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【発明の名称】 電気自動車の電源システム
【発明者】 【氏名】山田 淳

【氏名】山田 良昭

【氏名】佐々木 勉

【氏名】佐々木 正和

【要約】 【課題】蓄電装置を構成する各コンデンサ間の電位のバラツキを減らして蓄電電力を最大限に確保する。

【解決手段】蓄電装置4に2つのコンデンサバンク12,13を並列に介装し、蓄電装置4に流れる電流に応じて各コンデンサバンク12,13の一方を休止させ、休止したコンデンサバンク12,13にて各コンデンサ並列回路23の電荷を個別放電回路25を介して個別に放電させて各コンデンサ並列回路23の端子間電圧を均一化する構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行用モータに電力を供給する蓄電装置を備え、前記蓄電装置を複数のコンデンサによって構成する電気自動車の電源システムにおいて、前記蓄電装置に複数のコンデンサを直列に介装した複数のコンデンサバンクを並列に介装し、前記蓄電装置に流れる電流に応じて前記各コンデンサバンクのうち少なくとも一つを休止させるバンク休止手段と、前記各コンデンサの電荷を個別に放電させる個別放電回路と、休止した前記コンデンサバンクにて前記各コンデンサの電荷を個別に放電させて前記各コンデンサの端子間電圧を均一化する放電制御手段と、を備えたことを特徴とする電気自動車の電源システム。
【請求項2】前記コンデンサバンクは電源回路の間に並列に介装されるコンデンサ直列回路を備え、前記各コンデンサ直列回路に前記コンデンサが直列に介装され、前記各コンデンサ直列回路の同一直列段に配置される前記各コンデンサが並列に介装されるコンデンサ並列回路を備え、前記個別放電回路は前記各コンデンサ並列回路の電荷を個別に放電させてそれぞれの端子間電圧を均一化する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の電源システム。
【請求項3】前記各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出する個別電圧検出回路を備え、前記バンク休止手段は検出されたコンデンサ並列回路の端子間電圧のバラツキが大きいコンデンサバンクを休止させる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の電気自動車の電源システム。
【請求項4】各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出する個別電圧検出回路を備え、前記放電制御手段は各コンデンサ並列回路の端子間電圧の平均値にまで放電させる構成としたことを特徴とする請求項3に記載の電気自動車の電源システム。
【請求項5】前記個別放電回路による前記コンデンサの放電状態を検出する放電状態検出手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の電気自動車の電源システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄電装置に多数のコンデンサを用いた電気自動車の電源システムの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気自動車等に搭載される蓄電装置は、車両の加速時および定速走行時に放電、制動時に充電を繰り返すため、蓄電装置として多数のコンデンサ(電気二重層キャパシタセル)で構成される蓄電装置が着目されている。また、特開平8−168182号公報としてコンデンサを用いた電源装置が提案されている。
【0003】図7はシリーズ式ハイブリッド車に搭載される蓄電装置にコンデンサを用いた電源システムの公知の基本構成例を示す。これについて説明すると、エンジン1は発電機2を駆動し、発電機2で発電される電力が整流器3を介して蓄電装置4に供給されるとともに、インバータ5を介して走行用モータ6に供給される。図示しない車輪は走行用モータ6によって駆動される。図において、8は化学電池で構成される補助蓄電装置、7は補助蓄電装置8を充電するDC−DCコンバータ、9は補機である。
【0004】蓄電装置4は、多数のコンデンサ41,42,43,…が直列に接続され、従来の化学二次電池をコンデンサに置き換えたシステムとなっている。
【0005】加速時または定速走行時に、発電機2で発生した電力の一部または全部が蓄電装置4に充電され、発電機2で発生した電力と蓄電装置4の電力がインバータ5を介して走行用モータ6に供給される。制動時に、走行用モータ6に発生した制動電力がインバータ5を介して蓄電装置4に回生される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、各コンデンサ41,42,43,…の静電容量等にバラツキがあるため、蓄電装置4の充放電を繰り返した場合、各コンデンサ41,42,43,…の一部が過充電されたり、過放電または逆充電され、これらを劣化させる心配がある。この対策として、コンデンサ41,42,43,…の端子間電圧の範囲を制限すると、端子間電圧の2乗に比例する静電エネルギが大幅に減ってしまうという問題点があった。
【0007】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、蓄電装置を構成する各コンデンサ間の電位のバラツキを減らして蓄電電力を最大限に確保する電気自動車の電源システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、走行用モータに電力を供給する蓄電装置を備え、蓄電装置を複数のコンデンサによって構成する電気自動車の電源システムに適用する。
【0009】そして、蓄電装置に複数のコンデンサを直列に介装した複数のコンデンサバンクを並列に介装し、蓄電装置に流れる電流に応じて各コンデンサバンクのうち少なくとも一つを休止させるバンク休止手段と、各コンデンサの電荷を個別に放電させる個別放電回路と、休止したコンデンサバンクにて各コンデンサの電荷を個別に放電させて各コンデンサの端子間電圧を均一化する放電制御手段とを備えるものとした。
【0010】第2の発明は、第1の発明において、コンデンサバンクは電源回路の間に並列に介装されるコンデンサ直列回路を備え、各コンデンサ直列回路にコンデンサが直列に介装され、各コンデンサ直列回路の同一直列段に配置される各コンデンサが並列に介装されるコンデンサ並列回路を備え、個別放電回路は各コンデンサ並列回路の電荷を個別に放電させてそれぞれの端子間電圧を均一化する構成とした。
【0011】第3の発明は、第2の発明において、各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出する個別電圧検出回路を備え、バンク休止手段は検出されたコンデンサ並列回路の端子間電圧のバラツキが大きいコンデンサバンクを休止させる構成とした。
【0012】第4の発明はにおいて、各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出する個別電圧検出回路を備え、放電制御手段は各コンデンサ並列回路の端子間電圧の平均値にまで放電させる構成とした。
【0013】第5の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明において、個別放電回路によるコンデンサの放電状態を検出する放電状態検出手段を備えるものとした。
【0014】
【発明の作用および効果】第1の発明において、各コンデンサの静電容量等にバラツキがあっても、各コンデンサ間の電位のバラツキを減らして蓄電電力を最大限に確保できる。
【0015】また、蓄電装置の充放電を繰り返しても、コンデンサバンクの少なくとも一つを休止できる運転条件で各コンデンサ間の電位のバラツキを減らすことにより、各コンデンサの一部が過充電されたり、過放電または逆充電されることが防止される。
【0016】このため、蓄電装置の高効率化がはかれ、長寿命な電気自動車の電源システムを実現できる。
【0017】第2の発明において、各コンデンサ並列回路の静電容量等にバラツキがあっても、各コンデンサ並列回路間の電位のバラツキを減らして蓄電電力を最大限に確保できる。
【0018】第3の発明において、各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出し、検出されたコンデンサ並列回路の端子間電圧のバラツキが大きいコンデンサバンクを休止させることにより、効率よく各コンデンサ間の電位のバラツキを減らすことができる。
【0019】第4の発明において、各コンデンサ並列回路の端子間電圧を検出し、各コンデンサ並列回路の端子間電圧の平均値にまで放電させることにより、効率よく各コンデンサ間の電位のバラツキを減らすことができる。
【0020】第5の発明において、個別放電回路によるコンデンサの放電状態を検出することにより、効率よく各コンデンサ間の電位のバラツキを減らすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明をシリーズ式ハイブリッド車に搭載される蓄電装置に適用した電気システムの実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】図1に示すように、エンジン1は発電機2を駆動し、発電機2で発電される電力が整流器3から電源回路14,15を介して蓄電装置4に供給されるとともに、インバータ5を介して走行用モータ6に供給される。蓄電装置4とインバータ5の間に双方向昇降圧チョッパ回路からなる電流ポンプ10が介装され、走行用モータ6の駆動時にインバータ5への出力電圧を一定に制御し、走行用モータ6の回生発電時または発電機2の発電時に蓄電装置4への充電電流を適正値に制御するようになっている。図示しない車輪は走行用モータ6によって駆動される。図において、8は化学電池で構成される補助蓄電装置、7は補助蓄電装置8を充電するDC−DCコンバータ、9は補機である。
【0023】図2に示す車両制御装置36はマイクロコピンュータとその周辺部品を備え、車両の運転条件に応じてエンジン1の運転を制御し、整流器3を介して発電電力を制御するとともに、インバータ5を介して走行用モータ6の回転数や出力トルクまたは回生発電電力等を制御する。
【0024】以上は本発明が適用可能なハイブリッド車両の基本的な構成例を示したものであり、本発明はこうしたハイブリッド車両において蓄電装置4を構成する各コンデンサ21間の電位のバラツキを減らし、蓄電装置4の蓄電電力を最大限に確保することを目的とする。
【0025】本発明は、蓄電装置4に約1000個のコンデンサ21によって構成される第一コンデンサバンク12と第二コンデンサバンク13を備える。なお、コンデンサバンクの数は少なくとも二つあればよく、三つ以上としてもよい。
【0026】第一、第二コンデンサバンク12,13と電源回路14の間にはヒューズ45およびコンタクタ16を介して各電流ポンプ10が介装され、電源回路14はジャンクションボックス17を介して整流器3およびインバータ5等に接続される。
【0027】図3に示すように、第一コンデンサバンク12は、電源回路14,15の間に並列に介装されるn個のコンデンサ直列回路22を備え、各コンデンサ直列回路22にm個の各コンデンサ21が直列に介装される。したがって、第一コンデンサバンク12は、合計するとm×n個のコンデンサ21によって構成される。なお、第二コンデンサバンク13も第一コンデンサバンク12と同様に構成される。
【0028】コンデンサマネージメントシステム37はマイクロコンピュータとその周辺部品を備え、車両制御装置36との間で情報をやり取りし、各電流ポンプ10を介して第一、第二コンデンサバンク12,13の充放電を制御する。なお、コンデンサマネージメントシステム37は車両制御装置36と統合してもよい。
【0029】各コンデンサ直列回路22の同一直列段に配置されるn個のコンデンサ21が並列に介装されるコンデンサ並列回路23をm個備え、各コンデンサ並列回路23の端子間電圧を検出する個別電圧検出回路35を備えるとともに、各コンデンサ並列回路23の電荷を放電してその端子間電圧を調節する個別放電回路25を備える。
【0030】図4に示すように、個別放電回路25は定電圧ダイオード26と放電用トランジスタ28,34と抵抗29〜32およびフォトカプラ27等によって構成される。定電圧ダイオード(プログラマブルシャントレギュレータ)26はコンデンサ並列回路23の端子間電圧がコンデンサマネージメントシステム37によって指令される所定値以上に上昇すると通電し、コンデンサ並列回路23の電荷を抵抗32および放電用トランジスタ28を介して放電するとともに、この放電時にフォトカプラ27を介してコンデンサマネージメントシステム37に信号を出力する。なお、フォトカプラ27が本発明の放電状態検出手段を構成する。
【0031】コンデンサマネージメントシステム37は、第一、第二コンデンサバンク12,13の一方を休止可能な運転状態を判定し、第一、第二コンデンサバンク12,13のうち各コンデンサ並列回路23の端子間電圧のバラツキが大きい方を電流ポンプ10およびコンタクタ16を介して休止させ、端子間電圧が高いコンデンサ並列回路23の電化を放電させて端子間電圧の均一化をはかる制御を行う。
【0032】図5、図6のフローチャートは上記制御ルーチンを示しており、これに表される処理はコンデンサマネージメントシステム37により周期的に実行される。
【0033】これについて説明すると、まず、ステップ1で後述する各フラグをイニシャライズし、ステップ2で第一、第二コンデンサバンク12,13のうち各直列段のコンデンサ21の端子間電圧のバラツキの大小を評価する。そして第一コンデンサバンク12のバラツキが所定値より大きい場合にフラグAをセットし、第二コンデンサバンク13のバラツキが所定値より大きい場合にフラグBをセットする(ステップ3〜6)。
【0034】フラグAまたはBがセットされた場合、第一、第二コンデンサバンク12,13の入出力電流を測定し、この入出力電流が所定値以下となる第一、第二コンデンサバンク12,13の一方を休止可能な運転状態を判定する(ステップ7,9,10)。
【0035】第一、第二コンデンサバンク12,13の一方を休止できる運転状態にある場合、第一、第二コンデンサバンク12,13のうち端子間電圧のバラツキの大きい方の電流ポンプ10を停止し、各コンデンサ並列回路23の電荷を個別放電回路25を介して個別に放電してその端子間電圧を測定された平均値に近づける(ステップ12〜15)。
【0036】第一、第二コンデンサバンク12,13の一方を休止できる運転状態から外れた場合、個別放電回路25の作動を停止し、電流ポンプ10の作動を再開し、フラグA,Bをクリアする(ステップ16〜19)。
【0037】一方、フラグAおよびBがセットされない場合、あるいは第一、第二コンデンサバンク12,13を休止できない場合、上記処理を迂回し、イグニッションスイッチがOFFになるのに伴って本ルーチンを終了する(ステップ7,8,10,11)。
【0038】なお、ステップ9〜14の処理が本発明のバンク休止手段に相当し、ステップ15の処理が本発明の放電制御手段に相当する。
【0039】これにより、各コンデンサ21の静電容量等にバラツキがあっても、各コンデンサ21間の電位のバラツキを減らして蓄電電力を最大限に確保できる。蓄電装置4は2×m×n個のコンデンサ21を備えているので、各コンデンサ21の静電容量をC、耐電圧をVmaxとすると、蓄電装置4に蓄えられる静電エネルギの最大値Emaxは、Emax=2×m×n×C×Vmax2/2となる。
【0040】また、蓄電装置4の充放電を繰り返しても、各コンデンサ21間の電位のバラツキを減らすことにより、各コンデンサ21の一部が過充電されたり、過放電または逆充電されることが防止され、長寿命な電源システムを実現できる。
【0041】以上、シリーズ式ハイブリッド電気自動車の場合で説明したが、本発明はパラレル式ハイブリッド電気自動車や発電機を搭載しない電気自動車、燃料電池を電源とする電気自動車をはじめとする他の電気自動車の電源システムに適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成11年8月2日(1999.8.2)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2001−45607(P2001−45607A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−218580