| 【発明の名称】 |
油圧駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】秀浦 雅美
【氏名】今西 悦二郎
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| 【要約】 |
【課題】アームやブームの良好な操作性を確保しつつ比較的エネルギー効率の高い油圧駆動装置を得る。
【解決手段】油圧ポンプ20にはコントロールバルブ21を介してアームシリンダ22およびブームシリンダ23を接続し、発電機11にはインバータを介してバケット用電動機33などを接続する。油圧ポンプ20側の低負荷時には、発電機11で発電した電気エネルギーをバッテリ32に蓄える。油圧ポンプ20側の高負荷時には、バッテリ32に蓄えられた電気エネルギーで発電機11を電動機として駆動し、そのトルクを油圧ポンプ20に与える。これにより、アームおよびブームの良好な操作性が確保されるとともに省エネルギーを図ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、前記エンジンによって駆動される第1の油圧ポンプと、コントロールバルブを介して前記第1の油圧ポンプに接続された第1の油圧アクチュエータと、電気エネルギーを蓄えるための蓄電手段と、前記エンジンから受け取った機械エネルギーを電気エネルギーに変換して前記蓄電手段に供給する動作と、前記蓄電手段から受け取った電気エネルギーを機械エネルギーに変換して前記第1の油圧ポンプに供給する動作とを選択的に行なうことが可能であるエネルギー変換手段と、前記エネルギー変換手段および前記蓄電手段の少なくともいずれか一方から電気エネルギーの供給を受けて動作部の駆動源となる第1の電動機とを備えていることを特徴とする油圧駆動装置。 【請求項2】 前記第1の電動機の回生制御によって発生する電気エネルギーが前記蓄電手段に蓄えられるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動装置。 【請求項3】 前記第1の電動機によって駆動される第2の油圧ポンプと、前記第2の油圧ポンプによって駆動される第2の油圧アクチュエータとをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の油圧駆動装置。 【請求項4】 前記第1の電動機と前記第2の油圧ポンプと前記第2の油圧アクチュエータとが一体に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の油圧駆動装置。 【請求項5】 前記エネルギー変換手段および前記蓄電手段の少なくともいずれか一方から電気エネルギーの供給を受ける第2の電動機と、前記第2の電動機によって駆動される第3の油圧ポンプとをさらに備えており、前記第3の油圧ポンプからの圧油が、前記第1の油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に供給されるように構成したことを特徴とする請求項3または4に記載の油圧駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油圧駆動装置に関し、特に省エネルギーを図ることができるとともに優れた操作性の実現を可能とした建設機械などの油圧駆動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、油圧ショベル、ホイールローダなどの建設機器やフォークリフトなどの油圧作業機を含む油圧駆動装置として、エンジンの負担や燃料消費率低減などのために動力源としてエンジンのほかに発電機をも備えるようにした、所謂ハイブリッド型のものの開発が進められている。 【0003】ハイブリッド型の油圧駆動装置として、実開平5−48501号公報には、低負荷運転時に発電機で発生した電気エネルギーをバッテリに蓄積し、高負荷運転時にその電気エネルギーを取り出してエンジンの負担を軽減するようにした装置が記載されている。また、特開平8−60705号公報には、エンジンによって直接駆動される油圧ポンプと、発電機および蓄電池に接続されたモータによって駆動される油圧ポンプとによって油圧シリンダを駆動するようにした建設機械の出力支援装置が記載されている。また、特開平10−103112号公報には、エンジンに接続された油圧ポンプによって駆動される油圧アクチュエータのほかに、蓄圧手段に接続された旋回ポンプモータによって駆動される旋回系を具備した油圧駆動装置が記載されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述した公報の技術によると、油圧駆動装置の駆動部分であるアクチュエータがエンジンや蓄圧手段に直結された油圧ポンプによって駆動されることになる。そのため、油圧ショベルのアームやブームを動かす場合には、操作レバーの動きに追従した滑らかな動作を実現することができる。しかしながら、その一方で、アクチュエータを駆動するのにエンジンなどに直結された油圧ポンプを用いることによりエネルギー効率が低くなってしまうという問題があり、上記公報の技術によると、油圧駆動装置の動作部の操作性と比較的高いエネルギー効率との両方を満足させることができなかった。 【0005】そこで、本発明の主な目的は、動作部の良好な操作性を確保しつつ比較的エネルギー効率の高い油圧駆動装置を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の油圧駆動装置は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される第1の油圧ポンプと、コントロールバルブを介して前記第1の油圧ポンプに接続された第1の油圧アクチュエータと、電気エネルギーを蓄えるための蓄電手段と、前記エンジンから受け取った機械エネルギーを電気エネルギーに変換して前記蓄電手段に供給する動作と、前記蓄電手段から受け取った電気エネルギーを機械エネルギーに変換して前記第1の油圧ポンプに供給する動作とを選択的に行なうことが可能であるエネルギー変換手段と、前記エネルギー変換手段および前記蓄電手段の少なくともいずれか一方から電気エネルギーの供給を受けて動作部の駆動源となる第1の電動機とを備えていることを特徴とするものである。 【0007】請求項1の油圧駆動装置によると、エンジンによって駆動される第1の油圧ポンプがコントロールバルブを介して第1の油圧アクチュエータに接続されているので、操作レバーの動きに追従して滑らかに動作させる必要のある例えば油圧ショベルのアームやブームなどの動作部に対して良好な操作性を実現することが可能である。 【0008】また、エネルギー変換手段および蓄電手段の少なくともいずれか一方から電気エネルギーの供給を受ける第1の電動機が動作部の駆動源となるようにしているので、例えば油圧ショベルのバケットや旋回系、走行系などの高い操作性を要求されない動作部の駆動源を第1の電動機とすることにより、従来よりもエネルギー効率を高めることができるようになる。 【0009】すなわち、請求項1の油圧駆動装置では、良好な操作性が要求される動作部を第1の油圧ポンプで駆動し、良好な操作性があまり要求されない動作部の駆動源を第1の電動機とすることにより、動作部の良好な操作性を確保しつつ比較的高いエネルギー効率を実現することが可能になっている。 【0010】また、動作部が第1の油圧ポンプで駆動されるものと第1の電動機で駆動されるものとに分けられるので、これらをそれぞれ比較的小型にして別々の場所に分けて設置することができる。例えば、第1の油圧ポンプを油圧駆動装置の主筐体内に配置するとともに第1の電動機を対応した動作部近傍などに設置することで、一個所に大きなスペースが必要となることがなく、小型の油圧駆動装置を提供することができるようになる。 【0011】さらに、エネルギー変換手段がエンジンから受け取った機械エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄電手段に供給する動作と、蓄電手段から受け取った電気エネルギーを機械エネルギーに変換して第1の油圧ポンプに供給する動作とを選択的に行なうことが可能であるので、第1の油圧ポンプ側の低負荷時にはエンジンの余剰トルクを用いてエネルギー変換手段で発電を行って蓄電手段に電気エネルギーを蓄え、第1の油圧ポンプ側の高負荷時には蓄電手段に蓄えた電気エネルギーを動力源にしてエネルギー変換手段がモータとして第1の油圧ポンプのトルクアシストを行なうようにすることで、エンジンの負担を平滑化して軽減することが可能である。そのため、エンジンは平均的な出力を分担できる程度の大きさのものでよく、最大出力に対応した大型のものである必要がなくなって、エンジンサイズを小さくすることができて排ガスおよび騒音の削減とともに省エネルギーが図れる。 【0012】また、請求項2の油圧駆動装置は、前記第1の電動機の回生制御によって発生する電気エネルギーが前記蓄電手段に蓄えられるようにしたことを特徴とするものである。 【0013】請求項2によると、第1の電動機の回生制御によって発生する電気エネルギーが蓄電手段に蓄えられることにより、エネルギー効率をより一層高めることができるようになる。 【0014】また、請求項3の油圧駆動装置は、前記第1の電動機によって駆動される第2の油圧ポンプと、前記第2の油圧ポンプによって駆動される第2の油圧アクチュエータとをさらに備えていることを特徴とするものである。 【0015】請求項3によると、第1の電動機によって駆動される第2の油圧ポンプによって第2の油圧アクチュエータを駆動するようにしたので、動作部を直線運動させる必要がある場合に大きな推力を与えることができ、しかもラック・ピニオンなどで回転運動を直線運動に変換するよりも構造が簡単である。 【0016】また、請求項4の油圧駆動装置は、前記第1の電動機と前記第2の油圧ポンプと前記第2の油圧アクチュエータとが一体に構成されていることを特徴とするものである。 【0017】請求項4によると、第1の電動機と第2の油圧ポンプと第2の油圧アクチュエータとが一体に構成されていることにより、これらの小型軽量化を図ることができるとともに、第2の油圧アクチュエータを動作させる必要がない場合には対応する第1の電動機および第2の油圧ポンプを停止することによりて余剰な圧油が廃棄されないようにすることができる。従って、エネルギー効率をより一層高めることができるようになる。また、第2の油圧ポンプと第2の油圧アクチュエータとを結ぶ配管を施すことが不要になって、構造が簡単になるとともに油漏れなどが起こる確率を低下させることができる。 【0018】また、請求項5の油圧駆動装置は、前記エネルギー変換手段および前記蓄電手段の少なくともいずれか一方から電気エネルギーの供給を受ける第2の電動機と、前記第2の電動機によって駆動される第3の油圧ポンプとをさらに備えており、前記第3の油圧ポンプからの圧油が、前記第1の油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に供給されるように構成したことを特徴とするものである。 【0019】請求項5によると、第3の油圧ポンプからの圧油が第1の油圧ポンプとコントロールバルブとの間に供給されることにより、この部分の圧油の圧力を一定に保つことができるので、第1の油圧アクチュエータに対する負荷によって操作レバーの動作開始位置が異なるということがなくなり、常に一定の操作レバー位置から第1のアクチュエータが動き始めるようになって操作性が向上する。また、第1の油圧アクチュエータに対する負荷の変動を単にエネルギー変換手段によるトルクアシストで補償するよりも、確実に少ない損失で操作レバーの動作開始位置を一定に保つことが可能となる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。 【0021】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る油圧駆動装置であるショベルの概略構成を示す模式図である。図1において、ショベル1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、掘削アタッチメント4とから構成されている。 【0022】下部走行体2は、左右のクローラフレーム5およびクローラ6(いずれも片側のみ図示)と、クローラ6を回転駆動する左右の走行用電動機38および走行減速機39(いずれも片側のみ図示)とを有している。走行減速機39は、走行用電動機38の回転を減速して走行機構に伝える。 【0023】上部旋回体3は、旋回フレーム8、キャビン9などから成っている。旋回フレーム8には、動力源としてのエンジン10と、エンジン10によって駆動される発電機11および油圧ポンプ20と、バッテリ32と、作動油タンク14と、コントロールバルブ21と、上部旋回体3を回転させるための旋回用電動機36と、旋回用電動機36の回転を減速して旋回機構(旋回歯車)に伝える旋回減速機37とが設置されている。このほか、上部旋回体3内には、インバータ31(図2参照)などを含む制御部(図示せず)が設けられている。 【0024】掘削アタッチメント4は、ブーム17と、伸縮作動してブーム17を起伏させるブームシリンダ23と、アーム19と、アーム19を回動させるアームシリンダ22と、バケット24と、バケット24を回動させるバケットシリンダ35とを具備している。また、バケットシリンダ35には、バケット用電動機33およびこれによって駆動されるバケット用油圧ポンプ(以下、「バケットポンプ」という)34が取り付けられている。バケット用電動機33とバケットポンプ34とバケットシリンダ35は、後述するように一体化されたものが用いられている。 【0025】次に、ショベル1の駆動系について、図2に基づいて説明する。図2は、ショベル1の駆動系を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、発電機11および油圧ポンプ20はともにエンジン10の出力軸に取り付けられている。そして、油圧ポンプ20からの圧油がコントロールバルブ21を介してアームシリンダ22およびブームシリンダ23にそれぞれ供給される。これにより、操作レバーを操作してコントロールバルブ21を制御することにより、アーム19およびブーム17を任意の速度で所定の位置に移動させることができる。 【0026】このように、本実施の形態のショベル1では、オペレータのレバー操作に滑らかに追従する優れた操作性が要求されるアーム19およびブーム17を、電動機などを介すことなく油圧ポンプ20からの圧油によって駆動するようにしている。そのため、オペレータはアーム19およびブーム17の微妙な動きを正確に操作することが可能である。 【0027】また、発電機11は、油圧ポンプ20側が低負荷時には、発電手段としてエンジン10の出力トルクから交流電力を発生してインバータ31に供給し、一方で油圧ポンプ20側が高負荷時には、電動機としてバッテリ32からの電気エネルギーをトルクに変換して油圧ポンプ20を駆動する。低負荷運転と高負荷運転の切り換えは、油圧ポンプ20の後段で測定した圧油の圧力と流量との積に基づいて或いは手動により図示しない制御部の制御によって行ってよい。 【0028】発電機11にはインバータ31が接続されている。インバータ31は、発電機11で発生した交流電力を直流電力に変換してバッテリ32に蓄える通常充電作用、インバータ31に接続された電動機33、36、38の回生作用によって発生した交流電力を直流電力に変換してバッテリ32に蓄える回生充電作用の各作用を行なう。 【0029】また、インバータ31は、バッテリ32に蓄えられた電気エネルギーを交流に変換して電動機33、36、38および/または発電機11に供給する放電作用、発電機11からの交流電力を電動機33、36、38に供給する供給作用の各作用を行なう。これら2つの作用を行う際、インバータ31は交流電流の周波数を制御部からの命令にしたがって任意の値に変更することが可能であり、これによって電動機33、36、38の回転数を制御することができるようになっている。 【0030】インバータ31には3つの電動機33、36、38が接続されている。バケット用電動機33は、上述したようにバケットポンプ34およびバケットシリンダ35とともに一体型アクチュエータとして構成されている。旋回用電動機36および走行用電動機38はそれぞれ旋回減速機37および走行減速機39に連結されている。これら3つの電動機33、36、38は、オペレータの操作によって、それぞれのオンオフ、回転速度および回転方向が制御される。 【0031】このように、本実施の形態のショベル1では、オペレータのレバー操作に滑らかに追従する優れた操作性があまり要求されないバケット24、旋回機構および走行機構を、電動機33、36、38を介して駆動するようにしている。そのため、エンジン10の余剰トルクを利用して蓄電されたバッテリ32の電気エネルギーを有効に用いることができて高いエネルギー効率でショベル1を動作させることができる。 【0032】次に、ショベル1の動作について説明する。油圧ポンプ20側が低負荷時には、エンジン10が運転されると発電機11が発電作用を行い、発生した交流電力がインバータ31を介して電動機33、36、38に供給されることによりこれらの駆動が可能になる。これとともに、エンジン10によって油圧ポンプ20が駆動されるので、コントロールバルブ21を操作することによりアームシリンダ22およびブームシリンダ23を適宜動かすことが可能になる。 【0033】電動機33、36、38は、これらへの合計負荷が小さいときには発電機11からインバータ37経由で供給される交流電力によって駆動される。このとき、発電機11で発電された交流電力は、インバータ31において直流電力に変換されてバッテリ32に蓄えられる。なお、例えばショベル1の走行時のようにアームシリンダ22およびブームシリンダ23を使用しておらず、バッテリ32の蓄電力が十分であり且つ電動機33、36、38への合計負荷が小さいときには、エンジン10の出力を低下させ或いはエンジン10を停止してバッテリ32だけから電動機33、36、38に電力を供給するようにしてもよい。これによって、エンジン10を無駄に動作させるのを防止して騒音および排ガスを削減し、さらに燃料消費率を低減することができる。 【0034】一方、電動機33、36、38の合計負荷が所定値よりも大きくなると、発電機11で発電された交流電力のバッテリ32への蓄電は停止され、そして、電動機33、36、38の駆動エネルギーとして、発電機11から供給された電力だけではなく必要であればバッテリ32に蓄電された電力が併せて用いられる。 【0035】このように、インバータ31は電動機33、36、38の合計負荷が所定値よりも大きいかどうかでその動作が切り換えられ、この切り換えは電動機33、36、38を流れる電流とその電圧の積に基づいて或いは手動により制御部の制御により行われる。 【0036】また、運転中、電動機33、36、38をその位置エネルギーおよび運動エネルギーを利用して発電機として作用(回生作用)させ、これによって発生する回生電力をバッテリ32に蓄えることができる。特に、旋回用電動機36は旋回加速時に大きな運動エネルギーを蓄えることができるので減速時におけるエネルギーの回生効果が高い。 【0037】次に、油圧ポンプ20側が高負荷時には、発電機11は電動機として機能して、バッテリ32を介してインバータ31から受け取った電気エネルギーをトルクに変換して油圧ポンプ20を駆動する。つまり、油圧ポンプ20はエンジンの出力トルクによって駆動されるのに加えて発電機11からのトルクによっても駆動されることになる。これによって、エンジン10の出力が比較的小さい場合であっても比較的大きな負荷にまで油圧ポンプ20が対応することができるようになる。 【0038】このとき、発電機11からインバータ31への電力供給はないので、電動機33、36、38はバッテリ32から供給された電力によって駆動されることになる。 【0039】すなわち、本実施の形態のショベル1では、図3に示すように、エンジン10の出力エネルギーを一定にしておいて、油圧ポンプ20および電動機33、36、38の合計負荷(作業エネルギー)がこの一定値よりも小さいときにバッテリ32が充電され、作業エネルギーが一定値よりも大きいときにバッテリ32が放電されて油圧ポンプ20および/または電動機33、36、38の駆動エネルギーとして用いられることになる。 【0040】このように、本実施の形態のショベル1によると、エンジン10によって駆動される油圧ポンプ20がコントロールバルブ21を介して油圧アクチュエータであるアームシリンダ22およびブームシリンダ23に接続されているので、操作レバーの動きに追従して滑らかに動作させる必要のあるアーム19およびブーム17に対して良好な操作性を実現することが可能である。また、発電機11および/またはバッテリ32から電気エネルギーの供給を受ける電動機33、36、38がバケット24、旋回機構および走行機構の駆動源となるようにしているので、従来よりもエネルギー効率を高めることができるようになる。つまり、本実施の形態のショベル1では、良好な操作性が要求されるアーム19およびブーム17を油圧ポンプ20で駆動し、良好な操作性があまり要求されないバケット24、旋回機構および走行機構の駆動源を電動機33、36、38とすることにより、アーム19およびブーム17の良好な操作性を確保しつつ比較的高いエネルギー効率を実現することが可能である。 【0041】また、従来のようにすべての動作部が油圧ポンプ20で駆動されるのではなく、バケット24、旋回機構および走行機構を電動機33、36、38で駆動するようにしたことにより、油圧ポンプ20および電動機33、36、38をそれぞれ比較的小型にして別々の場所に分けて設置することができる。本実施の形態では、油圧ポンプ20をショベル1の主筐体である上部旋回体3内に配置するとともにバケット用電動機33をアーム近傍に、走行用電動機38を下部走行体2に設置することで、上部旋回体3内に大きなスペースが必要となることがなく、ショベル1を比較的小型にすることが可能となる。 【0042】また、本実施の形態では、バケットシリンダ35を電動機33によって直接駆動するのではなくバケットポンプ34を介して駆動している。そのため、直線運動を行なうバケット24を、ラック・ピニオンなどで回転運動を直線運動に変換するよりも比較的大きな推力で動かすことができる。また、バケット24を直線運動させる機構として、ラック・ピニオンなどを用いるよりも構造が簡単である。 【0043】次に、上述した電動機33とバケットポンプ34とバケットシリンダ35との一体型アクチュエータについて、図4および図5に基づいて説明する。図4は一体型アクチュエータの側面図であり、図5はその回路図である。 【0044】これらの図面に示すように、バケットポンプ34は、電動機33の回転方向に応じて油の吐出方向が転換する双方向性ポンプとして構成され、ポンプ34の両側吐出口が管路41、42を介してバケットシリンダ35のヘッド側およびロッド側油室に接続されている。 【0045】図5において、43はリリーフ弁、44はオイルタンク、45はポンプ34とオイルタンク44との間に設けられた自動切換弁、46はオペレートチェック弁、47は両側管路41、42間に設けられた手動開閉弁、48はスローリターン弁である。 【0046】このような一体型アクチュエータを用いれば、電動機33と油圧ポンプ34を別々に設ける場合と比較してユニット全体を小型化、軽量化することができる。このため、掘削アタッチメント4に搭載するのに有利となる。また、バケットシリンダ35を停止させておく場合には電動機33および油圧ポンプ34を停止して余剰な圧油が廃棄されないようにすることができる。従って、エネルギー効率をより一層高めることができるようになる。また、油圧ポンプ34とバケットシリンダ35とを結ぶ配管を施すことが不要になって、構造が簡単になるとともに油漏れなどが起こる確率を低下させることができる。 【0047】次に、本発明の第2の実施の形態に係るショベルについて、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係る油圧駆動装置であるショベルの概略構成を示す模式図である。図6において図2と同じ構成部材には同じ符号を付けてその説明を省略する。本実施の形態のショベル50は、インバータ31とコントロールバルブ21との間が合流用油圧回路53で接続されている点を除いて、第1の実施の形態のものと基本的に同様に構成されている。なお、図面を簡略化するために図6ではバケット用電動機33、バケットポンプ34およびバケットシリンダ35の図示を省略している。 【0048】本実施の形態では、合流用油圧回路53に電動機51、油圧ポンプ52および逆止弁54を設け、油圧ポンプ20の負荷に応じて油圧ポンプ52からの圧油を油圧ポンプ20とコントロールバルブ21との間に供給するようにしている。このとき、第1の実施の形態で説明したように、油圧ポンプ20の後段で測定した圧油の圧力と流量との積に基づいて、図示しない制御部の制御によって油圧ポンプ20側の負荷を計測し、これに応じた圧油が油圧ポンプ20とコントロールバルブ21との間に供給されるように電動機51に信号を与えればよい。 【0049】このようにして、油圧ポンプ20の負荷に応じた量の圧油が油圧ポンプ52から油圧ポンプ20とコントロールバルブ21との間に供給されることにより、オペレータがアームシリンダ22またはブームシリンダ23を動作させるための操作レバーの動作開始位置を常に一定に保つことができる。 【0050】この点について、図7に基づいて説明する。図7は、操作レバー位置とシリンダ速度との関係を示すグラフである。図7において、曲線71は第1の実施の形態でブームシリンダ23の負荷が比較的大きいときの、曲線72は第1の実施の形態でブームシリンダ23の負荷が比較的小さいときの、曲線73は本実施の形態における操作レバー位置とシリンダ速度との関係をそれぞれ示している。 【0051】図7からも明らかなように、第1の実施の形態では、ブームシリンダ23への負荷の大小によってブームシリンダ23の動作開始に対応した操作レバー位置が異なっており、負荷が大きいほど操作レバーを大きく動かさないとブームシリンダ23が動作し始めない。 【0052】これに対して、本実施の形態では、油圧ポンプ20の負荷に応じた量の圧油が油圧ポンプ52から油圧ポンプ20とコントロールバルブ21との間に供給されることにより、この部分での圧油の圧力を一定に保つことができるので、オペレータがブームシリンダ23を動作させるための操作レバーの動作開始位置を常に一定に保つことができる。従って、オペレータは、ブームシリンダ23への負荷の大小にかかわらず常に同じ感覚で操作レバーを操作することができる。なお、操作レバーの動作開始位置を一定に保つには、油圧ポンプ20側の負荷の変動を発電機11を電動機として用いることによる油圧ポンプ20へのトルクアシストで補償することも考えられるが、本実施の形態では圧油をシリンダ22、23側に直接供給することによりこの手段よりも少ない損失で確実に操作レバーの動作開始位置を一定に保つことが可能である。 【0053】以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく様々な設計変更を行うことが可能である。例えば、上述の実施の形態では発電機として交流発電機を用いたが直流発電機を用いてもよい。その場合、発電機とバッテリとをインバータを介することなく直接接続してもよい。また、バケット用電動機33、バケットポンプ34およびバケットシリンダ35は必ずしも一体型とする必要はなく、それぞれ別体として構成されていてもよい。また、バッテリ32としては、通常リチウムイオンバッテリなどの2次電池が用いられるが、キャパシタを用いてもよく、これらを併用してもよい。 【0054】また、本発明は、バケットに代えて他の作業工具(例えば排土板や破砕機)を取り付けたショベル、掘削アタッチメントとして図1に示すような手前側に掘削するバックホー型のものに代えて手前側から向こう側に掘削するローディング型のものを備えたショベル、下部走行体としてクローラに代えてホイールを用いたショベルにも適用することができるほか、ホイールローダなどの建設機器やフォークリフトなどの油圧作業機を含む油圧駆動装置に広く適用することが可能である。 【0055】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1の油圧駆動装置によると、良好な操作性が要求される動作部を第1の油圧ポンプで駆動し、良好な操作性があまり要求されない動作部の駆動源を第1の電動機とすることにより、動作部の良好な操作性を確保しつつ比較的高いエネルギー効率を実現することが可能である。 【0056】また、動作部が第1の油圧ポンプで駆動されるものと第1の電動機で駆動されるものとに分けられるので、これらをそれぞれ比較的小型にして別々の場所に分けて設置することができる。 【0057】さらに、エンジンの負担を平滑化して軽減することが可能であるので、エンジンは平均的な出力を分担できる程度の大きさのものでよく、最大出力に対応した大型のものである必要がなくなって、エンジンサイズを小さくすることができて排ガスおよび騒音の削減とともに省エネルギーが図れる。 【0058】請求項2の油圧駆動装置によると、第1の電動機の回生制御によって発生する電気エネルギーが蓄電手段に蓄えられることにより、エネルギー効率をより一層高めることができるようになる。 【0059】請求項3の油圧駆動装置によると、動作部を直線運動させる必要がある場合に大きな推力を与えることができ、しかもラック・ピニオンなどで回転運動を直線運動に変換するよりも構造が簡単である。 【0060】請求項4の油圧駆動装置によると、第1の電動機と第2の油圧ポンプと第2の油圧アクチュエータとが一体に構成されていることにより、これらの小型軽量化を図ることができるとともに、第2の油圧アクチュエータを動作させる必要がない場合には対応する第1の電動機および第2の油圧ポンプを停止して余剰な圧油が廃棄されないようにすることができる。従って、エネルギー効率をより一層高めることができるようになる。また、第2の油圧ポンプと第2の油圧アクチュエータとを結ぶ配管を施すことが不要になって、構造が簡単になるとともに油漏れなどが起こる確率を低下させることができる。 【0061】請求項5の油圧駆動装置によると、第3の油圧ポンプからの圧油が第1の油圧ポンプとコントロールバルブとの間に供給されることにより、この部分の圧油の圧力を一定に保つことができるので、第1の油圧アクチュエータに対する負荷によって操作レバーの動作開始位置が異なるということがなくなり、常に一定の操作レバー位置から第1のアクチュエータが動き始めるようになって操作性が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所 【識別番号】000246273 【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月28日(1999.6.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089196 【弁理士】 【氏名又は名称】梶 良之
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| 【公開番号】 |
特開2001−16704(P2001−16704A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−181173 |
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