| 【発明の名称】 |
モリブデン製坩堝とその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小山 茂樹
【氏名】蓮野 伸一
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| 【要約】 |
【課題】歩留まり良くしかも容易に作製できるモリブデン製坩堝とその製造方法とを提供すること。
【解決手段】高融点金属酸化物等を溶融させる坩堝形状品において、純分が99.6%以上のモリブデンから成り、実質的に焼結によってのみ形成され実用上での耐久性に優れている。このモリブデン製坩堝を製造するには、ゴム製容器10内に純分が99.6%以上のモリブデン粉末と、金属中子1とを、この金属中子1が粉末4の中心に配されるように装填し、CIP処理して粉末成形体を得る工程と、前記粉末成形体から前記金属中子を離脱して焼結する工程とを含む。この金属中子1は、CIP処理後の粉末成形体の離脱を容易に出来、且つその後の焼結時での形状歪み・亀裂発生の危険性を回避出来るように分割式の形態に構成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高融点金属酸化物等を溶融させる坩堝形状品において、純分が99.6%以上のモリブデンから成り、実質的に後に加工工程の無い焼結によってのみ形成されていることを特徴とするモリブデン製坩堝。 【請求項2】 請求項1記載のモリブデン製坩堝において、内径が80mm以上の坩堝で、底部コーナー形状がR10〜25mmで且つ立ち上がり胴部が鉛直で、実質的に後工程の無い焼結によってのみに形成され、密度が9.8g/cm3以上を有することを特徴とするモリブデン製坩堝。 【請求項3】 請求項1又は2記載のモリブデン製坩堝を製造する方法において、ゴム製容器内に純分が99.6%以上のモリブデン粉末と、金属中子とを、この金属中子が粉末の中心に配されるように装填し、CIP処理して粉末成形体を得る工程と、前記粉末成形体から前記金属中子を離脱して焼結する工程とを含み、前記金属中子は、CIP処理後の粉末成形体の離脱を容易に出来、且つその後の焼結時での形状歪み・亀裂発生の危険性を回避出来るように分割式の形態に構成されていることを特徴とするモリブデン製坩堝の製造方法。 【請求項4】 請求項3記載のモリブデン製坩堝の製造方法において、前記金属中子として、実質的に外円筒面を備え、モリブデン圧粉体と中子の分離を容易にするための中子の外周面にテーパー面を持たないものを用いることによって、胴部が鉛直形状の圧粉体を作製し、実質的な坩堝内面の形状修正加工を無くして製造出来ることを特徴とするモリブデン製坩堝の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高融点金属からなる坩堝に関し、詳しくは、高融点の金属酸化物等の溶融用途に利用される高融点金属であるモリブデン製坩堝に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、モリブデン製品は、粉末冶金法にて作製される。その方法とは、粒径3〜10μmの金属モリブデン粉末を棒形状や板形状のゴム容器に入れ、CIP(静水圧プレス法)で圧粉体を作り、水素雰囲気または真空中にて1800〜2000℃で焼結を行う。その後、圧延・転打等の塑性加工を施してモリブデン製品を作製する。 【0003】従来、モリブデン製坩堝製品は、粉末冶金の製法を基に、大きく分けて、次の(i)塑性加工による方法,(ii)焼結による方法の2通りの製法がある。 【0004】まず、塑性加工品の場合には、焼結されたモリブデンインゴットを熱間圧延加工して厚さ8〜15mmのモリブデン(Mo)板を作る。そのモリブデン板を熱間加工して、図4に示すように、椀状にする。その後、符号52に切除部分として示すように、表面の外削(黒皮を切除する)し、所望の胴部立ち上がり鉛直性や底部コーナ−R形状の確保をする。熱間加工は、鍛造若しくは紋り加工のいずれかによるが、両者は特性やコスト的に同一である。この塑性加工品においては、以下に述べる従来方による焼結品に比べ歩留まりが良いという利点を備えている。 【0005】一方、焼結品は、CIPによって作製された圧粉体を、水素雰囲気で焼結しその後、塑性加工を施さずに、内外面を切削加工するものである。この焼結品は、生産性が良く、結晶粒が巨大化しないので、品質が良く、且つ塑性加工が無い分だけ、コストが安いという利点を有する。 【0006】従来において、内径80mm以上のモリブデン製坩堝製品は、前者の塑性加工による方法を用いており、焼結されたモリブデンインゴットを熱間圧延加工して厚さ8〜16mmのモリブデン板を作り、そのモリブデン板を熱間絞り成形加工か熱間鍛造加工して椀状にし、最終工程では表面の外削(黒皮を切除)して、所望の胴部立ち上がり鉛直性や底部コーナ−R形状の確保をすることによって作製されている。 【0007】但し、内径80mm未満のモリブデン製坩堝製品は、熱間鍛造加工等を施した円筒状のモリブデンブロックを切削して作製した方が安価な為、通常は椀状に熱間塑性加工しての作製は行われていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、塑性加工品は、熱間圧延加工により作製されたMo板を、熱間絞り成形加工か熱間鍛造加工して椀状にし、内外面を切削加工して作製している。この熱間較り加工と熱間鍛造加工によるモリブデン製坩堝製品は、両者とも性能的に同一のものである。 【0009】しかし、図4に示すように、クロスのハッチングで製品部分51が示されているが、ハッチで示すように鍛造坩堝素材50には切除部分52が多く、加工品はモリブデン板を熱間鍛造した後に立ち上がり部が鉛直とならない。したがって、製品の底の部分のR寸法を大きくとらなければならなかった。さらに、これら塑性加工工程は、製品1個あたり工程時間が多くかかり、大量生産工程ではないので、生産性が悪いこと、加工時の割れの可能性があり、品質が良くないこと、結果的にコストが高くなる原因の1つであった。また、熱間加工による為、作業環境上での作業者への配慮が欠かせず面倒な工程と言える。 【0010】また、具体的に、塑性加工法によるモリブデン製坩堝製品は、2000℃或いはそれ以上の高温使用時に、2次再結晶を起こし、その時の結晶粒径が最大100mm位に成長してしまう。結晶粒径が大きくなり、その粒界が坩堝内面から外面まで達してしまうと高融点の金属酸化物を溶融した際に、結晶粒界部分から溶湯が漏れだして坩堝寿命が短くなる。 【0011】一方、焼結品の製法は、CIPにより作製された圧粉体を、水素雰囲気で焼結しその後、塑性加工を施さずに、内外面を切削加工する方法である。この製法は、前述の塑性加工品のようなモリブデン板材に加工して更に坩堝形状に加工する一連の工程を省略することにより、コストパフオーマンスに優れているという利点を備えている。具体的には、ゴム容器内に金属中子及び粉末を装填した後、上下を硬質ゴムで覆い、CIPによって圧粉体を得、この圧粉体を焼結する方法である。 【0012】しかし、モリブデン粉はプレス成形時に割れや欠けが生じ易く、いわゆるプレス成形性の悪い粉末であり、特に、坩堝形状製品の場合はCIP後に圧粉体が割れたり圧粉体と中子が分離しにくかったりする。それ故、中子を使用する場合は、中子の長さ方向のテーパーを3%以上付けて、即ち、円錐台形状にして、プレス後に圧粉体と中子を分離し易くし、さらに焼結後のサイズを製品寸法よりも大きめにして内外面を切削していた。その時の歩留まりは、30〜60%程度と悪かった。尚、ここで述べたテーパーの数値は、中子の上下径差と長さの比の事である。 【0013】この中子のテーパーが大きければ大きい程、CIP後に圧粉体と中子が分離しやすい傾向にあるが、後の工程で鉛直に修正する量が増えてしまうので極力小さい方が良い。 【0014】しかしながら、前述したように、3%未満のテーパーを有する中子を用いた場合、圧粉体と中子が分離しにくい場合が生じる。 【0015】そこで、本発明の一技術的課題は、歩留まり良くしかも容易に作製できるモリブデン製坩堝とその製造方法とを提供することにある。 【0016】また、本発明の他の技術的課題は、焼結品でありながら塑性加工品と同等のレベル品質と、寿命とを備えたモリブデン製坩堝とその製造方法とを提供することにある。 【0017】 【課題を解決するための手段】この発明では、塑性加工を行わない焼結製品による実用性に優れたモリブデン製坩堝製品を発明したものである。また、焼結製品のモリブデン製坩堝は、工程上密度不安定さによる問題があって利用されなかったが、本発明では、CIP工程の方法を変えること、及び純分の制約並びにその結果得られた所定の密度を保持させる事によって、原料粉末の歩留まりを向上させ、塑性加工品と同等レべルの品質・寿命を有するモリブデン製坩堝を発明するに至ったものである。 【0018】本発明によれば、高融点金属酸化物等を溶融させる坩堝形状品において、純分が99.6%以上のモリブデンから成り、実質的に後に加工工程の無い焼結によってのみ形成されていることを特徴とするモリブデン製坩堝が得られ、この坩堝は、実用上での耐久性に優れているものである。 【0019】また、本発明によれば、前記モリブデン製坩堝において、内径が80mm以上の坩堝で、底部コーナー形状がR10〜25mmで且つ立ち上がり胴部が鉛直で、実質的に後工程の無い焼結によってのみに形成され、密度が9.8g/cm3以上を有することを特徴とするモリブデン製坩堝が得られ、この坩堝は、実用上での耐久性に優れているものである。 【0020】また、本発明によれば、前記いずれかのモリブデン製坩堝を製造する方法であって、ゴム製容器内に純分が99.6%以上のモリブデン粉末と、金属中子とを、この金属中子が粉末の中心に配されるように装填し、CIP(静水圧プレス法)処理して粉末成形体を得る工程と、前記粉末成形体から前記金属中子を離脱して焼結する工程とを含み、前記金属中子は、CIP(静水圧プレス法)処理後の粉末成形体の離脱を容易に出来、且つその後の焼結時での形状歪み・亀裂発生の危険性を回避出来るように分割式の形態に構成されているモリブデン製坩堝の製造方法が得られ、モリブデン製坩堝を、工業的に安価に製造出来るモリブデン製坩堝の製造方法を提供することができる。 【0021】また、本発明によれば、前記モリブデン製坩堝の製造方法において、前記金属中子として、実質的に外円筒面を備え、モリブデン圧粉体と中子の分離を容易にするための中子の外周面にテーパー(中子の上下の径差を付けること)面を持たないものを用いることによって、胴部が鉛直形状の圧粉体を作製し、実質的な坩堝内面の形状修正加工を無くして製造出来ることを特徴とするモリブデン製坩堝の製造方法が得られる。 【0022】ここで、本発明において、モリブデン製坩堝の密度を、9.8g/cm3と限定したのは、9.6〜9.7g/cm3の場合、底部コーナ−Rにおいて、長時間使用すると亀裂が入り易く実用性に難点があり、少なくとも9.8g/cm3以上の密度で良い結果の得られることが判明したからである。 【0023】また、9.8g/cm3未満の密度の場合、先述の方策を施しても、使用によって直ぐには主な寿命の終結となる亀裂の発生は診られなかった。しかし、従来の寿命に比べ同等もしくは10〜15%の長寿命の得られる事もあったが、場合によって20〜35%の短寿命品の発生する事もあり充分安定していなかった。 【0024】また、本発明において、モリブデンの純度を99.6%と限定したのは、特に不可避の不純物の含有は、本発明の成果にことさら有害とは言えないが、0.5〜0.6%の不純物を含有する場合、実験結果によると含有不純物がモリブデンと激しく反応したり、不純物の影響でモリブデン粒子の成長を大きく加速する場合もあり、99.6%以上の純分を有するモリブデン材料の使用が適している事が判明したからである。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0026】図1は本発明の実施の形態によるモリブデン製坩堝を製造するためのCIP工程に用いられる容器を示す図である。図1を参照すると、容器10は、一端が封じられた円筒形状のゴム容器本体2と、底側に硬質ゴムからなる台座円板3と、それに一端が埋設された中子1と、内部に充填されたモリブデン粉末4を加えた後に上に設けられる同じく硬質ゴムからなる円板3′とを備え、この中子1を中心において、モリブデン粉末4を一対の円板によって挟み込む構成である。この中子1が異なる他は、従来技術によるものと同様な構成である。 【0027】図2は図1の容器中に配置された中子1を示す斜視図である。また、図3(a)は図2の中子の平面図、図3(b)は図3(a)のIIIB−IIIB線断面図、図3(c)は図3(a)のIIIC−IIIC線断面図である。図2に示すように、中子1は、5つの分割された分割中子であり、中心の楔型部品11と、外側の第1及び第2の外郭部品12,13を夫々備えている。 【0028】図3(a)、(b)、及び(c)に示すように、中心部分の分割中子は楔形状を備えた楔型部品11であり、その他の分割中子である外郭部品12,13における楔形状の分割中子11の側面に対応する部分は、この分割中子の中心軸方向に対して傾斜して形成されている。また、横断面において、第1の外郭部品12,12は内側よりも外側が大きくなるように形成されている。 【0029】また、本発明では、CIPの方法を従来と変えることによって、歩留まりを向上させ、塑性加工品と同レベルの品質を有するモリブデン(Mo)坩堝製品を考え出した。即ち、この歩留まりを向上させることは、高価なモリブデン粉末の消費を抑えることにより、資源及び工場総益の点からも大切な事であった。 【0030】一般に、モリブデン(Mo)坩堝形状製品のCIP方法は、金属製中子を中心に立てて行われる。 【0031】また、本発明では、CIP工程後にモリブデン圧粉体と中子が分離しない現象を改善するために、CIP工程時に分割形式の中子を使用した。この分割式中子を用いると、CIP後に、圧粉体を崩さずに容易に取り外すことができ、焼結の前に圧粉体外径を僅かに修正するのみで成形して焼結製品とすることができる。 【0032】次に、本発明の実施の形態によるモリブデン製坩堝の製造方法について具体的に説明する。 【0033】図1を参照すると、天然ゴムもしくはネオブレンゴム製のゴム容器本体(シヨア硬度50〜60度)2に中子1を入れる。その分割式中子1は、硬質ゴム製の台座円板(シヨア硬度65〜75度)3により固定されている。モリブデン粉末4をその隙間に充填し、その充填密度は、2.5〜3.5g/cm3にする。この密度は、モリブデン粉末のかさ密度が約7〜9g/cm3であり粉末充填体が均一な充填密度分布となる領域である。 【0034】上部には、硬質ゴム製の円板(シヨア硬度65〜75度)3′を敷いておいて、ゴム容器10は、開口部5をテープや金具を締め付けたりして密封する。 【0035】図2及び図3(a)及び(b)に示すように、中子1は、ステンレス鋼等の変形しにくい硬質金属材質にする。分割式中子1は、外側に分割式中子のそれぞれ2対の外郭部品12、12及び13、13と中心の楔形部品11とからなる3種類の5つの部品によって構成されている。 【0036】坩堝型製品をCIPした後は、圧粉体から中子が抜けにくいが、この分割式中子1は、中央の楔形部品11が容易に抜きだせる。したがって、前述のように中子の外周面に長さ方向のテーパー(上下径差と長さの比)はほとんど付ける必要が無く、坩堝形状圧粉体から中子1は容易に抜き出せる。 【0037】抜き出し後の圧粉体は、内面の修正はほとんど必要なく、外面をサンドペーパー等で削るのみで良い。 【0038】また、底部R寸法は、従来のように大きくする必要がなく、容積を大きくとる事が可能になった。また、圧粉体を成形するために、粉末を充填し密閉された容器は、圧力100〜200MPaでCIPが行われる。 【0039】続いて、通常の焼結が行われ、製品となる。 【0040】以上の方法により得られた、内径φ150mm、肉厚12mm,底部R17mm)密度9.97g/cm3、純度99.9%のモリブデン製坩堝において、不活性ガス中、2000℃の条件で高融点金属酸化物の溶融坩堝として使用した場合、寿命で約1.6倍の成果が得られた。 【0041】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、熱間塑性加工を施さないので、工程が短縮できる。この塑性加工工程を省略出来るため、製造コストが削減される上、厚い肉部の部位による結晶組織の安定したモリブデン製坩堝とその製造方法が得られる。また、製品の歩留まりも向上するので、従来法よりも安価なモリブデン製坩堝製品を提供することが出来る。ここで、製造上の歩留まりを上げることは、稀少金属かつ高価なモリブデン粉末の消費を抑えることになり、資源及び工場総益の点からも有益である。 【0042】また、本発明によれば、寿命の長いモリブデン製坩堝を提供することができる。 【0043】また、加工品は一個当たりの作業工程に時間がかかる上、熱間加工による為、作業環境上での作業者への配慮が欠かせず面倒な工程と言えるが、本発明においては、バッチあたりの生産量が工場のプレス・焼結能力にのみ依存するので生産性に優れたモリブデン製坩堝とその製造方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000220103 【氏名又は名称】株式会社アライドマテリアル
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| 【出願日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071272 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−323302(P2001−323302A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月22日(2001.11.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−142751(P2000−142751) |
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