| 【発明の名称】 |
球形金属粒製造方法及び製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 伸光
【氏名】氏田 淳一
【氏名】西村 浩
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| 【要約】 |
【課題】溶液を満たした容器中に金属素片又は金属液滴を添加し、該溶液中を落下する過程で球状化した金属粒を得る球形金属粒製造方法及び装置において、引け巣欠陥とミラーボール状欠陥のいずれも発生せず、製造した金属粒の形状を安定させることができる球形金属粒製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】加熱溶液2を満たした容器1中に金属素片4又は金属液滴5を添加し、溶液2中を落下する過程で金属素片等を溶融し冷却凝固することにより球形の金属粒6を製造する方法及び装置において、金属素片等を容器1の傾斜した滑落面3に沿って滑落させることを特徴とする球形金属粒製造方法及び装置。更に2以上の滑落面3を備え、金属素片4又は金属液滴5を各滑落面3に沿って滑落させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 還元作用を有する加熱溶液を満たした容器中に金属素片を添加し、該溶液中を落下する過程で金属素片を溶融し冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する方法において、前記金属素片を前記容器の傾斜した滑落面に沿って滑落させることを特徴とする球形金属粒製造方法。 【請求項2】 溶液を満たした容器中に溶融した金属液滴を滴下し、該溶液中を落下する過程で金属液滴を冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する方法において、前記金属液滴を前記容器の傾斜した滑落面に沿って滑落させることを特徴とする球形金属粒製造方法。 【請求項3】 前記滑落面の傾斜角度を調整することによって前記金属素片又は金属液滴の滑落速度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の球形金属粒製造方法。 【請求項4】 前記滑落面の傾斜角度を15度乃至75度とすることを特徴とする請求項3に記載の球形金属粒製造方法。 【請求項5】 2以上の滑落面を備え、金属素片又は金属液滴を各滑落面に沿って滑落させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の球形金属粒製造方法。 【請求項6】 還元作用を有する溶液を満たす容器と、該容器中の溶液を加熱する加熱装置と、該容器中に金属素片を添加する添加装置とを有し、前記容器中に金属素片を添加し、該溶液中を落下する過程で金属素片を溶融し冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する装置において、前記容器は金属素片を滑落させるための傾斜した滑落面を有することを特徴とする球形金属粒製造装置。 【請求項7】 溶液を満たす容器と、該容器中に金属液滴を滴下する滴下装置とを有し、前記容器中に金属液滴を添加し、該溶液中を落下する過程で金属液滴を冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する装置において、前記容器は金属液滴を滑落させるための傾斜した滑落面を有することを特徴とする球形金属粒製造装置。 【請求項8】 前記滑落面の傾斜角度は調整可能であり、該滑落面の傾斜角度を調整することによって前記金属素片又は金属液滴の滑落速度を調整することを特徴とする請求項6又は7に記載の球形金属粒製造装置。 【請求項9】 前記滑落面の傾斜角度を15度乃至75度の範囲で調整可能であることを特徴とする請求項8に記載の球形金属粒製造装置。 【請求項10】 2以上の滑落面を備え、金属素片又は金属液滴を各滑落面に沿って滑落させることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の球形金属粒製造装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は微細な球形金属粒の製造方法及び製造装置に関するものであり、特にBGA、CSP、コネクタ接点等の電気接続材料に供する直径100μmから1mmの半田ボール等の球形金属粒製造方法及び製造装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年の電子回路部品における表面実装は、電子部品の小型化、高密度実装化の一途をたどっている。それに伴い、接合に使用される半田接合技術は高機能化が必要となってきており、近年、高密度実装技術として期待されているのがBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)技術である。これらの技術では、微細な半田ボールを準備し、該半田ボールを対象とする電極に被着しリフローすることによってハンダ電極を形成する。また、最近は基板上にコネクタを配置するに際しても、基板電極とコネクタ電極との接合に半田ボールが使われるようになってきた。 【0003】上記微細な半田ボールに代表されるような球形の低融点金属粒の製造方法として、金属素片又は金属液滴を液体中において落下させ、該落下過程で金属を球形化し、球形の金属粒を得る方法が知られている。 【0004】金属素片を添加する方法においては、容器中に満たした液体の上部を金属の融点以上の高温に保ち、液体の下部を金属の融点以下の低温に保つ。所定の質量に調整された不定形の金属素片を液体に添加して液体中を落下させると、まず還元性を有する溶液によって金属素片表面の酸化膜が除去される。次いで溶液の高温部において金属素片が溶融し、金属滴と溶液との間の界面張力に基づいて金属滴が球形化する。さらに溶液中を落下して低温部に達すると、球形を保ったままで凝固し、球形の金属粒を得ることができる。 【0005】金属液滴を添加する方法においては、金属を溶融し所定の質量を有する液滴として切り出し、溶液中に添加する。溶液中において金属液滴は球形化する。溶液の温度は、少なくとも溶液下部において金属の融点以下の温度に保ち、添加した液滴が溶液中を下降する過程で球形を保ったまま凝固し、球形の金属粒を得ることができる。 【0006】例えば、直径760μm程度の半田ボールを製造する方法においては、直径50mm程度、高さ1m程度の耐熱容器を準備し、該容器中に沸点が半田の融点よりも高い、例えば植物油もしくはシリコーン・オイルを溶液として満たす。半田素片を添加する方法においては、容器上部の溶液の温度を半田融点より高い温度に保ち、容器下部の溶液の温度を半田融点より低い温度に保つ。一定質量に切り出されて溶液中に添加された半田素片は、溶液内で溶融し球形化しつつ容器内を落下し、容器下部で凝固して半田ボールとなる。この半田ボールを回収することにより、球形の半田ボールを得ることができる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】溶液内を球形化した金属液滴が落下するに従い、金属液滴が通過する溶液温度は順次低下し、金属液滴が凝固して球形の金属粒となる。このとき、金属液滴の冷却速度が大きすぎると、生成した金属粒の表面の一部が陥没するいわゆる引け巣が発生し欠陥となることがある。逆に金属液滴の冷却速度が小さすぎると、金属粒表面が過還元されることで多面体状(いわゆるミラーボール状、又はディンプル状)となり、やはり欠陥となる。従って、溶液中を落下する金属液滴の冷却速度を最適化して上記欠陥の発生を防止するべく、金属液滴の落下速度を勘案しつつ容器内の溶液の温度勾配を調整する。これにより、引け巣欠陥もミラーボール状欠陥も発生しない条件で球形金属粒を製造する。 【0008】ところが、同一の条件において球形金属粒を製造する過程において、同一ロット内に引け巣欠陥を有する金属粒とミラーボール状欠陥を有する金属粒とが同時に存在することがある。このような場合には、溶液の温度勾配を変更しても両方の欠陥を同時になくすことは困難であった。そして、これらの欠陥を有する金属粒が製品中に同時に混在するため、欠陥品のみを選別することができず、当該欠陥品を含むロットの全量を不良品として処理する必要が生じ、不良品発生率が著しく高くなるという問題を有していた。 【0009】また、同一の製造ロット内においても、製造した金属粒の形状が安定せず、品質の一定した金属粒が製造できないという問題もあった。 【0010】金属粒として半田ボールを製造する場合において、半田ボールの直径はその用途に応じて150μmから1000μmと広範囲に及ぶ。溶液内における金属粒の落下速度はその直径の3乗に比例するため、溶液内を落下中の金属素片等の冷却速度を一定に保とうとすると、製造する金属粒の直径毎に高さの異なる多種類の容器を準備する必要がある。 【0011】本発明は、溶液を満たした容器中に金属素片又は金属液滴を添加し、該溶液中を落下する過程で球状化した金属粒を得る球形金属粒製造方法及び装置において、引け巣欠陥とミラーボール状欠陥のいずれも発生せず、製造した金属粒の形状を安定させることができる球形金属粒製造方法及び装置を提供することを目的とする。 【0012】本発明はまた、製造する金属粒の直径範囲が広範囲にわたる場合においても、多種類の容器を準備することなくいずれの直径の金属粒をも適切に製造することのできる球形金属粒製造方法及び装置を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】容器内の溶液中を垂直に落下する金属素片又は金属液滴(以下「金属素片等」という。)は、容器の断面(水平断面)内に均一に分散することが好ましいが、断面内の特定の部分を落下する金属素片等の密度が高く、断面内の他の部分は金属素片等の密度が低くなることがある。密度高く多量の金属素片等が落下する部位においては、金属素片等に引きずられて溶液にも下降流が生成することとなる。断面内の特定の部位に下降流が生じると、結果として断面内の他の部位においては上昇流が生じることとなる。 【0014】下降流と共に落下する金属素片等と上昇流に逆らいつつ落下する金属素片等とでは、当然のことながら溶液中を落下する過程における冷却速度に差異が生じることとなる。また、溶液中に下降流等が生じると容器の同一断面内における溶液に温度むらが発生し、冷却ゾーンの温度制御を困難にし、あるいはその結果として温度制御が無意味になる。そして、このように溶液中に偏流が生じている場合に、製造した金属粒に引け巣欠陥を有するものとミラーボール状欠陥を有するものとが共存する割合が高いことが明らかになった。 【0015】また、上記のように金属素片等毎に冷却速度に差異が生じる結果として、出来上がる金属粒の形状も安定せず、品質の一定した金属粒が製造できないことも明らかになった。 【0016】本発明は、以上の知見を基にしてなされたもので、その要旨とするところは以下のとおりである。 (1)還元作用を有する加熱溶液2を満たした容器1中に金属素片4を添加し、溶液2中を落下する過程で金属素片4を溶融し冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する方法において、金属素片4を容器1の傾斜した滑落面3に沿って滑落させることを特徴とする球形金属粒製造方法。 (2)溶液2を満たした容器1中に溶融した金属液滴5を滴下し、溶液2中を落下する過程で金属液滴5を冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する方法において、金属液滴5を容器1の傾斜した滑落面3に沿って滑落させることを特徴とする球形金属粒製造方法。 (3)滑落面3の傾斜角度θを調整することによって金属素片4又は金属液滴5の滑落速度を調整することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の球形金属粒製造方法。 (4)滑落面3の傾斜角度θを15度乃至75度とすることを特徴とする上記(3)に記載の球形金属粒製造方法。 (5)2以上の滑落面3を備え、金属素片4又は金属液滴5を各滑落面3に沿って滑落させることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の球形金属粒製造方法。 (6)還元作用を有する溶液2を満たす容器1と、容器1中の溶液2を加熱する加熱装置7と、容器1中に金属素片4を添加する添加装置10とを有し、容器1中に金属素片4を添加し、溶液2中を落下する過程で金属素片4を溶融し冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する装置において、容器1は金属素片4を滑落させるための傾斜した滑落面3を有することを特徴とする球形金属粒製造装置。 (7)溶液2を満たす容器1と、容器1中に金属液滴5を滴下する滴下装置11とを有し、容器1中に金属液滴5を添加し、溶液2中を落下する過程で金属液滴5を冷却凝固することにより球形の金属粒を製造する装置において、容器1は金属液滴5を滑落させるための傾斜した滑落面3を有することを特徴とする球形金属粒製造装置。 (8)滑落面3の傾斜角度θは調整可能であり、滑落面3の傾斜角度θを調整することによって金属素片4又は金属液滴5の滑落速度を調整することを特徴とする上記(6)又は(7)に記載の球形金属粒製造装置。 (9)滑落面3の傾斜角度θを15度乃至75度の範囲で調整可能であることを特徴とする上記(8)に記載の球形金属粒製造装置。 (10)2以上の滑落面3を備え、金属素片4又は金属液滴5を各滑落面3に沿って滑落させることを特徴とする上記(6)乃至(9)のいずれかに記載の球形金属粒製造装置。 【0017】垂直に配置した容器内に金属素片等を添加して落下させる場合には、いかに金属素片等を容器の水平断面内に均一に添加しようとしても、密度に不均一が発生することを避けることが難しく、その結果として従来法においては製造する金属粒の品質にばらつきが生じることになる。 【0018】一方、本発明においては、容器1は傾斜した滑落面3を有する。最も一般的には、図1、2に示すように、容器1の断面を矩形断面とし、平面状の容器1の壁面を滑落面3とする。容器1を垂直に対して傾斜させることにより、容器の壁面のうち下面側に位置する壁面が滑落面3となる。 【0019】容器内に添加した金属素片等は、垂直に降下した後にこの滑落面3に到達し、その後は滑落面3の近傍を滑落面3に沿って落下することとなり、容器断面の滑落面近傍以外の部分においては金属素片等は分布しないこととなる。当然のこととして滑落面近傍においては金属素片等に引きずられて溶液の下降流が生じるが、すべての金属素片等がこの下降流と共に落下するので、金属素片等毎の冷却速度の差異は生じない。従って、冷却速度条件として引け巣欠陥もミラーボール状欠陥も発生しない適切な冷却条件を選択しさえすれば、いずれの欠陥も伴わない金属粒の製造を行なうことが可能になる。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明において、滑落面3の形状は平面とすることが好ましい。平面とすることにより、滑落面3の横方向全幅にわたって金属素片等を均一な密度で滑落させることが可能になる。滑落面を例えば樋のような円弧形状とすると、金属素片等は円弧の底面に集まってしまい、滑落面の全幅にわたって金属素片等を分布させることができなくなる。 【0021】溶液2を満たす容器1の横断面形状を矩形とし、該容器1を鉛直に対して傾斜して配置すれば、容器1の壁面のうち下方に位置する壁面を滑落面3とすることができる(図1、図2)。一方、容器壁面を滑落面とするのではなく、滑落面3とするための板を容器壁面とは別に容器内に配置してもよい。 【0022】本発明によって製造する金属粒、特に半田ボールの直径は、150μmから1000μmと広範囲にわたる。溶液中における金属素片等の垂直降下速度は直径の3乗に比例するため、従来のような容器内を垂直に降下させる方法においては、製造する金属粒の直径毎に降下速度が大きく異なり、降下中の冷却速度を一定の値にするためには、金属粒の直径毎に容器内溶液の垂直方向温度勾配を大きく変動させる必要があった。このため、金属粒の直径毎に高さの異なる多種類の容器と、多種類の溶液加熱装置を準備する必要があった。 【0023】本発明においては、滑落面3の傾斜角度θを調整することによって金属素片等の滑落速度を調整することが可能なので、直径の大きい金属粒を製造する場合には滑落面3の傾斜角度θ(水平に対する角度)を小さくし、直径の小さい金属粒を製造する場合には滑落面3の傾斜角度θを大きくすれば、金属粒の直径によらず滑落速度を一定に保つことが可能になる。そのため、製造する金属粒の直径の範囲が広い場合においても、多種類の容器を準備することなく、金属素片等の滑落方向の溶液温度勾配をほぼ一定に保ったままで、滑落面3の傾斜角度θを変更することのみで異なった直径の金属粒を製造することが可能になる。 【0024】従来の、金属素片等を容器内において鉛直に降下させる方法では、生成する金属粒の大きさによって金属素片等の降下速度は一定に定まる。従って、降下中における金属素片等の冷却速度は、溶液の垂直方向温度勾配の調整によって行なうことが必要であった。本発明においては、金属粒の大きさが一定であっても、滑落面3の傾斜角度θを調整することによって金属素片等の滑落速度を任意に調整することが可能である。従って、溶液の温度勾配と滑落面の傾斜角度の両方のパラメータを調整することにより、溶液内における金属素片等の冷却速度を最適な値に調整することが可能になる。 【0025】滑落面の傾斜角度θは、以上に記載した事項に基づいて最適な角度を選定することができる。一方、傾斜角度θが75度を超えると、滑落面の近傍を滑落せずに滑落面から離れて液中を落下する金属素片等が存在し、一定の落下速度を実現することができなくなる。また、傾斜角度θが15度未満では、金属素片等が一定速度で滑落せず、途中で一時停止する金属素片等が発生する。従って、滑落面の傾斜角度θは15度以上、75度以下とすることが好ましい。 【0026】半田ボールの製造に本発明方法を適用する場合において、溶液2を満たす容器1の長さを1m程度とし、溶液として植物油を用いた場合、直径760μmの半田ボール製造においては滑落面3の最適傾斜角度は30度、直径300μmの半田ボール製造においては最適傾斜角度は60度であった。直径150μmの半田ボール製造においては、垂直落下の場合でも落下速度が遅いため、容器の長さを0.5mとし、滑落面3の傾斜角度を70度とした場合が最適な製造条件であった。 【0027】本発明においては、金属素片等は傾斜した滑落面に沿って滑落するため、滑落面3を回転しながら滑落することによって生成する金属粒が楕円状に変形するのではないかと懸念されたが、製造した金属粒の真球度を測定したところ、最も直径が大きい部位の直径(長径)と最も直径が小さい部位の直径(短径)との比は、±10%の範囲内に収まり、許容範囲内の良好な真球度が実現することを確認した。 【0028】従来のように、容器内の全断面を用いて金属素片等を落下させる方法に比較して、本発明においては金属素片等を滑落面3の近傍に沿って滑落させるため、溶液単位体積内における金属素片等の密度が高くなる。溶液内における金属素片等の密度が高すぎると、液滴どうしが溶着して大きな液滴となり、生成する金属粒の直径が一定しないこととなるため、溶液内における金属素片等の密度は一定以下に保持する必要がある。容器1の一方の壁面を滑落面3とする場合には、滑落面3における金属素片等の密度を上記適正範囲に保持するためには、金属素片等の添加密度を制限する必要が生じ、従来法に比較して金属粒の生産性が低くなってしまう。 【0029】本発明においては、容器1内に複数の滑落面3を配置し、各滑落面に沿って金属素片等を滑落させることにより、金属粒の生産性を落とすことなく本発明を実施することができる。具体的には、図3に示すように、容器内に多数の滑落面(3a〜3e)を平行に配置する。例えば、80mm×80mmの矩形の断面を有する容器内に5mmピッチで16層の滑落面を配置することにより、単純に容器の一方の壁面を滑落面とする場合に比較して、生産性を16倍に上げることができる。これにより、直径100mmの容器内において金属素片等を垂直に降下させる従来法と同等の生産性を確保することができる。 【0030】金属素片を容器内に添加する場合の本発明方法及び装置について図1に基づいて説明する。生成した金属粒の直径ばらつきを低減して一定の直径の金属粒を製造するためには、容器内に添加する金属素片の質量ばらつきを低く抑えることが必要である。金属を圧延した薄板や金属を伸線したワイヤを一定長さに切り揃え、パーツフィーダー10で容器内に落とし込む方法や、ワイヤを連続的に定尺に切り落とすワイヤカッターを用いる方法を採用することにより、質量が一定に揃った金属素片を容器内に添加することができる。 【0031】容器1内において、容器1上部の溶液2の温度を金属の融点より高い温度に維持し、添加した金属素片4を溶融する。溶融した金属素片は、金属と溶液との間の界面張力によって液滴化する。容器下部における溶液温度を金属の融点よりも低い温度とすることにより、金属液滴5が滑落面3を滑落するに従って温度が低下し、容器下部において凝固した球形の金属粒6が堆積する。容器下部にバルブ9を配置し、バルブ9を開くことによって容器下部に堆積した金属粒6を回収する。 【0032】溶液2としては、溶液の沸点が金属の融点よりも高い液体であり、金属との界面張力が大きいものを選択する必要がある。半田ボールを製造する場合においては、溶液2としてシリコーン・オイル、植物油等を用いると好適である。 【0033】更に、例えば金属として半田を用いる場合、添加する半田素片の表面は酸化膜で覆われているため、液滴化する過程で該酸化膜を除去する必要がある。酸化膜が付着したままでは良好な球状化が得られないからである。酸化膜を除去する還元作用を有する物質をフラックスとよぶ。容器内において、溶液の最上部に液状のフラックスを配置することにより、金属素片が該液状のフラックス層を通過する際に酸化膜を除去することが可能になる。また、容器内に満たす溶液そのものに還元作用の能力を付与することも好適である。例えば、シリコーン・オイルなどの液体に市販のフラックス液を希釈する方法や、還元作用、即ちフラックス性を有することが知られている不飽和脂肪酸を含有する植物油を単独で液体として用いる方法が好ましい。 【0034】容器上部の溶液2の温度を金属の融点以上に加熱し、容器下部の液体の温度を金属の融点以下の温度に維持するためには、容器上部に容器1を囲むように加熱装置7を配置し、容器下部には容器1を囲むように冷却装置8を配置することが好適である。 【0035】溶融した金属液滴5を溶液中に滴下する場合の本発明方法及び装置について図2に基づいて説明する。容器1上方に配置したステンレス製円筒容器11内において金属、例えば半田を加熱溶融し、溶融金属13とする。円筒容器11の底部には複数の滴下孔12が設けられ、超音波等を付加することで円筒容器11底部のステンレス板を加振することによって滴下孔12から一定質量に保持された半田液滴を滴下する。 【0036】金属液滴5、例えば半田液滴は、容器内の溶液中に添加され、球形を保ったままで冷却・凝固し、容器下部において球形の金属粒6として回収される。容器内に落下した直後の液滴は、溶液表面への衝突の衝撃によって変形するので、金属と溶液との間の界面張力によって球形に戻るまでの間、溶融状態を保つ必要がある。そのため、容器内溶液の最上部温度は、金属の融点より高い温度、あるいは融点以下であっても融点に近い温度に加熱しておくことが好ましい。容器内の溶液の温度勾配については、金属素片を添加する場合と同様、適切な温度勾配に調整することが好ましい。これにより、引け巣欠陥もミラーボール状欠陥も発生しない真球度の高い金属粒を得ることができる。 【0037】使用する溶液2としては、上記金属素片を添加する場合と同様の溶液を用いることができる。金属素片を添加する場合には、金属素片表面の酸化膜を除去するために還元性を有する溶液の使用が必須であったが、液滴を添加する場合には溶液の還元作用はあってもなくてもよい。 【0038】 【実施例】半田ボールの製造において本発明の製造方法及び製造装置を適用した。製造する半田ボールの直径は150μm、300μm、760μmの3種類である。一定質量に切り出した半田素片を容器内に添加する方法を採用した。 【0039】溶液2を満たす容器1として、ガラス製の容器を用い、断面寸法は80mm×80mmの矩形であり、容器内に5mmピッチで15枚の平面板を配置し、容器の下方の壁面を含めて16面の滑落面3とした。平面板の材質は容器と同じ材質のものを用いた。容器の長さは1mと0.5mのものを準備した。容器の最下部にはバルブ9を配置し、バルブ9を開くことによって容器下部に集積した半田ボールを回収することができる。 【0040】容器内に満たす溶液2として植物油を用いた。容器1上部の所定位置には容器長手方向所定長さのシート状電気ヒーターを加熱装置7として巻き付けた。容器1内部の所定位置に1個又は複数個の熱電対を配置して溶液温度を測定し、加熱装置7にフィードバックして溶液温度を一定に制御した。これにより、容器内上部の溶液は高温に保持され、添加した半田素片を溶融することができる。容器下部においては底部に近いほど溶液温度が低くなる温度勾配を持たせた。本実施例においては空冷による自然冷却を採用したが、冷却水を循環させたパイプを容器の外周に巻き付けてもよい。 【0041】半田素片の供給方法として、半田ワイヤを準備し、この半田ワイヤを定尺に切断し、この切片をパーツフィーダー10を経由して容器内に添加する方法を採用した。直径150μmの半田ボール製造においては半田ワイヤの直径は60μm、ボール径300μmにおいてはワイヤ径120μm、ボール径760μmにおいてはワイヤ径300μmの半田ワイヤを用いた。半田ワイヤの直径は、概略半田ボール直径の40%程度とすることが好ましい。半田素片の添加速度は、ボール径150μmの場合は50万個/分、ボール径300μmの場合は10万個/分、ボール径760μmの場合は2万個/分とした。 【0042】直径300μmと760μmの半田ボール製造には長さ1mの容器1を用い、滑落面3の傾斜角度θは直径300μmの場合は60度、直径760μmの場合は30度とした。直径150μmの半田ボール製造に際しては、長さ0.5mの容器を用い、滑落面の傾斜角度は70度とした。 【0043】本発明法においても、溶液内における半田ボールの冷却速度が速すぎると引け巣欠陥が発生し、冷却速度が遅すぎるとミラーボール状欠陥の発生が見られたが、容器内における溶液2の容器長手方向温度勾配、及び滑落板3の傾斜角度を微調整して冷却速度を適正化することにより、いずれの実施例においても引け巣欠陥及びミラーボール状欠陥の発生は見られなくなり、また製造した半田ボールの真球度も良好なものを得ることができた。 【0044】比較例として、直径100mmの容器を垂直に保持して半田素片を添加する方法を実施した。直径760μmの半田ボール製造においては、容器の長さ1mでは冷却速度が速すぎるため、容器の長さを2mとして容器内溶液の温度勾配を小さくする必要があった。直径300μmの場合は容器長さ1m、直径150μmの場合は容器長さ0.5mとした。それ以外の条件は上記本発明例と同様の条件とした。 【0045】容器内溶液の容器長手方向温度勾配を種々修正したが、何れの場合も引け巣欠陥を有する半田ボールとミラーボール状欠陥を有する半田ボールがそれぞれ発生するかあるいは同時に生成し、その両者をともに消滅させることはできなかった。また、真球度が規定を満足しない半田ボールの発生が見られた。 【0046】 【発明の効果】溶液を満たした容器中に金属素片又は金属液滴を添加し、該溶液中を落下する過程で球状化した金属粒を得る球形金属粒製造方法及び装置において、金属素片等を容器の傾斜した滑落面に沿って滑落させることにより、引け巣欠陥とミラーボール状欠陥のいずれも発生せず、製造した金属粒の形状を安定させることができた。また、同じく金属素片等を容器の傾斜した滑落面に沿って滑落させることにより、製造する金属粒の直径範囲が広範囲に渡る場合であっても少ない種類の容器を準備するのみでいずれの直径の金属粒をも適切に製造することが可能になった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595179228 【氏名又は名称】株式会社日鉄マイクロメタル
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| 【出願日】 |
平成12年3月7日(2000.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107892 【弁理士】 【氏名又は名称】内藤 俊太 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−247907(P2001−247907A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月14日(2001.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−62506(P2000−62506) |
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