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トレーリングアーム式サスペンション - 特開2001−47827 | j-tokkyo
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【発明の名称】 トレーリングアーム式サスペンション
【発明者】 【氏名】片山 英則

【要約】 【課題】トレーリングアーム式サスペンションの各トレーリングアームの取付点を低くすることに制約を受ける場合であっても、簡易な手段により、アクスルステアをアンダステアの特性に改善できるようにする。

【解決手段】内筒30と外筒31との間に弾性部材32が介装されたブッシュ3を有し、かつこのブッシュ3の外筒31が、トレーリングアーム1の前端部に固定して取り付けられているとともに、内筒30が車体ブラケット4に支持されている、トレーリングアーム式サスペンションであって、ブッシュ3は、外筒31に回転力が作用するときの外筒31の回転中心P2が内筒30の中心P1よりも下方に位置するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後輪を後部に支持している一対のトレーリングアームと、内筒と外筒との間に弾性部材が介装されることにより形成されており、かつ上記一対のトレーリングアームのそれぞれの前端部に上記外筒が固定して取り付けられている一対のブッシュと、上記各トレーリングアームを車両高さ方向に揺動可能とするように上記各ブッシュの上記内筒を支持する車体ブラケットと、を具備している、トレーリングアーム式サスペンションであって、上記各ブッシュは、上記外筒に回転力が作用するときの上記外筒の回転中心が上記内筒の中心よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする、トレーリングアーム式サスペンション。
【請求項2】 上記弾性部材はゴムであり、かつこのゴムにはスグリ穴が上下非対称に設けられていることにより、上記ゴムは上記内筒の中心の上方部分よりも下方部分の方に多く偏在している、請求項1に記載のトレーリングアーム式サスペンション。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、自動車の後輪に適用されるトレーリングアーム式サスペンション、さらに詳しくは、車両の旋回時のアクスルステア(ロールステア)の特性をアンダステアにするのに好適なトレーリングアーム式サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のトレーリングアーム式サスペンションおよびこれを備えた車両の概略の構成を図7および図8に示す。図7に表れているように、このサスペンションは、後輪W,W(Wa,Wb)を支持する左右一対のトレーリングアーム9,9(9A,9B)を有しており、それらの各前端部にはゴムブッシュ8が固定して設けられている。ゴムブッシュ8は、金属製の内筒と外筒との間にゴム(いずれも図示略)を介在させたものである。各トレーリングアーム9は、たとえば図8の実線に示すように、車体フレーム90に取り付けられた車体ブラケット91にゴムブッシュ8を介して支持されている。ゴムブッシュ8の内筒には、支持軸92が貫通しており、各トレーリングアーム9は、支持軸92を中心として車両高さ方向に揺動可能である。
【0003】このような構成のサスペンションにおいては、図7に示すように、車両が矢印Na方向に旋回するときには、外輪側(バウンド側)の後輪Waが車両前方に変位するとともに、内輪側(リバウンド側)の後輪Wbが車両後方に変位するように設定すれば、後輪Wa,Wbがトーインとなり、アクスルステアの特性をアンダステアに設定することができる。アクスルステアの特性をアンダステアにすれば、オーバステアの場合と比べて車両の安定性、操縦性を良好にすることができる。
【0004】上記したアンダステアの特性を得るためには、各トレーリングアーム9の揺動中心ができる限り低い高さに設定されることが望まれる。たとえば、図8の実線に示すように、揺動中心P3が後輪Wの中心と略同一高さに設定されている場合には、後輪Wが寸法Hだけ上方へバウンドしたときの後輪Wの前方移動量Saは僅かである。これに対し、同図仮想線に示すように、揺動中心P3を適当量Haだけ低い位置P4に設定すると、後輪Wが寸法Hだけバウンドしたときの後輪Wの前方移動量Sbは、上記した前方移動量Saよりも多くなる。同様に、後輪Wが下方へリバウンドするときには、同図実線に示す場合よりも同図仮想線に示す場合の方が後輪Wを車両後方へ配置することができる。このように、バウンドする外輪側の後輪W(Wa)の前方移動量を多くするとともに、リバウンドする内輪側の後輪W(Wb)の後方移動量を多くすることができれば、車両旋回時の後輪Wa,Wbをそれだけ大きな角度でトーインにすることができ、アンダステアの特性をより確実に得ることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のトレーリングアーム式サスペンションにおいては、車体ブラケット91に対する各トレーリングアーム9の取付点、すなわちゴムブッシュ9の内筒の中心が、各トレーリングアーム9の揺動中心P3となっている。このため、実際の車両の設計・製作に際しては、各トレーリングアーム9の取付点を低くして、各トレーリングアーム9の揺動中心P3を低くすることが困難である場合が多いものとなっていた。たとえば、図8に示した構造の場合には、同図の仮想線に示したように、ゴムブッシュ8の取付点を低くしようとすれば、車体フレーム90の下面部から車体ブラケット91が下向きに突出する寸法を大きくしなければならない。すると、車体ブラケット91の強度が低下し、車体フレーム90に後輪Wやトレーリングアーム9の振動が伝わり易くなるといった不具合や、車体ブラケット91の製造コストが高くなるといった不具合が生じる。上記とは異なる車体構造の場合においても、やはりゴムブッシュ8の取付点の高さを低くするには、種々の事情により制約を受ける場合が多い。このように、従来においては、ゴムブッシュ8の取付点を低くするには一定の限界があり、これに起因して、トレーリングアーム式サスペンションのアクスルステアの特性を改善する上においても一定の限界があった。
【0006】本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、トレーリングアーム式サスペンションの各トレーリングアームの取付点を低くすることに制約を受ける場合であっても、簡易な手段により、アクスルステアをアンダステアの特性に改善できるようにすることをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】本願発明よって提供されるトレーリングアーム式サスペンションは、後輪を後部に支持している一対のトレーリングアームと、内筒と外筒との間に弾性部材が介装されることにより形成されており、かつ上記一対のトレーリングアームのそれぞれの前端部に上記外筒が固定して取り付けられている一対のブッシュと、上記各トレーリングアームを車両高さ方向に揺動可能とするように上記各ブッシュの上記内筒を支持する車体ブラケットと、を具備している、トレーリングアーム式サスペンションであって、上記各ブッシュは、上記外筒に回転力が作用するときの上記外筒の回転中心が上記内筒の中心よりも下方に位置するように構成されていることを特徴としている。
【0009】本願発明においては、車体ブラケットに対する各トレーリングアームの取付点の高さは、従来と同様に、ブッシュの内筒の高さとなる。ところが、ブッシュの外筒に回転力が作用するときの外筒の回転中心は、内筒の中心よりも下方であるため、各トレーリングアームがブッシュの外筒を回転させながらバウンドまたはリバウンドするときの揺動中心についても、ブッシュの内筒の中心よりも下方となる。したがって、本願発明によれば、各トレーリングアームの取付点の高さを従来のサスペンションと同様な高さに設定した場合であっても、各トレーリングアームの実際の揺動中心を従来よりも低くすることが可能となる。このようにして各トレーリングアームの揺動中心を低くすれば、それだけ後輪がバウンドするときの前方移動量やリバウンドするときの後方移動量を多くすることができるため、本願発明においては、アクスルステアの特性をアンダステアに設定することが容易化または確実化されることとなる。本願発明においては、たとえば車体フレームから下向きに突出した車体ブラケットにトレーリングアームを支持させる場合に、車体ブラケットの下向き突出量を従来と同一寸法にしたまま、アクスルステアの特性を改善することができるのである。
【0010】本願発明の好ましい実施の形態においては、上記弾性部材はゴムであり、かつこのゴムにはスグリ穴が上下非対称に設けられていることにより、上記ゴムは上記内筒の中心の上方部分よりも下方部分の方に多く偏在している。
【0011】このような構成によれば、ブッシュの内筒の中心よりも下方部分に多くのゴムが偏在していることにより、ブッシュの外筒が回転するときの回転中心を内筒の中心よりも下方に配置させることができる。このような構成を有するブッシュは、一般のゴムブッシュのゴムにスグリ穴を設けることによって簡易に製作することができ、製造コストを抑制する上で好ましい。
【0012】本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0014】図1は、本願発明に係るトレーリングアーム式サスペンションの一例を示す要部側面断面図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図1の要部断面図である。なお、図1以降の図において、矢印Frは車両前方を示し、矢印Upは車両高さ方向の上方を示し、矢印wは車幅方向を示している。
【0015】図2によく表れているように、本実施形態のトレーリングアーム式サスペンションAは、一対のトレーリングアーム1,1、中間ビーム2、各トレーリングアーム1の前端部10に取り付けられている一対のゴムブッシュ3,3、および一対の車体ブラケット4,4を具備して構成されている。
【0016】一対のトレーリングアーム1,1は、車幅方向に適当な間隔を隔てて配されており、車両前後方向に延びている。各トレーリングアーム1の後部には、後輪Wを支持するスピンドル19が取り付けられている。中間ビーム2は、車幅方向に延びており、一対のトレーリングアーム1,1どうしを互いに連結している。この中間ビーム2は、たとえばトーションビームとしての役割を果たすものであり、一対のトレーリングアーム1,1に上下逆相の入力があったときには、これらトレーリングアーム1,1は中間ビーム2に捩じり変形を生じさせながらそれぞれ異なる方向にバウンドまたはリバウンドすることとなる。
【0017】図3によく表れているように、各ゴムブッシュ3は、従来一般のゴムブッシュと同様に、金属製の内筒30、外筒31、およびこれらの間に介在して設けられたゴム32とを具備して構成されている。ただし、内筒30の外形は、車両高さ方向に延びた長円状またはそれに近似した形状に形成されているとともに、ゴム32には、スグリ穴33が設けられている。スグリ穴33は、側面視円弧状であり、その全体または略全体が内筒30の中心P1よりも上方に位置している。これにより、ゴム32の断面形状は上下非対称となっており、ゴム32のボリュームは、内筒30の中心P1の上方部分よりも下方部分の方が多くなっている。各ゴムブッシュ3の外筒31の外周面は、各トレーリングアーム1の前端部10に溶接されている。
【0018】各車体ブラケット4は、たとえば車体フレーム5の下面部に取り付けられている。車体フレーム5は、車幅方向両サイドに配され、かつ車両前後方向に延びる剛性の高い部材である。各車体ブラケット4は、車幅方向に対向する2枚の側板部40、40を有しており、これら2枚の側板部40,40の間に各ゴムブッシュ3の内筒30が挟み込まれて支持されている。より具体的には、ゴムブッシュ3の内筒30の孔部には支持軸としてのボルト50が貫通し、このボルト50が2枚の側板部40,40に貫通して支持されている。このような構造により、各トレーリングアーム1は、各ゴムブッシュ3周りの車両高さ方向に揺動可能となっている。
【0019】次に、上記構成のトレーリングアーム式サスペンションAの作用について説明する。
【0020】まず、図3において、トレーリングアーム1をゴムブッシュ3周りの上方へバウンドさせようとする力Fが発生した場合、ゴムブッシュ3の外筒31には反時計回りの回転力が作用する。すると、外筒31は、内筒30の中心P1を回転中心として回転するのではなく、内筒30の中心P1よりも所定寸法だけ下方の位置P2を中心として周方向に回転することとなる。このような作用が得られるのは、ゴム32の上部にスグリ穴33が設けられていることにより、内筒30と外筒31とはその周方向において各所均一には繋がっておらず、内筒30の中心P1よりも下方に偏って存在するゴム32の厚肉部分を介して内筒30と外筒31とが繋がっている度合いが強いからである。また、上記とは逆に、トレーリングアーム1が下方へリバウンドするときにも、上記したのと同様な理由により、外筒31が回転するときの回転中心は、上記の位置P2となる。したがって、トレーリングアーム1がバウンドまたはリバウンドするときのトレーリングアーム1の揺動中心は、上記した位置P2となる。
【0021】一方、各車体ブラケット4に対する各トレーリングアーム1の取付点の高さは、ゴムブッシュ3の内筒30の中心P1の高さである。したがって、このサスペンションAにおいては、各トレーリングアーム1の揺動中心P2の高さが、各トレーリングアーム1の車体ブラケット4に対する取付点の高さよりも低くなる。このようなことにより、各トレーリングアーム1の揺動中心P2の高さを低くすることを目的として、各トレーリングアーム1の取付点を低くする必要性を少なくすることができ、車体ブラケット4が車体フレーム5から下向きに突出する寸法を増大させる必要を無くし、または少なくすることができる。その結果、車体ブラケット4の強度低下や重量の増加を回避することが可能となる。
【0022】また、本実施形態のサスペンションAにおいては、各トレーリングアーム1の揺動中心P2を低くすることができるために、図8を参照しながら説明した従来の技術の内容から明らかなように、車両が旋回してロールしたときの外輪側(バウンド側)の後輪の前方移動量を多くするとともに、内輪側(リバウンド側)の後輪の後方移動量を多くすることが可能となる。したがって、アクスルステアの特性をアクスルステアにするのに好ましいものとなる。さらに、このサスペンションAは、従来既存のトレーリングアーム式サスペンションのゴムブッシュに代えて、スグリ加工が施された所定のゴムブッシュ3を用いることにより簡単に製造することができ、余分な部品を追加して設ける必要もない。したがって、サスペンション全体の製造コストも、従来のサスペンションの製造コストと大差ないものにできる。
【0023】図4〜図6は、本願発明において適用されるブッシュの他の例を示す要部断面図である。なお、図4以降の図においては、先の実施形態と同一または類似の要素には、先の実施形態と同一符号を付している。
【0024】図4に示すゴムブッシュ3Aは、スグリ穴33Aが図3に示すスグリ穴33よりも大きな割合で設けられたものである。より具体的には、スグリ穴33Aは、その一部が内筒30の中心P1よりも下方に延びて設けられており、内筒30と外筒31とは、ゴム32のうち、内筒30の直下に位置する部分のみを介して繋がっている。このような構成によれば、外筒31に回転力が作用するときの外筒31の回転中心P2を、図3に示したゴムブッシュ3の場合よりもさらに下方に配置させることが可能となる。
【0025】図5に示すゴムブッシュ3Bは、内筒30Bの下部にその上部よりも細幅な膨出部30aを連設することにより、内筒30Bの中心P1の高さにおける内筒30Bと外筒31との間の水平方向の寸法S1よりも、膨出部30aの側方における内筒30Bと外筒31との間の水平方向の寸法S2の方が大きくされた構成を有している。もちろん、ゴムブッシュ3にはスグリ穴33が設けられている。このような構成によれば、外筒31に回転力が作用するときの外筒31の回転中心P2を内筒30Bの中心P1よりも下方に配置させることができるのに加え、トレーリングアーム1に水平力が作用したときには、その水平力を、ゴム32のうち、内筒30Bの中心P1と略同等高さの部分に効率良く負担させることができる。また、このように水平力をゴム32に負担させることができれば、水平力に起因してボルト50に過度のモーメントが作用しないようにすることも可能となる。
【0026】図6に示すゴムブッシュ3Cは、内筒30Cが一般のゴムブッシュと同様な円筒状とされており、ゴム32の上部に半円弧状のスグリ穴33Cが設けられているに過ぎない構成とされている。しかし、このような構成によっても、ゴム32はその上部よりも下部の方が内筒30と外筒31とを繋ぐ役割を強く果たすために、外筒31に回転力が作用したときの外筒31の回転中心P2を、内筒30の中心P1よりも下方に配置させることが可能である。
【0027】本願発明に係るトレーリングアーム式サスペンションの具体的な構成は、上述の実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。
【0028】たとえば、ブッシュとしては、ゴムにスグリ穴を設けた構成のゴムブッシュを用いれば、その製作コストを廉価にできる利点を有するものの、本願発明はこれに限定されない。本願発明においては、たとえば内筒の中心よりも上方に位置する弾性部材とそれよりも下方に位置する弾性部材との材質あるいは組成を変えることによって、それらのバネ定数あるいはコンプライアンスを相違させ、これにより外筒に回転力が作用するときの外筒の回転中心が内筒の中心よりも下方となるように構成されたブッシュを用いてもかまわない。また、本願発明でいう車体ブラケットは、車体フレームから下向き突出状に設けられるものに限定されないことは、言うまでもない。
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成11年8月9日(1999.8.9)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開2001−47827(P2001−47827A)
【公開日】 平成13年2月20日(2001.2.20)
【出願番号】 特願平11−224866