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【発明の名称】 美容器具および美容器具用のパッドの製造方法
【発明者】 【氏名】増田 勝利

【要約】 【課題】安全性、耐蝕性が高く、また、皮膚に対する触感(肌触り)が良好であり、さらには金属アレルギーを生ずることがないパッドを使用した美容器具およびこの美容器具用におけるパッドの製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】美容器具に使用されるパッドは、チタン製の板材をパッドの形状にプレス加工するプレス加工工程と、プレス加工後のパッドの表面にブラスト加工により微細な凹凸を形成する凹凸形成工程と、凹凸形成後のパッドの表面を酸により洗浄して鋭部を除去する洗浄工程と、洗浄後のパッドの表面を陽極酸化処理する陽極酸化工程とにより製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持部と、前記支持部の上部配設されたパッドと、前記パッドの内部に配設された発振子とを備えた美容器具において、前記パッドをチタンにより構成したことを特徴とする美容器具。
【請求項2】 請求項1に記載の美容器具において、前記パッドは、その表面に鋭部が除去された微細な凹凸加工が施されている美容器具。
【請求項3】 請求項2に記載の美容器具において、前記パッドは、その表面に数十μm乃至数百μm程度の凹凸加工が施されている美容器具。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3いずれかに記載の美容器具において、前記パッドの表面に、陽極酸化処理による酸化チタンの薄膜が形成されている美容器具。
【請求項5】 支持部と、前記支持部の上部配設されたパッドと、前記パッドの内部に配設された発振子とを備えた美容器具に使用するパッドの製造方法において、チタン製の板材をパッドの形状にプレス加工するプレス加工工程と、プレス加工後のパッドの表面に微細な凹凸を形成する凹凸形成工程と、凹凸形成後のパッドの表面を酸により洗浄して鋭部を除去する洗浄工程と、を備えたことを特徴とする美容器具用のパッドの製造方法。
【請求項6】 請求項5に記載の美容器具用のパッドの製造方法において、前記凹凸形成工程においては、ブラスト加工によりパッドの表面に微細な凹凸を形成する美容器具用のパッドの製造方法。
【請求項7】 請求項5または請求項6いずれかに記載の美容器具用のパッドの製造方法において、前記洗浄工程の後に、パッドの表面を陽極酸化処理する美容器具用のパッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、皮膚に対して超音波あるいは低周波等の振動を付与することにより美容効果を奏せしめる美容器具に関する。
【0002】
【従来の技術】このような美容器具としては、パッドと、このパッドに例えば超音波振動を付与する超音波発振子とを備えた超音波美容器が知られている。そして、この超音波美容器においては、超音波発振子から発振される超音波を、パッドを介して皮膚に伝達することにより、マッサージ効果による新陳代謝促進作用や温熱エネルギー効果による深部温熱作用等により、美容効果を奏せしめるように構成されている。
【0003】そして、このような美容器具に使用されるパッドの材質としては、アルミニュウムやステンレス等が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような美容器具に使用されるパッドとしては、安全性、耐蝕性が高く、しかも皮膚に対する触感(肌触り)がよい材質を使用することが好ましい。また、このような美容器具に使用されるパッドとしては、金属アレルギーを生じさせない材質であることが要求される。
【0005】この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、安全性、耐蝕性が高く、また、皮膚に対する触感(肌触り)が良好であり、さらには金属アレルギーを生ずることがないパッドを使用した美容器具およびこの美容器具用におけるパッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、支持部と、前記支持部の上部配設されたパッドと、前記パッドの内部に配設された発振子とを備えた美容器具において、前記パッドをチタンにより構成したことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記パッドは、その表面に鋭部が除去された微細な凹凸加工が施されている。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記パッドは、その表面に数十μm乃至数百μm程度の凹凸加工が施されている。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3いずれかに記載の発明において、前記パッドの表面に、陽極酸化処理による酸化チタンの薄膜が形成されている。
【0010】請求項5に記載の発明は、支持部と、前記支持部の上部配設されたパッドと、前記パッドの内部に配設された発振子とを備えた美容器具に使用するパッドの製造方法において、チタン製の板材をパッドの形状にプレス加工するプレス加工工程と、プレス加工後のパッドの表面に微細な凹凸を形成する凹凸形成工程と、凹凸形成後のパッドの表面を酸により洗浄して鋭部を除去する洗浄工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記凹凸形成工程においては、ブラスト加工によりパッドの表面に微細な凹凸を形成する。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6いずれかに記載の発明において、前記洗浄工程の後に、パッドの表面を陽極酸化処理する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る美容器具の断面概要図である。
【0014】この美容器具は、顔部に対する美顔効果や身体に対する痩身効果等の美容効果を得るために使用される超音波美容器であり、支持部13と、この支持部13の上部左端に配設された第1のパッド11と、この第1のパッド11の内部に配設された第1の超音波発振子21と、支持部13の上部右端に第1のパッド11と対向するように配設された第2のパッド12と、この第2のパッド12の内部に配設された第2の超音波振動子22とを備える。
【0015】前記第1のパッド11は、その頂部を利用して顔部をマッサージするために使用されるものである。また、前記第2のパッド12は、その頂部を利用して身体をマッサージするために使用されるものである。
【0016】これらの第1、第2のパッド11、12は、チタンをプレス加工した後、このチタンにブラスト加工等を施すことにより製造される。そして、これらの第1、第2のパッド11、12の表面には、数十μm乃至数百μm程度の鋭部が除去された凹凸が形成され、さらに陽極酸化処理による酸化チタンの薄膜が形成されている。
【0017】なお、これらの第1、第2のパッド11、12の製造方法については、後程詳細に説明する。
【0018】これらの第1のパッド11と第2のパッド12とは、その外形が互いに異なるように形成されている。このため、使用者は、この超音波美容器の使用時において、第1のパッド11と第2のパッド12とを容易に識別することが可能となる。
【0019】なお、第1のパッド11と第2のパッド12の形状を互いに異ならせる代わりに、第1のパッド11と第2のパッド12の色彩を互いに異ならせるようにしてもよい。
【0020】前記第1の超音波発振子21は、第1のパッド11の頂部裏面側に接着されている。この第1の超音波振動子21は、顔部に対して特に高い美顔効果を奏する3メガヘルツの周波数の超音波振動を発振するものが使用される。なお、この第1の超音波発振子21の周波数としては、顔部に対して高い美顔効果を奏するために、2メガヘルツ乃至4メガヘルツ程度とすることが好ましい。
【0021】一方、前記第2の超音波発振子22は、第2のパッド12の頂部裏面側に接着されている。この第2の超音波振動子22は、身体に対して特に高い痩身効果を奏する1メガヘルツの周波数の超音波振動を発振するものが使用される。なお、この第2の超音波発振子22の周波数としては、身体に対して高い痩身効果を奏するために0.5メガヘルツ乃至1.8メガヘルツ程度とすることが好ましい。
【0022】前記第1、第2のパッド11、12は、ゴム製のパッキング14を介して前記支持部13と接続されている。そして、この支持部13の内部には、制御基板31が収納されている。
【0023】この制御基板31は、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22とを選択的に動作せしめるための切替スイッチ33と、切替スイッチ33により切り替えられた信号をリード線23、24を介して第1の超音波振動子21または第2の超音波振動子22に送信するための出力トランス34と、第1、第2の超音波振動子21、22の動作状況を表示する複数のLED素子35と、装置全体を制御する制御回路32とを備える。この制御基板31は、給電線15を介して12ボルトの電源と接続されている。
【0024】この超音波美容器を使用して顔部のマッサージを行う場合には、使用者が切替スイッチ33を操作して第1の超音波発振子21を動作させ、超音波発振子21から3メガヘルツの超音波振動を発振させる。この超音波振動は、第1のパッド11に伝達される。そして、この状態で、第1のパッド11を、予めジェルやクリームを塗布した顔部皮膚面に当接させる。これにより、顔部皮膚面が高速にマッサージされ、高い美顔効果を得ることができる。
【0025】一方、この超音波美容器を使用して身体のマッサージを行う場合には、使用者が切替スイッチ33を操作して第2の超音波発振子22を動作させ、超音波発振子22から1メガヘルツの超音波振動を発振させる。この超音波振動は、第2のパッド12に伝達される。そして、この状態で、第2のパッド12を、予めジェルやクリームを塗布した身体皮膚面に当接させる。これにより、体内に深く作用する周波数で身体がマッサージされ、高い痩身効果を得ることができる。
【0026】次に、上述した第1、第2のパッド11、12の製造方法について説明する。図2は、第1、第2のパッド11、12の製造工程を示すフローチャートである。
【0027】第1、第2のパッド11、12を製造する際には、最初に、チタン製の板材をプレス加工により第1、第2のパッド11、12の形状に成形する(ステップS1)。このプレス加工工程においては、板材からの型抜きや金型による絞り等が実行される。
【0028】次に、ブラスト加工により成形後の第1、第2のパッド11、12の表面に鋭部が除去された微細な凹凸を形成する(ステップS2、ステップS3、ステップS4)。
【0029】このブラスト加工時においては、最初に、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面を脱脂処理する(ステップS2)。これにより、プレス加工時に付着した油分が除去される。
【0030】次に、ブラスト荒加工を行う(ステップS3)。このブラスト荒加工時においては、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面とその直径が200μmのアルミナ球とを衝突させることにより、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面を微細に荒らす。このとき、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面の酸化皮膜とゴミ等が除去されるとともに、プレス加工時に発生したプレス傷が修復される。
【0031】続いて、ブラスト仕上げを行う(ステップS4)。このブラスト仕上げ時においては、第1、第2のパッド11、12の表面とその直径が150μmのガラスビーズとを衝突させることにより、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面に均一に球形の凹部を形成する。これにより、成形後の第1、第2のパッド11、12の表面には、微細な凹凸が形成されることになる。
【0032】次に、酸洗浄を行う(ステップS5)。この酸洗浄時には、凹凸加工後の第1、第2のパッド11、12の表面をフッ化水素酸と硝酸との混合液中に浸漬することにより、第1、第2のパッド11、12の表面の酸化被膜を除去するとともに、ブラスト仕上げ時に第1、第2のパッド11、12の表面に形成された凹凸における鋭部を溶解して、第1、第2のパッド11、12の表面を滑らかにする。
【0033】しかる後、陽極酸化処理を行う(ステップS6)。この陽極酸化処理時には、第1、第2のパッド11、12をリン酸溶液等の電解液中に浸漬して正の電位を印加することによりチタンの表面に酸素を発生させ、電解液中においてチタンと酸素とを直接化合させることにより、酸化チタンの薄膜を生成させる。
【0034】なお、この酸化チタンの薄膜は、光の屈折による干渉により限られた波長の光のみが反射され、一定の色彩を生ずるという特性を有する。このため、この酸化チタンの薄膜の膜厚を制御することにより、第1、第2のパッド11、12を任意の色彩とすることが可能となる。
【0035】以上の行程により、第1、第2のパッド11、12が製造される。
【0036】以上の行程により製造された第1、第2のパッド11、12は、チタンにより構成されていることから、安全性、耐蝕性が高く、しかも皮膚に対する触感(肌触り)がよいという特質を有する。即ち、チタン自体が、例えば、医療用の人工骨等に使用されているように、安全性と耐食性を兼ね備えた性格を有する。また、チタンは熱伝導係数が低く比重が軽いことから、肌に触れた部分のみが暖かくなり、また、その熱が逃げないことから、良好な肌触りを有する。また、以上の行程により製造された第1、第2のパッド11、12は、チタンにより構成されていることから、従来のアルミニュウムやステンレスを使用したパッドのように、金属アレルギーを生ずることはない。
【0037】また、第1、第2のパッド11、12の表面には、ブラスト加工および酸洗浄により鋭部が除去された微細な凹凸が形成されていることから、肌に対する触感が極めて良好となる。即ち、第1、第2のパッド11、12の表面が鏡面であった場合には、第1、第2のパッド11、12の表面が肌に密着して違和感を生ずる。一方、第1、第2のパッド11、12の表面に鋭部が除去された微細な凹凸を形成した場合には、このような違和感はない。また、このように第1、第2のパッド11、12の表面に鋭部が除去された微細な凹凸を形成した場合には、肌に優しいばかりではなく、マッサージ時において、ジェルやクリームのまわりが良好となるという効果をも奏する。
【0038】なお、第1、第2のパッド11、12の表面に形成される凹凸の大きさは、上記のような効果を得るために、数十μm乃至数百μm程度とすることが好ましい。
【0039】さらに、第1、第2のパッド11、12の表面には、酸化チタンの薄膜が形成されていることから、第1、第2のパッド11、12の表面に対して抗菌性を得ることができる。即ち、チタン表面に形成された酸化チタンの薄膜は、光の照射により電気的に活性化し、そのエネルギーで水を分解して酸素と水素を発生させる。このとき発生した酸素は、周囲の有機物を分解し、その結果として雑菌が分解される。これは、酸化チタンの光触媒作用あるいは光抗菌作用と呼称される作用である。
【0040】なお、上述した実施形態においては、この発明を第1、第2の超音波発振子21、22を使用した超音波美容器に適用した場合について説明したが、この発明は、例えば、低周波を利用した美容器具等にも適用することが可能である。
【0041】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、パッドをチタンにより構成したことから、安全性、耐蝕性が高く、しかも皮膚に対する触感を良好となり、さらには、金属アレルギーの発生を確実に防止することが可能となる。
【0042】請求項2または請求項3に記載の発明によれば、パッドの表面に鋭部が除去された微細な凹凸加工が施されていることから、肌に対する触感が極めて良好となり、また、マッサージ時においてジェルやクリームのまわりが良好となる。
【0043】請求項4に記載の発明によれば、パッドの表面に陽極酸化処理による酸化チタンの薄膜が形成されていることから、パッド表面の抗菌性を得ることが可能となる。
【0044】請求項5または請求項6に記載の発明によれば、チタン製の板材をパッドの形状にプレス加工するプレス加工工程と、プレス加工後のパッドの表面に微細な凹凸を形成する凹凸形成工程と、凹凸形成後のパッドの表面を酸により洗浄して鋭部を除去する洗浄工程とを備えたことから、安全性、耐蝕性が高く、しかも皮膚に対する触感が良好であり、さらには、金属アレルギーを生ずることがないパッドを製造することが可能となる。
【0045】請求項7に記載の発明によれば、洗浄工程の後にパッドの表面を陽極酸化処理することから、パッド表面の抗菌性を得ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】599047550
【氏名又は名称】増田 勝利
【出願日】 平成12年3月14日(2000.3.14)
【代理人】 【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
【公開番号】 特開2001−252324(P2001−252324A)
【公開日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【出願番号】 特願2000−70394(P2000−70394)