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【発明の名称】 アルミニウム残灰の無害化方法
【発明者】 【氏名】横井 昌幸

【氏名】山内 尚彦

【氏名】宮内 修平

【氏名】井本 泰造

【氏名】岩崎 和弥

【氏名】森 正博

【氏名】山崎 清

【氏名】薦田 俊策

【要約】 【課題】外部からの大量のエネルギー供給を必要とすることなく、アルミ残灰を効率良く処理して、その無害化を行うとともに、アルミ残灰中に含まれる微量のダイオキシンを熱分解し得る新しい技術を提供することを主な目的とする。

【解決手段】酸化鉄系廃棄物とアルミニウム残灰との被処理混合物を収容した反応容器内において、テルミット反応開始剤により被処理混合物の縦断面方向に一次テルミット反応を開始させ、その発生熱により被処理混合物の横方向に二次テルミット反応を進行させて、アルミ残灰中の金属アルミニウムおよびアルミニウム化合物を酸化させることを特徴とするアルミニウム残灰の無害化方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】アルミニウム残灰と酸化鉄系廃棄物との被処理混合物を収容した反応容器内において、テルミット反応開始剤により被処理混合物の縦断面方向に一次テルミット反応を開始させ、その発生熱により被処理混合物の横方向に二次テルミット反応を進行させて、アルミニウム残灰中の金属アルミニウムおよびアルミニウム化合物を酸化させることを特徴とするアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項2】金属アルミニウム含有量5〜15重量%のアルミニウム残灰を用いる請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項3】酸化鉄系廃棄物が、製鉄ダスト、製鋼ダストおよび圧延スケールの少なくとも1種である請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項4】酸化鉄系廃棄物、アルミニウム残灰あるいは両者からなる被処理混合物を予め乾燥させる請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項5】被処理混合物に補助成分として、アルミニウムメッシュ灰、アルミニウム粉末、アルミニウム箔片およびアルミニウム薄板片の少なくとも1種を混合する請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項6】アルミニウム粉末と酸化鉄粉末との混合物からなるテルミット反応開始剤を可燃性材料製筒状体内またはアルミニウム製筒状体内に充填した後、筒状体の少なくとも1本を反応容器内に収容した被処理混合物の上部から下部に達する様に配置し、テルミット反応開始剤に点火して、一次テルミット反応を行う請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項7】アルミニウム粉末と酸化鉄粉末との混合物からなるテルミット反応開始剤を、被処理混合物を収容した円筒形反応容器の上部から下部まで同心円状に垂直に配置した後、テルミット反応開始剤に点火して、一次テルミット反応を行う請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項8】ガラス管を反応容器の外部から内部のテルミット反応開始剤の位置まで通し、このガラス管を通してレーザー光線を照射することにより、テルミット反応開始剤に着火して、一次テルミット反応を行う請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【請求項9】反応容器内面に沿って無機物層および可燃材層を順次設けた状態で被処理混合物を反応させる請求項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化鉄含有廃棄物(製鉄ダスト、製鋼ダストなど)の共存下に、アルミニウムのリサイクル過程で生成するアルミニウム残灰(以下「アルミ残灰」という)をテルミット反応に供することにより、その無害化を行う新規な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムのリサイクルに伴い生成するアルミドロスは、粉砕された後、粒度の大きい部分(メッシュ灰)と粒度の小さいアルミ残灰とに篩い分けされる。メッシュ灰は、通常20重量%以上の金属アルミニウムを含むので、再溶解してアルミニウムを回収されたり、あるいは製鉄/製鋼過程における保温材として利用されている。
【0003】一方、粒度の小さいアルミ残灰は、通常10重量%程度の金属アルミニウムと2〜20重量%程度の窒化アルミニウムが含まれているが、金属アルミニウムの含有量が低いので、再生原料としての利用価値はなく、産業廃棄物として処分されている。しかしながら、アルミ残灰は、空気中の水分を吸収してその一部が加水分解され、水素ガス、アンモニアガスなどの可燃性ガスを発生させるので、埋め立て処理することも困難である。したがって、アルミ残灰を予め水中で加水分解しておくことが望ましいが、やはり発生ガスによる引火・爆発の危険性を伴うとともに、長時間の処理によるコスト高を招いている。さらに、アルミ残灰中に微量含まれているダイオキシンは、加水分解では無害化することはできないので、高温で長時間酸化処理して、無害化する必要があるが、処理コストの点で実用上難点がある。
【0004】アルミ残灰を反応炉に収容し、外部からエネルギーを供給して、テルミット反応を進行させる場合には、反応をコントロールすることができないので、反応炉壁耐火物が損傷される;炉内で発生する二酸化炭素ガスが一酸化炭素ガスに還元されるので、排ガス対策が必要となる;エネルギーコストが高くなるなどの問題点があり、やはり実用的ではない。
【0005】アルミ残灰の加水分解を防止するために、防水した容器に充填した状態で埋め立て処理している手法も採用されているが、長期的な安全性には危惧すべき点がある。
【0006】この様な状況の下で、アルミ残灰の不法投棄、不法輸出などの違法な処分乃至処理も行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、外部からの大量のエネルギー供給を必要とすることなく、アルミ残灰を効率良く処理して、その無害化を行うとともに、アルミ残灰中に含まれる微量のダイオキシンを熱分解し得る新しい技術を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き従来技術の現状に留意しつつ、研究を進めた結果、アルミ残灰と酸化鉄含有廃棄物とからなる被処理混合物を反応容器内に収容した状態で、反応容器内混合物の垂直断面方向にテルミット反応を進行させる場合には、従来技術の問題点が大幅に軽減乃至実質的に解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、下記のアルミ残灰の無害化方法を提供するものである。
1.アルミニウム残灰と酸化鉄系廃棄物との被処理混合物を収容した反応容器内において、テルミット反応開始剤により被処理混合物の縦断面方向に一次テルミット反応を開始させ、その発生熱により被処理混合物の横方向に二次テルミット反応を進行させて、アルミ残灰中の金属アルミニウムおよびアルミニウム化合物を酸化させることを特徴とするアルミニウム残灰の無害化方法。
2.金属アルミニウム含有量5〜15重量%のアルミニウム残灰を用いる上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
3.酸化鉄系廃棄物が、製鉄ダスト、製鋼ダストおよび圧延スケールの少なくとも1種である上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
4.酸化鉄系廃棄物、アルミニウム残灰あるいは両者からなる被処理混合物を予め乾燥させる上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
5.被処理混合物に補助成分としてアルミニウムメッシュ灰、アルミニウム粉末、アルミニウム箔片およびアルミニウム薄板片の少なくとも1種を混合する上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
6.アルミニウム粉末と酸化鉄粉末との混合物からなるテルミット反応開始剤を可燃性材料製筒状体内またはアルミニウム製筒状体内に充填した後、筒状体の少なくとも1本を反応容器内に収容した被処理混合物の上部から下部に達する様に配置し、テルミット反応開始剤に点火して、一次テルミット反応を行う上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
7.アルミニウム粉末と酸化鉄粉末との混合物からなるテルミット反応開始剤を、被処理混合物を収容した円筒形反応容器の上部から下部まで同心円状に垂直に配置した後、テルミット反応開始剤に点火して、一次テルミット反応を行う上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
8.ガラス管を反応容器の外部から内部のテルミット反応開始剤の位置まで通し、このガラス管を通してレーザー光線を照射することにより、テルミット反応開始剤に着火して、一次テルミット反応を行う上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
9.反応容器内面に沿って無機物層および可燃材層を順次設けた状態で被処理混合物を反応させる上記項1に記載のアルミニウム残灰の無害化方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明方法の処理対象となるアルミ残灰は、アルミニウム含有量が5〜15重量%程度のものであり、テルミット反応に供しても、その発熱量は低い。
【0011】さらに、アルミ残灰は、吸湿性の塩化物を多量含有しているので、空気中から吸収した3〜4重量%程度の水分を含んでいることが多い。このままの状態で後述の二次テルミット反応に供する場合には、気化性成分(水分、塩化物、少量の酸化亜鉛など)が気化して、固相反応であるテルミット反応の進行を妨げる。したがって、アルミ残灰が1重量%程度以上の水分を含有している場合には、アルミ残灰あるいは後述するアルミ残灰と酸化鉄含有廃棄物との被処理混合物を予め100〜200℃程度で加熱乾燥することにより、全体の水分含有量を1重量%以下程度とし、テルミット反応を阻害しないようにしておくことが望ましい。
【0012】本発明において、二次テルミット反応を生じさせるための必須成分である酸化鉄源としては、製鉄ダスト、製鋼ダスト、圧延スケールなどが例示される。
【0013】本発明においては、アルミ残灰と酸化鉄系廃棄物(製鉄ダスト、製鋼ダスト、電炉ダスト、スラッジの加熱酸化処理物など)とアルミドロスとからなる粉末状被処理混合物中において、アルミニウム-酸化鉄混合粉末(テルミット反応開始剤)によるテルミット反応(一次テルミット反応)を行わせ、その発生熱により被処理混合物のテルミット反応(二次テルミット反応)を誘発させることにより、短時間内に混合物中でテルミット反応が進行して、アルミ残灰中のアルミニウムおよびその化合物(窒化アルミニウム、炭化アルミニウムなど)とが酸化され、無害化される。この際、鉄系廃棄物に由来する酸化鉄が同時に還元されて鉄微粒子となり、化学的に安定な生成物が得られる。
【0014】残存成分は、そのまま埋め立て処理したとしても、二次公害を発生させることはない。
【0015】本発明は、テルミット反応開始剤により一次テルミット反応を発生させること、一次テルミット反応により発生した熱により、粉末状被処理混合物に着火して二次テルミット反応を発生させること、両テルミット反応の進行方向と反応温度を制御すること、および二次テルミット反応中の被処理混合物を空気から遮断して、生成する気化性成分の蒸気を冷却捕集することを必須とする。
【0016】以下に、本発明の各構成要件について、詳述する。
1.反応進行方向と着火方法一般に、被処理混合物中に酸化亜鉛、塩化物、アルカリ金属などが含まれている場合には、テルミット反応の進行とともに、還元された亜鉛、アルカリ、塩素などの気化性成分は、蒸気となって、固相から脱離する。本発明が処理対象とする被処理混合物は、アルミニウム含有量が少なく、反応性が低いので、例えば、アルミニウム粉末と酸化鉄の混合物からなるテルミット反応開始剤を用いてテルミット反応(一次テルミット反応)を発生させ、その反応熱により、被処理混合物のテルミット反応(二次テルミット反応)を強制的に開始させる必要がある。
【0017】本発明者の研究によれば、一次テルミット反応を利用して、容器内に充填した被処理混合物の垂直断面に着火して横方向に二次テルミット反応を進行させるかあるいは下方から着火して上方に向けて二次テルミット反応を進行させる場合には、予想外にも、1000℃程度という低い反応到達温度で、被処理混合物全体においてテルミット反応が、確実に最後まで持続することが判明した。さらに、反応生成物の分析結果によれば、被処理混合物中に存在することがある酸化亜鉛は、この低い反応温度では、還元されたとしてもほとんど気化するには至らず、アルカリおよび塩素の大部分も、反応生成物中に残存することが判明した。これに対し、金属アルミニウムおよび窒化アルミニウムは、完全に酸化され、無害化されていることも、明らかとなった。
【0018】容器内に充填した被処理混合物の上方から下方に向けて二次テルミット反応を進行させる場合には、上部のテルミット反応開始剤(一次テルミット材料)が完全に溶融状態となり、その直下の被処理混合物も溶融するので、溶融スラグ相により“蓋をした”状態になる。したがって、反応により気化した気化性成分の揮散を妨げて、反応を停止させる場合がある。
【0019】また、下方からの着火により、二次テルミット反応を上方に向けて進行させる場合には、反応は確実に進行するものの、被処理混合物中に微量のダイオキシンが含まれていると、ダイオキシンが熱分解される前に気化して、上方から散逸する危険性がある。
【0020】したがって、二次テルミット反応は、容器内に充填した被処理混合物の垂直断面に対し横方向に進行させることが、特に好ましい。この場合には、ダイオキシンが気化したとしても、高温の一次テルミット反応により形成された上下方向の空隙部からガス化したダイオキシンが揮散し、高温の反応生成ガスと接触して、熱分解される。実用的には、反応容器上面に蓋を配置し、蓋に設けた通気口から反応生成ガスを装置外に誘導することにより、アルミ残灰の無害化とダイオキシンの熱分解とを同時にかつ確実に行うことができる。
【0021】本発明においては、反応容器に収容した被処理混合物の反応(二次テルミット反応)を一様に進行させるために、金属アルミニウムと酸化鉄との混合物からなるテルミット反応(一次テルミット反応)開始剤を使用する。テルミット反応の反応速度の点で、この開始剤と被処理混合物とでは、著しく異なる。すなわち、開始剤の反応速度が100cm/min程度であるのに対し、被処理混合物の反応速度は1cm/min程度である。したがって、被処理混合物中の垂直方向に(±10%程度以内の傾きは差し支えない)、テルミット反応開始剤を棒状、層状あるいは同心円上に配置しておく場合には、被処理混合物内において、開始剤による一次テルミット反応を垂直断面方向に急速に進行させることができる。
【0022】一次テルミット反応による発生熱は、被処理混合物を高温度に加熱するので、反応性の低い被処理混合物においても、上記垂直方向から横方向に二次テルミット反応が進行する。
【0023】テルミット反応開始剤の点火については、熱源、点火手段などの制限はない。例えば、反応容器上方に設けた開口部から電気的手段により行うことができる。あるいは、反応容器の外部からテルミット反応開始剤の位置までガラス管を配設し、炭酸ガスレーザー光線を照射して、テルミット反応開始剤に点火してもよい。
【0024】なお、アルミ残灰と鉄系廃棄物、あるいはこれら両者からなる被処理混合物は、テルミット反応に先立って、予め乾燥および/または加熱処理しておくことが好ましい。
2.反応温度による反応生成物の性状と気化成分の除去反応生成物の形状および成分は、二次テルミット反応の温度により、大きく影響される。
【0025】本発明の基礎となる研究において、以下に詳述する様に、被処理混合物中の酸化亜鉛の含有率および酸化鉄/金属アルミニウム比を変化させて、二次テルミット反応を行わせた。
【0026】なお、被処理混合物は、酸化鉄源と金属Al源混合物とを混合して調製した。酸化鉄源は、酸化鉄単独あるいは酸化鉄と電炉ダスト(亜鉛含有率;ZnOとして35重量%)との混合物を使用した。
【0027】その結果、以下のことが判明した。二次テルミット反応の反応温度は、アルミ残灰に由来する金属Al含有量、空気からの水分吸着量などに依存するが、ここで使用した組成範囲では、通常1000〜1300℃程度である。金属Al含有率が高くなると反応温度は高くなり、低くなると反応温度は、低くなる。
【0028】金属Al含有率が5重量%未満の場合には、二次テルミット反応が持続できない。これに対し、金属Al含有率が15重量%を超える場合には、二次テルミット反応の最高到達温度が1300℃を超え、亜鉛、塩化物、アルカリ金属などの低沸点化合物は気化除去されるものの、スラグ相も完全に溶融され、強固となる。また、発生するガス量も多くなり、ガスの回収と無害化とが必要となる。
【0029】しかるに、二次テルミット反応温度が1000〜1300℃程度となる様に、被処理混合物の組成調整を行う場合には、亜鉛、塩化物およびアルカリ金属が殆ど蒸発しないので、簡単な装置で大量のアルミ残灰を処理することができる。被処理混合物中のAl含有量が少なすぎる場合には、二次テルミット反応の温度が1000℃程度に達しないので、テルミット反応が継続できない場合がある。したがって、Al含有量5〜15重量%程度、より好ましくは9〜12重量%程度のアルミ残灰を使用することが望ましい。あるいは、被処理混合物中のAl含有量が少なすぎる場合には、アルミニウムドロス、アルミニウムメッシュ灰、アルミニウム粉末、アルミニウム箔片、アルミニウム薄板片などを被処理混合物に添加しても良い。
【0030】また、被処理混合物中の酸化鉄含有量が少なすぎる場合には、圧延スケールなどの酸化鉄含有副生物を添加しても良い。
3.気化成分の捕集被処理混合物を収容した耐火性反応容器の上部に設けた開口部から気化した成分を容器外に取り出して、冷却しあるいは水洗することにより、清浄化したガスを大気中に放出することができる、耐火性容器に設けた開口部は、テルミット反応開始剤に点火するためにも使用できる。
4.反応容器からの反応生成物の分離テルミット反応容器は、1000℃以上の高温で繰り返し使用できることが実用的に望ましい。反応容器は耐火性材料により形成する。耐火性材料としては、鉄系の耐火金属(普通鋼、耐熱合金鋼など)、金属溶解容器などにおいて用いられる酸化物系、窒化物系などの公知の耐火物材料(マグネシア質耐火物、クロム質耐火物など)が例示される。
【0031】しかしながら、耐火性材料は、テルミット反応生成物と凝着しやすいので、反応容器からの反応生成物の取り出し、あるいは反応容器の再使用が困難となる場合がある。この様な場合には、テルミット反応を行うに先立ち、反応容器内壁と被処理混合物との間に無機物層(砂、テルミット反応生成物など)と可燃性乃至炭化性材層(段ボール紙、厚紙、ペーパータオル、プラスチックスシートなど)とを順次設けることにより、反応生成物の凝着を防止するとともに、反応容器の断熱性を高めることができる。可燃性材乃至炭化性材層は、燃焼することなく、原形をほぼ維持した状態で炭化される。この炭化層は、無機物層および反応容器内壁への亜鉛などの拡散移行を防止するとともに、固化した多孔質反応生成物の反応容器からの取り出しを容易とする。
【0032】
【発明の効果】酸化鉄含有廃棄物の存在下にアルミ残灰を処理する本発明によれば、以下の様な効果が達成される。
1.外部からの大量のエネルギー供給を行うことなく、アルミ残灰中の金属アルミニウムおよびアルミニウム化合物を酸化して、その無害化を容易に行うことができる。
2.固形反応生成物は、化学的に安定しているので、単独で造粒したり、あるいは粘土と湿式混練した後、造粒を行うことが可能である。造粒物は、窯業原料、スラグに添加される蛍石代替材料、あるいは電炉の還元期スラグ、炉外精錬スラグの崩壊性(ふけ)防止用添加剤として、有用である。
3.アルミ残灰と製鉄ダスト/製鋼ダスト中に微量ながら含まれるダイオキシンを完全に分解することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を参照しつつ、本発明をより具体的に説明する.
<着火方法>テルミット反応開始剤は、アルミ二ウム粉(粒径10〜100μm)と酸化鉄粉(粒径1〜10μm)を重量比3対8で混合して、調製した。厚さ1mm、幅5mm、長さ5cmのマグネシウムリボンをテルミット反応開始剤の表面に突き立てて、これを導火線とした。マグネシウムリボンの先端をガスバーナーで加熱すると瞬時に点火し,これが燃え尽きると同時にテルミット反応開始剤に着火する。
実施例1図1に模式的に示す容量1.5リットルの耐火断熱材製の反応容器1(厚さ2.5cm、内部寸法;縦10cm×横10cm×高さ15cm)の四方の内面沿いに内面から約10mmの間隔をおいて高さ15cmの段ボール紙(図示せず)を配置し、内面と段ボール間の空間部に粒径1〜2mm程度の砂13を充填した。次いで、段ボール紙により囲まれた角筒状の内側空間部に、圧延スケール酸化鉄単独あるいは圧延スケール酸化鉄と電炉ダスト(亜鉛含有量は、Znとして35重量%)との混合物(酸化鉄源)、および金属アルミニウム含有率9.3%のアルミ残灰からなる被処理混合物3を2kg充填した後、耐火鋼製の蓋5を載せた。なお、充填された被処理混合物3の一側面に沿って、酸化鉄粉とAl粉とからなるテルミット反応開始剤約110gを厚さ1cm程度の層状7に予め充填しておいた。次いで、被処理混合物を150℃で2日間加熱乾燥した後、側壁中央に直径1cmの穴を開け、被処理混合物中央まで石英管を挿入し、熱電対(図示せず)を設置した。次いで、蓋5の開口部(図示せず)を介して、テルミット反応開始剤に着火した。
【0034】一側面側のテルミット反応開始剤に着火すると瞬時に一次テルミット反応が下方向に進行して、上下方向に空洞9が形成されるとともに、空洞9に接する被処理混合物が、全面にわたってほぼ同時に着火された。その後、被処理混合物3の横方向(図面において右方向)にゆっくりと二次テルミット反応が進行し、同様に砂を充填した対向する側面に至って、反応は終了した。その間、被処理混合物3の見掛けの形状および体積は変化せず、酸化亜鉛を含有する組成の場合には、空洞9から僅かなガスの発生が認められた。
【0035】図2は、被処理混合物中央に設置した熱電対により測定した温度変化を示すグラフである。試料No.1〜3のいずれにおいても、被処理混合物中の二次テルミット反応面が熱電対設置位置に達すると、急激に温度が上昇し、約1000〜1100℃に達して、1分間以上同温度を維持した後、温度は緩やかに低下する。ダイオキシンは、800℃で1秒以内に分解されることが報告されているので、本発明によれば、ダイオキシンは完全に分解されていることが明らかである。
【0036】反応容器1を一昼夜放置して冷却したところ、易崩壊性の固形反応生成物が得られた。反応生成物を水酸化ナトリウム水溶液(濃度3mol/l)に投入し、約100℃に加熱したが、いずれの試料においてもガス発生は認められず、アンモニア臭も感じられなかった。
【0037】被処理混合物3種(試料No.1〜3)の組成、反応温度および反応生成物の性状を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】なお、図1に示す反応容器に代えて、同内容積の円筒形の反応容器を使用し、その中心部上下方向に円柱状にテルミット反応開始剤を配置して、被処理混合物の処理を行う場合にも、上記とほぼ同様の結果が得られた。
実施例2実施例1と同様の反応容器を用いて、表2に示す組成の被処理混合物の処理を行った。
【0040】なお、本実施例においては、金属Al源としてアルミ残灰とメッシュ灰との混合物(金属Al含有率=15重量%)を使用し、電炉ダストは実施例1と同様のものを使用した。
【0041】反応の進行状況は、実施例1とほぼ同様であったが、反応温度は実施例1に比して100℃程度高く、電炉ダストを含む被処理混合物については、着火部分の空洞から緩やかな白煙の発生が認められた。反応中には、被処理混合物の見掛けの形状および体積は殆ど変化せず、反応生成物の性状は、実施例1の場合よりもやや硬かったこと以外は、ほぼ同様であった。
【0042】表2に被処理混合物3種(試料No.4〜6)の組成、反応温度および反応生成物の性状を示す。
【0043】
【表2】

【出願人】 【識別番号】000205627
【氏名又は名称】大阪府
【出願日】 平成11年12月3日(1999.12.3)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
【公開番号】 特開2001−157885(P2001−157885A)
【公開日】 平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願番号】 特願平11−344138