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【発明の名称】 SF6ガス回収装置
【発明者】 【氏名】高野 和潔

【氏名】大熊 光一

【要約】 【課題】被回収容器26内のSF6ガスを回収するに当って、ガス分離部でSF6ガスと他の混合ガスとに分離する工程において分離しきれなかったSF6ガスが多少あっても、大気中に一切放出することがないようなSF6ガス回収装置を提供する。

【解決手段】ガスの分離部21でSF6ガスと他の混合ガスとに分離する過程において、混合ガスと共に微かなSF6ガスが混在する排ガスを、排ガス入口20を介してガス分離部21内の排ガスタンク6に一旦貯留した後に排ガス出口2を介して被回収容器26へ再び還流する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス分離部とポンプを有するSF6ガス回収装置において、被回収容器よりSF6ガスを含む被回収ガスを該ガス分離部に導入し、SF6ガスと他の混合ガスとに分離せしめてSF6ガスを回収すると共に、該混合ガスを該ポンプにて被回収容器に戻すように構成したことを特徴とするSF6ガス回収装置。
【請求項2】 ガス分離部とポンプとガス供給部を有するSF6ガス回収装置において、被回収容器よりSF6ガスを含む被回収ガスを該ガス分離部に導入し、SF6ガスと他の混合ガスとに分離せしめてSF6ガスを回収し、更に該混合ガスを該ポンプにて被回収容器に戻すとともに、前記のガス分離部へ導入する被回収ガスの圧力が前記のガス分離部の操作圧力よりも低くなった場合には該ガス供給部内のガスを該被回収容器に導入するように構成したことを特徴とするSF6ガス回収装置。
【請求項3】 ガス分離部と加圧部及び液化部を有するSF6ガス回収装置において、該ガス分離部でSF6ガスと他の混合ガスとに分離する過程、並びに該液化部でSF6ガスを液化する過程で生ずる希釈されたSF6ガスが混在する該混合ガスを被回収容器に戻すように構成したことを特徴とするSF6ガス回収装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はSF6ガス(6フッ化硫黄ガス、以下同じ)の回収に関する。
【0002】
【従来の技術】 SF6ガスは高電圧電力用トランスや電力回路の遮断器に充填し、その熱的安定性,電気的安定性,高絶縁耐圧性を生かして装置の小型化を可能にし、都市の変電所の小容積化でその貢献は大きい。トランスや遮断器に充填されているSF6ガスはその純度100%のものや窒素ガスにより適度にうすめて充填されるものがある。それ等が用いられている機器の点検保守,修理のときはこれ等のガスを抜き出さなければならないが、従来はこれ等のガスによる人体等への害は少ないので大気中に放出していた。しかし、SF6ガスは高価なガスであるため経費的に容易に回収再利用できる範囲の回収装置は従来よりあり回収して再利用していた。すなわち、抜取加圧と圧縮冷却によって液化回収する装置はあったが、被回収容器内を高真空域まで吸引して回収したり、他のガスが混合しているガスを分離してSF6ガスのみを回収する装置などはなかった。
【0003】 すなわち、他のガスが混入し、SF6ガス濃度が下がっている場合はその分圧が低くなるため高圧に圧縮し、そして低い温度までの冷却が必要となるため高額の装置価格となり、作られていなかった。そして従来は、SF6ガスが使用中に遮断時のアークや熱によりわずかに分解されて生ずるSF4やSO2,SOF2などの分解ガスは使用機器の特性劣化を生ずるものがあるためこれを防止するための除去する装置はあったが回収時の分離精製装置はなかった。
【0004】 近年、地球温暖化防止による炭酸ガス等の放出が規制されるようになってきた。1997年世界環境会議が京都で開催され、その結果炭酸ガスの24000倍の温暖化係数を持つSF6ガスもその放出が厳しく規制されるようになった。SF6ガスを大気に漏出する事が無いようにするためには、「イ」 充填機器のシール部より漏れて漏出するガスを無くする。
「ロ」 機器据付時,保守修理時,解体廃棄時等で、ガス充填や抜取に係わるときに大気中に廃棄されるガスを無くすることが重要である。このイ」については、機器のシール部の改良により現在は大変少なくなっている。またロ」については、電力業界は電気共同研究会により電力用SF6ガス取扱い基準」を平成10年12月に自主制定し、その排出を規制することとした。すなわち、点検修理時は0.015MPa・abs(回収率97vol%以上)解体撤去時は0.005MPa・abs(回収率99vol%以上)の真空域まで吸引回収する自主基準を作成した。高真空域まで回収すると回収に長時間を要する欠点を生ずる。点検時の回収率が低いのは装置停止による停電の時間を可能な限り短くするための妥協値であり、撤去時は十分に時間をとって真空引きするようになっている。すなわち高真空域まで吸引回収し、大気中への漏出量を少なく押さえている。
【0005】 電力業界としては2005年までに上記基準に合う回収装置を開発し、実施することとしている。不活性ガスである窒素ガスを50vol%混入してもインパルス破壊電圧はSF6ガス単独時の85%,商用周波数破壊電圧は同96.6%であり、性能低下が少ないのでSF6ガスをトランスや遮断器に封入する際に窒素ガスによりうすめて使用するメーカーと高純度のSF6ガスを使用するメーカーとがある。従来はこのような窒素ガスが混入したガスは回収しにくいガスであったため,点検や廃棄時にその多くは放出廃棄していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 トランスや遮断器である被回収容器よりSF6ガスを大気中に漏出することなく回収することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の目的は上記課題を解決するため、臨界温度45.64℃,臨界圧力3.66MPa・G,融点−50.8℃,昇華点−63.8℃のSF6ガスの特徴を考慮し、さらに被回収容器としてのトランス又は電路の遮断器は密閉容器でありその中にSF6ガスが高圧(約0.6MPa・G〜0.3MPa・G)で充填されている。
【0008】 被回収容器(トランス,遮断器など) には被回収ガス(SF6ガス)が前述の高圧で充填してある。そしてSF6ガスは易液化ガスであるため、これを加圧する加圧部と冷却液化する液化部を設け、被回収ガス中のSF6ガスの濃度が高い範囲においては、加圧ガス中のSF6ガス分圧も高くなるので、液化ガスの液化温度と圧力の関係から加圧する圧力が比較的低い圧力範囲または液化温度の比較的高い範囲で容易に液化回収できる。まずかかる方法により被回収容器内の内圧が加圧ポンプにより液化可能な圧力範囲となるまで回収する。前述のように被回収ガスはSF6ガス100%のものと窒素ガス等によりうすめられている場合がある。この混入ガスが存在していてもこれをSF6ガスと分離するガス分離部を設ける。
【0009】 ガス分離部は特定ガスを吸着する吸着剤を用いるPSA法(Pressure Swing Adsorption)により行なう。特定ガスを含む混合ガスを該吸着剤を充填した吸着筒に圧力を加えながら送り込むと吸着剤に特定ガスが吸着して除かれ、吸着されないガスが吸着筒の他端から分離されて取り出される。この工程を吸着工程という。
【0010】 そして吸着剤に吸着ガスが吸着されていっぱいになる少し前に混合(原料)ガスの送入を止め、その吸着筒の入口より吸着筒の圧力を減じてやると、吸着剤に吸着した特定ガスが吸着剤より離脱して排出され、吸着剤の吸着能力が再生する。これを再生工程という。
【0011】 この吸着工程と再生工程とを繰り返しながら、すなわち吸着筒に圧力を加えたり、減じたりしながらガスを分離するのでPressureSwing Adsorption(圧力変動吸着) 法という。
【0012】 そして吸着剤には対象ガスであるSF6ガスを吸着し、混合ガスを吸着しない吸着剤と、対象ガスであるSF6ガスを吸着せず混合している他のガスを吸着する吸着剤とがある。その使用する吸着剤により取り出す対象ガスの方法が少し異なる。 例えばSF6ガスを対象ガスとした前者は活性炭に分子篩機能を持たせた分子篩炭がある。後者にはゼオライトの5Aタイプ,4Aタイプ他がある。
【0013】 前者の場合はSF6ガスが吸着剤に吸着し、分離されるのであるから、減圧再生工程で吸着剤より離脱する工程内でSF6ガスを回収する。後者では加圧吸着工程でSF6ガスが吸着筒の他端より分離されて出てくるので吸着工程で得られる。かかるPSA法によるSF6ガスに混合しているガスから分離する排出ガス側にSF6ガスがわずかではあるが含まれるのでこれを大気側に廃棄することは問題となる。この排ガス中に含まれるSF6ガスをppmオーダーに少なく押さえることは技術的にも困難である。
【0014】 このため、SF6ガスを微量ではあるが含む分離排出ガスを大気中に放出するのではなく、再び被回収容器に戻すようにする。なお、加圧冷却し、SF6ガスを液化する過程においても液化タンク上部空間にはガス中に含まれる窒素等のガスが液化しないで,濃度が高まるのでこれを抜き出し.前記分離排出ガス同様に被回収容器に戻すようにする。すなわち、その構成は次のようにする。
【0015】 ガス分離部とポンプを有するSF6ガス回収装置において、被回収容器よりSF6ガスを含む被回収ガスを該ガス分離部に導入し、SF6ガスと他の混合ガスとに分離せしめてSF6ガスを回収すると共に、該混合ガスを該ポンプにて被回収容器に戻すように構成する。
【0016】 また、ガス分離部とポンプとガス供給部を有するSF6ガス回収装置において、被回収容器よりSF6ガスを含む被回収ガスを該ガス分離部に導入し、SF6ガスと他の混合ガスとに分離せしめてSF6ガスを回収し、この混合ガスを該ポンプにて被回収容器に戻すとともに、前記のガス分離部へ導入する被回収容器内のガス圧力が前記のガス分離部の操作圧力よりも低くなった場合には該ガス供給部内のガスを該被回収容器に導入するように構成する。例えば、ガス分離部の操作圧力が0.2MPa・Gであれば、このガス供給部からガスを被回収容器へ導入することを開始する圧力も0.2MPa・Gが基準となる。
【0017】 更に、ガス分離部と加圧部及び液化部を有するSF6ガス回収装置において、該ガス分離部でSF6ガスと他の混合ガスとに分離する過程、並びに該液化部でSF6ガスを液化する過程で生ずる希釈されたSF6ガスが混在する該混合ガスを被回収容器に戻すように構成する。
【0018】
【実施例】 図1は、加圧部22や液化部23を含む本発明の全体的な構成を示すフローシートである。図中ガス分離部21の詳細は図2Aあるいは図2Bのフローシートがここにあてはまる。被回収容器26の取出口より被回収ガスをガス分離部21の被回収ガス入口1と接続し、ガス分離部21で濃縮したSF6ガスを出口3より加圧部22に導入し、該加圧部はバッファタンク30と加圧ポンプ31及び一定圧以上に過加圧しないように戻り回路を減圧弁32により構成している。
【0019】 加圧されたSF6ガスは液化部23に送り、冷却液化し貯留タンク24に貯留する。液化部23は冷却器33,電磁弁34,36,37,液化タンク35より構成し、冷却器33で冷却し、液化タンク35に送り冷却する。
【0020】 液化部23に入ってくるSF6ガスが純度100%でない限り、液化タンク35内で暫時、SF6ガスが液化し、貯留タンク24に取り出されると該液化タンク内に不純ガス濃度が高くなり、液化温度や圧力が高くなるのでその不純ガスを電磁弁36を開にして取出し、ガス分離部以前に戻してやる必要があり、ガス分離部21内の排ガスタンク6に排ガス入口20より入れてポンプ7により、被回収容器26に戻すよう構成している。なお、SF6ガスが液化されて取り出されるに従い被回収容器の圧力が低下するのでガス供給部25より電磁弁29を開にしてガスを導入し、ガス分離部の動作に支障のないガス圧を保つように構成する。ガス供給部25は例えば窒素ボンベと減圧弁で構成することが好ましい。
【0021】 図2(A,B)にガス分離部21のフローシートを示す。図2Aは吸着剤に対象ガス(SF6ガス)を強く吸着し、混合ガス(窒素ガス)を少ししか吸着しない分子篩炭を用いるガス分離部のフローシートを示す。 これはトランス等の被回収容器よりのガスを被回収ガス入口1より導入し、電磁弁8,10を開として吸着筒4に導入して吸着剤にSF6ガスを吸着させ、一部SF6ガスを含む窒素ガス等のSF6ガスと分離した排ガスを電磁弁14,9を通して排ガスタンク6に貯える。これはポンプ7により排ガス出口2より加圧排出される。これは図1の被回収容器26に戻される。
【0022】 被回収ガスを吸着筒4に導入して、吸着剤がSF6ガスを吸着して満杯になる前に導入を止め、再生工程の終了した吸着筒5との間に均圧化の工程を行う。 すなわち、電磁弁8,10,16,11,14を閉とし、吸着筒5のすべての電磁弁を閉とし、均圧用の電磁弁17を開とし、吸着筒4内に浮遊する窒素ガスを吸着筒5へ一部のSF6ガスとともに移動させる。その後電磁弁17を閉とし、吸着筒4の吸着剤に吸着したSF6ガスは電磁弁11,18を開とし、濃縮したSF6ガスを出口3より図1の貯留タンク30に送り出す。この工程は吸着剤より吸着しているSF6ガスを減圧し、離脱させて、出口3より取り出すとともに吸着剤の能力を再生するので再生工程という。
【0023】 吸着筒5は被回収ガスを電磁弁12より導入し、SF6ガスを吸着剤に吸着させて電磁弁15,9を開とし、窒素ガスを排ガスタンク6に送出し、ポンプ7により排ガス出口2より図1の被回収容器26に送り込む。加圧吸着工程,均圧工程,再生工程を繰り返し、ガスの分離を行なう。このようにガス分離を被回収ガス入口1より原料ガスを取り込み、吸着剤にSF6ガスを吸着して分離し再生工程で取出し、出口3より送出する。一方、混合ガスである窒素ガスは排ガスタンク6に貯められてポンプ7により、被回収容器に戻される。
【0024】 図2Bは吸着剤に対象ガス(SF6ガス)をほとんど吸着せず、混合ガスである窒素ガスの方を吸着するゼオライトを用いる方式の分離部のフローシートを示す。被回収ガス入口1より原料ガスを導入し、電磁弁8,10を開とし、吸着筒4に導き、吸着剤に窒素ガス等を吸着し、他端よりSF6ガスが濃縮して電磁弁14,18を通して出口3より図1のバッファタンク30に送り出される。吸着筒4の吸着剤が窒素ガス等の分離排ガスで満杯になる少し前に原料ガスの導入を止め、再生工程の終了した吸着筒5との間に均圧化の工程を行なう。すなわち電磁弁8,18,11,13を閉とし、電磁弁14,15及び10と12を開とし、吸着筒4内に浮遊するSF6ガスを吸着筒5へ一部の窒素ガスとともに移動させた後、電磁弁10,14,13を閉とし、電磁弁11,9,8,12,15,18を開とし、原料ガスを吸着筒5へ導入するとともに濃縮したSF6ガスは電磁弁15,18を通って出口3より導出される。吸着筒5が吸着工程に入ることになる。吸着筒4に吸着された分離排ガスは吸着剤に吸着した窒素ガス等が離脱し、電磁弁11,9を通り排ガスタンク6に貯えた後、ポンプ7により排ガス出口2より図2の被回収容器26へ送り出される。このように吸着工程,均圧工程,再生工程が繰り返されてガスが分離される。なお、前記の図2A及び図2Bのフローシートの説明における均圧工程はSF6ガスの加圧液化の能力の関係で省くこともできる。
【0025】
【発明の効果】 SF6ガスと他の混合ガス(例えば窒素ガス)とをPSA法によるガス分離部で分離する場合に、100%完璧に分離することは技術的に困難であるが、そのような場合であっても、本発明を実施することにより、希釈されたSF6ガスが混在する混合ガスを大気中に放出させることなく前記の被回収容器のSF6ガスの処理が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000180069
【氏名又は名称】山陽電子工業株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−129344(P2001−129344A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願2000−10143(P2000−10143)