| 【発明の名称】 |
車両用燃料電池システムの出力補正制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】齋藤 和男
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、燃料電池の発電状態を精度よく判断することができる車両用燃料電池システムの出力補正制御装置を提供することにある。
【解決手段】燃料電池制御装置51は、燃料電池スタック15に要求される要求出力Pout に対応する電流特性を表す初期時の初期出力特性を予め内部ROMに記憶しておき、初期出力特性から要求出力Pout に対応する要求電流Iout_1を算出し、燃料電池スタック15から出力される出力電流をこの要求電流Iout_1 に一時的に固定する。ここで、燃料電池スタック15から出力される電流Isen 及び電圧Vsen に基づいて、実際出力を算出し、この実際出力と要求出力Pout との比較により燃料電池スタック15の発電状態を判断する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料電池に要求される要求出力に対応する電流特性を表す初期時の初期出力特性を予め記憶する記憶手段と、初期出力特性から要求出力に対応する要求電流を算出する要求電流算出手段と、燃料電池から出力される出力電流をこの要求電流に一時的に固定する出力電流固定手段と、燃料電池から出力される電流及び電圧に基づいて、実際出力を算出する実際出力算出手段と、この実際出力と要求出力との比較により燃料電池の発電状態を判断する発電状態判断手段とを備えたことを特徴とする車両用燃料電池システムの出力補正制御装置。 【請求項2】 前記燃料電池に加わる圧力及び温度に応じて、燃料電池から取り出し可能な出力に関する補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記燃料電池に要求される要求出力を補正係数を用いて補正する要求出力補正手段と、この補正後の要求出力が補正前の要求出力と一致しない場合には、補正係数を用いて前記初期出力特性を補正する出力特性補正手段と、補正後の第2の出力特性から要求出力に対応する第2の要求電流を算出する第2の要求電流算出手段を備え、前記出力電流固定手段により燃料電池から出力される出力電流をこの第2の要求電流に一時的に固定することを特徴とする請求項1記載の車両用燃料電池システムの出力補正制御装置。 【請求項3】 前記第2の要求電流算出手段は、第2の要求電流を算出できない場合には、補正後の第2の出力特性から算出可能な最大の要求電流を算出する最大要求電流算出手段と、この最大の要求電流で要求出力となる設定可能な最大圧力を算出する最大圧力算出手段とを備え、前記燃料電池に加わる圧力を最大圧力になるように制御するとともに、前記出力電流固定手段により燃料電池から出力される出力電流をこの最大の要求電流に一時的に固定することを特徴とする請求項2記載の車両用燃料電池システムの出力補正制御装置。 【請求項4】 前記燃料電池の圧力が上げられない場合には、燃料電池の出力が制限されていることを報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の車両用燃料電池システムの出力補正制御装置。 【請求項5】 前記発電状態判断手段は、前記燃料電池の実際出力と要求出力とが一致しない場合には、燃料電池が劣化していと判断し、燃料電池から出力される電流及び電圧、前記要求出力に基づいて、燃料電池の劣化係数を算出する劣化係数算出手段を備え、前記補正係数算出手段により算出される補正係数を補正することを特徴とする請求項2記載の車両用燃料電池システムの出力補正制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池の発電状態を精度よく判断して、燃料電池からの実際出力が要求出力になるように制御する車両用燃料電池システムの出力補正制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、車両用燃料電池システムの出力補正制御装置としては、燃料電池からの実際出力が要求出力になるように制御する場合に、燃料電池の発電状態に応じて取り出し可能な出力を補正するものが知られている。 【0003】この出力補正制御装置では、車両側コントローラから要求された要求出力を燃料電池から取り出す場合に、要求出力と実際出力との間に差異が生じたときには、走行時にモニタしている燃料電池スタックの電流、電圧、改質ガス圧力、温度等の瞬時データを用いて、燃料電池の発電状態に応じて取出し可能な出力を補正するようにしていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の燃料電池自動車にあっては、走行中に常に変動する燃料電池の検出電流信号や検出電圧信号をサンプリングしたもの用いて、燃料電池の発電状態を求めていた。 【0005】このため、特に頻雑に車両が加減速して、燃料電池から出力される電流や電圧が大きく変動するような状況でサンプリングした場合、燃料電池の定常時の電流電圧特性とのずれが大きくなっていた。その結果、燃料電池の発電状態を精度よく判断することが困難になるといった問題があった。 【0006】また、この際には、燃料電池を制御するために用いる補正量もずれるため、燃料電池に要求される要求出力になるまでの応答時間が大きくなるといった問題があった。 【0007】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、燃料電池の発電状態を精度よく判断することができる車両用燃料電池システムの出力補正制御装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、燃料電池に要求される要求出力に対応する電流特性を表す初期時の初期出力特性を予め記憶する記憶手段と、初期出力特性から要求出力に対応する要求電流を算出する要求電流算出手段と、燃料電池から出力される出力電流をこの要求電流に一時的に固定する出力電流固定手段と、燃料電池から出力される電流及び電圧に基づいて、実際出力を算出する実際出力算出手段と、この実際出力と要求出力との比較により燃料電池の発電状態を判断する発電状態判断手段とを備えたことを要旨とする。 【0009】請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、前記燃料電池に加わる圧力及び温度に応じて、燃料電池から取り出し可能な出力に関する補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記燃料電池に要求される要求出力を補正係数を用いて補正する要求出力補正手段と、この補正後の要求出力が補正前の要求出力と一致しない場合には、補正係数を用いて前記初期出力特性を補正する出力特性補正手段と、補正後の第2の出力特性から要求出力に対応する第2の要求電流を算出する第2の要求電流算出手段を備え、前記出力電流固定手段により燃料電池から出力される出力電流をこの第2の要求電流に一時的に固定することを要旨とする。 【0010】請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記第2の要求電流算出手段は、第2の要求電流を算出できない場合には、補正後の第2の出力特性から算出可能な最大の要求電流を算出する最大要求電流算出手段と、この最大の要求電流で要求出力となる設定可能な最大圧力を算出する最大圧力算出手段とを備え、前記燃料電池に加わる圧力を最大圧力になるように制御するとともに、前記出力電流固定手段により燃料電池から出力される出力電流をこの最大の要求電流に一時的に固定することを要旨とする。 【0011】請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、前記燃料電池の圧力が上げられない場合には、燃料電池の出力が制限されていることを報知する報知手段を備えたことを要旨とする。 【0012】請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、前記発電状態判断手段は、前記燃料電池の実際出力と要求出力とが一致しない場合には、燃料電池が劣化していと判断し、燃料電池から出力される電流及び電圧、前記要求出力に基づいて、燃料電池の劣化係数を算出する劣化係数算出手段を備え、前記補正係数算出手段により算出される補正係数を補正することを要旨とする。 【0013】 【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、燃料電池に要求される要求出力に対応する電流特性を表す初期時の初期出力特性を予め記憶しておき、初期出力特性から要求出力に対応する要求電流を算出し、燃料電池から出力される出力電流をこの要求電流に一時的に固定する。ここで、燃料電池から出力される電流及び電圧に基づいて、実際出力を算出し、この実際出力と要求出力との比較により燃料電池の発電状態を判断することで、燃料電池の発電状態を精度よく判断することができる。 【0014】また、請求項2記載の本発明によれば、燃料電池に加わる圧力及び温度に応じて、燃料電池から取り出し可能な出力に関する補正係数を算出し、燃料電池に要求される要求出力を補正係数を用いて補正する。そして、この補正後の要求出力が補正前の要求出力と一致しない場合には、補正係数を用いて初期出力特性を補正し、補正後の第2の出力特性から要求出力に対応する第2の要求電流を算出することで、燃料電池から出力される出力電流をこの第2の要求電流に一時的に固定するようにしているので、要求出力を補正した場合でも、燃料電池の発電状態を精度よく判断することができる。また、車両運転時の応答性を向上することができる。 【0015】また、請求項3記載の本発明によれば、第2の要求電流を算出できない場合には、補正後の第2の出力特性から算出可能な最大の要求電流を算出し、この最大の要求電流で要求出力となる設定可能な最大圧力を算出することで、燃料電池に加わる圧力を最大圧力になるように制御するとともに、燃料電池から出力される出力電流をこの最大の要求電流に一時的に固定するようにしているので、例えば補正係数が小さすぎて第2の要求電流が算出できない場合でも、燃料電池の発電状態を精度よく判断することができる。 【0016】また、請求項4記載の本発明によれば、燃料電池の圧力が上げられない場合には、燃料電池の出力が制限されていることを報知することで、燃料電池の発電状態を運転者に報知することができる。 【0017】また、請求項5記載の本発明によれば、燃料電池の実際出力と要求出力とが一致しない場合には、燃料電池が劣化していと判断し、燃料電池から出力される電流及び電圧、要求出力に基づいて、燃料電池の劣化係数を算出することで、燃料電池から取り出し可能な出力に関する補正係数を補正するようにしているので、燃料電池が劣化した場合でも、燃料電池自動車の運転性能の低下を防止することができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 【0019】図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料電池自動車に搭載される燃料電池システムの構成を示す図である。 【0020】燃料改質器11では、炭化水素やアルコール等から水素を含む改質ガスを生成させている。一方、コンプレッサ13では、空気を圧縮して燃料電池スタック15や燃料改質器11に供給している。 【0021】燃料電池スタック15では、燃料改質器11からの改質ガスに含まれる水素、コンプレッサ13からの空気に含まれる酸素を用いて発電する。電力分配器17では、燃料電池スタック15が発電した電力を車両負荷19と二次電池21に分配する。 【0022】車両負荷19は、車両を駆動するモータやその他の補機を駆動する場合に生じる負荷である。二次電池21は、車両負荷と並列に接続され、制動時の回生によってモータから回収された電力を充電するとともに、急加速時にモータへ供給する電力を補助する。 【0023】燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出される排空気の配管途中には、燃料電池スタック15に流入する排空気の圧力を調整するために圧力調整弁31が設けられている。また、燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出される排改質ガスの配管途中には、燃料電池スタック15に流入する改質ガスの圧力を調整する圧力調整弁33が設けられている。 【0024】スタック電圧センサ35及びスタック電流センサ37は、燃料電池スタック15により発電された電圧及び電流をそれぞれ検出して燃料電池制御装置51に出力する。 【0025】圧力センサ41は、燃料改質器11から燃料電池スタック15に流入する改質ガスの配管途中に設けられ、改質ガスの圧力を検出して燃料電池制御装置51に出力する。圧力センサ43は、コンプレッサ13から燃料電池スタック15に流入する空気の配管途中に設けられ、空気の圧力を検出して燃料電池制御装置51に出力する。 【0026】温度センサ45,47は、燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出さる排改質ガス及び排空気の配管途中にそれぞれ設けられ、排改質ガス及び排空気の温度を検出して燃料電池制御装置51に出力する。 【0027】燃料電池制御装置51には、制御データを記憶するRAMと、制御プログラムと初期出力特性OPini 及び水素利用率テーブルを記憶するROMと、制御プログラムに従って燃料電池システムを制御するCPUとを内部に備えている。 【0028】駆動制御装置53は、車両負荷19をなすそれぞれの補機が要求する電力を総和して車両負荷電力を算出し、二次電池21に残存する電力容量と車両負荷電力に基づいて、燃料電池スタック15に要求する要求出力Pout を算出して燃料電池制御装置51に発信するとともに、燃料電池スタック15が発電した電力を車両負荷19と二次電池21に分配するための分配比を算出して電力分配器17に発信する。 【0029】次に、図2は、燃料電池スタック15から取り出せる電流と電力との関係を示す図である。 【0030】電気自動車の動力源となる電圧300V前後、電流300A程度までの領域においては、図2に示すように、スタック電流とスタック電力が1対1で対応することを示している。この関係は、改質ガス、空気の圧力、またスタック温度が高い程同じ電流値に対して電力が大きくなることを表している。 【0031】次に、図3は、燃料電池スタック15に加わる圧力、又は温度に対して、取り出し可能な出力を演算する際に必要な要求出力に対する補正係数の関係を示す図である。 【0032】補正係数は電流依存性があり、図3に示すように、電流が大きくなるほど補正係数は低くなる方向にシフトすることを表している。 【0033】次に、図4は、出力補正制御処理を行う際に用いる燃料電池スタック15の初期出力特性及び補正出力特性を示す図である。 【0034】駆動制御装置53からの要求出力に対して、燃料電池スタック15の発電状態を考慮せずに初期出力特性OPini から算出される電流値で出力した場合に、燃料電池スタック15が劣化したときには、要求出力を満足しなくなる。そこで、補正係数により初期出力特性OPini を補正して補正出力特性を算出し、さらに、補正出力特性から要求出力に対する補正電流を算出し、燃料電池スタック15からの出力電流をこの補正電流で出力するように制御すればよい。 【0035】次に、図5は、燃料電池スタック15の目標電圧に対して、実際の検出電圧との比が水素利用率に換算可能であることを示す図である。 【0036】水素利用率は、燃料電池スタック15に流れた水素の総量に対する消費した水素の比率を示したものである。燃料電池自動車では、図5に示すように、水素利用率が70〜80%程度での使用を前提としている。 【0037】次に、図3〜図5を参照して、図6に示すフローチャートに従って、燃料電池制御装置51による通常の出力補正制御処理、スタックの発電状態に応じた出力補正制御処理について説明する。 【0038】まず、燃料電池制御装置51による通常の出力補正制御処理について説明する。 【0039】ステップS5では、圧力センサ41から改質ガスの圧力を検出し、温度センサ45からスタック温度を検出し、現在の補正係数Kr を、図3に示すように、ガス圧力による補正係数Kp 、スタック温度による補正係数Kt 、さらに、スタックの劣化度合いを表す劣化係数Kd に基づいて、【数1】Kr =Kp ×Kt×Kdとして、規定時間毎に算出する。 【0040】なお、ステップS5での算出処理が初回の場合には、劣化係数Kd =1として算出処理することとする。 【0041】そして、ステップS10では、駆動制御装置53から要求出力Pout を受信した場合には、駆動制御装置53からの要求出力Pout を内部RAMに保持しておくこととする。なお、駆動制御装置53から要求出力Pout を受信できなかった場合には、内部RAMに保持しておいた前回の受信時の要求出力Pout を読み出しておくこととする。 【0042】そして、ステップS20では、図4を参照して、初期出力特性OPini から要求出力Pout に対応する要求出力変換電流Iout_1 に変換する。同時に、要求出力Pout に現在の補正係数Kr を乗算して補正し、補正要求出力Pout_1 を求める。 【0043】そして、ステップS30では、この補正要求出力Pout_1 と要求出力Pout は一致するかを判断する。両者が一致する場合には、ステップS40に進み、燃料電池スタック15からの出力電流をステップS20で求めた要求出力変換電流Iout_1 で出力し、ステップS110に進む。 【0044】一方、両者が一致しなかった場合には、ステップS50に進み、図4を参照して、現在の補正係数Kr を初期出力特性OPini に乗算して求めた補正出力特性OPini_r から要求出力Pout に対応する補正電流Iout_2 を読み取る。 【0045】そして、ステップS60では、図4を参照して、初期出力特性OPini から補正電流Iout_2 を読み取れたかを判断する。補正電流Iout_2 を読み取れた場合には、ステップS70に進み、燃料電池スタック15からの出力電流をステップS50で求めた補正電流Iout_2 で出力し、ステップS110に進む。 【0046】一方、補正電流Iout_2 を読み取れなかった場合には、現在の補正係数Kr が小さすぎて補正電流Iout_2 が補正出力特性OPini_2 上に存在しないので、ステップS80に進み、燃料電池スタック15の入口に設けられた圧力センサ41から改質ガスの圧力を読み取り、現在の圧力が所定値を超えずに上げられる状態にあるかを判断する。 【0047】改質ガスの圧力を上げられる場合には、ステップS90に進み、補正出力特性OPini_2 上で出力可能な最大出力電流Iout_2maxを読み取り、この最大出力電流Iout_2maxで要求出力Pout となる設定可能な最大の圧力を逆算する。そして、燃料電池スタック15の入口に設けられた圧力センサ45で検出しつつ、改質ガスの圧力が算出した設定可能最大圧力まで燃料電池スタック15の出口に設けられた圧力調整弁33を制御して圧力を上げる。この結果、燃料電池スタック15からの出力電流を求めた最大出力電流Iout_2maxで出力され、ステップS110に進む。 【0048】なお、この場合には、出力電流の不足分は二次電池21から放電して補償しながら改質ガスの圧力を上げるよう制御する。また、【数2】Iout_2 =Iout_2maxに達したときには、二次電池21からの出力補償を停止する。 【0049】一方、改質ガスの圧力を上げられない場合には、ステップS100に進み、出力制限警告信号を駆動制御装置53に発信する。そして、燃料電池スタック15からの出力電流を上述のように求めた最大出力電流Iout_2maxで出力し、ステップS110に進む。 【0050】この場合、駆動制御装置53は燃料電池制御装置51から出力制限警告信号を受信するので、メータパネル上に設けられた表示部に警告を表示して、運転者に出力制限領域に入ったことを報知する。 【0051】なお、【数3】Iout_2 >Iout_2maxとなっている間に圧力の上限値に達してしまった場合は、二次電池21による出力補償を続行する。しかし、二次電池21の電力容量もなく出力補償が続行不可能になった場合には、同様に、出力制限領域に入ったことを警告表示して報知する。 【0052】また、補正係数Kr は一定時間毎に更新されるので、同時に補正電流Iout_2も更新される。この結果、更新された補正電流Iout_2 が出力制限領域から出力可能領域に復帰した場合には、上述した警告表示を解除するために、警告解除信号を駆動制御装置53に発信する。この場合、駆動制御装置53は燃料電池制御装置51から警告解除信号を受信するので、メータパネル上の表示部から警告表示を解除して、運転者に出力可能領域に入ったことを報知する。 【0053】上述したように、ステップS40,S70,S90,S100により、燃料電池スタック15から出力される出力電流が一時的に固定される。 【0054】次に、燃料電池制御装置51による燃料電池スタック15状態による出力補正制御を説明する。 【0055】まず、ステップS110では、スタック電圧センサ35及びスタック電流センサ37によりそれぞれ検出されたスタック電圧Vsen 及びスタック電流Isen を入力する。なお、次回にステップS110での検出処理が実行されるまで、今回の検出値は、燃料電池制御装置51内のRAMに保持され、その間の過不足分は二次電池21による充放電により補償することとする。 【0056】そして、ステップS120では、【数4】Iout_2 ≦Iout2_maxであることを前提とし、検出されたスタック電流Isen 、スタック電圧Vsen による実際出力、サンプリング開始時の要求出力Pout から出力目標許容幅△Pを減算した値が、【数5】Isen ×Vsen <(Pout −△P) となるか比較する。 【0057】ただし、スタック電圧Vsen の低下下限電圧をスタック下限電圧Vlow とすると、【数6】Vsen ≧Vlowである。 【0058】ここで、【数7】Isen ×Vsen ≧(Pout −△P) が成立している場合には、燃料電池スタック15の発電状態に劣化等の問題がないので出力を継続させるために、ステップS5に戻り、処理を繰り返す。 【0059】一方、この不等式(7)が成立していない場合には、燃料電池スタック15への水素流量が不足し、規定の水素利用率が得られていないと判断する。 【0060】そして、ステップS130では、電圧目標値として、【数8】Vout =Pout /Isenを算出する。 【0061】さらに、検出電圧Vsen と目標電圧Vout とがなす電圧比率として、【数9】電圧比率=Vsen /Voutを算出する。 【0062】ここで、図5を参照して、燃料電池制御装置51内のROMに予め記憶されている電圧比率Vsen /Voutに対する水素利用率テーブルから現状の水素利用率を算出する。 【0063】そして、ステップS140では、目標とする水素利用率となるように燃料改質器11に対して水素の増量要求を出力する。燃料電池制御装置51から水素の増量要求を受信した燃料改質器11は、水素の増量要求に応じて改質ガスの生成量を増量する。 【0064】この水素流量の補正後に、ステップS150では、再度、スタック電流Isen、スタック電圧Vsen で表す実際出力と要求出力Pout を比較し、【数10】Pout =Isen ×Vsen両者が一致するかを判断する。 【0065】ここで、両者が一致する場合には、ステップS5に戻り、上述した受信判断処理を繰り返す。 【0066】一方、両者が一致しない場合には、水素流量の補正後も実際出力が不足しているので、燃料電池スタック15が劣化していると判断する。 【0067】そして、ステップS160では、劣化係数Kd として、【数11】Kd =Vsen /Voutを算出する。 【0068】この際、燃料電池スタック15の劣化により出力が制限される可能性が大きくなったことを表す警告信号や、劣化係数Kd が0.8以下になったときには点検または交換を促す警告信号を駆動制御装置53に発信する。この場合、駆動制御装置53は燃料電池制御装置51から警告信号を受信するので、メータパネル上の表示部に警告表示して、運転者に上述した内容を報知する。 【0069】そして、ステップS5に戻り、処理を繰り返す。この場合、ステップS5では、1未満の新たな劣化係数Kd を用いて現在の補正係数Kr を補正することとなる。 【0070】このように、燃料電池スタックに要求される要求出力に対応する電流特性を表す初期時の初期出力特性を予め記憶しておき、初期出力特性から要求出力に対応する要求電流を算出し、燃料電池スタックから出力される出力電流をこの要求電流に一時的に固定する。ここで、燃料電池スタックから出力される電流及び電圧に基づいて、実際出力を算出し、この実際出力と要求出力との比較により燃料電池スタックの発電状態を判断することで、燃料電池スタックの発電状態を精度よく判断することができる。 【0071】また、燃料電池スタックに加わる圧力及び温度に応じて、燃料電池スタックから取り出し可能な出力に関する補正係数を算出し、燃料電池スタックに要求される要求出力を補正係数を用いて補正する。そして、この補正後の要求出力が補正前の要求出力と一致しない場合には、補正係数を用いて初期出力特性を補正し、補正後の第2の出力特性から要求出力に対応する第2の要求電流を算出することで、燃料電池スタックから出力される出力電流をこの第2の要求電流に一時的に固定するようにしているので、要求出力を補正した場合でも、燃料電池スタックの発電状態を精度よく判断することができる。また、車両運転時の応答性を向上することができる。 【0072】さらに、第2の要求電流を算出できない場合には、補正後の第2の出力特性から算出可能な最大の要求電流を算出し、この最大の要求電流で要求出力となる設定可能な最大圧力を算出することで、燃料電池スタックに加わる圧力を最大圧力になるように制御するとともに、燃料電池スタックから出力される出力電流をこの最大の要求電流に一時的に固定するようにしているので、例えば補正係数が小さすぎて第2の要求電流が算出できない場合でも、燃料電池スタックの発電状態を精度よく判断することができる。 【0073】さらにまた、燃料電池スタックの圧力が上げられない場合には、燃料電池スタックの出力が制限されていることを報知することで、燃料電池スタックの発電状態を運転者に報知することができる。 【0074】また、燃料電池スタックの実際出力と要求出力とが一致しない場合には、燃料電池スタックが劣化していと判断し、燃料電池スタックから出力される電流及び電圧、要求出力に基づいて、燃料電池スタックの劣化係数を算出することで、燃料電池スタックから取り出し可能な出力に関する補正係数を補正するようにしているので、燃料電池スタックが劣化した場合でも、燃料電池自動車の運転性能の低下を防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月9日(1999.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−25106(P2001−25106A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−196158 |
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