トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金




【発明の名称】 金属、合金ならびに金属間化合物系材料の再生および改質に関する処理技術
【発明者】 【氏名】町田憲一

【氏名】足立吟也

【氏名】野口健児

【氏名】濱口 優

【要約】 【課題】酸化劣化を受けた金属、合金および金属間化合物系磁性材料、水素吸蔵材料の廃棄物の表面または界面を還元あるいは揮発除去することで再生、改質する方法を提供する。

【解決手段】金属、合金および金属間化合物系材料の表面または界面に生成した劣化部位(酸化物など)を、その成分金属よりも卑な金属により還元する。また、成分金属のハロゲン化物、水素化物等を減圧下または高温下で揮発除去する。さらに、材料を構成する金属成分を再導入することにより、材料を構成する金属、合金および金属間化合物が再生され、材料機能が回復する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸化等により性能あるいは機能低下を受け易い金属、合金ならびに金属間化合物系材料の表面または界面に生じた劣化部位を、材料の成分と同種の金属あるいは当該成分以外の異種金属、またはこれらの金属の化合物から供給される一種あるいは二種以上の蒸気または融液との反応を利用して還元または除去することで再生する方法、ならびに蒸気あるいは融液中の金属成分を表面または界面に析出および合金化(ここでは収着と称する)させることで改質する方法。
【請求項2】請求項1において、希土類金属等のレアメタルを主要成分とする合金および金属間化合物材料の表面または界面の劣化部位を、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族および第4族元素の金属、遷移金属または希土類金属から供給される一種あるいは二種以上の蒸気または融液との反応を利用して還元または除去することで再生する方法、ならびに蒸気あるいは融液中の金属成分を収着させることで改質する方法。
【請求項3】請求項1において、希土類金属等のレアメタルを主要成分とする合金および金属間化合物材料の表面または界面の劣化部位を、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族および第4元素の金属、遷移金属または希土類金属のハロゲン化物、水素化物、低原子化酸化物等の化合物から供給される一種あるいは二種以上の蒸気または融液との反応を利用して還元または除去することで再生する方法、ならびに蒸気あるいは融液中の金属成分を収着させることで改質する方法。
【請求項4】上記の請求項において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族および第4族元素の金属、遷移金属ならびに希土類金属から供給される一種あるいは二種以上の蒸気または融液を密封容器内で効果的に発生させる方法。
【請求項5】上記の請求項において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3族および第4族元素の金属、遷移金属ならびに希土類金属のハロゲン化物、水素化物、低原子化酸化物等の化合物から供給される一種あるいは二種以上の蒸気または融液を密封容器内で効果的に発生させる方法。
【請求項6】上記の請求項2および3において、希土類金属等のレアメタルを主要成分とする合金および金属間化合物材料が R-Fe-B 系、R-Co 系 ならびに R-Fe-N 系磁性材料(R=希土類)である場合。
【請求項7】上記の請求項2および3において、希土類金属等のレアメタルを主要成分とする合金および金属間化合物材料が R-Ni 系、R-Co 系 ならびに R-Fe系水素吸蔵性材料である場合。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高性能希土類磁石、ニッケル−水素二次電池用負極などとして使用される水素吸蔵合金、等を与える酸化劣化を受け易い金属、合金および金属間化合物の製造過程ならびに使用済みの製品から大量に発生する廃棄物等に対する効率的なリユースならびにリサイクル技術に係わる。すなわち、酸化等により材料機能が低下した上記の金属、合金および金属間化合物廃棄物の表面または界面に生じた劣化部位を、更に卑な金属で還元し再生する技術、易揮発性の化合物に変換し減圧または加熱下で除去し再生する技術、および新たに金属成分を収着させ更に材料機能を向上させる改質技術に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類磁石、水素吸蔵合金等の開発ならびに製品化に関する技術は、現在我が国のものが最も高く、従ってこれらの材料のリユースやリサイクル技術も最も進んでいると判断される。
【0003】ここで、上記の廃棄物に対する現行のリサイクルは、主要成分である希土類金属が酸化劣化を受け易いために以下の2つのやり方、すなわち、(1) 廃棄物を酸等の溶液中で溶解し、各成分を化学的な方法で分離、回収する方法、および(2)還元あるいはフラックス溶融により再度原料インゴットとする方法により行われている。しかしながら上記のうち前者の方法では、主要成分である希土類金属をイオンの状態まで酸化してしまうため、再度還元する必要があること、また後者の方法では仮に品位のよい廃棄物を中心に溶融し原料インゴットとして再生できたとしても、やはり酸素等の不純物の除去が必要となることなどにより、上記の材料として再利用するには多大のコストとエネルギーを必要とする欠点を有している。また、上記廃棄物をそのまま利用するリユース技術はほとんど試みられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、我が国の希土類磁石、水素吸蔵合金、等に関する研究水準は諸外国に比べ高いと判断される。しかしながら、その製造工程、使用済み機器の回収、等において膨大な廃棄物が生じ、これらの効率的なリサイクル技術が未だ確立されていないため、製品コスト低減や社会問題の解決の大きな妨げとなっている。特に、希土類関連の製品に関しては、原料の安い中国からの輸入により、今後はさらに価格面で競争力を付ける必要がある。従って、希土類磁石、水素吸蔵合金、等の廃棄物の高度リサイクル技術は、資源の有効利用だけでなく、近年低下しつつある我が国の磁石市場の競争力を強化できる点からも極めて重要であると共に、電子機器等の性能の向上にも寄与するものと見込まれる。
【0005】また、希土類磁石や水素吸蔵合金はレアメタル元素の塊であるだけでなく、還元精製の困難な希土類金属等から成り立っているために、その製造に当たっては多大のエネルギーを投入する必要がある。そのため、廃棄物の品位に応じて出来るだけ効率的に材料機能を再生し、リユースする技術を確立する必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】金属、合金および金属間化合物系材料の表面または界面に生成した劣化部位(酸化物など)は、その成分金属よりも卑な金属により還元される。そこで、そのような卑金属の蒸気または融液を形成させ、廃棄物固体の表面または界面と密着、反応させることで、酸化物等の劣化部位が還元され材料機能は回復する。また、材料を構成する成分金属のハロゲン化物、水素化物等は減圧下または高温下で揮発除去され、これによっても材料機能は回復する。
【0007】さらに、材料を構成する金属成分を上述と同様に蒸気または融液の形で導入(収着)することにより、材料を構成する金属、合金および金属間化合物の表面または界面に新物質相が形成される。生成した物質相は、収着させる金属等を選ぶことで高い保磁力や触媒能を発揮し、これにより材料機能は効果的に向上する。
【0008】本発明は、上述した卑な金属あるいは材料の構成成分金属またはこれらの化合物の蒸気を効率的に発生させることで材料機能の効果的な回復または向上を促し、金属、合金および金属間化合物系材料廃棄物のリユース、リサイクルに貢献する。
【0009】
【作用】本提案では、レアメタルの塊とも言うべき希土類磁石、水素吸蔵合金、等の廃棄物に対する効率的なリユースならびにリサイクルに効果がある。これによりレアメタルの再資源化が容易となり、国際情勢の変化によるそれらの価格変動の影響を低減できる。また、即効が期待できる例としては、希土類焼結磁石の製造過程等で発生する膨大な量の希土類廃棄物を付加価値に高い希土類ボンド磁石として再利用できることから、磁石全体の製造価格を下げることが可能となる。
【0010】
【実施例1】Nd-Fe-B系希土類磁石破棄物粉末の表面を部分的にハロゲン化したのち、これらを減圧容器に入れCa 金属あるいは希土類金属蒸気を高周波誘導加熱方式により効果的に発生させると共に磁石粉末表面上に均一に収着させ(図1参照)、これにより表面に存在する酸化物層を揮発除去あるいは還元再生し、粉末の磁化ならびに保磁力は再利用可能なレベルまで回復した。これにより、品位の比較的高い希土類磁石廃棄物粉末は、再溶解やインゴットの粉砕を経ることなく、それら本来の磁気特性に近い状態まで再生され、希土類ボンド磁石等として再利用することができる。
【0011】La-Ni系金属間化合物廃棄物粉末を La-Ca 系合金属粉末と混合、成形したのち、1000℃付近で加熱することで、その水素吸蔵能の回復に効果がみられた。
【出願人】 【識別番号】300011416
【氏名又は名称】町田 憲一
【識別番号】391054626
【氏名又は名称】足立 吟也
【出願日】 平成12年5月11日(2000.5.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−316705(P2001−316705A)
【公開日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願番号】 特願2000−137922(P2000−137922)