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【発明の名称】 マッサージ機
【発明者】 【氏名】菊本 誠

【氏名】冷水 一也

【氏名】三島 弘之

【要約】 【課題】椅子本体に取り付けられた施療子を所定の軌道に沿って往復移動させつつ、施療子に所定の動作を与えて人体にマッサージを施すマッサージ機において、体格の違いに起因して起こる苦痛を緩和する。

【解決手段】本発明に係るマッサージ機は、施療子の往復移動過程で、施療子が人体を押圧することによって被施療部から受ける圧力を検出するための圧力計測器61と、圧力計測器61によって検出される圧力の変化に基づいて、施療子が接触する被施療部の硬さに応じた硬さ値を計測する硬さ計測器62と、硬さ計測器62によって計測された硬さ値に応じて、マッサージ機構の動作を制御するマッサージ動作制御器63とを具えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 椅子本体(10)に、施療子(21)(21)を具えたマッサージ機構(2)を取り付けて構成され、施療子(21)(21)を所定の軌道に沿って往復移動させつつ、施療子(21)(21)に所定の動作を与えて人体にマッサージを施すマッサージ機において、施療子(21)(21)の往復移動過程で、施療子(21)(21)が人体の被施療部から受ける圧力を検出するための圧力検出手段と、圧力検出手段によって検出される圧力の変化に基づいて、施療子(21)が接触する被施療部の硬さに応じた硬さ値を計測する硬さ計測手段と、硬さ計測手段によって計測された硬さ値に応じ、人体に及ぼす負担を軽減する様に、マッサージ機構(2)の動きを制御する制御手段とを具えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】 制御手段は、前記硬さ値が所定値を越えたときの施療子(21)(21)の位置を計測する位置計測手段と、施療子(21)(21)が前記計測された位置を回避する様に施療子(21)(21)の軌道を修正する手段とを具えている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】 制御手段は、前記硬さ値が所定値を越えたときの施療子(21)(21)の位置を計測する位置計測手段と、施療子(21)(21)が前記計測された位置を通過する際に、施療子(21)(21)の動作速度をより低く設定する手段とを具えている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】 硬さ計測手段は、圧力検出手段によって検出される圧力がU字状のカーブを描いて変化したとき、該U字状カーブの幅に応じて硬さ値を変化させ、U字状カーブの幅が小さい程、硬さ値を大きく設定する請求項1乃至請求項3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項5】 硬さ計測手段による硬さ計測は、施療子(21)(21)によるマッサージ動作を開始する前に施療子(21)(21)を1往復させるサーチ動作にて行なわれる請求項1乃至請求項4の何れかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、椅子本体にマッサージ機構を取り付けて構成されるマッサージ機に関し、特に利用者に過大な負担がかかることのないマッサージ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より広く普及しているマッサージ機は、図7に示す如く、脚(11)、座(12)、背もたれ(13)、及び左右一対の肘掛け(14)(14)からなる椅子本体(10)に、複数の施療子(21)を具えたマッサージ機構(2)を組み込んで構成され、これら複数の施療子(21)を振動させながら上下に往復移動させることによって、人体にマッサージを施すものである。
【0003】マッサージ機構(2)は、図8に示す如く椅子本体(10)の背もたれ(13)の背部に、前記の施療子を振動させるための施療子駆動装置(3)を具え、該施療子駆動装置(3)は、背もたれ(13)の背面に取り付けられたサイドフレーム(15)(15)に沿って昇降可能に支持されている。又、椅子本体(10)には、施療子昇降用モータ(22)が配備され、該施療子昇降用モータ(22)はベルト式動力伝達機構(20)を介してねじ軸(23)に連繋している。該ねじ軸(23)は、施療子駆動装置(3)に取り付けられた軸受け(24)に螺合している。従って、施療子昇降用モータ(22)によってねじ軸(23)が回転駆動されると、これに伴って施療子駆動装置(3)が昇降することになる。
【0004】施療子駆動装置(3)は、図9に示す如く、両側部に複数のローラ(43)(43)を具え、これらのローラ(43)(43)がサイドフレーム(15)(15)に係合して、施療子駆動装置(3)の昇降が案内されている。施療子駆動装置(3)には揉み用モータ(31)が配備され、該揉み用モータ(31)は、ベルト式動力伝達機構(32)及び変速機構(33)を介して、シャフト(34)に連繋している。該シャフト(34)には、左右一対の偏心軸受け(35)(35)が取り付けられており、これらの偏心軸受け(35)(35)によって左右一対のアーム(42)(42)が支持されている。各アーム(42)の先端部には、略L字状の連結片(36)が枢支され、該連結片(36)の両端部に施療子(21)(21)が回転可能に取り付けられている。従って、揉み用モータ(31)によってシャフト(34)が回転駆動されると、これに伴ってアーム(42)(42)が開閉方向に揺動駆動され、これによって、施療子(21)(21)による揉み動作が実現されることになる。尚、揉み用モータ(31)の回転を制御することによって、左右一対の施療子(21)(21)の幅を調整することも可能である。
【0005】又、施療子駆動装置(3)には叩き用モータ(37)が配備され、該叩き用モータ(37)は、ベルト式動力伝達機構(38)を介してシャフト(39)に連繋している。該シャフト(39)には、左右一対の偏心軸受け(40)(40)が取り付けられており、これらの偏心軸受け(40)(40)によって左右一対のロッド(41)(41)が支持されている。そして、各ロッド(41)の先端部が前記アーム(42)の基端部に連結されている。従って、叩き用モータ(37)によってシャフト(39)が回転駆動されると、これに伴ってロッド(41)(41)が前後方向に揺動駆動され、これによって施療子(21)(21)による叩き動作が実現されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のマッサージ機においては、施療子(21)(21)が所定の軌道で上下に往復移動しつつ、上述の揉み動作と叩き動作を行なって、人体にマッサージを施すのであるが、利用者の体格はまちまちであり、例えば肩胛骨等の骨の位置は人によって異なるため、施療子(21)(21)が所定の軌道に沿って移動する過程で、人によっては施療子(21)(21)が骨に当たって、苦痛を与えることがあった。
【0007】そこで本発明の目的は、椅子本体(10)に取り付けられた施療子(21)(21)を所定の軌道に沿って往復移動させつつ、施療子(21)(21)に所定の動作を与えて人体にマッサージを施すマッサージ機において、体格の違いに起因して起こる苦痛を緩和することである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明に係るマッサージ機は、施療子(21)(21)の往復移動過程で、施療子(21)(21)が被施療部から受ける圧力を検出するための圧力検出手段と、圧力検出手段によって検出される圧力の変化に基づいて、施療子(21)が接触する被施療部の硬さに応じた硬さ値を計測する硬さ計測手段と、計測された硬さ値に応じて、マッサージ機構(2)の動きを制御する制御手段とを具えている。
【0009】上記本発明のマッサージ機においては、施療子(21)(21)が筋肉等の軟らかい部位に接触した後、骨などの硬い部位に接触したとき、圧力検出手段によって検出される圧力には、急峻なカーブの変動が生じる。硬さ計測手段は、この様な圧力変動が急峻な程、施療子(21)(21)がより硬い部位(被施療部)に接触したものとして、この様な圧力変動を、より大きな硬さ値として計測する。そこで制御手段は、計測された硬さ値が所定値を越えて大きくなったとき、マッサージによる負担が軽減されるように、マッサージ機構(2)の動きを制御する。
【0010】例えば、硬さ計測においては、圧力検出手段によって検出される圧力がU字状のカーブを描いて変化したとき、該U字状カーブの幅に応じて硬さ値を変化させ、U字状カーブの幅が小さい程、硬さ値を大きく設定することが出来る。尚、硬さ計測手段による硬さ計測は、施療子(21)(21)によるマッサージ動作を開始する前に施療子(21)(21)を人体に沿って1往復させるサーチ動作にて行なうことが出来る。
【0011】具体的構成において、制御手段は、前記硬さ値が所定値を越えたときの施療子(21)(21)の位置を計測する位置計測手段と、施療子(21)(21)が前記計測された位置を回避する様に施療子(21)(21)の軌道を修正する手段とを具えている。該具体的構成によれば、骨等の硬い部位を回避する軌道が作成されるので、施療子(21)(21)が骨等に当たって苦痛を与える虞れはない。
【0012】又、他の具体的構成において、制御手段は、前記硬さ値が所定値を越えたときの施療子(21)(21)の位置を計測する位置計測手段と、施療子(21)(21)が前記計測された位置を通過する際に、施療子(21)(21)の動作速度をより低く設定する手段とを具えている。該具体的構成によれば、施療子(21)(21)が骨等の硬い部位を通過するときは、そのときの施療子(21)(21)の動作速度が低く設定されるので、施療子(21)(21)が骨等に強く当たることはなく、これによって苦痛が軽減される。
【0013】
【発明の効果】本発明に係るマッサージ機によれば、施療子によるマッサージにおいて体格の違いに起因して起こる苦痛を緩和することが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。本発明に係るマッサージ機は、機構的には、図7乃至図9に示す従来のマッサージ機と同一であって、椅子本体(10)に、複数の施療子(21)を具えたマッサージ機構(2)を組み込んで構成され、これら複数の施療子(21)を施療子駆動装置(3)により駆動して、揉み動作と叩き動作を行なわしめつつ、施療子昇降駆動機構(25)により上下に往復移動させて、人体にマッサージを施すものである。
【0015】本発明に係るマッサージ機は、その特徴的構成において、図2に示す如く各連結片(36)に支持された2つの施療子(21)(21)の内、一方の施療子(21)の外周面に複数の感圧センサ(5)を取り付けて、該感圧センサ(5)の検出信号に基づいて、マッサージ機構(2)や施療子昇降駆動機構(25)の動作を制御するものである。尚、感圧センサ(5)は、例えば導電性ゴムによって構成することが可能であり、この場合、導電性ゴムが両面に圧力を受けて収縮すると、これに伴って導電性ゴムの両面間の電気抵抗値が小さくなることを利用して、圧力を検出することが出来る。
【0016】図1は、本発明に係るマッサージ機の制御系の構成を表わしている。前述の施療子昇降用モータ(22)、揉み用モータ(31)及び叩き用モータ(37)は、マイクロコンピュータからなる制御回路(6)によって回転が制御されている。又、施療子昇降用モータ(22)及び揉み用モータ(31)の出力軸にはそれぞれ、ロータリエンコーダ(52)(53)が取り付けられており、これらのロータリエンコーダ(52)(53)の検出信号が制御回路(6)へ供給されている。更に、前記複数の感圧センサ(5)からなるセンサ部(51)からの検出信号が制御回路(6)へ供給されている。
【0017】制御回路(6)は、センサ部(51)の各感圧センサ(5)の抵抗変化に伴う電圧の変化を検出信号として取り込み、該検出信号に基づいて施療子(21)が受ける圧力の変化を計測する圧力計測器(61)を具えている。圧力計測器(61)は、取り込んだ電圧検出信号と感圧センサ(5)が受ける圧力との関係を予めテーブルとして保持しており、電圧検出信号を圧力検出信号に変換して出力する。
【0018】ここで、感圧センサ(5)を具えた施療子(21)が、筋肉等の軟らかい部位を通過するときは、該部位が施療子(21)に押圧されて大きく窪むため、図3(a)に示す如く、前記圧力検出信号の電圧は、施療子移動距離に伴って、幅の広い緩やかなU字状カーブを描いて変化する。これに対し、感圧センサ(5)を具えた施療子(21)が、骨等の硬い部位を通過するときは、該部位は施療子(21)に押圧されても殆ど窪まないので、図3(b)に示す如く、前記圧力検出信号の電圧は、施療子移動距離に伴って、幅の狭い急峻なU字状カーブを描いて変化する。従って、図3(a)の如く圧力検出信号の電圧が幅の広いU字状カーブを描いて変化したときは、施療子(21)(21)は筋肉等の比較的軟らかい部位に接触したものと判断することが出来、これに対し、同図(b)の如く圧力検出信号の電圧が幅の狭いU字状カーブを描いて変化したときは、施療子(21)(21)は骨等の硬い部位に接触したものと判断することが出来る。
【0019】図1に示す如く、圧力計測器(61)からの圧力検出信号は硬さ計測器(62)へ供給される。硬さ計測器(62)は、前述の原理に基づく硬さ計測手続きを実行し、圧力検出信号に基づいて、被施療部の硬さに応じた硬さ値を表わす硬さ信号を生成する。該硬さ計測器(62)による具体的な硬さ計測手続きについては後述する。
【0020】前記ロータリエンコーダ(52)(53)からの回転角度検出パルスはそれぞれカウンタ(68)(69)へ入力されており、これによって、施療子昇降用モータ(22)及び揉み用モータ(31)の回転角度が検出される。そして、該検出信号は施療子位置計測器(64)へ供給されて、施療子(21)(21)の位置が計測される。硬さ計測器(62)から得られる硬さ計測信号と、施療子位置計測器(64)から得られる施療子位置計測信号とは、マッサージ動作制御器(63)へ供給される。これに応じてマッサージ動作制御器(63)は、後述する制御動作を行なって、施療子昇降用モータ(22)、揉み用モータ(31)及び叩き用モータ(37)を駆動するための駆動回路(67)(66)(65)へそれぞれ、制御信号を供給する。
【0021】上記マッサージ機においては、施療子(21)(21)による揉み動作や叩き動作等のマッサージ動作を開始する前に、施療子(21)(21)を背中に沿って1往復させるサーチ動作が実行され、この過程で硬さ計測が行なわれる。図4は、硬さ計測器(62)及びマッサージ動作制御器(63)が実行する硬さ計測手続きを表わしている。先ずステップS1では、施療子昇降用モータ(22)を駆動して、施療子(21)(21)を初期位置へ移動させ、ステップS2では、揉み用モータ(31)を駆動して、施療子(21)(21)の幅を初期値に設定する。次に、ステップS3にて、施療子(21)(21)を背中に沿って移動させながら、各感圧センサ(5)にかかる圧力を計測する。そして、ステップS4では、図3に示す如き圧力の計測値の変化率を算出すると共に、その変化傾向(増加、減少、又は一定)を判定する。
【0022】続いてステップS5では、圧力がピークとなった時点の施療子の位置Xを検出する。そして、ステップS6では、位置Xの直前における圧力の増加率がピークとなる時点と、位置Xの直後における圧力の減少率がピークとなる時点の時間間隔を検出し、更に、該検出値を圧力ピーク値によって補正し、被施療部の硬さに応じた大きさの時間間隔を得る。該時間間隔は、被施療部の硬さに応じた硬さ値を表わすことになる。
【0023】その後、ステップS7にて、前記時間間隔が閾値を上回ったかどうかが判断され、ここでイエスと判断されたときは、位置Xは、筋肉等の骨以外の部位の位置として、テーブルに書き込む一方、ノーと判断されたときは、位置Xは、骨の位置として、テーブルに書き込む。
【0024】続いて、ステップS10では、全ての感圧センサ(5)についての検出が終了したかどうかが判断され、ノーと判断されたときは、ステップS4に戻って、位置Xの検出及びテーブルへの書込みを繰り返す。その後、ステップS10にてイエスと判断されたときは、ステップS11へ移行して、予め設定した全ての計測幅で、全回数の計測が終了したかどうかが判断される。ここでノーと判断されたときはステップS1に戻り、イエスと判断されたときは検出手続きを終了する。
【0025】上記硬さ検出手続きの実行によって、その利用者に固有の硬さテーブルが出来上がることになる。
【0026】その後、上記硬さテーブルに基づいて、実際のマッサージ動作が実行される。図5は、マッサージ動作のために硬さ計測器(62)及びマッサージ動作制御器(63)が実行する手続きを表わしている。ステップS21にて上述の硬さ検出を行なった後、ステップS22では、上記硬さテーブルから骨の位置を読み込んで、該位置を回避する様に、施療子軌道テーブルを変更する。ここで、施療子軌道の変更は、左右一対の施療子(21)(21)の幅を狭め、若しくは幅を拡げることによって行なわれる。その後、ステップS23では、変更された施療子軌道テーブルに従って、施療子(21)(21)によるマッサージ動作を実行するのである。
【0027】又、図6は、マッサージ動作のために硬さ計測器(62)及びマッサージ動作制御器(63)が実行する他の手続きを表わしている。ステップS31にて上述の硬さ検出を行なった後、ステップS32にて、所定の施療子軌道テーブルに従ったマッサージ動作を開始する。続いて、ステップS33にて、上記硬さテーブルから骨の位置を読み込んで、施療子の現在位置が骨の位置であるかどうかを判断する。ここでノーと判断されたときは、ステップS35に移行して、施療子(21)(21)の動作速度を設定速度に維持する。一方、ステップS33にてイエスと判断されたときは、ステップS34に移行して、施療子(21)(21)の動作速度を低速に切り換える。その後、ステップS36にてマッサージ動作を終了するかどうかを判断し、ここでノーと判断されたときはステップS33に戻って、マッサージを継続する。その後、所定のシーケンスが全て終了して、ステップS36にてイエスと判断されたとき、マッサージ動作を終了する。
【0028】図5の手続きによれば、骨等の硬い部位を回避する軌道が作成されるので、施療子(21)(21)が骨等に当たって苦痛を与える虞れはない。一方、図6の手続きによれば、施療子(21)(21)が骨等の硬い部位を通過するときは、そのときの施療子(21)(21)の動作速度が低く設定されるので、施療子(21)(21)が骨等に強く当たることはなく、これによって苦痛が軽減される。この結果、人体に苦痛を与えることなく、効果的なマッサージを実現することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100100114
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 伸泰
【公開番号】 特開2001−269380(P2001−269380A)
【公開日】 平成13年10月2日(2001.10.2)
【出願番号】 特願2000−87158(P2000−87158)