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【発明の名称】 車椅子用前ずれ防止補助具及びそれを備えた車椅子
【発明者】 【氏名】相馬 克二

【要約】 【課題】車椅子を長時間利用している間に搭乗者が前にずれ落ちる状態になるのを防止した車椅子用前ずれ防止補助具及びこれを備えた車椅子を提供する。

【解決手段】車椅子の前面両側に位置するフレームの各々に保持された固定支持具(7)と、搭乗者(M)の臑部に当接される凹曲面を有するパッド部材(6)を固定支持具に対して回動自在に取付けてなる車椅子用前ずれ防止補助具P及びこれを取り付けた車椅子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車椅子の前面両側に位置するフレームの各々に保持された固定支持具と、搭乗者の臑部に当接される凹曲面を有するパッド部材とによって構成され、当該パッド部材が固定支持具に対して回動自在に取付けてなる車椅子用前ずれ防止補助具。
【請求項2】 固定支持具は、フレームに固定された固定スリーブと、当該固定スリーブの軸芯を貫通する支持軸と、当該支持軸に回動自在に外挿され且つパッド部材の一端が結合された回動スリーブとよりなり、固定スリーブと回動スリーブとの接触端面は互いに摩擦付与加工が施されてなる請求項1記載の車椅子用前ずれ防止補助具。
【請求項3】 固定スリーブと回動スリーブとの接触端面に付与された摩擦付与加工は、凹凸加工又は冠状の歯車加工である請求項2記載の車椅子用前ずれ防止補助具。
【請求項4】 支持軸の先端にレバーを取付け、当該レバー操作によって固定スリーブと回動スリーブの接触端面を接離自在とし、当該接触端面が互いに離された際に、回動スリーブが支持軸を中心として回動する構造とした請求項2〜3記載の車椅子用前ずれ防止補助具。
【請求項5】 請求項1〜4記載の車椅子用前ずれ防止補助具を備えた車椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、障害者あるいは高齢者が利用する車椅子に取り付ける補助具及び当該補助具を備えた車椅子に係り、特に車椅子を長時間利用している間に搭乗者が前にずれ落ちるのを防止した車椅子用前ずれ防止補助具及び当該補助具を備えた車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の自走式車椅子の斜視図であり、この車椅子に長時間乗り続けた場合、搭乗者は臀部に体圧が集中し続けるために同じ姿勢を維持し続けることが難しくなり、姿勢を変えようとして身体を動かすと、身体が車椅子の前方に移動し、いわゆる「前屈みの姿勢」となり、最終的には前にずり落ちることとなる。搭乗者がこの前屈み姿勢をそのままにすると腰痛の原因になるばかりでなく、前に落ちて車椅子から転落する事故にもつながりかねない。また、上記前屈みの姿勢になるのを防ぐために、搭乗者を車椅子にベルト等で縛る方法も一部には見られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】介護人は、上記のような前屈みの姿勢から前にずり落ちるのを防ぐために車椅子に搭乗している人の状況を常に監視すると共に、必要に応じて姿勢を直してあげる必要があり介護の現場での負担は非常に大きい。また、車椅子の搭乗者を車椅子にベルト等で縛る方法は人権侵害の観点から実施が難しくなってきている。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明は、上記問題を解決した車椅子用前ずれ防止補助具及び当該補助具を備えた車椅子を提供しようとするもので、その要旨は(1)車椅子の前面両側に位置するフレームの各々に保持された固定支持具と、搭乗者の臑部に当接される凹曲面を有するパッド部材とによって構成され、当該パッド部材が固定支持具に対して回動自在に取付けてなる車椅子用前ずれ防止補助具である。
(2)固定支持具は、フレームに固定された固定スリーブと、当該固定スリーブの軸芯を貫通する支持軸と、当該支持軸に回動自在に外挿され且つパッド部材の一端が結合された回動スリーブとよりなり、固定スリーブと回動スリーブとの接触端面は互いに摩擦付与加工が施されてなる上記(1)の車椅子用前ずれ防止補助具である。
(3)固定スリーブと回動スリーブとの接触端面に付与された摩擦付与加工は、凹凸加工又は冠状の歯車加工である上記(2)の車椅子用前ずれ防止補助具である。
(4)支持軸の先端にレバーを取付け、当該レバー操作によって固定スリーブと回動スリーブの接触端面を接離自在とし、当該接触端面が互いに離された際に、当該回動スリーブが支持軸を中心として回動する構造とした上記(2)〜(3)の車椅子用前ずれ防止補助具である。
(5)上記(1)〜(4)の車椅子用前ずれ防止補助具を備えた車椅子である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の車椅子用前ずれ防止補助具を備えた車椅子の斜視図、図2は車椅子搭乗者の臑部に車椅子用前ずれ防止補助具を当接させた状態の斜視図、図3は車椅子用前ずれ防止補助具を解放した状態の車椅子の斜視図、図4は車椅子用前ずれ防止補助具に使用するパッド部材のセット状態の斜視図、図5は車椅子用前ずれ防止補助具に使用する固定支持具の使用状態を示す部分断面図、図6は固定支持具に使用する固定スリーブと回動スリーブとの接触状態を示す部分断面図、図7は固定支持具の車椅子のフレームへの取付状態を示す斜視図、図8は固定スリーブと回動スリーブの接触端面の斜視図である。 なお、図9は従来の自走式車椅子の斜視図である。
【0006】図1において、1は車椅子の座部であって、当該座部の左右の座部フレーム2に取付けられている。3は肘フレームであって、車椅子の前面両側の垂直部分及び座部1の側面上部の水平部分に設けられている。4は脚部フレームであって、肘フレーム3の垂直部分の下端から前面に張出しその先端を垂下して足置き部が設けられている。5は前輪フレームであって、その上端は肘フレーム3の垂直部分の下端と一体化され、また下端に車輪が取付けられている。Pは車椅子用前ずれ防止補助具であって、パッド部材6と固定支持具7とよりなり、車椅子の前面両側に位置するフレームの各々に取付けられている。
【0007】図1の車椅子用前ずれ防止補助具Pを構成するパッド部材6は図4に示す如く、車椅子側に凹曲面となったクッション性を有する材質によって製造されている。このパッド部材6によって、車椅子搭乗者の膝下の臑部に柔らかく当接して前ずれを防止する。この場合、小柄な比較的足の短い人の時は図4の(A)の状態に両パッド部材6が接近してセットされ、一方大柄な比較的足の長い人の時は図4の(B)の状態に両パッド部材6が多少離されてセットされる。
【0008】また、図1の車椅子用前ずれ防止補助具Pを構成する固定支持具7の詳細構造を図5〜7に基づいて説明する。固定支持具7は、固定スリーブ71と、当該固定スリーブの軸芯を貫通する支持軸73と、固定スリーブ71の上面に位置して支持軸73に回転自在に外挿され且つ上記パッド部材6の一端を2本の連結バー61によって結合した回動スリーブ72との主要部材によって構成されている。
【0009】固定スリーブ71と回動スリーブ72との接触端面71−1は互いに摩擦力を付与させるために凹凸加工、或いは図8に示す如く冠状の歯車加工が施されており、両端面が接近して完全に接触した際に噛み合って摩擦力を発揮する。また支持軸73の周囲であって固定スリーブ71と回動スリーブ72の接触端面71−1に跨った内周面に円筒状溝71−2を設け、当該溝内に圧縮コイルばね71−3が内蔵されている。
【0010】回動スリーブ72の上面には、当該回動スリーブを貫通してきた支持軸73の先端にピン73−2によって連結されたレバー73−1が起伏自在に設けられている。一方、支持軸73の下端は、当該支持軸に設けたナットによって固定スリーブ71の下面に圧接している。
【0011】車椅子用前ずれ防止補助具Pの車椅子への組立て作業手順及び本発明の車椅子の取扱方法について説明する。まず、組立て作業手順を説明すると、図7の(A)において固定スリーブ71の側面に設けた十字状の溝内に、肘部フレーム3及び前輪フレーム5と座部フレーム2及び脚フレーム4との交差部の外側面を嵌め込む。次いで取付板71−4を固定スリーブ71の側面平坦部に取付け固定して、同図の(B)に示す如く固定スリーブ71を車椅子の各フレームに保持させて固定する。
【0012】図5及び6において、各フレームに固定された固定スリーブ71の円筒状溝71−2に圧縮コイルばね71−3を嵌め込む。次いで固定スリーブ71の上面に、予めパッド部材6の一端が結合された回動スリーブ72の下面を接触させてセットする。この場合、回動スリーブ72の内周面に設けた円筒状溝71−2に前記圧縮コイルばね71−3の他端を嵌め込んでセットする。最後に、支持軸73を固定スリーブ71の下面から差し込んで回動スリーブ72を貫通させ、その先端にピン73−2によってレバー73−1を起伏自在に連結して組立作業手順を完了する。
【0013】本発明の車椅子の取扱方法について説明すると、図5の(A)においてレバー73−1をピン73−2を支点として回動させて立ち上がらせ同図の(B)の状態にすると、圧縮コイルばね71−3の反撥作用によって回動スリーブ72が持ち上がり固定スリーブ71と回動スリーブ72との接触端面71−1が互いに離れて、回動スリーブ72は支持軸73を中心として自由に回動することができる。
【0014】したがって、回動スリーブ72に結合されたパッド部材6も支持軸73を中心として自由に回動することができるので、当該パッド部材6を車椅子の外側方向に必要な量だけ開いて例えば図3の状態にする。
【0015】この図3の車椅子状態で搭乗者を乗せた後、図2に示す如くパッド部材6を適宜回動させて搭乗者Mの臑部に柔らかく当接されるようにする。最後に、レバー73−1を図5の(A)の如く倒すことにより回動スリーブ72は圧縮コイルばね71−3の反撥力に抗して下方に押下げられて、回動スリーブ72と固定スリーブ71との接触端面71−1が互いに噛み合って合体される。この結果、回動スリーブ72に結合されたパッド部材6は妄りに回動することなく搭乗者Mの臑部を圧接して、車椅子搭乗者の前ずれを防止する。
【0016】
【発明の効果】本発明は、一般市場に出ている自走式或いは介助椅子にも、本発明の車椅子用前ずれ防止補助具Pを後付けすることにより、安価で而も簡単に車椅子用前ずれ防止補助具を備えた車椅子に改造することができる。本発明の車椅子は、簡単な操作で個々人の体型の違いに合わせて調整し、車椅子搭乗者の前ずれを防止することができるので、特に高齢者、或いは身障者にとって最適に利用できる。
【出願人】 【識別番号】591200302
【氏名又は名称】多比良株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】 【識別番号】100077078
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 久美 (外2名)
【公開番号】 特開2001−353186(P2001−353186A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−177709(P2000−177709)