| 【発明の名称】 |
スパイラル型膜エレメントおよびスパイラル型膜モジュールの運転方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安藤 雅明
【氏名】川島 敏行
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| 【要約】 |
【課題】長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ低コストで安定した濾過運転を行うことができるスパイラル型膜エレメントおよびスパイラル型膜モジュールの運転方法を提供することである。
【解決手段】スパイラル型膜モジュールは、背圧強度の高い分離膜を有するスパイラル型膜エレメント1を備える。濾過時には、配管27,27aのバルブ30c,30dを閉じることにより原水出口15を閉じ、原水入口13を通してスパイラル型膜エレメント1の一方の端面側から原水7を供給して全量濾過を行う。洗浄時には、洗浄水21を透過水出口14を通して集水管5の端部から導入し、0.05〜0.3MPaの背圧で逆流洗浄を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントの運転方法であって、濾過時に、前記スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給して全量濾過を行い、洗浄時に、前記有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入して前記スパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させることにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で前記分離膜を逆流洗浄することを特徴とするスパイラル型膜エレメントの運転方法。 【請求項2】 有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントの運転方法であって、濾過時に、前記スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給するとともに常時または間欠的に一部の原液を前記スパイラル型膜エレメント内を軸方向に流し、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入して前記スパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させることにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で前記分離膜を逆流洗浄することを特徴とするスパイラル型膜エレメントの運転方法。 【請求項3】 前記スパイラル型膜エレメント内を軸方向に流した原液の少なくとも一部を再び前記スパイラル型膜エレメントの供給側に戻すことを特徴とする請求項2記載のスパイラル型膜エレメントの運転方法。 【請求項4】 前記分離膜は多孔性シート材の一面に透過性膜体が接合されてなり、前記透過性膜体は前記多孔性シート材の一面に投錨状態で接合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスパイラル型膜エレメントの運転方法。 【請求項5】 有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントが原液入口を有する圧力容器内に1または複数本収容されてなるスパイラル型膜モジュールの運転方法であって、濾過時に、前記圧力容器の前記原液入口を通して前記スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給して全量濾過を行い、洗浄時に、前記有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入して前記スパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させて前記圧力容器の外部に取り出すことにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で前記分離膜を逆流洗浄することを特徴とするスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項6】 有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントが原液入口および原液出口を有する圧力容器内に1または複数本収容されてなるスパイラル型膜モジュールの運転方法であって、濾過時に、前記圧力容器の前記原液入口を通して前記スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給するとともに、常時または間欠的に前記原液の一部を前記スパイラル型膜エレメント内を軸方向に流して前記原液出口から前記圧力容器の外部へ取り出し、洗浄時に、前記有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入して前記スパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させて前記圧力容器の外部に取り出すことにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で前記分離膜を逆流洗浄することを特徴とするスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項7】 前記圧力容器の外部に取り出した原液の少なくとも一部を再び前記原液入口に供給することを特徴とする請求項6記載のスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項8】 前記圧力容器の外部に取り出した洗浄液の少なくとも一部を再び前記原液入口に供給することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項9】 洗浄時に、前記逆流洗浄と並行して前記圧力容器の前記原液入口から前記スパイラル型膜エレメント内に原液を供給し前記スパイラル型膜エレメント内で前記原液を軸方向に流すとともに、前記軸方向に流した原液を前記圧力容器の外部に取り出すことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項10】 洗浄時、前記逆流洗浄を行った後に前記圧力容器の前記原液入口から前記スパイラル型膜エレメント内に原液を供給し前記スパイラル型膜エレメント内で前記原液を軸方向に流すとともに、前記軸方向に流した原液を前記圧力容器の外部に取り出すことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のスパイラル型膜モジュールの運転方法。 【請求項11】 前記スパイラル型膜エレメント内を軸方向に流して前記圧力容器の外部に取り出した原液の少なくとも一部を再び原液入口に供給することを特徴とする請求項9または10記載のスパイラル型膜モジュールの運転方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、逆浸透膜分離装置、限外濾過膜分離装置、精密濾過膜分離装置等の膜分離装置に用いられるスパイラル型膜エレメントおよびスパイラル型膜モジュールの運転方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、浄水処理および排水処理への膜分離技術の適用が広がり、従来困難であった液質への膜分離技術の応用がなされている。特に、膜分離技術を用いた産業排水の回収および再利用が強く求められている。 【0003】このような膜分離に使用される膜エレメントの形態としては、単位体積当たりの膜面積(体積効率)の点から中空糸型膜エレメントが多く使用されている。しかし、中空糸型膜エレメントは、膜が折れやすく、膜が折れると、原水が透過水に混ざり、分離性能が低下するという欠点を有している。 【0004】そこで、中空糸型膜エレメントに代えて、スパイラル型膜エレメントを適用することが提案されている。このスパイラル型膜エレメントは、中空糸型膜エレメントと同様に単位体積当たりの膜面積を大きくとれ、しかも分離性能を維持でき、信頼性が高いという利点を有している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】排水は多くの懸濁物質、コロイド性物質または溶存性物質を含むため、このような排水に膜分離を行うと、これらの懸濁物質、コロイド性物質または溶存性物質が汚染物質として膜面に堆積し、水の透過速度の低下を引き起こす。特に、全量濾過を行う場合においては汚染物質が膜面に堆積しやすく、水の透過速度の低下が顕著であり、安定した濾過運転を続けることが困難である。 【0006】膜面への汚染物質の堆積を防止するためには、クロスフロー濾過が行われる。このクロスフロー濾過は、原水を膜面に対して平行に流すことにより、膜面と流体との界面で生じる剪断力を利用して膜面への汚染物質の堆積を防止するものである。このようなクロスフロー濾過においては、汚染物質の膜面への堆積を防ぐために充分な膜面線速を得ることが必要であり、そのためには充分な流量の原水を膜面に対して平行に流す必要がある。しかしながら、膜面に平行に流す原水の流量を大きくすると、スパイラル型膜エレメント当たりの回収率が低くなるうえ、原水を供給するポンプが大きいものとなり、システムコストも非常に大きくなる。 【0007】一方、膜面に堆積した汚染物質を逆流洗浄により取り除くことも行われる。逆流洗浄は、中空糸型膜エレメントでは一般的に行われている。 【0008】スパイラル型膜エレメントへの逆流洗浄の適用は、例えば特公平6−98276号公報に提案されている。しかし、従来のスパイラル型膜エレメントの分離膜は、背圧強度が低いため、逆流洗浄において分離膜に背圧が加わると、分離膜が破損するおそれがある。そのため、上記の公報によると、スパイラル型膜エレメントに0.1〜0.5kg/cm2 (0.01〜0.05MPa)という低い背圧で逆流洗浄を行うことが好ましいとされている。 【0009】しかし、本発明者の実験によると、スパイラル型膜エレメントにおいてこのような背圧で逆流洗浄を行った場合、汚染物質の除去を充分に行うことが困難であり、長時間にわたって高い透過流束を維持することはできなかった。 【0010】一方、本発明者は、特開平10−225626号公報に背圧強度が2kgf/cm2 以上の分離膜の構造および製造方法を提案している。しかしながら、このような背圧強度を有する分離膜を用いてスパイラル型膜エレメントを作製した場合に、実際にどのような背圧で逆流洗浄を行うことが可能となるか、また、どのような範囲の背圧で逆流洗浄を行った場合に長期間にわたって高い透過流束を維持できるかについては十分に検証されていなかった。さらに、上記のような背圧強度の高い分離膜を有するスパイラル型膜エレメントの運転方法およびこのようなスパイラル型膜エレメントを備えたスパイラル型膜モジュールの運転方法については検証されていなかった。 【0011】このような背圧強度の高い分離膜を用いた場合でも、最適な洗浄条件および洗浄方法を適用しかつ最適な運転方法により濾過運転を行わなければ、スパイラル型膜エレメントおよびスパイラル型膜モジュールにおいて長期間にわたって透過流束の低下を生じることなく安定した濾過運転を続けることができない。 【0012】本発明の目的は、長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ低コストで安定した濾過運転を行うことができるスパイラル型膜エレメントおよびスパイラル型膜モジュールの運転方法を提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の発明に係るスパイラル型膜エレメントの運転方法は、有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントの運転方法であって、濾過時に、スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給して全量濾過を行い、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入してスパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させることにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するものである。 【0014】本発明に係るスパイラル型膜エレメントの運転方法においては、洗浄時に、洗浄液が有孔中空管の少なくとも一方の開口端から導入される。その洗浄液は、有孔中空管の外周面から袋状の分離膜の内部に導出され、その分離膜を濾過時と逆方向に透過する。それにより、分離膜が逆流洗浄され、分離膜の膜面に堆積した汚染物質が分離膜から剥離される。 【0015】この場合、0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するので、短時間に必要量の洗浄液を流すことができる。それにより、分離膜の膜面に堆積した汚染物質を効果的に除去することができる。その結果、膜面に汚染物質が堆積しやすい全量濾過においても、長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ安定した濾過運転を行うことが可能となる。 【0016】以上のように、上記のスパイラル型膜エレメントの運転方法によれば、全量濾過を安定して行うことができるため、効率よく透過液を得ることが可能となる。また、原液を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0017】第2の発明に係るスパイラル型膜エレメントの運転方法は、有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントの運転方法であって、濾過時に、スパイラル型膜エレメント内へ原液を供給するとともに常時または間欠的に一部の原液をスパイラル型膜エレメント内を軸方向に流し、洗浄時に、有孔中空管の少なくとの一方の開口端から洗浄液を導入してスパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させることにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するものである。 【0018】本発明に係るスパイラル型膜エレメントの運転方法においては、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から導入された洗浄液が有孔中空管の外周面から袋状の分離膜の内部に導出され、その分離膜を濾過時と逆方向に透過する。それにより、分離膜が逆流洗浄され、分離膜の膜面に堆積した汚染物質が分離膜から剥離される。 【0019】この場合、0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するので、短時間に必要量の洗浄液を流すことができる。それにより、分離膜の膜面に堆積した汚染物質を効果的に除去することができる。その結果、長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ安定した濾過運転を行うことが可能となる。 【0020】ここで、上記の運転方法においては、濾過時に、スパイラル型膜エレメント内において常時または間欠的に原液を軸方向に流す。それにより、原液中の汚染物質がスパイラル型膜エレメントの分離膜の膜面に付着することを抑制することが可能になるとともに、汚染物質の一部を原液とともに外部に排出することが可能となる。したがって、より安定した濾過運転を行うことが可能となる。また、この場合、原液を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0021】スパイラル型膜エレメント内を軸方向に流した原液の少なくとも一部を再びスパイラル型膜エレメントの供給側に戻すことが好ましい。このように原液を循環させることにより、高い回収率で透過液を得ることが可能となる。 【0022】分離膜は多孔性シート材の一面に透過性膜体が接合されてなり、透過性膜体は多孔性シート材の一面に投錨状態で接合されてなってもよい。このような分離膜においては、多孔性シート材と透過性膜体との接合が強化され、分離膜の背圧強度が向上する。それにより、0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧でスパイラル型膜エレメントの分離膜の破損を生じることなく十分に逆流洗浄することが可能となる。 【0023】特に、分離膜の背圧強度は0.2MPa以上であることが好ましい。これにより、高い背圧での逆流洗浄が可能となり、膜洗浄を十分に行うことによって長期間安定した膜分離処理を行うことができる。 【0024】特に、多孔性シート材は合成樹脂からなる織布、不織布、メッシュ状ネットまたは発泡焼結シートからなることが好ましい。 【0025】さらに、多孔性シート材は、厚みが0.08mm以上0.15mm以下でかつ密度が0.5g/cm3 以上0.8g/cm3 以下の不織布からなることが好ましい。 【0026】これにより、0.2MPa以上の背圧強度を得るとともに、補強シートとしての強度を確保しつつ、透過抵抗の増大および透過性膜体の剥離を防止することができる。 【0027】第3の発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法は、有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントが原液入口を有する圧力容器内に1または複数本収容されてなるスパイラル型膜モジュールの運転方法であって、濾過時に、圧力容器の原液入口を通してスパイラル型膜エレメント内へ原液を供給して全量濾過を行い、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入してスパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させて圧力容器の外部に取り出すことにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するものである。 【0028】本発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法においては、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から導入された洗浄液が有孔中空管の外周面から袋状の分離膜の内部に導出され、その分離膜を濾過時と逆方向に透過する。それにより、分離膜が逆流洗浄され、分離膜の膜面に堆積した汚染物質が分離膜から剥離される。 【0029】この場合、0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するので、短時間に必要量の洗浄液を流すことができる。それにより、分離膜の膜面に堆積した汚染物質を効果的に除去することができる。その結果、膜面に汚染物質が堆積しやすい全量濾過においても、長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ安定した濾過運転を行うことが可能となる。 【0030】以上のように、上記のスパイラル型膜モジュールの運転方法によれば、全量濾過を安定して行うことができるため、効率よく透過液を得ることが可能となる。また、原液を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0031】第4の発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法は、有孔中空管の外周面に袋状の分離膜が巻回されてなるスパイラル型膜エレメントが原液入口および原液出口を有する圧力容器内に1または複数本収容されてなるスパイラル型膜モジュールの運転方法であって、濾過時に、圧力容器の原液入口を通してスパイラル型膜エレメント内へ原液を供給するとともに、常時または間欠的に原液の一部をスパイラル型膜エレメント内を軸方向に流して原液出口から圧力容器の外部に取り出し、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から洗浄液を導入してスパイラル型膜エレメントの少なくとも一端部から洗浄液を排出させて圧力容器の外部に取り出すことにより0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するものである。 【0032】本発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法によれば、洗浄時に、有孔中空管の少なくとも一方の開口端から導入された洗浄液が有孔中空管の外周面から袋状の分離膜の内部に導出され、その分離膜を濾過時と逆方向に透過する。それにより、分離膜が逆流洗浄され、分離膜の膜面に堆積した汚染物質が分離膜から剥離される。 【0033】この場合、0.05MPaよりも高く0.3MPa以下の背圧で分離膜を逆流洗浄するので、短時間に必要量の洗浄液を流すことができる。それにより、分離膜の膜面に堆積した汚染物質を効果的に除去することができる。その結果、長期間にわたって高い透過流束を維持しつつ安定した濾過運転を行うことが可能となる。 【0034】ここで、上記の運転方法においては、濾過時に、スパイラル型膜エレメント内において常時または間欠的に原液を軸方向に流す。このため、原液中の汚染物質がスパイラル型膜エレメントの分離膜の膜面に付着することを抑制することが可能になるとともに、汚染物質の一部を原液とともに圧力容器の外部に取り出すことが可能になる。したがって、より安定した濾過運転を行うことが可能となる。 【0035】また、この場合においては、原液を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0036】圧力容器の外部に取り出した原液の少なくとも一部を再び原液入口に供給することが好ましい。このように原液を循環させることにより、高い回収率で透過液を得ることが可能となる。 【0037】上記の第3および第4の発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法において、圧力容器の外部に取り出した洗浄液の少なくとも一部を再び原液入口に供給してもよい。このように洗浄液を循環させることにより、高い回収率で透過液を得ることが可能となる。 【0038】また、洗浄時に、逆流洗浄と並行して圧力容器の原液入口からスパイラル型膜エレメント内に原液を供給しスパイラル型膜エレメント内で原液を軸方向に流すとともに、軸方向に流した原液を圧力容器の外部に取り出してもよい。あるいは、洗浄時、逆流洗浄を行った後に圧力容器の原液入口からスパイラル型膜エレメント内に原液を供給しスパイラル型膜エレメント内で原液を軸方向に流すとともに、軸方向に流した原液を圧力容器の外部に取り出してもよい。 【0039】このように洗浄時にスパイラル型膜エレメント内において軸方向に原液を流すことにより、分離膜から剥離した汚染物質がスパイラル型膜エレメントの一端部から他端部へ押し流され、洗浄液とともにスパイラル型膜エレメントの他端部から排出されて圧力容器の外部に取り出される。それにより、分離膜から剥離した汚染物質を速やかに系外に排出することが可能となり、汚染物質が再び分離膜に付着することが防止される。 【0040】さらに、洗浄時に軸方向に流した原液の少なくとも一部を再び原液入口に供給してもよい。このように原液を循環させることにより、高い回収率で透過液を得ることが可能となる。 【0041】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態におけるスパイラル型膜モジュールの例を示す模式的な断面図である。 【0042】図1に示すように、スパイラル型膜モジュールは、圧力容器(耐圧容器)10内にスパイラル型膜エレメント1が収納されてなる。圧力容器10は、筒形ケース11および1対の端板12a,12bにより構成される。一方の端板12aには原水入口13が形成され、他方の端板12bには原水出口15が形成されている。また、他方の端板12bの中央部には透過水出口14が設けられている。なお、圧力容器の構造は図1の構造に限定されず、後述するような筒形ケースに原水入口および原水出口が設けられたサイドエントリ形状の圧力容器を用いてもよい。 【0043】外周面の一端部近傍にパッキン17が取り付けられたスパイラル型膜エレメント1を筒形ケース11内に装填し、筒形ケース11の両方の開口端をそれぞれ端板12a,12bで封止する。集水管5の一方の開口端は端板12bの透過水出口14に嵌合され、他方の開口端にはエンドキャップ16が装着される。圧力容器10の内部空間は、パッキン17により第1の液室18と第2の液室19とに分離される。 【0044】スパイラル型膜モジュールの原水入口13は、配管25を通して原水タンク500に接続されている。配管25にはバルブ30aが介挿されており、さらに、このバルブ30aの下流側に、バルブ30bが介挿された配管26が接続されている。一方、原水出口15には、バルブ30cが介挿された配管27が接続されており、さらにバルブ30dが介挿された配管27aが配管27のバルブ30c上流側に接続されている。この配管27aを介して原水出口15は原水タンク500に接続される。透過水出口14には、バルブ30eが介挿された配管28が接続されており、このバルブ30eの上流側に、バルブ30fが介挿された配管29が接続されている。 【0045】図5は、図1のスパイラル型膜モジュールに用いられるスパイラル型膜エレメントの一部切欠き斜視図である。 【0046】図5に示すように、スパイラル型膜エレメント1は、合成樹脂のネットからなる透過水スペーサ3の両面に分離膜2を重ね合わせて3辺を接着することにより封筒状膜(袋状膜)4を形成し、その封筒状膜4の開口部を集水管5に取り付け、合成樹脂のネットからなる原水スペーサ6とともに集水管5の外周面にスパイラル状に巻回することにより構成される。スパイラル型膜エレメント1の外周面は外装材で被覆される。 【0047】このスパイラル型膜エレメント1においては、後述する構造を有する分離膜2を用いることにより、0.05〜0.3MPaの背圧で逆流洗浄を行うことが可能となる。 【0048】図2および図3は、本発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法の一例を示す模式的断面図である。本例の運転方法においては図1のスパイラル型膜モジュールを用いており、図2は濾過時の運転方法を示し、図3は洗浄時の運転方法を示す。 【0049】図2に示すように、濾過時には、配管25のバルブ30aおよび配管28のバルブ30eを開くとともに、配管26のバルブ30b、配管27のバルブ30c、配管27aのバルブ30dおよび配管29のバルブ30fを閉じる。 【0050】原水タンク500から取水された原水7は、配管25を通して原水入口13から圧力容器10の内部に供給される。スパイラル型膜モジュール内において、供給された原水7は原水入口13から圧力容器10の第1の液室18に導入され、さらに、スパイラル型膜エレメント1の一端部からスパイラル型膜エレメント1の内部に供給される。 【0051】図5に示すように、スパイラル型膜エレメント1において、一方の端面側から供給された原水7は、原水スペーサ6に沿って集水管5と平行な方向(軸方向)に他方の端面側に向かって直線状に流れる。原水7が原水スペーサ6に沿って流れる過程で、原水側と透過水側の圧力差によって原水7の一部が分離膜2を透過する。この透過水8が透過水スペーサ3に沿って集水管5の内部に流れ込み、集水管5の端部から排出される。一方、分離膜2を透過しなかった残りの原水7aは、スパイラル型膜エレメント1の他方の端面側から排出される。 【0052】集水管5の端部から排出された透過水8は、図2に示すように、透過水出口14から配管28を通して圧力容器10の外部へ取り出される。一方、スパイラル型膜エレメント1の他方の端面側から排出された原水7aは、第2の液室19に導出される。この場合、原水出口15に接続された配管27のバルブ30cおよび配管27aのバルブ30dを閉じているため、スパイラル型膜エレメント1における分離膜2の透過が促進されて全量濾過が行われる。 【0053】上記のような濾過過程で、原水中に含まれる懸濁物質、コロイド性物質または溶存性物質が汚染物質としてスパイラル型膜エレメント1の分離膜2の膜面に堆積する。特に、全量濾過においては分離膜2の膜面に汚染物質が堆積しやすい。このような汚染物質の堆積は水の透過速度の低下を引き起こすため、以下に示す洗浄を行って汚染物質を除去する。 【0054】図3に示すように、洗浄時には、まず配管25のバルブ30a、配管28のバルブ30eおよび配管27aのバルブ30dを閉じるとともに、配管26のバルブ30b、配管29のバルブ30fおよび配管27のバルブ30cを開き、逆流洗浄を行う。 【0055】逆流洗浄時には、配管29および配管28を通して洗浄水21が透過水出口14から集水管5の開口端に供給され、洗浄水21が集水管5の内部に導入される。なお、洗浄水21としては、例えば透過水を用いる。集水管5の内部に導入された洗浄水21は、集水管5の外周面から分離膜2の内部へ導出され、濾過時と逆方向に分離膜2を透過する。この際に、分離膜2の膜面に堆積した汚染物質が分離膜2から剥離する。スパイラル型膜エレメント1の外周面は外装材で被覆されているので、分離膜2を透過した洗浄水21は、原水スペーサ6に沿ってスパイラル型膜エレメント1の内部を軸方向に流れ、スパイラル型膜エレメント1の両端部から第1の液室18および第2の液室19に排出される。さらに洗浄水21は、原水入口13および原水出口15から配管26および配管27を通してそれぞれ外部へ取り出される。 【0056】この場合、分離膜2に0.05〜0.3MPaの背圧が加わるように透過水出口14側の圧力、原水入口13側の圧力および原水出口15側の圧力を設定する。それにより、短時間に必要量の洗浄水21を流すことができ、分離膜2の膜面に堆積した汚染物質を効果的に剥離させることが可能になる。また、剥離した汚染物質がスパイラル型膜エレメント1の端部から排出されるまでの間に原水スペーサ6に捕捉されるのを抑制し、汚染物質を効果的に除去することが可能となる。 【0057】なお、本例においては原水入口13から取り出された洗浄水21の全量を排水として系外へ排出しているが、この洗浄水21の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水7として再利用してもよい。例えば、配管26のバルブ30bの下流側にさらに配管を設けるとともにこの配置を原水タンク500に接続することにより、洗浄水21の一部を原水タンク500に戻してもよい。 【0058】また、本例においては原水出口15から取り出された洗浄水21の全量を排水として系外へ排出しているが、この洗浄水21の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水7として再利用してもよい。例えば、配管27のバルブ30cを開くとともに配管27aのバルブ30dを開き、洗浄水21の一部を配管27aを通して原水タンク500に戻してもよい。 【0059】また、図3の例では、逆流洗浄時にスパイラル型膜エレメント1の両端部から洗浄水21が排出され、それぞれ原水入口13および原水出口15から配管26および配管27を通して外部に取り出されているが、洗浄水21がスパイラル型膜エレメント1の一端部から第1の液室18に排出され、原水入口13から配管26を通して外部に取り出されるように透過水出口14側の圧力および原水入口13側の圧力を設定してもよい。この場合、配管27のバルブ30cを閉じ、原水出口15を閉じておく。あるいは、洗浄水21がスパイラル型膜エレメント1の他端部から第2の液室19に排出され、原水出口15から配管27を通して外部に取り出されるように透過水出口14側の圧力および原水出口15側の圧力を設定してもよい。この場合、配管26のバルブ30bを閉じ、原水入口13を閉じておく。 【0060】上記のようにして逆流洗浄を行った後、配管26のバルブ30bおよび配管29のバルブ30fを閉じるとともに配管25のバルブ30aを開く。それにより、原水タンク500から取水された原水31が配管25を通して原水入口13から圧力容器10内に供給され、第1の液室18に導入される。原水31は、スパイラル型膜エレメント1の一端部から内部に供給され、原水スペーサ6に沿ってスパイラル型膜エレメント1の内部を軸方向に流れた後、他端部から排出される。それにより、分離膜2から剥離した汚染物質が原水31とともにスパイラル型膜エレメント1の一端部から他端部へ押し流され、スパイラル型膜エレメント1の内部に残存する洗浄水21とともにスパイラル型膜エレメント1の他端部から第2の液室19に排出される。さらに、汚染物質は原水31とともに原水出口15から配管27を通して圧力容器10の外部へ取り出される。 【0061】このように、逆流洗浄後に濾過時の原水の供給方向と同方向に原水31を流すことにより、スパイラル型膜エレメント1内で分離膜2から剥離した汚染物質を系外に速やかに排出することができる。それにより、分離膜2から剥離した汚染物質が再び分離膜2に付着することを防止することができる。 【0062】上記のような洗浄時の運転方法によれば、濾過時に分離膜2に堆積した汚染物質を効果的に除去することが可能となるため、膜面に汚染物質が堆積しやすい全量濾過においても、長期間にわたって透過流束の低下を生じることなく安定して運転を行うことが可能となる。 【0063】なお、本例においては逆流洗浄後に原水31を軸方向に流しているが、逆流洗浄と並行して原水31を軸方向に流してもよい。例えば上記において、洗浄時に配管25,26,27,29のバルブ30a,30b,30c,30fを同時に開き、透過側から洗浄水21を供給するとともに原水側から原水31を供給してもよい。この場合、上記のように逆流洗浄後に原水31を流す場合に得られる効果と同様の効果が得られる。 【0064】また、本例においては原水31を原水入口13から供給して原水出口15から取り出しているが、原水を原水出口15から供給して原水入口13から取り出し、スパイラル型膜エレメント1の内部において濾過時の原水の供給方向と逆方向に原水を流してもよい。この場合、上記のように濾過時の原水の供給方向と同方向に原水31を流す場合に得られる効果と同様の効果が得られる。 【0065】なお、濾過時の原水の供給方向と同方向に原水を流す場合においては、特にスパイラル型膜エレメント1の第2の液室19に近い側に堆積した汚染物質を容易に除去して排出することが可能である。これに対し、濾過時の原水の供給方向と逆方向に原水を流す場合においては、特にスパイラル型膜エレメント1の第1の液室18に近い側に堆積した汚染物質を容易に除去して排出することが可能である。 【0066】また、濾過時の原水の供給方向と同方向および逆方向に順に原水を流してもよい。この場合、スパイラル型膜エレメント1の全体に分布した汚染物質を均一に除去して排出することが可能となる。 【0067】また、本例においては原水出口15から取り出された原水31の全量を排水として系外へ排出しているが、原水31の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水として再利用してもよい。例えば上記において、配管27のバルブ30cを開くとともに配管27aのバルブ30dを開き、原水31の一部を配管27aを通して原水タンク500に戻してもよい。 【0068】以上のように、図2および図3に示す本例の運転方法によれば、スパイラル型膜エレメント1の膜面に堆積した汚染物質を充分に除去することができるため、図1のスパイラル型膜モジュールにおいて高い透過流束を維持しつつ安定して全量濾過を行い、効率よく透過水8を得ることが可能となる。この場合、全量濾過が行われるので、原水7を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0069】図4は本発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法の他の例を示す模式的断面図である。図4は濾過時の運転方法を示しており、本例においても図1のスパイラル型膜モジュールを用いる。なお、本例における洗浄時の運転方法は、前述の図3の運転方法と同様である。 【0070】図4に示すように、濾過時には、配管25のバルブ30a、配管28のバルブ30eおよび配管27aのバルブ30dを開くとともに、配管26のバルブ30b、配管27のバルブ30cおよび配管29のバルブ30fを閉じる。 【0071】この場合、図2の例と同様、原水タンク500から取水された原水7は、配管25を通して原水入口13から圧力容器10の第1の液室18に導入される。さらに、原水7はスパイラル型膜エレメント1の一端部からスパイラル型膜エレメント1の内部に供給される。 【0072】図5に示すように、スパイラル型膜エレメント1において、一部の原水は分離膜2を透過して集水管5の内部に流れ込み、透過水8として集水管5の端部から排出される。一方、分離膜2を透過しなかった残りの原水7aは、スパイラル型膜エレメント1の他方の端面側から排出される。 【0073】集水管5の端部から排出された透過水8は、図4に示すように、透過水出口14から配管28を通して圧力容器10の外部へ取り出される。一方、スパイラル型膜エレメント1の他方の端面側から排出された原水7aは、第2の液室19に導出された後、原水出口15から配管27aを通して外部へ取り出され、原水タンク500に戻される。このように、本例においては、一部の原水7aを原水出口15から外部に取り出しつつスパイラル型膜モジュールにおいて濾過を行う。それにより、スパイラル型膜エレメント1の外周面と圧力容器10の内周面との間の空隙における液の滞溜を抑制することが可能になる。また、スパイラル型膜エレメント1の内部において、一端部から他端部に向かう軸方向の原水の流れが形成されるため、原水中の汚染物質の沈降を抑制しつつ、汚染物質の一部を原水7aとともに圧力容器10の外部に排出することが可能となる。 【0074】なお、上記においては常時バルブ30dを開いて原水7aを外部に取り出しているが、間欠的にバルブ30dを開いて原水7aを取り出してもよい。この場合においても、常時原水7aを取り出す場合と同様、分離膜2に汚染物質が付着するのを抑制することが可能となる。 【0075】また、上記においては圧力容器の外部に取り出した原水7aの全量を原水タンク500に戻しているが、取り出した原水7aの一部を系外へ排出してもよい。例えば、バルブ30dを開くとともにバルブ30cを開き、配管27を通して原水7aの一部を系外へ排出してもよい。 【0076】本例においても、洗浄時には、図3に示す洗浄時の運転方法により高い背圧で逆流洗浄を行うとともに原水31の導入を行う。それにより、濾過時に分離膜2に堆積した汚染物質を効果的に除去することが可能となる。 【0077】以上のように、本例における運転方法によれば、膜面に堆積した汚染物質の除去を充分に行うことができるため、長期間にわたって透過流束の低下を生じることなく安定して運転を行うことが可能となる。 【0078】特に、本例においては、図4に示すように濾過時に一部の原水7aを圧力容器10の外部に取り出すことにより、原水中の汚染物質の膜面への沈降を抑制しつつ汚染物質の一部を原水7aとともに圧力容器10の外部に排出することが可能となるため、より安定した濾過運転を行うことが可能となる。この場合、原水出口15から外部へ取り出した原水7aを配管27aを通して循環させるため、高い回収率で透過水8を得ることが可能である。また、原水7を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0079】なお、上記においては、1本のスパイラル型膜エレメントを備えたスパイラル型膜モジュールの運転を行う場合について説明したが、本発明に係る運転方法は、複数のスパイラル型膜エレメントを備えたスパイラル型膜モジュールにおいても適用可能である。 【0080】図6は本発明に係るスパイラル型膜モジュールの運転方法のさらに他の例を示す模式的断面図である。 【0081】図6に示すように、本例のスパイラル型膜モジュールは、圧力容器100内に複数のスパイラル型膜エレメント1が収容されてなる。圧力容器100は、筒形ケース111および1対の端板120a,120bにより構成される。筒形ケース111の底部には原水入口130が形成され、上部には原水出口131が形成されている。このように、圧力容器100はサイドエントリ形状を有する。原水出口131はエアー抜きにも用いられる。また、端板120a,120bの中央部には透過水出口140が設けられている。 【0082】インターコネクタ116により集水管5が直列に連結された複数のスパイラル型膜エレメント1が筒形ケース111内に収容され、筒形ケース111の両方の開口端がそれぞれ端板120a,120bで封止される。なお、ここでは図5のスパイラル型膜エレメント1を用いている。両端部のスパイラル型膜エレメント1の集水管5の一端部が、アダプタ115を介してそれぞれ端板120a,120bの透過水出口140に嵌合される。各スパイラル型膜エレメント1の外周面の一端部近傍にはパッキン170が取り付けられており、このパッキン170により、圧力容器100の内部空間が複数の液室に分離される。 【0083】スパイラル型膜モジュールの原水入口130は、配管55を通して原水タンク500に接続されている。配管55にはバルブ60aが介挿されており、さらに、このバルブ30aの下流側にバルブ60bが介挿された配管56が接続されている。一方、原水出口131には、バルブ60cが介挿された配管57が接続されており、さらに、バルブ60dが介挿された配管57aが配管57のバルブ60c上流側に接続されている。この配管57aを介して原水出口131は原水タンク500に接続されている。端板120a側の透過水出口140には、バルブ60eが介挿された配管58aが接続されており、このバルブ60eの上流側に、バルブ60gが介挿された配管59aが接続されている。一方、端板120b側の透過水出口140には、バルブ60fが介挿された配管58bが接続されており、このバルブ60fの上流側に、バルブ60hが介挿された配管59bが接続されている。 【0084】スパイラル型膜モジュールの濾過時には、配管55のバルブ60a、配管58aのバルブ60eおよび配管58bのバルブ60fを開くとともに、配管56のバルブ60b、配管59aのバルブ60g、配管59bのバルブ60h、配管57のバルブ60cおよび配管57aのバルブ60dを閉じる。 【0085】原水タンク500から取水された原水7は、配管55を通して原水入口130から圧力容器100の内部に供給される。スパイラル型膜モジュール内において、原水入口130から供給された原水7は、端板120a側の端部に位置するスパイラル型膜エレメント1の一方の端面側からスパイラル型膜エレメント1の内部に導入される。このスパイラル型膜エレメント1においては、図5に示すように、一部の原水は分離膜2を透過して集水管5の内部に流れ込み、透過水8として集水管5の端部から排出される。一方、分離膜2を透過しなかった残りの原水7aは、他方の端面側から排出される。この排出された原水7aは、後段のスパイラル型膜エレメント1の一方の端面側からこのスパイラル型膜エレメント1の内部に導入され、前述と同様にして透過水8および原水7aに分離される。このように、直列に連結された複数のスパイラル型膜エレメント1の各々において膜分離が行われる。この場合、配管57のバルブ60cおよび配管57aのバルブ60dを閉じているため、図2の例と同様、各スパイラル型膜エレメント1において分離膜2の透過が促進されてスパイラル型膜モジュールにおいて全量濾過が行われる。 【0086】上記の濾過過程で、原水中に含まれる汚染物質が各スパイラル型膜エレメント1の分離膜2の膜面に堆積する。特に、上記のように複数のスパイラル型膜エレメント1を備えたスパイラル型膜モジュールにおいて全量濾過を行うと、分離膜2の膜面に汚染物質が堆積しやすい。このような汚染物質の堆積は水の透過速度の低下を引き起こすため、以下に示す洗浄を行って汚染物質を除去する。 【0087】洗浄時には、まず配管55のバルブ60a、配管58aのバルブ60e、配管58bのバルブ60fおよび配管57aのバルブ60dを閉じるとともに、配管56のバルブ60b、配管57のバルブ60c、配管59aのバルブ60gおよび配管59bのバルブ60hを開き、逆流洗浄を行う。 【0088】逆流洗浄時、端板120a側においては、配管59aおよび配管58aを通して洗浄水21が透過水出口140から集水管5の一端部に供給される。また、端板120b側においては、配管59bおよび配管58bを通して洗浄水21が透過水出口140から集水管5の他端部に供給される。このようにして、洗浄水21が集水管5の両端部から集水管5の内部に導入される。集水管5の内部に導入された洗浄水21は、各スパイラル型膜エレメント1において集水管5の外周面から分離膜2の内部へ導出され、濾過時と逆方向に分離膜2を透過する。この際に、分離膜2の膜面に堆積した汚染物質が分離膜2から剥離する。分離膜2を透過した洗浄水21は、原水スペーサ6に沿ってスパイラル型膜エレメント1の内部を軸方向に流れ、各スパイラル型膜エレメント1の両端部から排出される。この排出された洗浄水21は、原水入口130および原水出口131から配管56および配管57を通してそれぞれ外部へ取り出される。 【0089】この場合、各スパイラル型膜エレメント1の分離膜2に0.05〜0.3MPaの背圧が加わるように透過水出口140側の圧力、原水入口130側の圧力および原水出口131側の圧力を設定する。それにより、短時間に必要量の洗浄水21を流すことができ、分離膜2の膜面に堆積した汚染物質を効果的に剥離させることが可能になる。また、剥離した汚染物質が各スパイラル型膜エレメント1の端部から排出されるまでの間に原水スペーサ6に捕捉されるのを抑制し、汚染物質を効果的に除去することが可能となる。 【0090】なお、本例においては原水入口130から取り出された洗浄水21の全量を排水として系外へ排出しているが、この洗浄水21の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水7として再利用してもよい。例えば配管56のバルブ60bの下流側にさらに配管を設けるとともにこの配置を原水タンク500に接続することにより、洗浄水21の一部を原水タンク500に戻してもよい。 【0091】また、本例においては原水出口131から取り出された洗浄水21の全量を排水として系外へ排出しているが、この洗浄水21の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水7として再利用してもよい。例えば配管57のバルブ60cを開くとともに配管57aのバルブ60dを開き、洗浄水21の一部を配管57aを通して原水タンク500に戻してもよい。 【0092】また、図6の例では、逆流洗浄時に、洗浄水21が原水入口130および原水出口131から配管56および配管57を通して外部に取り出されているが、洗浄水21が原水入口130から配管56を通して外部に取り出されるように透過水出口140側の圧力および原水入口130側の圧力を設定してもよい。この場合、配管57のバルブ60cを閉じ、原水出口131を閉じておく。あるいは、洗浄水21が原水出口131から配管57を通して外部に取り出されるように透過水出口140側の圧力および原水出口131側の圧力を設定してもよい。この場合、配管56のバルブ60bを閉じ、原水入口130を閉じておく。 【0093】上記のようにして逆流洗浄を行った後、配管56のバルブ60b、配管59aのバルブ60gおよび配管59bのバルブ60hを閉じるとともに、配管55のバルブ60aを開く。それにより、原水タンク500から取水された原水31が配管55を通して原水入口130から圧力容器100内に供給される。各スパイラル型膜エレメント1において、原水31はスパイラル型膜エレメント1の一端部から内部に導入され、原水スペーサ6に沿ってスパイラル型膜エレメント1の内部を軸方向に流れた後に他端部から排出される。それにより、分離膜2から剥離した汚染物質が原水31によりスパイラル型膜エレメント1の一端部から他端部へ押し流され、スパイラル型膜エレメント1の内部に残存する洗浄水21とともにスパイラル型膜エレメント1の他端部から排出される。さらに、汚染物質および洗浄水21は原水31とともに原水出口131から配管57を通して圧力容器10の外部へ取り出される。 【0094】このように、逆流洗浄後に濾過時の原水の供給方向と同方向に原水31を流すことにより、各スパイラル型膜エレメント1内で分離膜2から剥離した汚染物質を系外に速やかに排出することができる。それにより、分離膜2から剥離した汚染物質が再び分離膜2に付着することを防止することができる。 【0095】なお、本例においては逆流洗浄後に原水31を軸方向に流しているが、逆流洗浄と並行して原水31を軸方向に流してもよい。例えば上記において、洗浄時に配管55,56,57,59a,59bのバルブ60a,60b,60c,60g,60hを同時に開き、透過側から洗浄水21を供給するとともに原水側から原水31を供給してもよい。この場合、上記のように逆流洗浄後に原水31を流す場合に得られる効果と同様の効果が得られる。 【0096】また、本例においては原水31を原水入口130から供給して原水出口131から取り出しているが、原水を原水出口131から供給して原水入口130から取り出し、各スパイラル型膜エレメント1の内部において濾過時の原水の供給方向と逆方向に原水を流してもよい。この場合、上記のように濾過時の原水の供給方向と同方向に原水31を流す場合に得られる効果と同様の効果が得られる。あるいは、濾過時の原水の供給方向と同方向および逆方向に順に原水を流してもよい。この場合、スパイラル型膜エレメント1の全体に分布した汚染物質を均一に除去して排出することが可能となる。 【0097】また、本例においては原水出口131から取り出された原水31の全量を排水として系外へ排出しているが、この原水31の一部を排水として系外へ排出するとともに、一部を原水7として再利用してもよい。例えば上記において、配管57のバルブ60cを開くとともに配管57aのバルブ60dを開き、原水31の一部を配管57aを通して原水タンク500に戻してもよい。 【0098】上記のような洗浄時における運転方法によれば、濾過時に分離膜2に堆積した汚染物質を効果的に除去することが可能となる。 【0099】以上のように、本例における運転方法によれば、膜面に堆積した汚染物質の除去を充分に行うことができるため、汚染物質が膜面に堆積しやすい全量濾過においても高い透過流束を維持しつつ安定して運転を行い、効率よく透過水8を得ることが可能となる。この場合、全量濾過が行われるので、原水7を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0100】なお、上記においては、図6のスパイラル型膜モジュールを用いて図2の例のように全量濾過を行う場合について説明したが、図6のスパイラル型膜モジュールを用いて図4の例のように一部の原水7aを圧力容器100の外部に取り出しつつ濾過を行ってもよい。 【0101】例えば、図6のスパイラル型膜モジュールの濾過時において、常時または間欠的に配管57aのバルブ60dを開き、圧力容器100内に供給された原水7のうちスパイラル型膜エレメント1の分離膜2を透過しなかった一部の原水7aを原水出口131から配管57aを通して圧力容器100の外部に取り出し、原水タンク500に戻してもよい。それにより、各スパイラル型膜エレメント1の外周部と圧力容器100の内周面との間の空隙における液の滞溜を抑制することが可能になる。また、各スパイラル型膜エレメント1の内部において、一端部から他端部に向かう軸方向の原水の流れが形成されるため、原水中の汚染物質の沈降を抑制しつつ汚染物質の一部を原水7aとともに圧力容器の外部に排出することが可能となる。 【0102】このような原水の一部を取り出しつつ濾過を行う運転方法によれば、長時間にわたって透過流束の低下を生じることなく、より安定して運転を行うことが可能となる。この場合、外部へ取り出した原水7aを配管57aを通して循環させるため、高い回収率で透過水8を得ることが可能である。また、原水7を供給するポンプに大きなものを用いる必要がなく、システムの規模を小さくすることが可能となる。それにより、システムコストが低減される。 【0103】図7は、図5のスパイラル型膜エレメントに用いられる分離膜の断面図である。分離膜2は、多孔性補強シート(多孔性シート材)2aの表面に実質的な分離機能を有する透過性膜体2bが密着一体化されて形成されている。 【0104】透過性膜体2bは、1種類のポリスルホン系樹脂、あるいは2種類以上のポリスルホン系樹脂の混合物、さらにはポリスルホン系樹脂とポリイミド、フッ素含有ポリイミド樹脂等のポリマーとの共重合体、もしくは混合物から形成される。 【0105】多孔性補強シート2aは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等を素材とする織布、不織布、メッシュ状ネット、発泡焼結シート等から形成されており、製膜性およびコストの面から不織布が好ましい。 【0106】多孔性補強シート2aおよび透過性膜体2bは、透過性膜体2bを構成する樹脂成分の一部が多孔性補強シート2aの孔の内部に充填された投錨状態で接合されている。 【0107】多孔性補強シート2aに裏打ちされた分離膜2の背圧強度は、0.2MPaを超え、0.4〜0.5MPa程度に向上した。なお、背圧強度の規定方法については後述する。 【0108】多孔性補強シート2aとして不織布を用いて背圧強度を0.2MPa以上得るためには、不織布の厚みが0.08〜0.15mmであり、かつ密度が0.5〜0.8g/cm3 であることが好ましい。厚みが0.08mmより薄い場合または密度が0.5g/cm3 より小さい場合には、補強シートとしての強度が得られず、分離膜2の背圧強度を0.2MPa以上確保することが困難である。一方、厚みが0.15mmより厚くあるいは密度が0.8g/cm3 より大きい場合には、多孔性補強シート2aの濾過抵抗が大きくなったり、不織布(多孔性補強シート2a)への投錨効果が小さくなって透過性膜体2bと不織布との界面で剥離が起こりやすくなる。 【0109】次に、上記の分離膜2の製造方法について説明する。まず、ポリスルホンに溶媒、非溶媒および膨潤剤を加えて加熱溶解し、均一な製膜溶液を調製する。ここで、ポリスルホン系樹脂は、下記の構造式(化1)に示すように、分子構造内に少なくとも1つの(−SO2 −)部位を有するものであれば特に限定されない。 【0110】 【化1】
【0111】ただし、Rは2価の芳香族、脂環族もしくは脂肪族炭化水素基、またはこれらの炭化水素基が2価の有機結合基で結合された2価の有機基を示す。 【0112】好ましくは、下記の構造式(化2)〜(化4)で示されるポリスルホンが用いられる。 【0113】 【化2】
【0114】 【化3】
【0115】 【化4】
【0116】また、ポリスルホンの溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を用いることが好ましい。さらに、非溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトンなどを用いることが好ましい。 【0117】溶媒と非溶媒の混合溶媒中の非溶媒の含有量は、得られる混合溶媒が均一である限り特に制限されないが、通常5〜50重量%、好ましくは20〜45重量%である。 【0118】多孔質構造の形成を促進し、または制御するために用いられる膨潤剤としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム等の金属塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の水溶性高分子またはその金属塩、ホルムアミド等が用いられる。混合溶媒中の膨潤剤の含有量は、製膜溶液が均一である限り特に制限されないが、通常1〜50重量%である。 【0119】製膜溶液中のポリスルホンの濃度は、通常10〜30重量%が好ましい。30重量%を超えるときは、得られる多孔質分離膜の透水性が実用性に乏しくなり、10重量%より少ないときは、得られる多孔質分離膜の機械的強度が乏しくなり、充分な背圧強度を得ることができない。 【0120】次に、上記の製膜溶液を不織布支持体上に製膜する。すなわち、連続製膜装置を使用し、不織布等の支持体シートを順次送り出し、その表面に製膜溶液を塗布する。塗布方法としてはナイフコータやロールコータ等のギャップコータを用いて製膜溶液を不織布支持体上に塗布する。例えば、ロールコータを使用する場合は、2本のロールの間に製膜溶液を溜め、不織布支持体上に製膜溶液を塗布すると同時に不織布の内部に充分含浸させ、その後低湿度雰囲気を通過させ、雰囲気中の微量水分を不織布上に塗布した液膜表面に吸収させ、液膜の表面層にミクロ相分離を起こさせる。その後、凝固水槽に浸漬し、液膜全体を相分離および凝固させ、さらに水洗槽で溶媒を洗浄除去する。これにより、分離膜2が形成される。 【0121】このように、上記の分離膜2は背圧強度が高いため、図1および図6のスパイラル型膜エレメント1に用いた場合に0.05〜0.3MPaの背圧で逆流洗浄を行っても分離膜2の破損が生じることが防止される。 【0122】 【実施例】以下の実施例1および実施例2においては、図7に示す構造を有する限外濾過膜を分離膜2として含むスパイラル型限外濾過エレメント1を作製し、このスパイラル型限外濾過エレメント1を備えた図1のスパイラル型限外濾過モジュールを用いて連続通水濾過試験を行った。 【0123】ここで、実施例1および実施例2のスパイラル型限外濾過膜エレメント1に用いた限外濾過膜は、以下のようにして作製した。 【0124】まずポリスルホン(アモコ社製、P−3500)を16.5重量部、N−メチル−2ピロリドンを50重量部、ジエチレングリコールを24.5重量部およびホルムアミドを1重量部で加熱溶解し、均一な製膜溶液を得た。そして、コータギャップを0.13mmに調整したロールコータを用いて厚み0.1mm、密度0.8g/cm3 のポリエステル製不織布の表面に製膜溶液を含浸塗布した。 【0125】その後、相対湿度が25%、温度が30℃の雰囲気(低湿度雰囲気)中を所定の速度で通過させ、ミクロ相分離を生じさせた後、35℃の凝固水槽中に浸漬して脱溶媒および凝固させ、しかる後、水洗槽で残存溶媒を洗浄除去することにより分離膜2を得た。ここで、実施例1および実施例2の分離膜2は、ミクロ相分離時間(低湿度雰囲気を通過する時間)が4.5秒である。 【0126】上記のようにして作製した限外濾過膜の透水量は40L/m2 ・hrであり、背圧強度は0.3MPaであり、平均分子量100万のポリエチレンオキサイドの阻止率は99%であった。 【0127】なお、背圧強度は直径47mmの膜を背圧強度ホルダ(有孔直径23mm)にセットし、多孔性補強シート2a側より水圧を徐々に加え、透過性膜体2bが多孔性補強シート2aから剥離するか、または透過性膜体2bと多孔性補強シート2aとが同時に破裂するときの圧力で規定される。 【0128】また、ポリエチレンオキサイドの阻止率は、濃度500ppmのポリエチレンオキサイド溶液を圧力1kgf/cm2 にて透過させ、原液および透過液の濃度から下式により求めた。 【0129】阻止率(%)[1−(透過液濃度/原液濃度)]×100このようにして作製した限外濾過膜を備えたスパイラル型膜限外濾過膜モジュールの連続通水濾過試験について、以下で説明する。 【0130】[実施例1]実施例1においては、図1のスパイラル型限外濾過膜モジュールの濾過時に、原水7として濁度20NTUの工業用水(pH6〜8、水温10〜30℃)を供給し、図2に示す運転方法により30分間全量濾過を行った。なお、この場合においては、5L/分の透過水量が得られるように原水7の供給圧力を調整した。このようにして全量濾過を行った後、図3に示す運転方法により洗浄を行った。なお、この場合においては洗浄水21として透過水を用い、0.2MPaの背圧で10L/分の洗浄水21を供給して逆流洗浄を行った。逆流洗浄の時間は30秒間とした。逆流洗浄後、原水31をスパイラル型限外濾過膜モジュールに供給し、スパイラル型膜エレメント1内部において濾過時の原水7の供給方向と同方向に原水31を流した。 【0131】上記のような濾過および洗浄を繰り返し行いながら、30日間連続してスパイラル型限外濾過膜エレメント1の運転を行った。運転開始から30日経過後のスパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜間差圧を測定したところ0.12MPaであった。 【0132】[実施例2]実施例2においては、濾過時に原水7として濁度50NTUの工業用水(pH6〜8、水温10〜30℃)を供給して図4に示す運転方法より運転を行った点を除いて、実施例1と同様の運転方法によりスパイラル型限外濾過膜モジュールにおいて濾過および洗浄を行った。なお、この場合においては、配管27aのバルブ30dを常時開いて一部の原水7aを外部に取り出し、この原水7aを常時循環させた。 【0133】上記のような濾過および洗浄を繰り返し行いながら30日間連続してスパイラル型限外濾過膜モジュールの運転を行った。運転開始から30日経過後のスパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜間差圧を測定したところ0.17MPaであった。 【0134】[比較例]比較例においては、背圧耐性の低い従来の限外濾過膜を有するスパイラル型限外濾過膜エレメント1(日東電工株式会社製NTU−3150−S4)を備えた図1のスパイラル型限外濾過膜モジュールを用いて連続通水濾過試験を行った。 【0135】なお、比較例のスパイラル型限外濾過膜エレメント1の限外濾過膜の背圧強度は0.03MPaであり、平均分子量100万のポリエチレンオキサイドの阻止率は100%であった。 【0136】比較例においては、限外濾過膜の背圧耐性が低いため0.02MPaの背圧で逆流洗浄を行った点を除いて、実施例1と同様の運転方法により図1のスパイラル型限外濾過膜モジュールにおいて濾過および洗浄を行った。 【0137】上記のような濾過および洗浄を繰り返し行いながら2日間連続してスパイラル型限外濾過膜モジュールの運転を行った。運転開始から2日経過後のスパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜間差圧を測定したところ0.5MPaであった。 【0138】図8(a)および図8(b)は、実施例1および比較例におけるスパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜間差圧の経時変化を示す図である。図8(a)に示すように、実施例1においては0.2MPaの背圧で逆流洗浄を行うため、スパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜面に堆積した汚染物質を確実に除去することが可能である。それにより、スパイラル型限外濾過膜エレメント1における膜間差圧の変化が小さく、安定した運転を長期間継続して行うことができた。これに対し、図8(b)に示すように比較例においては0.02MPaの背圧で逆流洗浄を行うため、膜面に堆積した汚染物質を系外に排出するだけの洗浄水21の流量が確保できず、膜面に汚染物質が堆積して膜の抵抗が増大する。このため、スパイラル型限外濾過膜エレメント1における膜間差圧が大きくなる。このようなスパイラル型限外濾過膜エレメント1においては、安定した濾過運転を長期間継続して行うことができなかった。 【0139】また、実施例2に示すように、濾過時に一部の原水7aを圧力容器10の外部に取り出しつつ濾過を行った場合、濁度の高い原水7を処理する場合においても、スパイラル型限外濾過膜エレメント1の膜間差圧の変化が小さく、安定した運転を長期間継続して行うことができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003964 【氏名又は名称】日東電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月2日(1999.12.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098305 【弁理士】 【氏名又は名称】福島 祥人
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| 【公開番号】 |
特開2001−157825(P2001−157825A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月12日(2001.6.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−343650 |
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