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【発明の名称】 新規なシステインプロテアーゼ阻害剤
【発明者】 【氏名】前田 浩

【氏名】赤池 孝章

【氏名】宮本 洋一

【氏名】藤井 重元

【氏名】池邊 宗三人

【氏名】吉武 淳

【氏名】モハマド・サミウル・アラム

【氏名】岡本 竜哉

【氏名】井上 勝央

【氏名】濱本 高義

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 S−ニトロソ化α1プロテアーゼインヒビターを本態とするシステインプロテアーゼ阻害剤。
【請求項2】 請求項1記載のシステインプロテアーゼ阻害剤を主要構成成分とする、後天的な肺炎(肺気腫)、劇症肝炎、心筋梗塞、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、各種炎症性疾患等で例示されるシステインプロテアーゼの増減に起因する疾患に対する治療用薬剤。
【請求項3】 請求項1記載のシステインプロテアーゼ阻害剤を主要構成成分とする、細菌毒素に起因するショック様症候群に対する治療用薬剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用薬剤の分野に関する。詳細には、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)の阻害剤に関し、さらに詳細には、活性中心にシステイン残基をもつプロテアーゼ、即ちシステインプロテアーゼに対して阻害効果を有する新たな阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパルティックプロテアーゼ及び金属プロテアーゼなどで例示されるプロテアーゼは、タンパク質をペプチドレベルまで分解するといった消化、破壊機能の他に、生体防御や生体の細胞、組織の調節メカニズムの情報伝達に関与していることが明らかになっている。プロテアーゼがペプチド結合を切断することで、あるタンパク質の機能活性が表出されたり、消失されたりする。このタンパク質の機能活性化反応は一般的に不可逆的であるために、生体内においてはプロテアーゼを制御する機構も装備されている。プロテアーゼとその制御機構のバランスに一度狂いが生じると、プロテアーゼの多種多彩な生理活性により様々な疾患の病態に重大な影響を及ぼす。炎症、感染症、アレルギー、血栓塞栓形成をはじめショック、多臓器不全、癌、呼吸不全などに対し、プロテアーゼとそのインヒビターはこれらの病態と密接に関係している。
【0003】セリンプロテアーゼやシステインプロテアーゼは、ウィルス、細菌、哺乳類あるいは植物に至るまで広く存在分布しており、生命の維持、進展に重要な役割を果たしている。高等動物においては、食物の消化、血液の凝固・線溶、免疫補体反応、ホルモン産生、排卵と受精、貪食作用、細胞増殖、細胞死(アポトーシス)、発生・分化、老化、癌転移、病原体感染などに密接に関与している。また、下等動物でも、栄養の消化、増殖・複製、発生、宿主への感染などに密接に関与している。このように生命の維持・進展に重要な生理的作用を有するセリンプロテアーゼ及びシステインプロテアーゼであるが、これらの調節系に破綻をきたした場合、生体にとっては有害な環境となり、炎症、敗血症、血栓症、出血症、心筋梗塞、脳梗塞、DIC(播種性血管内凝固)、癌転移、肺気腫、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、リウマチ、アレルギー、不妊など種々の疾病の原因になることが知られている。
【0004】セリンプロテアーゼは活性中心にセリン残基を有するプロテアーゼで、代表的なものとしてトリプシン、エラスターゼ、プラスミン、カテプシンG、キモトリプシン、血液凝固因子、補体因子やカリクレインなどがある。これらのセリンプロテアーゼの活性は、血漿、組織または細胞内に存在するセリンプロテアーゼインヒビターによって制御調整されている。先述のごとく、セリンプロテアーゼの量的・質的異常は、各種組織の炎症、血栓症、出血症や不妊などの疾病の原因になることが明らかにされている。
【0005】一方、システインプロテアーゼは、活性中心にシステイン残基をもつプロテアーゼで、その活性の発現には還元状態の環境が必要なために、その多くは細胞内に存在している。哺乳類では、カテプシンB、カテプシンLやカテプシンHなどがリソゾームに存在しており、細胞質にはカルパインが存在している。システインプロテアーゼの生体内機能についてはセリンプロテアーゼほど詳しく明らかにされていないが、カテプシンB、カテプシンL及びカテプシンHなどは細胞内のリソゾーム中においてタンパク質の代謝分解に重要な役割を担っていることが判っている。生体防御の重要な担い手であるマクロファージは、細菌やウィルス感染においてそれらの病原体の排除に機能する一方で、カテプシンB、カテプシンL及びカテプシンHなどを炎症部位で細胞外に放出し、細胞外マトリックスなどを分解したり、炎症反応の亢進や病態の悪化に寄与していることが示唆されている。また、癌細胞ではカテプシンB様の活性が増加し、細胞外に放出されて癌細胞の遊走や局所での浸潤に働くと考えられており、さらに筋ジストロフィー症における筋タンパク質の分解、関節炎、骨粗鬆症などにも関与していると考えられている。細菌やウィルスにおけるシステインプロテアーゼの機能としては、それらの感染、増殖や複製に関与していることが示唆されており、感染症の病態増悪と関連していると考えられる。
【0006】これらのシステインプロテアーゼの活性を特異的に阻害するものをシステインプロテアーゼインヒビターと呼び、それらは内在あるいは外来システインプロテアーゼによるタンパク質分解作用から細胞を保護する役割を細胞内外で制御している。また、それらの構造の相同性の特徴からシステインプロテアーゼインヒビターは、ステフィンファミリー、シスタチンファミリー、キニノーゲンファミリー、その他のファミリーの4つの型に分類され、これらはシスタチンスーパーファミリーと総称される。しかし、これらの生理的機能はまだ明確にはなっていない。
【0007】α1プロテアーゼインヒビター(以下、α1PIと称する事がある)は分子量53,000の1本鎖糖タンパク質で、主に肝臓で合成される。健常人の血中濃度は300mg/dl(〜60μM)で、血中プロテアーゼインヒビターとしては最も高濃度で存在する。好中球エラスターゼやカテプシンGに対する阻害活性が強く、セリンプロテアーゼインヒビターとしての機能を有している。α1PIは、アンチスロンビンIIIやα1アンチキモトリプシン、ヘパリンコファクターIIなどのセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン(SERPIN)と称される)とのアミノ酸配列の相同性も高く、SERPINに属すると考えられる(Stein P,et al., J. Mol.Biol., vol.221, p.615−621,(1991))。その欠乏症や異常症は肺気腫の発病と深い関連があり、α1PIの欠損は肺胞に集積した好中球からのエラスターゼを阻害できないために、肺胞壁のエラスチン繊維の崩壊を抑制できないことに起因していると考えられている(Keith Bet al., J. Biol. Chem., vol.255, p.3931−3934(1980))。α1PIは、このような組織におけるプロテアーゼに対する阻害能や血液凝固系の活性化XI因子(XIa)のインヒビター、線溶系のプラスミンのインヒビター、免疫補体系プロテアーゼのインヒビター、炎症の進展抑制など、生体防御反応に深く関わっている(鈴木宏治,蛋白質 核酸 酵素, 34巻,8号,(1989))。ヒトα1PIのアミノ酸配列は、タンパク質とcDNAの両方から決定されている。394残基のアミノ酸からなり、3ケ所のアスパラギン残基(Asn46, Asn83, Asn247)に複合型の糖鎖が結合している。分子内には、1残基のシステインが存在しているがS−S結合は1つもない。C末端部位のMet358−Serが反応部位であり、標的酵素と1:1のモル比で複合体を形成し、プロテアーゼを不活性化する(Research monographs in cell and tissue physiology, vol. 12, Protease inhibitor, BARRETT AJ et al., p.441−456,1986 ELISEVIER;止血・血栓・線溶, 松田道生など, p.200−208,1994, 中外医学社)。
【0008】1980年、Furchgottなどによって内皮細胞由来弛緩因子(EDRF)が発見され1987年にその本態が、一酸化窒素(NO)であることがMoncadaなどにより証明されて以来、NOに対する関心が世界的に高まった(PALMER et al., Nature, vol. 327, p.524, 1987)。NOの生理活性は実に多彩で、血管平滑筋弛緩作用、血管平滑筋細胞の増殖抑制、血小板・白血球の粘着凝集抑制、炎症反応、免疫反応や生体防御機能に重要な役割を演じている。NOは3種のNO合成酵素(神経型、内皮型、誘導型;以下、これらをNOSと称することがある)から産生遊離される。これまでの多くの研究から、3種のNOSから産生・遊離されるNOの作用が明らかになった。即ち、神経型NOSから産生されるNOは、神経伝達物質として中枢神経系での高次構造や末梢神経系での消化器や心血管系での神経調節に関与している。内皮型NOSから産生されるNOは、血管トーヌスの調節、抗血栓作用・抗血小板凝集作用などの血管機能の恒常性を維持するのに重要な役割がある。誘導型NOSにより一過性に大量に産生されるNOは、細菌やウィルス、腫瘍細胞などに対する生体防御反応の一旦を担っていることが明らかにされてきた。(血管と内皮,NO: 生と死へのかかわり,増刊号,1997)【0009】さて、本願発明者らは、本願発明に先だって、生理的な種々のプロテアーゼのインヒビターであるα1PIに対して、それの有する特性と構造上分子内に1つのシステインしか存在しない特性を生かしこれにS−ニトロソ基を導入し、新規のプロテアーゼインヒビターとNO供与剤の2官能性機能タンパク質として、血管循環不全の改善薬としての効能を確認した。α1PIの前述の特性に着目し、S−ニトロソ化α1PI(以下 SNO−α1PIと略す)を作製し、末梢循環不全改善薬としての可能性を追求した。すなわち、SNO−α1PIのインヒビター活性、安定性、NO供与能(血管弛緩作用、抗血小板作用、虚血・再灌流障害抑制作用及び抗菌作用)について比較検討した。その結果、SNO−α1PIが未修飾α1PIと同等のプロテアーゼインヒビター活性を有し、ニトロソ化アルブミンと比較するとSNO−α1PIの安定性は非常に高く、さらにNO供与能(血管弛緩作用、抗血小板作用、虚血・再灌流障害抑制作用及び抗菌作用)を有していることを見出した。それらの検討結果の概略は以下のとおりである。(特開平11−147838)。
【0010】(1)未修飾α1PIに約99%ニトロソ基の導入に成功した。その導入率は、血漿タンパク質の1つであるアルブミンの約30%の導入率と比較すると非常に高い導入率であった。
(2)SNO−α1PIのプロテアーゼ阻害能は、未修飾α1PIのものとほぼ同等であった。また、SNO−α1PIのニトロソ基とインヒビター活性は、4℃液状の条件でさえ2週間以上安定であった。一方、ニトロソアルブミンのニトロソ基の安定性はSNO−α1PIと比較すると非常に低く、2週間で約50%のニトロソ基しか残存しなかった。
(3)SNO−α1PIは濃度依存的に血管弛緩作用を示した。しかし、未修飾α1PIにはその効果は認められなかった。
(4)SNO−α1PIは濃度依存的に抗血小板作用を示した。一方、未修飾α1PIにはその効果は認められなかった。
(5)SNO−α1PIは虚血・再灌流障害抑制作用を示した。未修飾α1PIについてはその効果が認められなかった。
(6)さらにSNO−α1PIは濃度依存的に各種細菌に対して増殖抑制効果を示した。その効果は、S−ニトロソグルタチオン(以下、GSNOと称することがある)よりも効果的であった。しかし、未修飾α1PIはその効果は認められなかった。
(3)〜(6)の結果は、SNO−α1PIがNO供与剤として機能していることを示している。上述の知見から、S−ニトロソ化α1PIのNO供与剤としての有用性は明らかである。とりわけ、好適な末梢循環不全改善薬としての作用が期待された。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、SNO−α1PIが血管弛緩作用、抗血小板作用、虚血・再灌流障害抑制作用及び抗菌作用を有していることに加えて、SNO−α1PIがシステインプロテアーゼインヒビターとしての機能を持っていることを新たに見出した。また、驚くべきことにそのシステインプロテアーゼインヒビター作用は、現在臨床使用されているGSNOとの比較によれば、約70倍高いことが判明し、血漿アルブミン(Albと称することがある)にNOを導入したNO−Albと比較してもその作用は約50倍高いことが判明した。これらの知見を基に本発明を完成するに至った。
【0012】本願発明に使用されるα1PIを製造する方法は特に限定されないが、例えばヒト血液より分離する方法あるいは遺伝子組換え技術により得たα1PI産生細胞を用いて調製する方法などによって製造することができる。血液由来のα1PIの製法としては、例えば、血漿を出発原料として硫安分画をした後、ブルーセファロース、DEAEセファロース、セファデックスG−75で次々にカラムクロマトグラフィーを実施するTravisなどの方法(Travis J, etal., Method in Enzymology, vol.80, p.754−765)、あるいは、硫安塩析を行なった後、Zincキレート、DE−52セルロースの各クロマトグラフィーを組み合わせたKurecckiなどの方法が知られている。(Kureccki T., Analytical Biochemistry,vol.99, p.415−420,(1979))。なかでも、α1PI含有画分を陽イオン交換樹脂に展開し、夾雑不純蛋白質を吸着させ、α1PIを調製し得る友清らの方法が推奨される(特開平8−99999)。
【0013】タンパク質及び合成試薬のチオール基へのNOの導入(ニトロソ化)は、亜硝酸塩と反応させる方法によって達成することができる。ヘモグロビンのニトロソ化に代表されるように、タンパク質のニトロソ化に成功している例もあるが、一般的には、タンパク質にとっては厳しい条件での反応である。従って、本発明においてはより穏和な条件でのチオール基へのNOの導入が可能な、イソアミルナイトライトを用いた方法(DeMaster E.G. et al., Biochemistry, 34, p.11494−11499, (1995))やn−ブチルナイトライトと反応させる方法(Meyer D.J. et al., FEBS Letters, 34, p.177−180, (1994))を適用することができる。
【0014】かくして調製されるSNO−α1PIは、ヒトアルブミン、塩、クエン酸ナトリウム、糖またはアミノ酸等の安定化剤と共に凍結乾燥もしくは液体の状態での保存が可能で、さらには、凍結し保存することも可能である。また、感染性夾雑ウイルスの不活性化を目的として、凍結乾燥状態もしくは液状状態において所定の条件下、例えば凍結乾燥状態では65℃96時間、液状では60℃10時間の加熱処理を施すことは、薬剤の安全性の観点から極めて好ましい態様である。本願発明では、かかる有効成分としてのSNO−α1PIと公知の適当な賦形剤を組み合せ、公知の方法で本願発明のシステインプロテアーゼインヒビターとしての機能を有する薬剤とすることができる。
【0015】
【発明の効果】本発明のSNO−α1PIは、細菌毒素に起因するショック様症候群に対する治療用薬剤として、また、セリンプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼの増減が深く関与する疾患、例えば、後天的な肺炎(肺気腫)、劇症肝炎、心筋梗塞、ARDS、各種炎症性疾患等の治療用薬剤として用いられ得る。
【0016】以下、実施例に沿って本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】調製例1(S−ニトロソ化α1PIの調製)コーン分画FIV−1の沈澱500gを、0.1Mトリス塩酸/0.02M塩化ナトリウム緩衝液(pH8.8)9.0Lに溶解した。この溶液に、50%ポリエチレングリコール4000溶液を終濃度12%になるように添加した後、pHが5.2になるようにpH4.0の酢酸緩衝液で調整し、遠心上清を取得した。次いで、遠心上清のpHを6.5に修正し、粉末状のポリエチレングリコール4000を終濃度が30%になるように添加して得られた沈澱画分を遠心分離して分取した。分取した沈澱を25mMリン酸緩衝液(pH6.0)で溶解後、DEAE−Sepharose FFに展開し、90mMリン酸緩衝液(pH6.0)で溶出した。溶出液を電気伝導率が2.0以下になるように水で希釈後、pHを5.2に調整して、予め15mMリン酸/酢酸緩衝液(pH5.2)で平衡化したSP−Sepharose FFに展開し、非吸着画分を集めた。この画分を、ウイルス除去膜(PLANOVA:15N 旭化成(株))で濾過処理後、限外濾過膜を用いて濃縮した。濃縮液に終濃度が0.4Mになるようにクエン酸ナトリウムを、ショ糖を40%になるように添加し、60℃、10時間の液状加熱を行なった。この溶液を25mMリン酸緩衝液(pH7.0)に置換し、Blue−Sepharoseを用いて混在するアルブミンを除去した。Blue−Sepharoseの素通り画分に10倍モル量のDTT(Dithiothreitol)を添加し、室温で2時間反応後、上記と同様にDEAEによる再クロマトグラフィーを行なった。溶出画分に、高純度精製α1PIを得た。得られた高純度精製α1PIの−SH基含量を測定後、限外濾過膜を用いて100mMリン酸/5mMEDTA溶液(pH7.0)に透析置換した。
【0018】得られたα1PIおよびイソアミルナイトライト(Isoamylnitrite:和光純薬工業(株))をそれぞれ最終濃度が0.1mMおよび1.0mMになるように1mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.8)に添加し、37℃で30分間反応させた。反応液を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.8)で平衡化したSephadex−G25に展開して、未反応のイソアミルナイトライトおよびイソアミルアルコール等の低分子反応産物を除去した後、得られたS−ニトロソ化α1PI(S−NOα1PI)を限外濾過により濃縮した。回収されたタンパク質量は5.04mgで、タンパク質としての回収率は95%であった。
【0019】実施例1(Sニトロソ化α1PIの細菌由来システインプロテアーゼに対する阻害作用)Streptococcalシステインプロテアーゼ35μMを所定の濃度のSNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHと25℃で30分間インキュベートし反応させた。セリンプロテアーゼや金属プロテアーゼの影響をなくすために反応液中には、1mMのDTPAと1mMのPMSFを添加した。インキュベーション後10mMのPro−Phe−Arg−MCA蛍光基質を添加し、25℃で30分間反応後、蛍光強度を測定して残存するStreptococcalシステインプロテアーゼ活性を定量化した。SNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHが反応系に添加されていない試料のStreptococcalシステインプロテアーゼ活性の残存量を100%として、その50%の活性を阻害する時のSNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHの濃度(IC50)を求めた。結果は、SNO−α1PIのIC50(=17μM)は、NO−Alb(=1mM)の約50分の1であり、GSNO(=1.2mM)の約70分の1であった。即ち、SNO−α1PIのStreptococcalシステインプロテアーゼ活性の阻害能が格別高いことが示された。一方、未修飾のα1PI、AlbやGSHは、Streptococcalシステインプロテアーゼ活性の阻害能は全く示さなかった。上述の知見によって、また、Streptococcalシステインプロテアーゼが毒素ショック様症候群の病因と考えられていることから、本願発明のSNO−α1PIが毒素ショック様症候群の治療用薬剤の主要構成成分として用いられ得ることが強く示唆される。
【0020】実施例2(Sニトロソ化α1PIのカテプシンBに対する阻害作用)450nMのカテプシンBを所定の濃度のSNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHと25℃で15分間インキュベートし反応させた。セリンプロテアーゼや金属プロテアーゼの影響をなくすために反応液中には、1mMのDTPAと1mMのPMSFを添加した。インキュベーション後3mMのNα-BENZOYL-DL-ARGININE-p NITROANILIDE合成基質を添加し、25℃で30分間発色を測定し、発色強度から残存するカテプシンB活性を定量化した。SNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHが反応系に添加されていない試料のカテプシンB活性の残存量を100%として、その50%の活性を阻害する時のSNO−α1PI、α1PI、NO−Alb、Alb、GSNOあるいはGSHの濃度(IC50)を求めた。結果は、SNO−α1PIのIC50は、NO−Albの約50分の1であり、GSNOの約80分の1であった。SNO−α1PIの方がカテプシンB活性の阻害能が高いことが示された。一方、未修飾のα1PI、AlbやGSHは、カテプシンB活性の阻害能は全く示さなかった。
【出願人】 【識別番号】000173555
【氏名又は名称】財団法人化学及血清療法研究所
【識別番号】000201320
【氏名又は名称】前田 浩
【出願日】 平成12年3月2日(2000.3.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−247475(P2001−247475A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2000−57674(P2000−57674)