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【発明の名称】 電気接点及び電極用の合金並びにその製造方法
【発明者】 【氏名】レオニド・ピー・ドーフマン

【氏名】マイケル・ジェイ・シャイサウアー

【氏名】ムクテシュ・パリワル

【氏名】デイビッド・エル・フーク

【氏名】ジェイムズ・アール・スペンサー

【要約】 【課題】焼結温度等の加工条件が変化しても、強度及び延性に影響を及ぼされない合金を得る。

【解決手段】W−Cu複合物粉末及びニッケル粉末を含有するW−Cu−Ni合金を作るための粉末混合物であって、W−Cu複合物粉末は、実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び該銅相を有する個々の粒子を含有する粉末混合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 W−Cu複合物粉末及びニッケル粉末を含有するW−Cu−Ni合金を作るための粉末混合物であって、前記W−Cu複合物粉末が、実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び該銅相を有する個々の粒子を含有する粉末混合物。
【請求項2】 前記ニッケル粉末が、前記混合物の3〜6重量%を構成する請求項1の前記粉末混合物。
【請求項3】 前記ニッケル粉末が、前記混合物の4重量%を構成する請求項1の前記粉末混合物。
【請求項4】 前記W−Cu複合物粉末の銅含有率が、10〜25重量%である請求項1の前記粉末混合物。
【請求項5】 銅対ニッケルの重量比が、4.0:1〜4.2:1である請求項1の前記粉末混合物。
【請求項6】 銅対ニッケルの重量比が、4.1:1である請求項5の前記粉末混合物。
【請求項7】 前記粉末混合物が、70〜82重量%のタングステンを含む請求項1の前記粉末混合物。
【請求項8】 銅対ニッケルの重量比が、4.1:1である請求項7の前記粉末混合物。
【請求項9】 Cu−Niマトリックスを含む焼結されたタングステン骨格を含有するW−Cu−Ni合金であって、脆性のある金属間化合物を有さない前記合金。
【請求項10】 前記合金が、少なくとも理論密度99%の焼結密度を有する請求項9の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項11】 前記合金が、2%〜20%の伸びを呈する請求項9の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項12】 前記合金が、3%〜5%の伸びを呈する請求項11の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項13】 前記タングステンが、2.5〜15μmの算定された平均粒子寸法を有する請求項11の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項14】 銅対ニッケルの重量比が4.0:1〜4.2:1である請求項11の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項15】 銅対ニッケルの重量比が4.1:1である請求項14の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項16】 前記タングステン骨格が15〜30%の隣接度を有する請求項9の前記W−Cu−Ni合金。
【請求項17】 (a)W−Cu複合物粉末及びニッケル粉末の粉末混合物であって、前記W−Cu複合物粉末はタングステン相が実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び銅相を有する個々の粒子を含有するものを形成すること;
(b)前記粉末を加圧してコンパクトを形成すること;
(c)前記コンパクトを焼結してW−Cu−Ni合金を形成すること;を含むW−Cu−Ni合金を形成する方法。
【請求項18】 前記焼結が、1180℃〜1200℃の温度でコンパクトを加熱することを含む請求項17の方法。
【請求項19】 前記コンパクトが1190℃で焼結される請求項18の方法。
【請求項20】 前記W−Cu複合物粉末の銅含有率が10〜25重量%であり、前記銅対ニッケルの重量比が4.0:1〜4.2:1である請求項18の方法。
【請求項21】 前記W−Cu複合物粉末が、70〜82重量%のタングステンを含み、前記銅対ニッケルの重量比が4.1:1である請求項18の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気接点及び電極用の物質に関するものである。特に、本発明は、タングステン−銅複合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気接点及び電極用の合金は、非常に異なる熱物理的性質を有する2種以上の成分の不均質系(擬合金(pseudoalloys))に基づく冶金学的複合物である。これらの合金の性質は、成分的特性の最適な組合せを示し、例えばガス又はオイル等のアーク冷却剤(arc quenching media)を有する大電流遮断器、放電加工(electrical discharge machining)、スポット溶接及び放電を使用する他の用途といった各種用途における動作のために要求される。電気接点間又は電極と製造中の加工品との間に起こるアーク放電は、これらの用途に共通のものである。例えば、電気接点は、電流開閉でのアーク付着点として作用する。開閉が瞬時であるにもかかわらず、オイル又はガス充填大電流遮断器中における電気アークは、高温プラズマ放電に発達するのに十分である。アーク付着点において、プラズマ放電は、電気接点の浸食性摩耗の原因となる電気力及び熱流束を生ずる。物質的浸食は、酸化性環境(例えばエアブラスト大電流遮断器)中で動作する電気接点においてピークに達する。この疲労に耐えるためには、電気接点物質が、特定の熱物理的性質を有するものでなければならない。
【0003】タングステン−銅複合物は、これらの用途に関して好ましい物質である。しかしながら、非合金W−Cu複合体から作られた電気接点は、放電環境中で亀裂が入る傾向がある。その問題は、その複合体の貧弱な熱衝撃抵抗性から生ずるようである。構造的連続性が、アーク加熱のための銅の損失により部分的に又は全体的に破壊されるときには、複合体は単一構造体として塑性変形に耐える能力を失う。接点へのアーク付着により生成される過大な熱流束が急速に放散しない場合には、熱衝撃が大きな熱応力を発生させて接点に亀裂を生じさせる。約20μmの平均タングステン粒子寸法を有する複合物について、ほぼ均一の消耗期間の後に亀裂の発生が起こる。約5μmの平均タングステン粒子を有するタングステン−銅複合物は、より際だった亀裂発生を示し、これはかなり大きい収縮及び孔形成を引き起こすタングステンの更なる焼結が原因で生ずるのは明らかである。浸食速度及び亀裂発生は、複合物質中の孔容積が約4%を超えればかなり増加する可能性がある。
【0004】熱衝撃抵抗性のほかに、これらの用途に用いられるタングステン−銅物質は、銅損失に対する抵抗性、浸食に対する抵抗性及び腐食に対する抵抗性を有するべきである。これらの要求に対する従来の解決策は、4〜5重量%(wt.%)のニッケルと混合して合金とすること及び小さい孔容積を維持することを含む。
【0005】2種の基本的な粉体加工冶金(P/M)技術(すなわち焼結/溶浸及び直接焼結)を用いて、電気接点及び電極用のW−Cu−Ni合金を作る。焼結/溶浸は、(1)元素状タングステン粉末を加圧し、得られたコンパクトを1つの熱サイクルを用いて焼結し、制御された多孔性を有する耐熱性成分骨格(又は骨組)を形成すること、(2)別の熱サイクルを用いて電気/熱伝導性のある銅成分で骨格を溶浸させることからなる2工程の製造プロセスである。焼結/溶浸技術は、網目形状の構成要素の製造及び微細なタングステン粉末(FSSS<5μm)の使用をすることができない。特に、微細なタングステン粉末は、タングステン骨格中の局部的な高密度化を促進して、銅で溶浸することができない部分的に閉ざされた多孔性の原因となる。液体ニッケルの存在中のタングステンの高温焼結(1450〜1500℃)は、その骨格中のタングステン粒子の成長を促進する。脆性のあるW−Ni金属間化合物が、銅の存在しない下でのタングステンの高温焼結中にタングステン粒状物の境界に沿って形成される。これは、タングステン骨格の機械的性質を劣化させる。更に、ニッケルがタングステン粉末用の焼結助剤として用いられる場合には、タングステン及びニッケル粒子間の接触を一様に分布させることが困難である。
【0006】従来の直接的焼結は、約5μmの平均粒子寸法を有するタングステン、銅及びニッケル粉末を混合及び圧縮成形することからなる。次いで、銅含有量に依存して、銅の融点より高い温度又は低い温度でコンパクトを焼結する。従来の直接的焼結法は、合金バックボーンとしての役割を果たすための強力なタングステン骨格を別個に焼結することができないという難点がある。更に、(1)溶融に先立つ銅の過剰な融合及び固相焼結、(2)溶融時の銅の過剰な凝集、(3)不適当に焼結されたタングステン骨格からの銅のブリードアウト、(4)過剰な多孔性(>4%)の発達、(5)タングステン骨格の分解、及び(6)形状の損失(スランピング(くずれ))を有する問題が存在する。
【0007】W−Cuの強化された焼結は、1083℃より高い温度で銅を基材とする液相の形成に強く影響される。ニッケル及び銅は、ニッケル中のタングステンの部分溶解度(1100℃でニッケル中に38重量%のタングステン)と組み合わさって銅によるタングステンの湿潤(wetting)を大きく改善して、かつ銅のブリードアウトを解消する無制限の相互溶解度を有している。焼結密度、強度及び微小硬度は、ニッケルの添加に対して直線的に増加する。銅及びタングステンの両方についてのニッケルの親和性が、タングステンを焼結するための溶液−再沈殿機構を導入する。この機構の作動は、合金中少なくとも2重量%のニッケル濃度でかなりのレベルに達する。
【0008】Cu−Ni液相は、タングステンについて化学的に活性である。Cu−Ni液相は、タングステンを溶解してCu−Ni−Wマトリックスを形成し始める。ニッケル中のタングステンの制限された溶解度のために、マトリックス中の溶解されたタングステンの濃度は、最終的には平衡レベルに到達する。Cu−Ni−Wマトリックスの形成により、タングステンの焼結に影響を及ぼす溶液−再沈殿機構が作動する。マトリックスは、極めて小さいタングステン粒子及びネックを溶解して、並びにタングステンをさらに大きな粒子の表面上に移動及び再析出してそれら粒子の更なる成長を引き起こすことによりタングステン担体としての役割を果たす。この熱力学的に保証されるプロセスは、マトリックス中のニッケル濃度、タングステンの粒子寸法及び温度のような動力学的パラメーターにより支配される。溶液−再沈殿機構により生成されるW−Cu−Ni合金の微細構造及び機械的性質は、2種の冶金学的現象(カーケンドル効果及びオストワルド熟成)により強く影響を受ける。ニッケル中の銅及びタングステンのより速い拡散速度(銅及びタングステン中のニッケルの拡散速度に比べて)は、孔及び空隙の形成の原因となる(カーケンドル効果)。これら孔及び空隙は、焼結により全部を除去することができない。活性Cu−Ni液相の存在におけるタングステン粒子の粗大化及び球状化(オストワルド熟成)は、焼結される物質の多孔性、タングステン骨格の分解及び形状の損失(スランピング)を招く可能性がある。上記の効果のために、溶液−再沈殿焼結技術により作られる合金は、加工条件に非常に左右されやすい。焼結温度におけるごくわずかな変化でも、これら合金の強度及び延性における劇的な減少の原因となるであろう。たとえ合金の焼結密度が理論密度(TD)の99%以内であろうとも、孔の形状及び寸法に依って強度及び延性の大きな変動が観察される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先行技術の不都合を除去することが、本発明の目的である。
【0010】電気接点及び電極において使用するのに適した熱物理的性質を有するW−Cu−Ni合金を提供することが、本発明の別の目的である。
【0011】電気接点及び電極において使用するのに適した熱物理的性質を有するW−Cu−Ni合金を形成するための粉末混合物を提供することが、本発明のまた別の目的である。
【0012】焼結中の脆性のある金属間化合物の形成及びスランピングを実質的に解消するW−Cu−Ni合金を直接的に焼結するための方法を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明の概要本発明の目的に従って、W−Cu複合物粉末及びニッケル粉末を含有するW−Cu−Ni合金を作るための粉末混合物であって、前記W−Cu複合物粉末が、実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び該銅相を有する個々の粒子を含有するものが提供される。
【0014】本発明の別の目的に従って、Cu−Niマトリックスを含有する焼結されたタングステン骨格を含むW−Cu−Ni合金であって、前記合金が脆性のある金属間化合物を有さないものが提供される。
【0015】本発明の更なる目的に従って、(a)W−Cu複合物粉末及びニッケル粉末の粉末混合物であって、前記W−Cu複合物粉末が実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び該銅相を有する個々の粒子を含有するものを形成すること;
(b)前記粉末を加圧してコンパクトを形成すること;
(c)前記コンパクトを焼結してW−Cu−Ni合金を形成すること;を含むW−Cu−Ni合金を形成する方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】発明の具体的な説明本発明において用いられるタングステン−銅(W−Cu)複合物粉末は、米国特許番号5,956,560(1999年9月21日ドルフマンらに特許された、本明細書においてはこれを援用する。)に記載されている。これらの粉末は、タングステン相が実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相及び銅相を各々有する個々の粒子を含む。W−Cu複合物粉末をニッケル粉末と機械的に混合して粉末混合物を形成する。次いで、この粉末混合物を加圧及び焼結してW−Cu−Ni合金を形成する。ニッケル相と混ぜ合わさったW−Cu複合物粉末の個々の粒子におけるタングステン相及び銅相の特有の分布が、圧縮成形された粉末混合物の直接的焼結を達成してW−Cu−Ni合金の網目形状製品を形成するのに2つの重要な技術的利点を提示する。
【0017】第1の技術的利点は、銅相の存在下で(銅相による干渉なしに)現場でタングステンの骨組の焼結を選択的に促進することができることである。本明細書で用いられるW−Cu複合物粉末において、タングステン及び銅相は、元素状粉末の機械的混合物ではない。その代わりにW−Cu複合物粉末の個々の粒子が、実質的に銅相を内部に封入してなるタングステン相からなるデュアル相粒子である。タングステン相は粒子の外面に存在するので、粉末混合物が圧縮成形される場合に、銅相はW−W及びW−Ni−Wを主とする接触点の形成に干渉しない。タングステン相のミクロン以下の寸法及び高度焼結活性のため、これらの接触点は、銅の溶融に先立って固相焼結領域(950〜1050℃)におけるタングステンの骨組の現場での焼結を容易なものにする。また、拡散の障壁(diffusion barrier)を除去することにより及びW−W質量輸送を改善することにより、ニッケル相は、タングステン相の固相焼結を選択的に活性化する。活性化せずに焼結した場合と比べて、コンパクトの収縮は数倍となる。この結果、ずっと硬いタングステンの骨組となる。
【0018】第2の技術的利点は、(i)Cu−Ni溶融物の形成、及び(ii)W−Cu−Ni合金に延性(降伏及び伸び)を付与するためにCu−Ni溶融物によりタングステン骨組の制御された改変のための条件を、同一の焼結サイクルの2つの別の工程として提供することができるということである。銅(1083℃)の融点以上の温度で、液体銅は、タングステン粒子の転位及び形状適応性(shape accommodation)を向上させることによりタングステンの骨組の完全な焼きしまりを促進する。Cu−Ni溶融物の形成はまた、上記温度で開始し、銅及びニッケルの無制限な相互溶解度のためにニッケルの全部が徐々に溶融物中に入っていく。Cu−Ni溶融物は、毛管力によりタングステン骨組の内側に保たれる。タングステンはニッケルに一部溶解できるので、溶解したニッケルはタングステンのCu−Ni中への拡散速度を増加させて、タングステンの溶融物中への輸送プロセス及び溶融物によるタングステン骨組の改変を容易にする。Cu−Ni溶融物は、タングステンを溶解させること及びCu−Ni−Wマトリックスを形成することを開始する。Cu−Ni−Wマトリックスの形成は、タングステン相のための溶液−再沈殿機構を作動させる。マトリックスは、極めて小さいタングステン粒子及びネックを溶解して、及びタングステンで飽和させた後に溶解させたタングステンをさらに大きなタングステンの粒子上に再析出してそれら粒子の更なる成長を引き起こすことによりタングステン担体としての役割を果たす。カーケンドル効果自体は、多孔性の発達及び孔の凝集により明らかになる。これらの孔は、複合物質の溶液−再沈殿プロセスへの制御された曝露の過程において最終的に消滅する。そのプロセスは、骨組を形成するタングステン粒子の隣接度(タングステン粒子界面)、寸法及び形態に大きな影響を及ぼす。粒子に丸みをつけかつ寸法を増大させることにより、骨組中のタングステン粒子間の結合を緩め、それにより骨組を弱めて焼結されたW−Cu−Ni合金に延性(降伏及び伸び)を付与する。制御されない方法で進行させておけば、溶液−再沈殿プロセスは、オストワルド熟成の効果によりタングステン骨組の完全な分解(タングステン相のゼロ隣接(zero contiguity))及び形状の損失(スランピング)を最終的に招くであろう。それ故に、溶液−再沈殿プロセスの時間−温度パラメーター並びにタングステン骨組及び焼結される複合物の性質を変えることにより、W−Cu−Ni生成物を、(固相焼結を開始した後の)硬くかつ脆いものから、(溶液−再沈殿プロセスへの制御された曝露した後の)適度な機械強度及び延性を有するものへ、(オストワルド熟成の効果の後の)軟弱でスランピングの傾向のあるものに改変することができる。
【0019】
【実施例】以下のパラメーター及び物質が、本発明のW−Cu−Ni合金を作るのに好まれる。
【0020】A.タングステン−銅複合物粉末銅含有率:約10〜約25重量%中央値粒子寸法:約0.5〜約20μm粒子上のタングステン相の厚さ:約0.1〜約0.2μm【0021】B.ニッケル粉末中央値粒子寸法:約1〜約15μm【0022】C.粉末混合物銅対ニッケルの重量比:約4.0:1〜4.2:1【0023】より好ましい銅:ニッケル重量比は4.1:1である。この比は、公知のXRD(X線回折)パターンを有するCu3.8Ni固溶体に基づくものである。(3.8:1の銅:ニッケル原子比は、4.1:1の重量比を有している。)脆性のある金属間化合物が合金中に形成されていないことをXRDにより明らかにするために、銅:ニッケル比を狭い範囲内に保つ。
【0024】合金組成物のための重量比の好ましい範囲は、タングステン82重量%と(銅:ニッケル=4.1:1)18重量%からタングステン70重量%と(銅:ニッケル=4.1:1)30重量%である。ニッケルの量は、混合物の約3〜約6重量%を構成することが好ましく、約4重量%がより好ましい。
【0025】D.圧縮及び焼結圧縮成形圧:約45〜約75ksi(約310〜約483MPa)
焼結温度:約1180℃〜約1200;より好ましくは約1190℃焼結密度:99±0.5%理論密度;より好ましくは少なくとも約99%理論密度【0026】E.合金の性質伸び:約2%〜約20%;より好ましくは約3%〜約5%平均タングステン粒子寸法(算定値):約2.5〜約15.0μmタングステン骨格の隣接度(contiguity);約15%〜約30%【0027】以下の非限定的な例を示す。
【0028】中央値粒子寸法8.8μmを有するタングステン−銅複合物粉末及びニッケル粉末を、W−Cu−Ni合金の3種の異なる組成物を作るための原材料の調製に用いる。固形潤滑油(ニュージャージー、フェアローン(Fair Lawn)のLonza社により製造されているAcrawax C 0.5重量%)を粉末原材料に添加して圧縮可能性を改善した。8kgの粉末バッチを60分間混合することにより、原材料をV−ブレンダー中でインテンシファイヤーバー(intensifier bar)で調製する。粉末の比及び合金複合物を表1に示す。銅:ニッケルの重量比を、4.1:1に維持した。
【0029】
【表1】

【0030】合金Bを作るための粉末原材料を使用して、焼結試験を行った。理論密度(TD)約56%の圧粉密度及び直径3.75インチ(9.53cm)、長さ4.75インチ(12.1cm)の概略寸法を有するスラグに45ksi(310MPa)で、原材料約7.5kgの量に対してアイソスタティックプレス(等方静的プレス)を行った。乾燥水素を流動させつつ管状炉で脱ろう及び焼結を実行した。温度の上昇速度は、2℃/分であった。450℃で4時間スラグを脱ろうして、1000℃で4時間予備焼結した。ニッケルの存在が、W−Cu複合物粉末の固相焼結を劇的に増進させた。ニッケルが存在しない場合の約5%の線収縮に比して、約20%の線収縮を観察した。
【0031】予備焼結スラグを、各々約930gの重さの8つの切片に長手方向に切った。これらの切片を、系統的な液相焼結試験に用いた。光学顕微鏡法(OM)、走査電子顕微鏡法(SEM)、エネルギー分散X線分光法(EDS)、X線回折(XRD)及び他の標準的な物理学的試験方法(例えば、降伏強さ(YS)、極限引張強さ(UTS)、曲げ破壊強さ(TRS)、硬さ等)を、合金の特性分析に用いた。試験データを表2及び表2の試料に対応する図1〜10に示す。図11は、予備焼結されたスラグの微細構造を示す。予備焼結されたスラグは、最小の焼結密度(92.9%TD)及び最小寸法タングステン粒子を有していた。これは、固相焼結により生成された物質に特有のものである。
【0032】液相焼結により作られたW−Cu−Ni合金の微細構造及び性質の発達は、焼結サイクルの温度及び時間のパラメーターにより制御される。その結果として、それらパラメーターが、溶液−再沈殿機構及びタングステン粒子の成長を制御する。Cu−Ni−Wマトリックス中のタングステンの濃度は、時間の経過とともに約0.8重量%〜平衡レベルである約2重量%に、処理温度の範囲によっては約2.2重量%に高まった(表2)。3種類の異なった微細構造−性質の範囲が観察された。
【0033】試料1〜5(図1〜5)において、タングステン粒子は、微細かつ高度に相互に連結していた。粒子カウントは、平均粒子直径(算定値)1〜1.6μmを生ずる[500〜1200]×103粒子/mm2であった。この範囲は、強力なタングステンの骨組の形成、密度の漸増(95〜96%TDまで)及び焼結された合金の機械的性質(UTS、TRS、硬さ)と関係がある。しかしながら、合金は、これらの条件の下では脆いままである。滞留時間を5倍増やしたとしても、物質の性質において大きな変化を生み出すことはなかった。
【0034】試料6〜9(図6〜9)において、タングステン粒子は、中間の寸法であり、前記ほど相互に連結しておらず、かつ部分的に丸みを帯びている。粒子カウントは、平均粒子直径(算定値)2.6〜4.6μmを生ずる[60〜90]×103粒子/mm2であった。この範囲は、焼結された密度の連続的増加(97.6%TDまで)、孔及び空隙の除去(カーケンドル効果により生じたものを含む(図7及び8))並びに合金における伸び(延性)の出現(試料8において10%までの伸び)により特徴付けられる。ニッケルの存在は、電気伝導性を18%IACS未満に低下させた。
【0035】試料10(図10)において、粒子は丸みを帯びて弱く結合している。粒子カウントは、平均粒子直径(算定値)4.6μmを生ずる60×103粒子/mm2未満であった。丸みを帯びた粒子は、オストワルド熟成の結果であり、焼結中の試料のタングステン骨組の実質的な分解、機械的性質及び密度の低下、並びにスランピングの原因となる。
【0036】
【表2】

【0037】表2における試験データを参照すると、合金の伸びは、物質のUTSと延性との間の制御されたバランスが原因であることは自明である。UTS及び硬さは、試料1〜5においては除々に増大した。オストワルド熟成は、試料6〜8における粒子直径を増大させ、粒子カウントを減少させてタングステン骨組の隣接度を低下させた。これは、試料8におけるタングステン骨組の弱体化(降伏点及びYSの出現;最大TRS値の到達)並びに最大の物質延性を招く。試料9及び10におけるタングステン骨組の更なる弱体化が、合金のスランピングを招く。
【0038】試料8(図8)の微細構造は、液相焼結により生成されるタングステンの重合金に特有のものである。だがしかし、その微細構造は、はるかにより微細なものである。XRDにより測定される唯一のピークは、W及びCu3.8Ni固溶体に属するものであった。XRD法の感度の範囲で、脆性のある金属間化合物の形成が、合金を製造するプロセスにおいてなされないということを結論することができる。
【0039】合金組成物A,B及びCの原材料の量(約4.3〜4.5kg)を、試料1〜10について記載されているように加圧した。圧粉体への熱伝達の均一性を改善するために、圧粉体を同一条件を用いて純粋アルミナ砂(pure alumina sand)中で脱ろう及び焼結した。焼結により、直径1.75インチ(4.45cm)、長さ7.5インチ(19.1cm)の概略寸法を有するスラグが生成した。焼結サイクルは、3つの等温ホールドを含んだ。最初は、1000℃で粉末コンパクトから酸素の水素洗浄を行うためのものである。次は、1100℃で、溶融銅から酸素を除去して、Cu−Ni固溶体を形成し、及びコンパクトの予備焼結を行うためのものである。最終ホールドは、焼結温度においてであった。合金のための最終焼結条件を、合金のスランピングがなく最高の伸びを得るために最適化した。表3のデータは、合金の個々の試料について6つの測定の平均を示している。図12、13及び14は、各々合金A、B、及びCの微細構造のSEM顕微鏡写真である。
【0040】
【表3】

【0041】焼結された各合金は、非常に微細で、均質な微細構造を呈した。タングステン粒子カウント及び平均粒子寸法(算定値)は、各々12.4×103〜39.8×103粒子/mm2及び10.2μm〜5.7μmであった。粒子が小寸法であるにもかかわらず、スランピングのない実質的な伸びを得るために、タングステンの骨組の隣接度を18〜27%のレベルに効果的に低下させた。合金Bについて呈された伸びは、実質的にそれよりも粗い微細構造(粒子寸法30μm〜100μm)を有するタングステン重合金の伸びに近似していた。
【0042】合金AのSF6におけるアーク浸食(arc erosion)速度を、銅15重量%であってニッケルを有しないW−Cu複合物粉末並びにW−Cuにより溶浸された擬合金からなる2種類の他の従来の電気接点物質から作られたW−15Cu合金の浸食速度とを比較した。試験の目的は、高出力遮断器中の電気接点物質としての合金の応用性を評価することであった。陽極及び陰極両方の質量の変化を記録して、両方の接点についての体積溶融を物質の密度に基づいて決定した。SF6における合金Aのアーク放電の挙動は、参照物質の挙動と類似するものであったが、合金Aのほうが遅い浸食速度を呈した。更に合金Aは、電流密度の関数として事実上直線的であり、かつ、より高い電流密度でSF6環境で予め試験された最良の従来の電気接点物質の範囲内の浸食速度を示した。合金Aはまた、空気中で非常に安定な性能を示した。アーク放電された接点は、空気中で動作する全ての電気接触物質に特有な普通の亀裂が生じたにもかかわらず、再結晶化された表面物質の構造的破壊を示さなかった。合金Aの浸食速度は、空気ほどは過酷な環境ではないSF6中で他の従来の接点物質よりも一層遅かった。
【0043】現在考えられるものを発明のより好ましい具体例として示しかつ記述してきたが、種々の変更及び改変が特許請求の範囲により規定される発明の範囲から逸脱しないで為すことができるということは、当業者に自明であるだろう。
【出願人】 【識別番号】394001685
【氏名又は名称】オスラム・シルバニア・インコーポレイテッド
【出願日】 平成12年10月6日(2000.10.6)
【代理人】 【識別番号】100067817
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 基弘 (外1名)
【公開番号】 特開2001−158901(P2001−158901A)
【公開日】 平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願番号】 特願2000−308000(P2000−308000)