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【発明の名称】 車両用燃料タンク
【発明者】 【氏名】永井 正夫

【氏名】小倉 敏幸

【要約】 【課題】複数個に分割して搭載される単位タンクを有する車両用燃料タンクにおいて、タンク内の燃料の残量が少なくなっても燃料吸入口が配置された側の単位タンク内にはより多くの燃料を残して燃料を吸入可能とする。

【解決手段】複数個に分割して搭載される単位タンク1a,1bを有し、この複数個の単位タンクの低部にて各単位タンク1a,1bを接続する連通管2を備え、上記複数個の単位タンク1a,1bのいずれか一つの底面近くに燃料吸入口4を配置した車両用燃料タンクにおいて、上記燃料吸入口4が配置された単位タンク1b内に挿入される連通管2の端部9を、所定寸法で立ち上げた形状としたものである。これにより、タンク内の燃料8の残量が少なくなっても燃料吸入口4が配置された側の単位タンク1b内にはより多くの燃料8を残して燃料を吸入可能として、エンジンが停止するおそれをなくすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個に分割して搭載される単位タンクを有し、この複数個の単位タンクの低部にて各単位タンクを接続する連通管を備え、上記複数個の単位タンクのいずれか一つの底面近くに燃料吸入口を配置した車両用燃料タンクにおいて、上記燃料吸入口が配置された単位タンク内に挿入される連通管の端部を、所定寸法で立ち上げた形状としたことを特徴とする車両用燃料タンク。
【請求項2】 上記燃料吸入口は、当該単位タンクの底面近くにて幅方向の略中央部に位置させたことを特徴とする請求項1記載の車両用燃料タンク。
【請求項3】 上記複数個の単位タンクは、車両の左右方向に分割して搭載されたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用燃料タンク。
【請求項4】 上記複数個の単位タンクは、車両の前後方向に分割して搭載されたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用燃料タンク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数個に分割して搭載される単位タンクを有する車両用燃料タンクに関し、特に、タンク内の燃料の残量が少なくなっても燃料吸入口が配置された側の単位タンク内にはより多くの燃料を残して燃料を吸入可能とする車両用燃料タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の車両用燃料タンクは、図7に示すように、例えばトラック、バスなどの車両の左右方向に分割して搭載される複数個(例えば2個)の単位タンク1a,1bを有し、この複数個の単位タンク1a,1bの低部にて各単位タンク1a,1bを接続する連通管2を備え、上記複数個の単位タンク1a,1bのいずれか一つ(例えば右側の単位タンク1b)の底面近くにサクションパイプ3下端の燃料吸入口4を配置して構成されていた。
【0003】なお、図7において、符号5a,5bは各単位タンク1a,1bの上部に設けられた燃料の注入口を示している。また、符号6はタンク内の燃料残量を表示するために燃料8の液面の高さを検出するフロートを示し、符号7は上記フロート6で検出した燃料8の液面の高さにより液面信号を出力するフューエルセンダゲージを示している。
【0004】そして、このような車両用燃料タンクにより、複数個の単位タンク1a,1bに補給された燃料を、上記連通管2の作用により各単位タンク1a,1b間で同一の燃料液面とし、一つのタンクと同様に一つのサクションパイプ3で燃料を吸入してエンジンへ送給していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような複数個の単位タンクを有する従来の車両用燃料タンクにおいては、タンク内の燃料の残量が少なくなった場合において、車両が左右に傾斜したり或いは車両の左右旋回時の横加速度が働いたときは、図7に示すように、燃料8が連通管2を通って例えば一方の単位タンク1a側にのみ偏ってしまうことがあった。ここで、他方の単位タンク1b側にはその底面近くにサクションパイプ3の燃料吸入口4が配置されているが、該他方の単位タンク1b側にはほとんど燃料がなくなり燃料吸入口4が燃料液面から露出して、該燃料吸入口4から空気を吸入して燃料切れを起こし、エンジンが停止するおそれがあった。
【0006】なお、このような状態は、車両の前後方向に分割して搭載される複数個の単位タンクを有する車両用燃料タンクにおいても、車両が前後に傾斜したり或いは車両の加減速時の前後方向加速度が働いたときにも、同様の問題点が生じる。
【0007】そこで、本発明は、このような問題点に対処し、タンク内の燃料の残量が少なくなっても燃料吸入口が配置された側の単位タンク内にはより多くの燃料を残して燃料を吸入可能とする車両用燃料タンクを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による車両用燃料タンクは、複数個に分割して搭載される単位タンクを有し、この複数個の単位タンクの低部にて各単位タンクを接続する連通管を備え、上記複数個の単位タンクのいずれか一つの底面近くに燃料吸入口を配置した車両用燃料タンクにおいて、上記燃料吸入口が配置された単位タンク内に挿入される連通管の端部を、所定寸法で立ち上げた形状としたものである。
【0009】このような構成により、燃料吸入口が配置された単位タンク内に挿入される連通管の端部を所定寸法で立ち上げた形状とすることで、タンク内の燃料の残量が少なくなっても燃料吸入口が配置された側の単位タンク内にはより多くの燃料を残して燃料を吸入可能とする。また、繰り返し車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受け、又は車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けると、燃料吸入口が配置された側の単位タンク内に燃料が集められる。
【0010】また、上記燃料吸入口は、当該単位タンクの底面近くにて幅方向の略中央部に位置されている。これにより、車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受け、又は車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けた場合でも、当該単位タンクの低部に燃料が残っている限り、最後まで上記燃料吸入口で燃料を吸入する。
【0011】さらに、上記複数個の単位タンクは、車両の左右方向に分割して搭載されたものである。これにより、車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受けた場合に対処する。
【0012】さらにまた、上記複数個の単位タンクは、車両の前後方向に分割して搭載されたものでもよい。これにより、車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けた場合に対処する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による車両用燃料タンクの実施の形態を示す断面説明図である。この車両用燃料タンクは、例えばトラック、バスなどの車両において複数個に分割して搭載される単位タンクを有するもので、図1に示すように、例えば車両の左右方向に分割して搭載される複数個の単位タンク1a,1bを有している。
【0014】一方の単位タンク1aは、車両の前後軸に対して例えば左側に分割して配置搭載されるもので、その上部の外側部には燃料の注入口5aが設けられている。また、他方の単位タンク1bは、上記前後軸に対して例えば右側に分割して配置搭載されるもので、同じくその上部の外側部には燃料の注入口5bが設けられている。そして、各単位タンク1a,1bは、その低部にて両端が開口した連通管2で相互に接続されている。この連通管2は、左右に分割して配置された各単位タンク1a,1b内の燃料が相互に移動可能とすると共に、略水平状態では両単位タンク1a,1bの燃料液面を合わせるもので、例えば内径が45mm程度とされている。なお、この内径は適宜選択すればよい。
【0015】上記複数個の単位タンク1a,1bのいずれか一つ、例えば右側の単位タンク1bの底面近くには、サクションパイプ3の燃料吸入口4が配置されている。このサクションパイプ3は、両単位タンク1a,1bから図示外のエンジンに燃料を送給するためのもので、該サクションパイプ3の下端に燃料吸入口4が開口している。
【0016】なお、図1において、符号6はタンク内の燃料残量を表示するために燃料8の液面の高さを検出するフロートを示し、符号7は上記フロート6で検出した燃料8の液面の高さにより液面信号を出力するフューエルセンダゲージを示している。
【0017】ここで、本発明においては、上記サクションパイプ3の燃料吸入口4が配置された単位タンク1b内に挿入される連通管2の端部9が、底面から上向きに所定寸法で立ち上げた形状とされている。上記端部9の立ち上げ形状は、上向きであればどのようなものでもよく、直管状の連通管2の先端部を例えばL字形のように直角に折り曲げ形成したもの、或いは所定半径で1/4円弧状に折り曲げ形成したものでもよい。そして、その立ち上げ寸法は、例えば75mm程度とされている。なお、この寸法は適宜選択すればよい。
【0018】また、上記連通管2の端部9は、上記のように直管状の連通管2の先端部を折り曲げ形成したものに限らず、図2に示すように、所定寸法で立ち上げた形状の1/4円弧状又はL字形の端部管9′を別体で作製し、これを直管状の連通管2の先端部に取り付けてもよい。図2は1/4円弧状の端部管9′を示しており、例えば内径dが45mm程度とされ、折り曲げ半径Rが80mm程度とされ、立ち上げ寸法hが75mm程度とされている。なお、上記連通管2の他端部は、直管状に形成されている。
【0019】さらに、上記サクションパイプ3の燃料吸入口4は、右側の単位タンク1bの底面近くにて該単位タンク1bの幅方向の略中央部に位置されている。すなわち、サクションパイプ3自体を右側の単位タンク1bの幅方向の略中央部に位置させて設置してある。これにより、単位タンク1a,1bが左側に傾斜した場合でも、右側に傾斜した場合でも、右側の単位タンク1bの低部に燃料が残っている限り、最後まで上記サクションパイプ3の下端部の燃料吸入口4で燃料を吸入可能となる。
【0020】次に、このように構成された車両用燃料タンクにおいて、タンク内の燃料8の残量が少なくなった場合に、車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受けたときの燃料液面の状態について、図3〜図5を参照して説明する。
【0021】図3は、例えば車両が右側に傾斜した場合の燃料液面の状態を示している。この場合は、左側の単位タンク1a内の燃料8は、連通管2を通ってサクションパイプ3の燃料吸入口4が配置された右側の単位タンク1b内に移動し、所定寸法で立ち上げられた端部9からあふれて上記右側の単位タンク1b内に溜まる。このとき、左側の単位タンク1a内に挿入された連通管2の他端部は直管状に形成されているので、そのまま燃料8が流入し、右側の単位タンク1b内には、左側の単位タンク1a内よりも多くの燃料8が集められる。この状態で、サクションパイプ3の燃料吸入口4により燃料8が吸入される。なお、車両が左旋回をして右向きの横加速度を受けたときも、図3に示す燃料液面と同様の状態となる。
【0022】図4は、例えば車両が左側に傾斜した場合の燃料液面の状態を示している。この場合は、右側の単位タンク1b内の燃料8は、所定寸法で立ち上げられた端部9から連通管2を通って左側の単位タンク1a内に移動し、該連通管2の直管状の他端部から上記左側の単位タンク1a内に流入する。しかし、右側の単位タンク1b内に挿入された連通管2の端部9は所定寸法で立ち上げられているので、その立ち上げ寸法h(図2参照)の高さまでは液面は下がるが、それより以下には下がらない。すなわち、サクションパイプ3の燃料吸入口4が配置された右側の単位タンク1b内には、図7に示す従来技術とは異なり、連通管2の端部9の立ち上げ寸法hの高さまで燃料8が残ることとなる。この状態で、サクションパイプ3の燃料吸入口4により燃料8が吸入される。なお、車両が右旋回をして左向きの横加速度を受けたときも、図4に示す燃料液面と同様の状態となる。
【0023】図5は、例えば車両が左右の旋回を繰り返し、左右の横加速度を繰り返し受けたときの右側の単位タンク1b内の燃料液面の状態を示している。この場合は、タンク内の燃料8の残量が少なくなった場合において、単位タンク1bが略水平で連通管2の端部9の立ち上げ寸法hの高さまで燃料8が減少したときの燃料液面を実線(8)で示し、車両が左旋回をして右向きの横加速度を受けたときの燃料液面を破線(8L)で示し、車両が右旋回をして左向きの横加速度を受けたときの燃料液面を破線(8R)で示している。この状態では、右側の単位タンク1b内に配置されたサクションパイプ3の燃料吸入口4が当該単位タンク1bの底面近くにて幅方向の略中央部に位置されているので、上記単位タンク1b内で燃料吸入口4の下方に燃料8が減るまで、最後まで上記燃料吸入口4により燃料8が吸入される。
【0024】図6は、サクションパイプ3の燃料吸入口4が配置された側の単位タンク1bにおける上記サクションパイプ3の取付位置の変形例を示す断面説明図である。この変形例では、サクションパイプ3を上記単位タンク1bの一方の側端部に偏って取り付け、その下端部の燃料吸入口4を該単位タンク1bの一方の側端部に偏って底面近くに位置させたものである。この場合においても、連通管2の端部9を所定寸法で立ち上げた効果は得られる。また、図6に破線で示すように、サクションパイプ3′を中間部でクランク状に折り曲げ、下端部の燃料吸入口4′だけは上記単位タンク1bの底面近くにて幅方向の略中央部に位置させてもよい。これらの場合は、上記単位タンク1bのアッパータンクの形状、構造等を全く変更せずに本発明を実施できる。
【0025】なお、以上の説明では、複数個の単位タンク1a,1bが車両の左右方向に分割して搭載された場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数個の単位タンク1a,1bが車両の前後方向に分割して搭載されたものでもよい。この場合、タンク内の燃料8の残量が少なくなった場合に、車両が前後に傾斜したり或いは車両の加減速時の前後方向加速度が働いたときの燃料液面の状態は、図3〜図5で説明したのと同様となる。また、以上の説明では、複数個の単位タンクは2個とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、3個以上であってもよい。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る発明によれば、燃料吸入口が配置された単位タンク内に挿入される連通管の端部を所定寸法で立ち上げた形状とすることで、タンク内の燃料の残量が少なくなっても燃料吸入口が配置された側の単位タンク内にはより多くの燃料を残して燃料を吸入可能とすることができる。したがって、上記燃料吸入口から空気を吸入して燃料切れを起こし、エンジンが停止するおそれをなくすことができる。また、繰り返し車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受け、又は車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けると、燃料吸入口が配置された側の単位タンク内に燃料が集められる。このことから、更にエンジン停止のおそれをなくすことができる。さらに、従来の燃料タンクの外観はほとんど変更せずに、本発明を実施できる。
【0027】また、請求項2に係る発明によれば、上記燃料吸入口を当該単位タンクの底面近くにて幅方向の略中央部に位置させたことにより、車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受け、又は車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けた場合でも、当該単位タンクの低部に燃料が残っている限り、最後まで上記燃料吸入口で燃料を吸入することができる。
【0028】さらに、請求項3に係る発明によれば、上記複数個の単位タンクは、車両の左右方向に分割して搭載されたことにより、車両が左右傾斜したり或いは左右旋回時の横加速度を受けた場合に対処することができる。
【0029】さらにまた、請求項4に係る発明によれば、上記複数個の単位タンクは、車両の前後方向に分割して搭載されたことにより、車両が前後傾斜したり或いは加減速時の前後方向加速度を受けた場合に対処することができる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2001−260668(P2001−260668A)
【公開日】 平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願番号】 特願2000−82273(P2000−82273)