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【発明の名称】 スプリングシート
【発明者】 【氏名】中田 悦郎

【氏名】浅野 秀彦

【氏名】茅野 好一

【要約】 【課題】コイルスプリングを常に初期設定位置またはオフセットした初期設定位置に保持でき、コイル巻きの円周方向にも回転しないようにできる。

【解決手段】取付部1を介してショックアブソーバAに挿着され、ショックアブソーバAの軸芯01に対してスプリング荷重作用線03を同軸に又はオフセットして配置したコイルスプリングKを支承するショックアブソーバ型又はストラット型車両用懸架装置におけるスプリングシートSにおいて、コイルスプリングKの端部巻き上げ部分K1に対向する螺旋状のスプリング支承面2と、スプリング支承面2の外側に起立した複数の係止片3a,3b,3c,3dと、スプリング支承面2上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起5a,5b,5cと、上記スプリング支承面2の終端に設けた傾斜段部4とを形成し、コイルスプリングKの基端K2を、上記傾斜段部4に当接させながら端部巻き上げ部分K1の当接面を、上記三つの突起5a,5b,5c上に載置させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付部を介してショックアブソーバに挿着され、ショックアブソーバの軸芯に対してスプリング荷重作用線を同軸に配置したコイルスプリングを支承するショックアブソーバ型車両用懸架装置におけるスプリングシートにおいて、コイルスプリングの端部巻き上げ部分に対向する螺旋状のスプリング支承面と、スプリング支承面の外側に起立した複数の係止片と、スプリング支承面上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起と、上記スプリング支承面の終端に設けた傾斜段部とを形成し、コイルスプリングの基端を上記傾斜段部に当接させながら端部巻き上げ部分の当接面を上記三つの突起上に載置させることを特徴とする車両用懸架装置におけるスプリングシート。
【請求項2】 取付部を介してショックアブソーバに挿着され、ショックアブソーバの軸芯に対してスプリング荷重作用線をオフセットして配置したコイルスプリングを支承するストラット型車両用懸架装置におけるスプリングシートにおいて、コイルスプリングの端部巻き上げ部分に対向する螺旋状のスプリング支承面と、スプリング支承面の外側に起立した複数の係止片と、スプリング支承面上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起と、上記スプリング支承面の終端に設けた傾斜段部とを形成し、コイルスプリングの基端を上記傾斜段部に当接させながら端部巻き上げ部分の当接面を上記三つの突起上に載置させることを特徴とする車両用懸架装置におけるスプリングシート。
【請求項3】 三つの突起がスプリング支承面の一部を上方に向けて膨出させ又は切り起して形成されていることを特徴とする請求項1又は2のスプリングシート。
【請求項4】 三つの突起がスプリング支承面の一部を上方に向けて膨出させ又は切り起して形成されていることを特徴とする請求項2のスプリングシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用懸架装置におけるストラット型ショックアブソーバ、又はナックルブラケットを持たないショックアブソーバに取付けられるスプリングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ストラット型ショックアブソーバ、又はナックルブラケットを持たないショックアブソーバを利用した自動車等の車両用懸架装置は、ショックアブソーバの外周に取付けたロアスプリングシートと車体側アッパースプリングシートとの間にコイルスプリングを伸縮自在に配設している。
【0003】この場合、車輪に対してショックアブソーバはロアアームを介して傾斜して取付けられ、又、殊にストラット型ショックアブソーバの場合、ショックアブソーバの軸芯に対してコイルスプリングのスプリング荷重作用線を任意の角度オフセットして配置させ、車輪を介してショックアブソーバに作用する路面反力によるモーメントと反対方向のモーメントを発生させているのが普通である。
【0004】ストラット型ショックアブソーバにおけるスプリングシートは、例えば、実開昭54−33519号公報に示すように、ショックアブソーバに対する筒状取付部と、取付部の上方に連設した螺旋状のスプリング支承面と、スプリング支承面の外周に連設したつば部又は上方に起立する係止片とを備えたやや漏斗状もしくはラッパ型に形成されているのが普通である。
【0005】そして、このスプリングシートを、例えば、ロアスプリングシートとして取付部を介してショックアブソーバに取付けた時、コイルスプリングの下部の螺旋状巻き上げ部下面を所定の長さにわたり上記スプリング支承面に沿って支持させている。
【0006】上記のようなスプリングシートをショックアブソーバに取付け、このショックアブソーバの軸芯に対してコイルスプリングの荷重作用線をオフセットして配置すると、路面反力による大きな横方向の曲げモーメントがショックアブソーバに作用しても、コイルスプリングからこの曲げモーメントと反対方向のモーメントがショックアブソーバに作用するため、ショックアブソーバに対する上記曲げモーメントによる横力を打ち消し、ショックアブソーバの軸芯方向の摩擦力と軸回転方向の摩擦力とを軽減することができて車両の乗心地が向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スプリングシートのスプリング支承面とコイルスプリングの下部巻き上げ部下面とが均一に当接している場合にはコイルスプリングからの荷重がスプリング支承面の全域で均一に担持されるが、スプリング支承面の加工誤差があったり、又はコイルスプリングの加工精度が悪いとコイルスプリングの巻き上げ部下面がスプリング支承面に均一に当接できず、その結果、コイルスプリングが路面方向からのつき上げ力又は車体方向からの荷重で圧縮した時、スプリング支承面と当接している部分に荷重が集中してスプリング荷重作用線が初期設定状態と異なってしまうため、その都度荷重作用点が異なり、ショックアブソーバの円滑な作動を損ねたり、または所望通りのモーメントを発生させられず、路面反力によるショックアブソーバの横力を解消できなかったり、車体が予期しない方向に傾いたりして乗心地を悪くする場合がある。
【0008】更に、上記のようにいろいろな方向にモーメントの発生状態が変化することに加えてコイルスプリングは圧縮した時巻き方向に回転しょうとする性質を有しているので、上記のようにスプリング支承面と均一に当接していないと繰り返し伸縮作動しているうちにコイルスプリングの位置がずれてきて所定のオフセット位置を維持できなくなり、ますます乗心地を悪くする場合がある。
【0009】そこで、本発明の目的は、コイルスプリングをショックアブソーバの軸線と同軸に保持、または常にオフセットした初期の設定位置に保持でき、巻き方向にも位置がずれないようにできる車両用懸架装置におけるスプリングシートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の一つの手段は、取付部を介してショックアブソーバに挿着され、ショックアブソーバの軸芯に対してスプリング荷重作用線を同軸に配置したコイルスプリングを支承するショックアブソーバ型車両用懸架装置におけるスプリングシートにおいて、コイルスプリングの端部巻き上げ部分に対向する螺旋状のスプリング支承面と、スプリング支承面の外側に起立した複数の係止片と、スプリング支承面上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起と、上記スプリング支承面の終端に設けた傾斜段部とを形成し、コイルスプリングの基端を上記傾斜段部に当接させながら端部巻き上げ部分の当接面を上記三つの突起上に載置させることを特徴とするものである。
【0011】同じく他の手段は、取付部を介してショックアブソーバに挿着され、ショックアブソーバの軸芯に対してスプリング荷重作用線をオフセットして配置したコイルスプリングを支承するストラット型車両用懸架装置におけるスプリングシートにおいて、コイルスプリングの端部巻き上げ部分に対向する螺旋状のスプリング支承面と、スプリング支承面の外側に起立した複数の係止片と、スプリング支承面上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起と、上記スプリング支承面の終端に設けた傾斜段部とを形成し、コイルスプリングの基端を上記傾斜段部に当接させながら端部巻き上げ部分の当接面を上記三つの突起上に載置させることを特徴とする。
【0012】上記各手段において、三つの突起がスプリング支承面の一部を上方に向けて膨出させ又は切り起して形成するのが好ましい。
【0013】更に上記他の手段において、三つの突起を頂点としてなす三角形の重心がショックアブソーバの軸芯からオフセットされたコイルスプリングのスプリング荷重作用線と一致するようにあらかじめ設定されている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1乃至図3にもとづいて説明する。
【0015】本発明のスプリングシートは、車両用懸架装置におけるストラット型ショックアブソーバに取付けられ、ショックアブソーバの軸芯に対してスプリング荷重作用線をオフセットして配置したコイルスプリングを支えるロアスプリングシートとしての使用に適するものであるが、同じくアッパスプリングシートとしても使用でき、あるいはナックルブラケットを持たない一般的な車両用懸架装置におけるショックアブソーバのスプリングシートとしての使用にも適用できるものである。
【0016】以下、ストラット型ショックアブソーバへの適用例について、更に詳しく述べる。
【0017】スプリングシートSは、漏斗状又はラッパ型に形成され、筒状の取付部1と、取付部1の上方に円錐部を介して連設された螺旋状のスプリング支承面2と、その外側に起立した四つの係止片3a,3b,3c,3dと、スプリング支承面2の終端に下方に向けて設けた傾斜段部4と、スプリング支承面2上に螺旋方向に沿って隔設した三つの突起5a,5b,5cとで構成されている。
【0018】三つの突起5a,5b,5cは、スプリング支承面2を図示ロアスプリングシートの場合は下方から上方に向けて同じ高さに膨出させて形成しているが、スプリング支承面2の一部を切り起して形成してもよく、又は任意の厚さの板体等を溶接等で結合させてもよい。
【0019】図示しないが、アッパースプリングシートの場合にはスプリング支承面2は上方から下方に向けて形成される。
【0020】図3に示すように、スプリングシートSは、ロアスプリングシートとして取付部1を介してショックアブソーバAの外周に挿入して固着されている。
【0021】但し、スプリングシートSは、アッパスプリングシートとして車体側に取付けられるピストンロッドに設ける場合にも使用可能である。
【0022】使用時には、スプリングシートSの当接面にはコイルスプリングKが配設され、このコイルスプリングKは端部たる下部の巻き上げ部分K1の下面が三つの突起5a,5b,5c上に載置され、同じくコイルスプリングKの基端K2たる端部が傾斜段部4に当接している。
【0023】傾斜段部4は、コイルスプリングKが圧縮した時巻き方向とは逆の方向に回転して基端位置がずれるのを防止するストッパーとして機能するものである。
【0024】図1に示すように、コイルスプリングKは、ショックアブソーバAの軸芯01に対してその荷重作用線03が任意の距離オフセットして配置されている。
【0025】図2に示すように、突起5a,5b,5cを頂点とする三角形Bの重心02はショックアブソーバAの軸芯01からオフセットされており、この重心02の位置はコイルスプリングKの荷重作用線03と一致させている。
【0026】従って、三つの突起5a,5b,5c上にコイルスプリングKの巻き上げ部分K1を載置すると必然的にコイルスプリングKの荷重作用点は、コイルスプリングKの荷重作用線03と三角形Bの重心02と一致し、ショックアブソーバAに作用する路面反力による曲げモーメントに対してこれをキャンセルするコイルスプリングKからの曲げモーメントが三角形の重心02に作用し、ショックアブソーバAの摺動性を良好にする。
【0027】更にコイルスプリングKに路面からのつき上げ入力や車体からの荷重が作用して圧縮力が作用した時、コイルスプリングKは必ず三つの突起5a,5b,5cで均一に当接して支えられ、コイルスプリングKが位置ずれせず、当該コイルスプリングKのスプリング荷重作用線を三角形Bの重心02の位置に保持する。
【0028】ところで、車両の車種に応じて車体からコイルスプリングKに作用する荷重や外力等は必ずも一定ではないので、あらかじめ車種に応じてコイルスプリングKのスプリング荷重作用線を想定して三角形Bの重心02を設定し、この重心02の位置に応じて三つの突起5a,5b,5cの位置を設定しておくことが好ましいものである。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。
【0030】■各請求項の発明によれば、スプリング支承面上に三つの突起が隔設されているので、スプリング支承面の回転やコイルスプリングの加工精度,巻き角が若干悪くても、コイルスプリングの端部巻き上げ部分が必ず三つの突起に当接し、この三つの突起で均一にコイルスプリングの圧縮荷重を支え、コイルスプリングからの全荷重をこの三つの突起で担持し、コイルスプリングが多方向に位置ずれするのが防止されるから、常にコイルスプリングの荷重作用線を三つの突起でなす三角形の重心に一致させることができ、初期の設定状態を常に維持できる。この為、車両の懸架装置として車体を安定的に保持できる。殊にストラット型ショックアブソーバの場合には初期のオフセット状態を常に維持できるので、常にコイルスプリングによる曲げモーメントを初期設定に保ってキャンセル効果を発揮することができ、ショックアブソーバのピストンロッドの軸方向の摩擦力と回転方向の摩擦力を最小になし得て、車両の乗心地が向上すると共に、操安性を良好にすることができる。
【0031】■同じく、コイルスプリングの基端を傾斜段部に当接させるからコイルスプリングに圧縮力が作用してもコイルスプリングは巻き方向を含む円周方向に回転せず、従って、コイルスプリングのオフセット位置も変化させないので初期設定状態を維持できる。
【出願人】 【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
【出願日】 平成11年7月13日(1999.7.13)
【代理人】 【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
【公開番号】 特開2001−26208(P2001−26208A)
【公開日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願番号】 特願平11−198555