| 【発明の名称】 |
電動車両の走行制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】原 延男
【氏名】八木 啓明
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| 【要約】 |
【課題】モータ電流を検出する電流センサの故障が発生した場合でも、制御を複雑にすることなく、FET過電流やモータ過電流が流れるのを防止でき、かつ走行を継続することができる電動車両の走行制御装置を提供する。
【解決手段】バッテリ15と、該バッテリ15を電源として車輪17を回転駆動する駆動モータ50とを備えた電動車両の走行制御装置において、上記モータの電流を検出するモータ電流検出手段301と、該検出されたモータ電流検出値が車両運転状態に応じて設定されたモータ電流指令値と一致するようにフィードバック制御するフィードバック制御手段302と、車両運転状態に応じたモータ電流指令値をオープンループ制御で設定するオープンループ制御手段303と、上記フィードバック制御手段302によるモータ電流指令値を上記オープンループ制御手段303によるモータ電流指令値より小さい値に制限する電流指令値制限手段304とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリと、該バッテリを電源として車輪を回転駆動する駆動モータとを備えた電動車両の走行制御装置において、上記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、該検出されたモータ電流検出値が車両運転状態に応じて設定されたモータ電流指令値と一致するようにフィードバック制御するフィードバック制御手段と、車両運転状態に応じたモータ電流指令値をオープンループ制御で設定するオープンループ制御手段と、上記フィードバック制御手段によるモータ電流指令値を上記オープンループ制御手段によるモータ電流指令値より小さい値に制限する電流指令値制限手段とを備えたことを特徴とする電動車両のモータ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリを電源とする駆動モータにより車輪を回転駆動するようにした電動車両の走行制御装置に関し、特にモータ電流検出センサが故障した場合でも走行停止とならないようにしたものに関する。なお、本発明における電動車両には、モータ駆動力のみで走行するもの及びモータ駆動力と人力との合成力により走行するいわゆる電動補助車両も含まれる。 【0002】 【従来の技術】電動車両における走行制御として、モータ電流検出手段センサによって検出された駆動モータを流れるモータ電流検出値と、スロットル開度,モータ回転数等に応じて設定制御されるモータ電流指令値との偏差が0になるようにフィードバック制御を行なうようにしたものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが上記フィードバック制御を行うようにした場合、上記モータ電流検出センサが感度異常,オフセット異常,断線等で故障した場合に、モータ電流検出値が実際にモータを流れている電流値よりも小さくなると、モータに大電流が供給されてモータの出力異常やパワーモジュール内素子(FET)の故障が懸念され、従ってモータ電流検出センサが故障した場合には走行停止につながるという問題がある。 【0004】なお、上記フィードバック制御における問題を解消する方法として、相電流検出センサの異常をモータへの相電圧指令値により検出するように構成し、異常が検出されたときには該異常な電流検出センサによる相電流検出値を、該異常な電流検出センサが正常時に検出する相電流検出値に補正するようにしたものがある(特開平9−172703号公報参照)。しかしこの方法の場合、制御が複雑になるという問題がある。 【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、モータ電流検出センサの故障が発生しても走行を可能にでき、また制御が複雑になることもない電動車両の走行制御装置を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、図8に示すように、バッテリ15と、該バッテリ15を電源として車輪を回転駆動するモータ50とを備えた電動車両の走行制御装置300において、上記モータ50に流れる電流を検出するモータ電流検出手段301と、該検出されたモータ電流検出値が車両運転状態に応じて設定されたモータ電流指令値と一致するようにフィードバック制御するフィードバック制御手段302と、車両運転状態に応じたモータ電流指令値をオープンループ制御で設定するオープンループ制御手段303と、上記フィードバック制御手段302によるモータ電流指令値を上記オープンループ制御手段303によるモータ電流指令値より小さい値に制限する電流指令値制限手段304とを備えたことを特徴としている。 【0007】 【発明の作用効果】本発明に係る電動車両の走行制御装置によれば、モータ電流検出手段301がモータ50に流れているモータ電流値を検出し、フィードバック制御手段302が上記検出されたモータ電流値が運転状態に基づいて設定された電流指令値となるように上記モータ50への供給電流値をフィードバック制御する。また、オープンループ制御手段303が、上記モータ50の運転状態に対応したモータ電流指令値をオープンループ制御により設定する。 【0008】このようにフィードバック制御とオープンループ制御との両方を同時に行いながら、電流指令値制限手段304が、上記フィードバック制御手段302による電流指令値を上記オープンループ制御手段303による電流指令値より小さい値に制限する。従って上記モータ電流検出手段301が故障してモータ電流検出値が実際にモータを流れる電流より小さくなった場合でも、上記フィードバック制御手段302によるモータ電流指令値はオープンループ制御手段303による電流指令値より小さい値に制限されるため、FET過電流やモータ過電流を防止することができ、制御を複雑にすることなく、上記モータ電流検出手段301の故障時にも走行を可能にできる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図7は、本発明の一実施形態による電動二輪車の走行制御装置を説明するための図であり、図1,2はスクータ型電動二輪車の左,右側面図、図3は上記走行制御装置の構成図、図4は上記走行制御装置の構成図、図5は上記走行制御装置の動作を説明するためのブロック図、図6は上記走行制御装置におけるモータの通電方法を説明するための図、図7は上記走行制御装置における電流指令値の制御方法を説明するための図である。 【0010】図において、1はスクータ型電動二輪車であり、これの車体フレーム2は、ヘッドパイプ3に車体後方に斜め下方に延びる1本のメインフレーム4を接続し、該メインフレーム4の下端に左, 右一対のサイドフレーム5,5の前端を接続し、該各サイドフレーム5を後方に延長した概略構造のものである。 【0011】上記左, 右のサイドフレーム5,5は、メインフレーム4から車幅方向外方に拡開しつつ下方に延びた後、車体後方に屈曲して略水平に直線状に延びる水平部5aと、該水平部5aの後端から上方に屈曲した後、後方斜め上方に延びる傾斜部5bとから構成されている。そして上記左右のサイドフレーム5,5の前端付近と上記傾斜部5bの前端付近とはブラケット6a,6bを介して補強パイプ6により連結されており、側面から見たとき該補強パイプ6と上記水平部5bとで囲まれた空間内に後述するバッテリユニット15が搭載されており、また上記後側のブラケット6bの上端部によりシート16が前ヒンジを介して上下方向に回動可能に支持されている。 【0012】上記ヘッドパイプ3には操向軸7が回転自在に枢支されている。該操向軸7の下端にはフロントフォーク8が、上端には操向ハンドル9がそれぞれ固定されており、該フロントフォーク8の下端には前輪10が軸支されている。 【0013】上記操向ハンドル9はハンドルカバー20で囲まれている。また上記ヘッドパイプ3の前方にはフロントカバー21が、後方にはレッグシールド22がそれぞれ装着され、両者でヘッドパイプ3を囲んでいる。上記レッグシールド22の下端部に続いて後方に延びるフートボード23が上記サイドフレーム5,5の水平部5aに搭載された電池ユニット15の上方を覆うように配設されている。また該フートボード23の左, 右側縁に続いて上記バッテリユニット15及び水平部5a,補強パイプ6の側方及び下方を覆うようにアンダカバー24が配設されている。さらにまた上記傾斜部5bの側方は上記シート16の下方を覆うサイドカバー25によって覆われている。なおシート16下方のサイドカバー25内には該シート16により開閉される収納ボックスが配設されている。 【0014】上記車体フレーム2の左,右の傾斜部5b,5bにより電動式駆動装置14が懸架支持されている。この電動式駆動装置14は、上記バッテリユニット15と、該ユニット15を電源として後輪17を回転駆動する動力ユニット13と、上記操向ハンドル9の右端部に配設されたスロットルグリップの回動操作(スロットル開度)及び車速に基づいて上記動力ユニット13への給電量を制御するコントロールユニット18と、該コントロールユニット18からの制御信号に応じて駆動モータ50の回転を制御するパワーモジュール(モータ駆動回路)27、及び上記バッテリユニット15を充電する充電器26とを備えている。 【0015】上記コントロールユニット18はサイドカバー25内の後端部に起立させて搭載されている。該コントロールユニット18の後側にはキャリア28を支持する左,右一対の脚部28aが立設されており、該キャリア28の前端部はシート16の後端部を支持する門形のステー16aに固定されている。このようにして上記コントロールユニット18はキャリア28,脚部28a,ステー16a及びサイドフレーム5の後端部で囲まれた空間内に位置しており、外力が直接作用することがないようになっている。 【0016】また上記充電器26はシート16の後端部を支持する門形のステー16aの内側に位置するように搭載されている。さらにまた上記パワーモジュール27は後輪17の右側上部を覆うように配置され、その前側上部はサイドカバー25内に位置しており、ガソリンエンジン搭載車の場合の消音器に似た外観を呈している。 【0017】上記バッテリユニット15は、充電可能な多数のNi−Cd電池セル15eを直列接続してなる第1〜第4バッテリブロック15a〜15dを直列接続してなり、電池ケース32内に配置されている。この電池ケース32は、左, 右のサイドフレーム5,5の水平部5a,5a間に架け渡して固定された4本のステー33上に搭載されている。 【0018】上記動力ユニット13は、左, 右の傾斜部5bの下面に固定された左,右の懸架ブラケット11,11間に挿通固定されたピボット軸12により上下揺動自在に枢支されている。この動力ユニット13は、車両左側に配置され、前後方向に延びる側面視略長円状のアルミダイキャスト製伝動ケース41と、該伝動ケース41の前端部に車幅方向に向けて配置された駆動モータ50とを一体的に結合した構成となっている。またこの動力ユニット13の後端と左側のサイドフレーム5の傾斜部5bの後端との間には1本の緩衝器19が介設されている。 【0019】図3に示すように、上記電動二輪車1では、コントロールユニット18により、スロットル開度,モータ回転数等に基づいてパワーモジュール27を介して上記駆動モータ50への給電量がフィードバック制御及びオープンループ制御によって制御され、該モータ50の回転が変速機43を介して後輪17に伝達される。また上記コントロールユニット18により上記変速機43の変速段を切り換える切換モータ88の動作が制御される。 【0020】図4において、上記駆動モータ50には、U,V,W相を有するブラシレスDC三相モータが採用されている。そしてこのモータ50の軸方向外端部には、該モータ50の回転子の固定子に対する回転位置を検出するモータ回転位置検出手段としてのエンコーダが配設されている。また上記モータ50には、上記U相,W相のモータ電流値を検出するモータ電流検出センサ(CT)53u,53wが配設されており、また上記バッテリ15からパワーモジュール27に流れる電流値を検出するバッテリ電流検出センサ53aが設けられている。 【0021】そして上記コントロールユニット18は、CPU18aと、スイッチング回路18bとを備えており、該CPU18aには、上記モータ電流検出センサ53u,53wで検出されU相,W相のモータ電流Iu,Iw、及びバッテリ電流検出センサ53aで検出されたバッテリ電流Ibが、インターフェイス54aを介して、さらにA/Dコンバータ54bによりA/D変換されて入力されている。 【0022】なお、上記V相のモータ電流は検出されないが、Iv=−(Iu+Iw)によりCPU18a内で演算される。またこのCPU18aには、上記エンコーダ52からのエンコーダ信号、メインスイッチ30からのオンオフ信号、スロットルセンサ29からのスロットル開度信号がそれぞれインターフェイス54aを介して入力される。 【0023】また上記バッテリ15には、電池温度を検出するサーミスタ34a〜34dが上記第1〜第4バッテリブロック15a〜15dに配設されており、該各サーミスタ34a〜34dの検出温度はインターフェイス54a,A/Dコンバータ54bを介して上記CPU18aに入力されている。 【0024】上記パワーモジュール27は、上記駆動モータ50の各相毎に一対ずつ設けられたFET35と、1組の電圧安定用コンデンサ36とを備えている。上記コントロールユニット18のスイッチング回路18bにより上記各FET35をオンオフ制御することにより上記モータ50への電流供給量が制御される。なお、37は上記パワーモジュール27への電力供給ラインをCPU18aからの制御信号によりオンオフするパワーリレーである。 【0025】上記コントロールユニット18による上記モータ50の走行制御動作を図5に基づいて説明する。本実施形態装置では、上記モータ50に流れる電流をモータ電流検出センサ53u,53wで検出し、該検出されたモータ電流検出値が車両運転状態に応じて設定されたモータ電流指令値と一致するように制御するフィードバック制御と、車両運転状態に応じたモータ電流指令値を設定するオープンループ制御とが同時に行われる。 【0026】そして上記オープンループ制御と、上記フィードバック制御とを行うに当たり、フィードバック制御におけるモータ電流流指令値は上記オープンループ制御によるモータ電流指令値より小さい値に制限される。具体的には、上記モータ50に流れる電流の検出値(U相電流値Iu,W相電流値Iw)が3相/2相変換されたq軸電流値,d軸電流値と、スロットル開度aとエンコーダで検出されたモータ回転数bとに基づいて演算されたd軸電流指令値,q軸電流指令値との偏差を0とするようにd軸電圧指令値,q軸電圧指令値が求められる。この場合に、このd軸電圧指令値,q軸電圧指令値は、上記スロットル開度a,モータ回転数bに基づいて演算されたd軸電圧上限指令値,q軸電圧上限指令値以下に制限される。 【0027】また、エンコーダ信号cと上記モータ回転数bとに基づいて演算されたロータ角度と、上記d軸電圧指令値,q軸電圧指令値とが、2相→3相変換されて、U, V, W相電圧指令値として上記パワーモジュール27のドライブ回路に出力され、上記指令値に基づいて上記モータ50の駆動制御が行なわれる。そして、上記制御されたモータ50へのU相電流値Iu,W相電流値Iwが再び検出されて上述のフィードバック制御に用いられ、この処理が繰り返される。 【0028】次に、上記d軸電圧上限指令値,q軸電圧上限指令値についてさらに詳述する。まず図6に基づいて、上記駆動モータ50の通電方法について説明する。図中、誘起電圧とは、モータ50の磁石がコイルを横切ることで発生する電圧のことである。本実施形態では、上記誘起電圧に応じた信号(a)と基準パルス(b)とから磁極の位置(位相θ)を検出し、誘起電圧が正のときハイとなるエンコーダ信号(c)が出力され、該エンコーダ信号(c)によって検出された磁極位置と位相を一致させたモータ電流(d)が供給されるようになっている。つまり上記誘起電圧とモータ電流との位相を揃えるようにしている。 【0029】具体的には、上記誘起電圧に基づいてエンコーダ信号が発生され、該エンコーダ信号と上記基準パルスとに基づいて位相が検出され、該検出位相に応じて、電流指令値が出力され、該指令値に基づいて上記通電が行なわれる。なお、上記基準パルスを用いることなく、上記モータ50の回転数と誘起電圧信号U, V, Wとから位相を検出するようにしても良い。 【0030】この場合において、上記オープンループ制御における上記d軸電圧上限指令値,q軸電圧上限指令値は、図7に特性線Aで示すように設定されており、上記誘起電圧を示す特性線Cと位相が同一となっている。そして上記フィードバック制御における上記d軸電圧指令値,q軸電圧指令値は、同図に特性線Bで示すように制御される。この場合に仮に上記モータ電流検出センサ53u,53wが故障して検出値がd軸電圧指令値,q軸電圧指令値より低い値を示すと上記フィードバック制御における指令値は増大していくこととなるが、この場合でも、該指令値は上記特性線Aで示されたd軸電圧上限指令値,q軸電圧上限指令値より小さい値に制限される。 【0031】このように、本実施形態では、フィードバック制御における指令値を、オープンループ制御における指令値を越えないように制限したので、上記モータ電流検出センサ53u,53wが故障した場合でも、FET過電流やモータ過電流が流れるのを防止でき、かつ走行を継続することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月16日(1999.6.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087619 【弁理士】 【氏名又は名称】下市 努
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| 【公開番号】 |
特開2001−8304(P2001−8304A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−169207 |
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