モードが設定された後、ステップS4において、エンジン6、モータ4及び電動機22の目標トルク量(ETb,MTb,GTb)を設定する。この設定の際に、エンジンの目標トルク量ETbのみで要求トルクTrがまかなえないときには(Tr−ETb)分をモータ4でまかなうようにMTbを設定し、それでもまかなえないときには、(Tr−ETb−MTb)分を電動機22でまかなうようにGTbを設定する。次に、ステップS5に進み、エンジンの目標トルク量ETbが0より大きいか否か、即ち、エンジンを始動させる必要があるか否かを判定する。YESの場合には、ステップS6に進み、フラグF1=0か否か、即ち、エンジンが燃焼中か否かを判定する。ここで、F1=0は、エンジンの燃料が行なわれていない状態を示している。F1=0、即ち、エンジンが燃焼中でない場合には、ステップS7に進み、フラグF2を1にセットする。F2=1は、電動機22によるスタータ制御中であり且つエンジンの作動していない状態(図9におけるAからEまでの期間)を示している。次に、ステップS8に進み、電動機22をスタータとして利用するために、その制御量GTを値GSと設定して、クランキングを開始する。この値GSは、図13に示すように、徐々に大きくなり、エンジンが完爆した後に一定値となるように設定される。このとき、クラッチ解放状態でエンジン出力が得られないので、ステップS9に進み、(ETb+GTb)分のトルク量MCをモータ側で負担するように設定する。
【0016】次に、ステップS6におて、F1=0でない場合、即ち、エンジンが燃焼中の場合には、ステップS10で、フラグF2を0とセットし、スタータ制御を中止する。さらに、ステップS11に進み、エンジン回転数NE(=電動機の回転数NG)が、クラッチを締結できる所定回転数N0以上か否かを判定し、所定回転数以下の場合にはステップS8に戻りスタータ制御を継続し、所定回転数以上の場合には、ステップS12に進み、クラッチON電流を設定して、クラッチを締結する。このとき、オートマチック(AT)制御量が、図14により設定される。図14は、目標トルク量Trと車速Vとにより変速段を設定するための変速マップである。次に、ステップS13に進み、エンジンの目標トルク量ETbを最終のトルク量ETに置き換える。次に、ステップS14に進み、トルク変動抑制制御を行なうためのトルク変動抑制制御量GCを設定し、ステップS15で、電動機のトルク量(GTb+GC)を最終トルク量GTに置き換える。ここで、トルク変動抑制制御は、図15に示すように、クランク角センサからの信号から得たエンジンのトルク変動に基づいて、電動機22をインバータの電流制御により周波数を制御して、トルク変動を相殺するようにして、エンジンのトルク変動を低減させるようにしている。
【0017】次に、ステップS5において、エンジン始動が必要でないとき、即ち、モータのみ駆動する場合には、ステップS16及びS17において、フラグF1及び後述するフラグF3を0とセットすると共に、ステップS18において、タイマーTをリセットする。次に、ステップS19において、ステップS9で設定したモータ側で負担するトルク量MCと目標トルク量MTbの合計をエンジンの最終トルク量MTに置き換える。この後、ステップS20に進み、エンジン、モータ、電動機、クラッチが駆動される。
【0018】次に、図16により、エンジン制御の内容を説明する。このフローチャートに示す処理は、所定クランク角毎にスタートする。先ず、スタート後、ステップS30において、水温、O2センサ出力OX、吸入空気量Q等を入力する。次に、ステップS31において、エンジントルク量ETが0でない、即ち、エンジンの始動が必要な場合には、ステップS32に進み、燃焼開始したか否かを判定する。燃焼開始していない場合には、ステップS33でフラグF1=1(F1=1は燃焼を開始したことを意味している。)か否かを判定し、未だに燃焼していない場合には、ステップS34、S35及びS36に進み、スロットル開度TVT、燃料噴射量PeT、点火時期θTを、それぞれ、クランキング用の所定値に設定する。ステップS32において燃焼を開始したと判定した場合、及び、ステップS33で、フラグF1=1の場合には、燃焼が開始されているので、ステップS37で、タイマTをカウントする。次に、ステップS39において、タイマTが所定値T0以上が否か、具体的に言えば、所定時間(例えば5秒であり、図9におけるEからFの期間)経過したか否かを判定する。次に、ステップS40において、フラグF3を1にセットして、ステップS41に進む。また、この所定時間経過していない場合には、ステップS40を経由せずに、直接ステップS41に進む。
【0019】ステップS41において、図17に示すような高負荷(高効率)となるように、スルットル開度TVb、燃料噴射量Peb、点火時期θbを設定する。次に、ステップS42に進み、O2センサ出力OXに基づいてλ=1に収束するようにフィードバック制御のための燃料噴射量の補正量Pecを設定する。次に、ステップS43で燃料噴射量の最終値PeT 、を設定し、ステップS44で点火時期の最終値θTを設定する。次に、ステップS45でスロットル開度TVでスロットル弁を駆動し、ステップS46で燃料噴射量PeTで燃料噴射を行ない、ステップS47で点火時期θTで点火を実行する。なお、ステップS31でエンジン始動が必要でないと判定された場合には、ステップS48において、フラグF3及びタイマTがリセットされる。
【0020】次に、図18に示すフローチャートにより、パワートレイン(電動機及びその駆動部並びにエンジン)の異常を判定するための処理内容を説明する。このフローチャートに示す処理は所定時間毎にスタートする。先ず、ステップS50において、電動機及びその駆動部の異常を判定するために必要なデータを入力する。このデータは、電動機22の温度、コンバータ/インバータ24の温度、図19に示すインバータとして作動するときの出力電流(AIN1、AIN2、AIN3)及び出力電圧(VIN、VIN1、VIN2、VIN3)、並びに、電動機22の回転数NGである。次に、ステップS51において、電動機の温度(G温度)が所定値GTh0より大きいか否かを判定する。YESの場合には、電気的な異常が発生していると想定されるため、ステップS57に進み、電動機が異常であると判定する。NOの場合には、ステップS52に進み、コンバータ/インバータ24の温度(In温度)が所定値In0より大きいか否かを判定する。YESの場合には、電気的な異常が発生していると想定されるため、ステップS57に進み、電動機が異常であると判定する。NOの場合には、ステップS53に進み、AIN(AIN1、AIN2、AIN3)又はVIN(VIN、VIN1、VIN2、VIN3)が0又はMax値に張り付いているかを判定する。YESの場合には、ショート即ち電気的な異常が発生していると想定されるため、ステップS57に進み、電動機が異常であると判定する。NOの場合には、ステップS54に進む。
【0021】ステップS54では、フラグF2=1(即ち、図9におけるAからEの期間)であるか否かを判定し、YESであれば、ステップS55に進む。ステップS55では、エンジンのクランキングのための制御量GS(ステップS8参照)に対して目標通りのトルク又は回転数となっているか否かを判定する。このトルクによる判定は、コンバータ/インバータ24の誘導起電力の電流AINあるいは入出力電圧VINや電流AIN(図19参照)に関連する値に基づいてづいてトルクの変化を求めることにより行なわれる。目標通りのトルク又は回転数となっている場合には、電動機には何らの電気的又は機械的な異常も発生していないため、ステップS56に進み、電動機また、ステップS55でNOの場合には、何らかの機械的な異常が発生していると想定されるので、ステップS57に進み、電動機は異常であると判定する。ステップS54において、NOと判定した場合には、ステップS58に進み、フラグF1=1(エンジンが燃焼中)か否かを判定し、YESの場合には、ステップS59に進む。ステップS59では、車両が定常運転状態か否かを判定する。加速時等の定常運転状態でない場合には、以下の処理は行なわず、定常運転状態の場合には、ステップS60に進み、フラグF3=1(図9におけるEからFの期間が経過したときを示す)か否かを判定する。YESの場合には、エンジンが燃焼を開始して所定期間(5秒)経過している場合であり、ステップS61に進み、トルク変動ΔT又は回転数変動ΔNEを検出する。このトルク変動ΔT又は回転数変動ΔNEの検出は、図20に示すように、例えば、圧縮上死点後30°CAから90°CAの膨張行程間のトルク変化を、エンジン出力軸に直結された電動機の入出力電流値/電圧値やエンジン回転数を見てトルク又は回転数の変動を検出することにより行なう。
【0022】次に、ステップS62に進み、失火判定のための判定値ΔT0を設定する。この判定値ΔT0は、電動機又はモータの何れか一方のみが作動中の場合には、小さな値を設定し、電動機及びモータの両方が作動している場合には、大きな値を設定する。大きな値を設定することにより、誤って失火判定を行なう誤判定を防止するようにしているのである。次に、ステップS63に進み、トルク変動ΔT(又は回転数変動ΔNE)が判定値ΔT0以上か否かを判定する。NOの場合には、失火が発生していないため、ステップS64に進み、失火異常無しと判定する。ステップS63において、YESの場合には、ステップS65に進み、電動機の異常があるか否かを判定し、無い場合には、ステップS66に進み、失火異常と判定する。
【0023】この図18に示すフローチャートにおけるステップS65及びステップS66に代えて、図21の部分的フローチャートに示す処理を行なってもよい。すなわち、ステップS63において、NOの場合には、ステップS67に進み、図20での所定サイクル期間内と期間外でのトルクの変化が大きいか否かを判定する。YESの場合には、ステップS70に進み、電動機が異常であると判定する。ステップS63でYESの場合には、ステップS68に進み、前サイクルでの燃焼時に同様なトルク変動がなかったか否かを判定する。具体的には、所定気筒(♯1)での前回のサイクルで膨張行程だった時の|ΔT|も|ΔT0|より小さかったか否かを判定する。YESのときは、所定気筒毎変化しており、ステップS69に進み、点火プラグの劣化による失火異常と判定する。また、NOの場合には、ステップS70に進み、電動機が異常であると判定する。なお、この図21に示す処理では、ステップS67及びステップS68は、必ずしも両方必要ではなく、何れか一方のみでもよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のハイブリッド自動車のパワートレイン故障判断装置によれば、確実にエンジンの異常を判定することができるを提供することを目的としている。また、本発明によれば、エンジンの失火判定と電動機の異常判定とを区別して判定し、失火の誤判定を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成11年8月2日(1999.8.2)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外10名)
【公開番号】 特開2001−45611(P2001−45611A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−218341