| 【発明の名称】 |
炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法および燃焼装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉川 佐和子
【氏名】加藤 雅礼
【氏名】中川 和明
【氏名】大橋 俊之
【氏名】越崎 健司
|
| 【要約】 |
【課題】高温の炭酸ガスを吸収し、低濃度での炭酸ガス吸収能が高く、軽量の炭酸ガス吸収材の提供。
【解決手段】リチウムシリケートにアルカリ炭酸塩を添加し、共晶塩を作り液相化しやすくすることで、速やかにリチウムと炭酸ガスの反応を生じさせ、吸収すべき炭酸ガスを広い濃度範囲にわたって吸収能を向上させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】リチウムシリケートと、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種のアルカリ炭酸塩とを有することを特徴とする炭酸ガス吸収材。 【請求項2】前記リチウムシリケートは、Li4SiO4であることを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス吸収材。 【請求項3】前記アルカリ炭酸塩は、前記リチウムシリケートに対して5〜40mol%添加したことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス吸収材。 【請求項4】リチウムシリケート粉末を作製する工程と、前記リチウムシリケート粉末に、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種からなるアルカリ炭酸塩粉末を添加する工程とを具備することを特徴とする炭酸ガス吸収材の製造方法。 【請求項5】燃料供給路および排出路に接続された燃焼室を有し、前記排出路に、リチウムシリケートと、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種のアルカリ炭酸塩とからなる炭酸ガス吸収剤を配置したことを特徴とする燃焼装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法および燃焼装置に係り、特に、自動車から発生する排気ガスなど、高温ガス中の炭酸ガスを回収するのに好適な炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法および炭酸ガス吸収材を搭載した燃焼装置に関する。 【0002】 【従来の技術】発動機等の炭化水素を主成分とする燃料を燃焼させる燃焼装置から排出される炭酸ガスは、回収に適した場所である排気ガス放出部においてその温度が300℃以上の高温であることが多い。 【0003】一方、従来から知られる炭酸ガスの分離方法としては、酢酸セルロースを用いる方法、アルカノールアミン系溶媒による化学吸収法等が挙げられる。しかしながら、前述した分離方法はいずれも導入ガス温度を200℃以下に押さえる必要がある。したがって、高温度でのリサイクルを要する排気ガスに対しては一旦、熱交換器等により200℃以下に排気ガスを冷却する必要があり、結果的に炭酸ガス分離のためのエネルギー消費量が多くなるという問題があった。 【0004】このような炭酸ガス分離方法に対して、リチウムジルコネートからなる炭酸ガス吸収材の研究が進められており、このリチウムジルコネートは約500℃を超える温度域で炭酸ガス吸収能を発揮する。 【0005】しかしながら、リチウムジルコネートは炭酸ガス吸収特性が必ずしも全ての範囲の炭酸ガス濃度、とくに低濃度において十分ではなかった。また、リチウムジルコネートは、その重量が大きい、すなわち単位重量あたりの炭酸ガス吸収量が少ないために、自動車のエンジンなど移動を伴う燃焼装置に搭載するのには適していないという問題があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、リチウム化ジルコネートは約500℃を超える温度域で作用するという特性があるものの、低濃度の炭酸ガスの吸収能が充分ではなく、またその重量が大きいために、移動を伴う燃焼装置には適していなかった。 【0007】本発明は、このような問題に鑑みて為されたもので有り、軽量であり、かつ高温域で低濃度の炭酸ガスを効率よく回収できる炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法および前記炭酸ガス吸収材を搭載した燃焼装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の炭酸ガス吸収材は、リチウムシリケートおよびアルカリ炭酸塩とからなることを特徴とする。 【0009】本発明者らは鋭意研究の結果、従来のリチウムジルコネートに比べて軽量のリチウムシリケートが、炭酸ガスを吸収する材料であることを確認した。また、このリチウムシリケートにアルカリ炭酸塩を添加することで炭酸ガス吸収能が向上し、低濃度の炭酸ガスを効率よく吸収できることを見出した。 【0010】前記リチウムシリケートは、一般にLixSiyOz (ただしx+4y−2z=0)で示され、とりわけLi4SiO4であることが望ましい。Li4SiO4は、下記化学式(1)で示すように、1molのLi4SiO4で2molの炭酸ガスを吸収できるために、特にその吸収効率を高めることができる。 【0011】 Li4SiO4+2CO2→2Li2CO3+SiO2 (1) 前記アルカリ炭酸塩の添加量は、リチウムシリケートに対して5〜40mol%とすることが好ましい。 【0012】前記炭酸ガス吸収材は、リチウムシリケート粉末とアルカリ炭酸塩粉末とからなる粉状体として使用することもできるし、これらの粉末を圧縮成形した成形体として使用することもできる。 【0013】また、前記アルカリ炭酸塩として例えば炭酸カリウムを用いることができる。 【0014】本発明の炭酸ガス吸収剤の製造方法は、リチウムシリケート粉末を作製する工程と、前記リチウムシリケート粉末に、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種からなるアルカリ炭酸塩粉末を添加する工程とを具備することを特徴とする。 【0015】リチウムシリケートは、炭酸リチウム粉末と二酸化酸化ケイ素粉末とを加熱合成することで得られるが、この加熱合成時に本発明に係るアルカリ炭酸塩を添加し、炭酸リチウム粉末、アルカリ炭酸塩粉末および二酸化珪素粉末とからなる混合粉末を同時に加熱すると、混合粉末の融点が低下し、リチウムシリケートとアルカリ炭酸塩との組成比が所望の組成比からずれてしまう恐れがある。 【0016】そのため、本発明の炭酸ガス吸収剤の製造方法のように、リチウムシリケートを作成した後に、アルカリ炭酸塩を添加することが望ましい。 【0017】本発明の燃焼装置は、燃料供給路および排出路を有する燃焼室を有し、前記排出路に、リチウムシリケートと、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも一種のアルカリ炭酸塩とからなる炭酸ガス吸収剤を配置したことを特徴とする。 【0018】このような燃焼装置によれば、燃焼室から排出される炭酸ガスを吸収し、排気ガス中の炭酸ガスを低減することができる。特に、自動車エンジンなどの燃焼装置においては、使用状況に応じて排気ガス中の炭酸ガス量が異なるために、高濃度から低濃度まで炭酸ガスを吸収できる、リチウムシリケートとアルカリ炭酸塩とからなる炭酸ガス吸収材を使用することが有効である。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。本発明に係るリチウムシリケートは、通常一般式LixSiyOz (ただしx+4y−2z=0)で示され、例えばLi4SiO4、Li2SiO3などを用いることができる。 【0020】このリチウムシリケートは次式(2)に示すように通常約200〜700℃の温度範囲において、炭酸ガスと反応してリチウム炭酸塩を生成する。 LixSiyOz +x/2CO2→x/2Li2CO3+ySiO2 (2) また、700℃以上に加熱することにより式(2)の逆反応の式(3)が起こり、炭酸ガスを放出する。 x/2Li2CO3+ySiO2→LixSiyOz +x/2CO2(3) なお、前述の反応温度は、リチウムシリケートの組成比、あるいは炭酸ガスの分圧によって多少の変化が生じる。 【0021】また、リチウムシリケートは、リチウムジルコネートに比べ単位重量あたりの炭酸ガス吸収量が多い点で優れている。理論値としては1molの炭酸ガスを吸収するのにLi2ZrO31mol(153g)が必要なのに対し、Li4SiO4では0.5mol(60g)、Li2SiO3では1mol(90g)で吸収することができ、ジルコニウムに対し、半分、あるいは1/3の軽量である。さらに、化学式(2)などで示される式中、xの値をより大きくすることで、リチウムシリケート1molあたりの炭酸ガス吸収量を多くすることができ、炭酸ガス吸収剤の炭酸ガス吸収効率を向上させることが可能となる。具体的には、xの値を4以上とすることが好ましい。 【0022】リチウムシリケートは上述したように軽量であるために、自動車のエンジン(燃焼装置)から排出される排気ガス中の炭酸ガスを吸収するための炭酸ガス吸収剤として用いるなど、移動を伴う燃焼装置に搭載するのに好適である。 【0023】このリチウムシリケートに、さらにアルカリ炭酸塩、例えば炭酸カリウムをリチウムシリケートに対して5〜40mol%添加した材料が、高温で作用する軽量化炭酸ガス吸収材の炭酸ガスの吸収特性を著しく促進し、低濃度の雰囲気における炭酸ガス吸収能が高いことを見出し、本発明の炭酸ガス吸収材を発明するに至った。 【0024】リチウムシリケートは、アルカリ炭酸塩を添加することによって、炭酸ガスの吸収により生じた炭酸リチウムとアルカリ炭酸塩が共晶塩を形成し、材料の融点が低下する。その結果、単体では730℃程度で液相化するリチウムシリケートが、アルカリ炭酸塩を添加することで500℃で程度で液相化し、リチウムが移動しやすくなる。そのため、リチウムと炭酸ガスとの反応が速やかに行われ、ひいては炭酸ガスの吸収特性、あるいは低温での吸収能を向上させるものと考えられる。 【0025】本発明に係るアルカリ炭酸塩としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどを使用することができる。 【0026】アルカリ炭酸塩のリチウムシリケートに対する添加量は、5〜40mol%の範囲内にすることが好ましい。アルカリ炭酸塩の添加量が5mol%未満であると、炭酸ガス吸収剤を十分に液相化することが困難となり、前述したアルカリ炭酸塩を添加することによる効果を十分に得ることができなくなる恐れがある。また、アルカリ炭酸塩の添加量が40mol%を超えるとリチウムシリケートの炭酸ガスの吸収反応の促進効果は飽和し、炭酸ガス吸収材全体の量に対するリチウムシリケートの含有率が減少するため、炭酸ガス吸収剤の単位体積あたりの炭酸ガス吸収量や、炭酸ガス吸収速度を低下させる恐れがある。 【0027】また、リチウムシリケート粉末、あるいはアルカリ炭酸塩粉末の粒径は、平均粒径で0.1〜10μmの範囲内にすることが好ましい。粒径が小さすぎると粉末が凝集する恐れがある。リチウムシリケートの粒径が10μmを超えると炭酸ガスとの接触面積が少なくなり、炭酸ガスの吸収速度が低下する恐れがある。またアルカリ炭酸塩粉末の粒径が10μmを超えると、共晶塩を形成するのに時間がかかるために、炭酸ガスの吸収速度が低下する恐れがある。 【0028】さらに、共晶塩を形成しやすくするために、アルカリ炭酸塩は、リチウムシリケート中に均一に分散していることが望ましい。 【0029】また、リチウムシリケートとアルカリ炭酸塩とからなる炭酸ガス吸収材の形状は特に限定されるものではない。例えば、リチウムシリケート粉末とアルカリ炭酸塩粉末とからなる混合粉末であっても構わないし、この混合粉末を圧縮するなどして成形体としたものでも構わない。ただし、成形体として使用する場合は、炭酸ガスとの接触面積が低減しないように、多孔質体とするなど、炭酸ガスが成形体内部を通過できるようにすることが望ましい。 【0030】次に、本発明に関わる炭酸ガス吸収材の製造方法を詳細に説明する。 【0031】リチウムシリケートは、二酸化珪素と炭酸リチウムとを700〜ら1200℃程度に加熱し、前記化学式(3)で示す反応によって合成することができる。 【0032】例えばLi4SiO4を合成する場合、炭酸リチウムと二酸化珪素との混合比(Li2CO3: SiO2)は、理論値としてはモル比で2:1であるが、炭酸リチウムを過剰に混合することが好ましい。これは炭酸リチウムの偏在により未反応の二酸化珪素が残存するのを防ぐためである。具体的には、炭酸リチウムに対する二酸化珪素の混合比(Li2CO3: SiO2)をモル比で2〜2.4:1の範囲に設定することが望ましい。 【0033】このような混合比の炭酸リチウム粉末と二酸化珪素粉末の混合粉末を加熱することでリチウムシリケートを合成することができる。 【0034】混合粉末は、例えば、炭酸リチウム粉末と二酸化珪素粉末をメノウ乳鉢等で、0.1〜1時間混合し、平均粒径0.1〜10μm程度の粉末にすればよい。 【0035】得られた混合粉末を例えばアルミナるつぼ等の加熱容器に入れ、大気中、箱型電気炉等で0.5〜40時間熱処理することでリチウムシリケートを合成できる。その後再びメノウ乳鉢等を用いて粉砕し、リチウムシリケート粉末の平均粒径を0.1〜10μm程度の粉末にすればよい。なお、加熱により合成された前記リチウムシリケート粉末の粉砕は、後述するアルカリ炭酸との混合時に行うことで、リチウムシリケートの平均粒径を調整してもよい。 【0036】続いてこのリチウムシリケート粉末およびアルカリ炭酸塩、例えば炭酸カリウム粉末を炭酸カリウムがリチウムシリケートに対して5〜40mol%になるように秤量し、メノウ乳鉢等で0.1〜1時間混合することにより炭酸ガス吸収材を作製する。 【0037】ここで上述した作成方法と異なり、アルカリ炭酸塩の粉末を焼成の前に添加する、すなわち炭酸リチウム粉末と二酸化珪素粉末と共に混合してから焼成を行うと、リチウムシリケートの場合、アルカリ炭酸塩を添加したことによる混合粉末の融点の低下が生じ、リチウムシリケートと、添加するアルカリ炭酸塩との組成がずれてしまい、正味のリチウムシリケートの量が少なくなることが考えられる。この場合、炭酸ガス吸収反応に関与するリチウムシリケートの量が減ると炭酸ガス吸収能が低下すると考えられるので、本発明ではリチウムシリケート作製後にアルカリ炭酸塩を添加するのがよい。 【0038】このようにして炭酸ガス吸収材を作成することができる。この炭酸ガス吸収材は、前述したように軽量で、低濃度の炭酸ガスにおいても炭酸ガス吸収能が高いために、自動車などの移動を伴う機器の動力源である燃焼装置から排出される炭酸ガスを回収する材料として好適である。 【0039】ここで、図1に本発明の炭酸ガス吸収材を搭載した燃焼装置の一例を示す。 【0040】燃焼室1には、燃焼室1に炭化水素系の燃料を供給する燃料供給路2および、燃焼室1で生じた燃焼ガスを排出する排出路3と、燃料供給路2から導入されたガソリンなどの炭化水素系燃料を燃焼させるための点火手段7と、燃焼室1内の内圧に応じて駆動するピストン4が設けられている。燃料供給路2および燃焼ガス排出路3には、燃料を供給するタイミング、燃焼ガスを排出するタイミングが制御された弁5が配置されており、燃料供給、燃料の燃焼、燃焼ガスの排出の工程を繰返すことで、燃焼室1内の内圧を変化させて、ピストン4を矢印方向に駆動する。 【0041】図1においては、本発明の炭酸ガス吸収材を粉末状態で通気性容器に詰めた炭酸ガス吸収体6を燃焼ガス排出路3内に配置しており、この炭酸ガス吸収体により、燃焼ガス中の炭酸ガスを吸収、トラップすることで、放出される燃焼ガス中の炭酸ガス濃度を低減することができる。 【0042】 【実施例】以下、本発明を参照して詳細に説明する。 【0043】(実施例1)平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末と平均粒径0.8μmの二酸化珪素粉末をモル比で2:1となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合した。得られた混合粉末を箱型電気炉にて、大気中1000℃で8時間熱処理し、平均粒径3μmのリチウムシリケート(Li4SiO4)粉末を得た。続いてこのリチウムシリケート粉末と平均粒径0.5μmの炭酸カリウム粉末をモル比で1:0.05となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合し、平均粒径3μmの混合粉末からなるリチウムシリケート系炭酸ガス吸収材を作製した。 【0044】(実施例2)リチウムシリケート粉末と炭酸カリウム粉末の混合比をモル比で1:0.1とした以外は、実施例1と同様の方法で炭酸ガス吸収材を作製した。 【0045】(実施例3)リチウムシリケート粉末と炭酸カリウム粉末の混合比をモル比で1:0.2とした以外は、実施例1と同様の方法で炭酸ガス吸収材を作製した。 【0046】(実施例4)リチウムシリケート粉末と炭酸カリウム粉末の混合比をモル比で1:0.3とした以外は、実施例1と同様の方法で炭酸ガス吸収材を作製した。 【0047】(実施例5)リチウムシリケート粉末と炭酸カリウム粉末の混合比をモル比で1:0.4とした以外は、実施例1と同様の方法で炭酸ガス吸収材を作製した。 【0048】(実施例6)リチウムシリケート粉末と添加するアルカリ炭酸塩を炭酸ナトリウム粉末とした以外は、実施例1と同様の方法で炭酸ガス吸収材を作製した。 【0049】(実施例7)平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末と平均粒径0.8μmの二酸化珪素粉末と炭酸カリウム粉末をモル比で2:1:0.2となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合した。得られた混合粉末を箱型電気炉にて、大気中1000℃で8時間熱処理し、炭酸カリウム添加リチウムシリケート(Li4SiO4)粉末を得た。 【0050】(比較例1)平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末と平均粒径0.8μmの二酸化珪素粉末をモル比で2:1となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合した。得られた混合粉末を箱型電気炉にて、大気中1000℃で8時間熱処理し、リチウムシリケート(Li4SiO4)粉末を得た。 【0051】(比較例2)平均粒径1μmの炭酸リチウム粉末と平均粒径0.8μmの二酸化ジルコニウム粉末をモル比で2:1となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合した。得られた混合粉末を箱型電気炉にて、大気中1000℃で8時間熱処理し、平均粒径3μmのリチウムジルコネート(Li2ZrO3)粉末を得た。続いてこのリチウムジルコネート粉末をメノウ乳鉢に粉砕し、平均粒径を3μmのリチウムジルコネートからなる炭酸ガス吸収材を作成した。 【0052】(比較例3)比較例2と同様にして、熱処理して得られたリチウムジルコネート粉末と平均粒径0.5μmの炭酸カリウム粉末をモル比で1:0.2となるように秤量し、メノウ乳鉢にて10分間乾式混合し、平均粒径3μmの混合粉末からなるリチウムジルコネート系炭酸ガス吸収材を作成した。 【0053】得られた実施例1〜7および比較例1〜3の炭酸ガス吸収材について、空気80%、炭酸ガス20%の混合ガスを300ml/minの条件で流通させながら、500℃で3時間保持し、その間の吸収材の重量増加量を熱重量分析により求め、この値から重量増加率(重量変化を測定前の重量で除した値から求めた%表示)を測定した。その結果を下記表1に示す。 【表1】
表1から明らかなように、実施例1〜6で得られたアルカリ炭酸塩を含む炭酸ガス吸収材は、比較例1のアルカリ炭酸塩を含まない炭酸ガス吸収材に比べ、大幅に重量増加しており、多量の炭酸ガスを吸収していることが分かる。 【0054】同じ原料組成である実施例3と実施例7を比較すると、実施例3で得られた炭酸ガス吸収材の炭酸ガス吸収能が高いことが分かる。これは、実施例7では炭酸リチウム、炭酸カリウムおよび二酸化珪素を同時に加熱したために、得られた炭酸ガス吸収材中のリチウムシリケートの比率が低下したためと思われる。 【0055】また、比較例2および3は、アルカリ炭酸塩の添加の有無によってリチウムジルコネート系炭酸ガス吸収材の吸収特性の変化を確認するための実験例であるが、アルカリ炭酸塩を添加することで、炭酸ガス吸収量は増加しているものの、その増加率はリチウムシリケート系炭酸ガス吸収材に比べ小さい。 【0056】さらに、実施例3及び比較例3の炭酸ガス吸収材について、空気98%、炭酸ガス2%の混合ガスを300ml/minの条件で流通させながら、500℃で3時間保持し、その間の吸収材の重量増加度を熱重量分析により求め、この値から重量増加率(重量変化を測定前の重量で除した値から求めた%表示)を測定した。その結果を表2に示す。 【表2】
表2から明らかなように、実施例3で得られたリチウムシリケート系炭酸ガス吸収材は、比較例3のリチウムジルコネート系炭酸ガス吸収材に比べ、炭酸ガスの濃度が低いときにも、より多く重量増加しており多量の炭酸ガスを吸収していることが分かる。 【0057】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、アルカリ炭酸塩を添加したリチウムシリケート炭酸ガス吸収材は炭酸ガスの吸収速度を促進するので、炭酸ガスが低濃度でも高い炭酸ガス吸収能を持つことが可能である。 【0058】なお、本実施例においてはリチウムシリケートおよびアルカリ炭酸塩のみからなる炭酸ガス吸収材を使用したが、他の成分、例えばリチウムジルコネートなどの他の炭酸ガス吸収材と混合して用いることもできる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
|
| 【出願日】 |
平成11年12月17日(1999.12.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081732 【弁理士】 【氏名又は名称】大胡 典夫 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−170480(P2001−170480A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−358956 |
|