| 【発明の名称】 |
プラント機器の防音防振設計方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】磯部 博司
【氏名】日置 輝夫
【氏名】小島 浩二
【氏名】小木曽 良治
|
| 【要約】 |
【課題】低コストで効果的な防音防振対策を可能とするプラント機器の防音防振設計方法を提供する。
【解決手段】プラントを構成する機器の騒音並びに振動を低減するための防音防振設計方法において、当該機器の設計案について音響並びに振動に関する特性を把握し、この特性に基づいて、発生する騒音並びに振動を定量的に予測し、ここで得られた予測値が予め設定された許容値を越えないように防音防振手段を設計するものとする。特に、音響並びに振動に関する特性を同定するために、音響、構造、並びに音響・構造相互の連成現象に関する数値解析を行うものとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラントを構成する機器の騒音並びに振動を低減するための防音防振設計方法であって、当該機器の設計案について音響並びに振動に関する特性を把握し、この特性に基づいて、発生する騒音並びに振動を定量的に予測し、ここで得られた予測値が予め設定された許容値を越えないように防音防振手段を設計することを特徴とする防音防振設計方法。 【請求項2】 前記音響並びに振動に関する特性を同定するために、音響、構造、並びに音響構造相互の連成現象に関する数値解析を行うことを特徴とする請求項1に記載の防音防振設計方法。 【請求項3】 前記各特性の把握並びに発生騒音振動の予測の結果を確認するために、音響並びに構造に関する実機試験を行うことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の防音防振設計方法。 【請求項4】 前記機器は、サイクロンセパレータであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の防音防振設計方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プラントを構成する機器に起因する騒音並びに振動を低減するための防音防振設計方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】各種プロセスプラントにおいては、騒音・振動源となる種々の機器が用いられており、プラント周辺環境への影響を考慮して騒音並びに振動の低減を図る必要が生じた場合、防音ラギングの施工や、消音器の設置、制振鋼板の採用、補強部材の追加など、種々の防音防振対策が考えられる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の設計手法では、まず装置本来の性能、例えばサイクロンセパレータでは分離能力のみが検討対象となり、これに基づき製作された実機で実働時の騒音及び振動が明らかとなった時点で、所要の防音防振対策を事後的に実施することが一般的であった。このため、スペース上の制約から十分な防音防振対策が施せない、あるいは経済的な防音防振対策を採用できないといった不都合があった。 【0004】本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、低コストで効果的な防音防振対策を可能とするプラント機器の防音防振設計方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】このような目的を果たすために、本発明においては、プラントを構成する機器の騒音並びに振動を低減するための防音防振設計を行うにあたり、当該機器の設計案について音響並びに振動に関する特性を把握し、この特性に基づいて、発生する騒音並びに振動を定量的に予測し、ここで得られた予測値が予め設定された許容値を越えないように防音防振手段を設計するものとした。 【0006】これによると、防音防振対策を当該機器の設計段階で検討するため、スペースなどの制約条件が少なく、騒音並びに振動を低減するために最も効果的で経済的な対策を採用することが可能となる。また、防音ラギングの施工や消音器の設置などの付帯的な防音防振手段の他に、構造固有値と音響共鳴周波数との一致を回避するために当該機器の構造体自体の剛性や内部の空間形状の変更などの対策も可能となる。なお、前記音響並びに振動に関する特性には、内部空間の音響特性、外殻部材などの外部構造体の振動特性、並びにこれら音響及び構造相互の連成特性を挙げることができる。 【0007】特に、前記音響並びに振動に関する特性を同定するために、音響、構造、並びに音響・構造相互の連成現象に関する数値解析を行うと好ましく、これによると、高い精度で防音防振設計を行うことができる。さらに、前記各特性の把握並びに発生騒音振動の予測の結果を確認するために、実機試験を行うと、より一層効果的な防音防振対策を施すことができる。前記の実機試験は、製作工場で行えば良く、具体的には音響特性を同定するスピーカ音源試験、振動特性並びに音響特性を同定する加振試験(ハンマリング試験)を挙げることができる。その際、実際の運転条件との相違を考慮して試験結果に対して所要の換算を行うと良い。 【0008】 【発明の実施の形態】図1は、本発明によるプラント機器の防音防振設計方法の一例を示すフロー図である。この防音防振設計方法は、当該プラント機器に要求される処理能力を満足する設計案を作成する過程(ステップ1)と、この設計案作成過程で得られた仕様の機器に関する音響特性、振動特性、並びに音響構造連成特性を同定する過程(ステップ2・3・4)と、これらの特性同定過程で得られた各特性に基づいて、発生する騒音並びに振動を定量的に予測する予測過程(ステップ5)と、この予測過程で得られた予測値が予め設定された設計許容値を越えないように防音防振手段を設計するための評価並びに検討の各過程(ステップ6・7)とを有している。 【0009】各特性の同定過程(ステップ2・3・4)では、数値解析や工場試験が適用される。評価過程(ステップ6)では、予測値と許容値とが比較され、予測値が許容値以下であれば特に防音防振設計を行う必要はなく、設計案に基づいて機器の仕様が決定される。予測値が許容値を越える場合は、有効な防音防振対策を検討し(ステップ7)、設計案作成過程(ステップ1)に戻ってこの防音防振対策を反映させた設計案を作成し、防音防振対策の有効性を検証する。この一連の過程は、予測値が許容値以下となるまで繰り返し行われる。 【0010】以下に、図2に示すサイクロンセパレータを例に本発明による防音防振設計方法について具体的に説明する。このサイクロンセパレータ1は、固気混合ガス中から粉体を捕集分離する固気二相流分離装置であり、円筒部3及び円錐部4からなるシェル2と、被処理ガスの入口部5と、処理ガスの出口部6と、粉体を回収するドレン部7とを有している。 【0011】図3は、前記サイクロンセパレータ1の内部空間の音響特性を示す騒音レベル周波数応答線図である。この音響特性は、数値解析により得られ、工場での音響試験及び構造ハンマリングテストにより確認されたものである。 【0012】ここでは、内部空間形状による音響共鳴周波数として、200〜700Hzの間に9つのピーク(260、370、410、460、490、550、590、640、680Hz)を確認することができる。各ピークは、シェルの縦方向並びに周方向の共鳴周波数(音響固有値)であり、入力騒音レベルに対し10〜25dBの音圧上昇が認められる。 【0013】これらの共鳴周波数は全て、音響共鳴により構造の固有振動を励起し、卓越騒音を発生する可能性があり、このように音響並びに構造の各固有値が一致すると、シェルによる音響透過損失が極端に落ち込むことから、内部音が減音なく外部へ放射し、異常な高騒音を発生する可能性が高い。さらに、前記の共鳴周波数では、実運転においてシェル内壁面などへの粉体衝突により強制加振された場合、さらに外部への透過量が大きくなるものと判断される。 【0014】そこで、外部への放射音の騒音レベルの予測値を許容値以下とするため、所要の防音防振対策を検討する。ここでは、シェル並びに関連配管に防音ラギングを施工すると共に、接続配管への騒音伝搬を抑制するため、サイレンサ8を設置する。そして、これらの防音防振対策を適用した設計案に基づき、前記の手順でその有効性を検証する。 【0015】図4及び図5は、前記サイクロンセパレータ1の音響固有値(590Hz)での音響解析結果を示している。図4は、シェル壁面での音圧分布状況を示しており、図5は、シェル内部空間における互いに直交する直径方向の2面の音圧分布状況を示している。図6は、構造固有値(590Hz)での振動モードの解析結果を示している。図7は、装置外部への放射音圧レベルの解析結果であり、装置の軸線を中心とした円筒状面での音圧分布を示している。これは、音響及び構造の両特性に基づいた音響構造連成解析により得られる。 【0016】これらの解析結果から得られる予測放射音圧レベルは、設計許容値以下であることから、前記の防音防振対策に基づきサイクロンセパレータの仕様が決定される。なお、実際に稼働時の騒音レベルを測定したところ、前記の解析結果と良く整合し、許容値以下であることが確認された。 【0017】ところで、プロセスプラントにおいて騒音振動源となる機器は、上流側並びに下流側をダクトや配管、その他の関連機器に接続されており、これら全ての構成要素をモデル化した音響解析は、モデル作成並びに計算に要する時間が増大するため、実用的でない。 【0018】そこで、エルボ、レデューサ、断面拡大・縮小部、直管部により構成される配管全系をモデル化し、三次元音響解析に基づき各接続面における入力音響インピーダンスを求め、汎用性のあるデータベースを構築する。そして、この入力音響インピーダンスを、簡略化した音響解析モデルの境界条件として適用することにより、必要十分な解析の精度を確保し、かつモデル作成並びに計算に要する時間を短縮することができる。 【0019】このように三次元音響解析に基づく音響インピーダンスのデータベースを構築することにより、複雑な実現象に近似した解析を行うことができる。この手法は、境界条件として前記のサイクロンセパレータ1の入口部5、出口部6、並びにドレン部7に適用される。 【0020】以上、サイクロンセパレータを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々のプラント機器に適用することが可能であり、特に外殻構造を備えたプラント機器、例えば反応器、煙突、ドラム、並びにタンクに好適である。 【0021】 【発明の効果】このように本発明によれば、騒音並びに振動を低減する上で効果的で低コストな防音防振対策を採用することが可能となり、しかも騒音振動問題を事前に回避することができることから、プラント周辺環境の向上を図る上に多大な効果を奏することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003285 【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月29日(1999.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089266 【弁理士】 【氏名又は名称】大島 陽一
|
| 【公開番号】 |
特開2001−9327(P2001−9327A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月16日(2001.1.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−183472 |
|