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【発明の名称】 ねじ付きファスナにフルオロポリマーコーティングを塗布する方法
【発明者】 【氏名】リチャード・ジェイ・ダフィ

【氏名】ユージン・ディー・セサー

【要約】 【課題】ねじ付きファスナの選択した部分(例えば、ねじ部の全ての部分)にフルオロポリマーを塗布する方法を提供する。

【解決手段】スプレーノズル(10)にパウダ状で供給されるフルオロポリマーを帯電させ、そのパウダを空気に連行してノズル(10)からファスナの選択した部分に向けて放出する。このようにして、ファスナを室温に維持しながら、ほぼ均一なパウダコーティングを前記選択した部分に堆積させることができる。その後、ファスナをフルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱して前記部分に堆積したパウダを連続する付着性のフィルム状コーティングなるように一体形成し、該コーティングを冷却することにより前記部分に付着させる。例えば、誘電加熱コイル(44,44)を用いてファスナの選択された部分のみをフルオロポリマーの融点以上の温度にすることができる。それにより、選択された部分以外の部分に堆積したフルオロポリマーを容易に除去できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ねじ付きファスナの少なくとも選択した部分をフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が摩擦静電気を帯びるように前記フルオロポリマーパウダに摩擦静電気帯電処理を施し、前記パウダ連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナの前記少なくとも選択された部分に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナを前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱して前記パウダを前記ファスナの前記少なくとも選択した部分上に実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項2】 前記被覆されたファスナを冷却するステップを更に含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】 請求項2に記載の方法であって、前記ファスナは外ねじ付きファスナであり、前記冷却ステップの間又は前記冷却ステップの後に、前記選択された部分以外の前記ファスナの部分に堆積したフルオロポリマーパウダを除去するステップを更に含んでなる方法。
【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、前記ファスナは外ねじ付きファスナであり、前記加熱ステップの間に、前記選択された部分以外の前記ファスナの部分の温度を前記フルオロポリマーパウダの融点温度以上にさせないことを含んでなる方法。
【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、前記ねじ付きファスナは亜鉛メッキされ、該亜鉛メッキに対して前記加熱ステップにより影響を与えないように設けた方法。
【請求項6】 内ねじ付きファスナの選択した部分をフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が摩擦静電気を帯びるように前記フルオロポリマーパウダに摩擦静電気帯電処理を施し、前記パウダ連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナのねじ部に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナを前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱して前記パウダを前記ファスナの前記少なくとも選択した部分上に実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項7】 外ねじ付きファスナの選択した部分をフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が摩擦静電気を帯びるように前記フルオロポリマーパウダに摩擦静電気帯電処理を施し、前記パウダ流連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナの前記選択された部分に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナの前記選択した部分を前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱して前記パウダを前記ファスナの前記少なくとも選択した部分上に実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項8】 ねじ付きファスナの少なくとも選択した部分をフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が帯電するように前記フルオロポリマーパウダに帯電処理を施し、前記パウダ連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナの前記選択された部分に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナの前記選択した部分を前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱すると共に前記ファスナの前記選択した部分以外の部分を前記融点温度以下の温度に維持して前記パウダを前記ファスナの前記選択した部分上にのみ実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項9】 ねじ付きファスナのねじ部の全てをフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が摩擦静電気を帯びるように前記フルオロポリマーパウダに摩擦静電気帯電処理を施し、前記パウダ流連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナの前記ねじ部に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナを前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱して前記パウダを前記ファスナの前記ねじ部上に実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項10】 前記加熱ステップの間に前記ファスナのねじ部でない部分を前記フルオロポリマーの融点温度以上の温度に到達させないように設けた請求項9に記載の方法。
【請求項11】 前記フルオロポリマーパウダを約1X10−7から1X10−3クーロン毎キログラムの間に帯電させた請求項9に記載の方法。
【請求項12】 ねじ付きファスナの少なくとも選択した部分をフルオロポリマーで被覆する方法であって、パウダ状のフルオロポリマーをスプレーノズルに供給し、前記スプレーノズルに高圧ガスを供給し、前記スプレーノズルからフルオロポリマーパウダ連行ガス流を放出し、前記ガス流に連行されたパウダのフルオロポリマー粒子が摩擦静電気を帯びるように前記フルオロポリマーパウダに摩擦静電気帯電処理を施し、前記パウダ連行ガス流内に前記ファスナを位置させて、前記ファスナの前記少なくとも選択された部分に前記フルオロポリマーパウダのコーティングを堆積させ、前記ファスナを前記フルオロポリマーの実質的に融点以下の温度から前記フルオロポリマーの融点以上の温度まで急速に加熱して前記パウダを前記ファスナの前記少なくとも選択した部分上に実質的に連続した付着性のフルオロポリマーコーティングとして一体形成する、ステップを含んでなる方法。
【請求項13】 前記加熱ステップを誘電コイルを用いて達成する請求項12に記載の方法。
【請求項14】 前記加熱ステップを約30分又はそれ以下で達成する請求項12に記載の方法。
【請求項15】 前記加熱ステップを約1分又はそれ以下で達成する請求項12に記載の方法。
【請求項16】 前記加熱ステップを約10秒又はそれ以下で達成する請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、フルオロポリマーで被覆されたファスナに関し、特に、ねじ付きファスナの事前選択した部分をフルオロポリマーで効果的かつ効率的に被覆する新規な方法に関する。
【0002】
【背景技術】ねじ部をフルオロポリマー樹脂で被覆することでねじ付きファスナをねじ汚染物から保護することができるものと最近認識されている。ファスナのねじ部の適正な結合を阻止する典型的な汚染物はペンキ、防錆プライマー、溶接のスパッタ、ハンダである。こういった汚染物にさらされる前にファスナのねじ部をフルオロポリマーで被覆することでファスナに汚染物が付着することを減少あるいは防止することができる。しかしながら、そういったフルオロポリマーコーティングを使用する際に、ファスナの選択した部分にのみフルオロポリマーコーティングを塗布することが重要であり、かつ、しばしば、決定的に重要である。ファスナのすべての領域にむやみにコーティングを施すことは避けるべきである。この分野における従来技術の例として、米国特許第RE33,766号及び5,221,170号が見受けられる。これらの特許の開示内容は、参照のためにここに組み入れられる。
【0003】上記特許に開示される方法及び被覆されたファスナはほぼ商業的な成功を得ているが、いくつかの欠点を有する。例えば、この従来技術を実施する際に、ファスナはフルオロポリマーパウダが塗布される前に加熱される。そのため、ファスナは、加熱ステーションからパウダスプレーステーションまでの移送の間にいくらか冷えることを考慮して必然的にフルオロポリマーの融点よりかなり高い温度まで加熱される。この上昇温度は、華氏で約750度乃至900度であり、ある種のファスナの材料又はメッキに損傷を与えるので、この従来技術を適用することには限界がある。
【0004】従来技術に関する別の欠点は、ほぼ均一かつ連続的なコーティングを達成するために比較的多量のフルオロポリマーパウダが必要とされるので、この方法はコスト高となることである。
【0005】従来技術に関する別の欠点は、伝統的にフルオロポリマーコーティングをある程度長い時間焼いて焼結するので、長い処理時間を必要とすることである。
【0006】従来のコロナ放電技術を用いてフルオロポリマーパウダを電気的に堆積させることを試みる初期実験が以前に行われた。しかしながら、出来上がったフルオロポリマーパウダコーティングはファスナのやたらと広い領域に塗布されたので、被覆が望まれる事前に選択した領域のみにコーティングが施されるようにするために何らかのマスキングが必要とされた。さらに、内ねじを被覆する際には、ファラデーケージ効果が関係してくるので、出来上がりのコーティングの集積度はさらに制限される。コロナ放電技術によってパウダーを静電堆積させる可能性は、大量生産においてはマスキングが困難でありかつ割高となるため否定された。
【0007】従って、低温を使用し、フルオロポリマー樹脂の使用量が少なく、低コストの新規のフルオロポリマーコーティング方法であって、しかも従来のパウダーフルオロポリマー技術の特長及び利点を維持する方法が要求されている。
【0008】
【発明の開示】本発明は、ねじ付きファスナの事前選択した領域、特に、ファスナの実質的にすべてのねじ部にフルオロポリマーを塗布する方法に関する。
【0009】フルオロポリマーはパウダ状でスプレーノズルへ供給されて、スプレーノズルから放出される個々の粒子が帯電するように摩擦静電気処理を受ける。発明の好ましい形態としては、フルオロポリマーパウダは摩擦静電気で帯電され、ノズルから放出された空気流に連行されてファスナの事前選択された領域に向けられる。このように、ファスナを室温に維持しながらほぼ均一なパウダコーティングをファスナの事前選択された領域に堆積させる。その後、ファスナはフルオロポリマーの融点以上の温度まで加熱され、堆積したパウダが合体(一体化)して連続したフィルムコーティングとなり、冷却されるとファスナの事前選択された領域に付着する。
【0010】本発明の方法は、内ねじ付き又は外ねじ付きファスナのような内ねじあるいは外ねじ製品のいずれかに用いることができる。好ましい実施の形態において、外ねじ付きファスナは、該ファスナの選択された領域のみをフルオロポリマーの融点まで高めるように加熱される。この好ましい加熱技術は、ファスナの事前選択された領域以外の領域に不意図的に堆積したフルオロポリマーの保持率を最小にし、しかも、この望ましくないフルオロポリマーを加熱後においてさえも容易に除去することができる。
【0011】本発明を用いて、内ねじ付きファスナのコーティングをねじ付き領域のみに制限することができ、故に、ファスナ全体を加熱して堆積したパウダを合体させることができる。
【0012】本発明によれば、フルオロポリマーの付着に要する加熱時間は実質的に減少する。
【0013】本発明の特徴である新規な特長は添付の特許請求の範囲に定められる。しかしながら、発明自身とさらなる目的及びその付随する利点は、添付の図面に関してなされる以下の説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【0014】
【発明の実施形態】本発明の方法は、従来の溶接スタッドのような外ねじ付きファスナに対する選択的なフルオロポリマーコーティングに関して図1,2,6及び7に示される。しかしながら、本発明は図示のファスナに限定されるものではなく、あらゆる種類及び形状の外ねじ付き及び内ねじ付きファスナの両方に適用可能であることがわかる。発明の利点は、高い生産性の下に、ファスナの事前選択された領域以外のコーティングが必要とされない残りの領域にマスクを施すことなくファスナの事前選択された領域のみを容易かつ迅速に被覆することができる能力に起因する。
【0015】図1において、フルオロポリマーパウダは従来技術のパウダスプレーノズル10の供給口に供給される。この種の典型的なスプレーノズルは、供給パウダを循環させ空気連行パウダ流を発生させるために約40乃至80psiの高圧エアを用いる。
【0016】好ましくは、フルオロポリマーパウダは、取引指定名PFAパウダホワイト、製品コード532−5100の下にデュポン社により製造されているペルフルオロアルコキシ樹脂(perfluoroalkoxy resin)である。このパウダの粒子サイズは約20プラスマイナス3ミクロンである。
【0017】多様なパウダスプレーノズルと関連する供給装置を本発明の実施に用いることができる。適当な実例は米国特許第3,579,684号、第4,815,414号、第4,835,819号、第5,090,355号、第5,571,323号及び第5,792,512号に開示されている。これらの開示は参照のために本明細書に組み入れられる。
【0018】ファスナは、よく知られた装置を用いてパウダ流内に位置され、あるいはパウダ流と直交するように搬送される。ここでも適当な実例は米国特許第3,894,509号、第4,120,993号、第4,775,555号、第4,842,890号及び第5,078,083号に説明されている。これらの特許の開示もまた参照のために本明細書に組み入れられる。図示の装置は、周囲にファスナ担持ポスト14を備える水平回転コンベア12を含む。ファスナ担持ポスト14は、好ましくは、アルミニウム、真鍮、鋼、あるいは銅のような高い熱伝導率を有する材料から作られる。更に、上記各ポストは中央に配設した磁石15を格納しており、これによりファスナを適正位置に保持することができる。
【0019】各ファスナ担持ポスト14は回転可能に回転コンベア12に取り付けられており、ポストの下端から延伸するギヤ又はスプロケット16によって駆動される。このギヤは、適当な位置に設けられた可変モータ駆動のタイミングベルト(図示省略)と交わりそれに係合するときに回転し、これにより、ファスナがパウダ流内に位置するときにポストとファスナを回転させる。その他の適当な回転ファスナキャリアの実例が米国特許第4,842,890号、第5,078,083号及び第5,090,355号に開示されている。これらの開示も参照のために本明細書に組み入れられる。
【0020】ファスナセンタリングステーション20を使用することができる。この装置はファスナを担持ポスト14上にセンタリングして、ファスナがパウダ流内に位置するときにウォブルフリーの(揺れのない)回転を与える。このセンタリングステーションの好ましい一例を図2、4及び5に示す。センタリングステーションは、駆動ポスト24と、駆動ベルト26(ホイール38と駆動ポスト24に掛け回したもの)と、駆動アセンブリ28(駆動ベルト18を含む)とを介して回転駆動されるファスナ係合ホイール22を使用する。ベルト26はスプロケット16に係合してファスナを回転させる。ベルト26は同じ、あるいは第2の適当に位置された可変モータ(図示省略)によって駆動することができる。回転コンベア12に対するホイール22の半径方向位置は、駆動ポスト24を回転可能に設けた支持バー30上に設けることで調整できる。なおバー30は、ねじ付きロッド32を用いて位置替えできる。ロッド32を回転させると、支持バー30が回転してホイール22の半径方向位置が調整される。
【0021】本発明の好ましい実施形態によれば、ノズル排出口の形状によりパウダ流の形状を少なくとも部分的に変えることができる。従って、小さな垂直寸法を有するノズルを用いて垂直方向に狭い流れを形成することができ、逆に、垂直方向に大きな寸法を有するノズルを用いれば垂直方向に幅の広い流れが形成されることになる。流れの水平方向の広がりも同様に制御できる。更に、エアナイフ40(図6参照)をノズル10の上下に又は上下のいずれか一方に配設することができる。図示のように、ノズル排出口の下に配設したエアナイフ40は、パウダ流の下限範囲の境界を定め、ファスナの下部領域又はファスナ担持ポスト14に堆積するパウダの量を減少させる。
【0022】パウダ流のうちのファスナに堆積しない部分を捕捉して再循環させるためにバキューム収集装置を採用することもまた望ましい。典型的に、バキュームノズル42は、図示するように、スプレーノズル10に並べて配設され、パウダ流の断面積よりも多少大きなサイズとされる。
【0023】本発明の重要な形態によれば、フルオロポリマーパウダがファスナの事前選択された領域のみ、通常ファスナのねじ付き部分のほぼ全体に保持されるようにフルオロポリマーパウダの条件付けを行うことが必要である。パウダは選択された領域に均一に堆積しなければならないし、融点まで加熱されるまでそこに保持され合体して付着する連続的なコーティングとなる必要がある。更に、ファスナが回転コンベア12その他のコンベアを介して加熱ステーションまで搬送される間に、ファスナはそのように保持される必要がある。パウダ供給リザバーから適当な管内にパウダを急速に通過させることにより、即ち、スプレーノズル内を急速に通過させることによりパウダに摩擦静電気を帯びさせることが好ましい。そうすれば、約1X10−7から約1X10−3クーロン毎キログラムの範囲の穏やかな静電気をパウダ流に発生させることができる。
【0024】ナイロン、ビニールまたはポリエステル管が好ましいが、その他の材料、金属のような電導性の管でさえもまた満足に作用することが判明した。パウダに約1X10−3から約3X10−3クーロン毎キログラムの範囲の電荷又は質量電荷密度を与えるとうまく作用することが判明した。この電荷は、従来技術の銅製のスプレーノズルを用い、ノズルを通るエアの速度を約350乃至350メートル毎秒、パウダ流量を約1.5乃至3.0X10−4キログラム毎秒とすることによって発生させられる。
【0025】摩擦静電気を帯びた粒子のコーティングによる被覆は、コロナフィールド効果によってではなく、主として連行する空気空間の方向によって決まることが判明した。換言すれば、摩擦電荷はフルオロポリマーが空気連行パウダ流と直接直交するファスナの領域に保持されるように手助けし、一方、パウダ流の形状と、エアナイフを適当に位置させて用いることで、フルオロポリマーコーティングがファスナに付着することが不要な他の領域にパウダが堆積することを最小にする。従って、パウダ流の形状を適正にしかつパウダ流に対してファスナの位置を適正にすることによって、ファスナのほぼ所望の領域のみにフルオロポリマーパウダコーティングを適正に堆積させることができる。一例として、内ねじ付きファスナのコーティングはねじ領域のみに限定され、それ故、ファスナ全体を加熱して堆積したパウダを一体的にすることができる。
【0026】また、摩擦静電気を帯びたパウダは最小量で高均一の完全なパウダコーティングとなることが発見された。実際、非常に均一でピンホールのないコーティングができ、加熱後は、1/2mil(0.0005インチ)未満の厚みの均一なコーティングであった。
【0027】ファスナは、フルオロポリマーパウダで被覆された後に回転コンベア12によって加熱ステーションに搬送される。ここでも、多くの異なる加熱装置を用いることができるが、誘電加熱コイル44が最も満足できるものであることが判明した。そういったコイルは米国特許第5,306,346号及び第5,632,327号に説明されており、これらの開示は参照のためにここに組み入れられる。誘電加熱はファスナの表面温度を上昇させる。フルオロポリマーはこの表面と直接接触しているため熱伝達により加熱される。その結果、ファスナをフルオロポリマー融点(約華氏580度)よりも若干高い温度まで、あるいは典型的に約華氏600度乃至650度の範囲に加熱するだけでよい。これは、事前にファスナを加熱するフルオロポリマーコーティングに必要とされる温度(典型的に約華氏750度乃至900度)以下である。従って、本発明の方法は、約華氏700度以上に加熱されるとしばしば劣化する亜鉛メッキファスナのようなメッキファスナの場合に特に利点を有する応用例であることがわかる。
【0028】本発明の好ましい形態によれば、フルオロポリマーで被覆されたファスナはフルオロポリマーを溶融させるに十分な比較的短い時間加熱される。誘電加熱コイルを用いて、フルオロポリマーパウダは室温から華氏600度−650度の範囲の温度まで急速に加熱される。従って、本発明を用いれば、フルオロポリマーパウダに必要な加熱時間は実質的に短くなり、30分まで、あるいはそれ以下となる。好ましくは、加熱時間はたったの5−10分又はそれ以下であり、更に好ましくは、約1分以下である。特に好ましい形態においては、ファスナの所望の部分上でのフルオロポリマーコーティングの溶融は約10秒以下で達成され、より早くは約1−2秒又はそれ以下である。
【0029】図に示す装置を用いた1実施形態において、M10溶接スタッドが被覆された。被覆されたファスナの数と、各ファスナのフルオロポリマーパウダの溶融に要した時間は以下に示すとおりである。
【0030】
【表1】

【0031】本発明によれば、誘導加熱コイル44はファスナを選択して加熱するように位置される。図7に示すように、溶接スタッドは、そのねじ付き軸部がコイル44,44間を通り、頭部がこれらのコイルの下に位置するように担持ポスト14上に支持されている。このように、ねじ付き部分は所望の温度まで加熱され、ねじ付き部分以外の部分はフルオロポリマー溶融点以下に維持される。このように、選択的な加熱は、担持ポストに隣接するファスナの温度を最小にするヒートシンクとして働く高熱伝導性の担持ポスト及び磁石を用いることによって助長される。
【0032】選択的な加熱はいくつかの利点を有する。第1は、付着性を有するフルオロポリマーコーティングがフルオロポリマー融点温度に至る領域(ねじ付き部)のみにおいて作られることである。従って、他の領域に堆積したフルオロポリマーパウダは、ファスナが耐蝕クーリングバスに浸けられると容易に除去される。更に、エネルギの消費を低くすることができ、また、高い生産率を達成することができる。最後に、選択的加熱は、最終的に被覆が望まれる部分よりも実質的に広い領域に初期にパウダを堆積させるフルオロポリマーのコロナ電荷静電堆積のようなパウダ塗布技術を判別することを少なくすることができる。
【0033】ここで、ファスナに「堆積され」かつ「保持された」パウダというときは、それは加熱ステーションまで搬送される間にパウダが所定場所に残るということのみを意味することであることに注意されたい。この条件において、パウダは、高速ガス流、機械的ブラッシング又は液体による洗浄により容易に除去される。一方、「付着性の」コーティングというときは、それは、フルオロポリマーが実質的に連続したフィルムとして一体となり、高速エア流若しくは高速液体流又は緩やかな機械的研磨を受けたときでさえファスナの表面に付着するフィルムとなることを意味するものである。しかしながら、最も好ましくは、「付着性の」フルオロポリマーコーティングは、ファスナが相手側のファスナによって係合されて適当な締め付け加重を受けるときにファスナのねじ付き部から剥がれる。
【0034】ファスナは、加熱ステーションを通過した後、適当なカム46及び/又はエア流によって担持ポストから除去されて空冷されるか、あるいは典型的には水をベースとした耐食バス又はその他の液体処理のクーリングバスに浸される。
【0035】コーティングが完成したファスナはそのねじ付き部に付着したフルオロポリマーフィルムを有する。このフィルムはねじの山と谷の両方において厚みがほぼ均等であり、実質的にピンホールがない。さらに、このコーティングはバインダ、てん料あるいは他の化合物を含まない実質的に純粋なフルオロポリマーコーティングである。本発明によれば、このフィルムは98%以上のフルオロポリマーを含み、残りは二酸化チタンのような着色顔料である。しかしながら、所望とあらば、コーティングの機械的及び/又は化学的特性を高めるためにその他の化合物を加えることもできる。
【0036】本発明の方法は、コーティングが望まれないファスナの部分に事前にマスキングを施す必要がなく、大量生産的に比較的小さなねじ付きファスナの選択的なコーティングを可能にする。
【0037】もちろん、ここで説明した好ましい実施形態に種々の変更及び変形を行うことができることは当業者にとって明白である。そういった変更及び変形は発明に付随する利点を損なうことなく行うことができる。従って、そういった変更及び変形は特許請求の範囲に記載した発明によってカバーされるものである。
【出願人】 【識別番号】595022382
【氏名又は名称】ナイロック・ファスナー・コーポレーション
【出願日】 平成12年7月6日(2000.7.6)
【代理人】 【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造 (外3名)
【公開番号】 特開2001−58152(P2001−58152A)
【公開日】 平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願番号】 特願2000−204863(P2000−204863)