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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】若城 輝男

【氏名】北島 真一

【氏名】澤村 和同

【氏名】黒田 恵隆

【氏名】松原 篤

【氏名】岩本 崇

【要約】 【課題】蓄電装置の残容量が減少傾向にあり初期残容量が所定量減少した場合に蓄電装置の充電を行うハイブリッド車両の制御装置を提供する。

【解決手段】走行開始時のバッテリのイニシャル値を放電深度制限初期下限値と比較する初期残容量比較手段S058と、初期残容量に対する放電量の下限閾値と上限閾値を設定する下限閾値設定手段S060及び上限閾値設定手段S061と、バッテリ残容量が下限閾値まで減少した場合にモータ制御を変更するモータ制御変更手段S054と、バッテリ残容量が上限閾値に到達した場合にモータ制御変更手段により変更されたモータの制御モードの設定を解除するモード設定解除手段S062とを備え、初期残容量比較手段により蓄電装置の初期残容量が下限初期残容量よりも小さい場合に初期残容量に下限初期残容量を代入する初期残容量設定手段S059を備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の推進力を出力するエンジンと、車両の運転状態に応じてエンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、モータに電力を供給し又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置とを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両の走行開始を検出する走行開始検出手段と、蓄電装置の残容量を算出する残容量検出手段と、走行開始が検出されたときの初期残容量を下限初期残容量と比較する初期残容量比較手段と、前記初期残容量に対する放電量の下限閾値を設定する下限閾値設定手段と、上記初期残容量に対する発電量の上限閾値を設定する上限閾値設定手段と、蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合に前記モータの制御を変更するモータ制御変更手段と、蓄電装置の残容量が上記上限閾値に到達した場合に上記モータ制御変更手段により変更されたモータの制御モードの設定を解除するモード設定解除手段とを備え、前記初期残容量比較手段により蓄電装置の初期残容量が下限初期残容量よりも小さい場合に初期残容量に下限初期残容量を代入する初期残容量設定手段を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】 上記モード設定解除手段によりモータの制御モードが解除される場合に、残容量検出手段によって検出された蓄電装置の残容量を初期残容量として更新し、これに応じて上限閾値と下限閾値とを更新する初期値更新手段を有することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】 上記蓄電装置の残容量を放電深度制限実施上限値と比較する上限値比較手段を備え、この上限値比較手段により蓄電装置の残容量が放電深度制限実施上限値よりも大きい場合には、上記モード設定解除手段によりモータの制御モードを解除することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】 蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合の、モータの制御の変更が、クルーズ走行時における蓄電装置への充電量の増量、モータによるエンジン出力の補助を行う判定閾値の変更であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジン及びモータ駆動によるハイブリッド車両の制御装置に係るものであり、特に、モータ駆動により蓄電装置の充放電バランスが放電過多となる走行状態における充放電バランスを回復させることができるハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両走行用の動力源としてエンジンの他にモータを備えたハイブリッド車両が知られている。ハイブリッド車両にはシリーズハイブリッド車とパラレルハイブリッド車がある。シリーズハイブリッド車はエンジンによって駆動される発電機の発電出力等を用いてモータを駆動し、モータによって車輪を駆動する車両である。したがって、エンジンと車輪が機械的に連結されていないため、エンジンを高燃費低エミッションの回転数領域にてほぼ一定回転で運転することができ、従来のエンジン車両に比べ良好な燃費及び低いエミッションを実現できる。
【0003】これに対しパラレルハイブリッド車は、エンジンに連結されたモータによってエンジンの駆動軸を駆動補助すると共に別途設けた発電機あるいは上記モータを発電機として使用して電気エネルギーを蓄電装置に充電するものである。したがって、エンジンと車輪が機械的に連結されているにも関わらず、エンジンの負荷を軽減できるため、やはり従来のエンジン車に比べ良好な燃費及び低エミッションを実現できる。
【0004】上記パラレルハイブリッド車には、エンジンの出力軸にエンジンの出力を補助するモータが直結され、このモータが減速時等に発電機として機能してバッテリ等に蓄電をするタイプや、エンジンとモータのいずれか、あるいは、双方で駆動力を発生することができ発電機を別に備えたタイプのもの等がある。
【0005】このようなハイブリッド車両にあっては、例えば、加速時においてはモータによってエンジンを補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行なう等様々な制御を行い、バッテリの電気エネルギー(以下、残容量という)を確保して運転者の要求に対応できるようになっている。例えば、高速走行の後には大きな減速回生が得られるため、バッテリは減速時に消費分の一部を回収することができ、山道等の登坂走行の後には、その後に下り坂を走行する場合の減速回生によりバッテリを充電することができる(例えば、特開平7−123509号公報に示されている)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のハイブリッド車両にあっては、例えば、急加速した後、減速してすぐに急加速する等、減速回生を十分に確保できない状況で運転したり、山道の登坂走行の後に、更に平坦地で走行を続けなければならないような場合がある。前者のような運転をした場合には、回生を取れないため走行を続けるうちにバッテリ等の残容量は増加することなく減少してゆき、後者のような道路状況では、下り坂での走行がないかぎり登坂走行において使用した余分なバッテリ残容量を回復することはできないという問題がある。そこで、この発明は、上記蓄電装置の残容量が増加より減少傾向にあり残容量が初期読み込み値から所定量減少した場合に蓄電装置の充電を行うハイブリッド車両の制御装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車両の推進力を出力するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジンE)と、車両の運転状態に応じてエンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータ(例えば、実施形態におけるモータM)と、モータに電力を供給し又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置(例えば、実施形態におけるバッテリ3)とを備えたハイブリッド車両の制御装置において、車両の走行開始を検出する走行開始検出手段(例えば、実施形態におけるステップS050)と、蓄電装置の残容量(例えば、実施形態における残容量SOC)を算出する残容量検出手段(例えば、実施形態のバッテリECU31)と、走行開始が検出されたときの初期残容量(例えば、実施形態のステップS057におけるバッテリ残容量のイニシャル値SOCINT)を下限初期残容量(例えば、実施形態のステップS058における放電深度制限初期下限値#SOCINTL)と比較する初期残容量比較手段(例えば、実施形態のステップS058)と、前記初期残容量に対する放電量の下限閾値(例えば、実施形態におけるステップS060の下限閾値SOCLMTL)を設定する下限閾値設定手段(例えば、実施形態におけるステップS060)と、上記初期残容量に対する発電量の上限閾値(例えば、実施形態におけるステップS061の上限閾値SOCLMTH)を設定する上限閾値設定手段(例えば、実施形態におけるステップS061)と、蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合に前記モータの制御を変更するモータ制御変更手段(例えば、実施形態におけるステップS054)と、蓄電装置の残容量が上記上限閾値に到達した場合に上記モータ制御変更手段により変更されたモータの制御モードの設定を解除するモード設定解除手段(例えば、実施形態におけるステップS062)とを備え、前記初期残容量比較手段により蓄電装置の初期残容量が下限初期残容量よりも小さい場合に初期残容量に下限初期残容量を代入する初期残容量設定手段(例えば、実施形態におけるステップS059)を備えたことを特徴とする。
【0008】このように構成することで、例えば、急加速と減速の繰り返しによる回生の取れない走行をした場合や、登坂走行後の平坦地走行等のように登坂走行時に減少した蓄電装置の残容量を回生により回復できないような場合に、蓄電装置の残容量が所定量減少したことを検出したら、蓄電装置の残容量を回復方向とできる。また、蓄電装置の初期残容量が下限初期残容量よりも小さい場合には、当該下限初期残容量を初期残容量として代入することにより、初期残容量の持ち上げを行って蓄電装置の残容量と下限閾値との残容量の差を少なくし、モータ制御変更手段によりモータの制御モードを変更するタイミングを早めることが可能となる。
【0009】請求項2に記載した発明は、上記モード設定解除手段によりモータの制御モードが解除される場合に、残容量検出手段によって検出された蓄電装置の残容量を初期残容量として更新し、これに応じて上限閾値と下限閾値とを更新する初期値更新手段(例えば、実施形態におけるステップS056,S057,S060,S061)を有することを特徴とする。このように構成することで、蓄電装置の残容量が上限閾値に到達すると、残容量検出手段によって検出された蓄電装置の残容量を更新し、かつ、上下限閾値設定手段により上限閾値と下限閾値を更新することが可能となる。
【0010】請求項3に記載した発明は、上記蓄電装置の残容量を放電深度制限実施上限値(例えば、実施形態におけるステップS051における放電深度制限実施上限値SOCUPH)と比較する上限値比較手段(例えば、実施形態におけるステップS051)を備え、この上限値比較手段により蓄電装置の残容量が放電深度制限実施上限値よりも大きい場合には、上記モード設定解除手段によりモータの制御モードを解除することを特徴とする。このように構成することで、十分に蓄電装置の残容量が回復した場合において、速やかに上記モータの制御モードを解除することが可能となる。
【0011】請求項4に記載した発明は、蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合の、モータの制御の変更が、クルーズ走行時における蓄電装置への充電量の増量(例えば、実施形態におけるステップS208)、モータによるエンジン出力の補助(以下、アシストという)を行う判定閾値の変更(例えば、実施形態におけるステップS165,S175)であることを特徴とする。このように構成することで、クルーズ走行時における充電量の増量と、アシスト判定閾値の変更を行うことで発電頻度を高め、充放電バランスの回復を図ることを可能とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はパラレルハイブリッド車両において適用した実施形態を示しており、エンジンE及びモータMの両方の駆動力は、オートマチックトランスミッションあるいはマニュアルトランスミッションよりなるトランスミッションTを介して駆動輪たる前輪Wf,Wfに伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時に前輪Wf,Wf側からモータM側に駆動力が伝達されると、モータMは発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
【0013】モータMの駆動及び回生作動は、モータECU1からの制御指令を受けてパワードライブユニット2により行われる。パワードライブユニット2にはモータMと電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ3が接続されており、バッテリ3は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを1単位として更に複数個のモジュールを直列に接続したものである。ハイブリッド車両には各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ4が搭載されており、この補助バッテリ4はバッテリ3にダウンバータ5を介して接続される。FIECU11により制御されるダウンバータ5は、バッテリ3の電圧を降圧して補助バッテリ4を充電する。
【0014】FIECU11は、前記モータECU1及び前記ダウンバータ5に加えて、エンジンEへの燃料供給量を制御する燃料供給量制御手段6の作動と、スタータモータ7の作動の他、点火時期等の制御を行う。そのために、FIECU11には、ミッションの駆動軸の回転数に基づいて車速Vを検出する車速センサS1からの信号と、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサS2からの信号と、トランスミッションTのシフトポジションを検出するシフトポジションセンサS3からの信号と、ブレーキペダル8の操作を検出するブレーキスイッチS4からの信号と、クラッチペダル9の操作を検出するクラッチスイッチS5からの信号と、スロットル開度THを検出するスロットル開度センサS6からの信号と、吸気管負圧PBを検出する吸気管負圧センサS7からの信号とが入力される。尚、図1中、21はCVT制御用のCVTECUを示し、31はバッテリ3を保護し、バッテリ3の残容量SOCを算出するバッテリECUを示す。
【0015】このハイブリッド車両の制御モードには、「アイドル停止モード」、「アイドルモード」、「減速モード」、「加速モード」及び「クルーズモード」の各モードがある。
【0016】<モータ動作モード判別>次の、図2のフローチャートに基づいて前記各モードを決定するモータ動作モード判別について説明する。ステップS001においてMT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりMT車であると判定された場合はステップS002に進む。ステップS001における判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合はステップS027に進み、ここでCVT用インギア判定フラグF_ATNPのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS027における判定結果が「NO」、つまりインギアであると判定された場合は、ステップS027Aにおいてスイッチバック中(シフトレバー操作中)か否かを判定する。ステップS027Aの判定結果が「NO」、つまりスイッチバック中でない場合はステップS004に進む。ステップS027Aの判定結果が「YES」、つまりスイッチバック中であると判定された場合はステップS030に進み、「アイドルモード」に移行して制御を終了する。アイドルモードでは、燃料カットに続く燃料供給が再開されてエンジンEがアイドル状態に維持される。
【0017】また、ステップS027における判定結果が「YES」、つまりN,Pレンジであると判定された場合は、ステップS028に進みエンジン停止制御実施フラグF_FCMGのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS028における判定結果が「NO」であると判定された場合はステップS030の「アイドルモード」に移行して制御を終了する。ステップS028においてフラグ値が「1」であると判定された場合はステップS029に進み、「アイドル停止モード」に移行して制御を終了する。アイドル停止モードでは、例えば車両の停止時等に一定の条件でエンジンが停止される。
【0018】ステップS002においては、ニュートラルポジション判定フラグF_NSWのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS002における判定結果が「YES」、つまりニュートラルポジションであると判定された場合は、ステップS028に進む。ステップS002における判定結果が「NO」、つまりインギアであると判定された場合は、ステップS003に進み、ここでクラッチ接続判定フラグF_CLSWのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「YES」でありクラッチが「断」と判定された場合は、ステップS028に進む。ステップS003における判定結果が「NO」でありクラッチが「接」であると判定された場合は、ステップS004に進む。
【0019】ステップS004においてはIDLE判定フラグF_THIDLMGのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりスロットルが全閉であると判定された場合はステップS017に進む。ステップS004における判定結果が「YES」、つまりスロットルが全閉でないと判定された場合はステップS005に進み、モータアシストアシスト判定フラグF_MASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS005における判定結果が「NO」である場合はステップS017に進む。ステップS005における判定結果が「YES」である場合は、ステップS006に進む。
【0020】ステップS006においては、MT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりMT車であると判定された場合はステップS013の「加速モード」に進む。ステップS006における判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合はステップS007に進み、ブレーキON判定フラグF_BKSWのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS007における判定結果が「YES」、つまりブレーキを踏み込んでいると判定された場合はステップS017に進む。ステップS007における判定結果が「NO」、つまりブレーキを踏み込んでいないと判定された場合はステップS013に進む。
【0021】ステップS013の加速モードに至った後にステップS014においてアシスト許可フラグF_ACCASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定し、判定結果が「YES」である場合は制御を終了する。ステップS014における判定結果が「NO」である場合は、ステップS017に進む。
【0022】ステップS017においてはエンジン制御用車速VPが「0」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまり車速が0であると判定された場合はステップS028に進む。ステップS017における判定結果が「NO」、つまり車速が0でないと判定された場合はステップS018に進む。ステップS018においては、エンジン回転数NEとクルーズ/減速モード下限エンジン回転数#NERGNLxとを比較する。ここでクルーズ/減速モード下限エンジン回転数#NERGNLxにおける「x」は各ギアにおいて設定された値(ヒステリシスを含む)である。
【0023】ステップS018における判定の結果、エンジン回転数NE≦クルーズ/減速モード下限エンジン回転数#NERGNLx、つまり低回転側であると判定された場合は、ステップS028に進む。一方、ステップS018における判定の結果、エンジン回転数NE>クルーズ/減速モード下限エンジン回転数#NERGNLx、つまり高回転側であると判定された場合は、ステップS019に進む。ステップS019においてはブレーキON判定フラグF_BKSWのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS019における判定結果が「YES」、つまりブレーキを踏み込んでいると判定された場合はステップS020に進む。ステップS019における判定結果が「NO」、つまりブレーキを踏み込んでいないと判定された場合はステップS021に進む。
【0024】ステップS020においてはIDLE判定フラグF_THIDLMGのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりスロットルが全閉であると判定された場合はステップS025の「減速モード」に進み制御を終了する。尚、減速モードではモータMによる回生制動が実行される。ステップS020における判定結果が「YES」、つまりスロットルが全閉でないと判定された場合はステップS021に進む。
【0025】ステップS021においてはフューエルカット実行フラグF_FCのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりフューエルカット中であると判定された場合はステップS025に進む。ステップS021の判定結果が「NO」である場合は、ステップS024の「クルーズモード」に移行する。このクルーズモードではモータMは駆動せず車両はエンジンEの駆動力で走行する【0026】<バッテリ残容量SOCのゾーニング>次に、バッテリ残容量SOCのゾーンニング(いわゆる残容量のゾーン分け)について説明する。バッテリの残容量の算出はバッテリECU31にておこなわれ、例えば、電圧、放電電流、温度等により算出される。
【0027】この一例を説明すると通常使用領域であるゾーンA(SOC40%からSOC80%ないし90%)を基本として、その下に暫定使用領域であるゾーンB(SOC20%からSOC40%)、更にその下に、過放電領域であるゾーンC(SOC0%からSOC20%)が区画されている。ゾーンAの上には過充電領域であるゾーンD(SOC80%ないし90%から100%)が設けられている。各ゾーンにおけるバッテリ残容量SOCの検出は、ゾーンA,Bでは電流値の積算で行い、ゾーンC,Dはバッテリの特性上電圧値等を検出することにより行われる。尚、各ゾーンの境界には、上限と下限に閾値を持たせてあり、かつ、この閾値はバッテリ残容量SOCの増加時と減少時とで異なるようにしてヒステリシスを設定してある。
【0028】ここで、バッテリ3が交換等によりバッテリECU31での残容量SOCがリセットされバッテリ残容量SOCが算出できない場合には、SOCの初期値をゾーンCとDの境目である20%と仮定し、この暫定値に更に所定量(例えば、20%程度)が足し込まれるまで可能な限り充電を主体とした運転制御を行う。これにより実際のSOCがゾーンBにある場合にはゾーンAに入ることとなり、バッテリ残容量SOCがゾーンAにいる場合には、ゾーンAのままか、ゾーンDに入ろうとして電圧で判断されて充電主体の運転制御が停止される。よって、現在のバッテリ3の残容量SOCが検出される。
【0029】「放電深度制限判定」図3に示すのは放電深度制限判定を行うフローチャート図である。まず、ステップS050において、スタートスイッチ判定フラグF_STSのフラグ値が「1」か否か、すなわち、最初の走行におけるスタート時か否かを判定する。判定結果が「1」、すなわち、最初の走行であると判定された場合は、ステップS057において走行開始時のバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTを読み込む。次に、ステップS058において、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが放電深度制限初期下限値#SOCINTLより小さいか否かを判定する。尚、上記放電深度制限初期下限値#SOCINTLは、例えば50%である。
【0030】ステップS058における判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT<放電深度制限初期下限値#SOCINTLであると判定された場合(低容量である場合)は、ステップS059に進み、バッテリ残容量SOCのイニシャル値に放電深度制限初期下限値#SOCINTLを代入してステップS060に進む。つまり、上記放電深度制限初期下限値#SOCINTLを例えば50%とした場合、バッテリ残容量SOCが50%を下回る場合には、バッテリ残容量SOCの初期値に50%を代入するのである。また、ステップS058における判定結果が「NO」、つまりバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT≧放電深度制限初期下限値#SOCINTLであると判定された場合(高容量である場合)もステップS060に進む。
【0031】ステップS060においては、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに基づいて下限閾値SOCLMTLを設定し、ついでステップS061で上限閾値SOCLMTHを設定する(図4参照)。ここで、下限閾値SOCLMTLを決定する放電深度制限値#DODLMTは、バッテリ3の個々の性質にもよるが、例えば、バッテリ残容量SOCで10%程度であり、上限閾値SOCLMTHを決定する放電深度制限値解除SOC上昇値#SOCUPは、例えば、バッテリ残容量SOCで5%程度である。
【0032】したがって、例えば、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが55%であるときには、下限閾値SOCLMTLは45%であり、上限閾値SOCLMTHは60%となる。また、バッテリ残容量SOCの初期値が40%であった場合は、ステップS059においてバッテリ残容量SOCの初期値に例えば50%が代入されるので、下限閾値SOCLMTLは40%、上限閾値SOCLMTHは55%となる。
【0033】このように、バッテリ残容量SOCの初期値が放電深度制限初期下限値#SOCINTL以下であるときには、バッテリ残容量SOCのイニシャル値に放電深度制限初期下限値#SOCINTLを代入することで初期値の持ち上げにより下限閾値SOCLMTLまでの深度を小さくできる。したがって、スタート時点でバッテリ残容量SOCが少ないとき、つまり、放電深度制限初期下限値#SOCINTL以下であるときには、放電深度制限制御に入るまでの時間を短縮したり、また、バッテリ残容量SOCの初期値によってはスタートと同時に放電深度制限制御に入ることで速やかにバッテリの残容量SOCを回復することができる。次に、ステップS062で前回のDODリミット判定フラグF_DODLMTに「0」をセットし、前回の放電深度制限制御モードの設定を解除する。
【0034】そして、走行を始めるステップS050でスタートスイッチ判定フラグF_STSが「0」と判定されると,ステップS051において現在のバッテリ残容量SOCが放電深度制限実施上限値SOCUPHよりも大きいか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまり現在のバッテリ残容量SOC≧放電深度制限実施上限値SOCUPHであると判定された場合(高容量である場合)は、ステップS062に進む。ステップS051の判定結果が「NO」、つまり現在のバッテリ残容量SOC<放電深度制限実施上限値SOCUPHであると判定された場合(低容量である場合)は,ステップS052に進む。尚、上記放電深度制限実施上限値SOCUPHは、例えば、70%が設定される。
【0035】次の、ステップS052でバッテリ残容量SOCが前記下限閾値SOCLMTLよりも小さいか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOC<下限閾値SOCLMTLであると判定された場合(低容量である場合)は、ステップS054でDODリミット判定フラグF_DODLMTに「1」をセットして放電深度制限制御モードが設定される。これにより、モータ動作モード判別における後述する関連モード等、具体的にはアシストトリガ判定、及びクルーズモードにおいて、このDODリミット判定フラグF_DODLMTの状態に応じた制御がなされる。
【0036】ここで、放電深度制限制御モードに入ると、図4に示すようにバッテリ残容量SOCが増加するような発電がなされるが、ステップS052においてバッテリ残容量SOC≧下限閾値SOCLMTL、すなわち、バッテリ残容量SOCが下限閾値SOCLMTL以上であると判定された場合(高容量である場合)は、ステップS053でDODリミット判定フラグF_DODLMTの状態を判定する。
【0037】ステップS053における判別結果が「1」、すなわち、放電深度制限制御モードが設定されていると判定された場合には、ステップS055において、バッテリ残容量SOC>上限閾値SOCLMTH、すなわちバッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTHよりも大きいか否かを判定する。ステップS055においてバッテリ残容量SOC>上限閾値SOCLMTH、すなわち、バッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTHよりも大きい(高容量である)と判定されるとステップS057に進み、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT、及びこれに応じて上限閾値SOCLMTH、下限閾値SOCLMTLが更新される。この更新によるバッテリ残容量SOCの増加は、ステップS051にてバッテリ残容量SOCが放電深度制限実施上限値SOCUPHとなるまで継続される。よって、速やかにバッテリ残容量SOCを回復することができると共に、必要以上に充電がなされるのを防止できる。
【0038】ステップS053において、DODリミット判定フラグF_DODLMTのフラグ値が「0」、すなわち放電深度制限制御モードの設定が解除されている場合、あるいはステップS055においてバッテリ残容量SOC≦上限閾値SOCLMTH、すなわちバッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTH以下であると判定された場合は(低容量である場合)は制御を終了する。
【0039】尚、ステップS051に示したように、現在のバッテリ残容量SOC≧放電深度制限実施上限値SOCUPH(高容量である場合)となると、放電深度制限制御が解除されるようになっているが、バッテリ残容量SOCがDゾーンとなった場合にも放電深度制限制御を解除するようにしてもよい。
【0040】次に、このような放電深度制限制御モードの具体的内容について説明する。上記放電深度制限制御モードは、図2に示したモータ動作モード判別におけるステップS024の「クルーズモード」と後述する「アシストトリガ判定」に関係しているので、各々についてその内容を説明する。
【0041】「アシストトリガ判定」図5、図6に示すのはアシストトリガ判定のフローチャート図、具体的にはアシスト/クルーズのモードを領域により判定するフローチャート図である。ステップS100においてエネルギーストレージソーンCフラグF_ESZONECのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCがCゾーンにあると判定された場合はステップS137において最終アシスト指令値ASTPWRFが0以下であるか否かを判定する。ステップS137における判定結果が「YES」、つまり最終アシスト指令値ASTOWRFが0以下であると判定された場合は、ステップS138においてクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに1.0を代入し、ステップS125においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。
【0042】ステップS100及びステップS137における判定結果が「NO」の場合はステップS101において発進アシストトリガ判定がなされる。この発進アシストトリガ判定処理は発進性能の向上を目的として、吸気管負圧PBが所定圧以上の高負圧の発進時にアシストトリガ値とアシスト量とを通常のアシスト量とは別に算出するための処理であり、その処理の結果、発進アシスト制御が必要と判定された場合には、発進アシスト要求フラグF_MASTSTRに「1」がセットされる。
【0043】次に、ステップS102で発進アシスト要求フラグF_MASTSTRが「1」であるか否かを判定し、フラグ値が「1」である場合は、通常のアシスト判定から外れるべくステップS135に進み、クルーズ発電量の減算係数KTRGRGNに「0」をセットし、次のステップS136でモータアシスト判定フラグF_MASTに「1」をセットしてリターンする。前記ステップS102における判定の結果、発進アシスト要求フラグF_MASTSTRが「1」でない場合は、ステップS103のスクランブルアシストトリガ判定処理に進む。このスクランブルアシストトリガ判定処理は、加速時に一時的にアシスト量を増量することにより、加速感を向上させるための判定であり、基本的にはスロットルの変化量が大きいときにはフラグ値に「1」を代入するようになっている。
【0044】そして、スクランブルアシストトリガ判定処理においてセットされるスクランブルアシスト要求フラグF_MASTSCRが「1」であるか否かが次のステップS104で判定され、フラグ値が「1」である場合は、このアシストトリガ判定処理から抜けるようにステップS135に進む。スクランブルアシスト要求フラグF_MASTSCRが「1」でない場合は、次のステップS105でスロットルアシストトリガ補正値DTHASTの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0045】次に、ステップS106で、スロットルアシストトリガテーブルからスロットルアシストトリガの基準となる閾値MTHASTNを検索する。このスロットルアシストトリガテーブルは、図7の実線で示すように、エンジン回転数NEに対して、モータアシストするか否かの判定の基準となるスロットル開度の閾値MTHASTNを定めたもので、エンジン回転数NEに応じて閾値が設定されている。
【0046】次のステップS107,ステップS108で、前記ステップS106で求められたスロットルアシストトリガの基準閾値MTHASTNに前述のステップS105で算出された補正値DTHASTを加えて、高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHを求めるとともに、この高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHからヒステリシスを設定するための差分#DMTHASTを引いて、低スロットルアシストトリガ閾値MTHASTLを求める。これら高低スロットルアシストトリガ閾値を図7のスロットルアシストトリガテーブルの基準閾値MTHASTNに重ねて記載すると破線で示すようになる。
【0047】そして、ステップS109において、スロットル開度の現在値THEMがステップS107,108で求めたスロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上であるか否かが判断される。この場合のスロットルアシストトリガ閾値MTHASTは前述のヒステリシスを持った値であり、スロットル開度が大きくなる方向にある場合は高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTH、スロットル開度が小さくなる方向にある場合は低スロットルアシストトリガ閾値MTHASTLがそれぞれ参照される。
【0048】このステップS109における判定結果が「YES」である場合、つまりスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST(高低のヒステリシスを設定した閾値)以上である場合は、ステップS114に、判定結果が「NO」、つまりスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST(高低のヒステリシスを設定した閾値)以上でない場合はステップS110に進む。ステップS114では、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「1」をセットし、一方ステップS110では、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「0」をセットする。
【0049】ここまでの処理は、スロットル開度THがモータアシストを要求する開度であるか否かの判断を行っているもので、ステップS109でスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上と判断された場合には、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHを「1」にして、前述した「加速モード」においてこのフラグを読むことによりモータアシストが要求されていると判定される。
【0050】一方、ステップS110でスロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「0」がセットされるということは、スロットル開度によるモータアシスト判定の領域でないことを示す。この実施形態では、アシストトリガの判定をスロットル開度THとエンジンの吸気管負圧PBとの両方で判定することとしており、スロットル開度の現在値THEMが前記スロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上である場合にスロットル開度THによるアシスト判定がなされ、この閾値を超えない領域においては後述の吸気管負圧PBによる判定がなされる。
【0051】次に、ステップS111においては、図9に示すように上記スロットルアシストトリガ閾値MTHASTから、所定のスロットル開度のデルタ値(例えば10deg)を引くことで、最終スロットルアシストトリガ下限閾値MTHASTFLを求める。次に、ステップS112において、最終スロットルアシストトリガ下限閾値MTHASTFLとスロットルアシストトリガ閾値MTHASTを、図10に示すようにスロットル開度の現在値THEMで補間算出して、クルーズ発電量減算係数テーブル値KTHRGNを求め、ステップS113においてクルーズ発電量減算係数テーブル値KTHRGNをクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに代入する。
【0052】そして、ステップS115において、MT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりMT車であると判定された場合はステップS116に進む。ステップS115における判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合はステップS126に進む。ステップS116においては、吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0053】次に、ステップS117で、吸気管負圧アシストトリガテーブルから吸気管負圧アシストトリガの閾値MASTL/Hを検索する。この吸気管負圧アシストトリガテーブルは、図8の2本の実線で示すように、エンジン回転数NEに対して、モータアシストするか否かの判定のための高吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTHと、低吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTLとを定めたもので、ステップS117の検索処理においては、吸気管負圧PBAの増加に応じて、あるいはエンジン回転数NEの減少に応じて図8の高閾値ラインMASTHを下から上に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「0」から「1」にセットし、逆に吸気管負圧PBAの減少に応じて、あるいはエンジン回転数NEの増加に応じて低閾値ラインMASTLを上から下に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「1」から「0」にセットするようになっている。尚、図8は各ギア毎に、またストイキ/リーンバーン毎に持ち替えを行っている。
【0054】そして、次のステップS118で、モータアシスト判定フラグF_MASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定し、判定結果が「1」である場合はステップS119に、判定結果が「1」でない場合はステップS120に進む。そして、ステップS119においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTを、ステップS117で検索した吸気管負圧アシストトリガの低閾値MASTLとステップS116で算出された補正値DPBASTとを加えた値として算出し、ステップS121において、吸気管負圧の現在値PBAが、ステップS119で求めた吸気管アシストトリガ閾値MAST以上か否かを判定する。判定結果が「YES」の場合は、ステップS135に進む。判定結果が「NO」の場合はステップS122に進む。また、ステップS120においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTを、ステップS117で検索した吸気管負圧アシストトリガの高閾値MASTHとステップS116で算出された補正値DPBASTとを加えた値として算出し、ステップS121に進む。
【0055】次に、ステップS122においては、図9に示すように上記吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTから、所定の吸気管負圧のデルタ値#DCRSPB(例えば100mmHg)を引くことで、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTFLを求める。次に、ステップS123において、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTFLと吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTを、図10に示すように吸気管負圧の現在値PBAで補間算出して、クルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGNを求め、ステップS124においてクルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGNをクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに代入する。そして、ステップS125においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。
【0056】上記ステップS115において、MT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値の判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合は、ステップS126に進み、吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTTHの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0057】次に、ステップS127で、吸気管負圧アシストトリガテーブルから吸気管負圧アシストトリガの閾値MASTTHL/Hを検索する。この吸気管負圧アシストトリガテーブルは、図11の2本の実線で示すように、エンジン制御用車速VPに対して、モータアシストするか否かの判定のための高吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHHと、低吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHLとを定めたもので、ステップS127の検索処理においては、スロッル開度THの増加に応じて、あるいはエンジン制御用車速VPの減少に応じて図11の高閾値ラインMASTTHHを下から上に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「0」から「1」にセットし、逆にスロットル開度THの減少に応じて、あるいはエンジン制御用車速VPの増加に応じて低閾値ラインMASTTHLを上から下に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「1」から「0」にセットするようになっている。尚、図11は各ギア毎に、またストイキ/リーンバーン毎に持ち替えを行っている。
【0058】そして、次のステップS128で、モータアシスト判定フラグF_MASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定し、判定結果が「1」である場合はステップS129に、判定結果が「1」でない場合はステップS130に進む。そして、ステップS129においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTTHを、ステップS127で検索した吸気管負圧アシストトリガの低閾値MASTTHLとステップS126で算出された補正値DPBASTTHとを加えた値として算出し、ステップS131において、スロットル開度の現在値THEMが、ステップS129で求めた吸気管アシストトリガ閾値MASTTH以上か否かを判定する。判定結果が「YES」の場合は、ステップS135に進む。判定結果が「NO」の場合はステップS132に進む。
【0059】また、ステップS130においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTTHを、ステップS127で検索した吸気管負圧アシストトリガの高閾値MASTTHHとステップS126で算出された補正値DPBASTTHとを加えた値として算出し、ステップS131に進む。
【0060】次に、ステップS132においては、図9に示すように上記吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHから、所定のスロットル開度のデルタ値#DCRSTHVを引くことで、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTTHFLを求める。次に、ステップS133において、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTTHFLと吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHを、図10に示すようにスロットル開度の現在値THEMで補間算出して、クルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGTHを求め、ステップS134においてクルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGTHをクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに代入する。そして、ステップS125においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。
【0061】「THアシストトリガ補正」図12に示すのは、前記ステップS105におけるスロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS150において、エアコンONフラグF_ACCが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンがONとなっている場合はステップS151においてエアコン補正値DTHACCに所定値#DTHACC(例えば、20deg)を代入してステップS153に進む。
【0062】ステップS150における判別結果が「NO」、つまりエアコンがOFFとなっている場合は、エアコン補正値DTHACCに「0」を代入してステップS153に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。ステップS153においては大気圧に応じた大気圧補正値(DTHAPA)の検索を行う。この補正は図13に示すようにスロットルアシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DTHAPAが求められる。
【0063】次に、ステップS154で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS155でDOD制限制御モード補正値#DTHADODを図14に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DTHADODに代入する。一方、放電深度制限制御モードが解除されている場合は次のステップS156に進み、DOD制限制御モード補正値DTHADODに「0」を代入する。この場合の所定値#DTHADODは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。
【0064】そして、次のステップS157において、ステップS151またはステップS152で求めたエアコン補正値DTHAACと、ステップS153で求めた大気圧補正値DTHAPAとステップS155またはステップS156で求めたDOD制限制御モード補正値DTHDODを加算してスロットルアシストトリガ補正値DTHASTを求めリターンする。
【0065】「PBアシストトリガ補正(MT)」図15に示すのは、前記ステップS116における吸気管負圧スロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS160において、エアコンONフラグF_ACCが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンがONとなっている場合はステップS161においてエアコン補正値DPBAACに所定値#DPBAACを代入してステップS163に進む。ステップS160における判別結果が「NO」、つまりエアコンがOFFとなっている場合は、エアコン補正値DPBAACに「0」を代入してステップS163に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。ステップS163においては大気圧に応じた大気圧補正値(DPBAPA)の検索を行う。この補正は図16に示すように吸気管負圧アシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DPBAPAが求められる。
【0066】次に、ステップS164で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS165でDOD制限制御モード補正値#DPBDODを図17に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DPBDODに代入する。一方、放電深度制限制御モードが解除されている場合は次のステップS166に進み、DOD制限制御モード補正値DPBDODに「0」を代入する。この場合の所定値#DPBDODは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。
【0067】そして、次のステップS167において、ステップS161またはステップS162で求めたエアコン補正値DPBAACと、ステップS163で求めた大気圧補正値DPBAPAとステップS165またはステップS166で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODを加算してスロットルアシストトリガ補正値DPBASTを求めリターンする。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。
【0068】「PBアシストトリガ補正(CVT)」図18に示すのは、前記ステップS126における吸気管負圧スロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS170において、エアコンONフラグF_ACCが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンがONとなっている場合はステップS171においてエアコン補正値DPBAACTHに所定値#DPBAACTHを代入してステップS173に進む。
【0069】ステップS170における判別結果が「NO」、つまりエアコンがOFFとなっている場合は、エアコン補正値DPBAACTHに「0」を代入してステップS173に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。ステップS173においては大気圧に応じた大気圧補正値(DPBAPATH)の検索を行う。この補正は図19に示すように吸気管負圧アシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DPBAPATHが求められる。
【0070】次に、ステップS174で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS175でDOD制限制御モード補正値#DPBDODTHを図20に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DPBDODTHに代入する。一方、放電深度制限制御モードが解除されている場合は次のステップS176に進み、DOD制限制御モード補正値DPBDODTHに「0」を代入する。この場合の所定値#DPBDODTHは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。
【0071】そして、次のステップS177において、ステップS171またはステップS171で求めたエアコン補正値DPBAACTHと、ステップS173で求めた大気2補正値DPBAPATHとステップS175またはステップS176で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODTHを加算してスロットルアシストトリガ補正値DPBASTTHを求めリターンする。
【0072】「クルーズモード」図21、図22に示すのはクルーズモードのフローチャート図、具体的にはクルーズ時における目標発電量算出処理を行うフローチャート図である。ステップS200においてクルーズ発電量CRSRNMをマップ検索する。このマップはエンジン回転数NE、吸気管負圧PBGAに応じて定められた発電量を示しており、CVTとMTで持ち替えを行っている。
【0073】次に、ステップS202に進み、エネルギーストレージゾーンD判定フラグF_ESZONEDが「1」であるか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンDであると判定された場合は、ステップS221に進み、クルーズ発電量に「0」がセットされステップS225に進む。ステップS225においては最終クルーズ発電の指令値CRSRGNFが「0」か否かを判定する。ステップS225における判定の結果、指令値が「0」ではないと判定された場合はステップS227に進みクルーズ発電停止モードに移行して制御を終了する。ステップS225における判定の結果、指令値が「0」であると判定された場合はステップS226に進みクルーズバッテリ供給モードに移行して制御を終了する。
【0074】ステップS202における判定結果が「NO」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンD以外であると判定された場合は、ステップS203に進み、エネルギーストレージゾーンC判定フラグF_ESZONECが「1」であるか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンCであると判定された場合はステップS204に進む。ステップS203における判定結果が「NO」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンC以外であると判定された場合はステップS205に進む。
【0075】ステップS205においては、エネルギーストレージゾーンB判定フラグF_ESZONEBが「1」であるか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンBであると判定された場合はステップS206に進む。ステップS206においてはクルーズ発電量の補正係数KCRSRGNにクルーズ発電量係数#KCRGNWK(弱発電モード用)が代入され、ステップS214に進む。
【0076】一方、ステップS205における判定結果が「NO」、つまりバッテリ残容量SOCがゾーンB以外であると判定された場合はステップS207に進み、ここでDODリミット判定フラグF_DODLMTのフラグ値が「1」か否かを判定する。ステップS207における判定結果が「YES」である場合は、ステップS208に進み、クルーズ発電量の補正係数KCRSRGNにクルーズ発電量係数#KCRGNDOD(DOD制限発電モード用)が代入され、ステップS214に進む。
【0077】これにより増量された発電量により速やかにバッテリ残容量SOCを回復することができる。一方、ステップS207における判定結果が「NO」である場合はステップS209に進み、エアコンONフラグF_ACCのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンが「ON」であると判定された場合は、ステップS210に進みクルーズ発電量の補正係数KCRSRGNにクルーズ発電量係数#KCRGNHAC(HAC_ON発電モード用)が代入され、ステップS214に進む。
【0078】ステップS209における判定結果が「NO」、つまりエアコンが「OFF」であると判定された場合はステップS211に進み、クルーズモード判定フラグF_MACRSのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。ステップS211の判定結果が「NO」、つまりクルーズモードではないと判定された場合は、ステップS222に進みクルーズ発電量CRSRGNに「0」を代入して、ステップS223に進む。
【0079】ステップS223においてはエンジン回転数NEが、クルーズバッテリ供給モード実行上限エンジン回転数#NDVSTP以下か否かを判定し、判定結果が「YES」、つまりエンジン回転数NE≦クルーズバッテリ供給モード実行上限エンジン回転数#NDVSTPであると判定された場合は、ステップS225に進む。ステップS223における判定結果が「NO」、つまりエンジン回転数NE>クルーズバッテリ供給モード実行上限エンジン回転数#NDVSTPであると判定された場合は、ステップS227に進む。尚、上記クルーズバッテリ供給モード実行上限エンジン回転数#NDVSTPはヒステリシスを持った値である。
【0080】ステップS212においては、バッテリの残容量QBAT(SOCと同義)が通常発電モード実行上限残容量#QBCRSRH以上であるか否かを判定する。尚、上記通常発電モード実行上限残容量#QBCRSRHはヒステリシスをもった値である。ステップS212における判定結果が「YES」、つまりバッテリの残容量QBAT≧通常発電モード実行上限残容量#QBCRSRHであると判定された場合はステップS222に進む。バッテリの残容量QBAT<通常発電モード実行上限残容量#QBCRSRHであると判定された場合はステップS213に進み、ここでクルーズ発電量の補正係数KCRSRGNにクルーズ発電量係数#KCRGN(通常発電モード用)が代入され、ステップS214に進む。
【0081】ステップS214においては、リーンバーン判定フラグF_KCMLBのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりリーンバーンであると判定された場合はステップS215において、クルーズ発電量の補正係数KCRSRGNにクルーズ発電量係数#KCRGNLB(リーンバーン発電モード用)をかけた値がクルーズ発電量の補正係数KCRSRGNに代入され、ステップS216に進む。ステップS214の判定結果が「NO」、つまりリーンバーンモードではないと判定された場合は、ステップS216に進む。
【0082】ステップS216においては、エンジン制御用車速VPにより図23に示すクルーズ発電量減算係数KVCRSRGを#KVCRSRGテーブル検索により求める。次に、ステップS217においてクルーズ発電量のマップ値CRCRGNMにクルーズ発電量の補正係数KCRSRGNとクルーズ発電量減算係数KVCRSRGとをかけた値をクルーズ発電量CRSRGNに代入する。そして、ステップS218に進み、制御用大気圧PAにより図24に示すクルーズ発電量PA補正係数KPACRSRNを#KPACRSRNテーブル検索により求める。
【0083】そして、ステップS219において、クルーズ発電量CRSRGNに、ステップS218において求めたクルーズ発電量PA補正係数KPACRSRNとクルーズ発電量減算係数KTRGRGNとをかけて、最終的なクルーズ発電量CRSRGNを求め、ステップS220においてクルーズ発電モードに移行する。
【0084】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、蓄電装置の残容量が放電傾向にあり、走行開始の際の蓄電装置の残容量が初期残容量に対して所定量減少したことを検出したら蓄電装置の残容量を回復方向とすることができ、充放電バランスを回復することができる効果がある。また、蓄電装置の初期残容量が下限初期残容量よりも小さい場合には、当該下限初期残容量を初期残容量として代入することにより、初期残容量の持ち上げを行って、蓄電装置の残容量と下限閾値との残容量の差を少なくし、モータ制御変更手段によりモータの制御モードを変更するタイミングを早めることが可能となるため、蓄電装置の残容量が少ない場合の残容量の回復を速やかに実行することができる効果がある。
【0085】請求項2に記載した発明によれば、運転者の運転状況や回生を十分にとることができない走行状況等のため、走行開始の際の蓄電装置の残容量が初期残容量から下限閾値まで減少しても、これを上限閾値に向かって回復することができ、更に上限閾値を今度は新しい初期残容量として上限閾値と下限閾値を更新するため、蓄電装置の残容量を迅速に回復方向にすることができる効果がある。
【0086】請求項3に記載した発明によれば、十分に蓄電装置の残容量が回復した場合において、速やかに上記モータの制御モードを解除することが可能となるため、蓄電装置の残容量が必要以上に増加するのを抑えることができる効果がある。請求項4に記載した発明によれば、クルーズ走行時における蓄電装置への充電量の増加により蓄電装置の残容量を回復方向にすることができ、あるいは、例えばアシスト判定閾値の持ち上げによりクルーズモードの頻度、つまり発電頻度を増加させることにより蓄電装置の残容量を回復方向にすることができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外8名)
【公開番号】 特開2001−45610(P2001−45610A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−218219