| 【発明の名称】 |
薄膜形成装置及び薄膜形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】松本 浩之
【氏名】船本 進
【氏名】小崎 倫典
【氏名】松戸 隆一
【氏名】石原 平吾
【氏名】加藤 章
【氏名】町田 俊一郎
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| 【要約】 |
【課題】表面が潤滑膜で被覆されている情報記録媒体において、滑剤薄膜を形成するために、液面降下速度を制御して均一な薄膜を形成すること。
【解決手段】塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板4を浸漬及び乾燥させて塗布物を被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成装置において、被塗布基板4に塗布物を薄膜形成する塗布処理槽1と、塗布処理槽へ溶液を供給する供給槽2と、供給槽から塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管10及び塗布処理槽から供給槽に溶液を戻す戻り配管9と、を備え、被塗布基板を溶液中に一定時間浸漬した後の塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に保持し、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持し、少なくとも塗布処理槽を密閉状態にして不活性ガスを充填し、塗布処理槽内部を陽圧に保つこと。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板を浸漬及び乾燥させて前記塗布物を前記被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成装置において、前記被塗布基板に前記塗布物を薄膜形成する塗布処理槽と、前記塗布処理槽へ前記溶液を供給する供給槽と、前記供給槽から前記塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管及び前記塗布処理槽から前記供給槽に溶液を戻す戻り配管と、を備え、前記被塗布基板を前記溶液中に一定時間浸漬した後の前記塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に保持し、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持することを特徴とする薄膜形成装置。 【請求項2】 塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板を浸漬及び乾燥させて前記塗布物を前記被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成装置において、前記被塗布基板に前記塗布物を薄膜形成する塗布処理槽と、前記塗布処理槽へ前記溶液を供給する供給槽と、前記供給槽から前記塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管及び前記塗布処理槽から前記供給槽に溶液を戻す戻り配管と、を備え、前記被塗布基板を前記溶液中に一定時間浸漬した後の前記塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に保持し、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持し、少なくとも前記塗布処理槽を密閉状態にして不活性ガスを充填し、前記塗布処理槽内部を陽圧に保つことを特徴とする薄膜形成装置。 【請求項3】 請求項1または2に記載の薄膜形成装置において、前記戻り配管に前記溶液の流量を制御するバルブを設けると共に、前記塗布処理槽に槽内の液面を検出する液面検出器を設け、前記液面検出器からの検出信号に基づいて前記バルブを制御して前記塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に制御することを特徴とする薄膜形成装置。 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の薄膜形成装置において、前記被塗布基板は磁気記録媒体の磁性層と保護膜からなるものであり、前記塗布物は潤滑剤であることを特徴とする薄膜形成装置。 【請求項5】 被塗布基板に塗布物を薄膜形成する塗布処理槽と、前記塗布処理槽へ前記塗布物の溶解された溶液を供給する供給槽と、前記供給槽から前記塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管及び前記塗布処理槽から前記供給槽に溶液を戻す戻り配管と、を備え、前記塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板を浸漬及び乾燥させて前記塗布物を前記被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成方法において、少なくとも前記塗布処理槽を密閉状態にして不活性ガスを充填し、前記塗布処理槽内部を陽圧に保ち、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持し、前記被塗布基板を前記溶液中に一定時間浸漬した後、前記塗布処理槽における溶液を所定の一定の降下速度で排出させることを特徴とする薄膜形成方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液状の塗布物を被塗布基板に薄膜を形成する装置に係わる。特に、塗布物を溶剤によって希釈し、ナノメーターオーダーの薄膜を形成する装置である。応用例として、情報記憶再生装置に係わり、特にスパッタリング、蒸着等によって非磁性支持体上に磁性薄膜を形成してなる磁気記憶再生媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、情報記憶再生装置は、円板(ディスク)状またはテープ状などの情報記録媒体と、情報記録再生用ヘッド、駆動機構および記録再生回路とを備えている。その中でも円板上に磁性層を形成した磁気ディスク装置は、情報へのアクセス速度の速さや記憶容量の面で情報記憶再生装置として広く利用されている。 【0003】高密度磁気記録への高まりから、非磁性支持体上に強磁性金属をスパッタリングや蒸着等の手法を用いて連続薄膜を形成した磁気記録媒体が用いられている。これらの媒体は、保磁力Hcや残留磁束密度Brを大きくできるばかりでなく、磁性層の膜厚を薄膜化できるといった数々の利点を持っている。しかし、耐久性や走行性といった面での欠点もあり、その改善が強く求められている。 【0004】そこで、耐久性や走行性を改善するために、前記磁気記録媒体の磁性層の上に硬質保護膜、例えばアモルファス状のカーボンをコーティングし、更にその上に、パーフルオロポリエーテル(以下「PFPE」と称す)を潤滑剤として塗布した磁気記録媒体が用いられている。 【0005】ここで使用されているPFPEは液体潤滑剤であり、通常溶媒に希釈され、記録媒体表面に膜厚にして数nmの薄膜を塗布して形成している。塗布する方法としては、希釈溶液をスプレーノズルより媒体表面に吹きつける方法や、媒体を溶液槽に浸漬し引き上げ乾燥する方法、媒体を溶液槽に浸漬した後、溶液面を降下させながら乾燥する方法等が有る。 【0006】これら何れの方法を使っても、潤滑薄膜を薄くむら無く均一に塗布することが、媒体の耐久性や走行性に対し重要な役割を果たしている。潤滑薄膜の膜厚を均一になるよう塗布するには、被塗布物についた希釈溶液の溶媒をある一定の速度で乾燥させることが重要である。 【0007】被塗布物を浸漬引き上げする方法の場合、被塗布物を引き上げするのに使用する駆動系のモーターにサーボ制御方式を適用するなどが挙げられる。また、溶液液面を降下させる方法では、定量ポンプで塗布処理槽より抜き取る方法が挙げられる。 【0008】また、米国特許第5,232,503号明細書に記載されているように、機械的外乱による液面の振動を抑える為に、重力を利用して液面を降下させる方法では、流体静力学的観点より塗布処理槽の形状のある面を放物線状にして、液面降下速度の均一化を図っている。更に、被塗布物が塗布処理槽内に浸漬されたときの体積まで、処理槽の形状に反映させるなどの方法をとっている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】塗布処理槽の形状を被塗布物の体積を考慮した流体静力学的な放物線状にして、液面の降下を重力のみにすれば、降下面の振動を抑えて一定の降下速度を得ることは可能である。しかしながら、塗布処理槽のある面を複雑な形状に例えば金属材料を加工することは、その精度を含めて制作上困難な作業となる。また、被塗布物の形状や処理数などあらかじめ処理槽の形状設計時に考慮しておかなければならず、処理槽製作後の被塗布物の形状や処理数の変更に対して、柔軟に対応できない。 【0010】実際に、磁気記録媒体の中でディスクは、外径が130mm、95mm、65mm等何種類も存在し、場合によっては、設備を切り替えて何種類かの形状のディスクを同一ラインで生産することがある。また、このような装置で潤滑剤の塗布処理をする場合、25枚、50枚を一度にといったバッチ処理をすることになるので、生産上いつも決まった枚数を処理するとは限らない。つまり、定数より不足した枚数を処理することがあり得るということである。 【0011】一方、媒体用潤滑剤の希釈に使用されている溶媒は、パーフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボンであり、揮発性のある高価な溶媒である。そこで、使用する塗布処理槽、供給槽等のプロセス系外に排出される量、すなわち揮発損失も低減しなければならない。 【0012】そこで、塗布処理槽や供給槽を密閉した系で塗布処理を行うことになる。すると、希釈溶液が被塗布物面上に残存しやすくなり、特に溶液液面が被塗布物と離れる時に被塗布物の最終接触点に膜厚の不均一性を残すことになる。最終接触点の膜厚が厚くなるということである。 【0013】情報記憶再生用媒体に塗布される潤滑剤の役割は、媒体と記録再生ヘッドとの間の摩擦摩耗を抑制し、長期使用にわたって障害なく動作させることである。近年の高記録密度化に伴い、媒体とヘッドの間隔はますます狭くなり、そのために媒体の面粗さを小さくして来ている。その上に潤滑膜を厚く塗布すると、媒体とヘッドとの吸着が起きやすくなり、薄すぎると摩耗が発生し、最後には重大な損傷を媒体及びヘッドに与え、情報記憶再生装置としての機能を果たせなくなる。従って潤滑剤は、被塗布物である媒体のヘッドが走行する全面にわたって所定の膜厚に均一でむら無く塗布制御することが今後ますます重要な課題となってきている。 【0014】本発明の課題は、例えば再生記録媒体上に潤滑膜を塗布形成するような薄膜形成プロセスにおいて、生産する上で被塗布物の容積等(例えばディスク枚数とそのサイズ)の制限を無くした柔軟性を持つ設備を提供すること。また、生産コスト及び環境に配慮した省溶媒型で、均一な薄膜を形成する制御装置及び制御方法を提供するものである。 【0015】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。 【0016】塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板を浸漬及び乾燥させて前記塗布物を前記被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成装置において、前記被塗布基板に前記塗布物を薄膜形成する塗布処理槽と、前記塗布処理槽へ前記溶液を供給する供給槽と、前記供給槽から前記塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管及び前記塗布処理槽から前記供給槽に溶液を戻す戻り配管と、を備え、前記被塗布基板を前記溶液中に一定時間浸漬した後の前記塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に保持し、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持する薄膜形成装置。 【0017】また、塗布物の溶解された溶液中に被塗布基板を浸漬及び乾燥させて前記塗布物を前記被塗布基板に薄膜形成する薄膜形成装置において、前記被塗布基板に前記塗布物を薄膜形成する塗布処理槽と、前記塗布処理槽へ前記溶液を供給する供給槽と、前記供給槽から前記塗布処理槽へ溶液を供給する送り配管及び前記塗布処理槽から前記供給槽に溶液を戻す戻り配管と、を備え、前記被塗布基板を前記溶液中に一定時間浸漬した後の前記塗布処理槽における溶液の液面降下速度を所定の一定の降下速度に保持し、薄膜形成中の溶液の温度を所定の温度に維持し、少なくとも前記塗布処理槽を密閉状態にして不活性ガスを充填し、前記塗布処理槽内部を陽圧に保つ薄膜形成装置。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係る薄膜形成装置について、図1〜図4を用いて以下説明する。図1は本実施形態に係る薄膜形成装置の全体構成を示す概略図であり、図2は塗布処理槽の液面降下速度を制御するバルブの制御装置を示す図であり、図3は塗布処理槽の液面降下の時間変化を示す図であり、図4は膜厚分布と塗布処理パラメータとの関係を示す図である。 【0019】図1において、1は塗布処理槽、2は潤滑剤溶液を1の塗布処理槽へ液を供給する供給槽である。供給槽が1個に対して、処理槽が複数組み合わせてもかまわない。これらの槽は、処理槽へ液を供給するための供給配管10と、供給槽へ液を戻すための戻り配管9で接続されている。戻り配管9の途中には液面降下速度を所定の速度一定に制御するためのバルブ7が接続されている。ここにおいて、溶液とは溶質(例えば潤滑油)と溶媒(例えばPFC,HFC)とを含めたものとして以下記述する。 【0020】処理槽1の上部には、溶液が入ってきた時に溶媒が揮発して処理槽外に排出しないよう冷却用のコイル又はジャケットを整備することが好ましい。すなわち、処理槽1の上部に例えば冷水を循環させる経路を設け、溶媒蒸気を冷却して元の液体に戻して処理槽内に戻す。そして、被塗布物である情報記録媒体4が処理のために処理槽内に挿入されたら、溶媒を処理槽外に放出させないように、上から密閉することが好ましい。 【0021】処理槽から供給槽へ戻る配管の端には、配管より一回り大きな扇型円柱状の液溜まりを接続し、処理槽の液面降下時に極力抵抗を発生させ無いようにして、且つ処理槽へ気泡の混入を防ぐようにした。 【0022】処理槽1と供給槽2とは、塗布処理中密閉構造をとるため、それらの槽の気相部分は10mmφ以上のチューブで内圧のバランスを取れるよう導通をとった。 【0023】媒体4が処理槽1に挿入され、処理槽上部の蓋が閉じられるとすぐに供給槽2よりポンプ3より溶液が処理槽に供給される。この液供給の際には、少なくとも1段以上のフィルターをポンプ3の後に通し、処理槽上部より被塗布物に溶液をかけると共に、処理槽下部から充填して、処理槽上部と下部の両方より供給することが溶液の清浄度確保、媒体を溶液に浸漬させる時間の確保のために有効である。 【0024】溶液が処理槽に満たされると、液面振動の除去(溶液降下の際の媒体上の溶液の乾きにむらができるため)と十分な潤滑剤の媒体への吸着時間をとるためにある一定の時間溶液中に保持し、その後、制御バルブ7を開き、所定の液面降下速度にて溶液を供給槽に戻すと同時に被塗布物である媒体を乾燥させ潤滑薄膜形成が完了する。 【0025】塗布処理中の溶液面の降下速度制御に使用したバルブの一つは、商品名Fujikin社製40K−1で回転式のニードルバルブである。これを用いた開閉制御バルブを図2に示す。ニードルバルブの回転の駆動にリバーシブルモーター11を使い、回転軸15をタイミングベルト13で回転させる。 【0026】図2に示すロータリーエンコーダ12とバルブの回転軸の両方を同期して回転させる。これにより、バルブの開閉度の度合いを認識できる。さらに、バルブを完全に閉じた状態を認識させるため、バルブの原点検出センサ14を設置する。原点検出とロータリーエンコーダによりバルブの開閉を電気的に調整制御することが可能となる。 【0027】また、商品名Fujikin社製BRETONIC SR100は、印可電圧によりバルブの開閉度を調整できるので、このバルブを使って電気的に制御しても良い。 【0028】図1に示す番号5は、塗布処理槽1の側面に設置した液面計で透明な石英ガラス管でできた四角セルを組み込んだ。四角セルを挟むように商品名キーエンス社製レーザー寸法測定器(LS−5120)8を固定し、潤滑剤溶液面のメニスカス移動をレーザーにより追跡し、その時間的変化で液面降下速度をモニターすることとした。 【0029】液面の増加減の変位を検出する方法として他には、処理槽内部を直接超音波で検出する例えばキーエンス社製超音波式変異センサUD−020/UD−500、レーザー光の反射で検出する例えばアンリツ社製レーザー変位計光マイクロKL138C、を使っても行える。しかし、塗布する液体が揮発性のパーフルオロカーボン等の空気に対して大きく密度の異なる場合、超音波式は使用できない。また、塗布する液体が透明で且つ処理槽内部が本実施形態のような発塵対策等の為に鏡面研磨をして電解研磨を施した処理槽では、レーザー光の反射式では液面の正確な検出がしにくい。塗布する液体の特性によって、液面の検出方式は選定すれば良いが、情報記録媒体の潤滑剤塗布には先に述べたレーザーによるメニスカス検出方式がより好ましく当該方式を採用した。 【0030】いずれの方式を使用しても良いが、液面の変化をリアルタイムで検出して、前述した電気的に制御可能なバルブとコンピュータによるシーケンスと合わせて、液面降下速度が一定となるフィードバック制御を行うこととした。 【0031】図3は、処理槽寸法を幅(W)140mm、奥行き(D)350mm、高さ(H)270mmの直方体型の処理槽を製作し、図2に示す液面降下速度制御バルブ、メニスカス検出方式のモニタを設置し、図3に示す縦軸で−100〜0mmの間に95mmφ、板厚0.8mmの磁気記録媒体を25枚挿入して吊し、溶液としてHFE7100を充填、そして、ある設定速度の下で降下速度一定となるよう制御しながら溶液を抜いた時の液面位置変化を追ったものである。 【0032】図3に示す実測データにより、時間に対して液面の変化は直線になっていることが判り、その傾きより、約1.0〜4.0mm/sの液面降下速度で制御できることが実証できた。 【0033】また、塗布処理中に処理槽上部より乾燥窒素を0.2kgf/cm2の圧力で10Nl/minで流し、更に塗布する溶液の温度を変えて形成される膜厚の均一性を評価した。被塗布物である媒体と液面降下時の最後に接触する媒体最下端だけ局所的に膜厚が厚くなる部分があり、その部分を他の平均値との差で表したのが図4である。 【0034】図4から分かるように、溶液の温度によって膜厚の平均値からのずれが異なり、温度が高い方が均一性が良く、さらに、液面降下速度にも適正な範囲があることが判る。また、処理槽内部に窒素を充填しないと、局所的な膜厚増加は更に激しくなることが実験的に確かめられた。 【0035】これらの検討結果から、媒体全面にわたって膜厚の均一性をはかるには、溶液の乾きを制御することが重要であり、特に本発明による密閉した状態で塗布処理をするには、溶液の降下速度の管理、溶液の温度管理、および不活性ガスの導入によって膜厚の異常点を抑制できる。 【0036】ここで使用したガスは窒素であるが、窒素を採用した意図が乾きの制御であるので、水分や他の汚染物質を含まない不活性ガスであればどれでも良い。塗布物の希釈に使用する溶媒も特に制限されるものではないが、溶媒の蒸気圧が低ければ乾きにくくなり、溶液の温度を上げたり、充填するガスの流量を上げるなどの調整を行って使用することは可能である。 【0037】好ましい溶媒は、まず塗布物(ここでは潤滑剤)を溶かすこと。ハンドリングや余分なエネルギーを使わないために常温(約25℃)で液体であること。揮発性があり、温度を上げずとも乾きやすいことが挙げられる。更に表面張力が小さく何にでも濡れやすいことである。例えば、先に挙げたようにフロリナートPF5060、HFE−7100、Vertrel XFなどがより好ましい。 【0038】このように、高記録密度媒体に適する極低浮上で使用される媒体においては、本発明にかかる溶媒が適していることがわかる。 【0039】以上の説明を取りまとめると、本発明は、そもそも、記録媒体の潤滑剤の膜厚を薄く且つ均一化することを解決課題としており、ここで、前記均一化を図るためには、前記媒体の全面が溶液に浸漬している状態から溶液が降下して媒体が浸漬状態を脱する状態になった場合における媒体上の溶液の乾き速度を適宜に調整することが必要である。 【0040】そして、前記乾き速度を適宜に調整するには、具体的には、まず第1に、溶液の降下速度を適宜の設定速度で一定に保持することであり、第2に、溶液の温度を適宜の温度に保つことである。さらに、第3に、密閉状態の処理槽に不活性ガスを充填して適宜の陽圧に保つことである。本発明の実施形態では、溶媒が外部に放出しないように、少なくとも処理槽を密閉状態にしておき、そのために窒素などの不活性ガスを充填するものであるが、この充填された窒素は溶液が降下する際の処理槽の負圧を防止するものであり、さらに、降下する液表面の振動発生を防止して溶液の乾きを制御する作用も奏する。ここで、前記溶液の降下速度制御、溶液の温度管理、不活性ガスの充填という具体的手段は、それらのすべてを組み合わせることの外に、適宜にそれらを組み合わせて本発明の実施形態を構成することもできる。 【0041】更に、本発明による磁気記録媒体を記録再生装置に組み込み、信号の記録再生試験を行ったところ、1ヶ月以上試験を続けても、記録再生エラーは発生せず、ヘッドとディスク間の摩擦係数増加、吸着現象は見られず、装置の運転に障害はみられなかった。運転後の潤滑膜厚の残存率も従来より約20%向上していた。このように、本発明による媒体では、磁気記録再生装置内での使用に対し、潤滑剤のスピンオフが十分少ない媒体である。 【0042】結局のところ、本発明の実施形態は、次のような構成例と機能並びに作用を奏するものである。 【0043】潤滑剤塗布処理を密閉した系で行うこととし、潤滑剤希釈溶液から被塗布物を一定した速度で引き離すための設備や、形成された潤滑薄膜に異常な厚みが存在しないような塗布方法について、少なくとも1つの塗布処理槽と塗布処理槽へ液体を供給する槽を持ち、それらの槽は液体の供給排出用のパイプで接続され、排出用のパイプに塗布処理時の液面降下速度を電気及び機械的に開閉調節を行うための制御バルブを設置し、液面降下速度を制御する薄膜形成装置である。 【0044】また、塗布処理槽内の液面の降下を検出するセンサーを設置し、降下速度が一定となるように、開閉制御バルブをフィードバック制御することで、塗布処理槽の形状等に依存せずに膜厚の均一な潤滑薄膜を形成できる装置とすることができる。 【0045】さらに、塗布処理槽の上部より乾燥空気又は窒素などの不活性ガスを内部へ充填するためのポート(導入口)を設置し、溶液の温度を所定の温度に制御するための温度調整用ジャケット(温度調節された流体を供給槽廻りに循環させている構造のもの)を溶液供給タンクに設け、ガスの充填圧力、流量及び溶液温度を制御することで、被塗布物と溶液面が切れる際に生じる局所的な膜厚むらをも軽減できた。 【0046】すなわち、本発明は、媒体の全面にわたり膜厚の均一な潤滑薄膜を形成するための薄膜形成装置ならびにその形成方法に関する。液状の塗布物を被塗布物に均一な薄膜を形成する例として情報記録媒体、特に磁気記録媒体における潤滑薄膜の形成例を説明する。用いられる磁気記録媒体の形態は、円板、カード等複数の被塗布物を或るまとまった数を同時にバッチ処理できるもののいずれでも良い。 【0047】非磁性支持体の素材としては、Al合金、ガラス、セラミック、ポリカーボネートなどのプラスチックなどが挙げられる。磁性膜の材質は、Fe,Co,Ni等の金属、Co−Ni,Co−Cr等のCo合金、Fe酸化物、Cr酸化物などである。保護膜の材質は、グラファイト状、ダイヤモンド状あるいはアモルファス状のカーボン、SiC,TiCなどの炭化物、BN,C3N4などの窒化物である。 【0048】この保護膜の上に、本発明に関する潤滑膜が形成される。使用される潤滑剤は、末端変性パーフルオロポリエーテル等であり、一例として、商品名Fomblin Z−DOL、Fomblin AM2001などである。これらの潤滑剤は、所定の濃度で、パーフルオロカーボン(PFC)例えば商品名フロリナートPF5060,PF5080、ハイドロフルオロカーボン(HFC)例えば商品名Vertrel XF,HFE−7100,HFE−7200などの溶媒に希釈されて塗布される。 【0049】本発明にかかる薄膜形成装置及び薄膜形成方法を用いれば、情報記憶媒体用潤滑剤などを一定の膜厚に薄く均一に塗布制御できるために、潤滑剤による媒体とヘッドとの吸着や、ヘッドへの潤滑剤付着による走行性障害を起こすことなく、信頼性の高い情報記憶再生装置を実現できる。 【0050】 【発明の効果】情報記録再生用媒体の製造において、本発明の薄膜形成装置を使用すれば、容易な液面降下速度設定及び制御、更に不活性ガスの導入と溶液温度制御を加えて均一な潤滑薄膜が形成でき、情報記憶再生装置として耐摺動信頼性の高いシステムを提供できる。 【0051】また、制御の容易性から媒体の量産性に優れ、省溶媒設備と併せ持つことから生産コストを低減できる。更に省溶媒の効果は、地球温暖化防止のための大気中への溶媒排出を抑えて自然環境に配慮した装置及び製造方法になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【識別番号】599118366 【氏名又は名称】東洋機工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月23日(1999.8.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078134 【弁理士】 【氏名又は名称】武 顕次郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−58149(P2001−58149A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月6日(2001.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−236002 |
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