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【発明の名称】 エアーマッサージ装置
【発明者】 【氏名】宮沢 幸央

【氏名】岡田 洋一

【要約】 【課題】シートタイプのマッサージ装置であって、車のシートなどとして使用できるエアーマッサージ装置を提供する。

【解決手段】シート1の背もたれ2にエアーバック20に加え、エアーポンプ25などの機構をすべて収納したマッサージ装置を提供する。このマッサージ装置1はエアーポンプなどが飛び出した形状にならず、通常の椅子あるいはシートとほぼ同じ形状でマッサージ機能を収納することができる。さらに、エアーポンプ25などを背もたれ2に収納することにより防音および防振などの効果も得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 座部と、背もたれとを有し、この背もたれに、エアーバッグと、このエアーバッグに空気を給気および排気する給排気機構とが収納されているエアーマッサージ装置。
【請求項2】 請求項1において、前記給排気機構は、少なくとも圧縮空気を生成する空気源装置と、この空気源装置を駆動するモータとを備えており、前記空気源装置およびモータが前記背もたれの最下部に配置されているエアーマッサージ装置。
【請求項3】 請求項2において、前記空気源装置およびモータは水平に並べて配置されているエアーマッサージ装置。
【請求項4】 請求項3において、前記給排気機構は、少なくとも排気を制御する弁部材を備えており、この弁部材が前記空気源装置、モータの延長上に水平に並べて配置されているエアーマッサージ装置。
【請求項5】 請求項3または4において、前記空気源装置およびモータを覆うカバーとの間に、これら空気源装置またはモータの外面に沿って空気が流れる経路が形成されているエアーマッサージ装置。
【請求項6】 請求項1において、前記背もたれは、前記エアーバッグの前面を覆うカバー部材を備えており、前記エアーバッグは、このカバー部材を上下の2箇所で貫通するベルト部材により支持されているエアーマッサージ装置。
【請求項7】 請求項1において、前記エアーバッグの膨張率を少なくとも2段に調整可能な制御手段を有し、この制御手段は、車両が動くと膨張率の小さなモードを選択することを特徴とするエアーマッサージ装置。
【請求項8】 請求項7において、前記制御手段は、ハンドブレーキのオンオフ、車の速度または電源ノイズにより車両が動いたことを検出するエアーマッサージ装置。
【請求項9】 請求項1において、前記給排気機構は、少なくとも排気を制御する弁部材を備えており、この弁部材は、電源断のときに大気開放になるエアーマッサージ装置。
【請求項10】 車両のシートの背もたれに保持されたエアーバッグへ給排気機構から空気を給気および排気してマッサージ効果を得るエアーマッサージ装置の制御方法であって、前記エアーバッグの膨張率を少なくとも2段に調整可能であり、車両が動くと膨張率の小さなモードを選択する工程を有するエアーマッサージ装置の制御方法。
【請求項11】 請求項10において、ハンドブレーキのオンオフ、車の速度または電源ノイズにより車両が動いたことを検出するエアーマッサージ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車のシートに適応可能なエアーマッサージ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エアーバックを内蔵した椅子式のエアーマッサージ装置が特開平9−66087あるいは特開平9−70419などにいくつか開示されている。これらは、椅子の背もたれおよび座部に複数のエアーバッグを配置し、座部の下に配置されたコンプレッサなどの空気源装置から圧縮空気をエアーバッグに供給して膨張および収縮を繰り返し、椅子に座った状態で身体をマッサージするようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】車の運転を長時間行ったり、オフィスや劇場などにおいて長時間座っていると筋肉が緊張して凝ったり、背骨などに負担がかかって痛みが生じるなどの現象が発生することがある。したがって、車のシートやオフィスの椅子にもエアーマッサージする機能を付加することが検討されている。しかしながら、現在提案されている椅子型のマッサージ装置は本格的なリラクゼーションを目的としたものであり、運転や、オフィスワークに適したものではない。特に、従来の椅子型のエアーマッサージ装置は、大型で重く高価であり、さらに、コンプレッサなどの空気源装置が別置きになっていたり、座部の下のスペースを占有しており、車内や、オフィスの事務用の椅子として使用できる形態にではない。したがって、運転席やオフィスあるいは工場などの仕事場にそのまま持ち込むことは不可能である。
【0004】そこで、本発明においては、自動車のシート、オフィスの椅子、あるいは工場の作業現場などの椅子など、さまざまな場所に設置されるシートあるいは椅子として使用できるエアーマッサージ装置を提供することを目的としている。また、車両のシートに用いられた場合でも、安全にマッサージ効果を得ることができるエアーマッサージ装置およびその制御方法を提供することも目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、本発明においては、背もたれの内部に、エアーバックのみならず、このエアーバッグに空気を給排気する給排気機構を収納することにより、コンプレッサなどの給排気機構が外部に飛び出すことがなく、車のシート、オフィスの椅子あるいは劇場や映画館の椅子として利用できるエアーマッサージ装置を提供している。すなわち、本発明のエアーマッサージ装置は、座部と、背もたれとを有するシートあるいは椅子状のものであり、この背もたれに、マッサージ用のエアーバッグと、このエアーバッグに空気を供給および排気する給排気機構とが収納されている。このように、エアーマッサージ装置を構成する主な部品を背もたれに一体化することにより、空気源装置が別置きにされたり、空気源装置が座部の下に配置されるような構成にならず、車のシートあるいはオフィスの椅子としても使用できるエアーマッサージ装置を提供できる。
【0006】特に、長時間座っていると、背中あるいは腰に疲労が蓄積しやすいため、背もたれにエアーマッサージ機構を設けることが有効である。そして、本発明においては、エアーマッサージできる機構を背もたれだけで独立して構成できるので、リクライニングシートや、折りたたみ型のシートであっても、ホースなどの連結部材を外にまったく露出させないですむ。したがって、ホースがシートや椅子の周りを這いずり回って見栄えを悪くしたり、ホースが傷つけられたり、ホースに服の一部を挟んでしまうなどのトラブルはまったくない。
【0007】背もたれの内部にエアーバッグに加えて、給排気機構の空気源装置、たとえば、コンプレッサあるいはエアーポンプおよびそれを駆動するモータを収納するには、これらを背もたれの最下部に配置することが望ましい。背もたれの最下部は背もたれ(背)と座部との境界近傍で、ユーザの臀部と背もたれとの間に隙間が形成される部分になる。したがって、シートや椅子の座り心地にほとんど影響を与えずに空気源装置やモータといった給排気機構を構成する機材を配置できる。さらに、背もたれの後ろ側に空気源装置やモータなどが突出して、車内のスペースやオフィスのスペースを狭める原因ともならず、従来の車用のシートあるいは事務用の椅子と同様の形態で、エアーマッサージ機能を備えた装置を提供することができる。
【0008】さらに、空気源装置およびモータを最下部に水平に並べて配置することにより、臀部と背もたれの間の隙間にほとんど収まるように配置することが可能である。そして、弁部材を空気源装置、モータの延長上に水平に並べて配置することも可能であり、背もたれに当る部分にはエアーバッグなどの柔軟なものだけが配置されるようにできる。したがって、すわり心地の良いシートタイプのエアーマッサージ装置を提供できる。また、空気源装置およびモータは、臀部や腰に当ったときの柔軟性を確保できるように、ウレタンなどの柔らかい素材により覆うことが望ましく、さらに、このようなカバーを施すことにより防音および防振効果を得ることも可能となる。特に、エアーマッサージ装置の場合は、ホースなどの管部材でエアーバッグと接続することにより騒音あるいは発熱する機材を集中させることが可能であり、防音を施し静かなマッサージ装置を提供することが容易である。また、背もたれの最下部に配置することにより、ユーザの耳から最も遠いところにポンプなどのノイズ源を配置することができ、その点でも騒音を実質的に小さくできる。したがって、車両にかぎらず、オフィスや劇場などの静かな場所においても、ユーザ本人や周囲に邪魔にならない程度の音でマッサージ効果を得ることができる。
【0009】空気源装置およびモータを背もたれのカバーで覆ったときに、稼働率によっては放熱が滞って温度が高くなる可能性がある。このため、空気源装置およびモータを覆うカバー内にこれら空気源装置またはモータの外面に沿って空気が流れる経路を形成しておくことが望ましい。空気源装置を稼動することによりこの経路に給気あるいは排気が流れるので、放熱効率を高めることができる。また、モータあるいは空気源装置の周囲により加温された空気をエアーバッグに送って背中を暖めながら圧迫することによりマッサージ効果を高めることも可能である。さらに、エアーバッグと重ねてあるいはエアーバッグの近傍に電熱線を配置して背中を積極的に加温しながらマッサージできるようにすることも可能であり、冬季などでは効果が高い。
【0010】また、背もたれの表側のカバーに上下の2箇所で移動可能に支持されたベルトを設け、このベルトにエアーバッグを取付けることが望ましい。このような構造であれば、ユーザはベルト部材をもって、背もたれ内部のエアーバッグの位置(高さ)を調整することができる。シートあるいは椅子状のエアーマッサージ装置に腰掛けるユーザの身体的な条件はさまざまであるが、本発明のエアーマッサージ装置であれば、背もたれの表面あるいは前面に露出したベルト部材を動かすことによりカバー内部のエアーバッグの位置をユーザがマッサージを希望する位置に調整できる。
【0011】ベルト部材は1本でも良いが、2本程度用意しエアーバッグの両端を支持することが望ましい。これによりエアーバックの位置が安定すると共に、多少エアーバッグを傾けて配置するなどのフレキシビリティーもある。複数のエアーバッグを上下に並べて配置することも可能であり、このようなエアーマッサージ装置においては共通のベルト部材にエアーバッグを取付けてもよく、各々のエアーバッグを支持するように別々にベルト部材を設けることも可能である。ベルト部材を共通にすれば、構成が簡易になり、表面に現れるベルト部材も1組で済む。個々のエアーバック、あるいはグループ毎に纏めたエアーバッグ毎にベルト部材を設けると、各々の位置を個別に調整できるので、より適切な身体の部位を押すこととなり効果的なマッサージを受けることができる。しかしながら、表面に現れるベルト本数などが増加するので、使い勝手は面倒になりやすい。
【0012】マッサージ効果を考えた場合、エアーバッグはできるだけ大きく膨張および収縮を行うことが望ましい。しかしながら、エアーバッグを膨張するとユーザの身体が前方に押されるので、運転中においては、ハンドルとの間隔が狭くなったりして運転操作に違和感が生ずる可能性がある。このため、エアーバッグの膨張率を少なくとも2段に調整可能な制御手段あるいは制御方法を採用し、車両が動くと膨張率の小さなモードを強制的に選択できるようにすることが望ましい。運転中はエアーバッグが膨張しないようにすることも可能であるが、運転を行う間もマッサージを受けたい状況になることもある。そのようなときに、エアーバッグの膨張率を小さくしておけば運転に支障なく背中を適度に圧迫することが可能であり、凝りを除き、リラックスして安全な運転を継続するのに好適である。走行中であるか否かは、ハンドブレーキのオンオフ、車の速度または電源ノイズなどにより検出することが可能である。
【0013】さらに、運転中などのエアーバッグが膨らんだ状態で誤って固定されてしまうのを避けるには、ノーマルオープンの制御弁、すなわち、電源断のときに大気開放になる弁部材であって、エアを供給するときだけ閉じる弁部材を用いることが望ましい。これにより、万一のエアーバッグが収縮しないような状態になったときでも電源を切ることによりエアを抜くことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明をさらに説明する。図1に、本発明の実施の形態に係るエアーマッサージ装置1の概要を示してある。本例のエアーマッサージ装置は自動車のシートとして実現したものであり、その背もたれ2の内部に、圧縮空気により膨張および収縮するエアーバッグ20が収納されており、背もたれ2の表面12に現れた調整ベルト21によりエアーバッグ20の高さが調整できるようになっている。背もたれ2には、さらに、エアーバッグ20にエアを給排気するためのエアーポンプ25と電磁弁27、さらにはこれらとエアーバッグ20とを接続するホース28が収納されている。
【0015】本例のエアーマッサージ装置1では、空気を使ってエアーバッグ20を繰り替えし膨張および収縮を行いマッサージするための構成部品が、操作パネル33を除き背もたれ2に収納されており、操作パネル33はユーザが手元で操作できるようにケーブル34によりシート1に接続されている。さらに、車に搭載されたバッテリーを動力源として使用できるようにDCコンセント35が電源ケーブル36を介して操作パネル33に接続されている。また、本例のエアーマッサージ装置1は自動車が動き出したときは運転に安全な範囲でマッサージが行われるようになっており、自動車が動いているか否かをパーキングブレーキ(ハンドブレーキ)からの信号37をキャッチして判断している。
【0016】図2ないし図4に、本例のエアーマッサージ装置1を前後方向から見た様子および適当な面で切った様子を拡大して示してある。図2はエアーマッサージ装置1の背もたれ2を表面12から見た図であり、図3は背もたれ2の内部の配置を平面的に示した図である。また、図4は背もたれ2の縦方向の断面図である。この図4(a)に示してあるように、本例のエアーマッサージ装置1の背もたれ2は、ユーザの背中に接する前面12の側を構成する表カバー14と、背もたれ2としての強度を維持するマット16とを備えており、これら表カバー14とマット16に挟まれるようにして、背もたれ2の内部にエアーバッグ20およびこのエアーバッグ20に空気を給排気するホース28が配置されている。
【0017】また、図3にも示してあるように、背もたれ2の最下部にエアーポンプ25、このポンプを駆動するモータ26、さらに、電磁弁27が水平方向に一列に並んで配置されている。これらの給排気機構を構成するエアーポンプ25、モータ26、さらに電磁弁27は、マット18で覆われ、さらに、上記の表カバー14に繋がったカバー17により覆われている。また、背もたれ2の後方には、カバー17との境界部分にはファスナ(ジッパー(登録商標))19が設けられており、ファスナ19を解除するとカバー17が開いて、マット18に包まれたエアーポンプ25、モータ26および電磁弁27を定期的に点検したり、故障があれば交換したりできるようになっている。
【0018】表カバー14は変形が容易で薄い部材、たとえば、厚手の布あるいは薄く軟質の発泡ウレタンで構成されている。このため、図4(b)に示すように、エアーバッグ20がエアーポンプ25から吐出されたエアが入ることにより膨張し、厚さ(体積)が増加すると、それに沿って変形し、エアーバッグ20の動きを前面12に伝達する。したがって、本例のエアーマッサージ装置1により、ユーザの背中あるいは腰に対し後方から圧力を加え、背筋を伸ばしたり、その周囲を加圧したり、さらには腰の周囲を加圧することによりマッサージすることができる。一方、電磁弁27がオープンすると、エアーバッグ20の内部の空気は電磁弁27を通って排出されるので、エアーバッグ20は収縮して厚さ(体積)が減少する。このような動きを定期的に繰り返すことにおり効果的に背中あるいは腰をマッサージすることができる。
【0019】すなわち、図5に示してあるように、本例のエアーマッサージ装置1は、背もたれ2に内蔵しているエアーバッグ20がユーザ5の腰あるいは背中の高さに配置される。そして、背もたれ2に収納されたマット16は、感触が柔らかではあるが支持部材として十分な強度を備えた樹脂製の若干硬質の部材であり、たとえば、硬質の発泡ウレタンなどにより構成されている。このため、エアーバッグ20を膨張および収縮させると、背もたれ2の表面12は、ユーザ5の腰あるいは背中を圧迫する方向に膨張し、これらに適度な刺激を与えると共に背筋を伸ばす運動を強制的に行わせることが可能である。したがって、凝りをほぐし血行の促進を図ると共に、リラックスさせることができる。このため、筋肉疲労を回復させると共に、背骨あるいは腰椎への負担を軽減させる効果を同時に得ることができるので、ドライブや仕事で長時間同じ姿勢を保持しているような状況では、極めて効果の高いマッサージ装置である。
【0020】また、エアーポンプ25なども背もたれ2に内蔵されているが、これらは最下部に配置されており、シート1にユーザ5が座ったときにほとんど邪魔にならない。すなわち、図5を参照するとわかるように、ポンプ25、さらに、これと水平に配置されたモータおよび弁は、背もたれ2の最下部に配置され、背もたれ2と座部3の境界部分に位置する。この位置は、ユーザ5の臀部とシート1との間に隙間が形成されやすい場所であり、ポンプ25などの固く、厚みがある機材を配置してもシート1のすわり心地を損なうことがない。さらに、本例のエアーマッサージ装置1では、エアーポンプ25などが収納された背もたれ2の最下部を構成するカバー17は肌さわりの良い柔らかい素材であり、エアーポンプ25などを保持する機能を果たすマット(カバー)18は硬質の発泡ウレタンなどのように柔らかいながらも自己の形状を独立して保持できる素材あるいは組成が選択されている。したがって、本例のエアーマッサージ装置1は、ポンプ25などが収納された最下部も、ユーザの身体に当たったときに柔らかく、心地よいサポート感が得られるようになっている。
【0021】さらに、エアーポンプ25にはモータ26と一体となった円筒状のローリングタイプのダイヤフラムポンプを採用し、これらを横、すなわち水平方向に配置したときに、シリンドリカルな表面が水平方向に延び、ユーザの臀部に接触することがあってもそれほどの違和感を与えずに済むようにしている。同様に、電磁弁27も円筒状のものを採用しており、これらを水平方向に並べることにより省スペースな機械配置とすると共に、臀部とシートとの隙間に収まりやすく、臀部と接触したときにも、これらの周囲を覆うマット18を介して柔らかい感触が得られるようになっている。
【0022】本例のエアーマッサージ装置1に対し、本体にエアーバッグのみを収納し、ポンプ25とバルブ27を別体として提供するようなエアーマッサージ装置、あるいはポンプなどの機構を座部3の下に配置するようなエアーマッサージ装置が可能である。これに対し、本例のエアーマッサージ装置1では、ポンプ25(モータ26も含め)およびバルブ27が背もたれ2の最下部に配置されているので、別置きの装置は不要であり、座部3の下もフリーである。さらに、背もたれ2の後方あるいは側方などに突出した部分もなく、エアーマッサージ機能を備えていない従来の車用のシートとほとんど同じ形状でエアーマッサージ機能を組み込むことができる。したがって、デザイン的な制限もなく、さらに、後方や側方に背もたれを広げて車内のスペースを圧迫することもない。このため、従来の車内のアレンジを変更することなく本例のエアーマッサージ装置を車内に持ち込むことができる。
【0023】事務用の椅子に本発明を適用した場合も同様であり、背もたれにすべてを組み込むことができ、さらに、背もたれの最下部のデッドスペースにポンプなどの給排気に係る機構を配置することによりデザイン的な制約もなく、オフィス、工場、劇場あるいは映画館のスペースを制限することなく本例のエアーマッサージ装置を導入できる。本発明のシートタイプのエアーマッサージ装置は、新たなスペースを必要とせず、独立して稼動できるので、鉄道、電車さらには航空機のシートとしても適している。
【0024】また、ポンプ25、モータ26、さらには電磁弁27といった運転音を発生する機器が背もたれ2の内部に収容され、背もたれ2は音を吸収しやすい発泡ポリウレタン等の吸音性の材料で構成できる。したがって、上記のようにマット18をポンプ25などの周囲に充填し、外側を厚手の布でその周囲を形成することにより運転時の騒音(運転音)も低く押さえることができる。さらに、背もたれ2の最下部という背もたれ2の内部ではユーザの耳から最も距離の離れたところにエアーポンプなどのノイズ源が配置される。このため、本例のエアーマッサージ装置1においては、運転時の騒音をユーザの耳元で45dBA程度になるまで下げることが可能であり、運転に支障がなく、さらには、オフィスや劇場、映画館などの静かな場所でもそれほど違和感なく使用できる。
【0025】また、本例では電磁弁27の排気口27aの延長上に円筒状の空間がマット18により形成されており、これが排気のバッファあるいはサイレンサとしての機能を果たすようになっている。また、ポンプ25の吸気口25aにポンプ周囲の経路53を通じて繋がる空間52も円筒状に加工されており、これが吸気側のバッファあるいはサイレンサとしての機能を果たしている。したがって、これらにより、吸気および排気の抵抗が下がり、給排気に伴う音、振動などが低減されていると共に、騒音自体も低減されている。さらに、エアーホース28の途中にサイレンサとしての機能を果たす円筒状のバッファを挿入することも可能であり、さらに数dB程度騒音を削減できる可能性がある。
【0026】また、ポンプ25などの周囲を覆うマット18は、騒音に加え、振動が外部に伝達されるのを減衰する機能も備えている。そして、上述したようにポンプ25は、ユーザの身体とシートとの間に隙間が発生しやすい、背もたれ2と座部3との境界部分に設置されるので、振動や音が直にユーザ5の体に伝達されることがない。
【0027】一方、このようにポンプ25およびバルブ27の周囲がマット18などによって覆われると、長時間にわたりマッサージ装置1が継続して稼動されたときに、これらの機材からの放熱が問題となる可能性がある。そこで、本例のマッサージ装置1においては、ポンプ25の周囲に空気経路53を設け、ポンプ25の周囲にそって吸入気、バルブ27の排気がポンプ流れるようにしている。バルブ27の周囲にも同様の経路が用意されている。したがって、ポンプ25およびバルブ27の放熱が促進されて温度上昇が防止できている。
【0028】これらのポンプ25およびバルブ27による給排気により膨張および収縮を繰り返し行うエアーバッグ20は、背もたれ2の内部で上下方向に移動できるようになっている。このため、エアーバッグ20は、背もたれ2の使用者側の表面(布でできた表皮)12を構成する表カバー14を上下14aおよび14bで貫いて取り付けられた調整ベルト21に取り付けられており、この調整ベルト21をマッサージ装置1の表面から操作することで内部のエアーバッグ20を望みの位置に移動できるようになっている。すなわち、図3に示すように、本例のエアーマッサージ装置1においては、エアーバッグ20は背もたれ2の表カバー14の裏側に調整ベルト21を介して取り付けられており、表面12に表れた調整ベルト21を動かすことによりエアーバッグ20の上下方向の位置を変えることができるようになっている。ユーザは、身長が異なり、座る姿勢などによって凝りが発生する場所も異なる。さらに、時によってマッサージした場所も異なることがある。本例のエアーマッサージ装置1は、表面12に表れた調整ベルト21を操作するだけでエアーバッグ20の高さを簡単に調整することが可能であり、エアバッグの中心とユーザの腰の中心を一致させるなど、各ユーザに対し所望の位置でマッサージを行い、効率良くマッサージ効果を得ることができる。
【0029】本例のエアーマッサージ装置1においては、さらに、調整ベルト21はエアーバッグ20の両端を支持するように配置されており、エアーバッグ20を上下方向にスムーズに移動しやすいようになっている。さらに、エアーバッグ20の角度も微小であれば調整できるようになっている。本例のエアーバッグ20は、両端20aが太く、中心20bが細くなった瓢箪型であり、背骨を押すとともに、背骨の両側をさらに大きく変形させて背骨に沿った筋肉の凝りをほぐすのに適当な形状になっている。したがって、多少の角度を変えることによりエアーバッグ20により押される位置が異なり、さらにユーザの要望にこたえて微調整することができる。また、エアーバッグ20の両側をベルト21でサポートするようになっているので、ユーザの背中を押す位置からベルト21をはずせるようになっている。このため、マッサージ中にベルト21がユーザの背中に押し付けられることもない。したがって、表面12にベルト21が配置されているが、これによってすわり心地が損なわれたり、マッサージ効果が損なわれることはない。
【0030】図6に、コントロールパネル33の概要を示してある。このコントロールパネル33はコネクティングケーブル34でシート1に収納されたエアーポンプ25および電磁弁27と接続されており、これらの制御を通じてエアーバッグ20の動きを制御する。また、電源コード36によって電源ソケットと接続されており、電源供給の機能も備えている。本例では、車載のマッサージ装置10を説明しているが、オフィスあるいは家庭用であれば、家庭用のコンセントから電源をとることも可能である。また、劇場や映画館用などであれば、コントロールパネルを肘置きに設置することも可能である。
【0031】コントロールパネル33には、上方から運転時間を設定するパネル61と、エアーバッグ20の膨張の程度によってマッサージの強さを設定するパネル62と、エアーバック20を膨張および収縮する周期を設定するパネル63とが配置されている。運転時間を設定するパネル61ではスイッチ64により運転時間を15分と30分とに切り替えることが可能であり、ユーザの好みに応じた時間を設定できる。また、本例のマッサージ装置10においては,このパネル61によってタイマーで所定の時間だけ運転した後にいったんマッサージ装置10をオフにすることとにしてマッサージを過度に連続して行えないようにしている。以降のパネルにおいても同様であるが、それぞれのパネルのスイッチで設定された内容はLEDを用いたインディケータによって随時表示されるようになっており、ユーザはいつでも確認することができる。
【0032】マッサージの強度を設定するパネル62には、強、中および弱を選択できるスイッチ66が設けられている。また、速さを設定できるパネル63には速および遅を選択できるスイッチ67が設けられている。これらの設定により、本例のエアーマッサージ装置1では6つのモードを設定することができる。それらを図7にまとめて示してある。
【0033】図7(a)は、弱および速を選択したモードであり、エアーバッグ20はエアーポンプ25によって内部の圧力が最大10kPaになるまで加圧されて膨張し、その状態が5秒保持される。その後、電磁弁27がオープンしエアーバッグ20は収縮する。そして、電磁弁27が5秒間オープンした後に、電磁弁27が再び閉じて加圧が行われる。したがって、エアーバッグ20が加圧されるまでの時間を合わせると、15秒加圧、5秒保持(膨張)、5秒排気(収縮)といったステップで膨張および収縮が繰り返される。
【0034】図7(b)は、弱および遅が選択されたモードであり、エアーバッグ20の内圧は上記と同じであるが、膨張した状態が30秒間保持される。また、電磁弁27は30秒間オープンした後に閉になる。したがって、エアーバッグが加圧される時間(15秒)を考慮すると、15秒加圧、30秒保持(膨張)、30秒排気(収縮)といったステップでマッサージが行われる。
【0035】図7(c)は、中および速が選択されたモードであり、エアーバッグ20の内圧が25kPaと弱の2.5倍になった以外は図7(a)のモードと同様である。したがって、エアーバッグ20は弱のモードより大きく膨らみ、背中を強く圧迫する。図7(d)は、中および遅が選択されたモードであり、圧力以外は、上記の図7(b)と同様である。
【0036】図7(e)は、強および速が選択されたモードであり、エアーバッグ20の内圧が40kPaと弱の4倍になった以外は図7(a)のモードと同様である。また、図7(f)は、強および遅が選択されたモードであり、エアーバック20の内圧以外は図7(b)と同様である。したがって、強を選択した場合は、エアーバッグ20の内圧が弱の4倍に達するまで給気され、それに応じてエアーバッグ20が大きく膨らむ。したがって、ユーザの背中あるいは腰を強く圧迫することが可能であり、また、背中を大きく変形させて気持ちよく伸ばすことができる。
【0037】その一方、本例のエアマッサージャー1はエアーバッグ20の膨張収縮によってマッサージ効果を得ているため、使用者の身体はエアーバッグ20の膨張収縮によって前後方向に動かされることとなる。強いマッサージ効果はエアーバッグ20の膨張収縮の差異を大きくとすることによって得られるが、それに伴って身体の動きも大きくなる。しかし、運転中にユーザである運転者の身体が前後に大きく動くことは、運転者の身体とハンドル等の間の距離が変化することとなって運転操作に悪影響を及ぼすおそれが大きい。この対策としては、運転中にマッサージ機の使用を禁止するのが一般的であり、使用者は停車したときしかマッサージ機を使用することができない。しかしながら、ときには停車して休憩する時間がないこともあり、運転しながら使用したい場合もある。このようなとき、単純に使用禁止としたのでは、使用者に十分な利便を提供することができない。
【0038】そこで、本例のエアーマッサージ装置1においては、運転中は、最もユーザの身体の変動が小さく、運転に支障をきたさない、弱および遅のモード、すなわち、図7(b)のモードだけが選択できるようにしている。また、他のモードでマッサージを行っている場合、車が動き出すと自動的に弱および遅のモードに切り替わるようにしている。したがって、エアーバッグの膨張を一定程度以下にすることにより、ある程度のマッサージ効果を得つつ、安全に運転することができ、運転中にリフレッシュおよび凝りの解消もできるので、さらに安全な運転を目指すことができる。
【0039】また、運転中に誤って、強または中を選択し、運転に支障を来すことを防ぐため、この切替および選択は自動的に行われるようになっており、本例のマッサージ装置10では、サイドブレーキの操作を検出して車両が走行中のときは強制的に最小段階の弱および遅の作動となるようにしている。また、サイドブレーキが引かれているときは停止とみなし、上述した8つのモードのいずれも選択することが可能となり、ユーザは好みのサービスを受けることができる。このような走行中、停止中の判定はサイドブレーキの操作状態によるほか、走行速度、電源ノイズの変化による方法があり、いずれを採用しても良い。
【0040】さらに、本例のエアーマッサージ装置1は、フェイルセイフとするために、エアーバッグに空気を供給排出する回路は電源が供給されないときは大気へ解放されることとした。すなわち、エアーバッグ20からの排気を遮断する電磁弁27に、常時開(ノーマルオープン)のものを採用している。これにより、バルブ27に電源が供給されないときは常にエアーバッグ20の中と大気が連通した状態となり、エアーバッグ20の中の空気が温度上昇により膨張してエアーバッグ20が破裂するような事故が防止できる。特に、本例のエアーマッサージ装置1は車両に設置されることを前提にしているが、停車中に車内温度が高温になった場合でも本例のエアーマッサージ装置は安全である。
【0041】なお、本例では、エアーバッグが1つだけ背もたれ2に配置されたエアーマッサージ装置を例に本発明を説明しているが、複数のエアーバッグを背もたれ2に収納することも可能である。さらに、座部3にもエアーバッグを配置し、背もたれ2に収納されたエアーポンプなどの給排気機構からエアーを供給して膨張および収縮させることも可能である。この場合、背もたれ2と座部3とが分離しているシート1であると、ホースなどの付属品も露出することになるので、これらを傷つけたり、これらに服や皮膚が挟み込まれる可能性もある。したがって、少なくともユーザに接する側は適当な素材によりカバーすることが望ましい。また、マットなどの素材としてウレタンを例に説明しているが、その他の柔軟性のある素材を用いることももちろん可能である。さらに、明細書中でも述べているが、本例は車両のシートとして使用されるエアーマッサージ装置であり、同様の構成で、オフィスの椅子、劇場の椅子など、さまざまな場所に設置される椅子に本発明を適用することが可能である。そして、本発明によれば、背もたれ2にエアーポンプなどの給排気機構を含めて収納できるので、スマートでデザイン的にも優れた椅子タイプのエアーマッサージ装置を提供することができ、いつでも、どこでも手軽にマッサージ効果を得ることができる。また、劇場や映画館などに配置される椅子であれば、上演あるいは上映が開始されると、マッサージ機能を停止したり、あるいは、運転中と同様に音がさらに静かな弱のモードに強制的に切り替えるなどの処理を施すことも可能である。
【0042】また、給排気機構の空気源としてロータリー式のエアーポンプを本例では採用しているが、他のタイプのポンプあるいはコンプレッサを空気源として採用することも可能である。しかしながら、本例のように、空気源装置は背もたれの最下部に水平方向に配置できるものが望ましく、さらに、円筒状の外周面をもっているものが望ましい。したがって、本例のロータリー式のエアーポンプはこれらの要望にあった適当なものであると言える。さらに、電磁弁はエアーバッグの近傍に配置することも可能であるが、弁部材は金属あるいはその他の硬質の材料から構成されるので、背中が当たる位置にあると座りごこちを損ねる原因なる。したがって、本例のように、ポンプなどと合わせて最下部に配置することが最も望ましい。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係るエアーマッサージ装置は、背もたれの内部にエアーバッグに加えて、エアーポンプなどの給排気に関わる機構をすべて収納するようにしている。したがって、本発明のエアーマッサージ装置は空気源装置などが座部の下にはみ出したりすることなく、通常の椅子あるいはシートとほとんど変わりない形状で実現でき、車内のシートやオフィスの椅子として提供でき、手軽にマッサージ効果を得ることが可能である。さらに、エアーポンプなどを背もたれに収納することにより、騒音および振動も小さくすることが可能であり、車のシートやオフィスの椅子などとして使用するのに好適なマッサージ装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】591150797
【氏名又は名称】ジーエーシー株式会社
【出願日】 平成12年3月13日(2000.3.13)
【代理人】 【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
【公開番号】 特開2001−252315(P2001−252315A)
【公開日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【出願番号】 特願2000−69076(P2000−69076)