トップ :: B 処理操作 運輸 :: B03 液体による,または,風力テ−ブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離




【発明の名称】 ウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置
【発明者】 【氏名】八嶋 浩二

【要約】 【課題】微細な異物をも補集することが可能で、且つ圧力損失の小さいウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置を提供する。

【解決手段】半導体ウェハの洗浄に用いる洗浄液中に耐腐食性処理を施した電極を投入し、この電極には洗浄液のpH値によって変動する異物のゼータ電位と異符号の電位を与えるようにする。このように電極に異物のゼータ電位と異符号の電位を与えることにより、異符号電位による引力で異物を電極に吸引させ、洗浄液中の異物を補集することができる。なお補集は物理的補集と異なり、電気的におこなわれるので、補集による圧力損失を小さくすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体ウェハの洗浄液に含まれる異物の除去方法であって、前記洗浄液中に耐腐食性処理を施した電極を投入し、この電極には前記洗浄液のpH値によって変動する前記異物のゼータ電位と異符号の電位を与え、異符号電位による引力で前記異物を前記電極に吸引させることを特徴とするウェハ洗浄における異物の除去方法。
【請求項2】 半導体ウェハを投入可能とする洗浄槽と、この洗浄槽から引き出された循環経路と、当該循環経路に設けられ洗浄液の循環をなす送水ポンプとを有するウェハ洗浄機に備えられた異物除去装置であって、耐腐食性処理を施した電極を前記循環経路に設けるとともに、前記電極に極性反転手段を介して電源を接続し前記電極への印加により前記洗浄液の異物を前記電極に吸引及び放出させることを特徴とする異物除去装置。
【請求項3】 前記電極を前記循環経路の開口断面に対応する網目形状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】 前記電極を前記循環経路の途中に設置される濾材として設置したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置に係り、特に水溶液中に浮遊する微細な異物を除去するのに好適なウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置は、円盤状のシリコン基板(以下半導体ウェハと称す)の表面に不純物を打ち込み、その表面にトランジスタや抵抗および容量などを形成した後、さらにその表面に絶縁膜や配線を形成していくことで製造される。
【0003】このような半導体装置の製造工程においては、配線パターン形成用のレジストを半導体ウェハの表面から除去したり、あるいは半導体ウェハに付着した異物を除去する目的から製造工程途中には洗浄工程が多数設けられている。
【0004】図5は、半導体ウェハの洗浄を行うための洗浄装置の構成を示す説明図である。同図に示すように洗浄装置1は、目的の異なる第1洗浄槽2A、第2洗浄槽2B、第3洗浄槽2Cを有しており、これら洗浄槽を半導体ウェハの搬送方向に沿って配置している。
【0005】すなわち半導体ウェハが最初に投入される第1洗浄槽2Aにおいては、洗浄液3として希フッ酸(DFH)が用いられており、この洗浄液3に半導体ウェハを投入することにより、不要な酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)をウェハ表面から除去するようにしている。なお第1洗浄槽2Aには、循環経路5が接続され、当該循環経路5の途中には洗浄液3の循環をなすためのポンプ6と、当該ポンプ6によって循環される洗浄液3から異物を除去するためのフィルタ7とが設けられ、異物が除去された洗浄液3を再度、第1洗浄槽2Aに供給可能にしている。なおここで異物とは、既に第1洗浄槽2Aに投入された半導体ウェハから剥離した、不要な酸化シリコン(SiO)および窒化ケイ素(Si)等を指しており、これら異物が第1洗浄槽2Aに残留することで、以降第1洗浄槽2Aに投入される半導体ウェハにこれら異物が付着するのを防止するようにしている。
【0006】また第1洗浄槽2Aの後段に設けられた第2洗浄槽2Bでは、洗浄液として純水が用いられ、第1洗浄槽2Aで用いられた洗浄液3を半導体ウェハの表面から除去するようにしている。そして第2洗浄槽2Bの後段に設けられた第3洗浄槽2Cでは、洗浄液3が除去された半導体ウェハをリンス液(純水もしくは超純水)中に投入し、半導体ウェハ表面の界面活性化を図るようにしている。
【0007】そしてこれら洗浄工程は、洗浄によって除去する対象物の性質によって洗浄液やその他条件(時間、温度等)が異なる。すなわち前述したような酸化シリコン(SiO)の除去においては洗浄液は希フッ酸(DFH)を用いることとし、また一般的なパーティクルの除去においては洗浄液はアンモニアと過酸化水素水との混合液を用い、さらに金属の異物除去においては洗浄液は塩酸と過酸化水素水との混合液を用いるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した洗浄装置においては洗浄液中に異物が混入し、当該異物が除去されずに洗浄液中に存在していると、半導体ウェハにこの異物が付着し、半導体ウェハ上に形成される半導体装置の信頼性低下あるいは半導体装置が不良品になるおそれがあった。
【0009】たとえば第1洗浄槽2Aでは、当該第1洗浄槽2Aよりオーバーフローした(洗浄後の)洗浄液3を回収し、この洗浄液3を網目状のフィルタ7を通過させることで洗浄液3に含まれた異物を補集するようにしているが、現在MOS−FETにおけるゲート酸化膜の膜厚は100オングストローム程度となっているのに対し、現行のフィルタ7の網目の大きさは500オングストローム程度となっている。このため現行のフィルタ7では異物が十分に補集されず、半導体装置に不具合が生じるおそれがある。具体的には、絶縁膜の形成工程の前工程で異物が半導体ウェハに付着した場合を考えると、半導体ウェハの表面に異物が付着したまま(当該異物を覆うように)絶縁膜が形成される。その後、前記異物がウェハ表面から振動や衝撃等の要因で脱落したりすると前記絶縁膜の膜厚の厚みがそこの部分(異物が脱落した部分)だけ薄くなり、耐電圧の低下により装置自体の信頼性が低下するというおそれである。また隣接する配線パターンを跨ぐように異物が付着した場合では、隣接するパターンの間が前記異物によって短絡してしまうというおそれがあった。
【0010】そしてこれらの問題点を解決するため、フィルタの網目の大きさを細かく(小さく)して、より小さな異物を取り除くことが考えられるが、微細な穴を有したフィルタを製作することは難しく、またこうしたフィルタにおいてはそれ自体の抵抗によって洗浄液を通過させることが難しくなるという(圧力損失が大きくなるという)問題点があった。
【0011】本発明では、上記従来の問題点に着目し、微細な異物をも補集することが可能で、且つ圧力損失の小さいウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るウェハ洗浄における異物の除去方法は、半導体ウェハの洗浄液に含まれる異物の除去方法であって、前記洗浄液中に耐腐食性処理を施した電極を投入し、この電極には前記洗浄液のpH値によって変動する前記異物のゼータ電位と異符号の電位を与え、異符号電位による引力で前記異物を前記電極に吸引させる手順とした。
【0013】本発明に係るウェハ洗浄における異物の除去方法によれば、洗浄液中に存在する異物は、前記洗浄液のpH値によってゼータ電位が変動する性質を有している。そして洗浄により半導体ウェハの表面から脱落する異物(洗浄の対象物)の種類も解ることから、洗浄液のpH値に対して前記異物が正のゼータ電位を有するのか、あるいは負のゼータ電位を有するのかをあらかじめ調べておき、この電位とは逆の電位(異物のゼータ電位が正であれは負、異物のゼータ電位が負であれは正)を洗浄液中に投入された電極に加えれば、異物は電極との異符号の電位によって前記電極に吸引される。なお電極に耐腐食性の処理を施すことで、酸や塩基の性質を有する洗浄液に対して電極が腐食するのを防止することができる。
【0014】また本発明に係る異物除去装置は、半導体ウェハを投入可能とする洗浄槽と、この洗浄槽から引き出された循環経路と、当該循環経路に設けられ洗浄液の循環をなす送水ポンプとを有するウェハ洗浄機に備えられた異物除去装置であって、耐腐食性処理を施した電極を前記循環経路に設けるとともに、前記電極に極性反転手段を介して電源を接続し前記電極への印加により前記洗浄液の異物を前記電極に吸引および放出させるよう構成した。なお前記電極を前記循環経路の開口断面に対応する網目形状に形成することが好ましく、あるいは前記電極を前記循環経路の途中に設置される濾材として設置してもよい。
【0015】本発明に係る異物除去装置によれば、半導体ウェハは洗浄槽に投入され、その表面に付着した異物は洗浄液によって除去される。ここで洗浄液は洗浄槽を介して循環経路内を循環することとなるが、この循環経路の途中には電極が設けられているので、前記洗浄液中における異物のゼータ電位と逆の電位(異物のゼータ電位が正であれは負、異物のゼータ電位が負であれは正)を洗浄液中に投入された電極に加えれば、異物は電極との異符号の電位によって前記電極に吸引および放出され、洗浄液中の異物の除去を行うことができる。なお異物の補集は電気的吸引によってなされるため、粒径の小さな異物も補集することが可能であり、また物理的に異物を補集するものではないので圧力損失を小さくすることが可能になる。なお電極に耐腐食性の処理を施すことで、酸や塩基の性質を有する洗浄液に対して電極が腐食するのを防止することができ、さらに極性反転手段により洗浄液の性質(酸性または塩基性)に応じて電極に加わる電位を容易に対応できることはいうまでもない。
【0016】また前記電極を前記循環経路の開口断面に対応する網目形状に形成すれば、電極と洗浄液との接触面積を向上させることができるとともに、前記洗浄液は網目状の電極を必ず通過することになるので、異物の補集効率の向上を高めることができる。さらに電極の網目形状化により、異物の物理的補集も可能となり、異物の電気的補集とあわせて、粒径の異なる異物を容易に補集することができる。
【0017】あるいは前記電極を前記循環経路の途中に設置される濾材として設置したことから、異物の物理的補集をなす濾材に電気的補集能力を持たせた形態となるので、濾材の目より小さな異物まで補集することが可能になり、効果的な異物の補集が可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係るウェハ洗浄における異物の除去方法および異物除去装置に好適な具体的実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】図1は、本実施の形態に係る異物除去装置の構造を示す断面説明図であり、図2は、図1に示す異物除去装置を用いた洗浄装置の構成を示す説明図である。これらの図に示すように、本実施の形態に係る異物除去装置10は、半導体ウェハの表面の洗浄をなすウェハ洗浄機となる洗浄装置12に装着され、当該洗浄装置12内を循環する洗浄液から異物を除去し、構造膜を剥離したばかりの(未だ薬液槽に入っている)半導体ウェハへの再付着や、後に投入される半導体ウェハに異物が付着するのを防止するようにしている。
【0020】なお洗浄装置12は、半導体ウェハの表面に半導体装置を形成していく、いわゆる半導体装置の製造工程の途中に何カ所も設置されており、目的の異なる洗浄に用いられている。すなわち半導体装置の製造工程においては、前記半導体ウェハを洗浄装置に投入することで、パーティクルの除去や、あるいはレジスト膜の除去などを行うようにしている。
【0021】ここで半導体ウェハの表面から、不要な酸化シリコン(SiO)および窒化ケイ素(Si)を除去する洗浄装置12の構造を図2を用いて説明する。同図に示すように洗浄装置12は、目的の異なる三台の洗浄槽を直列に配置した構成となっており、これら洗浄槽に半導体ウェハを連続して投入することで、当該半導体ウェハの表面から不要な酸化シリコン(SiO)および窒化ケイ素(Si)等を除去可能にしている。
【0022】すなわち洗浄装置12を構成する第1洗浄槽14Aでは、洗浄液16として希フッ酸(DFH)が用いられており、この槽内に半導体ウェハを投入することで、ウェハ表面から不要な酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)を除去するようにしている。ところで第1洗浄槽14Aの外周部分には当該第1洗浄槽14Aを囲むように受け槽18が設けられており、第1洗浄槽14Aの外縁からあふれ出た洗浄液を回収可能にしている。そして受け槽18の底部からは循環経路となる循環用配管20が引き出され、当該循環用配管20の先端部は第1洗浄槽の底部に接続され、後述するポンプの稼働により受け槽18にて回収した洗浄液16を再び第1洗浄槽14Aの底部に設けた導入口19へと送り出し(循環)可能にしている。
【0023】循環用配管20の途中には、ポンプ22が設けられ、受け槽18で回収した洗浄液16を再度第1洗浄槽14Aへと(図中、矢印24を参照)送り出し可能にしている。そして循環用配管20の途中におけるポンプ22の後段にはフィルタとなる異物除去装置10が設置され、洗浄液16中に含まれる異物の除去を可能にしている。
【0024】このように構成された第1洗浄槽14Aの後段に設けられる第2洗浄槽14Bでは、洗浄液として純水が用いられ、第1洗浄槽14Aで用いられた洗浄液16を半導体ウェハの表面から除去するようにしている。そして第2洗浄槽14Bの後段に設けられた第3洗浄槽14Cでは、洗浄液としてリンス液(純水もしくは超純水)が用いられ、洗浄液16を含める不純物を無くし比抵抗10MΩ・cmに達するまで純度を上げている。なお第2洗浄槽14Bおよび第3洗浄槽14Cでは、その底部に純水またはリンス液の導入および排出をなす入出口26が設けられており、この入出口26に配管を介して接続される電磁式開閉バルブ28を開閉させることで、洗浄槽へ純水およびリンス液を導入あるいは排出を可能にしている。
【0025】ここで第1洗浄槽14Aにおける循環配管20の途中に設けられた異物除去装置10の構造を説明する。前述したように異物除去装置10は洗浄液16の循環をなす循環配管20の途中に設けられており、洗浄液16の含まれた異物の除去を行うものである。
【0026】異物除去装置10は、その本体を導電性の円筒容器30で構成しており。当該円筒容器30の内側には当該円筒容器30を縮小させた形状の異物補集用のフィルタ32が設けられている。そして当該フィルタ32の内側には導入口19側へと続く循環配管20が接続されフィルタ32を通過した洗浄液16を送り出し可能にしている。一方、フィルタ32の外側と、円筒容器30の内側とで構成される空間にはポンプ22側から延長された循環配管20が接続され、受け槽18にて回収した洗浄液16を導入可能にしている。なお導電性の円筒容器30の内側(洗浄液16が満たされる箇所)には、耐腐食性処理が施され、酸性や塩基性の性質を有する洗浄液16によって円筒容器30が腐食するのを防止するようにしている。
【0027】ところで円筒容器30の内側に設けられるフィルタ32は、性質の異なるフィルタを重ねた二層構造で構成され、その外側は網目の大きさが500オングストローム程度に形成された物理的補集フィルタ34となっており、フィルタ32の外側から内側に洗浄液16が通過する際、網目の大きさで洗浄液16内に存在する異物を補集可能にしている。一方、物理的補集フィルタ34の内側は、電気的補集フィルタ36となっており、異物のゼータ電位を利用して補集をなすことが可能となっている。
【0028】電気的補集フィルタ36は、電極となる導電性の金属を網目状に形成するとともに、その表面には酸性や塩基性の性質を有する洗浄液16に接しても腐食が生じないように耐腐食性の処理が施されている。具体的には導電性金属の表面にポリテトラフルオロエチレンをコーティングすることが望ましい。なお電気的補集フィルタ36の網目の大きさは物理的補集フィルタ36の網目の大きさより十分に大きく設定され、圧力損失を最小限に抑えるようにしている。
【0029】ところで円筒容器30の外方には電源となる直流電源38が設けられているとともに、この直流電源38における一対の端子からは配線ケーブル40がそれぞれ引き出されており、当該配線ケーブル40の先端側は、一方が電気的補集フィルタ36に接続され、他方側は円筒容器30へと接続されている。なお一対の配線ケーブルの延長途中には、極性反転手段となるリレーボックス42が設けられており、当該リレーボックス42の極性を切り換えることで(図中、矢印41を参照)、円筒容器30側に直流電源38が有する正側電位を加えたり(このとき電気的補集フィルタ36側には負側電位が加わる)、負側電位を加える(このとき電気的補集フィルタ36側には正側電位が加わる)ことが可能となっている。なお本実施の形態では、極性反転手段をリレーボックス42で構成することとしたが、この形態に限定される必要もなく、極性反転手段は、電気的補集フィルタ36と円筒容器30に加わる印加電圧の正負が逆転できればよいので、例えばリレーボックス42に代えて、MOS−FETなどの電子部品を用いて極性反転手段を構成するようにしてもよい。
【0030】ところで洗浄液中に存在するパーティクルにおいては、前記洗浄液のpH値によって前記パーティクルのゼータ電位が変動することが知られている。図3は、水溶液のpH値の変化によって酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)のゼータ電位が推移する様子を表したグラフである。なおゼータ電位とは固体と液体の界面を横切って存在する電気的ポテンシャルであり、半導体ウェハの表面への吸着や脱離に深く関係している物性値である。
【0031】同図に示すように、酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)は、pH値が約5の弱酸性(pH値が7が中性)を境界として正負の電位が反転する性質を有していることが知られている。このため本実施の形態においては、まず希フッ酸のpH値を調べるとともに、このpH値を図3のグラフに当てはめ、希フッ酸中の酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)が正負どちら側の電位を有するか確認をおこなう。そしてこの酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)の有する電位とは逆の電位を電気的補集フィルタ36側に印加すれば、洗浄液中の異物となる酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)を補集することができる。
【0032】このように構成された異物除去装置10を備えた洗浄装置12を用いて洗浄液中の異物となる酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)を除去する手順を説明する。
【0033】まず洗浄装置12におけるポンプ22を稼働させ、循環配管20に沿って洗浄液16を循環させる。こうして洗浄液16を循環させた後は、図3の関係より求めた酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)のゼータ電位と異符号になるような電位を電気的補集フィルタ36側に与える(すなわち円筒容器30に与える電位はゼータ電位を同符号である)。このように電気的補集フィルタ36と円筒容器30とに電位を与えた後に、図示しない半導体ウェハを上方より第1洗浄槽14Aに投入する。
【0034】半導体ウェハが第1洗浄槽14Aに投入され洗浄液16となる希フッ酸に接すると、半導体ウェハの表面に付着していた洗浄対象となる酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)はその表面から洗い流され、洗浄液16側に移動することとなる。その後、洗浄液16は第1洗浄槽14Aの外縁よりあふれ出し(オーバフロー)、受け層18にて回収され、循環配管20に沿ってポンプ22を経過し、異物除去装置10へと導入される。
【0035】ポンプ22側から延長された循環配管20は異物除去装置10におけるフィルタ32の内側に接続されており、異物43を含んだ洗浄液16は、その場所に導入される。ここで洗浄液16はポンプ22の吐出能力により(循環流により)フィルタ32を通過して導入口19に接続される循環配管20側に移動しようとするが、ここで電気的補集フィルタ36は、洗浄液16内に存在する異物43のゼータ電位と異符号の電位を有していることから、洗浄液16中の異物43は電気的補集フィルタ36に引きつけられ、次々と当該電気的補集フィルタ36の表面に吸着されていく。またたとえ異物43が電気的補集フィルタ36で通過されず当該電気的補集フィルタ36を通過したとしても、その後には物理的補集フィルタ34が備えられているので、前記異物43はこの物理的補集フィルタ34で補集することができる。
【0036】このように洗浄液16内の異物のゼータ電位を利用して補集を行うことから、例えば金属および非金属の隔てなく異物を除去することが可能になる。また本実施の形態では、洗浄液16中の異物を酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)としたが、半導体装置の製造工程では、この他に一般的なパーティクルの除去や金属の異物除去などを目的とした洗浄もおこなわれる。一般的なパーティクルの除去においては洗浄液はアンモニアと過酸化水素水との混合液を用い、さらに金属の異物除去においては洗浄液は塩酸と過酸化水素水との混合液を用いるようにしているが、この場合も酸化シリコン(SiO)や窒化ケイ素(Si)の場合と同様に、所定の洗浄液中の異物のゼータ電位を調査し、この電位とは逆の電位を電気的補集フィルタに加えればよい。
【0037】図4は、本実施の形態に係る異物除去装置の応用例の構造を示す断面説明図である。同図において図1と異なる点は電気的補集フィルタ36の形状のみであり、その他形状は、図1と同一である。このため共通部分については同一の符号を付与し説明を行うこととする。
【0038】同図においては、電気的補集フィルタ44の形状を網目状の容器にせず、円柱状とした。このように電気的補集フィルタ44を構成すれば、洗浄液16の管路の断面全域を電気的補集フィルタ44が覆うことがなくなり、圧力損失の低減を図ることが出来る。このため異物の補集効率が若干低下するもののポンプ22の吐出能力が低い場合などに有効である。また図示しないが循環配管20の途中に円筒容器30を設けずに、循環配管20の内部にこのような電気的補集フィルタ44を設けるようにしてもよい。
【0039】また本実施の形態では、物理的補集フィルタと電気的補集フィルタとを分けた構成としたが、この形態に限定されることもなく、物理的補集フィルタを構成するいわゆる濾材に電極の役割を持たせ、物理的補集フィルタに電気的補集フィルタの機能を持たせるようにして異物の補集を図るようにしてもよい。なお清掃の際には、異物の捕集時の時と極性を逆にして異物の放出を図り、電気的にフィルタの清掃を図るようにしてもよい。また上述した電気的捕集フィルタの使用用途は半導体の製造工程に限定されることもなく、例えばTFTの製造工程などに代表されるように幅広い分野への適用が可能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るウェハ洗浄における異物の除去方法によれば、半導体ウェハの洗浄液に含まれる異物の除去方法であって、前記洗浄液中に耐腐食性処理を施した電極を投入し、この電極には前記洗浄液のpH値によって変動する前記異物のゼータ電位と異符号の電位を与え、異符号電位による引力で前記異物を前記電極に吸引させたことから、物理的補集を行うフィルタより細かい異物まで補集ができるとともに、洗浄液中の微細な異物をも補集することが可能になるとともに圧力損失を小さくすることができる。
【0041】また本発明に係る異物除去装置によれば、半導体ウェハを投入可能とする洗浄槽と、この洗浄槽から引き出された循環経路と、当該循環経路に設けられ洗浄液の循環をなす送水ポンプとを有するウェハ洗浄機に備えられた異物除去装置であって、耐腐食性処理を施した電極を前記循環経路に設けるとともに、前記電極に極性反転手段を接続し前記電極の極性反転により前記洗浄液中の異物を前記電極に吸引および放出させたことから、洗浄液の性質に容易に対応することができるとともに、洗浄液中の微細な異物をも補集することができ、また装置設置による圧力損失も小さくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成11年7月6日(1999.7.6)
【代理人】 【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−17887(P2001−17887A)
【公開日】 平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願番号】 特願平11−191703