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【発明の名称】 サスペンション制御装置
【発明者】 【氏名】来栖 明法

【氏名】内山 正明

【氏名】中村 健一

【要約】 【課題】良好な制振効果を発揮できるサスペンション制御装置を提供する。

【解決手段】油圧シリンダがスカイフック減衰力を再現できない方向に作動している〔斜線部d,e(時間T)参照)〕場合、給排油指示を行い、アクティブシステム(給排油弁)が作動し、油圧シリンダに対して給排油(d′,e′)を行い、所望の減衰力(制振力)を得られるように補償する。アクティブシステムにより常時給排油を行う必要がなく、従来技術のアクティブ制御に比してエネルギ消費を抑えることができると共に、所望の制振力を確保して従来技術のアクティブシステムと同等の制振効果を維持できる。さらに、従来技術のアクティブシステムで用いられたポンプ等の部材に比して、小型軽量化が図れ、ひいては装置の小型軽量化及び車両への搭載性の向上を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の車体と車軸との間に介装され減衰力の発生により該車体に対する制振力を発生する減衰力調整可能のサスペンション本体と、該サスペンション本体に対する流体の給排を行う流体給排手段と、前記車体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、該振動状態検出手段からの検出信号に基づいて前記サスペンション本体の減衰力調整及び流体の給排を行い車体に対する制振力を制御する制御手段と、からなり、該制御手段は、前記減衰力調整で所望の制振力を得られないときに前記流体給排手段からの前記サスペンション本体に対する流体給排により制振力を発生することを特徴とするサスペンション制御装置。
【請求項2】 前記制御手段による制動をスカイフックダンパ理論に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載のサスペンション制御装置。
【請求項3】 前記サスペンション本体は減衰力伸び/縮み反転式のショックアブソーバであることを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車または鉄道車両などの車両に用いられるサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置の一例として、本発明者等が提案した特開平5330325号公報に示すものがある。このサスペンション制御装置は、減衰係数可変型ショックアブソーバの減衰係数(減衰力)を調整することにより車体の振動抑制をするものであり、いわゆるセミアクティブサスペンション制御を行っている。そして、このサスペンション制御装置は、車体の上下加速度を検出し、検出信号を積分処理することによって車体の上下絶対速度を推定し、この上下絶対速度に基づいてスカイフックダンパ理論のスカイフックダンパの減衰力を演算し、このスカイフックダンパの減衰力と等価になるように、車体−車軸間に介装されたセミアクティブショックアブソーバ(減衰係数可変型ショックアブソーバ)を制御するようにしている。
【0003】前記スカイフックダンパ理論に基づく制御では、図7に示すように、車体1と路面2〔車軸〕との間にばね定数がKのばね3を介装し、車体1(ばね上)と空4との間に減衰係数がCS のスカイフックダンパ5を介装したスカイフックシステム6と、図8に示すように、車体1(ばね上)と車軸〔路面2(ばね下)〕との間にばね3及びセミアクティブショックアブソーバ7(減衰係数可変型ショックアブソーバ)〔減衰係数C1 〕を介装したセミアクティブシステム8とを対比し、セミアクティブショックアブソーバ7の減衰力F1 (減衰係数)がスカイフックシステム6のスカイフックダンパ5の減衰力FS に近いもの(同等が望ましい)になるように次の演算を行い、セミアクティブショックアブソーバ7の減衰力(減衰係数)を調整するようにしている。
【0004】この場合、S′(S′−X)>0〔S′:車体1の上下絶対速度、X:車軸(ばね下)の上下絶対速度〕
であるなら、F1 =−CS S′=−C1 (S′−X)
〔F1 :セミアクティブショックアブソーバ7の減衰力〕
すなわち、C1 =CS S′/(S′−X)となるようにセミアクティブショックアブソーバ7の減衰係数C1 を調整する。
【0005】また、S′(S′−X)<0であるなら、F1 =0、すなわち、C1 =0となるようにセミアクティブショックアブソーバ7の減衰係数C1 を調整する。
【0006】ここで、スカイフックダンパ5理論に基づく制御によりセミアクティブショックアブソーバ7が発生する減衰力、及び車体1の上下絶対速度等を示すと、例えば図9のようになる。図9中、S、S′、B、FS 及びF1 は次の内容を示す。
S :車体1の上下絶対変位S′:車体1の上下絶対速度B :セミアクティブショックアブソーバ7のピストン速度FS :スカイフックダンパ5の減衰力F1 :セミアクティブショックアブソーバ7の減衰力【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにスカイフックダンパ理論に基づく制御を行うことにより、上述した従来技術では、図9に示すように、セミアクティブショックアブソーバ7の発生する減衰力F1 は、概ねスカイフックシステム6のスカイフックダンパ5の減衰力FS を再現することになるが、スカイフックダンパ5の減衰力FS のうち斜線部d〔ピストン速度Bの方向とスカイフックダンパ5の減衰力FS (上下絶対速度S′と180°異なる位相)の方向とが異なっている部分(なお、時間で示せば時間Tの領域となる)〕では対応した大きさにはなっていない。これは、前記斜線部dでは、スカイフックダンパ5の減衰力FS は上向きの力(縮み減衰力)を要求しているのに対して、セミアクティブショックアブソーバ7は伸び行程にあり、縮みの減衰力を発生できず(すなわち、セミアクティブショックアブソーバ7は、その伸縮に逆らう方向にしか減衰力を発生できず)、伸び側減衰力を最低値(0)に設定することにより起こるものである。
【0008】このようにセミアクティブシステム8では、減衰力を調整することにより車体振動を抑えるようにしているため、軽量、低価格で制振システムを提供できるが、制振効果は、前記時間T領域(斜線部d等)においてスカイフックダンパ5の減衰力FS の適切な再現を行えない分、アクティブシステムに比して劣ったものになる。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、良好な制振効果を発揮できるサスペンション制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、車両の車体と車軸との間に介装され減衰力の発生により該車体に対する制振力を発生する減衰力調整可能のサスペンション本体と、該サスペンション本体に対する流体の給排を行う流体給排手段と、前記車体の振動状態を検出する振動状態検出手段と、該振動状態検出手段からの検出信号に基づいて前記サスペンション本体の減衰力調整及び流体の給排を行い車体に対する制振力を制御する制御手段と、からなり、該制御手段は、前記減衰力調整で所望の制振力を得られないときに前記流体給排手段からの前記サスペンション本体に対する流体給排により制振力を発生することを特徴とする。請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記制御手段による制動をスカイフックダンパ理論に基づいて行うことを特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の構成において、前記サスペンション本体は減衰力伸び/縮み反転式のショックアブソーバであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態のサスペンション制御装置を図1ないし図4及び図9に基づいて説明する。図1において、車両の車体1と車軸(図示省略)との間には、油圧シリンダ10が介装されている。油圧シリンダ10は、車軸側(図示省略)に保持されるシリンダ本体11と、シリンダ本体11内をピストン上室12及びピストン下室13に画成してシリンダ本体11内を摺動するピストン14と、ピストン14に一端側が連結され、他端側がピストン上室12を通してシリンダ本体11外に延びて車体1に固定されるピストンロッド15と、から大略構成されている。
【0012】ピストン上室12及びピストン下室13は、途中に伸び側減衰力バルブ16aを備えた流路(第1流路)R1により連通されている。第1流路R1のピストン下室13側部分とピストン下室13とは、途中に縮み側減衰力バルブ16b及びチェック弁(第1チェック弁)17aを備えた流路(第2流路)R2により連通されている。第2流路R2における縮み側減衰力バルブ16b及び第1チェック弁17aの間の部分には高圧用のアキュムレータ(第1アキュムレータ、リザーバ)18aが接続されており、第1チェック弁17aを介してピストン下室13に連通している。第1アキュムレータ18aは、車体支持荷重を分担するようにしている。
【0013】ピストン14にはピストン上室12及びピストン下室13を連通する流路(第3流路)R3が形成されている。第3流路R3にはピストン上室12からピストン下室13への油液(流体)の流入を禁止するチェック弁(第2チェック弁)17bが設けられている。前記伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bなどによりセミアクティブ制御可能な減衰力発生部19を構成している。本実施の形態では油圧シリンダ10及び減衰力発生部19からサスペンション本体を構成している。
【0014】減衰力発生部19は、伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bを連動して作用し、例えばピストン14の所定のスピードでは、図2に示すような減衰力伸び/縮み反転式の減衰力特性を示す。すなわち、通常、制御電流(指令電流)は中立電流とされ、伸び側減衰力及び縮み側減衰力が共に小さな値に設定される。また、制御電流が中立電流から徐々に小さくされる(図2左側)と、縮み側減衰力が小さい状態で伸び側減衰力が大きくなり、制御電流が中立電流から徐々に大きくされる(図2右側)と、伸び側減衰力が小さい状態で縮み側減衰力が大きくなる減衰力特性を発揮する。
【0015】また、油圧シリンダ10のピストン14及びピストンロッド15には、一端側がピストン下室13に開口し、他端側がピストンロッド15の他端部に開口する流路(第4流路)R4が形成されている。油圧シリンダ10の第4流路R4には流路(第5流路)R5が連通されており、この第5流路R5にはアクティブシステム20の一部をなす給排油弁21(流体給排手段、流量制御弁)が接続されている。給排油弁21は、途中にポンプ22を備えた流路(第6流路)R6を介してタンク23(流体供給部)に接続されている。給排油弁21は、さらに、途中に排油弁24を備えた流路(第7流路R7)を介してタンク23(流体排出部)に接続されている。
【0016】給排油弁21は、後述する制御装置25に制御され、次のように第5流路R5、第6流路R6、第7流路R7の連通、遮断を行うようになっている。すなわち、給排油弁21は、制御装置25に制御されて、第5流路R5及び第7流路R7を連通しかつ第5流路R5及び第6流路R6を遮断するモード(排油モード、図1)、第5流路R5及び第7流路R7を遮断しかつ第5流路R5及び第6流路R6を遮断するモード(遮断モード)、または第5流路R5及び第6流路R6を連通しかつ第5流路R5及び第7流路R7を遮断するモード(給油モード)に切換えられるようになっている。給排油弁21は、通常時、遮断モードにされている。
【0017】第6流路R6の給排油弁21側部分には分岐してアキュムレータ(第2アキュムレータ)18bが接続されている。また、第6流路R6のポンプ22側部分には高圧設定用にリリーフ弁26が設けられている。本実施の形態では前記給排油弁21、ポンプ22、タンク等から前記アクティブシステム20を構成している。
【0018】給排油弁21は、図3に示す特性を有している。すなわち、制御電流(指令電流)が中立電流であるとき、給油量及び排油量は共にゼロ(0)であり、制御電流値を中立電流値より小さくする(図3左側)〔給油モード〕と、給油し始め、中立電流値より大きくする(図3右側)〔排油モード〕と、排油が行われる。
【0019】車体1には、この車体1の上下加速度を検出する加速度センサ27(振動状態検出手段)が取り付けられている。油圧シリンダ10には、変位センサ28が取り付けられており、ピストンロッド15とシリンダ本体11との相対変位を検出するようにしている。加速度センサ27、変位センサ28、給排油弁21、伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bには前記制御装置25(制御手段)が接続されている。制御装置25は、変位センサ28からの信号及び加速度センサ27からの信号に基づいて、給排油弁21、伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bを制御する。
【0020】制御装置25は、図4に示すようなスカイフック制御部29、指令電流調整部30及び給排油弁調整部31を有している。スカイフック制御部29は、加速度センサ27からの加速度信号を積分して上下速度を求める積分回路32と、積分回路32からの上下速度に基づいてスカイフック減衰力FS を求めるスカイフック減衰力演算部33と、変位センサ28からの信号に基づいてピストン14の速度を求めるピストン速度演算部34と、スカイフック減衰力演算部33及びピストン速度演算部34からの信号に基づいて給排油弁21の指令電流を決定する主演算部35と、から大略構成されている。スカイフック減衰力演算部33には前記指令電流調整部30が接続されており、減衰力発生部19の伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bを制御する。主演算部35には前記給排油弁調整部31が接続されており、給排油弁21を制御する。
【0021】主演算部35では、スカイフック減衰力演算部33からのスカイフック減衰力に対して油圧シリンダ10の作動方向(ピストン速度演算部34からのピストン14の速度の方向)が、同じ方向の力を発生できる場合には、給排油弁21の指示電流を中立電流とし、給油量及び排油量をゼロ(0)にする。これに対して、油圧シリンダ10がスカイフック減衰力を再現できない方向に作動している〔図9の斜線部d,e(時間T)参照)〕場合、給排油指示を行い、アクティブシステム20(給排油弁21)が作動し、油圧シリンダ10に対して給排油(図9符号d′,e′で示す)を行い、所望の減衰力(制振力)を得られるように補償する。例えば、斜線部dでは、油圧シリンダ10が伸びており、そのときに上向きの力の発生が必要な場合には、油圧シリンダ10では等価な力を発生できないため、油圧シリンダ10に圧油を供給し(図9給油d′)、上向きの力を発生させる。
【0022】また、図9斜線部eのように油圧シリンダ10が縮み工程であるときには、下向きの力が必要な場合のみ、給排油弁21を介して油圧シリンダ10から排油操作を行い(図9排油e′)、下向きの力を発生させる。なお、この下向きの力は、油圧シリンダ10が車体1の荷重を一部分担していることから、相対的に発生するものである。
【0023】上述したように、サスペンション本体(減衰力発生部19)が発生する減衰力では所望の制振力を得られないとき(図9時間T)にのみ流体給排手段(給排油弁21)を作動しており、アクティブシステム20により常時給排油を行う必要がなく、従来技術のアクティブ制御に比してエネルギ消費を抑えることができる。例えば、従来技術に比して約1/2のエネルギで上記制振力の発生制御を行うことができるようになる。
【0024】また、従来技術のアクティブ制御では、ポンプ、アキュムレータ等の各部材には容量の大きなものが必要とされる等のため装置が大型化しているが、これに比して、本実施の形態では、サスペンション本体(減衰力発生部19)が発生する減衰力では所望の制振力を得られないとき(図9時間T)にのみ流体給排手段(給排油弁21)を作動するので、アクティブシステム20を構成する各部材の容量を必要最小限に抑えることができ、かつ各部材(ポンプ22、アキュムレータ、給排油弁21)を車輪毎に設置することが可能となり、従来技術のアクティブ制御で車両内に設置していた多くの油圧配管を廃止することができる。また、装置の小型化及び車両への搭載性の向上を図ることができる。
【0025】このように各車輪毎に図1に示す各部材を設けた場合には各車輪に対応して油圧配管、空気圧配管等の流体を供給する配管が不要となり、これにより、配管破損の危険が減少して安全性が向上すると共に、メンテナンス性が向上する。また、セミアクティブ制御と相まって制御効果も従来のアクティブ制御と同等のものを期待することができる。また、アクティブ切換えを自動的に行うことができ、その分、制御装置25の演算及び装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0026】次に、本発明の第2の実施の形態のサスペンション制御装置25を図5及び図6に基づき、図1を参照して説明する。図5において、油圧シリンダ10のシリンダ本体11と車体1との間にはばね等の付勢手段36が介装されている。第1アキュムレータ18aは、前記第1の実施の形態と同様に、車体支持荷重を分担するようにしている。
【0027】ピストン上室12及びピストン下室13には、直列接続された伸び側減衰力バルブ16a及びチェック弁(第3チェック弁)17cが接続されている。第3チェック弁17cは、ピストン上室12からピストン下室13の方向のみ油液の流れを許容する。同様にピストン上室12及びピストン下室13には、直列接続された縮み側減衰力バルブ16b及びチェック弁(第4チェック弁)17dが接続されている。第4チェック弁17dは、ピストン下室13からピストン上室12の方向のみ油液の流れを許容する。前記伸び側減衰力バルブ16a及び縮み側減衰力バルブ16bなどによりセミアクティブ制御可能な減衰力発生部19を構成している。この減衰力発生部19は、図6(b)に示すような減衰力伸び/縮み反転式の特性を有している。
【0028】ピストン上室12には流路(第8流路)R8を介して給排油弁(第1給排油弁)21aが接続されている。ピストン下室13には流路(第9流路)R9を介して給排油弁(第2給排油弁)21bが接続されている。第1給排油弁21aは、途中にポンプ22を備えた流路(第6流路R6)を介してタンク23(流体供給部)に接続されている。第6流路R6にはチェック弁(第5チェック弁)17eが設けられている。第1給排油弁21aは、さらに、第7流路R7を介してタンク23(流体排出部)に接続されている。第1給排油弁21aは、第8流路R8(ひいてはピストン上室12)に接続したパイロット系路37、ばねなどの弁用付勢手段38及び圧力調整手段39を備えている。パイロット系路37は第8流路R8を介してピストン上室12に連通しているので、第1給排油弁21aは、ピストン上室12の圧力をパイロット圧力として利用することができる。
【0029】第2給排油弁21bは、流路(第10流路)R10を介して第6流路R6に接続されており、ポンプ22を介して油液の供給を受け得るようになっている。第2給排油弁21bは、さらに、流路(第11流路R11)を介してタンク23(流体排出部)に接続されている。第2給排油弁21bは、第9流路R9(ピストン下室13)に接続したパイロット系路37、ばねなどの弁用付勢手段38及び圧力調整手段39を備えている。パイロット系路37は第9流路R9を介してピストン下室13に連通しているので、第2給排油弁21bは、ピストン下室13の圧力をパイロット圧力として利用することができる。
【0030】第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bも前記給排油弁21と同様に、排油モード、遮断モードまたは給油モードに切換えられるようになっている。この場合、制御装置25の制御に代えてパイロット圧力により、自動的にモード切換えを行うようにしている。第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bは、通常時、遮断モードにされている。また、第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bは、パイロット圧力が高いときには排油モードに、またパイロット圧力が低いときには給油モードとなるように構成されている。第1給排油弁21a、第2給排油弁21b、ポンプ22等によりアクティブシステム20が構成されている。
【0031】前記第1アキュムレータ18aは、油圧シリンダ10のピストン14が停止しているときの油圧シリンダ10の圧力を決定するものである。そして、この油圧シリンダ10の圧力を基準(初期圧力)として、第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bが遮断モードとなるように、付勢手段等があらかじめ調整されている。
【0032】次に、第2の実施の形態の作用を説明する。ピストン14が変位する(伸びまたは縮み)と、ピストン14の変位に応じて、減衰力発生部19、第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bが作動される。この場合、ピストン14の伸び行程時の作動状況及び縮み行程時の作動状況は、動作する減衰力発生部19(伸び側減衰力バルブ16aまたは縮み側減衰力バルブ16b)、給排手段(第1給排油弁21aまたは及び第2給排油弁21b)が異なるのみであり、同様な動作状況となる。以下、伸び工程を例にして、作用説明を行う。
【0033】制御装置25は、減衰力発生部19、第1、第2給排油弁21a,21bに同時に信号(指令電流)を送る。そして、第1、第2給排油弁21a,21bは指令電流に応じて図6(a),(c)に示す圧力を発生するようになる。なお、ピストン14が伸び行程ハードのときは、ピストン上室12の圧力と等しい圧力を第1給排油弁21aが発生できるように圧力調整手段39に指令信号を送り、伸び行程ソフトのときは遮断モード(図5)になるように指令信号(指令電流)を送る。
【0034】ピストン14が伸び行程のときに伸び側減衰力バルブ16aが伸び側減衰力ハード(縮み減衰力ソフト)に設定されていれば、第1給排油弁21aの圧力はピストン上室12と等しい圧力になるため、伸び側減衰力バルブ16aによりハード減衰力(伸び側)、ひいては制振力を発生する。すなわち、車体1に対する制振力発生を減衰力発生部19(サスペンション本体)の減衰力調整によりおこなう。このとき、ばね下の突き上げ等によってピストン14が縮み行程に移行したき〔なお、このとき、継続して縮み減衰力ソフトの状態にある〕は、ピストン上室12の圧力が低くなる。この時は、第1給排油弁21aから、ハード減衰力相当の油液が自動的にピストン上室12に流れ込み、減衰力を補償し、所望の制振力を確保する。すなわち、減衰力発生部19の減衰力調整で所望の制振力を得られないときに、第1給排油弁21aが作動して減衰力発生部19に対する流体給排により減衰力(制振力)を発生する。このため、従来のアクティブシステムに比して制振効果を落とすことなく、所望の制振力を得ることができる。
【0035】第1給排油弁21aから油液が油圧シリンダ10に流れ込むと、第1アキュムレータ18aの内圧が上昇していくが、減衰力発生部19に減衰力ソフト指令を送った時に、第1アキュムレータ18aの圧力が初期圧力よりも高い場合には、パイロット圧力が高いことにより、上述したように第1給排油弁21aは自動的に排油モードになり、油液が排出されて第1アキュムレータ18aの圧力は低下する。そして、パイロット圧力が初期圧力に達した時に、上述したように第1給排油弁21aは遮断モードとなるため、排油は終了する。これによって、減衰力ソフト指令時には、第1アキュムレータ18aの初期圧力のみの減衰力となる。通常、減衰力発生部19にはハード/ソフト、ソフト/ハード指令が混在した状態で送られるため、第1アキュムレータ18aの圧力補償も自動的に行われることになる。また、ピストン14が縮み行程のときの作動は、上述したピストン14の伸び行程の際に作動する伸び側減衰力バルブ16a(減衰力発生部19)及び第1給排油弁21a(給排手段)に代えて縮み側減衰力バルブ16b(減衰力発生部19)及び第2給排油弁21b(給排手段)が用いられ、上述したピストン14の伸び行程と同様に行われる。
【0036】上述したように、伸び行程時のばね下の突き上げのときのように、減衰力発生部19(サスペンション本体)が発生する減衰力では所望の制振力を得られないときに第1給排油弁21aまたは第2給排油弁21bを作動しており、第1給排油弁21aまたは第2給排油弁21b(アクティブシステム20)により常時給排油を行う必要がなく、従来技術のアクティブ制御に比してエネルギ消費を抑えることができる。また、減衰力発生部19(サスペンション本体)が発生する減衰力では所望の制振力を得られないときには、第1給排油弁21aまたは第2給排油弁21b(アクティブシステム20)の流体給排により減衰力(制振力)を発生する。このため、従来のアクティブシステム20に比して制振効果を落とすことなく、所望の制振力を得ることができる。ショックアブソーバは、油の圧縮性他の問題よりピストンスピードの小さい領域では減衰力を発生しづらいことが良く知られている。たとえばこのような現象が図9α部のように表れる場合でも、上述の作動によって図9β部のようにアクティブシステムが自動的に補間し、制振効果の劣化を防止できる。
【0037】また、従来技術のアクティブ制御では、ポンプ、アキュムレータ等の各部材には容量の大きなものが必要とされる等のため装置が大型化しているが、これに比して、本実施の形態では、サスペンション本体(減衰力発生部19)が発生する減衰力では所望の制振力を得られないとき(図9時間T)にのみ流体給排手段(第1、第2給排油弁21a,21b)を作動するので、アクティブシステム20を構成する各部材の容量を必要最小限に抑えることができ、かつ各部材(ポンプ22、アキュムレータ、第1、第2給排油弁21a,21b)を車輪毎に設置することが可能となり、従来技術のアクティブ制御で車両内に設置していた多くの油圧配管を廃止することができる。また、装置の小型化及び車両への搭載性の向上を図ることができる。
【0038】また、第1給排油弁21a及び第2給排油弁21bが、パイロット圧力に応じて排油モード及び給油モードに自動的に切換えられるようになっていて、その分、制御装置25の演算が少なくなるので、制御装置25ひいてはサスペンション制御装置25の構成が簡略化されるようになる。
【0039】なお、上記各実施の形態では、給排油弁21(流体給排手段)が流量制御弁である場合を例にしたが、これに代えて圧力制御弁を設けるようにしてもよい。また、上記各実施の形態では、スカイフックダンパ理論に基づくスカイフックダンパ5の減衰力値と等価の減衰力が発生するように構成しており、車体1の振動抑制をより適切に行うことが可能になる。なお、このようにスカイフックダンパ理論に基づくスカイフックダンパ5の減衰力値と等価の減衰力が発生するように構成するのに代えて、他の理論に基づいて得られる大きさの減衰力を発生するように構成してもよい。また、上記実施の形態では流体が油液である場合を例にしたが、これに限らず他の流体であってもよい。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、サスペンション本体の減衰力調整で所望の制振力を得られないときに前記流体給排手段からの前記サスペンション本体に対する流体給排により制振力を発生しており、アクティブシステムにより常時給排油を行う必要がなく、従来技術のアクティブ制御に比してエネルギ消費を抑えることができると共に、所望の制振力を確保して従来技術のアクティブシステムと同等の制振効果を維持できる。さらに、従来技術のアクティブシステムで用いられたポンプ等の部材に比して、ポンプ等の部材を小型軽量にでき、ひいては装置の小型軽量化及び車両への搭載性の向上を図ることができる。請求項2記載の発明によれば、制御手段による制動をスカイフックダンパ理論に基づいて行うので、車体の振動抑制をより適切に行うことが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000003056
【氏名又は名称】トキコ株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2001−10324(P2001−10324A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−186130