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【発明の名称】 不整地走行用四輪車
【発明者】 【氏名】堀 良昭

【氏名】七戸 隆

【氏名】大利 裕史

【要約】 【課題】重量バランスと走行安定性に優れた不整地走行用四輪車を提供する。

【解決手段】車体前後方向中心線(L1)を基準として、トルクコンバータの回転軸中心線(L3)と、変速機構Mからの駆動力を前輪または後輪に伝達するドライブシャフトまたはプロペラシャフトの長手方向中心線(L2)とを左右に振り分けて対向配置している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの駆動力を前輪又は後輪に伝達するようにした不整地走行用四輪車において、前記エンジンのクランク軸から変速機の入力軸に至る動力伝達経路にトルクコンバータを設け、このトルクコンバータの回転軸中心線と、前記変速機からの駆動力を前輪または後輪に伝達するドライブシャフトの長手方向中心線とを車体前後方向中心線を基準として左右に対向配置したことを特徴とする不整地走行用四輪車。
【請求項2】 請求項1に記載の不整地走行用四輪車において、前記前輪及び後輪は独立懸架タイプとされ、ドライブシャフトの駆動力がプロペラシャフト及びディファレンシャルギヤを介して前輪に伝達され、前記ディファレンシャルギヤの中心が略車体中心線上にあることを特徴とする不整地走行用四輪車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鞍乗り型四輪バギー車などの不整地走行用四輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】泥濘、湿地、砂地、雪面或いは砂利面などの不整地を走行する車両として、低圧のバルーンタイヤを装着した四輪車が、実開昭63−104117号公報、実公平5−6181号公報あるいは実公平7−23285号公報等に提案されている。
【0003】斯かる不整地走行用四輪車は、エンジンからの駆動力をクラッチを介して多段式変速機に入力し、この多段式変速機からの駆動力でドライブシャフトを回転せしめ、このドライブシャフトの回転をプロペラシャフト及びディファレンシャルギヤを介して横方向に配置される左右の駆動軸に伝達し、これら駆動軸の回転で左右の前輪(後輪)を回転せしめるようにしている。
【0004】また、ディファレンシャルギヤの一般的な構造は、リングギヤ、左右一対のサイドギヤ及びこれらサイドギヤ間に噛合する一対のピニオンからなり、プロペラシャフトの回転をリングギヤに伝達し、このリングギヤの回転で一方のサイドギヤを回転せしめ、この一方のサイドギヤの回転をピニオンを介して他方のサイドギヤに伝達する。そして、左右のサイドギヤ外側に伸びる軸部には等速ジョイントを介して駆動軸の一端が連結され、この駆動軸の他端(外側端)は同じく等速ジョイントを介して車輪に連結されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の構造で説明したように、ディファレンシャルギヤと左右の前輪の間には駆動力を伝達する駆動軸が配置されるが、独立懸架タイプの場合には、これら駆動軸がディファレンシャルギヤとの連結部を中心として揺動し得るように、等速ジョイントによって連結している。
【0006】そして、安定した走行を可能とするためには、左右の車輪の上下方向の揺動幅が異なることは好ましくない。そこで、左右の駆動軸の長さを等しくすることが走行安定性を確保する上で前提とされる条件になる。
【0007】左右の駆動軸の長さを等しくすると、ディファレンシャルギヤの中心が略車体中心線上に位置することになる。勿論、ディファレンシャルギヤを構成する左右一対のサイドギヤの一方の軸部を長くすることで、駆動軸の長さを等しくしたままでディファレンシャルギヤを左右いずれか一方に寄せて配置できるが、重両バランス的には、ディファレンシャルギヤの中心と車体の中心とが略一致することが好ましい。
【0008】上記のように、ディファレンシャルギヤを車体の中心に略一致させて配置すると、ディファレンシャルギヤを構成するリングギヤは左右いずれか一方にずれることになり、このリングギヤに一端のギヤが噛合するプロペラシャフト及びこれに駆動力を伝達するドライブシャフトも左右いずれか一方にずれることになり、アンバランスが助長される。
【0009】トルクコンバータを設けない従来の不整地走行用四輪車にあって、このアンバランスを是正するには前記したようにディファレンシャルギヤを左右いずれか一方に寄せて配置し、これと反対側にプロペラシャフト及びドライブシャフトを配置することになるが、この場合には左右のサイドギヤの軸部長さを異ならせるなどディファレンシャルギヤの構造が複雑化する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本発明は、エンジンの駆動力を前輪及び後輪に伝達するようにした不整地走行用四輪車において、前記エンジンのクランク軸から変速機の入力軸に至る動力伝達経路にトルクコンバータを設け、このトルクコンバータの回転軸中心線と、前記変速機からの駆動力を前輪または後輪に伝達するドライブシャフトの長手方向中心線とを車体中心線を基準として左右に対向配置した。
【0011】上記構成とすることで、重量物であるトルクコンバータとドライブシャフトとが左右に振り分けられて、重両バランスがとれ走行安定性が増す。
【0012】また、請求項2に記載したように、同じく重量物であるディファレンシャルギヤについても車体中心に配置することで、更に重両バランスがとれることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る不整地走行用四輪車のうち前輪のみ独立懸架タイプとしたものの全体平面図、図2は図1に示した不整地走行用四輪車の全体側面図、図3は図1に示した不整地走行用四輪車のディファレンシャルギヤ廻りの拡大断面図、図4は図1に示した不整地走行用四輪車のプロペラシャフトと後輪の駆動軸との連結部の拡大断面図、図5は本発明に係る不整地走行用四輪車のうち前後輪とも独立懸架タイプとしたものの全体平面図、図6は図5に示した不整地走行用四輪車の全体側面図である。
【0014】図に示した不整地走行用四輪車は鞍乗型の四輪バギー車であり、この四輪バギー車はパイプを溶接してなる車体フレーム1の前部に左右一対の操向輪兼駆動輪である前輪2が独立して懸架され、車体フレーム1の後部に左右一対の駆動輪である後輪3が一体的に懸架され、これら前輪2及び後輪3は接地面圧が0.25kg/cm2以下の低圧バルーンタイヤを用いている。
【0015】車体フレーム1の前端には前輪を操向するハンドル4が設けられ、また、図2に示すように、車体フレーム1の前後方向中間部には燃料タンク5が配設され、この燃料タンク5よりも後方側で車体フレーム1の上部には跨座式のシート6が配設され、このシート6及び前記燃料タンク5の下方には、エンジンE、トルクコンバータTおよび変速機構Mを含むパワーユニットPが搭載されている。
【0016】エンジンEのシリンダブヘッドの前面側の排気ポートには排気管8の一端部が接続され、この排気管8の他端はパワーユニットPの側方を通って車体後側部に設けたマフラー9に接続される。尚、シリンダ後面側には吸気系が接続される。
【0017】エンジンEの下方にはクランクケース10が配置され、このクランクケース10内に回転自在に支承されるクランク軸11の一端はトルクコンバータTのポンプインペラに連結され、クランク軸11の他端は発電機12に連結され、この発電機12の外側にはリコイルスタータ13が配置されている。
【0018】トルクコンバータTからの駆動力は後述する変速機構Mを介してドライブシャフト14に伝達され、このドライブシャフト14の前端部は等速ジョイント15を介して前輪用のプロペラシャフト16に連結され、ドライブシャフト14の後端部は等速ジョイント17を介して後輪用のプロペラシャフト18に連結され、この後輪用のプロペラシャフト18はスイングアーム19内に収められている。
【0019】前輪用のプロペラシャフト16の回転はディファレンシャルギヤ20を介して左右の駆動軸21,21に伝達され、この駆動軸21の回転が図示しない等速ジョイントを介して前輪2に伝達される。
【0020】前記ディファレンシャルギヤ20の構造は、図3に示すようにケース22内にボールベアリング23を介してボックス24を回転自在に設け、このボックス24にリングギヤ25を取り付け、前記前輪用のプロペラシャフト16にの先端部に設けたピニオンギヤ26をリングギヤ25に噛合せしめ、このリングギヤ25の回転を左右一対のサイドギヤ27の一方のサイドギヤに伝達せしめ、さらに一方のサイドギヤ27の回転を左右一対のサイドギヤ27,27間に噛合したピニオンギヤ28,28で他方のサイドギヤ27に伝達し、各サイドギヤ27,27の中心穴にスプライン嵌合している軸部29,29を回転せしめる。そして、左右の軸部29と左右の駆動軸21がそれぞれ等速ジョイント30で連結され、この連結部は蛇腹カバー31で覆われている。
【0021】また、後輪用のプロペラシャフト18を収納したスイングアーム19の後端部にはパイプ材からなるサイドメンバー32が設けられ、このサイドメンバー32内に後輪3を回転せしめる駆動軸33が収納されている。
【0022】駆動軸33への駆動力を伝達する構造は、図4に示すように、スイングアーム19の後端部にケース34を設け、このケース34内にボールベアリング35を介してピニオン36を、またボールベアリング37を介して筒体38をそれぞれ回転軸が90°異なるように回転自在に配置し、ピニオン36には等速ジョイント39を介して後輪用のプロペラシャフト18からの駆動力が伝達される。
【0023】また、前記筒体38の内側に前記駆動軸33を軸方向の長さ調整が可能となるようにスプライン嵌合し、また筒体38の外側にリングギヤ40をスプライン嵌合し、このリングギヤ40に前記ピニオン36を噛合し、結局、後輪用のプロペラシャフト18からの駆動力が後輪3に伝達される。
【0024】ここで、図1に示すように、前記ディファレンシャルギヤ20は、車体前後方向中心線(L1)上にその中心が略一致するように配置され、ドライブシャフト14(プロペラシャフト15,18)の長手方向に沿った中心線(L2)は前記車体前後方向中心線(L1)を基準として、車体左側に車体前後方向中心線(L1)と平行に配置され、トルクコンバータTの回転軸中心線(L3)は前記車体前後方向中心線(L1)を基準として車体右側に車体前後方向中心線(L1)と平行に配置されている。
【0025】このように、車体前後方向中心線(L1)を基準として、トルクコンバータの回転軸中心線(L3)と、変速機構Mからの駆動力を前輪または後輪に伝達するドライブシャフトまたはプロペラシャフトの長手方向中心線(L2)とを左右に振り分けて対向配置したので、重量バランスを高めることが可能になる。
【0026】図5は本発明に係る不整地走行用四輪車のうち前後輪とも独立懸架タイプとしたものの全体平面図、図6は図5に示した不整地走行用四輪車の全体側面図である。前記実施例と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0027】この実施例にあっては、フレーム1の後部を構成する左右のレール部材1a,1aのそれぞれにアーム41,42の一端を揺動自在に支持し、これらアーム41,42の先端を後輪3に連結し、更に各後輪3と車体フレーム1との間に緩衝器43を配置し、左右の後輪3,3が独立して揺動(独立懸架)する構造になっている。また、駆動軸33への駆動力の伝達及び駆動軸33から後輪3への駆動力の伝達は、等速ジョイント44,45を介して行う。
【0028】この実施例にあっても、車体前後方向中心線(L1)を基準として、トルクコンバータTの回転軸中心線(L3)と、ドライブシャフト14の長手方向中心線(L2)とを左右に振り分けて対向配置している。
【0029】次に、パワーユニットPの構造及びパワーユニットの油圧制御について、図7〜図11に基づいて説明する。ここで、図7はパワーユニットの断面図、図8は図7のトルクコンバータを中心とした部分の要部拡大図、図9は図7の多段変速機構を中心とした部分の要部拡大図、図10は図7〜図9に示したパワーユニットの油圧制御回路図、図11は油圧制御回路図の別実施例を示す図である。
【0030】先ず、エンジンEのクランクケース10には前記シリンダブロック7が上下方向に設けられ、このシリンダブロック7内側にはスリーブ51を介してピストン52が摺動自在に嵌装され、シリンダブロック7上部のシリンダヘッド53にはキャブレータ54及びコネクチングチューブ55が接続されている。
【0031】前記クランクケース10内にはクランク軸11がボールベアリング57,57を介して回転自在に支承され、このクランク軸11と前記ピストン52とがコネクティングロッド58を介して連結している。
【0032】前記クランク軸11は車体前後方向に平行に配置され、このクランク軸11のクランクケース10から前方(図7において左方)に突出した部分はフロントカバー59内に収められるとともに前端部がボールベアリング60にて回転自在に支持され、クランクケース10から後方(図7において右方)に突出した部分はリヤカバー61内に収められる。
【0033】リヤカバー61内に臨むクランク軸11には発電機12のロータ63が取り付けられ、このロータ63の内側に配置されるステータ64はリヤカバー61に固着され、更にクランク軸11の後端にはリコイルスタータ13が取り付けられている。
【0034】また、前記フロントカバー59内にトルクコンバータTが配設されている。トルクコンバータTはポンプインペラ65、タービンランナ66及びステータインペラ67からなり、内部には油が充填されている。
【0035】ポンプインペラ65は前記クランク軸11と一体的に回転し、タービンランナ66はポンプインペラ65と対向配置され、またクランク軸11に対し回転自在に同軸状に配置されるタービン軸に固着され、このタービン軸と前記ポンプインペラ65とは一方向クラッチを介して連結している。そして、内部に充填した油を介してポンプインペラ65の回転がタービンランナ66に伝達され、プライマリーギヤ、クラッチを介して変速機構Mに動力が伝達される。
【0036】前記ステータインペラ67のステータ軸は一方向クラッチを介してクランクケースに固定される支持部材廻りに回転可能とされ、ポンプインペラ65の回転とタービンランナ66の回転差が大きい時にはステータインペラ67が回転せず、タービンランナ66からの油の流れをスムーズに流すことで、ステータインペラ67へのトルク反力をトルク増幅させる。一方、ポンプインペラ65とタービンランナ66との回転差が小さい時には、ステータインペラ67は抵抗にならないように空転する。
【0037】変速機構Mはクランクケース10と一体的に形成されたミッションケース70内に収められ、クランク軸11と平行な入力軸71がボールベアリング72を介してミッションケース70に回転自在に支持され、また同じくクランク軸11と平行な出力軸73がボールベアリング74を介してミッションケース70に回転自在に支持されている。
【0038】そして、入力軸71の一端(トルクコンバータ側)にはクラッチ80を設けている。このクラッチ80は前記トルクコンバータTとクランクケース10との間に配置され、車体の前後方向から見てその一部がトルクコンバータTに重なるようにすることで、スペースの有効利用を図っている。
【0039】クラッチ80は入力軸71廻りに回転可能とされるクラッチセンタ81と、このクラッチセンタ81に緩衝ばね82を介して連結されるとともに前記トルクコンバータTの駆動歯車69と噛合する被動歯車83と、クラッチセンタ81の外周に相対回転不能に噛合する複数枚の第1クラッチ板84と、この複数の第1クラッチ板84の間に重合配置される複数枚の第2クラッチ板85と、これら第1クラッチ板84及び第2クラッチ板85を収納するとともに第2クラッチ板85の外周を相対回転不能に噛合せしめて前記入力軸71と一体に回転するクラッチドラム86と、このクラッチドラム86内に摺動自在に嵌合されるピストン87とを備える。
【0040】ピストン87とクラッチドラム86内側との間には油室88が形成され、ピストン87の油室88とは反対側にはスプリング89を配置し、このスプリング89にて油室88が縮小する方向にピストン87を付勢している。
【0041】また、前記入力軸71には油路76が軸方向に形成され、この油路76と前記油室88とが油路77で連通し、更に油路76にはフロントカバー59を貫通した配管78を介して油が供給される。
【0042】而して、配管78、油路76、77を介して油室88内に油が供給されると、スプリング89に抗してピストン87が移動し、第1クラッチ板84と第2クラッチ板85とを圧接せしめ、クラッチ80をオンにし、トルクコンバータTからの動力を入力軸71に伝達する。逆に、油室88内の油を抜くことでピストン87が逆方向に移動し、第1クラッチ板84と第2クラッチ板85とが離れ、クラッチ80がオフになる。
【0043】ここで、本実施例にあっては、クラッチ80のオン・オフはアイドリングセンサ及び変速操作センサからの信号に基づいて行うようにしている。即ち、エンジンのアイドリング状態の時及び変速操作の時にはクラッチ80をオフにし、トルクコンバータTからの動力を入力軸71に伝達しないようにする。これにより、アイドリング時のクリープ現象を無くすとともに変速操作時の抵抗を小さくすることができる。
【0044】前記入力軸71には駆動歯車91,92,93が入力軸と一体または別体ではあるが入力軸71と一体的に回転するように設けられ、また、前記出力軸73には被動歯車101,102,103,104が回転自在に設けられている。そして、駆動歯車91と被動歯車101が噛合しており、これら駆動歯車91と被動歯車101で第1速歯車列を構成し、駆動歯車92と被動歯車102が噛合しており、これら駆動歯車92と被動歯車102で第2速歯車列を構成し、駆動歯車93と被動歯車103が噛合しており、これら駆動歯車93と被動歯車103で第3速歯車列を構成し、更に、入力軸71と出力軸73との間に図示しない中間軸が存在し、この中間軸に設けた中間歯車を介して前記駆動歯車91と被動歯車104が噛合しており、これら駆動歯車91、中間歯車及び被動歯車104で後進歯車列を構成している。
【0045】更に前記出力軸73には出力軸73と一体的に回転するとともに軸方向に移動可能なドグクラッチ105,106をスプライン嵌合せしめている。これらドグクラッチ105,106を後述するシフトフォークによって択一的に被動歯車101,102,103,104の何れかに係合せしめることで、第1速、第2速、第3速或いは後進歯車列が確立する。尚、ドグクラッチ105,106が何れの被動歯車にも係合していない状態がニュートラル位置になる。
【0046】そして、出力軸73と平行にドライブシャフト14がミッションケース70にボールベアリング111,112を介して回転自在に支持され、前記出力軸73に設けた駆動歯車107とドライブシャフト14に設けた被動歯車113とが噛合しているので、確立した歯車列に応じたギヤ比及び回転方向でドライブシャフト14が回転せしめられ、この回転駆動力がプロペラシャフトを介して前輪2及び後輪3に伝達される。
【0047】ミッションケース70には出力軸73と平行に軸120が設けられ、この軸120に摺動自在にシフトフォーク121,122が設けられている。図面では、線の交錯を避けるためドグクラッチ105,106とシフトフォーク121,122とを離しているが、実際にはドグクラッチ105とシフトフォーク121とが係合し、ドグクラッチ106とシフトフォーク122とが係合している。
【0048】前記シフトフォーク121,122の基端部は、軸120と平行に配設されたシフトドラム123のカム溝124,125に係合し、シフトドラム123はシフトスピンドル126の回転を扇状歯車127及び被動歯車128を介してシフトドラム125に伝達することで行う。
【0049】前記シフトスピンドル126の回転は図示しない電動モータの回転を減速歯車列を介して伝達することで行う。また、シフトドラム123の回動量によってシフトポジションが決定されるため、シフトポジションを検知するための検知器129をシフトドラム123の後端に取り付けている。
【0050】図10はパワーユニットPの油圧制御回路図であり、この実施例では油をトルクコンバータT、クラッチ80の作動油として使用するとともにクランク軸11、シリンダヘッド53及び変速機構Mに供給する潤滑油としても使用している。
【0051】オイルパン140内の油は、オイルストレーナ141を介してクーラポンプ142で吸引されオイルクーラ143にて冷却されて再びオイルパン140内に戻される。
【0052】また、オイルパン140内の油はオイルストレーナ141を介してフィードポンプ144で吸引されオイルフィルター145、アッキュムレータ146を介してリニアソレノイドバルブ147に送られ、このリニアソレノイドバルブ147を操作することで油がクラッチ80の油室88に供給され、ピストン87を図10において右方に移動せしめ、第1クラッチ板と第2クラッチ板とを圧接させてクラッチ80をオンにする。
【0053】クラッチ80がオンになることで、前記したようにトルクコンバータTからの駆動力が変速機構Mに伝達される。尚、クラッチバルブ148を操作することで、油室88内の油は排除され、クラッチ80がオフ状態になる。
【0054】また、オイルフィルター145を通過した油の一部はシリンダヘッド53及び変速機構(ミッション)Mに潤滑油として供給され、残りの油はトルクコンバータTに作動油として供給され、さらにトルクコンバータTを出た油はクランク軸11に潤滑油として供給される。そして、潤滑油或いは作動油として使用された油は再びオイルパン140に集められる。
【0055】図11は油圧制御回路図の別実施例を示す図であり、この実施例にあっては、クラッチを2つ、即ちクラッチ80Aとクラッチ80Bに分け、クラッチ80Aをオンにすることで、第1速(Low)、第2速(2nd)及び後進(Rvs)の選択が可能になり、クラッチ80Bをオンにすることで、第3速(3rd)の選択が可能になるようにしている。
【0056】また、この別実施例にあっては、フィードポンプ144とオイルフィルター145との間にはリリーフバルブを設けずにレギュレータバルブ148を設け、更に、リニアソレノイドバルブ147の下流側にシフトバルブ149を配置し、このシフトバルブ149をシフトソレノイドバルブ150で操作することで、油をクラッチ80Aとクラッチ80Bの何れかに選択的に供給するようにしている。
【0057】図11に示した実施例にあっては、同図のシフトモードの欄に示すように、セレクターレバーをLレンジに入れると、リニアソレノイドバルブ147はオン、シフトソレノイドバルブ150はオフ、クラッチ80Aはオン、クラッチ80Bはオフとなり、第1速(Low)が確立する。
【0058】また、セレクターレバーをDレンジに入れると、リニアソレノイドバルブ147はオン、シフトソレノイドバルブ150はオフ、クラッチ80Aはオン、クラッチ80Bはオフとなり、第2速(2nd)が確立し、速度センサーからの指令によりシフトソレノイドバルブ150がオン、クラッチ80Aがオフ、クラッチ80Bがオンになると第3速(3rd)が確立する。
【0059】また、セレクターレバーをNレンジに入れると、リニアソレノイドバルブ147、シフトソレノイドバルブ150、クラッチ80A及びクラッチ80Bの全てがオフとなり、ニュートラル位置が確立する。
【0060】更に、セレクターレバーをRレンジに入れると、リニアソレノイドバルブ147がオン、シフトソレノイドバルブ150がオフ、クラッチ80Aがオン及びクラッチ80Bがオフとなり、後進位置が確立する。
【0061】以上の操作において、ニュートラルの際にはクラッチ80A、クラッチ80Bともオフにしてクリープ現象を回避し、変速操作の際にもクラッチをオフにして、変速機の切換摺動部に伝達トルクに起因する摩擦が作用しないようにして、変速機の切換え抵抗を小さくする。
【0062】図12はパワーユニットの別実施例を示す図7と同様の断面図であり、この実施例にあっては、ドライブシャフト14と、ミッションケース70の前側まで延長したフロントカバー59にボールベアリング151を介して回転自在に支承される前輪用プロペラシャフト152とを前記実施例のように等速ジョイントで連結せずに、これらの間に動力伝達のオン・オフを行うクラッチ153を介設している。
【0063】而して、クラッチ153がオンの状態では、ドライブシャフト14を介して前輪用プロペラシャフト152に動力が伝達され、前後輪とも駆動輪となり、クラッチ153がオフの状態では、前輪用プロペラシャフト152への動力の伝達が遮断されるので、前輪は操向輪としての役割のみになる。
【0064】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、バギー車等の不整地走行用四輪車の前後方向の車体中心線を基準として、トルクコンバータの回転軸中心線と、変速機からの駆動力を前輪または後輪に伝達するドライブシャフトの長手方向中心線とを左右に振り分けて対向配置したので、重量バランスを高めることができ、走行安定性に優れた不整地走行用四輪車を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有 (外1名)
【公開番号】 特開2001−301477(P2001−301477A)
【公開日】 平成13年10月31日(2001.10.31)
【出願番号】 特願2000−125284(P2000−125284)