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【発明の名称】 ゴルフクラブの溶接材料
【発明者】 【氏名】陳 晴祺

【要約】 【課題】高い溶接強度、適当な流動性、ならびに耐腐食性などの特性を兼備するゴルフクラブの溶接材料を提供する。

【解決手段】このゴルフクラブの溶接材料は、18.0wt%のクロム、1.2wt%のホウ素、1.8wt%のシリコン、1.2wt%の鉄、0.024wt%の炭素、6.0wt%のリン、他の元素、ならびに残り成分のニッケルなどの要素から形成される。前述の他の元素は、0.05wt%以下のアルミニウム、0.05wt%以下のチタン、0.05wt%以下のジルコニウム、ならびに0.05wt%以下のコバルトを含み、全含量が0.5wt%より小さい。それら成分を加熱、熔融し、充分に混合させることにより、微小な顆粒状合金に成形する。そうすると、溶接材料とフラックスを充分に混合できるほか、溶接のパスは均一な構造を具有するので、該パスの場所による強度、耐腐食性ならびに他の材料特性の違いがなく同じになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 15.5〜18.5wt%のクロムと、0.9〜1.5wt%のホウ素と、1.4〜2.2wt%のシリコンと、0.7〜1.7wt%の鉄と、0.05wt%以下の炭素と、5.5〜7.5wt%のリンと、残り成分ニッケルと、を含有することを特徴とするゴルフクラブの溶接材料。
【請求項2】 他成分をさらに含有し、前記他成分には、0.05wt%以下のアルミニウムと、0.05wt%以下のチタンと、0.05wt%以下のジルコニウムと、0.05wt%以下のコバルトとが含まれることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブの溶接材料。
【請求項3】 前記他成分の全含量は、0.5wt%以下であることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブの溶接材料。
【請求項4】 前記ゴルフクラブの溶接材料の各成分は、加熱、熔融および混合され、微小な顆粒状合金として形成されることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブの溶接材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブに関し、特に高い強度ならびに耐腐食性を有するゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ゴルフクラブに使われる溶接材料は、特に、ヘッド(head)とボールを打つフェース(face)との間における溶接(brazing)材料について、溶接の温度が基材(通常、ヘッドの材料はステンレスおよびチタン合金である)の溶解点より高くしてはならないということを考慮しなければならず、BNi−2、BNi−7などニッケル系の材料がよく用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来の各溶接材料は成分が同じではないので、それぞれ利点、欠点がある。例えばBNi−2は、硬さは大きいが錆、腐食は発生し易く、流動性は悪いので、大きなギャップ(0.03mm〜0.1mm)の充填には適用できるが小さなギャップに適用できない。それに対してBNi−7は、硬さは小さいが流動性がよいので、小さなギャップ(<0.03mm)の充填に適用でき、大きなギャップに適用できない。つまり、耐腐食性、高い強度、ならびに適当な流動性などの特性を兼備したゴルフクラブの溶接材料はない。
【0004】したがって、本考案の主な目的は、高い溶接強度、適当な流動性、ならびに耐腐食性などの特性を兼備するゴルフクラブの溶接材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための本発明のゴルフクラブの溶接材料は、主に次の組成の成分から形成される。
クロム(Cr):15.5〜18.5wt%ホウ素(B):0.9〜1.5wt%シリコン(Si):1.4〜2.2wt%鉄(Fe):0.7〜1.7wt%炭素(C):0.05wt%以下リン(P):5.5〜7.5wt%上記成分に加えて残り成分ニッケルを含有する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を表に基づいて説明する。本発明の一実施例によるゴルフクラブの溶接材料は、18.0wt%のクロム(Cr)、1.2wt%のホウ素(B)、1.8wt%のシリコン(Si)、1.2wt%の鉄(Fe)、0.024wt%の炭素(C)、6.0wt%のリン(P)、他の元素、ならびに残り成分のニッケル(Ni)などの要素から形成される。前述の他の元素は、0.05wt%以下のアルミニウム(Al)、0.05wt%以下のチタン(Ti)、0.05wt%以下のジルコニウム(Zr)、ならびに0.05wt%以下のコバルト(Co)を含み、全含量が0.5wt%より小さい。それら成分を加熱、熔融し、充分に混合させることにより、微小な顆粒状合金に成形する。そうすると、溶接材料とフラックスを充分に混合できるほか、溶接のパスは均一な構造を具有するので、該パスの場所による強度、耐腐食性ならびに他の材料特性の違いがなく同じになる。
【0007】表1に、従来より既存の二つの溶接材料(BNi−2、BNi−7)、ならびに本実施例の溶接材料の組成成分とその基本性質とを示す。
【表1】

本実施例のゴルフクラブの溶接材料の中に18.0wt%のクロム(Cr)を入れた目的は、溶接材料の耐腐食性を向上させるためである(一般のステンレスの定義は14wt%以上のクロム(Cr)を含むというものである)。6.0wt%のリン(P)ならびに1.8wt%のシリコン(Si)の添加は溶接材料に適切な流動性を与えるので、より小さなギャップ、より大きなギャップ(0〜0.1mmの範囲)の充填に適用できる。またさらに、溶接材料の展性の増加、合金化現象の低減を考慮して、本実施例の溶接材料に1.2wt%のホウ素(B)を入れる。
【0008】ここで、合金化という現象を説明する。ステンレスの錆止めの原理は、Crと空気との接触により金属の表面にCr2O3の保護層を形成するものであるが、Bを入れると、基材との合金換えが生じ、Cr2B、FeB、TiB2などの化合物を形成してCr23の保護層を破壊するので、溶接のパスに錆、腐食が発生してしまう。ゆえに、本実施例はただ1.2wt%のBを添加する(BNi−2のB含量は3.1wt%である)。これにより、本実施例の溶接材料の展性を向上させるばかりでなく、ひどい合金化現象が生じない。
【0009】次に、従来より既存の溶接材料(BNi−2、BNi−7)と本実施例の溶接材料とに圧縮試験を行い比較した結果を説明する。この試験方法は、15mmt×40mmw×75mmlの硬化ステンレスCUSTOM465で作られたフェースとSUS630から製造されたヘッドとを真空で溶接(blazing)して結合したあとで、直径42mmのゴルフボールでフェースの中央部位に0.5秒荷重をかけ、結合強度を測る方法である。その結果は、表2のとおりである。
【表2】

表2に示すように、本実施例の溶接材料は2.0×104N(2000kgf)の荷重で局部的な脱離が生じ、一番強い。その次に強いのはBNi−2(1.6×104N(1600kgf))で、強度が最も小さいのはBNi−7(1.3×104N(1300kgf))であると分かる。
【0010】続いて、本発明者は耐腐食性の試験を行った。その方法は、前述の三つの試験材料を20%NaCl+80%水の試験液体に浸入させるものである。その結果を表3に示す。
【表3】

表3に示すように、BNi−2は72時間の浸入で接合箇所の局部に錆、腐食の現象が発生するが、BNi−7および本発明の材料の場合そのような現象はない。
【0011】上述の試験結果、ならびに三つの溶接材料(BNi−2、BNi−7ならびに本実施例の溶接材料)の他の相関的な特性を表4のようにまとめる。
【表4】

前述した特性の詳しい説明はここでは省略する。要するに、本実施例の溶接材料の溶接温度は1050℃で、BNi−2(1040℃)とBNi−7(1065℃)との間に介在するので、ゴルフクラブの各材料の溶接に適用できる。次に、表4によると、三つの溶接材料の硬さと耐圧強度との関係が分かる。BNi−2は硬さが一番大きいが、もろく弱い。BNi−7は硬さが一番小さく(HRC約40〜45)、耐圧強度が最低(1.3×104N)になる。本実施例の材料は、HRC45〜50の硬さをもち、弾性、強靱性を兼備するので、耐圧強度は最も高いといえる。その他、本実施例の溶接材料は最適な流動性を具有し、充填可能なギャップは広く、0〜0.1mmの範囲にある。
【出願人】 【識別番号】396007432
【氏名又は名称】陳 晴▲祺▼
【出願日】 平成12年5月23日(2000.5.23)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2001−327634(P2001−327634A)
【公開日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願番号】 特願2000−151174(P2000−151174)