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【発明の名称】 キャタピラー型接触集電極
【発明者】 【氏名】欠田 俊幸

【要約】 【課題】電車のパンタグラフ等の接触集電極において固定式の接触集電極が架線などを摺動することによる双方の磨耗とそれに伴う塵埃、騒音、放電ノイズなどを軽減する為、電極自身の無限回転によりその接触部分が移動することで広い面積で接触しながら、摺動せず集電できる接触集電極を提供する。

【解決手段】電車のパンタグラフ等の接触集電装置の接触集電極において、その形状をキャタピラー型としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電車のパンタグラフ等の接触集電装置の接触集電極において、その形状を屈曲自在な環状の帯とした、キャタピラー型接触集電極。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電車等の接触集電装置であるパンタグラフの接触集電極に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の接触集電極は固定式の接触集電極が電力供給体に面で接触して摺動しつつ集電するもので、電車においては屋根上に設けたパンタグラフの上部の集電舟の上のすり板が接触集電極となり、電車本体の移動に伴い架線と摺動しつつ集電していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方式における、すり板と架線の摺動方式は集電能力は高いが、すり板、架線双方の磨耗を招き、維持費がかかるだけでなく、摺動に伴う塵埃、騒音、放電ノイズ等環境にも悪影響を与える問題があり、その問題は電車の高速化に伴って増大してきた、すり板に代えて回転体を使う方法は摺動しない為物理的磨耗、騒音は少ないが、回転体と架線は点接触となる為、集電能力の不足と接触点でのアークによる回転体、架線双方の損耗が大きく、摺動方式に劣った。
【0004】本発明は、接触集電極と架線との間の接触集電面積を大きく取りながら、摺動を無くすることで接触集電極、架線双方の磨耗を大幅に低減し、加えて、塵埃、騒音、放電ノイズ等の問題を軽減することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のキャタピラー型接触集電極ではパンタグラフ上部にある接触集電極を従来の集電舟の上にすり板を取り付けた固定式の形状に代えて、架線の相対移動に追従して無限回転する、複数の板を屈曲自在に繋ぎ合わせた環状の帯であるキャタピラー型とし、その帯を前後に並んだ2つ以上の車輪に架け渡すことで保持したものである。
【0006】ここでキャタピラー(1)とは板を屈曲自在な状態で鎖状かつ環状に繋いだ無限軌道であるとの一般定義による。
【0007】ここでパンタグラフ(2)とは電車の接触集電装置の一般名称であり、接触集電極であるキャタピラー(1)を支え、一定圧力で架線(3)に押し付ける為の構造物の意味で、厳密に五角形構造物である必要は無い。
【0008】キャタピラー(1)は主な部分を導電性とし、台座(6)に取り付けた車輪(7)によって保持され、その台座(6)を保持するパンタグラフ(2)によって適度な力で架線(3)に押し付けられ、両者の接触面において集電する。
【0009】電車の走行開始に伴う架線(3)の相対移動による接触摩擦で回転自在に取り付けたキャタピラー(1)は回転を開始し、定速走行時はキャタピラー(1)も定速回転し、キャタピラー(1)の回転抵抗以外はほとんど摩擦無く集電できる。
【0010】回転自在に取り付けたキャタピラー(1)を架線(3)との接触摩擦により、受動的に回転させる方式は機構が単純で絶縁上の問題も無く、定速走行の多い電車には有効であるが、理想的には架線(3)の相対移動に同期してキャタピラー(1)が能動的に回転する方式が最も摩擦が少ない、そのための方式としては、車輪(7)にモーターを取り付けてその回転を車体速度に合わせて制御する方式、又はギアとチェーン、回転ロッドと自在継ぎ手等の組み合わせで、電車の車輪又は駆動系の回転を取り出し、途中台車と車体(5)の揺れ、捩れや、車体(5)と架線の間隔の変化によるパンタグラフ(2)の上下動などの距離の変化を吸収しつつ、絶縁を確保しながらその回転を車輪(7)に伝達する方式等があり、これらの方式は構造は複雑になるが、車体(5)と架線(3)の相対移動分だけキャタピラー(1)が回転するので摩擦は非常に少ない。
【0011】本体と車輪(7)を動力伝達系で結んでキャタピラー(1)を能動的に回転させる方式は摩擦が少なく理想的だが、製作コスト、接触集電極と車体間の絶縁等の問題と自由回転方式にした場合の磨耗等の問題とを比較して選択すべきである、なお次善策として、キャタピラー(1)本体の帯の架線(3)と接触する面の外側の辺縁部に直接羽根を取り付けるか又は、車輪(7)の回転軸又はその周辺に羽根車を取り付け、覆いから羽根の一部を露出させるなどの形状として走行による風圧を利用してその回転力でキャタピラー(1)の回転を助ける方式があり、この方式は回転伝達方式には劣るが構造が単純で、絶縁の問題が無く有効である。
【0012】キャタピラー(1)の上部のみを露出させ周囲を覆うカバーを取り付けることは、その前後面は走行による空気抵抗と騒音を減らす為に、左右面は従来の集電舟の左右端が下に向かって曲がっていたのと同じ理由で、架線(3)が左右に外れた時にキャタピラー(1)上に戻るのを助ける為に有効である。
【0013】慣性を減らし、回転を軽くし、上下運動による架線への追従性を高める為に、キャタピラー(1)全体はできる限り小型かつ、軽量に製作する必要がある、左右幅は車体に対する架線の左右動の範囲で最狭に、前後長は集電に必要な面積を得られる限りの最短の長さとする、その為には前後の車輪(7)をそれぞれ薄い円盤を複数枚、間隔を空けて同軸に取り付けた構造とし、前後輪の円盤を互い違いに相手の車輪の間に入るように配置することで、前後の車輪軸の間隔を近づけ、キャタピラーの長さを短くする方法もある、キャタピラー(1)が長くなると重くなるだけでなく回転により無用な振動を起こす。
【0014】キャタピラー(1)と架線(3)の接触をスムーズにする為、キャタピラー(1)を支える前後の2つの車輪(7)の間にいくつかの小型の車輪を入れてキャタピラー(1)の架線(3)と接する部分をその下面から支えることはキャタピラー(1)の振動を防ぐ為に有効である、その場合キャタピラー(1)の架線(3)と接する部分を水平にするより、中央部が水平で前後に下り勾配をつけると架線(3)との接触がよりスムーズになる。
【0015】走行に伴う架線(3)と車体(5)の相対距離の変化はパンタグラフ(2)の上下動で吸収するが、キャタピラー(1)、車輪(7)、台座(6)およびパンタグラフ(2)自身に慣性があるので、より追従性を上げるためにはキャタピラー(1)の中央を下面から支えている車輪に上下方向のサスペンションを持たせる、又はキャタピラー(1)の導電性の板の上にさらにバネなどを介して、もう一枚板を載せて、キャタピラー(1)自体の上下動に加えて、その板の上下動で細かな距離の変化を吸収し、架線(3)への追従性を向上させる等の方法がある。
【0016】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1において、電車の車体(5)の屋根上に絶縁体(4)を取り付け、その上にパンタグラフ(2)を取り付ける、このパンタグラフ(2)は現行の機構のものである、現行のパンタグラフでは集電舟とすり板が取り付けてあるその頂点にそれらに代えて台座(6)を集電舟と同じような自由度を持たせて取り付ける、その台座(6)の前後に2つの車輪(7)を取り付け、その周囲に板を繋ぎ合わせた屈曲自在な環状の帯であるキャタピラー(1)を架け渡したものである。
【0017】二つの車輪(7)の間のキャタピラー(1)は張力だけで支えられてもいいし、中間を下からいくつかの車輪で支えても良い、また高速回転に備えて帯の辺縁部を上下から車輪で支える、又は帯の辺縁部に車輪を取り付け、帯に沿って設けた溝にその車輪を移動自在に勘合させて確動カムのようにキャタピラー(1)を保持しても良い。
【0018】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるので次に記載されるような効果がある。
【0019】接触集電極と架線(3)が常に広い面積で接触しているため、集電効率が良く、電流が一点に集中しないためアークもほとんど起こらず、接触集電極が架線(3)の相対移動に追従して回転することで架線(3)を摺ることがほとんど無くなり、磨耗の為定期的に行われていた接触集電極や架線の交換がほとんど不要になり、経費が低減されると伴に、摺動に伴って発生していた塵埃、騒音、放電ノイズ等が低減される効果がある。
【出願人】 【識別番号】591184596
【氏名又は名称】欠田 俊幸
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−45604(P2001−45604A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−249102