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【発明の名称】 サスペンション制御装置
【発明者】 【氏名】一丸 修之

【要約】 【課題】ラジオノイズの低減を図ることができるサスペンション制御装置を提供する。

【解決手段】車速センサ20の検出値(車速)が設定値i以下であると、ディザ電流の振幅(ディザ振幅)を小さくする(ステップS12 )。このため、ソレノイド2を流れる供給電流(通電電流)の変動が小さくなってラジオノイズの低減を図ることができる。ラジオノイズは、従来技術では、車両自体の騒音が小さい低車速または停車中に特に目立つものになっていたが、車両が停車中または設定値i以下で走行している場合にラジオノイズの低減が図れるので、低車速または停車中にもディザ振動に影響されずにラジオ番組などを良好に聴取することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソレノイド及び該ソレノイドへの通電電流に応じて変位する可動体を有する比例ソレノイドバルブと、車体と車軸との間に伸縮自在に介装されて可動体の変位に応じて減衰特性が変化する減衰特性可変型のショックアブソーバと、所望の減衰特性に対応した指令電流に重畳され該指令電流と共に前記通電電流を構成するディザ電流を発生するディザ発生手段とを備え、前記可動体を前記指令電流に応じた位置で、前記ディザ電流に応じた振幅で振動させるサスペンション制御装置であって、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を設け、該走行状態検出手段が車両がほぼ停止した状態にあると検出した際、前記ディザ電流の振幅を小さい値に設定することを特徴とするサスペンション制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に用いられるサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置の一例として、本願発明者が提案した特開平10−166828号公報に示すものがある。このサスペンション制御装置は、電流制御型アクチュエータに加えるディザ振動を指令電流毎に可変とし、ディザ振動に伴う減衰力変動を管理し、音や振動の発生を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ディザ振動は数百Hzの周波数を持つのが一般的であり、その電流変動により電源ライン、ソレノイドラインが電気的に変動することがある。その電気的な変動が、ラジオ、TV等の電波を使用する機器へのノイズ(ラジオノイズ)となり、乗員が不快と感じる可能性がある。そして、このノイズは車両自体の騒音が小さいほど目立ち、特に停車時のように車速が低いときに顕著なものになる。前記従来技術では、ディザに伴う減衰力変動を防止することができるが、車速に関わらずディザを付加するので、相対的に停車中のラジオノイズが大きくなることがあった。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ラジオノイズの低減を図ることができるサスペンション制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、ソレノイド及び該ソレノイドへの通電電流に応じて変位する可動体を有する比例ソレノイドバルブと、車体と車軸との間に伸縮自在に介装されて可動体の変位に応じて減衰特性が変化する減衰特性可変型のショックアブソーバと、所望の減衰特性に対応した指令電流に重畳され該指令電流と共に前記通電電流を構成するディザ電流を発生するディザ発生手段とを備え、前記可動体を前記指令電流に応じた位置で、前記ディザ電流に応じた振幅で振動させるサスペンション制御装置であって、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を設け、該走行状態検出手段が車両がほぼ停止した状態にあると検出した際、前記ディザ電流の振幅を小さい値に設定することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態のサスペンション制御装置を図1ないし図4に基づいて説明する。図1において、サスペンション制御装置は、バッテリ(電源)1に一端側が接続されたソレノイド2及びソレノイド2への供給電流に応じて上下方向に変位する可動体(スプール)3を有しこの可動体3の変位に応じて油液4の通過量を調整する比例ソレノイドバルブ5と、車体(図示省略)と車軸(図示省略)との間に伸縮自在に介装されて前記供給電流、ひいては可動体3の変位に応じた大きさの減衰力で作動する減衰特性可変型のショックアブソーバ6と、車体の上下方向の加速度(振動)を検出する加速度センサ7と、ソレノイド2の他端側に接続されたコントローラ8と、車速(車両の走行状態)を検出する車速センサ(走行状態検出手段)20と、から大略構成されている。
【0007】コントローラ8は、ソレノイド2の他端部と接地部9(アース)との間にこの順で介装されるトランジスタ10、シャント抵抗11を有し、トランジスタ10を制御してソレノイド2に供給電流(通電電流)を流すようにしている。この場合、供給電流は、所望の減衰力(減衰特性)に対応した指令電流に図4に示すディザ電流を重畳して構成されており、指令電流に応じた部分に可動体3を位置させて、ショックアブソーバ6(比例ソレノイドバルブ5)に所望の減衰力を発生させると共に、該位置においてディザ電流に応じて可動体3を微振動(ディザ)させ、可動体3、ひいてはショックアブソーバ6の減衰力変更の応答性を向上するようにしている。ディザ電流は、図4に示すようにディザ周波数(例えば100Hz)で所定(基準)の大きさの振幅(ディザ振幅)のディザ基本成分に高周波(例えば32KHz)の成分(高周波成分)を重畳して構成されている。このディザ電流に指令電流(図示省略)が重畳されることにより、上述したようにソレノイド2に供給される前記供給電流(通電電流)が構成される。
【0008】コントローラ8は、更に、加速度センサ7の検出信号に応じて所望の減衰力を得るための指令電流及び所定の大きさの振幅のディザ電流(ディザ振幅指令)を求めるCPU(ディザ発生手段)12と、CPU12から出力されたディザ電流の振幅を調整するディザ振幅調整回路13と、ディザ振幅調整回路13の出力信号及び指令電流を加算する加算回路14と、加算回路14の出力値に対してシャント抵抗11の端子電圧値をフィードバックしてトランジスタ10を制御するトランジスタ制御信号を求めると共に、ディザ電流の振幅を調整し、この調整結果に応じてトランジスタ制御信号を補正する電流補正回路15と、例えば32KHzの高周波成分を重畳してPWM信号を求めるPWM変換回路21とを備え、このPWM信号でトランジスタ10を制御することにより、指令電流にディザ電流が重畳され、かつディザ電流の振幅が調整された供給電流をソレノイド2に流すようにしている。前記ディザ振幅調整回路13は、実験、数値計算等であらかじめ求められる図示しない指令電流−ディザ振幅データ(マップ)を格納しており、このマップに基づいてディザ電流の振幅を前記電流補正回路15の処理に先立って予備的に設定する。
【0009】上述したように構成したサスペンション制御装置の作用を、ディザ振幅調整回路13、CPU12、加算回路14、及び電流補正回路15などからなるコントローラ8の演算処理内容と共に、図2及び図3に基づいて、以下に、説明する。まず、イニシャライズを行い(ステップS1)、制御周期が経過したか否かの判定をYES と判定するまで行う(ステップS2)。ステップS2でYES と判定すると、前制御周期で算出された信号に基づいてソレノイド2を駆動する(ステップS3)。ステップS3に続いて、ソレノイド2以外の部材、部分(LED等)に出力する(ステップS4)。
【0010】次のステップS5で加速度センサ7の検出値及び車速センサ20の検出値(車速)が読み込まれる。続くステップS6で、ディザ電流振幅調整処理(サブルーチン)を行い、後述するようにディザ電流振幅の調整を行う。ステップS6に続いて、前記ステップS6のディザ電流振幅調整サブルーチンの処理内容に基づいて、ソレノイド2への通電電流に対応する指令値を得るための制御演算を行い(ステップS7)、ステップS2に戻る。
【0011】ステップS6のディザ電流振幅調整サブルーチンを図3に基づいて説明する。まず、車速センサ20の検出値(車速)が予め設定したしきい値(設定値)i以下であるか否かを判定する(ステップS11 )。ステップS11 でYES と判定すると、ディザ電流の振幅(ディザ振幅)を小さくして(ステップS12 )、このサブルーチンを終了し前記図2のメインルーチンに戻る。また、ステップS11 でNOと判定すると、ディザ電流dの振幅を大きくして(ステップS13 )、このサブルーチンを終了し、前記図2のメインルーチンに戻る。ステップS12 では、ディザ振幅を前記基準の振幅に比して5分の1程度に小さくするようにしている。
【0012】そして、車両が停車中または設定値i以下で走行している〔ほぼ停止した状態(10km/h以下)にある〕場合には、上述したように車速センサ20の検出値(車速)が設定値i以下であると判定(ステップS11 でYES と判定)し、ディザ電流の振幅(ディザ振幅)を小さくする(ステップS12 )。このため、ソレノイド2を流れる供給電流(通電電流)の変動が小さくなってラジオノイズの低減を図ることができる。ラジオノイズは、従来技術では、車両自体の騒音が小さい低車速または停車中に特に目立つものになっていたが、本実施の形態によれば、車両が停車中または設定値i以下で走行している場合に上述したようにラジオノイズの低減が図れるので、低車速または停車中にもディザ振動に影響されずにラジオ番組などを良好に聴取することができる。
【0013】上記実施の形態では、車速センサ20の検出値(車速)の比較対象となる設定値iが一つである場合を例にしたが、これに代えて、二つ以上の設定値を用いて車速センサ20の検出値(車速)の比較を行うように構成してもよい。
【0014】上記実施の形態では、走行状態検出手段が車速センサ20である場合を例にしたが、これに代えて、ブレーキスイッチ、スロットルセンサ、エンジン回転センサ(タコメータ)、サイドブレーキ、AT車のパーキングスイッチ、ドア(バックドア)スイッチを用いるようにしてもよい。これらの検出手段では、次の場合に停車と判断される。すなわち、ブレーキスイッチではブレーキオン時間(ブレーキが踏まれている状態)が長い場合、スロットルセンサではスロットルオフ時間(アクセルペダルを踏んでない状態)が長い場合、エンジン回転センサ(タコメータ)ではアイドル(低回転)が長く続くような場合、サイドブレーキではサイドブレーキがオンの時、AT車のパーキングスイッチではパーキングスイッチがオンの時、ドア(バックドア)スイッチではドアスイッチがオン(ドア閉)の時に、それぞれ停車と判断される。
【0015】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、走行状態検出手段が車両がほぼ停止した状態にあることを検出すると、ディザ電流の振幅を小さい値に設定するので、ソレノイドへの通電電流の変動が小さくなってラジオノイズが低減される。
【出願人】 【識別番号】000003056
【氏名又は名称】トキコ株式会社
【出願日】 平成11年7月29日(1999.7.29)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2001−39138(P2001−39138A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−215135