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【発明の名称】 サスペンション装置
【発明者】 【氏名】明田 守

【氏名】上田 政尚

【要約】 【課題】簡単な構造をもって車両が重量化することなく左右の車体フレームを強固に補強でき、車両挙動の安定化を図ることができる自動車のサスペンション装置を提供する。

【解決手段】車体フレーム1,2の左右一方側のアクスル部と、車体フレームの左右他方とをラテラルロッド16で連結すると共に左右の車体フレーム同士を補強部材18で結合し、ラテラルロッドの車体フレームの左右他方側をショックアブソーバ12,13及びばねとは別のブラケット17をもって車体フレームに取り付けると共にこのブラケットに補強部材の車体フレーム左右他方側を取り付けることで、ばねなどに影響を与えることなく、ラテラルロッドを介して入力される横荷重に対してその入力箇所で確実に車体フレームを補強でき、かつラテラルロッドのブラケットと補強部材のブラケットとを兼用して部品点数及び車体重量の増加を抑えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後に延在する左右一対の車体フレームを各々左右アクスル部に支持するショックアブソーバ及びばねと、前記車体フレームと前記アクスル部とを連結する左右のリンクアームと、前記車体フレームの左右一方側の前記アクスル部と、前記車体フレームの左右他方とを連結するラテラルロッドとを有するサスペンション装置であって、前記左右の車体フレーム同士を結合する補強部材を有し、前記ラテラルロッドの前記車体フレームの左右他方側が、前記ショックアブソーバ及びばねとは別のブラケットをもって前記車体フレームに取り付けられ、前記補強部材の前記車体フレーム左右他方側が、前記ラテラルロッドの前記ブラケットに取り付けられていることを特徴とするサスペンション装置。
【請求項2】 前記ばねが空気ばねからなることを特徴とする請求項1に記載のエアサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型トラック、バス等に用いるのに適し車体フレームとアクスルとを連結するべく車両前後方向に延在する左右一対のリンクアームとショックアブソーバ及びばねとを有するサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、大型トラック、バス等に用いられる車軸式サスペンション装置に於いて、リーフスプリングを用いたものに比較して乗り心地等が改善された空気ばねを用いたものが知られている。この空気ばねは、単体で用いると基本的には2点を作用点し、幅や長さがないことから、板ばねと異なり、単体では前後・左右の連結ができず、公知の連結ロッド等を併用する必要がある。これには、例えば車体フレームとアクスルとを連結するべく車両前後方向に互いに平行に延在する左右一対のリンクアームと、その上側に同様な一対のリンクアームまたはV字ロッド状のリンクアームとを設けた平行リンク式のものがある。二対のリンクアームを設けたものにあっては、車体フレームとアクスルとの相対作動範囲を規定するラテラルロッドをも設けることが一般的である(例えば特開平11−105521号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の如きサスペンション装置にあっては、車体フレームとアクスルとの間に発生する左右方向の力をラテラルロッドで受けることから、その力が左右の車体フレーム間に該フレームを変形させるように作用する。車体フレームが変形すると、ショックアブソーバやばねの作動方向に影響を与え、コーナリング時の安定性が悪くなったり、逆相入力路面での直進性が悪くなったり、ハンドルが取られたりする。即ち、走行安定性が悪くなる。これを防止するために両フレーム全体の強度を高めると重量化することから、ラテラルロッドの取り付け部近傍にて左右の車体フレーム間に補強部材を設けると良い。
【0004】しかしながら、補強部材及びそのブラケットも重量化の原因となると共に取り付け位置によっては上記同様にショックアブソーバやばねの作動方向に影響を与え、ロールを増大させるなど車両挙動を不安定にする要因にもなりかねない。従って、補強部材の取り付け位置及び取り付け方法等の工夫が望まれていた。
【0005】本発明は、上記したような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主な目的は、簡単な構造をもって車両が重量化することなく左右の車体フレームを強固に補強でき、車両挙動の安定化を図ることができる自動車のサスペンション装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、本発明によれば、前後に延在する左右一対の車体フレームを各々左右アクスル部に支持するショックアブソーバ及びばねと、前記車体フレームと前記アクスル部とを連結する左右のリンクアームと、前記車体フレームの左右一方側の前記アクスル部と、前記車体フレームの左右他方とを連結するラテラルロッドとを有するサスペンション装置であって、前記左右の車体フレーム同士を結合する補強部材を有し、前記ラテラルロッドの前記車体フレームの左右他方側が、前記ショックアブソーバ及びばねとは別のブラケットをもって前記車体フレームに取り付けられ、前記補強部材の前記車体フレーム左右他方側が、前記ラテラルロッドの前記ブラケットに取り付けられていることを特徴とするサスペンション装置を提供することにより達成される。特に前記ばねが空気ばねからなるエアサスペンション装置に適用することが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0008】図1〜図3は、本発明が適用された第1の実施形態に於けるトラックの従動輪のエアサスペンション装置の概略構成を示す。このサスペンション装置は、空気ばねを用いた車軸式サスペンション装置である。車体の左右に前後方向に延在するフレーム1、2には、一対のアッパーリンクアーム3、4の一端がブラケット5、6及びブッシュを介して主に上下方向に揺動可能に支持されている。このアッパーリンクアーム3、4の他端はアクスルと一体をなすアクスルハウジング7にブッシュを介して主に上下方向に揺動可能に支持されている。
【0009】図2及び図3に良く示すように、アッパーリンクアーム3、4の下部には、これと平行にロアリンクアーム8、9が配置されている。このロアリンクアーム8、9の一端は上記同様ブラケット5、6及びブッシュを介してフレーム1、2に主に上下方向に揺動可能に支持され、他端はアクスルハウジング7にブッシュを介して主に上下方向に揺動可能に支持されている。これらアッパーリンクアーム3、4及びロアリンクアーム8、9により平行リンクが構成されている。
【0010】フレーム1、2とアクスルハウジング7との間には空気ばね10、11が介設されている。また、フレーム1、2と車輪Tとに囲まれた空隙には、一端が車体側に連結され、他端がアクスルハウジング7側に連結されたショックアブソーバ12、13が配設されている。
【0011】フレーム1、2には、上方から見てコの字状をなすスタビライザバー15の両アーム端が保持されている。このスタビライザバー15のトーションバー部はアクスルハウジング7に支持されている。
【0012】一方、空気ばね10、11の近傍には、ラテラルロッド16が配設されている。このラテラルロッド16の一端はアクスルハウジング7に於けるフレーム1のほぼ直下に連結され、他端はフレーム2にブラケット17を介して連結されている(図4、図5)。また、フレーム1、2間には、これらを補強するべく補強部材18が架橋されている。この補強部材18の一端はフレーム1に直接または別途ブラケットを介して取り付けられ、他端は上記ラテラルロッド16用ブラケット17に取り付けられている。
【0013】以下に、本実施形態の作用について図6を参照して説明する。従来は車輪Tに横方向荷重Fの入力があった場合、ラテラルロッド16を介してモーメントがフレーム2側にのみ生じ、フレーム2が実線矢印Rの方向に変形することによりショックアブソーバやばねの作動方向に影響を与え、走行安定性が悪くなるが、本構成では、車輪Tに入力した横方向荷重は補強部材18を介して左右フレーム1、2に分散する(f)と共に全体剛性も高くなっているので走行安定性が低下する心配がない。
【0014】ここで、特に空気ばね10、11の如きサスペンション装置に用いられるばねは、その作動軸線が狂うとローリングが大きくなるなど、車両挙動に大きな影響を与えると共に耐久性が低下する。そこで、本構成のようにショックアブソーバやばねの車体フレームへの取り付けブラケットと、横荷重が入力するラテラルロッド16用ブラケット17とを別体とし、更に補強部材18をラテラルロッド16用ブラケット17に取り付けることで、横荷重が入力する部位(ラテラルロッド16用ブラケット17)を効率的に補強し、かつブラケット兼用による軽量化効果を得ている。
【0015】尚、上記構成では補強部材18をフレーム1、2に対して直角となるように取り付けたが、0゜(直角)〜20゜の範囲で角度をもって掛け渡しても良い。例えば補強部材を板状とし、その厚みを10mmとして、フレーム1、2に対して直角に設けた場合(A)、フレーム1、2に対して20゜の角度をなすように設けた場合(B)、及び補強部材なしの場合(C)のリバウンド(−80mm)〜中立(0)〜メタコン(102mm)でアクスルがストロークした際の横荷重F=2550kgfでのアクスルの左右ずれ量を図7のグラフに示す。このグラフから、補強部材なしの場合、許容範囲であるずれ量10mmを大きく外れ、コーナリングの安定性及び逆相入力路面での直進性、ハンドルの取られ等が発生し、走行安定性を損なうのに比較して補強部材を設けた場合、取り付け角度が0゜(直角)〜20゜の範囲であれば、ずれ量が許容範囲内(10mm未満)であり、その走行安定性が著しく高くなっていることがわかる。
【0016】上記構成ではサスペンション装置をパラレルリンク及びスタビライザを設けたものとしたが、本願出願人による特開平11−59154号公報に開示されているようなパラレルリンクのロアアームがスタビライザを兼ねるよう構造や通常のトレーリングアームを用いたもの、更にはトレーリングアームがリーフばねを兼ね、空気ばねとリーフばねを併用したものなどにも同様に適用できる。
【0017】
【発明の効果】上記した説明により明らかなように、本発明によるサスペンション装置によれば、車体フレームの左右一方側のアクスル部と、車体フレームの左右他方とをラテラルロッドで連結すると共に左右の車体フレーム同士を補強部材で結合し、ラテラルロッドの車体フレームの左右他方側をショックアブソーバ及びばねとは別のブラケットをもって車体フレームに取り付けると共にこのブラケットに補強部材の車体フレーム左右他方側を取り付けることで、ばねなどに影響を与えることなく、ラテラルロッドを介して入力される横荷重に対してその入力箇所で確実に車体フレームを補強でき、かつラテラルロッドのブラケットと補強部材のブラケットとを兼用して部品点数及び車体重量の増加を抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発条株式会社
【出願日】 平成11年7月29日(1999.7.29)
【代理人】 【識別番号】100089266
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一
【公開番号】 特開2001−39133(P2001−39133A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−215495