| 【発明の名称】 |
非鉄金属材料の加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 敦也
【氏名】中村 隆
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| 【要約】 |
【課題】精度が良く、加工品の変色、腐食が無く、爆発、火災の恐れが無く、経済的で、環境に対する負荷の少ない非鉄金属又は非鉄金属合金の加工方法を提供すること。
【解決手段】通常のスプレーと同じ原理を用い、エアの吸入口に近い側で油を吸い込み、また、吐出口に近い側で水を吸い込むことにより表面が油膜で覆われた水滴を発生させ、これを非鉄金属または非鉄金属合金の切削、研削、圧延、引き抜き、プレス、鍛造等の加工を行うときに加工場所に供給する。また、上記非鉄金属又は非鉄金属合金は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタニウム、チタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工する非鉄金属又は非鉄金属合金の加工方法。 【請求項2】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工するアルミニウム又はアルミニウム合金の加工方法。 【請求項3】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工するマグネシウム又はマグネシウム合金の加工方法。 【請求項4】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工する銅又は銅合金の加工方法。 【請求項5】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工するチタニウム又はチタニウム合金の加工方法。 【請求項6】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工するニッケル基合金の加工方法。 【請求項7】 表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工するコバルト基合金の加工方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄金属材料の切削加工、研削加工、及び圧延加工、引抜き加工、プレス加工、鍛造加工等の塑性加工方法に関し、特にマグネシウム及びマグネシウム合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、チタニウム及びチタニウム合金、銅及び銅合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等の加工方法に関する。 【0002】 【従来の技術】切削加工において、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びこれらの合金は、加工の容易な材料といわれていた。しかし、実際には融点が低く、溶着や、むしれが起こりやすい材料であり、潤滑、冷却の為、主に水溶性切削油剤を低圧で多量に供給し加工が行われていた。チタニウム及びチタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金は、一般に難削剤といわれ、熱伝導係数が低く金属活性が高いという性質を持っている。この為、工具刃先の熱劣化、チッピングが起こりやすく、主に水溶性切削油剤を低圧、または高圧で供給し、この問題に対処していた。水溶性切削油剤は、pHが高いため、これを用いてアルミニウム及びアルミニウム合金を切削加工すると、切削加工品の腐食、変色により、商品価値が無くなるというトラブルが多発していた。切削加工品の腐食、変色を抑える添加剤も種々開発されているが、根本的な解決には至っていない。 【0003】マグネシウム及びマグネシウム合金についても、加工品の変色、腐食により、商品価値が無くなるというトラブルが多発していた。また、加工時にマグネシウムが水中に溶出して、油剤中の成分と反応し、水に不溶のマグネシウム石けんを生成し、油剤のバランスが崩れて油水が分離するため、油剤の寿命が短く、頻繁な交換が必要とされるという問題もあった。さらに、マグネシウム及びマグネシウム合金は、切屑と、水が反応し、水素ガスが発生し、これが爆発し、さらに火災を起す恐れもあった。 【0004】銅及び銅合金についても加工品の黒色変色や、緑青の発生などの腐食、変色に関するトラブルが多発していた。腐食、変色を抑える添加剤も種々開発されているが、根本的な解決には至っていない。一方、チタニウム及びチタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金は、熱伝導性が低いため、加工時の熱が外部に排出されず、加工点に集中する。この事により、工具が軟化するため、他の金属材料の切削加工に比べ工具寿命が短いという問題がある。また、チタニウム及びチタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金は、化学的活性が強く、溶着しやすいため、工具刃先にチッピングを起こしやすい。切削速度を落とせば工具寿命は長くなるが、生産性が極めて悪くなる。 【0005】また、水溶性切削油剤を使用した加工では、水溶性切削油剤希釈液の腐敗、硬度上昇等による油水分離等の液劣化が起こり、加工性能の低下、被削材の変色、錆の発生等の問題が起こり、全液の交換(更液という)をしなければならなかった。この時排出される廃液は、環境負荷の点からも問題となっていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は、上記問題点が軽減ないし解消された非鉄金属材料の加工方法、すなわち、精度が良く、加工品の変色、腐食が無く、爆発、火災の恐れが無く、経済的で、環境に対する負荷の少ない非鉄金属又は非鉄金属合金の加工方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、表面が油膜で覆われた水滴をエアーにより供給しながら加工する非鉄金属又は非鉄金属合金の加工方法を提供するものである。本発明方法を適用するのに適した非鉄金属又は非鉄金属合金としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタニウム、チタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等が挙げられる。本発明の加工方法には、切削加工、研削加工、及び圧延加工、引抜き加工、プレス加工、鍛造加工等の塑性加工方法が含まれる。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の方法を実施するための、表面が油膜で覆われた水滴の供給装置としては、例えば図1に示すような装置が挙げられる。通常のスプレーと同様の原理を用いて、水滴の表面に油膜を形成した微粒子からなるミストとする。この時、エアーの吸入口側に近い側で油を吸込み、吐出口側に近い側で水を吸込むことにより、水滴上に効率良く油膜を付けることができる。尚、本発明に使用する油膜付きミストの供給装置及び方法は上記の装置及び方法に限定されるものではない。 【0009】この方法には以下に示す2つの優れた特徴がある。 ■加工点、及びその近傍の摩擦箇所(すくい面と切屑間、及び、逃げ面と被削材間)には効率良く潤滑油が供給され、ミストの蒸発熱により効率良く冷却が行われる。 ■加工点より新たに現れる面(新生面)には水ではなく油が最初に付着する。加工面、切屑は油皮膜に覆われた状態になる。 【0010】アルミニウム及びアルミニウム合金の切削加工では、■の理由により、加工精度が良く、むしれ、溶着の無い、良好な仕上げ面を実現できるだけでなく、■の理由により、加工面の変色が無く、商品価値を失う心配が無い。マグネシウム及びマグネシウム合金の切削加工では、■の理由により、加工精度が良く、むしれ、溶着の無い、良好な仕上げ面を実現できるだけでなく、■の理由により、加工面の変色が無く、商品価値を失う心配が無い。さらに■の理由により切屑と、水が反応することが無くなり、水素ガスが発生せず、爆発、火災の心配が無くなる。また、水溶性の切削油剤と違い、油水の分離を起こすという問題も無い。 【0011】銅及び銅合金の切削加工では、■の理由により、加工精度が良く、むしれ、溶着の無い、良好な仕上げ面を実現できるだけでなく、■の理由により、加工面の変色が無く、商品価値を失う心配が無い。チタニウム及びチタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金では、■の理由により、冷却が効率良く行われ、潤滑油の供給の効率も良い為、摩擦熱の発生自体も少なくなる。また■の理由により、油膜が活性な表面を覆うため、チッピングも防止できる。よって切削速度を大幅に低下させる事無く、工具寿命の延長と、精度の良い加工が実現できる。 【0012】油の使用量はノズル1本につき、1時間当り0.5〜20ml、好ましくは1〜10ml程度の極微量で良く、環境負荷も少なく、経済的にも有利である。本発明の方法に使用する油は、潤滑性、新生面への吸着性、変色、腐食防止性、さらには生分解性の点から、エステル油類が最も好ましい。エステル油は分子内に極性基を持っており、金属表面に潤滑性の良好な吸着膜を造る為、金属と反応して変色や、腐食を起こすことがない。水の使用量はノズル1本につき、1時間当り500〜2000ml、好ましくは800〜1500ml、例えば、1000ml程度である。使用する水は普通の水道水や、工業用水で良い。 【0013】エアーの供給量は、1分間に25〜250L程度、好ましくは50〜100L程度が適当である。さらに本発明の加工方法では環境負荷の少ないエステル油類を極少量使い切りで使用することが望ましい。こうすることにより、水溶性切削油剤を使用した従来の加工における問題、すなわち、水溶性切削油剤希釈液の腐敗、硬度上昇等による分離等の液劣化、これに起因した加工性能の低下、被削材の変色、錆の発生、水溶性切削油剤希釈液の廃液の環境負荷問題等も軽減ないし解決することができる。 【0014】 【実施例及び比較例】表1に示す処方、条件でアルミニウム合金を切削しその切削性を評価した。またマグネシウム合金に対する変色性を評価した。実施例1及び2では、表面が油膜で覆われた水滴をエアーで供給した。比較例1及び2ではそれぞれ、水のみ、油のみをミストとして供給した。比較例3及び4では、エマルション(5質量%)を吐出圧1kg/cm2、供給量6L/minで供給した。実施例1及び比較例2では協同油脂株式会社製エステル系不水溶性切削油S-35を用い、実施例2では協同油脂株式会社製エステル系不水溶性切削油S-15を用いた。 【0015】A.アルミニウム合金の切削性アルミニウム合金のエンドミルupカッティングにより切削性の評価を行った。切削抵抗の送り分力FH(N)が、比較例3の市販エマルションJIS W1種-2号よりも低かったものを合格とする。 切削条件工具 :超硬 二枚刃被削材 :A6063S(30×150×200mm) 切削速度 :203m/min送り :0.095mm/rev半径切り込み:6mm軸切り込み :9mm【0016】B.マグネシウム合金の変色性マグネシウム合金(AZ91)の変色性を評価した。吐出口より200mmの所にAZ91板(1×25×50mm)を設置し、10秒間ミストまたはエマルションを供給する。室温で24時間放置し、自然乾燥させた後の表面を観察する。黒色変色や、色むらの無いものを合格(〇)とし、他を不合格(×)とする。以上の結果を表1にまとめて示す。 【0017】 【表1】表1 【0018】表1の実施例及び比較例の結果から、表面が油膜で覆われた水滴をエアーで供給する本発明の加工では、アルミニウム合金の切削抵抗がエマルションJIS W1種-2号(比較例3)より低く、マグネシウム合金の変色も無い事が分かる。これに対して、水のみのミストを用いた比較例1では潤滑不足のため、また、油剤のみのミストを用いた比較例2では冷却不足のためいずれもアルミニウム合金の切削抵抗が高い。比較例3及び4の従来のエマルションは実施例1よりアルミニウム合金の切削抵抗が大きく、比較例4ではマグネシウム合金の変色も認められた。 【0019】 【発明の効果】本発明によれば、非鉄金属材料、特にマグネシウム及びマグネシウム合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、チタニウム及びチタニウム合金、銅及び銅合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等の切削加工、研削加工、及び圧延加工、引抜き加工、プレス加工、鍛造加工等の塑性加工を効率的に行うことができる。アルミニウム及びアルミニウム合金では精度が良く、変色、腐食が無い、効率的な切削加工が可能となる。マグネシウム及びマグネシウム合金では精度が良く、変色、腐食が無い、効率的な切削加工が可能となる。また、爆発、火災の恐れの無い切削加工が可能となる。銅及び銅合金では精度が良く、変色、腐食が無い、効率的な切削加工が可能となる。チタニウム及びチタニウム合金、ニッケル基合金、コバルト基合金では、切削速度を落とすことなく、精度が良く、工具寿命の長い切削加工が可能となる。また、油剤使用量も微量であり、経済的で、環境に対する負荷も少ない加工を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000162423 【氏名又は名称】協同油脂株式会社 【識別番号】500092756 【氏名又は名称】中村 隆
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| 【出願日】 |
平成12年2月25日(2000.2.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059959 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 稔 (外9名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−239437(P2001−239437A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月4日(2001.9.4) |
| 【出願番号】 |
特願2000−49539(P2000−49539) |
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