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【発明の名称】 車高調整装置
【発明者】 【氏名】宮崎 優一

【要約】 【課題】複数のサスペンションシリンダの負荷が異なっても、車体を略水平状態に保ちながら、安定よく車高調整が行えるようにする。

【解決手段】第1回路21および第2回路22の分流配管21b、22bにそれぞれサスペンションシリンダ20a.20bの作動油の流出量または流入量を調整する逆止弁32付き可変形流量制御バルブ33を配設する。そして、各車輪の分担荷重を検出し、これら検出信号に基づいて高負荷側の可変形流量制御バルブ33の開度が相対的に大きくなるように制御する。これにより、負荷の異なるサスペンションシリンダのストローク速度を同調させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車体と各車輪毎と間にそれぞれ介装されるサスペンションシリンダと、これらのピストンで仕切られる伸び側の室どうしを結ぶ第1回路と、同じく縮み側の室どうしを結ぶ第2回路と、これらサスペンションシリンダへの作動油を供給するポンプ回路と、同じくサスペンションシリンダからの作動油をリザーバへ戻すタンク回路と、第1回路および第2回路とポンプ回路およびタンク回路との間に介装される車高調整用の通路切換バルブと、を備える車高調整装置において、第1回路および第2回路の分流配管にそれぞれサスペンションシリンダの作動油の流出量または流入量を調整する逆止弁付き可変形流量制御バルブを配設すると共に、各車輪の分担荷重を検出する手段と、これら検出信号に基づいて高負荷側の可変形流量制御バルブの開度が相対的に大きくなるように制御する手段と、を設けたことを特徴とする車高調整装置。
【請求項2】車体と各車輪毎と間にそれぞれ介装されるサスペンションシリンダと、これらのピストンで仕切られる伸び側の室どうしを結ぶ第1回路と、同じく縮み側の室どうしを結ぶ第2回路と、これらサスペンションシリンダへの作動油を供給するポンプ回路と、同じくサスペンションシリンダからの作動油をリザーバへ戻すタンク回路と、第1回路および第2回路とポンプ回路およびタンク回路との間に介装される車高調整用の通路切換バルブと、を備える車高調整装置において、第1回路および第2回路の分流配管にそれぞれサスペンションシリンダの作動油の流出量または流入量を調整する逆止弁付き流量制御バルブを配設すると共に、これら流量制御バルブのそれぞれにソレノイドへの通電がオンすると開度を拡大する可変機構を設けると共に、各可変機構の励磁回路にそれぞれ対応するサスペンションシリンダの伸び側の作動圧が所定値以上のときに接点を閉じる圧力スイッチを介装したことを特徴とする車高調整装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はクレーン車などにおける車高調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の積載量の軽重によって車高は変化するが、このような場合においても、ヘッドランプの照射位置を所定の高さに保つ上からも、車高調整装置は有効利用される(実開平5−52389号公報参照)。その一例を図3に説明すると、1は車体と各車輪との間に介装されるサスペンションシリンダであり、これらは便宜上2本しか作図しないが、各車輪に対応して配置される。
【0003】各シリンダ1はその内部がピストンによって2つの室a,bに仕切られる。これらシリンダ1の伸び側(この場合、ヘッド側)の室aどうしを結ぶ第1回路2と、同じく縮み側(この場合、ロッド側)の室bどうしを結ぶ第2回路3と、各シリンダ1への作動油を供給するポンプ回路4と、同じくシリンダ1からの作動油をリザーバ6へ戻すタンク回路5と、が設けられる。
【0004】第1回路2および第2回路3とポンプ回路4およびタンク回路5との間に車高調整用の通路切換バルブ7が介装される。通路切換バルブ7は、第1回路2と第2回路3に対してポンプ回路4とタンク回路5を平行(パラレル)状態に連通する伸び作動ポジションaと、同じく交差(クロス)状態に連通する縮み作動ポジションbと、これらの連通を遮断(キャンセル)する中立ポジションcと、から形成され、バルブ両側にそれぞれリターンスプリング8とソレノイド9が備えられる。そして、運転席の操作スイッチ10により、ソレノイド9のいずれか一方への通電をオンすると、その励磁力によって伸び作動ポジションaまたは縮み作動ポジションbに切り替わる一方、ソレノイド9のいずれへの通電もオフすると、リターンスプリング8によって中立ポジションcに切り替わるようになっている。
【0005】ポンプ回路4には、その流量および圧力の制御バルブ11が設けられる。この流量圧力制御バルブ11は、オリフィス11aとリリーフ弁11bとからなり、エンジンに駆動されるポンプ13からの過剰な流量はオリフィス11aから、また過剰な圧力はリリーフ弁11bから、それぞれタンク回路5へと逃がされる。
【0006】このような構成により、車高を上げる際は、運転席の操作スイッチ10により、通路切換バルブ7を伸び作動ポジションaに切り替えると、ポンプ13からの作動油が各シリンダ1の伸び側の室aへ供給され、縮み側の室bの作動油をリザーバ6へ押し出しながら、ピストンロッド1aが伸出するのであり、所定の車高になったら、運転席の操作スイッチ10により、通路切換バルブ7を中立ポジションcに切り替えると、各シリンダ1への作動油の供給も遮断され、そのときの車高に維持される。また、車高を下げる際は、運転室の操作スイッチ10により、通路切換バルブ7を縮みポジションbに切り替えると、ポンプ13からの作動油が各シリンダ1の縮み側の室bへ供給され、伸び側の室aの作動油をリザーバ6へ押し出しながら、ピストンロッド1aが収縮するのであり、運転席の操作スイッチ10により、通路切換バルブ7を中立ポジションcに切り替えると、そのときの車高に維持されるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような車高調整装置にあっては、各車輪の分担荷重(サスペンションシリンダ1の負荷)が異なる場合、車高調整を行うと、負荷の小さいシリンダ1が負荷の大きいシリンダ1よりもストロークが速くなるため、車体がふらついて不安定になる(略水平な安定した昇降状態が得られない)という不具合が考えられる。
【0008】この発明は、このような不具合を有効に解決する手段の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、車体と各車輪毎と間にそれぞれ介装されるサスペンションシリンダと、これらのピストンで仕切られる伸び側の室どうしを結ぶ第1回路と、同じく縮み側の室どうしを結ぶ第2回路と、これらサスペンションシリンダへの作動油を供給するポンプ回路と、同じくサスペンションシリンダからの作動油をリザーバへ戻すタンク回路と、第1回路および第2回路とポンプ回路およびタンク回路との間に介装される車高調整用の通路切換バルブと、を備える車高調整装置において、第1回路および第2回路の分流配管にそれぞれサスペンションシリンダの作動油の流出量または流入量を調整する逆止弁付き可変形流量制御バルブを配設すると共に、各車輪の分担荷重を検出する手段と、これら検出信号に基づいて高負荷側の可変形流量制御バルブの開度が相対的に大きくなるように制御する手段と、を設ける。
【0010】第2の発明では、車体と各車輪毎と間にそれぞれ介装されるサスペンションシリンダと、これらのピストンで仕切られる伸び側の室どうしを結ぶ第1回路と、同じく縮み側の室どうしを結ぶ第2回路と、これらサスペンションシリンダへの作動油を供給するポンプ回路と、同じくサスペンションシリンダからの作動油をリザーバへ戻すタンク回路と、第1回路および第2回路とポンプ回路およびタンク回路との間に介装される車高調整用の通路切換バルブと、を備える車高調整装置において、第1回路および第2回路の分流配管にそれぞれサスペンションシリンダの作動油の流出量または流入量を調整する逆止弁付き流量制御バルブを配設すると共に、これら流量制御バルブのそれぞれにソレノイドへの通電がオンすると開度を拡大する可変機構を設けると共に、各可変機構の励磁回路にそれぞれ対応するサスペンションシリンダの伸び側の作動圧が所定値以上のときに接点を閉じる圧力スイッチを介装する。
【0011】
【発明の効果】第1の発明では、各車輪の負荷(分担荷重)が異なる場合、高負荷側の逆止弁付き可変形流量制御バルブの開度が相対的に大きくなるように制御される。このため、高負荷側の可変形流量制御バルブの通過流量が低負荷側の可変形流量制御弁の通過流量よりも大きくなり、これら負荷の異なるシリンダどうしの速度を同調させることができる。その結果、通路切換バルブの操作によって、車体を略水平状態に保ちながら、安定よく車高調整が行えるようになる。
【0012】第2の発明では、各車輪の負荷(分担荷重)はそれぞれ対応するサスペンションシリンダの伸び側の作動圧に相当するのであり、この圧力が所定値以上になると圧力スイッチが可変機構の励磁回路を閉成するため、これに対応する逆止弁付き流量制御バルブのソレノイドが通電のオンによって開度を拡大させる。これにより、高圧側の流量制御弁の通過流量が相対的に大きくなり、低圧側のサスペンションシリンダと同じ速度で高圧側のサスペンションシリンダをストロークさせることができる。その結果、通路切換バルブの操作によって、車体を略水平状態に保ちながら、安定よく車高調整が行えるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】図はクレーン車への適用例を説明する実施形態を表すものであり、図1は油圧回路の概略構成図、図2はクレーン車のキャリア(a)の側面図と同じく装備状態(b)の側面図である。20は車体と各車輪との間に介装されるサスペンションシリンダであり、クレーン車の各車軸(4軸)の左右輪に1本ずつ(合計8本)配置される。このうち、20aは運転室側(第1軸)のシリンダ、20bは台車側(第2軸〜第4軸)のシリンダ、を表す。
【0014】各シリンダ20a,20bはその内部がピストンによって2つの室に仕切られる。これらシリンダ20a,20bの伸び側(この場合、ヘッド側)の室aどうしを結ぶ第1回路21と、同じく縮み側(この場合、ロッド側)の室bどうしを結ぶ第2回路22と、各シリンダ20a,20bへの作動油を供給するポンプ回路23と、同じくシリンダ20a,20bからの作動油をリザーバ27へ戻すタンク回路24と、が設けられる。
【0015】第1回路21および第2回路22とポンプ回路23およびタンク回路24との間に車高調整用の通路切換バルブ25が介装される。通路切換バルブ25は、第1回路21と第2回路22に対してポンプ回路23とタンク回路24を平行(パラレル)状態に連通する伸び作動ポジションaと、同じく交差(クロス)状態に連通する縮み作動ポジションbと、これらの連通を遮断(キャンセル)する中立ポジションcと、から形成され、バルブ両側にそれぞれリターンスプリング28とソレノイド29が備えられる。そして、運転席の操作スイッチ26により、ソレノイド29のいずれか一方への通電をオンすると、その励磁力によって伸び作動ポジションaまたは縮み作動ポジションbに切り替わる一方、ソレノイド29のいずれへの通電もオフすると、リターンスプリング28によって中立ポジションcに切り替わるようになっている。
【0016】ポンプ回路23には、エンジンに駆動されるポンプ30からの過剰な圧力をタンク回路24へと逃がすリリーフ弁31が設けられる。第1回路21および第2回路22において、これらは各シリンダ20a,20bへの分流配管21b,22bとこれらの合流配管21a,22aとからなり、各分流配管21b、22bにそれぞれシリンダ20a,20bの作動油の流出量を調整する逆止弁32付き流量制御バルブ33が配設される。これらの流量制御バルブ33は、ソレノイド34への通電がオンするとその励磁力を受けて開度を拡大する可変機構が備えられる。これらソレノイド34の励磁回路にそれぞれ対応するサスペンションシリンダ20a,20bの伸び側の作動圧が所定値以上のときに接点を閉じる圧力スイッチ35が介装される。
【0017】このような構成により、車高を上げる際は、運転席の操作スイッチ26により、通路切換バルブ25を伸び作動ポジションaに切り替えると、ポンプ30からの作動油が逆止弁32を介して各シリンダ20a,20bの伸び側の室aへ供給され、縮み側の室bの作動油をリザーバ27へ押し出しながら、ピストンロッドAが伸び出すのであり、その作動油の流出量は流量制御バルブ33によって調整される。所定の車高になったら、運転席の操作スイッチ26により、通路切換バルブ25を中立ポジションcに切り替えると、各シリンダ20a,20bへの作動油も遮断され、各シリンダ20a,20bのストロークが停止される。
【0018】車高を下げる際は、運転室の操作スイッチ26により、通路切換バルブ25を縮みポジションbに切り替えると、ポンプ30からの作動油が逆止弁32を介して各シリンダ20a,20bの縮み側の室bへ供給され、伸び側の室aの作動油をリザーバ27へ押し出しながら、ピストンロッドAが収縮するのであり、その作動油の流出量は流量制御バルブ33によって調整される。所定の車高になったら、運転席の操作スイッチ26により、通路切換バルブ25を中立ポジションcに切り替えると、各シリンダ20a,20bのストロークが停止される。
【0019】クレーン車においては、図2のキャリヤ状態(a)と装備状態(b)が想定され、クレーン40の装備状態のときは、その重量によって運転室側の車輪と台車側の車輪との間で負荷(分担荷重)に大きく差が生じる。各車輪の負荷はそれぞれ対応するサスペンションシリンダ20a,20bの伸び側の作動圧に相当するのであり、この圧力が所定値以上になると圧力スイッチ35が可変機構の励磁回路を閉成するため、これに対応する逆止弁32付き流量制御バルブ33のソレノイド34が通電のオンによって開度を拡大させる。
【0020】これにより、高圧側の流量制御バルブ33の通過流量が相対的に大きくなり、低圧側のサスペンションシリンダ20aと同じ速度で高圧側のサスペンションシリンダ20bをストロークさせることができる。そのため、各車輪の負荷が異なる場合においても、車高調整用の通路切換バルブ25を既述のように操作することにより、車体を略水平状態に保ちながら、安定よく車高調整が行えるようになる。
【0021】なお、各シリンダ20a,20bにおいて、伸び側の室aおよび縮み側の室bに対する作動油の出入りを補償するアキュームレータ(図示せず)が備えられる。車両の走行中(通路切換バルブ25は中立ポジションc)は、各シリンダが伸縮自在になり、アキュームレータがシリンダ20間の作動油の移動を抑えるので、安定した車両姿勢を損なうことなく、路面からの振動を良好に吸収できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成11年7月5日(1999.7.5)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2001−18624(P2001−18624A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願平11−190148