| 【発明の名称】 |
光触媒及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 章
【氏名】上官 文峰
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| 【要約】 |
【課題】優れた安定性や耐久性を有し、しかも波長の長い可視光によっても励起可能な新規な光触媒を提供する。
【解決手段】金属としてアルカリ金属、チタン及びニオブを含む層状複合金属酸化物と、その層間に包摂された硫化カドミウムからなる光触媒とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 層間に硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物からなる光触媒。 【請求項2】 層状複合金属酸化物が、一般式Mx(TiyNbzO0.5+2y+2.5z) (式中のMはアルカリ金属及びタリウムの中から選ばれた少なくとも1種の金属であり、x,y及びzはそれぞれ1±0.05である)で表わされる組成を有する請求項1記載の光触媒。 【請求項3】 層状複合金属酸化物がK2(Ti4O9)又はそのTiの一部がV,Cr,Nb及びWの中から選ばれた少なくとも1種の金属により置換された組成を有する請求項1記載の光触媒。 【請求項4】 層状複合金属酸化物が、一般式SiO2−Ca2Nan−3NbnO3n+1(式中のnは3〜6の数であり、Nbの一部はNi,V,Cu,Cr及びWの中から選ばれた少なくとも1種の金属で置き換えられてもよい)で表わされる組成をもち、かつ層間にシリカの支柱を有する層間架橋体である請求項1記載の光触媒。 【請求項5】 層状複合金属酸化物を、水溶性カドミウム塩水溶液中で加熱処理し、乾燥したのち、硫化水素と反応させることを特徴とする請求項1記載の光触媒の製造方法。 【請求項6】 30〜100℃の温度で加熱処理する請求項5記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光化学反応、環境汚染物質の分解除去などに好適に使用することができる新規な光触媒及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】これまで、酸化チタン(TiO2)に代表される光応答性半導体特性を有する金属酸化物を用いて半導体光触媒反応を行わせることについては、多くの分野において研究がなされており、ある程度の実用性が認められている。 【0003】この光応答性半導体特性を有する金属化合物は、その結晶分子における価電子帯と伝導帯との間のエネルギーギャップである「禁止帯」の値以上のエネルギーを有する光を吸収すると、価電子帯の電子が伝導帯に光励起されて、伝導帯には自由電子が、価電子帯には正孔が生成し、これらにより還元反応と酸化反応を生起し、光触媒反応が進行する。しかし、半導体光触媒によって水が光分解するには、半導体のバンド幅が水の電解圧(理論値1.23V+過電圧0.4V=1.63V)より大きくなる必要がある上に、伝導体の電子が水を還元することができ、かつ価電子帯の正孔が水を酸化することができる能力を有していなければならない。すなわち、伝導帯の下端が水からの水素発生電位よりマイナス側に、価電子帯の上端が酸素発生電位よりプラス側に位置していなくてはならない。このような制約があるために、理論的に水を完全分解できる半導体の種類は限られている。 【0004】そして、一般にこのような能力をもつ金属化合物(TiO2)を主体とする光触媒を製造する方法として、これまで無機材料粉末を用いて、直接高温焼結する方法、半導体に金属又は金属化合物の水溶液を吸着させた後、この半導体に吸着した金属又は金属化合物を酸化、還元、あるいは還元後に一部酸化する方法及びいわゆるゾル−ゲル方法などが提案されている。 【0005】しかしながら、このような方法により得られる光応答性半導体特性を有する金属化合物を用いた光触媒については、半導体のバンド幅が大きすぎるため、太陽光の可視光部分を吸収できず、ほぼ近紫外光のみが反応に寄与し、また光エネルギーによる励起により生じた電子と正孔が容易に再結合するために、種々の反応系における反応量子収率が極めて低いという欠点がある。さらに、CdSやZnSなどの光触媒については、バンドギャップの大きさと位置は適当であるが、安定性や耐久性が低いという欠点がある。 【0006】ところで、最近、層状ペロブスカイト(KCa2Nb3O10)型の層状複合金属酸化物が光応答性半導体特性を有し、光触媒として利用しうることが明らかにされ、このものは、構成する元素やその含有割合を種々に組み合わせて異なった組成、例えば、一般式K(Ca2Nan−3NbnO3n+1) (式中のnは3〜6の数である)で表わされる組成にすることができるので、その物性の調整が容易であるという利点を有している。 【0007】しかしながら、これらの層状複合金属酸化物は、通常二酸化チタンよりも大きい3.2〜3.4eVというバンドギャップを有しており、そのままでは、波長の長い可視光により励起する光触媒として利用することができない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもとで、これまでの光触媒がもつ欠点を克服し、優れた安定性や耐久性を有し、しかも波長の長い可視光によっても励起可能な新規な光触媒を提供することを目的としてなされたものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、光応答性半導体特性を有する光触媒について種々研究を重ねた結果、層状複合金属酸化物の層間にバンドギャップ2.5eVの硫化カドミウムを包摂させると、意外にも可視光を吸収して励起電子を放出することができ、水を還元して水素を発生する反応の光触媒として作用することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 【0010】すなわち、本発明は、層間に硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物からなる光触媒、及び層状複合金属酸化物を、水溶性カドミウム塩水溶液中で加熱処理し、乾燥したのち、硫化水素と反応させることを特徴とする光触媒の製造方法を提供するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の光触媒は、層状複合金属酸化物と硫化カドミウムとから構成されているが、この層状複合金属酸化物としては、一般式 Mx(TiyNbzO0.5+2y+2.5z) (I) (式中のMはアルカリ金属及びタリウムの中から選ばれた少なくとも1種の金属であり、x,y及びzはそれぞれ1±0.05である)で表わされる組成を有する層状複合金属酸化物、式K2(Ti4O9)で表わされる組成又はそのTiの一部、好ましくはその10原子%以下が、V,Cr,Nb及びWの中から選ばれた少なくとも1種の金属に置き換えられた組成を有する層状複合金属酸化物、一般式 SiO2−Ca2Nan−3NbnO3n+1 (II) (式中のnは3〜6の数であり、Nbの一部、好ましくはその10原子%以下がNi,V,Cu,Cr及びWの中から選ばれた少なくとも1種の金属で置き換えられてもよい)で表わされる組成をもつ、シリカピラーにより層間架橋した層状複合金属酸化物などが用いられる。 【0012】これらの層状複合金属酸化物は、通常の複合金属酸化物を製造する場合と同様、それを構成する金属成分の酸化物又は焼成により酸化物に変化し得る化合物、例えば炭酸塩、重炭酸塩などを原料として用い、公知の方法により製造することができる。これらの原料は、いずれも市販品をそのまま使用することができる。 【0013】すなわち、各原料を目的とする組成に相当する金属原子比で混合し、水を加えて均一混和したのち、乾燥し、電気炉のような加熱炉により、800〜1100℃の範囲内の温度で焼成する。また、シリカピラーにより層間架橋した層状複合金属酸化物は、例えば特開平11−180715号公報に記載されている方法に従い、前記一般式(I)の組成をもつ層状複合金属酸化物を、プロトン交換処理した後、長鎖アルキルアミンをインターカレートし、次いでテトラアルコキシシランを反応させ、さらに酸素含有ガス雰囲気中、400〜600℃の温度で焼成することによって得ることができる。この際に用いる長鎖アルキルアミン例えばヘキシルアミンやテトラアルコキシシラン例えばテトラエトキシシランは市販品をそのまま用いることができる。 【0014】本発明の光触媒は、このようにして製造した、層状複合金属酸化物に硫化カドミウムが包摂されたものであるが、これは例えば水溶性カドミウム塩水溶液中に層状複合金属酸化物粉末を投入し、層状複合金属酸化物中にカドミウム塩を十分に含浸させたのち、乾燥し、硫化水素ガスと接触させ、反応させることによって製造することができる。 【0015】この際用いる水溶性カドミウム塩としては、塩化カドミウム、ヨウ化カドミウム、硫酸カドミウム、硝酸カドミウム、酢酸カドミウムなどがある。これらは通常1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の範囲の濃度の水溶液として用いられる。層状複合金属酸化物へ水溶性カドミウム塩を含浸させる処理は、通常30〜100℃、好ましくは50〜70℃の温度において1〜150時間行われる。 【0016】このようにして、カドミウム塩水溶液を含浸させた層状複合金属酸化物の乾燥は、80〜150℃、好ましくは100〜120℃の範囲の濃度に1〜10時間保持することによって行われる。この乾燥は、所望ならば0.1〜0.8Paの減圧下で行うこともできる。 【0017】次に、このようにして得られるカドミウム塩含有層状複合金属酸化物は、硫化水素ガスと接触させ、カドミウム塩を硫化カドミウムに変化させる必要があるが、この硫化水素ガスとの接触は、カドミウム塩含有層状複合金属酸化物を粉末状で硫化水素ガス雰囲気中に保持するか、あるいはカドミウム塩含有層状複合金属酸化物スラリー中に硫化水素ガスを導入することによって行われる。この硫化水素ガスとの接触処理により、カドミウム塩は、硫化カドミウムに変換する。この変換反応は、40時間程度で完了するが、通常は1〜20時間で十分である。このようにして反応させたのち、得られた硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物を濾別し、所望に応じ常法に従って、蒸留水により洗浄し、乾燥することにより目的とする光触媒が得られる。このようにして得られた硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物の同定は、X線回折により行うことができる。 【0018】本発明の光触媒は、太陽光の照射のもと、これに水を供給することにより、水を効率よく水素と酸素に分解することができる。 【0019】 【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 【0020】実施例1塩化カドミウム1.833gを蒸留水100mlに溶解し、塩化カドミウム水溶液を調製した。次に、この塩化カドミウム水溶液中へ層状K(TiNbO5)粉末2.0gを投入し、60℃において7日間反応させたのち、これを濾別し、110℃の電気乾燥機中で20時間乾燥した。このようにして得た塩化カドミウム含有K(TiNbO5)を硫化水素ガスを満たした容器中に40時間保持することにより硫化カドミウムを包摂したK(TiNbO5)からなる光触媒1.8gを得た。 【0021】実施例2酢酸カドミウム二水塩2.0gを蒸留水100mlに溶解し、酢酸カドミウム水溶液を調製した。次に、この酢酸カドミウム水溶液100ml中へ層状K(TiNbO5)粉末2.0gを投入し、60℃において3日間反応させたのち、固形分を濾別し、新たに上記酢酸カドミウム水溶液100mlを加え、さらに3日間反応させた。このように処理した粉末を濾別し、常法に従って水洗し、乾燥したのち、蒸留水100ml中に分散させてスラリーとした。次いで、このスラリー中に硫化水素ガスをバブリングさせながら12時間反応させたのち、固形分を濾別し、水洗、乾燥することにより、硫化カドミウムを包摂したK(TiNbO5)からなる光触媒1.8gを得た。 【0022】実施例3炭酸カリウム0.1モル、二酸化チタン0.195モル、酸化ニオブ0.025モルを粉末状でよく混合したのち、空気中で820℃で20時間、1100℃で10時間焼成して層状K2(Ti3.9Nb0.1O9)粉末を調製した。別に酢酸カドミウム二水塩2.67gを蒸留水50mlに溶解して酢酸カドミウム水溶液を調製し、この中に前記の粉末2.1gを投入し、60〜70℃の温度で7日間反応させたのち濾別し、得られた固形分を110℃の電気乾燥機中で乾燥した。次いで、それを硫化水素ガスを満たした容器の中に40時間保持することにより、硫化カドミウムを包摂したK2(Ti3.9Nb0.1O9)からなる光触媒1.9gを得た。 【0023】実施例4層状Ca2Nb3O10粉末3.0gを、n‐ヘキシルアミン80mlとエチルアルコール40mlとの混合物中に投入し、室温でかきまぜながら7日間反応させることにより、ヘキシルアミンでインターカレーションした層状Ca2Nb3O10粉末を調製した。次いで、上記の粉末2.5gをテトラエトキシシラン80mlと混合し、65℃でかきまぜながら7日間反応させたのち、生成物を取り出し、空気中、500℃において焼成することにより、層間にシリカピラーを有する層状Ca2Nb3O10粉末2.2gを得た。このようにして得た粉末1.3gを密閉容器中で真空脱気後、同じようにして脱気した1.25M塩化カドミウム水溶液12mlを加え、アルゴンガスを導入して容器内圧力をほぼ1Paに保持し、20時間反応させた。得られた生成物を濾別し、乾燥したのち、硫化水素ガスを満たした容器に入れ、40時間反応させた。このようにして、硫化カドミウムを包摂した層状SiO2−Ca2Nb3O10からなる光触媒1.2gを得た。 【0024】実施例5薄型円筒状受光セルの上に実施例1,3及び4で得た光触媒及び比較のためのCdS触媒を各0.1gずつ分散させて載置したのち、0.1M硫化ナトリウム水溶液20mlを導入し、キセノンランプで照射しながら6時間分解反応を行わせたのち、この間に生成した水素量を測定した。この結果を表1に示す。 【0025】 【表1】
【0026】なお、この表中の安定性及び耐久性は以下の方法で評価した。 (1)安定性;水素発生量がほとんど認められなくなるまでの時間を測定した。 (2)耐久性;120時間水の分解を行わせたのち、0.1M硫化ナトリウム水溶液20mlを添加し、触媒能力が完全に回復するものを○、回復不十分なものを△とした。 【0027】この表から分かるように、本発明の光触媒は、これまでのCdS光触媒に比べ優れた水の光分解性能を示すほか、安定性、耐久性においても改善されている。 【0028】実施例6実施例3の光触媒を用い、実施例5におけるキセノンランプの照射の代りに太陽光を6時間照射すること以外は、実施例5と同様にして、水の光分解を行った。その結果を表2に示す。 【0029】 【表2】
【0030】 【発明の効果】本発明の光触媒は、安定性、耐久性が優れ、かつ従来のCdS系光触媒よりも高い水の光分解性を示す。また、本発明によれば、種々の元素を組み合わせることにより、実用に適した各種の組成の光触媒を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001144 【氏名又は名称】工業技術院長
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| 【出願日】 |
平成11年12月3日(1999.12.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−157843(P2001−157843A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月12日(2001.6.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−344828 |
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