トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 車両制御装置
【発明者】 【氏名】中沢 洋介

【要約】 【課題】乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ること。

【解決手段】車輪速度の時間変化率により車輪の空転を判断し加速度空転検知フラグを出力する加速度空転検知手段11と、車輪速度と車体速度とにより車輪の空転速度を演算し出力する空転速度演算手段13と、空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値を演算する空転速度制御手段14と、加速度空転検知フラグとトルク指令補正値と運転台からのトルク指令値とにより、トルク指令補正値の大きさに応じて、加速度空転検知フラグによるトルク絞りと、加速度空転検知フラグ解除後のトルク絞り復帰量に補正を加えトルク絞り量を出力するトルク絞り量演算手段12と、トルク指令値とトルク絞り量とトルク指令補正値とにより、新たなトルク指令値を演算するトルク指令補正手段15とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪の回転トルクが当該車輪と路面との摩擦力を介して車両の推進力となる駆動装置で、前記車輪と路面との空転を抑制することにより前記回転トルクを推進力に効率的に変換する空転抑制制御を行なう車両制御装置において、車輪速度を入力として、当該車輪速度の時間変化率により前記車輪の空転を判断し加速度空転検知フラグを出力する加速度空転検知手段と、前記車輪速度と車体速度とを入力として、前記車輪の空転速度を演算し出力する空転速度演算手段と、前記空転速度演算手段から出力される空転速度を入力として、当該空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値を演算する空転速度制御手段と、前記加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグと、前記空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値と、運転台からのトルク指令値とを入力として、前記空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値の大きさに応じて、前記加速度空転検知フラグによるトルク絞りと、前記加速度空転検知フラグ解除後のトルク絞り復帰量に補正を加えトルク絞り量を出力するトルク絞り量演算手段と、前記運転台からのトルク指令値と、前記トルク絞り量演算手段から出力されるトルク絞り量と、前記空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値とを入力として、新たなトルク指令値を演算するトルク指令補正手段と、を備えて成ることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】 前記請求項1に記載の車両制御装置において、前記トルク絞り量演算手段は、前記加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、前記加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量をゼロに戻す動作を基本とし、前記空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値が一定量以上大きい場合には前記トルク絞り量を保持する機能を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】 前記請求項1に記載の車両制御装置において、前記トルク絞り量演算手段は、前記加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、前記加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量を前記運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を保持する動作を基本とし、前記空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値が一定量以下の小さい値になった場合にのみ前記トルク絞り量をゼロに戻す機能を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】 前記請求項1に記載の車両制御装置において、前記空転速度制御手段からの出力であるトルク指令補正値に一定の制限値を設け、前記トルク指令補正値がその制限値以上の値になった場合には、前記制限値をトルク指令補正値として出力するようにしたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】 前記請求項1に記載の車両制御装置において、前記空転速度制御手段は、前記空転速度演算手段から出力される空転速度と、前記加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグとを入力として、当該加速度空転検知フラグが空転検知を示す値となった場合に前記空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値の演算を開始し、当該演算したトルク指令補正値が一定値以下になったら当該トルク指令補正値をゼロにするようにしたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項6】 前記請求項1に記載の車両制御装置において、前記トルク絞り量演算手段は、前記加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、前記加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量を前記運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を一定時間保持する動作を基本とし、前記加速度空転検知の回数が増加するに応じて前記保持時間を一定比率で増加させるようにしたことを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪の回転トルクが当該車輪と路面との摩擦力を介して車両の推進力となる駆動装置で、車輪と路面との空転を抑制することにより回転トルクを推進力に効率的に変換する空転抑制制御を行なう車両制御装置に係り、特に乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図れるようにした車両制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車輪の回転トルクが、車輪と路面との摩擦力を介して車両の推進力となる駆動装置で、車輪と路面との空転を抑制することにより回転トルクを推進力に効率的に変換するための空転抑制制御を行なう車両制御装置においては、車輪速度の時間変化率の過大により空転現象を検出し、トルクの低減による空転解消と、その後の一定時間再空転を抑制するために、運転台からのトルク指令値に一定比率だけトルクを低減した状態を保った後に、元のトルク指令値に戻すような制御が行なわれている。
【0003】一方、他の制御方式として、車輪速度と、空転していない他の軸の車輪速度との差から空転速度を連続的に検出し、この空転速度が所望の値になるようにトルク指令値を連続的に補正する制御方式がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような速度の時間変化率による制御方式において、より高い推進力を得るためには、トルク低減保持時間を短かく設定する必要がある。
【0005】しかしながら、このトルク低減保持時間が短かすぎると、空転の頻発によって、車両の乗り心地の低下、機械的振動による車輪と路面との摩擦力の低下等の問題が発生する。
【0006】図9は、この速度の時間変化率による制御方式における全体制御の基本動作を示す概要図である。
【0007】一方、空転速度による連続的なトルク制御による方式においては、空転していない軸速度の検出が困難であり、全ての軸が空転した場合には、基準速度を見失って、全ての軸が同様の動きで空転発散してしまう。
【0008】本発明の目的は、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、あるいは路面状況の悪い時間が継続しても、再空転の頻発を抑制することができ、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能な車両制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、車輪の回転トルクが当該車輪と路面との摩擦力を介して車両の推進力となる駆動装置で、車輪と路面との空転を抑制することにより回転トルクを推進力に効率的に変換する空転抑制制御を行なう車両制御装置において、車輪速度を入力として、当該車輪速度の時間変化率により車輪の空転を判断し加速度空転検知フラグを出力する加速度空転検知手段と、車輪速度と車体速度とを入力として、車輪の空転速度を演算し出力する空転速度演算手段と、空転速度演算手段から出力される空転速度を入力として、当該空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値を演算する空転速度制御手段と、加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグと、空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値と、運転台からのトルク指令値とを入力として、空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値の大きさに応じて、加速度空転検知フラグによるトルク絞りと、加速度空転検知フラグ解除後のトルク絞り復帰量に補正を加えトルク絞り量を出力するトルク絞り量演算手段と、運転台からのトルク指令値と、トルク絞り量演算手段から出力されるトルク絞り量と、空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値とを入力として、新たなトルク指令値を演算するトルク指令補正手段とを備えている。
【0010】従って、請求項1の発明の車両制御装置においては、運転台からのトルク指令値と、トルク絞り量演算手段からのトルク絞り量と、空転速度制御手段からのトルク指令補正値とに基づいて、新たなトルク指令値を演算することにより、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、再空転の頻発を抑制することが可能となるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることができる。
【0011】また、請求項2の発明では、上記請求項1の発明の車両制御装置において、トルク絞り量演算手段は、加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量をゼロに戻す動作を基本とし、空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値が一定量以上大きい場合にはトルク絞り量を保持する機能を有している。
【0012】従って、請求項2の発明の車両制御装置においては、加速度空転検知手段からの加速度空転検知フラグの立ち上がりによって一定量のトルク絞り量を出力し、当該加速度空転検知フラグの立ち下がりによってトルク絞り量をゼロに戻し、空転速度制御手段からのトルク指令補正値が一定量以上大きい場合にはトルク絞り量を保持することにより、上記請求項1の発明と同様の作用を奏することができる。
【0013】さらに、請求項3の発明では、上記請求項1の発明の車両制御装置において、トルク絞り量演算手段は、加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量を運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を保持する動作を基本とし、空転速度制御手段から出力されるトルク指令補正値が一定量以下の小さい値になった場合にのみトルク絞り量をゼロに戻す機能を有している。
【0014】従って、請求項3の発明の車両制御装置においては、加速度空転検知手段からの加速度空転検知フラグの立ち上がりによって一定量のトルク絞り量を出力し、当該加速度空転検知フラグの立ち下がりによってトルク絞り量を運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を保持し、空転速度制御手段からのトルク指令補正値が一定量以下の小さい値になった場合にのみトルク絞り量をゼロに戻すことにより、上記請求項1の発明と同様の作用を奏することができる。
【0015】一方、請求項4の発明では、上記請求項1の発明の車両制御装置において、空転速度制御手段からの出力であるトルク指令補正値に一定の制限値を設け、トルク指令補正値がその制限値以上の値になった場合には、制限値をトルク指令補正値として出力するようにしている。
【0016】従って、請求項4の発明の車両制御装置においては、空転速度制御手段からのトルク指令補正値に一定の制限値を設け、当該トルク指令補正値がその制限値以上の値になった場合には、制限値をトルク指令補正値として出力することにより、上記請求項1の発明と同様の作用を奏することができるのに加えて、車体速度を複数の駆動車輪の速度最低値から推定するようなシステムにおいて、全ての車輪が空転を起こしてしまうような厳しい路面状況において、空転速度制御手段のみでのトルク指令値補正に陥って空転速度発散してしまうのを防止することができる。
【0017】また、請求項5の発明では、上記請求項1の発明の車両制御装置において、空転速度制御手段は、空転速度演算手段から出力される空転速度と、加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグとを入力として、当該加速度空転検知フラグが空転検知を示す値となった場合に空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値の演算を開始し、当該演算したトルク指令補正値が一定値以下になったら当該トルク指令補正値をゼロにするようにしている。
【0018】従って、請求項5の発明の車両制御装置においては、空転速度演算手段からの空転速度と、加速度空転検知手段からの加速度空転検知フラグとに基づいて、当該加速度空転検知フラグが空転検知を示す値となった場合に空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値の演算を開始し、当該演算したトルク指令補正値が一定値以下になったら当該トルク指令補正値をゼロにすることにより、上記請求項1の発明と同様の作用を奏することができるのに加えて、速度センサのノイズ等に起因する空転速度制御での不必要なトルク補正を防止することができる。
【0019】さらに、請求項6の発明では、上記請求項1の発明の車両制御装置において、トルク絞り量演算手段は、加速度空転検知手段から出力される加速度空転検知フラグによって、当該加速度空転検知フラグ立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグ立ち下がりによりトルク絞り量を運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を一定時間保持する動作を基本とし、加速度空転検知の回数が増加するに応じて保持時間を一定比率で増加させるようにしている。
【0020】従って、請求項6の発明の車両制御装置においては、加速度空転検知手段からの加速度空転検知フラグの立ち上がりによって一定量のトルク絞り量を出力し、当該加速度空転検知フラグの立ち下がりによってトルク絞り量を運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減して当該値を一定時間保持し、加速度空転検知の回数が増加するに応じて保持時間を一定比率で増加させることにより、路面状況の悪い時間が継続しても、再空転の頻発を抑制することが可能となるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、車輪の回転トルクが当該車輪と路面との摩擦力を介して車両の推進力となる駆動装置で、車輪と路面との空転を抑制することにより回転トルクを推進力に効率的に変換する空転抑制制御を行なう車両制御装置において、前述した速度の時間変化率による制御方式と、空転速度による連続的なトルク制御方式とを組み合わせ、前者による制御によって、概略路面状況に見合ったトルク指令値に低減しておくことにより、後者による制御での基準速度を見失う問題点を補ない、後者による制御による空転速度に応じたトルク絞り量を観測することによって、路面状況が把握できて、前者による制御のトルク低減保持時間の適正化を図ることを可能とするものである。
【0022】以下、上記のような考え方に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】(第1の実施の形態:請求項1、請求項2に対応)図1は、本実施の形態による車両制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0024】すなわち、本実施の形態の車両制御装置は、図1に示すように、加速度空転検知部11と、トルク絞り量演算部12と、空転速度演算部13と、空転速度制御部14と、トルク指令補正部15とから構成している。
【0025】加速度空転検知部11は、車輪速度を入力として、この車輪速度の時間変化率により車輪の空転を判断し加速度空転検知フラグを出力する。
【0026】空転速度演算部13は、車輪速度と車体速度とを入力として、車輪の空転速度を演算し出力する。
【0027】空転速度制御部14は、空転速度演算部13から出力される空転速度を入力として、この空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値を演算する。
【0028】トルク絞り量演算部12は、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグと、空転速度制御部14ら出力されるトルク指令補正値と、運転台からのトルク指令値とを入力として、空転速度制御部14から出力されるトルク指令補正値の大きさに応じて、加速度空転検知フラグによるトルク絞りと、加速度空転検知フラグ解除後のトルク絞り復帰量に補正を加えて、トルク絞り量を出力する。
【0029】ここで、特に本実施の形態では、トルク絞り量演算部12は、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグによって、この加速度空転検知フラグの立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグの立ち下がりによりトルク絞り量をゼロに戻す動作を基本とし、空転速度制御部14から出力されるトルク指令補正値が一定量以上大きい場合にはトルク絞り量を保持する機能を有するものとしている。
【0030】トルク指令補正部15は、運転台からのトルク指令値と、トルク絞り量演算部12から出力されるトルク絞り量と、空転速度制御部14から出力されるトルク指令補正値とを入力として、新たなトルク指令値を演算する。
【0031】次に、以上のように構成した本実施の形態の車両制御装置の動作について、図2乃至図5を用いて説明する。
【0032】加速度空転検知部11においては、車輪速度Fr1を入力として、車輪速度の時間変化率dFr1/dtを求める。
【0033】そして、この値が、あらかじめ設定した空転検知セット値dFrdtSET以上であれば、空転検知フラグFlgADHを1に、あらかじめ設定した空転検知リセット値dFrdtRESET以下であれば、空転検知フラグFlgADHを0にして出力する。
【0034】(1)dFr1/dt>dFrdtSETの時、FlgADH=1(2)dFr1/dt<dFrdtRESETの時、FlgADH=0空転速度演算部13においては、車輪速度Fr1と、車体速度FrTとを入力として、空転速度dFrを求めて出力する。
【0035】dFr=Fr1−FrTここで、車体速度FrTは、図2に示すように、同一の車両についた複数の車輪速度のうち、最小の値を空転していない時の速度として車体速度の代用とすることが考えられる。
【0036】空転速度制御部14においては、空転速度演算部13から出力される空転速度dFrを入力として、次のような演算により、トルク指令補正値ΔTrqADH3を求めて出力する。
【0037】ΔTrqADH3=G(s)・dFr(sは微分演算子、G(s)は制御伝達関数)
ここで、制御伝達関数G(s)としては、例えば比例制御、(一次遅れ)+(比例制御)等が考えられる。
【0038】なお、図5は、空転速度制御部14の動作を示す概要図である。
【0039】トルク絞り量演算部12においては、加速度空転検知フラグFlgADHと、トルク指令補正値ΔTrqADH3と、運転台からのトルク指令値TrqRefとを入力として、次のような順序で、トルク絞り量dTrqADHを求めて出力する。
【0040】すなわち、加速度空転検知フラグFlgADHの立ち上がり時(FkgADH=0→1)のトルク指令値TrqRefと、トルク絞り量dTrqADHとを、それぞれTrqRef0、dTrqADH0として保持する。
【0041】トルク指令補正値ΔTrqADH3と、あらかじめ設定した値ΔTrqADH3setとの大小関係を比較することにより、トルク絞り量保持フラグFlgTrqKEEPを求める。
【0042】
(1)ΔTrqADH3>ΔTrqADH3setの時FlgTrqKEEP=1(2)ΔTrqADH3<ΔTrqADH3setの時FlgTrqKEEP=0(1)FlgADH=1の時一定変化率でトルク絞り量dTrqADHを増加させる。
dTrqADH=∫ddTrqADHU・dt(ddTrqADHUは空転検知時のトルク絞り量変化率で正の値)
(2)FlgADH=0の時次のような演算で求められるトルク絞り量制限値dTrqLIMまで一定変化率でトルク絞り量を減少させる。
dTrqLIM=k*(TrqRef0−dTrqADH0)
(kは0から1までのあらかじめ設定した定数であり、例えば0.1(10%))
(a)dTrqADH>dTrqLIMの時dTrqADH=∫(−ddTrqADHL)・dt(ddTrqADHLは空転検知復帰のトルク絞り量変化率で正の値)
(b)dTrqADH<dTrqLIMの時dTrqADH=dTrqLIMに制限する。dTrqADH=dTrqLIMが成立している時間Tlimが、一定値TlimSET以上になった場合には、一定変化率でトルク絞り量dTrqADHをゼロまで減少させる。
【0043】(1)Tlim<TlimSETの時dTrqADH=dTrqLIM(2)Tlim>TlimSETの時*FlgTrqKEEP=0の時dTrqADH=∫(−ddTrqADHL2)・dt(ddTrqADHL2はゼロまで復帰時のトルク絞り量変化率で正の値)
*FlgTrqKEEP=1の時dTrqADH=dTrqADH (保持)
なお、図3は、トルク絞り量演算部12の基本動作を示す概要図である。
【0044】トルク指令補正部15においては、運転台からのトルク指令値TrqRefと、トルク絞り量dTrqADHと、トルク指令補正値ΔTrqADH3とを入力として、次のような演算により、新たなトルク指令値TrqRefを求めて出力する。
【0045】TrqRef=TrqRef−dTrqADH−ΔTrqADH3なお、図4は、本実施の形態の車両制御装置における全体制御の基本動作を示す概要図である。
【0046】上述したように、本実施の形態の車両制御装置では、以上のようにしてトルク指令値を求めるようにしているので、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、再空転の頻発を抑制することができるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0047】(第2の実施の形態:請求項1、請求項3に対応)本実施の形態の車両制御装置は、図1に示す前述した第1の実施の形態における車両制御装置と同一であり、トルク絞り量演算部12の有する機能を異なるものとしている。
【0048】すなわち、本実施の形態では、トルク絞り量演算部12は、前記加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグによって、この加速度空転検知フラグの立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグの立ち下がりによりトルク絞り量を前記運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減してその値を保持する動作を基本とし、空転速度制御部14から出力されるトルク指令補正値が一定量以下の小さい値になった場合にのみトルク絞り量をゼロに戻す機能を有するものとしている。
【0049】次に、以上のように構成した本実施の形態の車両制御装置の動作について説明する。
【0050】なお、加速度空転検知部11、空転速度演算部13、空転速度制御部14、およびトルク指令補正部15の動作については、前述した第1の実施の形態と同一であるのでその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。
【0051】トルク絞り量演算部12においては、加速度空転検知フラグFlgADHと、トルク指令補正値ΔTrqADH3と、運転台からのトルク指令値TrqRefとを入力として、次のような順序で、トルク絞り量dTrqADHを求めて出力する。
【0052】すなわち、加速度空転検知フラグFlgADHの立ち上がり時(FkgADH=0→1)のトルク指令値TrqRefと、トルク絞り量dTrqADHとを、それぞれTrqRef0、dTrqADH0として保持する。
【0053】トルク指令補正値ΔTrqADH3と、あらかじめ設定した値ΔTrqADH3setとの大小関係を比較することにより、トルク絞り量ゼロ復帰フラグFlgTrqZER0を求める。
【0054】
(1)ΔTrqADH3>ΔTrqADH3setの時FlgTrqZER0=0(2)ΔTrqADH3<ΔTrqADH3setの時FlgTrqZER0=1(1)FlgADH=1の時一定変化率でトルク絞り量dTrqADHを増加させる。
dTrqADH=∫ddTrqADHU・dt(ddTrqADHUは空転検知時のトルク絞り量変化率で正の値)
(2)FlgADH=0の時次のような演算で求められるトルク絞り量制限値dTrqLIMまで一定変化率でトルク絞り量を減少させる。
dTrqLIM=k*(TrqRef0−dTrqADH0)
(kは0から1までのあらかじめ設定した定数であり、例えば0.1(10%))
(a)dTrqADH>dTrqLIMの時dTrqADH=∫(−ddTrqADHL)・dt(ddTrqADHLは空転検知復帰のトルク絞り量変化率で正の値)
(b)dTrqADH<dTrqLIMの時dTrqADH=dTrqLIMに制限する。トルク絞り量ゼロ復帰フラグFlgTrqZER0が1の場合には、dTrqADHがゼロとなるように一定変化率でトルク絞り量を減少させる。
【0055】(1)FlgTrqZER0=0の時dTrqADH=dTrqLIM(2)FlgTrqZER0=1の時dTrqADH=f(−ddTrqADHL2)・dt(ddTrqADHL2はゼロまで復帰時のトルク絞り量変化率で正の値)
dTrqADH<0になったら、dTrqADH=0に制限する。
【0056】上述したように、本実施の形態の車両制御装置では、以上のようにしてトルク指令値を求めるようにしているので、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、再空転の頻発を抑制することができるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0057】(第3の実施の形態:請求項1、請求項4に対応)本実施の形態の車両制御装置は、図1に示す前述した第1の実施の形態における車両制御装置と同一であり、空転速度制御部14の有する機能を異なるものとしている。
【0058】すなわち、本実施の形態では、空転速度制御部14は、図6に示すように、空転速度制御部14からの出力であるトルク指令補正値に一定の制限値を設け、このトルク指令補正値がその制限値以上の値になった場合には、制限値をトルク指令補正値として出力するようにしている。
【0059】次に、以上のように構成した本実施の形態の車両制御装置の動作について説明する。
【0060】なお、加速度空転検知部11、トルク絞り量演算部12、空転速度演算部13、およびトルク指令補正部15の動作については、前述した第1の実施の形態と同一であるのでその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。
【0061】空転速度制御部14においては、空転速度演算部13から出力される空転速度dFrを入力として、次のような演算により、トルク指令補正値ΔTrqADH3を求めて出力する。
【0062】ΔTrqADH3=K−dFr(Kは正の定数)
なお、Kの代わりに、一般的な伝達関数G(s)で表わしても同様である。
【0063】上記の演算で求めたトルク指令補正値ΔTrqADH3が、あらかじめ設定したトルク指令補正制限値ΔTrqADH3LIMよりも大きい場合には、トルク指令補正値ΔTrqADH3を制限する。
【0064】
(1)ΔTrqADH3>ΔTrqADH3LIMの時ΔTrqADH3=ΔTrqADH3LIM(2)ΔTrqADH3<ΔTrqADH3LIMの時ΔTrqADH3=ΔTrqADH3上述したように、本実施の形態の車両制御装置では、以上のようにしてトルク指令値を求めるようにしているので、車体速度を複数の駆動車輪の速度最低値から推定するようなシステムにおいて、全ての車輪が空転を起こしてしまうような厳しい路面状況において、空転速度制御部14のみでのトルク指令値補正に陥って空転速度発散してしまうのを防止することが可能となり、かつ前述した第1の実施の形態の場合と同様に、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、再空転の頻発を抑制することができるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0065】(第4の実施の形態:請求項1、請求項5に対応)図7は、本実施の形態による車両制御装置の構成例を示す機能ブロック図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0066】すなわち、本実施の形態では、図7に示すように、空転速度制御部14は、前記空転速度演算部13から出力される空転速度と、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグとを入力として、この加速度空転検知フラグが空転検知を示す値となった場合に空転速度を所望の値に制御するようなトルク指令補正値の演算を開始し、この演算したトルク指令補正値が一定値以下になったらこのトルク指令補正値をゼロにするようにしている。
【0067】次に、以上のように構成した本実施の形態の車両制御装置の動作について説明する。
【0068】なお、加速度空転検知部11、トルク絞り量演算部12、空転速度演算部13、およびトルク指令補正部15の動作については、前述した第1の実施の形態と同一であるのでその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。
【0069】空転速度制御部14においては、空転速度演算部13から出力される空転速度dFrと、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグFlgADHとを入力として、次のような演算により、トルク指令補正値ΔTrqADH30を求めて出力する。
【0070】ΔTrqADH30=K−dFr(Kは正の定数)
なお、Kの代わりに、一般的な伝達関数G(s)で表わしても同様である。
【0071】上記の演算結果、および加速度空転検知フラグFlgADHに基づいて、空転速度制御オンフラグFlgADH3onを設定する。
(1)FlgADH=1の時FlgADH3on=1(2)FlgADH=0かつΔTrqADH30<ΔTrqADH3offの時FlgADH3on=0ただし、ΔTrqADH3offはあらかじめ設定した正の値。
【0072】空転速度制御オンフラグFlgADH3onにより、トルク指令補正値ΔTrqADH3を求めて出力する。
【0073】(1)FlgADH3on=1の時ΔTrqADH3=ΔTrqADH30(2)FlgADH3on=0の時ΔTrqADH3=0上述したように、本実施の形態の車両制御装置では、以上のようにしてトルク指令値を求めるようにしているので、速度センサのノイズ等に起因する空転速度制御での不必要なトルク補正を防止することが可能となり、かつ前述した第1の実施の形態の場合と同様に、空転検知後のトルク指令値保持時間を適度に短かく設定しても、再空転の頻発を抑制することができるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0074】(第5の実施の形態:請求項1、請求項6に対応)本実施の形態の車両制御装置は、図1に示す前述した第1の実施の形態における車両制御装置と同一であり、トルク絞り量演算部12の有する機能を異なるものとしている。
【0075】すなわち、本実施の形態では、トルク絞り量演算部12は、図8に機能ブロック図を示すように、再粘着トルク絞り量演算部121と、トルク復帰制限部122と、空転回数計測部123と、トルク絞り量保持判定部124とから構成している。
【0076】再粘着トルク絞り量演算部121は、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグを入力とし、トルク絞り量を演算し出力する。
【0077】空転回数計測部123は、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグと、トルク復帰制限部122から出力されるトルク絞り量とを入力として、空転回数を演算し出力する。
【0078】トルク絞り量保持判定部124は、空転速度制御部14から出力されるトルク指令補正値と、あらかじめ設定した値との大小関係から、トルク絞り量保持フラグを演算し出力する。
【0079】トルク復帰制限部122は、再粘着トルク絞り量演算部121から出力されるトルク絞り量と、空転回数計測部123から出力される空転回数と、トルク絞り量保持判定部124から出力されるトルク絞り量保持フラグと、運転台からのトルク指令値と、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグとを入力として、トルク絞り量を演算し出力する。
【0080】以上により、トルク絞り量演算部12は、加速度空転検知部11から出力される加速度空転検知フラグによって、この加速度空転検知フラグの立ち上がりにより一定量のトルク絞り量を出力し、加速度空転検知フラグの立ち下がりによりトルク絞り量を運転台からのトルク指令値に一定比率を乗じた値に低減してその値を一定時間保持する動作を基本とし、加速度空転検知の回数が増加するに応じてこの保持時間を一定比率で増加させるようにしている。
【0081】次に、以上のように構成した本実施の形態の車両制御装置の動作について説明する。
【0082】なお、加速度空転検知部11、空転速度演算部13、空転速度制御部14、およびトルク指令補正部15の動作については、前述した第1の実施の形態と同一であるのでその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。
【0083】トルク絞り量演算部12の再粘着トルク絞り量演算部121においては、次のような演算により、トルク絞り量dTrqADH0を求めて出力する。
【0084】(1)FlgADH=1の時一定変化率でトルク絞り量dTrqADH0を増加させる。
dTrqADH0=∫ddTrqADHU・dt(ddTrqADHUは空転検知時のトルク絞り量変化率で正の値)
(2)FlgADH=0の時一定変化率でトルク絞り量dTrqADH0を減少させる。
dTrqADH0=∫−ddTrqADHL・dt(ddTrqADHLは空転復帰時ののトルク絞り量変化率で正の値)
上記の演算で求めたdTrqADH0がゼロ以下になった時は、値をゼロに制限する。
【0085】
dTrqADH0<0の時、dTrqADH0=0空転回数計測部123においては、加速度空転検知フラグFlgADHと、トルク復帰制限部122から出力されるトルク絞り量dTrqADHとを入力として、空転回数CntADHを求めて出力する。
【0086】
(1)FlgADHが0から1に変化した時CntADH=CntADH+1(2)dTrqADH=0かつFlgAD=0の時CntADH=0トルク絞り量保持判定部124においては、トルク指令補正値ΔTrqADH3と、あらかじめ設定した値ΔTrqADH3setとの大小関係を比較することにより、トルク絞り量保持フラグFlgTrqKEEPを求める。
【0087】
(1)ΔTrqADH3>ΔTrqADH3setの時FlgTrqKEEP=1(2)ΔTrqADH3<ΔTrqADH3setの時FlgTrqKEEP=0トルク復帰制限部122においては、再粘着トルク絞り量演算部121から出力されるトルク絞り量dTrqADH0と、空転回数計測部123から出力される空転回数CntADHと、トルク絞り量保持判定部124から出力されるトルク絞り量保持フラグFlgTrqKEEPと、運転台からのトルク指令値TrqRefと、加速度空転検知フラグFlgADHとを入力として、次のような演算により、トルク絞り量を求めて出力する。
【0088】加速度空転検知フラグFlgADHの立ち上がり時(FkgADH=0→1)のトルク指令値TrqRef、トルク絞り量dTrqADHとを、それぞれTrqRef0、dTrqADH0として保持する。
【0089】空転回数CntADHに応じて、トルク保持時間TlimSETを演算する。
【0090】TlimSET=aXTlim+b(a,bは正の定数)
次のような演算で求められるトルク絞り量制限値dTrqLIMで、トルク絞り量dTrqADH0を制限する。
【0091】dTrqLIM=k*(TrqRef0−dTrqADH0)
(kは0から1までのあらかじめ設定した定数であり、例えば0.1(10%))
(1)dTrqADH0>dTrqLIMの時dTrqADH=dTrqADH0(2)dTrqADH0<dTrqLIMの時dTrqADH=dTrqLIMdTrqADH=dTrqLIMが成立している時間Tlimが、上記の演算により求めたTlimSET以上になった場合には、一定変化率でトルク絞り量dTrqADHをゼロまで減少させる。
【0092】(a)Tlim<TlimSETの時dTrqADH=dTrqLIM(b)Tlim>TlimSETの時*FlgTrqKEEP=0の時dTrq7XDH=∫(−ddTrqADHL2)・dt(ddTrqADHL2はゼロまで復帰時のトルク絞り量変化率で正の値)
*FlgTrqKEEP=1の時dTrqADH=dTrqADH (保持)
上述したように、本実施の形態の車両制御装置では、以上のようにしてトルク指令値を求めるようにしているので、路面状況の悪い時間が継続しても、再空転の頻発を抑制することができるため、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両制御装置によれば、空転検知後のトルク指令値値保持時間を適度に短かく設定しても、あるいは路面状況の悪い時間が継続しても、再空転の頻発を抑制することができ、乗り心地の向上、摩擦力の有効利用を図ることが可能となる。
【0094】また、車体速度を複数の駆動車輪の速度最低値から推定するようなシステムにおいて、全ての車輪が空転を起こしてしまうような厳しい路面状況において、空転速度制御部のみでのトルク指令値補正に陥って空転速度発散してしまうのを防止することが可能となる。
【0095】さらに、速度センサのノイズ等に起因する空転速度制御での不必要なトルク補正を防止することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年7月8日(1999.7.8)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2001−25110(P2001−25110A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−194495