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【発明の名称】 車高調整装置
【発明者】 【氏名】芦田 泰一

【氏名】堀 準一

【要約】 【課題】エアサスペンションでありながら、荷物の積み降ろし作業中に積載重量が変化しても荷台の沈下を抑える。

【解決手段】車高を荷物の積み降ろし作業に最適な高さに合わせてから荷台床面の高さの増加を禁止し、この状態でエアベローズを加圧することにより、エアベローズ内部の圧力を所定値まで高める。荷物の積載作業が進み、積載重量が増加するにしたがってこの増加量に見合った分だけエアベローズを徐々に加圧する。所定の高さ以下に荷台床面が沈下した場合には、いったん荷台床面の高さの増加の禁止を解除し、荷台床面の高さが回復した後に再び荷台床面の高さの増加の禁止を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車軸と荷台との間隔が一定になるようにエアサスペンションの空気圧を自動的に加減する自動調整手段と、車両の停車中に起動可能であり前記自動調整手段の作動を一時的に禁止し前記空気圧を変更し前記間隔を所望の値に調整する操作手段とを備えた車高調整装置において、前記操作手段により調整された所望の間隔の増大を制限する機械的なロック手段と、このロック手段が作動した状態で前記空気圧を加圧する手段とを備えたことを特徴とする車高調整装置。
【請求項2】 前記エアサスペンションの空気圧を検出する圧力センサと、この圧力センサの検出圧力が設定値を越えるとき前記加圧する手段の作動を自動的に停止させる手段とを備えた請求項1記載の車高調整装置。
【請求項3】 前記荷台の荷重を検出する手段が設けられ、この検出する手段の検出結果にしたがって荷重値が規定範囲を逸脱するときには当該荷重値が規定範囲内となるように前記エアサスペンションの空気圧を調整する手段を備えた請求項1記載の車高調整装置。
【請求項4】 前記機械的なロック手段は、前記車軸と前記荷台との間に設けられたショックアブソーバに設けられた請求項1または2記載の車高調整装置。
【請求項5】 前記機械的なロック手段が作動した状態で所定幅を越えて前記間隔が短くなるときこのロック手段の作動を自動的に解放する手段を備えた請求項4記載の車高調整装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアサスペンションを備えた荷物運搬用車両に利用する。本発明は、フォークリフトなどの荷役作業車を直接荷台に乗り込ませて行う荷物の積み降ろし作業に利用するに適する。
【0002】
【従来の技術】エアサスペンションを用いた荷物運搬用の車両が広く普及している。荷物運搬用の車両にエアサスペンションを用いることにより、板バネを用いたリーフサスペンションの車両と比較すると、荷物が壊れず安心して走れるため、顧客に対するサービス品質の向上を図ることができる。このために、エアサスペンションを用いた荷物運搬用の車両はさらに普及する傾向にある。
【0003】荷物の積み降ろし作業の様子を図4に示す。車両への荷物の積み降ろし作業は、図4に示すように、荷台とプラットホームとの間に渡し板を置き、プラットホームと荷台との間をフォークリフトが往復することにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、エアサスペンションを用いた荷物運搬用の車両は、板バネを用いたリーフサスペンションの車両と比較すると、運搬途中の路面からの衝撃を和らげることにより、荷物を壊すことなく運搬することができる。その反面、板バネを用いたリーフサスペンションの車両と比較すると、図4に示した荷物の積み降ろし作業の際には、フォークリフトの重量によって荷台が大きく沈み込むため、フォークリフトの運転者は、この点に留意し、プラットホームから荷台に乗り込む際には、ゆっくりとした速度でフォークリフトを運転することが要求される。このような手順を荷物の積み降ろしの度に頻繁に行うことにより、積み降ろし作業の効率が低下することは否めない。
【0005】さらに、荷物の積載作業が進むと、フォークリフトの出入りにより給気と排気が交互に行われることとなるため大量の送気が必要となり、エアタンク内のエアが低下し、荷台が徐々に沈み込む。これを回復させるためには、エンジンを始動してコンプレッサを運転し、送気を行わねばならない。しかし、一般に、荷物の積み降ろし作業は、屋内あるいは屋内に近い場所で行われる場合が多く、排気ガスが屋内に流入することを回避するために、車両はエンジンを始動してからいったんプラットホームを離れ、送気を行ってから再びプラットホームに戻るといった手順をとらなければならず、積み降ろし作業の効率がいっそう低下する。
【0006】したがって、荷物の運搬中には、エアサスペンション本来のソフトなサスペンション特性を有し、荷物の積み降ろし作業の際には、リーフサスペンションのような荷台の沈下の少ないサスペンション特性を有する荷物運搬用車両が望まれている。
【0007】本発明は、このような背景に行われたものであって、エアサスペンションでありながら、荷物の積み降ろし作業中に、フォークリフト乗り込み等により積載重量が急変化しても荷台の沈下を抑えることができる車高保持装置を提供することを目的とする。これにより、荷物の積み降ろし作業の効率を向上させることができる車高保持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題の解決するための手段】本発明は、荷台の高さをプラットホームの高さなど、荷物の積み降ろし作業に最適な高さに合わせてから荷台の高さの増加を禁止し、この状態でエアサスペンションを加圧することにより、エアサスペンション内部の圧力を所定値まで高める。これにより、荷台に所定の重量が積載された場合でも、エアサスペンションには、あらかじめ所定の重量分の加圧が行われているため、荷台の沈下を抑えることができる。ここで、所定の重量とは、例えば、フォークリフトの重量とすればよい。これにより、荷台とプラットホームとの間をフォークリフトが往復しても荷台の沈下は発生しない。
【0009】このようにして、荷台への荷物の積み降ろし作業を開始する。荷物の積載作業が進み、積載重量が増加するにしたがって徐々に荷台の荷重は増加する。この増加量を検出してこの増加量に見合った分だけエアサスペンションをさらに加圧する。この加圧は、あらかじめ加圧されている圧力の不足分を補うための加圧であるから、たいていの場合には、エンジンを始動させることなく、あらかじめエアタンクに充填されている空気の圧力により行うことができる。
【0010】このとき、所定の高さ以下に荷台が沈下した場合には、いったん荷台の高さの増加の禁止を解除し、荷台の高さが回復した後に再び荷台の高さの増加の禁止を行うことがよい。
【0011】なお、あらかじめエアサスペンションを加圧する際に、荷台に乗り込むフォークリフトなどの荷役作業車の重量と積載荷物の重量とを加算した重量に見合った分の加圧を行うことも考えられる。この場合には、きわめて大きな圧力値となるため、エアサスペンションおよび荷台の高さの増加を禁止する構造を強固に設計しておくことが必要となるが、本発明では、まず、フォークリフトなどの荷役作業車の重量に見合った分の加圧を行い、積載作業が進むにつれて荷物の重量分の再加圧を行うことにより対応しており、エアサスペンションおよび荷台の高さの増加を禁止する構造を簡単化、低コスト化することができる。
【0012】すなわち、本発明は、車軸と荷台との間隔が一定になるようにエアサスペンションの空気圧を自動的に加減する自動調整手段と、車両の停車中に起動可能であり前記自動調整手段の作動を一時的に禁止し前記空気圧を変更し前記間隔を所望の値に調整する操作手段とを備えた車高調整装置である。
【0013】ここで、本発明の特徴とするところは、前記操作手段により調整された所望の間隔の増大を制限する機械的なロック手段と、このロック手段が作動した状態で前記空気圧を加圧する手段とを備えたところにある。
【0014】この空気圧の調整は自動的に行われても、あるいは、手動操作により行われてもよい。いずれの場合でも、前記エアサスペンションの空気圧を検出する圧力センサと、この圧力センサの検出圧力が設定値を越えるとき前記加圧する手段の作動を自動的に停止させる手段とを備えることが望ましい。
【0015】また、前記荷台の荷重を検出する手段が設けられ、この検出する手段の検出結果にしたがって荷重値が規定範囲を逸脱するときには当該荷重値が規定範囲内となるように前記エアサスペンションの空気圧を調整する手段を備えることが望ましい。
【0016】これにより、荷台が荷役作業車および積載荷物によって沈下することを回避することができる。また、本発明では、荷重が増加する毎にエアサスペンションの再加圧を行うので、あらかじめ過大な圧力がエアサスペンションおよび前記ロック手段に加えられることを回避できるため、エアサスペンションおよび前記ロック手段の構造を簡単化、低コスト化することができる。
【0017】前記機械的なロック手段は、前記車軸と前記荷台との間に設けられたショックアブソーバに設けることができる。このとき、前記機械的なロック手段が作動した状態で所定幅を越えて前記間隔が短くなるときこのロック手段の作動を自動的に解放する手段を備えることが望ましい。
【0018】これにより、荷台の高さが低くなってしまった場合には、一時的にショックアブソーバの伸長方向の運動を復旧しておき、その間に、荷台を元の高さに戻すことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を図1および図2を参照して説明する。図1は本発明実施例の車高調整装置の要部構成図である。図2は本発明実施例の車高調整装置の要部ブロック構成図である。
【0020】本発明は、図1および図2に示すように、車軸と荷台との間隔が一定になるようにエアサスペンションとしてのエアベローズ4の空気圧を自動的に加減する自動調整手段であるECU (electronic control unit)13と、車両の停車中に起動可能でありECU13の作動を一時的に禁止し前記空気圧を変更し前記間隔を所望の値に調整する操作手段である車高調整スイッチ11とを備えた車高調整装置である。
【0021】ここで、本発明の特徴とするところは、車高調整スイッチ11により調整された所望の間隔の増大を制限する機械的なロック手段を含むショックアブソーバ6を備え、ECU13は、このショックアブソーバ6のロック手段が作動した状態で前記空気圧を加圧するところにある。
【0022】また、エアベローズ4の空気圧を検出する圧力センサ9を備え、ECU13は、この圧力センサ9の検出圧力が設定値を越えるとき加圧を自動的に停止させる。
【0023】さらに、荷台の荷重を検出する手段である荷重センサ14を備え、ECU13は、この荷重センサ14の検出結果にしたがって荷重値が規定範囲を逸脱するときには当該荷重値が規定範囲内となるようにエアベローズ4の空気圧を調整する。
【0024】ECU13は、ショックアブソーバ6のロック手段が作動した状態で所定幅を越えて荷台が低くなるときこのロック手段の作動を自動的に解放する。
【0025】なお、このロック手段は、ショックアブソーバ6の伸長方向の油の流れを阻止するための弁を設けることにより実現する。
【0026】次に、本発明実施例の車高調整装置の動作を図3を参照して説明する。図3は本発明実施例のECU13の動作を示すフローチャートである。車両の運転者は、荷物の積み降ろし作業を行うために、図4に示したように、車高調整スイッチ11を操作することにより、プラットホームの高さと荷台の高さとを整合させる。ECU13は、車高調整スイッチ11が操作されることにより、自動的にこれから荷物の積載作業または降下作業が開始されることを察知して荷物積み降ろしモードとなる。
【0027】まず、荷物の積載作業について説明する。運転者が車高調整スイッチ11を手動操作することにより、車高はすでにプラットホームの高さに調整されている。図3に示すように、ECU13は、荷物積み降ろしモードに入ると、ショックアブソーバ6の伸長方向の運動を阻止する(S1)。続いて、エアベローズ4を所定の値まで加圧する(S2)。このときの所定の値は、フォークリフトの平均的な重量に対応する値に設定される。これにより、フォークリフトが荷台に乗り込んで来ても、エアベローズ4はあらかじめ加圧されているために、荷台の沈下は発生しない。次に、ECU13は、ハイトセンサ5、荷重センサ14、圧力センサ9の各検出結果を入力する(S3)。ここで、実際にフォークリフトが荷台に乗り込んで来ると、ハイトセンサ5の検出結果に変化はないが(S4)、フォークリフトの重量分の荷重の変化が荷重センサ14の検出結果の変化となって現れる(S5)。この荷重センサ14の検出結果の変化が、あらかじめ想定されていた規定の変化量であるか否かを判定し(S6)、もし、規定の変化量よりも大きいまたは小さい場合にはエアベローズ4内の圧力を再調整する(S7)。これにより、フォークリフト重量の個体差を補正することができる。このようにして、フォークリフトの重量に対応するエアベローズ4の加圧が行われ、フォークリフトが荷台に出入りすることにより、荷台が沈下することを回避できる。
【0028】次に、フォークリフトによる荷物の積載作業が開始されて荷重が増加し、ハイトセンサ5の検出結果に変化があらわれると(S4)、ECU13は、ショックアブソーバ6の伸長方向の運動を復旧させる(S8)。さらに、ハイトセンサ5の検出結果にしたがってエアベローズ4内部の圧力の再調整を行う(S9)。すなわち、エアベローズ4内部の圧力を増加させることにより、フレームを持ち上げる力を増加させ、これにより、ハイトセンサ5の検出値を所定の値まで戻す。このようにして、エアベローズ4内部の圧力が現在の荷重に対して適正な値となったら(S10)、再びショックアブソーバ6の伸長方向の運動を阻止する(S11)。
【0029】次に、荷物の降下作業について説明する。運転者が車高調整スイッチ11を手動操作することにより、車高はすでにプラットホームの高さに調整されている。図3に示すように、ECU13は、荷物積み降ろしモードに入ると、ショックアブソーバ6の伸長方向の運動を阻止する(S1)。続いて、エアベローズ4を所定の値まで加圧する(S2)。このときの所定の値は、フォークリフトの平均的な重量に対応する値に設定される。これにより、フォークリフトが荷台に乗り込んで来ても、エアベローズ4はあらかじめ加圧されているために、荷台の沈下は発生しない。次に、ECU13は、ハイトセンサ5、荷重センサ14、圧力センサ9の各検出結果を入力する(S3)。ここで、実際にフォークリフトが荷台に乗り込んで来ると、ハイトセンサ5の検出結果に変化はないが(S4)、フォークリフトの重量分の荷重の変化が荷重センサ14の検出結果の変化となって現れる(S5)。この荷重センサ14の検出結果の変化が、あらかじめ想定されていた規定の変化量であるか否かを判定し(S6)、もし、規定の変化量よりも大きいまたは小さい場合にはエアベローズ4内の圧力を再調整する(S7)。これにより、フォークリフト重量の個体差を補正することができる。このようにして、フォークリフトの重量に対応するエアベローズ4の加圧が行われ、フォークリフトが荷台に出入りすることにより、荷台が沈下することを回避できる。
【0030】次に、フォークリフトによる荷物の降下作業が開始されると荷重が減少する。降下作業の場合には、積載作業とは異なり、荷台にかかる荷重は徐々に減少していくために、荷台が沈下することはない。したがって、図3のS8、S9、S10、S11の各ステップは、降下作業については関係がない。降下作業中には、荷重センサ14に減少方向の変化が現れる。このとき、ハイトセンサ5の変化はない(S4)。荷重センサ14の出力変化が規定の変化量を越えると(S6)、エアベローズ4の圧力の再調整が行われる(S7)。この再調整は、エアベローズ4の圧力を減少させる方向に行われる。このように、エアベローズ4の圧力が現在の荷重に対して適正な値となることにより、エアベローズ4の圧力およびショックアブソーバ6の伸長方向の運動を阻止する力を必要最小なものとし、エアベローズ4およびショックアブソーバ6の消耗または破損を回避することができる。
【0031】なお、プラットホームに到着した荷物運搬車両は、エンジンを停止させ、車高調整スイッチ11による車高調整を行い、さらに、図3に示すステップS2のエアベローズ4の加圧を行う。次に、荷物の積み降ろし作業を開始するが、図3に示すステップS7およびS9のエアベローズ4の圧力の再調整には、通常、図2に示すエアタンク7内に充填されている空気圧を用いることにより充分対応できる。これにより、荷物の積み降ろし作業中にエンジンを再始動させるといった事態を回避することができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、エアサスペンションでありながら、荷物の積み降ろし作業中にフォークリフト乗り込み等により積載重量が急変化しても荷台の沈下を抑えることができる。これにより、荷物の積み降ろし作業の効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
【出願日】 平成11年8月5日(1999.8.5)
【代理人】 【識別番号】100078237
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 直孝 (外1名)
【公開番号】 特開2001−47836(P2001−47836A)
【公開日】 平成13年2月20日(2001.2.20)
【出願番号】 特願平11−222726