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【発明の名称】 油中水型ゲル状芳香剤組成物
【発明者】 【氏名】清水 宏

【氏名】栗木 義広

【氏名】谷口 康雄

【氏名】福田 清司

【要約】 【課題】香料の揮散速度が速く、匂い立ちが良好であり、且つ香料の残存割合を抑制することができ、また、水性ゲルタイプの芳香剤に比して、凍結させた後に再び室温に戻したり、高温に暴露した場合等に生じる、離水やゲル強度の低下等が抑制された油中水型ゲル状芳香剤組成物を提供すること。

【解決手段】硬化ひまし油等の油系ゲル化剤を含むゲル化剤、揮発性油性溶剤、水、香料及び乳化剤を含む油中水型乳化液を、ゲル化させて得た油中水型ゲル状芳香剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油系ゲル化剤を含むゲル化剤、揮発性油性溶剤、水、香料及び乳化剤を含む油中水型乳化液を、ゲル化させて得たことを特徴とする油中水型ゲル状芳香剤組成物。
【請求項2】 油系ゲル化剤が、硬化ひまし油を含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル状芳香剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香料の揮散速度が速く、匂い立ちが良好であり、且つ香料の残存割合が抑制された、室内及びトイレ用等の芳香剤に利用できる、油中水型ゲル状芳香剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゲル状芳香剤は、持続性に優れ、取り扱いが容易であるという利点を有する。従来のゲル状芳香剤としては、水に香料を可溶化させ、ゲル化剤として寒天やカラギーナンを用いた水性ゲルタイプの芳香剤(特公昭55−1812号公報、特開昭50−70532号公報、特開昭56−57451号公報)、並びにテルペン系炭化水素等をナトリウム石鹸や金属石鹸等でゲル化させた油性ゲルタイプの芳香剤(特開昭53−91149号公報、特開昭56−89261号公報、特開昭60−53148号公報、特開昭61−43107号公報、特開平3−9758号公報)が知られている。
【0003】上記水性ゲルタイプの芳香剤においては、通常、ゲル化剤としてカラギーナンが用いられ、水と混合して加熱することにより水和させ、これを放冷して容易に水性ゲル物を得ることができる。また、この水性ゲル物の調製時に、更にローカストビーンガムや、一価又は二価の金属塩を添加することにより、より強固なゲルを得ることができる。このような水性ゲル物に香料や消臭剤を含有させることにより、香料は水と共に徐々に揮散し、安定した芳香を長期にわたり持続させることができる。また、このゲル物は全体が収縮しているので、終点が視覚により確認でき、交換すべき時期が判断し易いという利点を有する。しかし、上記水性ゲルタイプの芳香剤は、一度凍結させた後に再び室温に戻したり、高温に暴露した場合等に、離水やゲル強度の低下等が生じ、商品価値が著しく低下するという問題がある。また、この水性ゲル物に香料を多く配合した場合、水が先に揮散し、香料が揮散せずに残存し、香料が有効に活用できないという問題が生じる。
【0004】一方、上記油性ゲルタイプの芳香剤は、ステアリン酸ソーダ等の石鹸を、テルペン系炭化水素にノニオン系界面活性剤を用いて可溶化し、放冷することによりゲル化させて得ることができる。しかし、このような油性ゲルタイプの芳香剤は、溶剤としてのテルペン系炭化水素や石油系溶剤を多量に用いるため、高価であり、また引火性の問題が生じ、更には揮発速度が遅く、匂いの立ちが悪いという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、香料の揮散速度が速く、匂い立ちが良好であり、且つ香料の残存割合を抑制することができる油中水型ゲル状芳香剤組成物を提供することにある。本発明の別の目的は、水性ゲルタイプの芳香剤に比して、凍結させた後に再び室温に戻したり、高温に暴露した場合等に生じる、離水やゲル強度の低下等が抑制された油中水型ゲル状芳香剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、油中水型の乳化方法を採用し、油中に水を含ませ、油系ゲル化剤を必須とするゲル化剤によりゲル化させることにより上記課題が解決されることを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、油系ゲル化剤を含むゲル化剤、揮発性油性溶剤、水、香料及び乳化剤を含む油中水型乳化液を、ゲル化させて得たことを特徴とする油中水型ゲル状芳香剤組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を更に詳細に説明する。本発明の油中水型ゲル状芳香剤組成物は、油系ゲル化剤を含むゲル化剤、揮発性油性溶剤、水、香料及び乳化剤を含む油中水型乳化液を、ゲル化させて得られる。本発明の芳香剤組成物に配合される香料は、特に限定されず、種々の香料を配合することができる。
【0008】本発明において、前記油中水型乳化液に用いる油系ゲル化剤としては、硬化ひまし油の使用が最も好ましい。また、ゲル化助剤を配合することもでき、該ゲル化助剤としては、例えば、合成ワックス、ミツロウ等が挙げられる。前記油系ゲル化剤及びゲル化助剤の配合割合は、ゲル状芳香剤組成物全量に対して、通常1〜30質量%、好ましくは3〜15質量%である。1質量%未満では、得られるゲルのゲル強度が不十分となる恐れがあり、30質量%を超えるとゲル状芳香剤組成物の揮散後の残渣が多くなるので好ましくない。また、前記油中水型乳化液に用いるゲル化剤としては、油系ゲル化剤の他に、後述する水部をゲル化させる水溶性高分子を配合することもできる。
【0009】本発明において、前記油中水型乳化液に用いる揮発性油性溶剤としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、p−シメン、3−カレン、γ−テルピネン、ミルセン、オシメン、アロオシメン、p−メンタン、ピナン、ターピノーレン、1−p−メンテン等のテルペン系炭化水素;イソパラフィン(C818〜C1838)、ノルマルパラフィン(C818〜C1838)等の石油系溶剤;揮発性シリコン化合物等が挙げられる。この揮発性油性溶剤には香料が含まれていても良い。揮発性油性溶剤及び香料の配合割合は、ゲル状芳香剤組成物全量に対して、通常5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%である。揮発性油性溶剤及び香料の配合割合が5質量%未満では、得られるゲル状芳香剤のゲル強度が低下し、90質量%を超える場合には、所望の香料の揮散速度が得られ難いので好ましくない。
【0010】本発明において、前記油中水型乳化液に用いる乳化剤は、油中水型に乳化させることができるものであれば良く、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイドソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド硬化ひまし油、ポリエチレンオキサイドひまし油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンオキサイド(5〜100)硬化ひまし油、ポリエチレンオキサイド(5〜100)ひまし油等が挙げられる。上記乳化剤の配合割合は、上記揮発性油性溶剤を含むオイル分の量や、乳化剤の種類に応じて適宜決定できる。例えば、ゲル状芳香剤組成物中に0.1〜20質量%、特に、0.5〜15質量%の範囲で配合することが好ましい。乳化剤の配合割合が20質量%を超える場合には、ゲル状芳香剤組成物の揮散後の残渣が多くなる恐れがあり、0.1質量%未満では十分な乳化が期待できないので好ましくない。
【0011】本発明において、前記油中水型乳化液に用いる水の配合割合は、ゲル状芳香剤組成物全量に対して、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。水の配合割合が10質量%未満では、所望の香料の揮散速度が得られ難く、90質量%を超える場合には、得られるゲル状芳香剤のゲル強度が低下するので好ましくない。
【0012】本発明における、前記油中水型乳化液には、本発明の所望の効果に影響を与えず、若しくは所望の効果を更に向上させるために、また、他の効果を目的として、上記各成分以外の他の成分を含有させることができる。他の成分としては、酸化防止剤、水溶性高分子、アルコール類、防腐剤、消臭剤、油性増粘安定剤、着色剤等が挙げられる。前記水溶性高分子としては、油中水型乳化液の乳化安定性を良好にし、且つゲル状芳香剤組成物の水部をゲル化させる作用を有する水溶性高分子を好ましく配合することができる。このような水溶性高分子としては、例えば、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アラビアガム、結晶セルロース、タマリンド種子多糖類、タラガム、寒天、アルギン酸、ファーセレラン、サイリュウムシードガム等の多糖類;ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ等の合成高分子;ゼラチン等が挙げられる。好ましくは、カラギーナンやジェランガム等の強固なゲルを形成することが可能なものの使用が望ましい。このような水溶性高分子を配合する際の配合割合は、その目的に応じて適宜選択して決定することができる。
【0013】本発明のゲル状芳香剤組成物を調製するには、例えば、まず、必要に応じてカラギーナン等の水溶性高分子を適量の水に分散させ、加熱溶解する。この加熱温度は水溶性高分子が水に完全に溶解する温度が好ましく、例えば80℃程度で行なうことができる。一方、油系ゲル化剤、乳化剤及び必要に応じてゲル化助剤等を適量の揮発性油性溶剤中に加熱溶解させる。加熱温度は各成分が揮発性油性溶剤中に溶解する温度が好ましく、例えば80℃程度で行なうことができる。次いで、この油性液に、前記カラギーナンの水溶液を加え、撹拌、乳化を行ない、更に、香料を加え70℃程度に冷却することにより油中水型乳化液が得られ、得られた油中水型乳化液を容器に充填し、放冷することによりゲル化させる方法等により目的のゲル状芳香剤組成物を得ることができる。
【0014】
【発明の効果】本発明のゲル状芳香剤組成物は、油中水型の乳化方法を採用し、油中に水を含ませ、油系ゲル化剤を必須とするゲル化剤によりゲル化させるので、香料の揮散速度が速く、匂い立ちが良好であり、且つ香料の残存割合が抑制される。また、油中水型の乳化液をゲル化させたものであるので、水性ゲルタイプの芳香剤に比して、凍結させた後に再び室温に戻したり、高温に暴露した場合等に生じる、離水やゲル強度の低下等を抑制することができる。
【0015】
【実施例】以下実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1d−リモネン20.0g、ポリオキシエチレン(40)硬化ひまし油2.0g、硬化ひまし油4.0g、合成ワックス1.3g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、カッパー型カラギーナン1.0g、塩化カリウム0.2g、プロピレングリコール3.0g及び水65.2gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られたオイル部に水部を加え、撹拌、乳化させ、油中水型乳化液を得た。続いて、得られた乳化物に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することによって、油中水型ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤を、100ml容量のガラス容器に50g充填し、室内における揮散速度を測定した。揮散速度の測定は、ガラス容器を上向きの状態で室内に放置し、定期的に揮発残量を測定することにより行なった。結果を図1に示す。
【0016】実施例2d−リモネン30.0g、ポリオキシエチレン(40)硬化ひまし油2.0g、硬化ひまし油6.0g、合成ワックス2.0g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、カッパー型カラギーナン0.8g、塩化カリウム0.16g、プロピレングリコール2.0g及び水53.74gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られたオイル部に水部を加え、撹拌、乳化させ、油中水型乳化液を得た。続いて、得られた乳化物に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することによって、油中水型ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定した。結果を図1に示す。
【0017】比較例1d−リモネン85.4g、硬化ひまし油11.5g及びBHT(酸化防止剤)0.1gを加熱、溶解させた後、70℃に冷却した。次いで、香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、容器に充填し、放冷することにより油性ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定した。結果を図1に示す。
【0018】比較例2d−リモネン17.0g、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物3.0g、硬化ひまし油5.3g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、カッパー型カラギーナン1.0g、塩化カリウム0.2g、プロピレングリコール3.0g及び水67.2gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られた水部にオイル部を加え、撹拌、可溶化させ、水系液を得た。続いて、得られた水系液に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することにより水性ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定した。結果を図1に示す。
【0019】図1の結果より、実施例1及び2の油中水型ゲル状芳香剤は、比較例1の油性ゲル状芳香剤に比べて揮散速度が速い。また、比較例2の水中油型ゲル状芳香剤は、揮散速度が速いため大容量が必要となる他、揮散残部に香料が残り香料を有効に活用できなかった。
【0020】実施例3d−リモネン30.0g、ポリオキシエチレン(40)硬化ひまし油2.0g、硬化ひまし油6.0g、合成ワックス2.0g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、ジェランガム0.8g、1質量%塩化カルシウム水溶液2.0g、プロピレングリコール2.0g及び水51.9gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られたオイル部に水部を加え、撹拌、乳化させ、油中水型乳化液を得た。続いて、得られた乳化物に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することによって、油中水型ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定したところ、実施例1と略同様な良好な結果が得られた。
【0021】実施例4イソパラフィン(商品名;メルベイユ20、昭和化成社製)30.0g、ポリオキシエチレン(30)硬化ひまし油2.0g、硬化ひまし油6.0g、合成ワックス2.0g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、カッパー型カラギーナン0.8g、塩化カリウム0.16g、プロピレングリコール2.0g及び水53.74gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られたオイル部に水部を加え、撹拌、乳化させ、油中水型乳化液を得た。続いて、得られた乳化液に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することによって、油中水型ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定したところ、実施例1と略同様な良好な結果が得られた。
【0022】実施例5ノルマルデカン30.0g、ポリオキシエチレン(30)硬化ひまし油2.0g、硬化ひまし油6.0g、合成ワックス2.0g及びBHT(酸化防止剤)0.3gを200mlのコニカルビーカーに入れ、80℃で加熱溶解させてオイル部を調製した。一方、カッパー型カラギーナン0.8g、塩化カリウム0.16g、プロピレングリコール2.0g及び水53.74gを100mlのコニカルビーカーに入れ80℃で加熱溶解させて水部を調製した。次に、得られたオイル部に水部を加え、撹拌、乳化させ、油中水型乳化液を得た。続いて、得られた乳化液に香料(レモン系調合香料)3.0gを加え、70℃に冷却した後、容器に充填して放冷することによって、油中水型ゲル状芳香剤を調製した。得られたゲル状芳香剤について、実施例1と同様に揮散速度を測定したところ、実施例1と略同様な良好な結果が得られた。
【出願人】 【識別番号】000208086
【氏名又は名称】大洋香料株式会社
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】 【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一
【公開番号】 特開2001−340437(P2001−340437A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−162357(P2000−162357)