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【発明の名称】 トレーリングリーフ式サスペンション
【発明者】 【氏名】緒方 誠

【要約】 【課題】ラテラルロッドを廃止できるだけの耐久性を確保できるトレーリングリーフ式サスペンションを提供することにある。

【解決手段】シャシフレーム2に支持されるスプリングブラケット4に前端がピン結合され、後端がシャシフレーム2に弾性部材7を介し懸架され、左右車輪が枢支された車軸3を中間部に結合したトレーリングリーフ6を有したトレーリングリーフ式サスペンションにおいて、スプリングブラケット4がその水平断面を閉断面として形成され、シャシフレーム2のウェブ部201と下フランジ部203に結合する段付き壁部dを形成されたことを特徴とするトレーリング式リーフスプリング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】シャシフレームに支持されるスプリングブラケットに前端がピン結合され、後端が上記シャシフレームに弾性部材を介し懸架され、左右車輪が枢支された車軸を中間部に結合したトレーリングリーフを有したトレーリングリーフ式サスペンションにおいて、上記スプリングブラケットがその水平断面を閉断面として形成され、上記シャシフレームのウェブ部と下フランジ部に結合する段付き壁部を形成されたことを特徴とするトレーリング式リーフスプリング。
【請求項2】請求項1記載のトレーリングリーフ式サスペンションにおいて、上記スプリングブラケットが上記トレーリングリーフの目玉部を支持する部位の上方に上記閉断面を閉塞する横壁部と同横壁部に接続し垂下する縦壁部とを設けたことを特徴とするトレーリングリーフ式サスペンション。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトレーリングリーフ式サスペンション、特に、シャシフレーム側のスプリングブラケットに前端がピン結合されたトレーリングリーフに車軸を取り付けるようにしたトレーリングリーフ式サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】リジットアクスル式サスペンションの一つにトレーリングリーフ式サスペンションがある。このトレーリングリーフ式サスペンションは、例えば、図5(a),(b)に示すように、左右車輪100を枢支したアクスル101の左右端を板バネであるトレーリングリーフ102の後部に結合し、これにより左右車輪100の前後方向の位置規制をし、しかも、アクスル101の一方端とシャシフレーム104側のブラケット106との間をラテラルロッド103で連結し、これにより左右車輪100の車幅方向の位置規制をしている。更に、左右のトレーリングリーフ102や図示しないコイルバネやショックアブソーバが設けられ、これらによって路面反力を吸収するように構成されている。なお、このようなトレーリングリーフ式サスペンションの一例が実開平5−27376号公報に開示される。
【0003】ところで、アクスル101が上下変動Mする場合、車幅方向の変位を規制するラテラルロッド103の長さを十分に採れる場合は問題無いが、左右シャシフレーム104の間隔が狭まった車両の場合、ラテラルロッド103の揺動端側が上下に揺動すると、これに連動するアクスル101の車幅方向の変位δが比較的大きく有り、この結果、トレーリングリーフ102の車幅方向の揺れが大きくなる。このような場合、走行車両の左右操舵時のフィーリングにずれが生じ、あるいはうねり路通過時の左右振動による乗り心地不良の原因となる場合がある。そこで、ラテラルロッドを廃止し、アクスルの車幅方向変位に伴う横力をスプリングブラケット105のみで受けるように構成することが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この場合、アクスル101には路面反力に応じて発生した横力が加わり、これはスプリングブラケット105に入力されることとなる。ところが、図5(a),(b)や実開平5−27376号公報に開示される従来のスプリングブラケットはその剛性が比較的小さく、特に、スプリングブラケットが薄板2枚の間にトレーリングリーフの目玉部を配設し、これをピン結合した構成を採るものでは耐久性が低く、結果として、トレーリングリーフ式サスペンションにおいて、ラテラルロッドを廃止しするには問題が有った。本発明はこのような課題を考慮し、ラテラルロッドを廃止できるだけの耐久性を確保できるトレーリングリーフ式サスペンションを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、シャシフレームに支持されるスプリングブラケットに前端がピン結合され、後端が上記シャシフレームに弾性部材を介し懸架され、左右車輪が枢支された車軸を中間部に結合したトレーリングリーフを有したトレーリングリーフ式サスペンションであって、上記スプリングブラケットがその水平断面を閉断面として形成され、上記シャシフレームのウェブ部と下フランジ部に結合する段付き壁部を形成されている。このようにスプリングブラケットがその水平断面を閉断面として縦向き筒状に形成され、シャシフレームのウェブ部と下フランジ部に段付き壁部を結合するので、結合剛性を保持できると共に全体の剛性が強化され、トレーリングリーフの前端側から加わる車幅方向の横力に対しても十分な耐久性を示すことができ、トレーリングリーフ式サスペンションより耐久性の問題を生じさせること無くラテラルロッドを排除することができる。
【0006】請求項2の発明では、請求項1記載のトレーリングリーフ式サスペンションにおいて、上記スプリングブラケットが上記トレーリングリーフの目玉部を支持する部位の上方に上記閉断面を閉塞する横壁部と同横壁部に接続し垂下する縦壁部とを設けたことを特徴としている。このように、スプリングブラケットがそのトレーリングリーフの目玉部を支持する部位の上方部位を横壁部で、前方側を縦壁部でそれぞれ補強されるので、トレーリングリーフの目玉部から車幅方向の横力が加わった場合においても同目玉部を支持する部位に十分なねじり剛性をもたせることができ、耐久性を確保でき、トレーリングリーフ式サスペンションより耐久性の問題を生じさせることなくラテラルロッドを排除することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1には本発明の適用されたトレーリングリーフ式サスペンションSを装備した車両の後軸部分を示した。この車両1は後1軸のトラックであり、図示しない後輪を枢支する後アクスル3は、車体側の左右のシャシフレーム2(図1には左側のみ示す)に対してトレーリングリーフ式サスペンションSを介して懸架されている。シャシフレーム2は車体前後方向Xに長く、図3に示すように、縦壁であるウエブ部201とその上下より車体中央側(図3で右側)に延びる上下フランジ部202、203を断面コの字形状に形成してなる。シャシフレーム2は図示しない左側(紙面奥側)のシャシフレームと複数箇所でクロスメンバ8を介して互いに一体結合される。なお、図3に示すように、クロスメンバ8の端部には連結ブラケット9が溶接され、その車外側の接合面901がシャシメンバ2の車内側面に当接され、互いは複数箇所でリベット止めされている。
【0008】後アクスル3はその左右端に図示しない左右後輪を枢着し、同左右輪に回転力を分岐して伝達する図示しないデファレンシャルを中央膨出部301内に収容しており、全体は筒状体として板金あるいは鋳造によって形成される。図1に示すように、後アクスル3とシャシフレーム2間に介装される左右のトレーリングリーフ式サスペンションSは後アクスル3を左右のトレーリングリーフ6及び弾性部材であるコイルスプリング7によって左右のシャシフレーム2にそれぞれ懸架する。なお、ここでの左右のトレーリングリーフ式サスペンションSは左右対称の構成を採り、ここでは左側の部材を主に説明する。
【0009】トレーリングリーフ式サスペンションSはシャシフレーム2に結合されるスプリングブラケット4と、スプリングブラケット4に保持されたスプリングピン5を巻回する目玉部を有したトレーリングリーフ6と、トレーリングリーフ6の後端部をシャシフレーム2に懸架する弾性部材としてのコイルスプリング7と、図示しないショックアブソーバとを具備する。なお、図1中、符号15は後アクスル3の上方の最大変位量を規制するストッパゴムを示し、これはブラケット16を介しシャシフレーム2の下フランジ203に取付けられている。
【0010】スプリングブラケット4はその外郭部が外側壁板11と、内側壁板12と、前後壁板13、14とを備え、これらは互いに矩形に組み合わされ、一体的、かつ矩形縦向き筒状体に形成される。この外郭部の下部にはトレーリングリーフ6の目玉部601を支持する部位であるピン結合部cが形成され、その上方に補強用の横壁部17が、外側壁板11と内側壁板12に一体結合され、上記横壁部17の中央部に、上端が接続し垂下する縦壁部18の上端及び車幅方向両端部が夫々結合され、スプリングブラケット4の車幅方向補強板として機能する。なお、横壁部17の主要部はスプリングブラケット4が形成する水平断面における閉断面を閉塞するように前後幅B2及び左右幅B1を有する横向き板部として形成され、その車幅方向Yの左右端は下方に屈曲し、左右重合部171を延出形成する。これら左右重合部171は外側壁板11と内側壁板12の各内壁面に重ね合わされ互いに接合され、左右のピン結合部cの補強板として機能する。
【0011】なお、図2に示すように、前壁板13は下部が後方に屈曲し、縦壁部18に接近して配備され、これによって、縦壁部18と共働し、ピン結合部cの周囲の剛性をより強化できる。後壁板14はその下端が比較的上部でカットされ、これによりトレーリングリーフ6との干渉を避けており、上端は前方に屈曲され、上端側開口の幅B3を下方の部分の幅B2より狭め、スプリングブラケット4の上部の形状剛性を強化している。更に、横壁部17の中央部及び縦壁部18の下端部にはそれぞれ水抜き穴hが形成される。ここで左右のピン結合部cには外側壁板11と内側壁板12の下部とその内側の左右重合部171とにわたりピン5が貫通され、同ピンの一端が車体内側のピン結合部cにナット20で締め付けられる。ピン5はその外側端にピン取付けブラケット19を溶接しており、これは外側壁板11に2本のボルトb1で締め付け結合される。
【0012】このようなピン結合部cのピン5にはトレーリングリーフ6の目玉部601が外嵌され、その左右端にスラストワッシャー27が嵌装される。スラストワッシャー27は目玉部601と左右重合部171との間の車幅方向Yの隙間段差を吸収し、接触部のがた詰めを行う形状に左右の環状接合面が樹脂成形される。このスラストワッシャー27を用いた場合、目玉部601から入力される車幅方向Yのねじり変位に伴う横力Fを左右重合部171側に確実に伝達できる。しかも、ここで、外側壁板11、内側壁板12及び左右重合部171から成るピン結合部cは受けた横力Fを近傍の横壁部17及び縦壁部18側に容易に分散して支持させることができ、左右のピン結合部cに変形を生じさせることなく耐久性良く横力Fを受け、シャシフレーム2側に伝達できる。
【0013】外側壁板11はほぼ平板状を成し、内側壁板12は上下方向の中間部に段付き壁部dを備える。ここで、内側壁板12は上下方向の中間部に上向き壁部121を形成され、その端部より上向きで内向き壁部122を延出形成する。上向き壁部121は下フランジ部203に当接し、互いは図2に示すように、ボルトb、ナットnにより2か所で締め付け結合される。内向き壁部122はウエブ部201に当接し、互いはボルトb、ナットnにより4か所で締め付け結合される。この段付き壁部dが形成されることにより、スプリングブラケット4はシャシフレーム2との間での結合剛性を強化でき、両者間の全体としての剛性をも強化することができる。なお、外側壁板11の上部で内向き壁部122との対抗部には短筒ブラケット21が嵌挿され、同ブラケットの端部は内向き壁部122に当接し、各当接部は互いに溶接される。これにより、外側壁板11と内側壁板12の上部における剛性が更に強化されている。
【0014】このような、スプリングブラケット4に前端の目玉部601をピン結合されたトレーリングリーフ6は、図1に示すように、上下2枚のリーフバネから成り、これらは分離規制用のバンド24で結合される。トレーリングリーフ6はこれらの目玉部601より後方に延在する主部602を有し、主部602の中央に車幅方向Y(図1では紙面垂直方向)に向けて配設される後アクスル3を結合する。この場合、後アクスル3はその下面側に主部602及び補助ブラケット25を重ねられ、全体が一対のU字ボルト22(図1に一方のみ示す)とこれに螺合するナット23で締め付け結合される。トレーリングリーフ6の主部602の後端部603にはバネ受け部材26が一体的に結合され、同バネ受け部材26側はコイルスプリング7を介しシャシフレーム2に連結される。
【0015】このようなトレーリングリーフ式サスペンションSは左右一対配設され、走行時に路面反力を図示しない車輪が受けて後アクスル3が上下変位することとなる。この場合、後アクスル3にはラテラルロッドが結合されず、ラテラルロッド取付けによる後アクスル3の車幅方向Yの変位(図5(a)中の符号のδ参照)を排除できる。特に、路面凹凸に伴う車幅方向Yの横ずれがトレーリングリーフ6に生じ、その目玉部601よりスプリングブラケット4のピン結合部cに横力Fが入力しても、スラストワッシャー27が外側壁板11、内側壁板12及び左右重合部171から成るピン結合部c上の受圧面内に分散して伝達でき、しかも,この横力Fは近傍の横壁部17及び縦壁部18に容易に分散し、支持された上でシャシフレーム2側に伝達される。この場合,スプリングブラケット4は左右のピン結合部cに変形を生じさせることなく耐久性良く路面反力に伴う横力Fを受けることができ、その耐久性を確保でき、耐久性の問題を生じさせること無く,トレーリングリーフ式サスペンションSよりラテラルロッドを排除することができる。
【0016】上述のところにおいて、スプリングブラケット4は板金製であったが、これに代えて、図4に示すような鋳造品のスプリングブラケット4aを用いても良い。この場合、スプリングブラケット4aはその外郭部が縦向き矩形筒状体に鋳造され、水平断面が閉断面を成すように形成され、シャシフレーム2側である車内側壁部に段付き壁部d(図3参照)が形成される。しかも、図1に示した横壁部17及び縦壁部18を備えるスプリングブラケット4と同様に、鋳造可能な範囲で縦向き外郭部の内部に水抜き穴h付きの補強リブ30を設け、ピン結合部c周囲の剛性強化を図ることとなり、図1に示したトレーリングリーフ式サスペンションと同様の作用効果を得ることができる。上述のトレーリングリーフ式サスペンションSで用いた弾性部材はコイルスプリング7としたが、エアスプリングの場合も同様の作用効果を得られる。
【0017】
【発明の効果】請求項1の発明では、スプリングブラケットがその水平断面を閉断面として縦向き筒状に形成され、シャシフレームのウェブ部と下フランジ部に段付き壁部を結合するので、結合剛性を保持できると共に全体の剛性が強化され、トレーリングリーフの前端側から加わる車幅方向の横力に対しても十分な耐久性を示すことができ、トレーリングリーフ式サスペンションより耐久性の問題を生じさせること無くラテラルロッドを排除することができる。
【0018】請求項2の発明によれば、スプリングブラケットがそのトレーリングリーフの目玉部を支持する部位の上方部位を横壁部で、前方側を縦壁部でそれぞれ補強されるので、トレーリングリーフの目玉部から車幅方向の横力が加わった場合においても同目玉部を支持する部位に十分なねじり剛性をもたせることができ、耐久性を確保でき、トレーリングリーフ式サスペンションより耐久性の問題を生じさせることなくラテラルロッドを排除することができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成11年7月13日(1999.7.13)
【代理人】 【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
【公開番号】 特開2001−26207(P2001−26207A)
【公開日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願番号】 特願平11−198821