トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 サスペンションリンク取付け構造
【発明者】 【氏名】今西 一雄

【要約】 【課題】簡単な構成で且つ位置調整代の大きな位置調整機構を備えたサスペンションリンク取付け構造を提供するものである。

【解決手段】ボルト側座金9の外形を略台形状の非対称形状に構成し、取付けブラケット7における、トランスバースリンク1端部に設けられた円筒部5を挟んで対向する一対の対向片部8に対し、それぞれ上記ボルト側座金9をはめ込み可能な凹部12を設ける。各対向片部8に設けた凹部12は、互いに対向片部8の対向方向Lからみて180度回転した状態となっている。上記ボルト側座金9及び取付けボルト11の挿入方向によって、トランスバースリンク1端部の取付け位置が変更され、アライメント調整が2段階で行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記ボルト側座金の外形は、円形以外の形状で且つ当該座金に設けたボルト挿通孔を中心として非対称形状となっていると共に、そのボルト側座金を対向片部の所定位置に当接した際に、当該ボルト側座金の位置及びボルト挿通孔周りの回動を規制する規制手段を上記対向片部に設けたことを特徴とするサスペンションリンク取付け構造。
【請求項2】 上記規制手段は、上記ボルト側座金をはめ込み可能な凹部からなることを特徴とする請求項1に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項3】 上記規制手段を構成する同一形状の凹部を、一対の対向片部にそれぞれ設け、その各対向片部に設けた一対の凹部の輪郭を、当該一対の対向片部の対向方向からみて不一致にしたことを特徴とする請求項2に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項4】 車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記ボルト側座金を対向片部に当接した際に、当該ボルト側座金の位置を規制する規制手段として、ボルト側座金から対向片部に向けて突出する1又は2以上の突起部と、対向片部に設けられて上記突起部を掛止する孔若しくは凹部からなる掛止部とを設けたことを特徴とするサスペンションリンク取付け構造。
【請求項5】 上記対向片部のボルト孔を長穴で構成すると共に、ボルト側座金のボルト挿通孔と突起部との距離を上記長穴の長径若しくはそれに近い距離として、上記長穴に上記掛止部を兼ねさせることを特徴とする請求項4に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項6】 車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔穴及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記対向片部の表面に対して、上記ボルト側座金をはめ込んで位置を規制する凹部を取付け位置調整方向に沿って複数個設けたことを特徴とするサスペンションリンク取付け構造。
【請求項7】 上記取付ボルトとボルト側座金とは一体となっていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載したサスペンションリンク取付け構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サスペンションリンクの取付け構造に係り、特に取付け位置の調整機構を備えたサスペンションリンク取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、車体側部材へのロアリンクの取付けは、ロアリンクの端部に設けられた円筒部(ブッシュ)を、車体側部材に設けられた略U字状の取付けブラケットにボルト止めされることで行われる。つまり、取付けブラケットにおける対向する一対の対向片部にボルト孔がぞれぞれ設けられ、その一対の対向片部間に上記円筒部を配置して一方の対向片部側から取付けボルトの軸部を通し先端部にナットを締結することで取付けが行われる。
【0003】ここで、工場での組立時には、設計通りのサスペンションジオメトリやアライメントを構成するように、サスペンションリンクの部品長さや取付け位置が決定されて、各サスペンションリンクの端部はそれぞれ所定の位置に取り付けられるが、サスペンション部品のばらつきや、車両使用時における大入力によるサスペンション部品の一部の変形等によって、アライメントの調整が必要となる場合がある。
【0004】このようなアライメントの調整に対応するために、一般には、長さ違いのサスペンションリンク部品を複数種類用意しておき、アライメント調整が必要な場合に、現在のサスペンションリンク部品を別のサスペンションリンク部品に交換することで対処していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなアライメントの調整対策では、複数の長さ違いのサスペンションリンク部品をストックして準備しておく必要がある。また、サスペンションリンク部品自体の交換には手間が掛かる。なお、サスペンションリンク部品自体を交換する場合には、サスペンションリンク両端部での取り外し・取付け作業が要求される。
【0006】ここで、従来、偏心カムを使用した位置調整機構もあるが、調整代(偏心量)はせいぜい2〜3mmと調整範囲が狭い。この調整代を大きくしようとすると、偏心カムが大きくなりすぎて重くなると共に当該偏心カムを設置するための占有が過大となり易く、重量や原価の関係から採用できないおそれがある。本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、簡単な構成で且つ位置調整代の大きな位置調整機構を備えたサスペンションリンク取付け構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記ボルト側座金の外形は、円形以外の形状で且つ当該座金に設けたボルト挿通孔を中心として非対称形状となっていると共に、そのボルト側座金を対向片部の所定位置に当接した際に、当該ボルト側座金の位置及びボルト挿通孔周りの回動を規制する規制手段を上記対向片部に設けたことを特徴とするものである。
【0008】次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記規制手段は、上記ボルト側座金をはめ込み可能な凹部からなることを特徴とするものである。次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記規制手段を構成する同一形状の凹部を、一対の対向片部にそれぞれ設け、その各対向片部に設けた一対の凹部の輪郭を、当該一対の対向片部の対向方向からみて不一致にしたことを特徴とするものである。
【0009】次に、請求項4に記載した発明は、車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記ボルト側座金を対向片部に当接した際に、当該ボルト側座金の位置を規制する規制手段として、ボルト側座金から対向片部に向けて突出する1又は2以上の突起部と、対向片部に設けられて上記突起部を掛止する孔若しくは凹部からなる掛止部とを設けたことを特徴とするものである。
【0010】次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した構成に対し、上記対向片部のボルト孔を長穴で構成すると共に、ボルト側座金のボルト挿通孔と突起部との距離を上記長穴の長径若しくはそれに近い距離として、上記長穴に上記掛止部を兼ねさせることを特徴とするものである。次に、請求項6に記載した発明は、車体側部材やナックル等の取付け部に対しサスペンションリンクのリンク端部を揺動可能に取り付ける取付け構造であって、上記取付部又はリンク端部の一方に円筒部を設けると共に、上記取付け部又はリンク端部の他方に、上記円筒部を挟んで対向する一対の対向片部を設けて、その各対向片部に開口するボルト孔穴及び上記円筒部内を貫通する取付けボルトで上記円筒部及び一対の対向片部を連結し、当該取付けボルトの座面はボルト側座金を介して上記対向片部に当接するサスペンションリンク取付け構造において、上記対向片部の表面に対して、上記ボルト側座金をはめ込んで位置を規制する凹部を取付け位置調整方向に沿って複数個設けたことを特徴とするものである。
【0011】次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載した構成に対し、上記取付ボルトとボルト側座金とは一体となっていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の効果】請求項1に係るサスペンションリンク取付け構造では、規制手段でボルト側座金の位置つまり取付けボルトの位置が規制されるので、当該規制手段を複数設けておくことで、ボルト側座金の位置つまり取付けボルトの取付け位置を変更可能となる。この結果、多段階的に取付け位置の調整、つまりアライメント調整が可能となる。
【0013】また、ボルト側座金の外周部の輪郭を、円形以外の非対称形状とすることで、対向片部に設けた規制手段による回動規制が容易となる。なお、上記説明では部品の交換を行わない場合の例であるが、ボルト挿通孔の位置だけが異なる同一外形の上記ボルト座金を複数用意しておいて、当該ボルト座金を交換することで、多段階で位置調整を行うようにしても良い。この場合であっても、サスペンションリンク部品は交換されず、小さな部品であるボルト側座金だけを複数種類,用意して対応すれば良く、しかも、調整代も大きくとることができる。
【0014】次に、請求項2に係る発明を採用すると、エンボス加工などで簡単に形成される凹部という簡単な構成でボルト側座金の位置及び回動を規制できるという効果がある。なお、上記凹部の輪郭は、必ずしもボルト側座金の外形形状と同一形状でなくても良い。つまり座金の位置と回動の規制が可能で有ればよい。もっともボルト側座金は円形以外の非対称形状であるので回動規制が容易であり、凹部の輪郭の自由度が大きくなっている。
【0015】次に、請求項3に係る発明を採用すると、対向片部の対向方向からみて各対向片部に設けた凹部の輪郭が一致していないので、どちらの凹部にボルト側座金をはめ込むかで取付けボルトの位置がオフセットする。つまり、取付けボルトを逆指しにするだけで取付けボルトの位置が変更されてアライメント調整が可能となる。
【0016】次に、請求項4に係る発明は、突起部を掛止用の孔若しくは凹部に差し込むだけでボルト側座金つまり取付けボルトの位置が規制されるので、上記掛止用の孔若しくは凹部を複数個若しくは複数組設けておくことで、ボルト側座金の位置つまり取付けボルトの取付け位置を変更可能となる。この結果、多段階的に取付け位置の調整、つまりアライメント調整が可能となる。
【0017】次に、請求項5に係る発明では、個別に上記掛止用の孔若しくは凹部を設けることなく、取付けボルトの位置を2段階で調整可能となる。次に、請求項6に係る発明は、ボルト側座金をはめ込む凹部を変更することで取付けボルトの位置が変更されて多段階的にアライメント調整が可能となる。この場合には、必ずしもボルト側座金の輪郭は非対称形である必要はないので、一般の座金も使用可能となる。
【0018】つまり、ボルト挿通孔周りの回動があっても良い。このことは、従来のカム機構との併用が容易となる。次に、請求項7に係る発明を採用すると、ボルト側座金と取付けボルトが一体となっているので、当該取付けボルトの取付け作業が容易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、図1に示すように、ロアリンクがトランスバースリンク1とテンションロッド2とからなるフロントサスペンション構造で説明するが、このサスペンション構造及びサスペンションリンクに限定されるものではなく、本発明は、サスペンションリンクの端部がブッシュを介して取り付けられる取り付け構造であれば適用することができる。
【0020】図1は、本実施形態のサスペンション構造を示す斜視図であり、図2は、本発明が適用されるサスペンションリンクを示す取付け前の図である。トランスバースリンク1は、車幅方向に延在し、車輪側端部をボールジョイントを介してナックル3下部に取り付けられている。また、車体側端部には円筒部5が設けられ、その円筒部がサスペンションメンバ4に固定された取付けブラケットに対し上下方向への揺動可能な状態で取り付けられている。
【0021】また、テンションロッド2は、後端部を上記トランスバースリンク1に固定されて当該トランスバースリンク1を通じてナックル3に連結して、車両前後方向斜め前方に延在している。その延在方向前端部には円筒部が設けられ、その円筒部6がサスペンションメンバ4の前端部に上下揺動可能な状態で取り付けられている。
【0022】上記両円筒部5,6はともに同軸に配置された内筒と外筒との間に弾性体が介装されて構成され、上記外筒側がトランスバースリンク1若しくはテンションロッド2の本体と一体となっていると共に、内筒内に取付けボルトの軸部が挿通される。ここで、トランスバースリンク1の車体側端部とテンションロッド2の前端部の各取付け構造は同様な構造であるので、以下においては、トランスバースリンク1の車体側端部の取付け構造について説明する。
【0023】取付けブラケット7は、図3に示すように、略U字形状をした部品であって、所定間隔をあけて対向する対向片部8の間に円筒部5が配置される。本実施形態で使用されるボルト側座金9は、図4に示すように、短辺が円弧状の略台形形状となっていて、円弧側にボルト挿通孔9aが形成されている。これによって、ボルト側座金9の外周部の輪郭は、ボルト挿通孔9aを中心として非対称形状となっている。なお、ナット側座金10は、一般の外径が円形の平座金を使用する。
【0024】また、取付けブラケット7における各対向片部8には、肉厚方向(L方向)から見た図である図5に示すように、取付けボルト11を挿通するための長穴8a(ボルト孔)が、取付け位置の調整方向に長軸を向けて形成され、各対向片部8における座金9,10を当接させる表面には、上記長穴8aを中央にして、上記ボルト側座金9の外形形状と同形状の輪郭の凹部12が形成されている。
【0025】図5中、実線で示したものが一方の対向片部8に形成された凹部12の輪郭であり、破線で示したものが他方の対向片部8に形成した凹部12の輪郭であり、互いに一対の対向片部8の対向方向Lからみて180度反転させた形状となって、当該対向方向Lからの両凹部12の輪郭を不一致としている。そして、トランスバースリンク1の取付けは、一方の対向片部8に設けた凹部12にボルト側座金9をはめ込むことで、当該ボルト側座金9を回動不能な状態で位置決めした後に、ボルト側座金9のボルト挿通孔9a、2つの長穴8a、及び円筒部5の内筒を貫通するように、取付けボルト11の軸部を挿通し、その軸部先端部にナット13を締結することで、トランスバースリンク1の車体側端部は、上下揺動可能な状態で取付けブラケット7に取り付けられる。
【0026】このとき、上記ボルト側座金9を他方の対向片部8に設けた凹部12にはめ込んで、取付けボルト11を逆指しすると、ボルト側座金9のボルト挿通孔9aの位置つまりボルト取付け位置がオフセットする。このように、本実施形態では、ボルト側座金9をはめ込む凹部12、及び取付けボルト11の挿入方向を逆にするだけで、トランスバースリンク1の車体側取付け点の位置が変更されて、トランスバースリンク1のアライメントが2段階で調整可能となる。
【0027】ここで、上記ボルト側座金9の外形形状は、上記形状に限定されず、円形以外の形状で且つボルト挿通孔9aを中心として非対称形状となっていればよい。例えば、ボルト側座金9の外形形状を多角形形状とし、多角形の中心から偏心させてボルト挿通孔9aを設けることで非対称形状としても良い。このとき、図5では上記実施形態の図では、ボルト挿通孔9aの径が、対向片部8に設ける長穴8aの短径と等しいようになっているが、当該長穴8aの短径を大きくして、ボルト挿通孔9aの位置が短径側にもオフセット可能にしても良い。すなわち、凹部12にはめ込むボルト側座金9によって取付けボルト11の位置は規制されるので、ブラケット7に要求される剛性との兼ね合いを考慮しつつ上記長穴8aは大きめに開口しておいても良い。
【0028】また、上記実施形態では、2つの凹部12を、対向片部8の対向方向Lから見て互いに180度回転させた輪郭形状とすることで対向方向Lから見た輪郭を不一致としているが、不一致とするのはこれに限定されない。たとえば、図6に示す実線部分と破線部分のように、L方向から見て、長穴8aの長径方向に互いにオフセットさせて2つの凹部12輪郭を不一致としても良い。
【0029】また、上記説明では凹部12の輪郭形状を、ボルト側座金9の外形と同一形状とする場合を例に説明しているが、凹部12形状はこれに限定されない。例えば、図7に示すように、L方向からみた2つの凹部12を併せたような形状に凹部12を形成しても良い。要は、ボルト側座金9を凹部12にはめ込むことで、ボルト側座金9の位置が規制できると同時に、当該ボルト側座金9の回動が規制される形状で有ればよい。したがって、図8に示すように、ボルト側座金9を90度回転させてはめ込むこともできる凹部12の輪郭形状として、位置調整を3段階で行えるようにしても良い。本発明のボルト側座金9は、円形以外の非対称形状となっているので、上記ボルト側座金9のはめ込み向き等の凹部12の形状の自由度が大きい。
【0030】ここで、上記図7に示す凹部12形状を採用した場合には、一方の対向片部8の凹部12へのボルト側座金9のはめ込む向きを変えることで、上記と同等の効果を得るものの、工場組立時のような流れ作業で行う場合に、どちらの向きでボルト側座金9をはめ込むかを間違えるおそれがある。もっとも、工場組立時にどちら向きではめ込むか分かるようなマークを設けて置けばよい。
【0031】また、上記実施形態では、凹部12で規制手段を構成する場合を例に説明しているが、図9にように、上記凹部12の輪郭の一部に沿って対向片部8表面から立設する立上り部14を設けて規制手段を構成しても良い。もっとも、凹部12で規制手段を構成する方が、エンボス加工等で容易に形成できる。また、上記実施形態では、2段階若しくは3段階に位置調整する場合を例に説明しているが4段階以上の位置に調整可能に構成しておいても良い。
【0032】また、上記実施形態では、同一のボルト側座金9を使用して位置調整を行うことで説明しているが、ボルト挿通孔9aの位置が異なる同一外形のボルト側座金9を複数種類,用意しておいて、アライメント調整に合わせて使用するボルト側座金9を変更するようにしても良い。ボルト側座金9を複数種類用意しておく必要があるが、座金は小さい部品であるのでさほど嵩張らず、且つ安価な部品である。このため、サスペンションリンク部品自体を交換する場合に比べて、作業も容易であると共に安価である。
【0033】また、上記実施形態では、取付けボルト11とボルト側座金9とが別部品を例に説明しているが、図10に示すように一体になっていても良い。この場合には、取付けボルト11の取付け作業が容易となる。また、上位実施形態では、サスペンションリンクであるテンションロッド2のリンク端部に円筒部5を設けた例で説明しているが、サスペンションリンクのリンク端部に、上記取付けブラケット7と同様な一対の対向片部を設け、車体側部材やナックルなどの取付け部側に円筒部を設けたサスペンションリンク取付け構造にも適用することはできる。
【0034】また、上記実施形態では、取付け片部8に設けるボルト孔を長穴8aで構成した例で説明しているが、これに限定されない。取付けボルト11の挿通位置だけに丸孔を開けてボルト孔としても良い。次に、第2実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様な部品については同一の符号を付してその詳細を省略する。
【0035】本2実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、凹部12及びボルト側座金9の形状が異なる。第1実施形態では、ボルト側座金9を凹部12で回動不能状態で位置規制する場合を例に説明しているが、本実施形態では、凹部12でに位置規制する際に必ずしも回動を規制する必要のない実施形態である。
【0036】L方向から見た図である図11に示すように、対向片部8の表面に設ける凹部12の輪郭は円形となっていて、その円形の凹部12が、対向片部8に設ける長穴8aに沿って並んでいる。図11では、2つの凹部12の位置が近いため、2つの凹部12の一部分を互いに共有する形状となって、両上部12が繋がっているが、繋がっている必要はない。
【0037】また、ボルト側座金12は、上記凹部12にはめ込み可能な円形の平座金から構成される。この実施形態では、図12に示すように、一方の凹部12にボルト側座金9をはめ込むことで、当該ボルト側座金9の位置、つまり取付けボルト11の規制され、当該ボルト側座金9をはめ込む凹部12を変更することで、トランスバースリンク1の車体側端部の位置が変更されて、アライメント調整が可能となる。
【0038】他の構成や作用・効果は、上記第1実施形態と同様である。なお、上記凹部12の輪郭形状は、円形に限定されず、ボルト側座金9の外形に合わせて決定すればよい。また、第1実施形態と同様に、非対称形状のボルト側座金9を使用しても良い。もっとも、凹部12の輪郭を円形として、はめ込んだボルト側座金9の回動を許容すると、ボルト側座金9に設けるボルト挿通孔9aを偏心させておくことで、ボルト側座金9の回動による位置の変更の微調整も可能となる。
【0039】次に、第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部品については同一の符号を付してその詳細は省略する。本第3実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、規制手段として凹部12の代わりに突起部を設けた点が異なる。すなわち、図13に示すように、ボルト側座金9の外形の一部を側方に張り出し、その張出部9cを折り曲げて爪9b(突起部)を設けたものである。そして、ボルト挿通孔9aから爪9bまでの距離を対向片部8に設ける長穴8aの長径より若干短く設定したものである。
【0040】なお、上記ボルト側座金9の形状は、必ずしも非対称形状である必要はないが、爪9bを設け部分だけをボルト挿通孔9aから離れるような非対称形状とした方が、ボルト側座金9の大きさを小さくすることができる。そして、爪9bを、長穴8aの長径方向一端部側に挿入してボルト側座金9の位置決めをした後に、取付けボルト11を挿入してサスペンションリンクの取付けを行う。
【0041】また、爪9bを、長穴8aの長径方向他端部側に挿入してボルト側座金9の位置決めを行うと、ボルト挿通孔9aが長穴8aの長径方向一他端部側に位置することで、サスペンションリンク端部の位置が変更されて、アライメント調整が2段階で行われる。ここで、爪9bを長穴8aに挿入した状態だけでは、ボルト側座金9は回動が許容されるが、取付けボルト11を挿入することで、取付けボルト11の位置決めが行われると同時にボルト側座金9のいち規制も行われる。すなわち、取付けボルト11がボルト側座金9の突起部の一部を兼ねる。この場合には、上述のようにボルト11とボルト側座金9とが一体となっている方が取り付けに便利である。
【0042】なお、ナット側座金10もボルト側座金9と同じものを使用すると良い。ここで、上記説明では、爪9bによって突起部を構成する例で説明しているが、図14に示すように、柱状部材15を張り出して突起部としても良い。また、図15に示すように、別に掛止部用の孔16を設けると、その掛止用の孔16に爪9bを挿入して掛止することで、長穴8aの長軸方向途中位置に取付けボルト11が設定されて、3段階で位置調整が可能となる。
【0043】なお、上記実施形態では、突起部である爪9b又は柱状部材16を1つしか設けていないが、2以上設けても良い。掛止部を孔16で構成する例で説明しているが、掛止部は突起部を挿入可能な凹部であっても良い。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成11年7月23日(1999.7.23)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2001−30726(P2001−30726A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−209772