| 【発明の名称】 |
リニアモータ式カプセル型搬送装置及びその非磁性金属パイプ |
| 【発明者】 |
【氏名】石塚 仁司
【氏名】藤沢 友二
【氏名】荒木 修
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| 【要約】 |
【課題】リニアモータ式カプセル型搬送装置のリニアチューブを構成するパイプとして適切な物性を備えた材料を選定し、搬送装置の運転コスト低減を図る。
【解決手段】パイプ2として非磁性金属を用い、カプセル4がリニアチューブ1内を走行中にパイプ2に発生させる渦電流を抑制するための溝9をパイプ2に設ける。溝9の形態は、パイプ2の長手方向に平行な直線状、当該パイプの長手方向に進む螺旋状、又はパイプの長手方向に並んだリング状のいずれかであり、溝9の配設面は、パイプの内周面又は外周面である。溝9内部には、非磁性樹脂を充填する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の間隔をあけて配置され極性が変換可能な励磁コイルを外周面に備えた非磁性金属パイプと、永久磁石を備えたカプセルとを有し、前記カプセルが前記励磁コイル及び前記永久磁石による電磁力作用により前記非磁性金属パイプ内を移動するリニアモータ式カプセル型搬送装置における、リニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプであって、前記非磁性金属パイプの内周面もしくは外周面の片面のみ又は内周面と外周面との両面に、前記カプセルが前記非磁性金属パイプ内を移動中に当該非磁性金属パイプに発生する渦電流を抑制するための溝が設けられていることを特徴とする、リニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプ。 【請求項2】 前記非磁性金属パイプに設けられている溝は、当該非磁性金属パイプの長手方向に平行な線状、当該パイプの長手方向に進む螺旋状、又は当該パイプの長手方向に並んだリング状のいずれか1種以上である請求項1記載の、リニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプ。 【請求項3】 前記非磁性金属パイプに設けられている前記溝の内部には、非磁性樹脂が充填されている、請求項1又は2記載の、リニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプ。 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプを具備していることを特徴とするリニアモータ式カプセル型搬送装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、地上及び/又は地下に敷設されたパイプラインを用いて物資を効率よく、高速で搬送するための物流用リニアモータ式カプセル型搬送装置のリニアチューブの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】小荷物、鉱石あるいは産業廃棄物等の物資を運搬する物流システムとして、パイプラインを利用したカプセル・パイプライン輸送システムが知られている。このシステムは、物流センターと配送センターとの間のような複数地点間にパイプラインを敷設し、この中を物資が収納されたカプセルを走行させて物資を目的地へ搬送するものである。このようなカプセル・パイプライン輸送システムの従来技術として、パイプの外周面に極性変換可能な励磁コイルを所定の間隔毎に巻いてリニアチューブを構成し、一方、荷物が収納されるカプセル側に永久磁石を装備し、パイプ内をリニアモータ駆動によりカプセルを走行させる技術が知られている。 【0003】図12に、従来のリニアモータ式カプセル型搬送装置におけるリニアチューブ及びカプセルの構成を説明する一部切り欠き斜視図を示す。同図に示すように、リニアチューブ1はパイプ2と環状の励磁コイル3とからなっている。パイプ2は、長手方向に多数接合されて内部をカプセル4が走行可能なトンネル状となっており、励磁コイル3は、所定の間隔をあけてパイプ2全長にわたり設けられている。一方、カプセル4は、カプセル本体5に永久磁石6及び走行用の車輪7が設けられている。 【0004】カプセル4は、カプセル本体5内部に荷物を格納し、走行用の車輪7によりカプセル本体5とパイプ2内面との接触を避けつつ、リニアチューブ1の内部を高速で走行する。走行原理は、位置検出装置がカプセル4の位置を検知し、励磁コイルの電流を調節することである。当該カプセル4に装備された永久磁石と、リニアチューブ1に装備された走行時前方側にある位置検出装置がカプセル4の位置を検知すると、励磁コイルとの間に吸引力が作用するように励磁コイルに電流を流し、次いで、次の位置検出装置がカプセル4の位置を検知する、あるいはその励磁コイルを通過すると、永久磁石とその励磁コイルとの間に反発力が作用するように、その励磁コイルに電流を流す。これを順次繰り返してリニアチューブ1内をカプセル4が走行する。 【0005】上記リニアモータ式カプセル型搬送装置において、走行中のカプセルの走行抵抗を減らして効率的な運転をするために、例えば特開平3−103005号公報及び特開平5−64313号公報によれば、リニアチューブを構成するパイプの材質として非磁性金属あるいはFRPのような非磁性樹脂が使用されている。このようにパイプに非磁性体を使用することにより、カプセルに装備された永久磁石の移動磁界によってパイプに誘起される渦電流の発生を小さくするか、あるいはそれをなくすことにより、カプセルの走行抵抗を低減ないし抑止している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来、リニアモータ式カプセル型搬送装置により物資を輸送するに当たり、その運転コストを安価にすることが望まれている。従来技術によれば、リニアチューブを構成するパイプ材質として、上述したような非磁性体を使用することにより、本搬送装置の運転コスト低減に寄与することができる。 【0007】しかしながら、パイプ材質としてFRP等の非磁性樹脂を使用する場合には、カプセルへの可載重量を大きく設計しようとする場合、剛性を確保するためにパイプの肉厚をかなり厚くすることが必要となる。その結果、パイプ外周部に巻装された励磁コイルと、パイプ内部のカプセルに装備された永久磁石との間の距離が大きくなり、電磁的相互作用が弱まる。従って、カプセルの推力を確保するために、励磁コイルに流す電流を増加させなければならない。このようにカプセルへの可載重量の増加対策を考慮した場合、搬送装置の運転コストが増大する。 【0008】これに対して、パイプ材質としてSUS304のような非磁性金属を使用する場合は、強度的に優れているのでFRP等の非磁性樹脂よりもパイプの肉厚を格段に薄くすることができるので、この点に関しては有利である。しかしながら、カプセルの走行速度の速い搬送装置を設計しようとする場合には、カプセルの永久磁石の移動磁界によりパイプに誘起される渦電流が大きくなり、その結果カプセルの走行抵抗が増加する。 【0009】このように、従来技術においては、リニアチューブを構成するパイプとして適切な物性を備えた材料を選定し、搬送装置の運転コスト低減を図ることが望まれる。 【0010】この発明においては、大重量の積載荷物を高速且つ高効率で搬送することができるリニアモータ式カプセル型搬送装置のリニアチューブを提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、上記問題を解決するに当たり、カプセルへの可載重量の増加に対して強度的に十分に耐えることができ、耐久性にも優れた搬送装置とすることを優先させて、パイプの構成材料を金属製とし、更に非磁性金属材料に限定した。このような前提条件の下に、永久磁石を装備したカプセルがリニアチューブ内を走行中に、非磁性金属製のパイプに発生する渦電流をできるだけ小さく抑えることを考えた。それにより、その走行抵抗の増加を抑制することができる高効率のリニアチューブを開発することとした。 【0012】本発明者等は、上述した観点から鋭意研究を重ね、カプセルが走行中に発生するリニアチューブの金属製パイプに誘起される渦電流の形成深さは、パイプの物性及びカプセルの走行速度により決定されることに着眼した。そこで、渦電流の形成深さに応じて適切な深さの溝を、カプセルと共に走行する永久磁石に近接する側のパイプ表面、即ちパイプ内周面側に造ることにより渦電流を遮断して、当該渦電流に起因するカプセルの走行抵抗を軽減させることを着想した。 【0013】図1は、金属製パイプに誘起される渦電流が、パイプの肉厚方向に造られた各種形状の溝により影響されて変化する状態を模式的に説明する図である。同図(a)は溝を造らなかった場合、(b)は肉厚に対して貫通溝を造った場合、(c)及び(d)はパイプ内周面にそれぞれ深い溝及び浅い溝を造った場合、そして(e)はパイプ外周面に溝を造った場合である。図1に示したようなパイプに造られた各種形状の溝によるカプセルの走行抵抗に及ぼす影響度を比較推定するために、10mm厚さ×50mm幅×45mm長さのSUS304ステンレス鋼板の長さ中央部に幅5mmで各種深さの溝を加工し、この上表面を摩擦抵抗0(ゼロ)の仮想状態で、10mm幅×10mm高さ×45mm長さの永久磁石を、一定の相対速度10m/sで動かした時に発生する渦電流による消費電力の計算、及びステンレス鋼板に形成される渦電流パターンの解析をした。消費電力が大きいほど、走行抵抗が大きくなる。消費電力及び渦電流パターンの解析方法は、有限積分法により行なった。上記解析に当たりステンレス鋼板及び永久磁石の分割方法例を、図1(c)につき図2に例示する。 【0014】表1に、溝の各種試験条件に対する消費電力算定値を示す。また、図3に、溝を造らなかった場合(図1(a))のパイプ内周面相当平面上における渦電流パターン、図4に、パイプ内周面に溝を造った場合(但し、図1(c))のパイプ内周面相当平面上における渦電流パターン、そして、図5に、パイプ外周面に溝を造った場合(図1(e))のパイプ肉厚相当側面における渦電流パターンの解析結果を図示する。 【0015】 【表1】
【0016】上記計算結果及び解析結果より、リニアチューブを構成する金属製パイプに所定の溝を造ることにより、永久磁石の運動により本来当該金属製パイプに誘起されるべき渦電流パターンを当該溝により細分化して、渦電流の発生に起因するカプセルの走行抵抗を減少させることが有効であることを知見した。 【0017】なお、この発明においては、金属性パイプに巻かれた励磁コイルによる磁束密度の変化よりも、カプセルに取り付けられて物理的に移動する永久磁石の磁束密度の変化の方が1桁数値が大きいので、永久磁石の磁界のみを対象とすればよいことがわかった。 【0018】この発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は次の通りである。即ち、請求項1記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプは、所定の間隔をあけて配置され極性が変換可能な励磁コイルを外周面に備えた非磁性金属パイプと、永久磁石を備えたカプセルとを有し、上記カプセルが上記励磁コイル及び上記永久磁石による電磁力作用により上記非磁性金属パイプ内を移動するリニアモータ式カプセル型搬送装置における、リニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプであって、上記非磁性金属パイプの内周面もしくは外周面の片面のみ又は内周面と外周面との両面に、上記カプセルが上記非磁性金属パイプ内を移動中に当該非磁性金属パイプに発生する渦電流を抑制するための溝が設けられていることに特徴を有するものである。 【0019】この発明は、パイプの内周部に溝を設けることにより、カプセルがリニアチューブ内を走行中に、カプセルの永久磁石により渦電流が発生することを抑制する。この溝は、渦電流が発生する位置がパイプの内周部の表層に集中していることから、パイプの板厚全体を貫通して設ける必要はなく内周部の表層のみでよい。なお、渦電流がパイプの板厚全体に及ぶ場合は、パイプの外周部に溝を設けてもよい。溝として必要な深さは、カプセルの走行速度、永久磁石の磁力の大きさ、及びパイプ材料の物性により異なるが、実験等により容易に決定することができる。 【0020】請求項2記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプは、請求項1記載の非磁性金属パイプに設けられている溝が、当該非磁性金属パイプの長手方向に平行な線状、当該パイプの長手方向に進む螺旋状、又は当該パイプの長手方向に並んだリング状のいずれか1種以上であることに特徴を有するものである。 【0021】例えば、溝の形態としては、渦電流を抑制できるものであれば形態は問わない。この発明では、溝の形態を、特にパイプの長手方向に平行な線状、螺旋状、又は当該パイプの長手方向に並んだリング状としてもよく、このような形態にするには、図11の説明で後述するように、予め非磁性金属板に所要の溝を造っておき、パイプに製管すればよいので、溝の造形が効率的である。 【0022】請求項3記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプは、請求項1又は2記載の非磁性金属パイプに設けられている上記溝の内部に、非磁性樹脂が充填されていることに特徴を有するものである。 【0023】例えば、この発明では、溝の内部に非磁性樹脂が充填されているので、カプセルの車輪が溝の縁に衝突することがない。従って、カプセルの内容物に衝撃を与えないので、衝撃に弱い荷物を搬送できる。また、溝が埋まっているので、ごみがたまったりしない。 【0024】請求項4記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置は、請求項1、2又は3記載のリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプを具備していることに特徴を有するものである。 【0025】 【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照しながら説明する。 【0026】図6に、この発明のリニアモータ式カプセル型搬送装置における非磁性金属パイプを用いたリニアチューブ5と、これにカプセルを挿設した状態を説明する一部切り欠き斜視図を示す。図6に示したリニアチューブ5及びカプセル4の構成は、図12の構成と一見類似しているが、パイプ2にカプセル5の走行抵抗防止用の溝9が設けられている点において大きく異なる。以下、この発明の特徴であるパイプ2に造るべき溝9の形態について説明する。 【0027】先ず、永久磁石6a、6bの磁束の変化率に比例して導体である金属製のパイプ2に誘起される誘導起電力の大きさは、パイプ2の透磁率と導電率に影響される。即ち、パイプ2の透磁率が大きい場合はパイプ肉厚表層部の磁束密度が大きくなり、渦電流は流れやすくなる。また、パイプ2の導電率が大きい場合も渦電流に対する電気抵抗が小さいので、渦電流は流れやすくなる。従って、パイプ2の材質としては、カプセル4の積載重量を考慮した強度設計に加えて、透磁率が小さく、導電率が小さいものを選定して誘起される渦電流の大きさを抑制し、カプセル4の走行抵抗低減を図るのが望ましい。 【0028】こうして材質が決定されたパイプ2に発生する渦電流は、パイプ2の内面表層(ここでは、カプセル4に装備された永久磁石6a、6bは、パイプ2の内周面側を走行運動するので、パイプ2の内面側表層)に流れ、それは表面から肉厚(管厚)内部に向かうにつれて減衰する。渦電流が流れるパイプ2表面からの深さの限界、即ち渦電流のパイプ2内面表層に対する浸透深さ(侵入長)δは、静止導体であるパイプ2表面をある磁束密度が角周波数ωをもって振動しているいるとき、下記(1)式:δ={2/(ωμσ)}1/2 (1) 但し、ω=2πff:永久磁石の走行運動に伴う磁束密度変化の周波数μ:パイプ構成物質の透過率σ:パイプ構成物質の導電率で表わされる。 【0029】ここで、パイプ2構成物質が上記の通りその強度設計により非磁性金属の所定材料に決められた場合には、パイプ2の透過率μ及び導電率σが定まるので、渦電流の浸透深さδは、永久磁石の走行運動に伴う磁束密度変化の周波数fに依存して決定される。即ち、渦電流の浸透深さδはリニアチューブ5内のカプセル4走行速度に依存する。 【0030】従って、カプセル4の走行速度、例えば定格走行速度に基づき渦電流の浸透深さδを算定し、パイプ2内面に造るべき溝9の深さを決定する。溝9の深さとしては、渦電流の浸透深さδ以下であってできるだけ深く設定すれば、渦電流に対する遮断作用により高抵抗を得ることができ、渦電流によるカプセル4に対する走行抵抗の低減に効果が発揮される。 【0031】カプセル4の走行速度の制御は、この搬送システムのリニアモータにおいてパイプ2に巻装された磁化コイル3に流す、後述する電流切換時間の制御により行なう。先ず、図7に、この発明のリニアモータ式カプセル型搬送装置におけるカプセルの走行機構例の説明図を示す。 【0032】同図において、各励磁コイル3の前後にカプセル4を検知するためのカプセル検知センサ10が設置されており、励磁コイル3の前側のカプセル検知センサ10が、カプセル4を検知した時点でその位置確認を行う。カプセル4の永久磁石6a(又は)6bが励磁コイル3の時定数で定まる適切な位置にきたら、励磁コイル3の電流を切り換え、励磁コイル3、3間の中央で、励磁コイル3と永久磁石6a(又は6b)との吸引力が最大になるように電流を流す。電流切換は信号用ケーブル13を通して極性変換装置14で行なう。 【0033】次いで、次のカプセル検知センサ10がカプセル4を検知したら、次の励磁コイル3、3間の中央で、励磁コイル3と永久磁石6a(又は6b)との反発力が最大になるように電流を切り換える。以上の制御を繰り返してカプセル4を走行させる。 【0034】上記において、区間センサ11と区間電源切換装置12とにより、電源ケーブル15でカプセル4が走行している区間のみの励磁コイル3に電流を流すようにする。カプセル4の速度制御は、上記において励磁コイル3の切換時間から算出し、これに基づき励磁コイル3に供給する電流を制御して行なう。 【0035】なお、パイプの形状は、円形に制限せず、角形でもよい。また、パイプ2の一部分が開放された半割パイプ2’における励磁コイルは、馬蹄形励磁コイル3’に変形させて装備する。 【0036】溝9の幅については、カプセル4を支持する走行用の車輪7の幅よりも狭く、車輪7がこれに落ち込んだりしないことが必要である。また、パイプ2の強度を低下させないために狭くした方がよい。パイプ2に溝を造ってカプセル4の走行抵抗を低減させるメカニズムは前述した通り渦電流を溝により遮断することにあるから、溝9の形態は、図8に示すようにパイプの長手方向に平行な直線状の他に、図9に示す螺旋状、図10に示すリング状のいずれでもよい。 【0037】また、リニアチューブに装備すべき部品類の設置場所取り等のために、溝9をパイプ内面に造ることができない場合には、渦電流の浸透深さδがパイプ2の肉厚を超える場合であれば、パイプ2の外周面に所定の溝を造っても有効である(図1(e)参照)。更に、この発明におけるパイプ2の溝9の空間には、不良導体からなる物質を充填しても渦電流の形成を促進することがないので、リニアチューブの設計上、適宜、非磁性樹脂を充填してもよい。 【0038】次に、上述したこの発明に係るパイプ2の製作方法について説明する。図11に、内面に溝9を有するパイプ2の製作方法を模式的に示す。予め溝9が加工された金属板16を製作し(a)、その側部をプレス機17で曲げ加工し(b)、ベンディングロール18又はベンディングプレスで円筒状に成形し(c)、次いで、得られた素管19の継ぎ目を溶接接合して所要のパイプを製作する。ここで、パイプ材質はSUS304その他の非磁性ステンレス鋼、アルミニウムあるいはその他の非磁性金属を使用する。従って、その溶接方法は材質に応じた従来の適切な溶接方法から適宜選定する。また、金属板の前処理、成形加工、溶接及び精整の各工程は既存の連続工程で行ない、パイプ品質の均質化を図ることができる。 【0039】パイプの製作方法は上記以外に、金属コイルからスパイラル管を製造する方法に従ってもよい。なお、上記いずれの溶接方法においても、片面溶接で行い、パイプの内周面又は外周面に接合部開先を残し、これを溝にしてもよい。 【0040】 【実施例】この発明を、実施例によって更に説明する。図6に示した装置のモデル試験装置として、下記仕様のパイプ及びカプセルを試作し、パイプに発生する渦電流によるカプセルの走行抵抗低減に対する溝の形成効果について試験した。 【0041】非磁性金属パイプとして内径300mm、肉厚6mmのアルミニウム製のパイプを使用し、所定間隔で励磁コイルを4巻き装備した。一方、カプセルには、前後端部に走行用の車輪をそれぞれ複数個ずつ設け、また当該前後端部に円周方向に分割された永久磁石を所定の間隔、この場合は励磁コイルの間隔の2.5倍以上の間隔で取り付けた。永久磁石のポールピッチは50mmとした。このように製作したカプセルを、上記パイプ内部を10m/sで走行させることにした。 【0042】上記試験条件において、パイプに誘起される移動磁界の周波数fは200Hzになり、この場合、パイプに発生する渦電流の浸透深さδは4.5mmと計算される。そこで、深さ4.5mm、幅1mmの溝をパイプの長手方向に平行に直線状に10条造ったパイプを用いて試験した。一方、比較例として、溝が造られていない点のみが上記本発明の実施例で用いたパイプと異なるパイプを用いて試験した。 【0043】試験方法は、パイプ内にセットしたカプセルに各種水準の力を作用させ、各種初速の走行運動を起こさせた。そしてカプセルが停止するまでの時間を測定し、パイプに付与した初速と停止するまでの時間とから減速時のマイナスの加速度を求め、当該加速度の絶対値vにカプセルの総質量を乗じてカプセルに作用した走行抵抗Rを求めた。そして、走行抵抗Rと初速vとの関係を、実施例及び比較例のそれぞれにつき求めた。その結果、下記近似式が得られた。即ち、 実施例において:R=15v+30(N)…………(2) 比較例において:R=60v+30(N)…………(3) 上記(2)式と(3)式との比較から明らかなように、パイプに溝を造った実施例においては、溝を造らなかった比較例よりもカプセルに作用した走行抵抗は小さく、その速度依存性が著しく小さいことがわかる。 【0044】以上より、パイプに適切な溝を造ったリニアチューブを用いることにより、カプセルに装備された永久磁石によってパイプに誘起される渦電流が及ぼす当該カプセルの走行抵抗の低減に著しい効果を発揮することがわかる。 【0045】 【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、下記効果が得られる。 【0046】(1)カプセルの走行抵抗を低減させることができ、消費電力が低減するので、運転コストを低減することができる。 【0047】(2)リニアチューブ用のパイプ材料として、FRP等の高価な非磁性樹脂を用いず非磁性金属を用いることができるので、当該パイプの製造コストを低減することができる。 【0048】(3)パイプに装着する励磁コイルの発熱を熱伝達率のよい金属に逃がすことができるので、励磁コイルへの最大通電量を増やすことが可能となり、これにより最大走行速度を上げることができる。 【0049】この発明により、上記効果が得られるリニアモータ式カプセル型搬送装置の非磁性金属パイプ、及びそのような非磁性金属パイプを備えたリニアモータ式カプセル型搬送装置を提供することができ、工業上極めて有用な効果がもたらされる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月25日(1999.6.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097272 【弁理士】 【氏名又は名称】高野 茂
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| 【公開番号】 |
特開2001−16709(P2001−16709A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−179142 |
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