トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 車両用サスペンション
【発明者】 【氏名】辻田 俊哉

【氏名】山内 治

【要約】 【課題】車両旋回時における走行安定性を向上させることのできる車両用サスペンションを提供する。

【解決手段】車体フレーム13に固着されたブラケット19に上下方向に揺動自在に支持されたブッシュ12と、外側端において車輪6を回転可能に支持するキャリア5を接続し、かつ内側端においてブッシュ12を接続したサスペンションアーム1とを備えた車両用サスペンションであって、ブッシュ12は、上下方向に延びた中心軸Cを中心として配された外筒16および内筒17と、外筒16および内筒17の間に介装された弾性部材18とを有し、弾性部材18には、ブラケット19に向かって突出した突起21が形成された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体に固着されたブラケットに上下方向に揺動自在に支持されたブッシュと、外側端において車輪を回転可能に支持するキャリアを接続し、かつ内側端において前記ブッシュを接続したサスペンションアームとを備えた車両用サスペンションであって、前記ブッシュは、上下方向に延びた中心軸を中心として配された外筒および内筒と、前記外筒および内筒の間に介装された弾性部材とを有し、前記弾性部材には、前記ブラケットに向かって突出した突起が形成されたことを特徴とする、車両用サスペンション。
【請求項2】 車体に固着されたブラケットに上下方向に揺動自在に支持されたブッシュと、外側端において車輪を回転可能に支持するキャリアを接続し、かつ内側端において前記ブッシュを接続したサスペンションアームとを備えた車両用サスペンションであって、前記ブッシュは、上下方向に延びた中心軸を中心として配された外筒および内筒と、前記外筒および内筒の間に介装された弾性部材とを有し、前記弾性部材には、上下方向に貫通する空隙が形成され、前記空隙の内側に突起が形成されたことを特徴とする、車両用サスペンション。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ブッシュによって揺動自在に支持されたサスペンションアームを備える車両用サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来より、車両のサスペンション、特にフロント用サスペンションには、図1に示す構成のものが採用されている。すなわち、この車両用サスペンションは、平面視略L字状のサスペンションアーム1を備え、サスペンションアーム1は、その外側端に設けられたボールジョイント4、キャリア5を介して車輪6を接続し、かつ内側端の前後方向2箇所において、図示しない車体フレームに対して揺動自在に支持されたブッシュ11,12を接続している。
【0003】内側端の車両後方側のブッシュ12は、上下方向に延びた中心軸を中心にして配された外筒16および内筒17と、それらの間に介装されたゴムなどの弾性部材18とによって構成される。外筒16は、サスペンションアーム1に固着され、内筒17は、車体フレームのブラケット(図示せず)に固着されている。
【0004】この構成により、サスペンションアーム1は、車体に対して揺動自在に支持される。そのため、車輪6のバウンドおよびリバウンド時には、サスペンションアーム1は、上下方向に揺動するが、上記ブッシュ12の弾性部材18によって、サスペンションアーム1の揺動が吸収される。また、たとえば、図1に示すように、弾性部材18に車両前後方向に延び、かつ上下方向に貫通する空隙20を形成するようにすれば、弾性部材18のばね剛性を下げることができ、車幅方向における、いわゆるコンプライアンスを確保することができる。
【0005】しかしながら、弾性部材18に空隙20を形成した場合、たとえば、車両旋回時では、弾性部材18の車幅方向におけるばね剛性が小さくなるので、車両はオーバステア傾向になり、走行安定性の面において好ましくないといった問題点がある。
【0006】
【発明の開示】本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、車両旋回時における走行安定性を向上させることのできる車両用サスペンションを提供することを、その課題とする。
【0007】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】本願発明の第1の側面によれば、車体に固着されたブラケットに上下方向に揺動自在に支持されたブッシュと、外側端において車輪を回転可能に支持するキャリアを接続し、かつ内側端においてブッシュを接続したサスペンションアームとを備えた車両用サスペンションであって、ブッシュは、上下方向に延びた中心軸を中心として配された外筒および内筒と、外筒および内筒の間に介装された弾性部材とを有し、弾性部材には、ブラケットに向かって突出した突起が形成されたことを特徴とする車両用サスペンションが提供される。
【0009】この構成によれば、たとえば、車両旋回時において、サスペンションアームが上下方向に揺動されると、弾性部材がその揺動を吸収し、さらに、揺動の度合い(揺動角度)が大きくなると、弾性部材に形成された突起がブラケットに当接する。これにより、車幅方向におけるばね剛性を高めることができ、すなわち、上記突起がブラケットに当接する所定の揺動角度以上において、サスペンションアームにおける全体のばね定数を大きくすることができるので、車両の走行をよりアンダーステア傾向にすることができる。そのため、上記ばね定数を所定の揺動角度から可変させることができ、走行の安定性を向上させることができる。
【0010】本願発明の第2の側面によれば、車体に固着されたブラケットに上下方向に揺動自在に支持されたブッシュと、外側端において車輪を回転可能に支持するキャリアを接続し、かつ内側端においてブッシュを接続したサスペンションアームとを備えた車両用サスペンションであって、ブッシュは、上下方向に延びた中心軸を中心として配された外筒および内筒と、外筒および内筒の間に介装された弾性部材とを有し、弾性部材には、上下方向に貫通する空隙が形成され、空隙の内側に突起が形成されたことを特徴とする車両用サスペンションが提供される。
【0011】この構成によれば、ブッシュの弾性部材に、車両のコンプライアンスを確保するために空隙が形成された場合、たとえば、車両旋回時において、サスペンションアームが上下方向に揺動し、揺動の度合い(揺動角度)が大きくなると、空隙の内側に形成された突起が弾性部材の対向面に当接する。これにより、本構成においても、サスペンションアームにおける全体のばね定数を所定の揺動角度以上において大きくすることができるので、車両の走行をよりアンダーステア傾向にすることができ、走行の安定性を確保できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0013】図1は、本願発明に係る車両用サスペンションの一例を示す概略平面図である。図2は、図1に示すブッシュのA−A矢視拡大断面図である。また、図3は、図1に示すブッシュの要部拡大平面図である。なお、これらの図において、矢印Frは車両前方を示し、矢印Wは車幅方向を示し、矢印Upは上方向を示す。
【0014】図1によれば、この車両用サスペンションは、フロントサスペンションを示すもので、平面視略L字状に形成されたサスペンションアーム1を備えている。詳細には、サスペンションアーム1は、たとえば、金属板をプレス加工することによって形成され、車幅方向に直線状に延びた直線部2と、直線部2の内側端近傍から車両後方側に延びた延設部3とによって構成される。サスペンションアーム1は、直線部2の外側端にボールジョイント4を備え、キャリア5を介して車輪6を接続している。
【0015】また、サスペンションアーム1には、直線部2の内側端と延設部3の先端との車両の前後方向2箇所において、サスペンションアーム1を揺動自在に支持する第1のブッシュ11および第2のブッシュ12がそれぞれ設けられており、サスペンションアーム1は、各ブッシュ11,12を介して車体フレーム13に取り付けられている。
【0016】第1のブッシュ11は、車両前後方向に延びる水平軸Bを中心として配された金属製の外筒14と、水平軸Bと同軸上に配された金属製の内筒15と、外筒14および内筒15の間に介装された図示しない弾性部材とを有しており、外筒14がサスペンションアーム1に固着され、内筒15が図1において図示しない車体フレームに固着されている。
【0017】一方、本実施形態の特徴部分である第2のブッシュ12は、図2に示すように、上下方向に延びる中心軸Cを中心として配された金属製の外筒16と、中心軸Cと同軸上に配された内筒17と、外筒16および内筒17の間に介装され、ゴムなどによって形成された弾性部材18とを有している。外筒16は、その周面の一部がサスペンションアーム1に固着され、内筒17は、その両端がブラケット19に固着され、ブラケット19は、車体フレーム13に接続されている。第2のブッシュ12の中心軸Cは、上述した水平軸Bと直交し、第2のブッシュ12は、車両のバウンド時またはリバウンド時、この水平軸B周りに揺動する。
【0018】なお、第2のブッシュ12は、上下方向に中心軸Cを有するように、いわゆる縦型に構成されれば、水平方向に中心軸を有する横型の構成に比べ、その容積を水平方向に広げることができ、スペース的に有利な構成になる。これにより、後述するように、外筒16および内筒17に介装される弾性部材において、たとえば、車両のコンプライアンスを確保するための空隙などを形成するなどの機能面での工夫を容易に施すことができるといった利点を有する。
【0019】弾性部材18には、上下方向に貫通し、かつ平面視で車両前後方向に延びた空隙20が形成されている。具体的には、空隙20は、中心軸Cから車幅方向外方側の外筒16までの間の肉厚部、および中心軸Cから車幅方向内方側の外筒16までの間の肉厚部にそれぞれ形成されている。上記空隙20は、車両の車幅方向におけるコンプライアンスを確保するためのものである。
【0020】そして、本実施形態では、図2,3に示すように、弾性部材18に、ブラケット19に向かって突出した第1の突起21が形成されている。詳細には、第1の突起21は、車幅方向外方側の空隙20と外筒16との間に位置する弾性部材18に一体的に形成され、ブラケット19の上壁面19aに向かって突出し、平面視で外筒16の内側面に沿って所定長さ延びている。第1の突起21とブラケット19の上壁面19aとの間は、通常状態で所定の間隔Dが空けられている。
【0021】さらに、車幅方向外方側の空隙20の内側に、第2の突起22が形成されている。詳細には、第2の突起22は、車幅方向外方側の空隙20における外筒16側の弾性部材18の内側面18aにおいて、やや上方の位置から延びて弾性部材18に一体的に形成され、対向する内側面18bに向かって突出している。そして、第2の突起22と内筒17側の内側面18bとの間は、通常状態で所定の間隔Eが空けられている。
【0022】このような構成によれば、車両走行中において、サスペンションアーム1は、水平軸Bを中心として車両高さ方向(上下方向)に揺動する。そして、たとえば、車両が左旋回した場合、第2のブッシュ12の弾性部材18がよじれ、第2のブッシュ12の車幅方向外方側が持ち上がるような恰好になる。このとき、弾性部材18によってその揺動がある程度、吸収される。
【0023】さらに、揺動の度合いが大きくなると、すなわち揺動角度が増して、所定の揺動角度に達すると、図4に示すように、第1の突起21がブラケット19の上壁面19aに当接する。また、第2の突起22が、弾性部材18の、対向する内側面18bに当接する。このように、第1、第2の突起21,22がそれぞれ対向する面に当接すると、車幅方向におけるばね剛性が高められ、サスペンションアーム1における全体のばね定数が大きくなる。
【0024】図5は、サスペンションアーム1にかかる荷重(トルク)と揺動角度θとの関係、すなわち、このサスペンションアーム1における全体のばね定数の特性を示す図であり、点線Fは、従来のサスペンションにおける特性を示し、実線Gは、本実施形態のサスペンションにおける特性を示す。
【0025】同図に示すように、従来のサスペンションでは、荷重と揺動角度θとは、ほぼ線形の関係にあるが、本実施形態におけるサスペンションでは、揺動角度θが所定の揺動角度θ1以上になると、サスペンションアーム1における全体のばね定数が大きくなる。この所定の揺動角度θ1は、上述したように、第1、第2の突起21,22がそれぞれ対向面に当接する角度を表しており、各突起21,22が対向面に当接することにより、それに対応して車幅方向におけるばね剛性が高められる。そのため、その角度以上においては上記ばね定数を大きくできるので、車両旋回時における走行をよりアンダーステア傾向にすることができ、安定した走行性を得ることができる。
【0026】なお、上記実施形態によれば、第1、第2の突起21,22は、図2に示すように、弾性部材18にともに形成されたが、たとえば、第1の突起21は形成されずに、第2の突起22のみが弾性部材18の空隙20の内側に形成されるようにしてもよい。あるいは、弾性部材18に空隙20が形成されないブッシュが採用された場合には、第1の突起21のみが弾性部材18に形成されるようにしてもよい。
【0027】また、上記の構成は、左側の車輪におけるサスペンションにおいても同様の構成とされ、この場合、各突起21,22は、図2に示す位置と対象となる、車幅方向外方側の弾性部材18に形成される。これらの突起は、車両が右旋回した場合に、上述した第1、第2の突起21,22と同様に、有効に機能する。
【0028】また、本実施形態においては、ばね定数が可変する所定の揺動角度θ1の値を、車種に応じた所望の値に変更したい場合には、第1の突起21とブラケット19との間の距離D、または第2の突起22と対向する弾性部材18との間の距離Eを変更することにより、すなわち、各突起21,22の大きさを変更することにより、容易に対応することができる。
【0029】また、上記の構成に加えて、図6に示すように、車幅方向外方側の空隙20と外筒16との間に位置する弾性部材18において、ブラケット19の下壁面19bに向かって突出するように他の突起25が形成されてもよい。また、車幅方向外方側の空隙20における弾性部材18の外筒16側の内側面18aにおいて、やや下方の位置から延び、対向する内側面18bに向かって突出する突起26が形成されるようにしてもよい。これによれば、車両のバウンド時だけでなく、リバウンド時にも、上記した作用効果を奏することができる。
【0030】また、同図に示すように、中心軸Cを基準にして車幅方向内方側の空隙20において、その空隙20と外筒16との間に位置する弾性部材18に、第1、第2の突起21,22、他の突起25,26と対象となる位置に、突起27〜30を形成するようにしてもよい。これによれば、突起27〜30によって、車両旋回時に、第1、第2の突起21,22あるいは突起25,26と同様の作用効果を奏することができるとともに、所定の揺動角度θ1においてばね定数をより確実に可変させることができるといった利点がある。
【0031】なお、この発明の範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成11年8月9日(1999.8.9)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開2001−47826(P2001−47826A)
【公開日】 平成13年2月20日(2001.2.20)
【出願番号】 特願平11−224865