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【発明の名称】 後2軸車両のエアサスペンション装置
【発明者】 【氏名】武隈 芳人

【要約】 【課題】後2軸車両に適したエアサスペンション装置を提供する。

【解決手段】発進補助作動時にドライブ軸側エアスプリング8の圧力をデッド軸側エアスプリング9の圧力より高める発進補助作動制御手段とを備える後2軸車両のエアサスペンション装置において、ドライブ軸側エアスプリング8とデッド軸側エアスプリング9を連通する前後エアスプリング間連通路17と、前後エアスプリング間連通路17を開閉する電磁バルブ18とを備え、コントロールユニット20が電磁バルブ18を発進補助作動時に閉じ非発進補助作動時に開く前後エアスプリング間連通制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】動力が伝達される後前輪を支持するドライブ軸と、前記ドライブ軸を懸架するドライブ軸側エアスプリングと、動力が伝達されない後後輪を支持するデッド軸と、前記デッド軸を懸架するデッド軸側エアスプリングと、発進補助作動時に前記ドライブ軸側エアスプリングの圧力を前記デッド軸側エアスプリングの圧力より高める発進補助作動制御手段と、を備える後2軸車両のエアサスペンション装置において、前記ドライブ軸側エアスプリングと前記デッド軸側エアスプリングを連通する前後エアスプリング間連通路と、前記前後エアスプリング間連通路を開閉する弁手段と、前記弁手段を発進補助作動時に閉じ非発進補助作動時に開く前後エアスプリング間連通制御手段と、を備えたことを特徴とする後2軸車両のエアサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後2軸車両のエアサスペンション装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大型トラック等に用いられる後2軸車両のエアサスペンション装置にあっては、ドライブ軸を懸架するドライブ軸側エアスプリングと、デッド軸を懸架するデッド軸側エアスプリングとを備え、空気圧によって車高を調節できるようになっている。
【0003】車両の発進補助作動時に、ドライブ軸側エアスプリングの圧力をデッド軸側エアスプリングの圧力より高め、後前輪のスリップを防止するようになっている(特開平11−34630号公報、特開平10−324135号公報、特開平9−123727号公報、実開平7−40212号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の後2軸車両のエアサスペンション装置にあっては、車両の後退時に後後輪が段差に乗り上げたような場合、デッド軸側エアスプリングが圧縮され、デッド軸側エアスプリングの圧力が上昇するとともにドライブ軸側エアスプリングの圧力が低下するが、これに対応してエア圧センサの検出信号を基にデッド軸側エアスプリングに導かれる圧力を低くする制御が間に合わず、ドライブ軸に懸かる荷重が減少して後前輪がスリップを起こしやすくなる問題点があった。
【0005】また、従来の後2軸車両のエアサスペンション装置として、ドライブ軸側エアスプリングとデッド軸側エアスプリングを連通する前後エアスプリング間連通路と、デッド軸側エアスプリングからドライブ軸側エアスプリングに流入する空気に対して開弁するチェック弁を備えるものがある。
【0006】しかしながら、この場合、急制動時等にデッド軸側エアスプリングの空気がドライブ軸側エアスプリングに流入し、デッド軸に懸かる荷重が減少して後後輪がロックしやすくなるという問題点があった。
【0007】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、後2軸車両に適したエアサスペンション装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、動力が伝達される後前輪を支持するドライブ軸と、ドライブ軸を懸架するドライブ軸側エアスプリングと、動力が伝達されない後後輪を支持するデッド軸と、デッド軸を懸架するデッド軸側エアスプリングと、発進補助作動時にドライブ軸側エアスプリングの圧力をデッド軸側エアスプリングの圧力より高める発進補助作動制御手段とを備える後2軸車両のエアサスペンション装置に適用する。
【0009】そして、ドライブ軸側エアスプリングとデッド軸側エアスプリングを連通する前後エアスプリング間連通路と、前後エアスプリング間連通路を開閉する弁手段と、弁手段を発進補助作動時に閉じ非発進補助作動時に開く前後エアスプリング間連通制御手段とを備えるものとした。
【0010】
【発明の作用および効果】第1の発明において、発進補助作動時に弁手段が閉じて前後エアスプリング間連通路を遮断し、ドライブ軸側エアスプリングの圧力を高めるとともに、デッド軸側エアスプリングを低くすることにより、ドライブ軸に懸かる荷重が増加して後前輪のスリップを防止する。
【0011】発進時以外の通常走行時に弁手段が開いて前後エアスプリング間連通路を開通させる。これにより、例えば車両の後退時に後後輪が段差に乗り上げたような場合、デッド軸側エアスプリングが圧縮されるのに伴って、デッド軸側エアスプリングの空気が前後エアスプリング間連通路を通ってドライブ軸側エアスプリングに流入し、ドライブ軸に懸かる荷重を維持して後前輪のスリップを防止できる。
【0012】また、車両の急制動時等にデッド軸側エアスプリングの空気がドライブ軸側エアスプリングに流入しても、デッド軸側エアスプリングとドライブ軸側エアスプリングは同圧に保たれ、デッド軸に懸かる荷重が減少して後後輪がロックすることを防止でき、制動力が維持される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】図1に示すように、大型トラック等に用いられる後2軸車両の後部にはドライブ軸2とデッド軸4が前後に並んで設けられ、ドライブ軸2に支持される左右の後前輪1に駆動力が伝達される一方、デッド軸4に支持される左右の後後輪3には駆動力が伝達されない。
【0015】セミフローティング式エアサスペンション装置として、ドライブ軸2とデッド軸4をフレーム5に懸架するリーフスプリング6,7と、各リーフスプリング6,7の後端部をフレーム5に懸架するエアスプリング8,9とをそれぞれ左右に一対ずつ備える。
【0016】図2に示すように、左右のドライブ軸側エアスプリング8どうしを連通するエア配管としてドライブ軸側左右エアスプリング連通路11と、左右のデッド軸側エアスプリング9どうしを連通するエア配管としてデッド軸側左右エアスプリング連通路12とを備える。エアリザーバ15に蓄えられた空気圧が減圧弁16を介してコントロールバルブ13に導かれ、コントロールバルブ13はドライブ軸側左右エアスプリング連通路11とデッド軸側左右エアスプリング連通路12に導かれる空気圧を独立して調整する。
【0017】車高を検出するハイトセンサ19と、ドライブ軸側エアスプリング8の圧力を検出するエア圧センサ22と、デッド軸側エアスプリング9の圧力を検出するエア圧センサ23とを備える。コントロールユニット20はハイトセンサ19の検出信号を基に車高を一定に保つようにコントロールバルブ13の作動を制御する。
【0018】ドライブ軸側エアスプリング8とデッド軸側エアスプリング9を連通するエア配管として前後エアスプリング間連通路17と、前後エアスプリング間連通路17を開閉する電磁バルブ(本発明の弁手段)18とを備える。本発明の前後エアスプリング間連通路17はドライブ軸側左右エアスプリング連通路11とデッド軸側左右エアスプリング連通路12を連通している。電磁バルブ18は通電時に閉弁し、非通電時に開弁するノーマルオープンタイプとする。
【0019】コントロールユニット20は発進補助作動制御手段として発進補助作動スイッチ21がONとなる発進補助作動時に電磁バルブ18を閉弁して前後エアスプリング間連通路17を遮断し、圧力センサ22,23の検出信号を基にドライブ軸側エアスプリング8の圧力を高めるとともに、デッド軸側エアスプリング9の圧力を低くする発進補助制御を行う。
【0020】そして本発明の要旨とするところであるが、コントロールユニット20は発進補助作動スイッチ21がOFFとなる非発進補助作動時に電磁バルブ18を開弁して前後エアスプリング間連通路17を開通させ、ドライブ軸側エアスプリング8とデッド軸側エアスプリング9の圧力制御を行わない。
【0021】図4のフローチャートは上記制御ルーチンを示しており、ステップ1で発進補助作動スイッチ21のON・OFFを判定し、ONの場合にステップ2に進んで電磁バルブ18を閉弁し、OFFの場合にステップ3に進んで電磁バルブ18を開弁させる。このルーチンはコントロールユニット20において一定周期毎に実行される。このルーチンによる処理が本発明の前後エアスプリング間連通制御手段に相当する。
【0022】以上のように構成されて、次に作用について説明する。
【0023】車両の発進時等に運転者によって操作される発進補助作動スイッチ21がONになると、電磁バルブ18が閉弁して前後エアスプリング間連通路17を遮断し、コントロールバルブ13がドライブ軸側エアスプリング8の圧力を高めるとともに、デッド軸側エアスプリング9を低くする。これにより、ドライブ軸2に懸かる荷重が増加して後前輪1のスリップが防止される。
【0024】発進時以外の通常走行時に運転者によって操作される発進補助作動スイッチ21がOFFになると、電磁バルブ18が開弁して前後エアスプリング間連通路17が開通している。
【0025】これにより、図3に示すように、車両の後退時に後後輪3が段差に乗り上げたような場合、デッド軸側エアスプリング9が圧縮されるのに伴って、デッド軸側エアスプリング9の空気が図3に黒矢印で示すように前後エアスプリング間連通路17を通ってドライブ軸側エアスプリング8に流入し、ドライブ軸2に懸かる荷重を維持して後前輪1のスリップを防止できる。
【0026】また、図1に示すように、車両の急制動時等にデッド軸側エアスプリング9の空気がドライブ軸側エアスプリング8に流入しても、デッド軸側エアスプリング9とドライブ軸側エアスプリング8は同圧に保たれ、デッド軸4に懸かる荷重が減少して後後輪3がロックすることを防止でき、制動力が維持される。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成11年7月27日(1999.7.27)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2001−39139(P2001−39139A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−211919