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【発明の名称】 気体水和物の製造方法及び製造装置
【発明者】 【氏名】幸田 和郎

【要約】 【課題】薬品や触媒あるいは微粒子懸濁液等の水への添加を必要とせずに、簡単で安価な水和物の生成促進が可能な水和物製造方法及び製造装置を提供する。

【解決手段】本発明は以下のような特徴を有する水和物生成方法及び生成装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁場中を通過させた水を用いる気体水和物の製造方法。
【請求項2】水和物生成槽と、該水和物生成槽に水を供給する水供給配管と、前記水和物生成槽に気体を供給する気体供給配管と、前記水和物生成槽から水和物を排出する排出配管とを備えた気体水和物の製造装置において、前記水供給配管の少なくとも一部に磁場を及ぼす磁場発生手段を具備することを特徴とする気体水和物の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば天然ガスの輸送、貯蔵手段として用いる気体水和物の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】気体水和物の製造は、気体の種類毎に水との平衡曲線で示される特定の範囲に気体と水の温度及び圧力を保持しながら、両者を接触させることで行われている。しかし、一般に気体水和物の生成には長時間を要することから、単に両者を水面で接触させるだけでなく、気体中への水の噴霧、水中への気泡の注入、あるいは攪拌等、又はこれらを併用する方法が通常用いられている。
【0003】しかし、気体水和物の工業的応用には十分な生成速度とは言えず、生成速度を更に向上させるためにいくつかの方法が提案されている。例えば特公昭53-15082公報、および特公昭60-58892公報では、脂肪族アミンを含有する水を用いる方法が提案されている。また、特公昭62-746公報ではフラン、テトラハライドフラン、あるいはメチルフラン化合物を触媒として用いる方法が提案されている。また、特開昭63-317578公報ではアルミ、銅、あるいはマグネタイトなどの金属、またはそれらの金属酸化物の微粒子懸濁液を用いることで攪拌状態と熱伝達性能を改善し、水和物の生成を促進させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来技術に係る水和物の生成を促進させる方法においては、例えば特公昭53-15082公報、特公昭60-58892公報及び特公昭62-746公報では、薬品や触媒の費用が別途必要となり、さらに製造した水和物を融解して気体を取出した後の排水処理が問題となる。また、特開昭63-317578公報の微粒子懸濁液を用いる方法では、排水処理に問題がある。
【0005】本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、薬品や触媒あるいは微粒子懸濁液等の水への添加を必要とせずに、簡単で安価な水和物の生成促進が可能な水和物製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を解決するために、薬品や触媒あるいは微粒子懸濁液等の水への添加を必要とせずに水和物の生成促進が可能な方法を見い出すべく検討を行い、その結果、磁場中を通過させた水を用いることにより、水和物の生成が促進されることを見い出した。
【0007】本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する水和物生成方法及び生成装置である。
[1]磁場中を通過させた水を用いる気体水和物の製造方法。
[2]水和物生成槽と、該水和物生成槽に水を供給する水供給配管と、前記水和物生成槽に気体を供給する気体供給配管と、前記水和物生成槽から水和物を排出する排出配管とを備えた気体水和物の製造装置において、前記水供給配管の少なくとも一部に磁場を及ぼす磁場発生手段を具備することを特徴とする気体水和物の製造装置。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、磁場中を通過させた水を用いる気体水和物の製造方法である。水和物の製造に用いる水を磁場中を通過させることにより、薬品や触媒あるいは微粒子懸濁液等の水への添加を必要とせずに水和物の生成促進が可能となる。
【0009】ここで、本発明による水和物生成促進のメカニズムはおよそ以下のようであると推定される。
【0010】水中には、水分子の分子間相互作用によりクラスターと呼ばれる構造が形成されている。このクラスターは正四面体の各頂点とその中心に水分子が配位された5量体であると考えられている。この5量体構造は氷の結晶における一種の構造単位とみなすことができるが、25℃で水中の約85%、95℃でも水中の約55%程度を占めるといわれており、この5量体構造はかなり強固な構造であると考えられる。
【0011】また、気体水和物の一例であるメタン水和物は水分子5個が結合した5員環の組み合わせで構成されるケージ(かご状の分子構造)の中に気体(メタン)分子が取り込まれた構造であるといわれており、他の気体水和物も同様の構造と考えられる。
【0012】以上のことより、気体水和物の生成は、まず水の5量体構造の一部または全体が崩れ、その後に水分子5個が結合した5員環が形成され、更にこの5員環が組み合わされたケージが形成される過程で気体分子を取り込み水和物を形成する、という過程を経ると考えられる。
【0013】前述のように、水の5量体は強固な構造であると推定されるが、また水分子は極性の強い分子でもあるため、磁場中を通過させることにより、磁力の作用により、水の5量体構造の崩壊が生じると考えられる。従って本発明においては、水が磁場中を通過することによって強固な5量体構造が崩壊し、水和物の生成が促進されたものと推定される。
【0014】以下、本発明の気体水和物の製造方法を用いた気体水和物の製造装置について説明する。
【0015】図1及び図2は、本発明の実施形態の一例を示す図である。図1の気体水和物の製造装置は、水和物生成槽1、該水和物生成槽1に水を供給するための水供給配管4、前記水和物生成槽1に水和物とする気体を供給するための気体供給配管3、前記水和物生成槽1から生成した水和物を排出する排出配管5及び前記水供給配管4に設置された磁場発生手段2により構成される。
【0016】また、図2の気体水和物の製造装置は、図1の気体水和物の製造装置における排出配管5に、気体分離器6を上流側に、水和物濃縮器7を下流側に設置したものである。この気体分離器6では気体水和物中の遊離気体の分離を行い、分離された気体は気体再循環配管8により再び水和物製造装置1に供給される。遊離気体を分離した気体水和物は水和物濃縮器7に送られる。水和物濃縮器7では、送られてきた気体水和物の濃縮が行われる。なお、水和物濃縮器7で分離された水(少量の水和物が含まれる場合もある)は水再循環配管9により再び水和物製造装置1に供給される。このとき、再循環する水は磁場発生手段2の上流側(波線)あるいは下流側(実線)のどちらに接続することもできる。
【0017】図2の装置構成とすることにより、水和物を製造するための気体の有効利用が図れ、さらに水和物を濃縮することにより下流側のプロセスの簡略化等の効果を有する。
【0018】図1及び図2における水和物生成槽1内は、気体の種類に応じて水和物の生成が可能な温度及び圧力条件に保たれている。なお、水和物生成槽1内での気体水和物の生成方法としては特に限定されるものではなく、例えば一般的に用いられる気体中へ水を噴霧する方法、または水中へ気体を注入すると共に攪拌を行う方法等を用いることができる。また、供給される水に水和物の生成を促進するための薬品等の添加、又は水和物生成槽1内への触媒の設置または投入、あるいはそれらの組み合わせによる方法等を用いることもできる。
【0019】水供給配管4には磁場発生手段2が設置されており、水和物生成槽1に供給される水は磁場発生手段2により発生する磁場中を通過する。ここで、磁場発生手段2としては、水和物生成槽1に供給される水が磁場中を通過できる構造のものであれば特に限定されない。なお、磁場発生手段としては例えば永久磁石あるいは電磁石を用いることができるが、水和物製造に係る運転費の低減、あるいは保守の容易性等の観点からは永久磁石を用いることが好ましい。
【0020】また、磁場発生手段2においては、磁場の強さ及び磁場の傾斜が調整自在なものを用いても良い。さらに、水のクラスター構造の固有振動数と同調する磁場を与えることが水和物の生成促進には好ましいため、水の流れ方向の磁場の幅や水の流速を調節する手段を有することも有効である。なお、磁場発生手段2として永久磁石または電磁石を用いる場合、磁石の数を複数とし、その間隔を調整自在とすることもできる。さらに、電磁石の場合には交流またはパルス電流を用い、その周波数等を調整自在とすることもできる。
【0021】さらに、水和物製造装置の一部又は全部が磁場内にあっても同様の効果が得られる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、水和物の製造に用いる水を磁場中を通過させることにより、薬品や触媒あるいは微粒子懸濁液等の水への添加を必要とせずに水和物の生成促進が可能となり、工業的規模での気体水和物の製造が可能な気体水和物の製造方法及び製造装置が提供される。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成11年12月3日(1999.12.3)
【代理人】 【識別番号】100097272
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 茂
【公開番号】 特開2001−157836(P2001−157836A)
【公開日】 平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願番号】 特願平11−344203