| 【発明の名称】 |
電気自動車のモータトルク制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】尾崎 真仁
【氏名】半田 和功
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| 【要約】 |
【課題】車両の発進時等にアクセル操作に応じた円滑且つ自然な加速を実現できる電気自動車のモータトルク制御装置を提供する。
【解決手段】車速検出手段13にて検出された車速に基づいてクリープトルクを設定し、アクセル操作量設定手段12にて検出されたアクセル操作量に基づいてアクセルトルクを設定し、これらのクリープトルクとアクセルトルクとを加算して力行トルク指令値を算出するように構成し、その結果、発進のためにアクセル操作を開始した時点で直ちにアクセルトルクを立ち上げて速やかに発進可能とし、且つ、発進後もクリープトルクを力行トルク指令値に反映させて、その急減を未然に防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速機のシフト位置を検出するシフト位置検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、前記シフト位置検出手段にて走行シフト位置が検出されたときに、前記車速検出手段にて検出された車速に基づいてクリープトルクを設定するクリープトルク設定手段と、前記アクセル操作量検出手段にて検出されたアクセル操作量に基づいてアクセルトルクを設定するアクセルトルク設定手段と、前記クリープトルク設定手段にて設定されたクリープトルクと、前記アクセルトルク設定手段にて設定されたアクセルトルクとを加算して駆動トルクを算出する駆動トルク算出手段と、前記駆動トルク算出手段にて算出された駆動トルクに基づいて車両のモータを駆動制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする電気自動車のモータトルク制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クリープ現象を発生させるようにした電気自動車(ハイブリッド車を含む)のモータトルク制御手段に関するものである。 【0002】 【関連する背景技術】一般に電気自動車では駆動源であるモータを任意に停止可能なため、例えば自動変速機付き内燃機関を備えた車両のような所謂クリープ現象、即ち、停車時等にトルクコンバータを介したトルク伝達によって車両が僅かに前進する現象は基本的に生じない。しかしながら、このクリープ現象は、渋滞時に車両を容易に微速前進できること、或いは登坂路での発進の際にブレーキからアクセルに踏み代えても後退を防止できること等の利点があるため、運転操作の面からは好ましい特性とされており、しかも、このようなクリープ現象を生ずる車両が広く普及している現状では、逆にクリープ現象を生じないとユーザに違和感を抱かれる可能性もある。 【0003】このような要望に答えるべく、積極的にクリープ現象を発生させる対策を講じた電気自動車が提案されている。周知のように電気自動車では、アクセル操作量より設定した力行トルク指令値に基づいてモータの力行トルク(駆動トルク)を制御し、もってアクセル操作に応じた駆動力を得ているため、アクセル操作量が0付近では力行トルク指令値も0になり、これがクリープ力を得られない原因である。そこで、アクセル操作量が0付近の領域では、所定のクリープトルクを力行トルク指令値として設定することで、クリープ力を得るようにした対策が実施されている。 【0004】上記対策では、車両の発進に伴ってアクセル操作量が0から増加すると、力行トルク指令値は、クリープトルクから本来のアクセル操作量に応じた値(以下、アクセルトルクという)に切換えられることになるが、その切換制御については種々の方法が提案されている。その1例として、アクセル操作量が0から増加した時点でクリープトルクからアクセルトルクに切換える方法が挙げられ、又、別の方法として、アクセルトルクが増加してクリープトルクを上回った時点でクリープトルクからアクセルトルクに切換える方法が挙げられる。 【0005】しかしながら、前段の方法では、アクセルを踏み込んだ瞬間のアクセルトルクが0に限りなく近いことから、アクセル操作したにも拘わらず力行トルク指令値はクリープトルクから一旦0付近まで落ち込むことになり、平坦路では瞬間的な車速低下が生じ、登坂路では不用意な後退が生じて、円滑な加速が望めないという不具合がある。又、後段の方法では、アクセルトルクがクリープトルクを上回るまでは、力行トルク指令値として一定値のクリープトルクが設定されることから、アクセル操作に対して加速反応が遅れて不自然な印象を与えるという不具合がある。 【0006】そこで、上記2種の方法の折衷案として、アクセルトルクが増加してクリープトルクを上回るまではアクセルトルクにクリープトルクを加算した値を力行トルク指令値として設定して、アクセルトルクがクリープトルクを上回った時点でアクセルトルクのみに切換える方法が提案されている。即ち、アクセル操作の開始当初からアクセルトルクを力行トルク指令値に反映させることにより、加速反応の遅れを解消し、更にアクセルトルクがクリープトルクを上回った時点で切換を行うことにより、力行トルク指令値が0付近まで落ち込むことを防止している。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した折衷案では、切換時に力行トルク指令値がクリープトルク相当分だけ低下することには変わりない。図2は登坂路での発進状況を表し、図中において折衷案は二点鎖線で示しているが、発進後にアクセルトルクがクリープトルクを上回ったポイントaの時点でクリープトルクが0まで減少されるため、力行トルク指令値が急減してしまう。急減後も力行トルク指令値はアクセルトルク相当分だけ残っているため、0まで落ち込む場合に比較すれば影響は小さいものの、車両の後退は避けられずに円滑な加速が望めない。 【0008】そこで、本発明の目的は、車両の発進時等にアクセル操作に応じた円滑且つ自然な加速を実現することができる電気自動車のモータトルク制御装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、シフト位置検出手段にて走行シフト位置が検出されたときに、車速検出手段にて検出された車速に基づいてクリープトルクを設定するクリープトルク設定手段と、アクセル操作量設定手段にて検出されたアクセル操作量に基づいてアクセルトルクを設定するアクセルトルク設定手段と、クリープトルク設定手段にて設定されたクリープトルクと、アクセルトルク設定手段にて設定されたアクセルトルクとを加算して駆動トルクを算出する駆動トルク算出手段と、算出された駆動トルクに基づいて車両のモータを駆動制御する駆動制御手段とを備えた。従って、車両の加速に伴ってクリープトルクからアクセルトルクに切換えることなく、クリープトルクとアクセルトルクとを加算してモータの駆動トルクが算出されることから、発進時には、アクセル操作を開始した時点で直ちにアクセルトルクが立ち上げられて、その値が駆動トルクに反映されるため、発進が速やかに開始されて極めて自然な加速感が得られ、又、発進後もクリープトルクが駆動トルクに反映され続けるため、駆動トルクの急減が未然に防止されて、車両を円滑に加速可能となる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した電気自動車のモータトルク制御装置の一実施形態を説明する。図1は全体構成を示しており、車両に搭載されたバッテリ1は、駆動制御手段としてのインバータ回路2を介して走行用モータ3に接続され、図示はしないがモータ3の出力軸は、トランスミッション及びデファレンシャルギア等を介して左右の駆動輪と連結されている。インバータ回路2は、以下に詳述するように設定される力行トルク指令値に基づいてバッテリ1の電圧を周波数制御してモータ3に供給して力行トルク(駆動トルク)を制御し、もって車両を走行駆動する。又、惰性走行のように駆動輪からの回生トルクとしてモータ3が逆駆動されたときには、インバータ回路2はモータ3で発生した電力をバッテリ1に蓄電する。 【0011】一方、車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)11が設置されている。ECU11の入力側には、運転者によるアクセルの操作量Accを検出するアクセル操作量検出手段としてのアクセルセンサ12、車速Vを検出する車速検出手段としての車速センサ13、運転者にて選択されたパーキング(P)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)、リバース(R)等のトランスミッションのシフト位置を検出するシフト位置検出手段としてのシフト位置センサ14、運転者によるフットブレーキの操作量Brc状態を検出するブレーキセンサ15、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ16、及びその他の各種センサ類やスイッチ類が接続されている。又、ECU11の出力側には前記インバータ2や車両の各種アクチュエータ類が接続されている。 【0012】次に、上記のように構成された電気自動車のモータトルク制御装置により行われるモータの力行トルク制御、特に力行トルク指令値の設定手順について詳述する。図1のECU11内は、力行トルク指令値の設定手順を模式的に表しており、この力行トルク指令値を算出するために、アクセルトルクとクリープトルクとの2つのパラメータが取り扱われている。ECU11はマップM1に従って、アクセルセンサ12にて検出されたアクセル操作量Accからアクセルトルクを求め(アクセルトルク設定手段)、又、マップM2に従って、車速センサ13にて検出された車速Vからクリープトルクを求める(クリープトルク設定手段)。図から明らかなように、アクセルトルクは、アクセル操作量Accの増加に比例して0を起点として増加するように設定され、又、クリープトルクは、極低車速域(本実施形態では0〜3km/h程度)で一定値に保持され、その領域を越えると一定比率で減少した後に0に保持されるように設定される。 【0013】一方、ECU11はシフト位置センサ14にて検出されたシフト位置がD位置又はR位置(走行シフト位置)であり、且つ、ブレーキセンサ15にて検出されたブレーキ操作量Brcが最大操作量に比較して20%未満であるとき、パーキングブレーキスイッチ16が非作動状態のとき、図中のスイッチSをON側に切換える。その結果、上記のようにマップM1で設定されたアクセルトルクに対してマップM2で設定されたクリープトルクを加算した値が力行トルク指令値としてインバータ回路2に入力される(駆動トルク算出手段)。又、シフト位置又はブレーキ操作量Brcが上記以外の条件のときには、スイッチSをOFF側に切換える。このときには、マップM2の設定に関係なくクリープトルクとして0が設定されることから、実質的にアクセルトルクが力行トルク指令値としてインバータ回路2に入力される。 【0014】以上の力行トルク指令値の設定により、車両の走行時のクリープ現象は以下に述べるように奏せられる。例えば、登坂路において車両を発進させる場合を図2の実線に従って説明すると、発進直前ではシフト位置がP位置又はN位置(非走行シフト位置)であったり、或いはフットブレーキが強く踏み込まれたりしていることから、上記シフト位置及びブレーキ操作量Brcに関する条件が満たされずにスイッチSがOFFされ、クリープトルクとして0が設定されている。つまり、このように非走行シフト位置で運転者に走行意思がないとき、或いはブレーキ操作により車両の後退が防止されているときには、クリープ現象が必要ないと見なしているのである。 【0015】そして、運転者にてシフト位置がD位置に切換えられ、発進のためにフットブレーキへの踏込み力が次第に緩めると、ブレーキ操作量Brcが20%未満となった時点でスイッチSがONされて、クリープトルクとしてマップ設定値が適用され、そのクリープトルクが力行トルク指令値として設定されて、車両の駆動力が発生する。運転者はブレーキペダルからアクセルペダルに踏み代えてアクセル操作を開始し、その時点よりアクセルトルクが0から増加して、駆動力が登坂路の勾配抵抗を上回ると車両が発進する。尚、上記のようにフットブレーキの制動力が残っている(ブレーキ操作量Brcで20%程度)時点でクリープ現象が発生するため、ペダル踏み代えの際の車両の後退は支障がない程度に抑制される。換言すれば、適切なタイミングでクリープ現象が発生するように、例えば車重等に応じてブレーキ操作量Brcの条件を適宜設定すればよい。 【0016】その後は、上記シフト位置及びブレーキ操作量Brcに関する条件が満たされ続けるため、アクセルトルクにクリープトルクを加算した値が力行トルク指令値として設定され続ける。そして、マップM2の特性に従ってクリープトルクは、車速Vが3km/h程度を越えると一定比率で減少して最終的に0となることから(図2では減少途中までを表している)、その後は実質的にアクセルトルクが力行トルク指令値とされ、アクセル操作量Accに基づいて車両の駆動力が制御される。 【0017】以上のように本実施形態のモータトルク制御装置では、従来例で種々の方法で実施していたクリープトルクからアクセルトルクへの切換制御を廃止して、アクセルトルクにクリープトルクを加算した値を力行トルク指令値として設定している。従って、車両の発進時には、アクセル操作を開始した時点で直ちにアクセルトルクが立ち上げられて、その値が力行トルク指令値に反映されるため、発進が速やかに開始されて極めて自然な加速感が得られる。又、発進後もクリープトルクが力行トルク指令値に反映され続けるため、図2に二点鎖線で示す従来例のような力行トルク指令値の急減が未然に防止され、その結果、登坂路での発進時には不用意な後退が防止され、平坦路での発進時には瞬間的な車速低下が防止されて、車両を円滑に加速可能となる。よって、本実施形態のモータトルク制御装置によれば、車両の発進時等にアクセル操作に応じた円滑且つ自然な加速を実現することができる。 【0018】以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、車速Vが3km/h程度を越えると、マップM2の特性に従ってクリープトルクを0まで減少させている。この特性は、それ以上の車速域でクリープ現象が不用であるとの知見の基に設定されたものであるが、マップM2の特性を変更してもよい。 【0019】又、上記実施形態では、ブレーキ操作量Brcが20%以上、パーキングブレーキスイッチ16が作動状態のときにクリープ現象の必要がないと見なして、スイッチSの切換によりクリープトルクを0に設定した。これは無用なバッテリ消費を抑制する意味もあるが、このブレーキ操作量Brc及びパーキングブレーキに関する要件は必ずしも設定する必要はなく、例えば、この要件を省略して、走行シフト位置のときにはブレーキ操作に関係なくクリープ現象を発生させるようにしてもよい。 【0020】 【発明の効果】以上説明したように本発明の電気自動車のモータトルク制御装置によれば、車両の発進時等にアクセル操作に応じた円滑且つ自然な加速を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月5日(1999.7.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090022 【弁理士】 【氏名又は名称】長門 侃二
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| 【公開番号】 |
特開2001−25109(P2001−25109A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−190194 |
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