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【発明の名称】 光触媒用酸化チタン塗膜形成性組成物及びその製法
【発明者】 【氏名】熊井 浩

【氏名】上間 あかね

【氏名】石灰 洋一

【氏名】福井 靖郎

【氏名】千葉 勝一

【要約】 【課題】紫外線の照射によって有機物の酸化還元機能、親水化現象を示す酸化チタンの微細ゾルとシリケート加水分解物との中性ゾルを提供する。

【解決手段】中性域のpHで安定な酸化チタンゾルと、アルキルシリケートを三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で縮重合して得られるpH2.2〜6.5の加水分解物及び溶媒を含む組成物であって、該組成物に含まれるチタン及びケイ素(分散安定剤としてのケイ素分を含む)の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)であり、該組成物のpHが4.5〜7.5であり、総固形分濃度が20重量%以下である酸化チタン塗膜形成性組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中性域のpHで安定な酸化チタンゾルと、アルキルシリケートを三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で縮重合して得られる加水分解物及び溶媒を含む組成物であって、該組成物に含まれるチタン及びケイ素の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)であり、該組成物のpHが4.5〜7.5であり、総固形分濃度が20重量%以下であることを特徴とする酸化チタン塗膜形成性組成物。
【請求項2】 酸化チタンゾルがアルキルシリケートを分散安定剤として配合したものである請求項1の酸化チタン塗膜形成性組成物。
【請求項3】 溶媒が実質的に炭素数1〜4のアルコールであり、アルキルシリケートの加水分解物の加水分解率が70〜1500%である請求項1または請求項2の酸化チタン塗膜形成性組成物。
【請求項4】 アルキルシリケート加水分解物が、燐酸、硼酸等の三塩基酸もしくはクエン酸、シュウ酸等の有機酸を触媒として用いて縮重合したものである請求項1ないし請求項3の何れか1項の酸化チタン塗膜形成性組成物。
【請求項5】 中性域のpHで安定な酸化チタンゾル水性分散液と、低級アルキルシリケートをアルコール中で三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で70〜1500%の加水分解率で縮重合させて得たpH2.2〜6.5のアルコール性シリカゾルとを、組成物中に含まれるチタン及びケイ素の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)の割合になるように15〜40℃の温度で混合し、全組成物中の総固形分濃度が20重量%以下、pHを4.5〜7.5とすることを特徴とする酸化チタン塗膜形成性組成物の製法。
【請求項6】 アルキルシリケートを分散安定剤として配合した中性域のpHで安定な酸化チタンゾルを用いる請求項5の酸化チタン塗膜形成性組成物の製法。
【請求項7】 中性域のpHで安定な酸化チタンゾルと、アルキルシリケートを三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で縮重合して得られる加水分解物及び溶媒を含む組成物であって、該組成物に含まれるチタン及びケイ素の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)であり、組成物のpHが4.5〜7.5であり、総固形分濃度が20重量%以下である酸化チタン塗膜形成性組成物を基材表面に塗布し、乾燥することを特徴とする酸化チタン及びシリカ成分含有塗膜の形成法。
【請求項8】 アルキルシリケートを分散安定剤として配合した中性域のpHで安定な酸化チタンゾルを用いる請求項7の塗膜の形成法。
【請求項9】 酸化チタン塗膜形成性組成物中の総固形分濃度を1重量%以下になるように希釈し、液化ガス(LPG)、炭酸ガスもしくはジメチルエーテル(DME)等の噴射剤を用いてエアゾールタイプにして基材表面に塗布する請求項7または請求項8の塗膜の形成法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光酸化触媒として使用される酸化チタン含有塗膜を形成できる組成物及び該組成物の製法に関し、また、当該組成物をガラス、ステンレスやアルミニウムその他の金属、セメント、壁もしくは壁紙、石膏ボード、石材、焼物等を含むセラミック製品または各種のプラスチック製品の表面に適用してこれら基材に酸化チタン含有被膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンは、それ自体が光半導体であり、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光、例えば、390nm以下の紫外線で照射されると伝導帯には電子が集積し、価電子帯には正孔(ホール)が生じる。この集積電子及び正孔に基づく酸化還元作用により大気中の有機物を分解し、殺菌効果を示すという光触媒活性が知られており、この活性作用を工業的に利用する試みが種々行われている。
【0003】近年、酸化チタンは有機物を分解することのほか、一般に超親水化現象と言われる効果を持つことが見出され、この特性を利用したセルフクリーニング性をもつ商品開発が活発に行われるようになった。
【0004】酸化チタンの薄膜を基材表面に形成する方法としては、種々検討されているがその一つに微細な酸化チタンゾルをシリケート類の加水分解物と混合し、シリケートのバインダー効果を利用する方法が知られている。この方法は酸化チタンゾル及びシリケート加水分解物の何れもが中性域で非常に不安定であり、すぐにゲル化が生じる傾向にある。酸化チタンの場合、中性域で安定な分散性を維持するには従来ポリカルボン酸有機系分散剤等を使用しているが、酸化チタンの光触媒機能により徐々に分解され分散剤としての機能が低下してしまう問題点があった。また、アルキルシリケートの加水分解物についても加水分解率が70%未満であるようなシラノール基含有率の低い場合等を別として、中性に近い液は安定性に欠け、これと中性の酸化チタンゾルと混合すると分散粒子が一層凝集し易くなる欠点を有していた。このためこの様な組成物は通常、酸性域、稀にはアルカリ域のものが開発されているが中性域で安定なものはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、紫外線照射によって有機物の酸化還元機能、親水化効果を示す酸化チタンを利用して各種の基材表面の汚染を防止するための、一般家庭や、特別の予防措置なしで平易に使える中性域で安定に分散している酸化チタン及びシリケート加水分解物を含有する塗膜形成性組成物、及びその製法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、中性域のpHで安定な酸化チタンゾルと、アルキルシリケートを三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で縮重合して得られる加水分解物及び溶媒を含む組成物であって、該組成物に含まれるチタン及びケイ素の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)であり、該組成物のpHが4.5〜7.5であり、総固形分濃度が20重量%以下であることを特徴とする酸化チタン塗膜形成性組成物及びその製法にある。
【0007】さらに本発明は、アルキルシリケートを分散安定剤として配合した中性域のpHで安定な酸化チタンゾル水性分散液と、低級アルキルシリケートをアルコール中で三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で70〜1500%の加水分解率で縮重合させて得たpH2.2〜6.5のアルコール性シリカゾルとを、組成物中のチタン及びケイ素(分散安定剤としてのケイ素分を含む)の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)の割合になるように15〜40℃の温度で混合し、全組成物中の総固形分濃度が20重量%以下、pHを4.5〜7.5とした酸化チタン塗膜形成性組成物及びその製法にある。
【0008】また本発明は、中性域のpHで安定な酸化チタンゾルと、アルキルシリケートを三塩基鉱酸または二塩基もしくは三塩基の有機酸存在下で縮重合して得られる加水分解物及び溶媒を含む組成物であって、該組成物に含まれるチタン及びケイ素の重量比が夫々TiO2 及びSiO2 への換算値で15〜85:85〜15(合計100)であり、組成物のpHが4.5〜7.5であり、総固形分濃度が20重量%以下である酸化チタン含有組成物を基材表面に塗布し、乾燥することを特徴とする酸化チタン及びシリカ成分含有塗膜の形成法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明する。本発明に用いられる酸化チタンとは、特定エネルギーを持つ光の照射で有機物の酸化還元に対して触媒作用を示すものであり、化学式TiO2 で表される二酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタンと呼ばれているものを含む。二酸化チタンの結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れであってもよく、また、これらの混合体でもよい。また、酸化チタンの粒子表面及び/または粒子内部に、銅、銀、金、ランタン、セリウム、亜鉛、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金等の金属や、金属化合物の少なくと1種を存在させてもよい。
【0010】これらの酸化チタンは、微粉末状であり、その粒径は光触媒活性が強いこと及び可視光に対する散乱効果が小さくなる、すなわち、透明性が高くなることから100nm程度以下の微細なものが好ましい。このような酸化チタンゾルは、その濃度を0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を水として波長550nmの光で測定した光線透過率が70〜100%と高い透明性を示す。従って、透明な酸化チタン塗膜を得たいときには粒子径が1〜100nm、特に1〜50nmの範囲のものを用いることが好ましい。
【0011】本発明で用いる中性域で安定な酸化チタンゾルには、酸化チタン微粒子表面の一部にケイ素及び/またはアルミニウムの含水酸化物を析出させて安定化させたもの、または、分散安定剤として低級アルキルシリケートもしくはその5量体程度以下の低級オリゴマーを添加して安定化したものが用いられる。
【0012】前者の安定化ゾルを得る方法としては、酸化チタン微粒子と鉱酸を混合したスラリーを50℃以上に加熱処理した後に、これにケイ素及び/またはアルミニウムの化合物を添加し、酸またはアルカリを用いて該スラリーのpHを5〜9.5に調整して、酸化チタン表面の少なくとも一部にケイ素及び/またはアルミニウムの含水酸化物を析出させる方法が好ましく用いられる。使用されるケイ素化合物としてはケイ酸ナトリウム等の水可溶性塩、コロイダルシリカ等である。また、アルミニウム化合物としては硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等の水可溶性アルミニウム塩を例示することができる。
【0013】また、後者のアルキルシリケートを添加して中性の酸化チタンゾルを安定化する方法としては、メチル、エチル、プロピル等の低級アルキルシリケートまたはこれらの加水分解率が70%未満の低レベルの縮合体(オリゴマー)を、酸化チタンに対しSiO2 換算の重量比で0.4〜2.0となるように加えるのが好ましい。これらのアルキルシリケート中、商品名「メチルシリケート51」(コルコート(株)製)として市場で入手できる平均縮合度3(3量体)のオリゴマーが特に好ましく、酸化チタンに対する混合割合は酸化チタン重量100に対しSiO2 換算で40〜100重量とするのが好ましい。
【0014】酸化チタンは普通ゾルの形で水を主体とする分散媒に分散している。この分散性が最終的な塗膜の光触媒機能に大きく影響してくるため、分散を阻害するような溶媒等の添加は種々の制限を受けるが、本発明においては親水性有機溶媒を添加しても酸化チタンの分散安定性は保たれる。このような親水性溶媒にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類があり、特に制限無く用いられる。
【0015】酸化チタンは種々の公知の方法で製造される。例えば、■含水酸化チタン等を一塩基酸またはその塩で解膠処理したり、■四塩化チタンを低温の水に添加した後透析したり、■塩酸水溶液にチタンアルコキシドを添加したりして得ることが出来る。上記■の方法で含水酸化チタンは、例えば、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の水溶性無機チタン化合物を加熱加水分解したり、チタン化合物の水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、中和したりして得ることが出来る。
【0016】本発明で用いられるアリキルシリケートの加水分解物としては、低級アルキルシリケートの70〜1500%の加水分解物が用いられる。ここで加水分解率とはアルキルシリケートをSiO2 に加水分解しうる理論量の水を加えて反応させた場合を100%としたものである。つまり、全く加水分解されていないアルキルシリケート(モノマー)1モルに対し、水2モルを使用して加水分解した場合を加水分解率100%の加水分解液と定義したものである。アルキルシリケートとしてはメチル、エチル、イソプロピルシリケート等の低級アルキルシリケートが用いられる。これらの原料シリケートはいずれも単量体または加水分解率が70%未満の部分加水分解率に相当するオリゴマーの形のものが出発原料として用いられる。
【0017】低級アルキルシリケートを加水分解するときの触媒としては、リン酸、硼酸等の無機三塩基酸、またはクエン酸、リンゴ酸、シュウ酸等の有機二塩基酸もしくは三塩基酸等が用いられ、このような触媒を用いて低級アルキルシリケートを加水分解するとpH2.2〜6.5の加水分解物が得られる。通常よく使われる塩酸、硝酸、硫酸等の一塩基または二塩基の鉱酸を用いると得られた加水分解物のpHが2.2以下となってしまい、中性の酸化チタン分散体を得るには不都合である。低級アルキルシリケートを加水分解するに際しては炭素数1〜4のアルコールで希釈して行うのが好ましい。酢酸エチル等のエステル類は少量の場合は問題ないが、添加する量が多くなるに従い組成物液を不安定にするので使用に際しては注意する必要がある。なお、ここで得られる加水分解物は、アルコール等の親水性溶媒が主体であるため、測定されるpH値は学問的定義に基づいたものではないが、水系溶媒と同様にして測定したpH値を意味する。
【0018】本発明において、安定化された酸化チタンゾルと低級アルキルシリケート加水分解液との混合は15〜40℃の範囲の温度で適宜に出来る。得られる酸化チタン含有の塗膜形成性組成物中のチタンとケイ素との割合は夫々二酸化チタンと二酸化ケイ素に換算した重量比(TiO2 :SiO2 )で15〜85:85〜15とすることが必要である。ケイ素には分散安定剤としてのケイ素分を含む。ケイ素の割合が85%を超えると酸化チタンの光触媒機能が発現できず実用性が無くなる。一方、ケイ素の割合が15%未満であると、基材との、及び、酸化チタン同士の接着強度が充分でなく指触や、振動で容易に脱落してしまい塗膜として工業的に使用しにくいものになる。
【0019】本発明の酸化チタン含有塗膜形成性組成物中の固形分濃度は、重量で20%以下、好ましくは10%、さらに好ましくは5%以下である。ここで固形分とは全組成物中における酸化チタンとシリカの合計量をいい、酸化チタンは二酸化チタンに、シリカは組成物中のアルキルシリケートもしくはその加水分解物のケイ素(Si)分をSiO2 に換算した値を用いている。該組成物中の他の成分は、水及び/または有機溶媒が主体であり、組成物を基材面上へ塗布後、乾燥により実質的に除去されるものである。最も好ましい固形分濃度は0.05〜5%であり、5%を超えると組成物の安定性が徐々に低下し、20%を超えると基材との接着性が悪くなるばかりでなく、組成物自体の安定性が低下する。固形分が0.05%未満では形成される酸化チタン含有膜の膜厚が薄すぎて酸化チタンの光触媒機能が発揮できない。
【0020】本発明の酸化チタン塗膜形成性組成物のpHは4.5〜7.5であり、酸化チタンゾルとアルキルシリケート加水分解物の混合時pHがこの範囲外の場合、酸またはアルカリを添加して調整することができる。
【0021】本発明の酸化チタン塗膜形成性組成物は、各種の基材表面に塗布され、乾燥、場合によって低温焼成されて塗膜化される。塗布方法は塗布すべき基材の形状によってスピンコーティング、スプレーコーティング、バーコート、ディップ法等が適宜に使用される。スプレーコーティングは基材の形状に関係なく手軽に塗布できるので好ましいが、本発明組成物を利用する場合は光触媒効果を高めようとする試みから往々にして、厚く塗りすぎて塗膜に強固な接着性を持たせることが出来ない場合が生じる。この様なときはアルコール等の希釈液を用いて固形分濃度を適当に調節することが必要となる。
【0022】また、液化ガス(LPG)、炭酸ガス、ジメチルエーテル(DME)等公知の噴射剤を用いてエアゾルタイプとして塗膜を形成することもできる。この場合、酸化チタン塗膜形成性組成物中の総固形分濃度が1重量%以下になるように希釈して用いることが好ましい。
【0023】塗膜形成に当たり固形分濃度が大きくなり過ぎると塗膜が白化することがあるので、塗膜が厚くなり過ぎないように注意を要する。形成される塗膜の厚さは0.01〜1μm、特に0.02〜0.3μmの範囲が適当である。この程度の膜厚の場合は基材の持つ種々の模様、デザインを全く損なう事なく、その表面に光触媒機能を持つ被膜を形成する事が出来る。
【0024】本発明の酸化チタン塗膜形成性組成物を塗布する基材としては、ガラス、金属、セメント、石膏ボード、石材、木材、セラミックス、プラスチック等の管状、板状、格子状、球状、ハニカム状部材等があるが、塗布後に溶剤、水分等を除去するために充分乾燥することが好ましい。本発明の組成物からの塗膜は常温〜60℃程度の温度による乾燥によって、爪で擦っても容易に剥離しない強固な被膜を形成できるが、シリケート加水分解液の特性から100℃以上の温度で焼成することによって、より強固な塗膜を形成することが出来る。必要に応じてさらに100〜300℃の範囲の温度で焼成してもよい。
【0025】本発明によって塗膜が形成された基材または部材は極めて広い種々の用途に利用される。例えば、高速道路の遮音部材として金属またはプラスチック製の板状または格子状のものが使用されているが、これに付着する有機物、微生物の分解除去、または、この塗膜の有する親水性機能で洗い流すのに使われる。塩ビ樹脂等からなっているプラスチック化粧板に適用すると、これを壁材に使用したとき壁面を自己浄化する機能を発揮し、また、病院、食品工場等では殺菌効果を持つものとして好適に使用出来る。さらに、一般家庭においては台所、または手の届くような窓ガラス、網戸等の如き水で簡単に洗えるような場所、製品、部材にはたとえ耐久性に不足があっても中性のエアゾルタイプとすることによって何度でも塗布可能となるので利用、応用範囲は大きい。
【0026】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。説明中「%」は特に表示のない限り重量%を、「部」は重量部を示す。なお、評価のため塗膜形成性組成物を用いて塗膜を形成したときの製膜条件、及び塗膜の性能評価方法は次の通りである。
【0027】(1)試験片の調製(組成物液の塗布条件)
被塗布片:ガラス板100×50×2t(m/m)
塗布方法:スピンコーター(ミカサ(株)製:IH−360S)を用いて1500rpm、10秒で塗布乾燥条件:常温乾燥【0028】(2)ヘイズ率(%)
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製:300A)で測定【0029】(3)親水化活性リノール酸トリグリセリドのキシレン溶液(濃度0.005%)を、試験片に1000rpm、10秒の条件でスピンコートし、室温で1時間乾燥した。塗面に0.5mW/cm2 の強度のブラックライトを照射し、試験板表面の水との接触角を接触角計(協和界面科学(株)製:CA−D型)を用いて測定した。
【0030】[実施例1]
(A)酸性酸化チタン水性ゾルの調製チタン鉱石と硫酸とを反応させて得られた硫酸チタン溶液を、加熱加水分解してメタチタン酸を生成させた。得られたメタチタン酸をTiO2 換算で30%の水性スラリーとし、このスラリーをアンモニア水でpH7に中和し、その後濾過洗浄して硫酸根を除去した。得られた脱水ケーキに濃硝酸と水を加えて解膠処理して、HNO3 として2.0%含有し、酸化チタン濃度がTiO2 換算で30%、pH1.5の酸性酸化チタン水性ゾル(以下、試料aとする。)を得た。
【0031】(B)中性酸化チタンゾルの製法上記(A)で得られた酸性酸化チタン水性ゾル試料aに、イオン交換水を加えて酸化チタン濃度を20%とした。この希釈した試料25部を室温で攪拌しながら、徐々にエタノール45.4部を添加し、引き続き2−プロパノール10部を徐々に添加してアルコールで希釈された酸性酸化チタンゾルを得た。希釈倍率は重量比で3.2倍であった。別に、メチルシリケートとしてメチルシリケート51(一般式Sinn-1 (OCH32n+2(但し、nは3〜5)、コルコート(株)製、商品名)をメタノールで50%に希釈してメタノールで希釈されたメチルシリケートを得た。希釈倍率は重量比で2倍であった。
【0032】このようにして得られたアルコールで希釈された酸性酸化チタンゾル80.4部と、メタノールで希釈されたメチルシリケート19.6部を混合し、これに湿潤した陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA−910(オルガノ(株)製、商品名)396部を攪拌しながら添加しイオン交換により中性化した。次いで、イオン交換樹脂を濾過し、pH6.4、固形分5.3%の中性酸化チタンゾルを得た。この試料は、メチルシリケート中のケイ素をSiO2 に換算した量と酸化チタン中のチタンをTiO2 に換算した量との重量比(SiO2 /TiO2 )が1であった。
【0033】(C)アルキルシリケート加水分解液の調製「メチルシリケート51」を40部、イソプロピルアルコール(IPA)を55部を混合し、これにリン酸0.18%を含有する水6部を添加し、30℃で3時間反応して加水分解液を製造した。この加水分解液のpHは2.3であった。
【0034】(D)中性酸化チタンとアルキルシリケート加水分解液の混合前記の(B)で製造した中性酸化チタンゾルと、(C)のアルキルシリケート加水分解液を用いて25℃で混合し、総固形分濃度1%、TiO2 /SiO2 =30/70の比の液を調整した。希釈溶媒としてはメタノール/IPA=2/1のものを用いた。こうして得られた組成物のpHは5.4で実質的に中性であった。これを用いて試験片を作成し、そのヘイズ率、接触角を測定した。結果を表1に示す。
【0035】[実施例2]実施例1において酸化チタンと酸化ケイ素の割合を45:55となるように配合したことを除いて、実施例1と同様に操作してpH5.7の酸化チタン含有膜形成性組成物を作り、これを評価した。結果を表1に示す。
【0036】[実施例3]実施例1においてアルキルシリケートの加水分解をクエン酸触媒の存在下で行ったことを除いて実施例1と同様に操作してpH5.6の酸化チタン含有膜形成性組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして試験片の測定を行った。結果を表1に示す。
【0037】[実施例4]実施例1においてアルキルシリケートの加水分解をクエン酸触媒の存在下で行ったことを除いて実施例2と同様に操作してpH5.4の酸化チタン含有膜形成性組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして試験片の測定を行った。結果を表1に示す。
【0038】[実施例5〜8]
(A)酸性酸化チタン水性ゾル実施例1で得られた酸性酸化チタン水性ゾル(試料a)を用いた。
【0039】(B)中性酸化チタンゾルの製法試料aにイオン交換水を加えて酸化チタン濃度を28.6%とした酸性酸化チタン水性ゾル49部を室温で攪拌しながら、徐々にメタノール8部を添加し、引き続き2−プロパノール6.5部を徐々に添加してアルコールで希釈された酸性酸化チタンゾルを得た。希釈倍率は重量比で1.3倍であった。次いで、「メチルシリケート51」をメタノールで50%に希釈して、メタノールで希釈されたメチルシリケートを得た。希釈倍率は重量比で2倍であった。
【0040】このようにして得られたアルコールで希釈された酸性酸化チタンゾル63.5部と、メタノールで希釈されたメチルシリケート38.6部を混合し、これに湿潤した陰イオン交換樹脂「アンバーライトIRA−910」734部を攪拌しながら添加し、イオン交換により中性化した。次いで、イオン交換樹脂を濾過し、pH6.1、固形分13.3%の中性酸化チタンゾルを得た。この試料は、メチルシリケート中のケイ素をSiO2 に換算した量と酸化チタン中のチタンをTiO2 に換算した量との重量比(SiO2 /TiO2 )が0.70であった。この酸化チタンゾルを用いてアルキルシリケート加水分解物液とを表1に示す比率になるように25℃で混合して組成物を得た。なお、実施例5〜8のアルキルシリケート加水分解液の調製は夫々実施例1、2、3、4の方法に準じて行った。
【0041】[実施例9〜12]中性酸化チタンゾルを次のようにして作成した。
(A)酸化チタン微粒子の作成TiO2 として20%濃度の四塩化チタン水溶液700mlと、Na2 Oとして10%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、系のpHを5〜9に維持するように液中に並行添加した。その後、系のpHを水酸化ナトリウム水溶液で7に調整した後、濾過し、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分濃度28.3%の酸化チタン湿ケーキ1を得た。この酸化チタン微粒子はルチル型構造を有し、その平均粒径は8nmであった。
【0042】(B)酸加熱処理上記で得られたルチル型酸化チタン湿ケーキ1を純水で希釈して、1モル/lのスラリーを調製した。このスラリー1lを3l入りの4つ口フラスコに仕込み、さらに、1規定の硝酸を酸化チタン/硝酸のモル比が1/1となるよう1l添加し、95℃の温度に加熱し、この温度で2時間保持して、酸加熱処理を行った。次いで、酸加熱処理後のスラリーを室温まで冷却し、28%アンモニア水を用いて中和(pH=6.7)して、濾過した後、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分濃度25%の酸化チタン湿ケーキ2を得た。
【0043】(C)表面処理上記で得られた酸化チタン湿ケーキ2に、10%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、リパルプし、その後、超音波洗浄機(Branson8210:Yamato社製)で3時間分散して、pH=10.5、固形分濃度10%のアルカリ性酸化チタンゾルを得た。このアルカリ性酸化チタンゾル2lを3l入りの4つ口フラスコに仕込み、70℃の温度に昇温し、SiO2 として432g/lの濃度のケイ酸ナトリウム水溶液69.4mlを添加し、その後90℃に昇温して1時間熟成した後、10%の硫酸を添加してpHを6に調整して、酸化チタンの表面をケイ素の含水酸化物で表面処理した。
【0044】(D)不純物の除去上記(C)で得られた酸化チタンゾルを室温まで冷却し、5.4lの純水を添加し、脱塩濃縮装置(セラフロー:ミクニキカイ(株)製)を用いて、不純物の除去、及び濃縮を行い、pH=7.3、固形分濃度29%、導電率1.18mS/cmの中性ルチル型酸化チタンゾルを得た。試料は、TiO2 に対してSiO2 基準で14.9%のケイ素の含水酸化物を含有していた。このゾル中の酸化チタンの平均粒径は9nmであった。この酸化チタンゾルを用い、シリケート加水分解液は夫々実施例1、2、3、4の方法に準じて製造したものを用いて表1に示す夫々の組成物を得た。これらを用いて実施例1と同様にして試験片の測定を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【発明の効果】本発明の酸化チタン塗膜形成性組成物は、pHが4.5〜7.5であるためガラス、金属、セメント、石膏ボード、石材、木材、セラミックス、プラスチック等の基材からなる管状、板状、格子状、球状、ハニカム状部材等に、特別の予防措置なしに平易に施すことができ、これら基材に形成された塗膜は爪で擦っても容易に剥離しない強固な被膜を形成する。従って、本発明によって塗膜が形成された基材、部材、製品は酸化チタンの有する有機物の酸化還元機能、親水化効果等により付着する有機物、微生物の分解除去、汚れの容易な洗浄除去、殺菌効果による病院等の壁材、一般家庭用厨房等種々の用途に利用される。
【出願人】 【識別番号】591054303
【氏名又は名称】コルコート株式会社
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
【出願日】 平成11年7月16日(1999.7.16)
【代理人】 【識別番号】100069497
【弁理士】
【氏名又は名称】吉沢 敏夫
【公開番号】 特開2001−29795(P2001−29795A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−203840