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【発明の名称】 車椅子連結車両
【発明者】 【氏名】宮城 淳一

【氏名】山内 秀範

【要約】 【課題】車椅子に補助車両を連結して走行するときに駆動輪に対して十分な荷重を得ることの可能な車椅子連結車両を提供する。

【解決手段】車椅子本体11は、単体では手動式の車椅子であり、車椅子後輪16を駆動可能な駆動用モータ19が搭載されている。一方、補助車両30は、走行輪32と、車椅子本体11に連結される車体部31と、操縦装置33とを備えており、さらに車体部31にはバッテリ39が搭載されている。車椅子本体11に補助車両30を連結した後、バッテリ39を駆動用モータ19に接続して電力を供給することで、車椅子後輪16を駆動輪として走行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車椅子本体と、この車椅子本体の前部に連結され走行を補助する補助車両とからなる車椅子連結車両であって、前記車椅子本体は、車椅子後輪を駆動可能な駆動用モータを搭載している一方、前記補助車両は、車両の前輪となる走行輪と前記車椅子本体の乗員が操作可能な操縦装置とバッテリとを搭載しており、前記バッテリを前記駆動用モータに接続して電力を供給することで前記車椅子後輪を駆動輪として走行可能とされていることを特徴とする車椅子連結車両。
【請求項2】 前記車椅子本体は単体で手動走行可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車椅子連結車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子に走行を補助する補助車両を連結してなる車椅子連結車両に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に使用されている車椅子には、手動式のものと電動式のものとがある。車椅子に乗って長距離や坂道などを移動する際、手動式の車椅子は乗っている者に大きな負担が強いられるという欠点がある。一方、電動式の車椅子は、バッテリをはじめ駆動用モータや操縦装置等、多数の部品を装備するために重量が大きくなり、取り扱いが不便である。そこで、このような問題の解消を図ったものとして、実開平7−12126号公報に開示されたものがある。これは、図13に示すように、手動式の車椅子本体1の前部に、走行を補助する補助車両2を連結してなる車椅子連結車両3であり、補助車両2には、操縦用のハンドル4と、連結車両3の前輪となる走行輪5と、この走行輪5を駆動する駆動用モータ6と、この駆動用モータ6に電力を供給するバッテリ7とが備えられている。これにより、通常時は車椅子本体1単体で手動によって移動し、長距離の移動等の際には補助車両2を連結して走行輪5を電気駆動することによって移動することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の車椅子連結車両3においては、車椅子本体1の荷重の大部分は車椅子後輪8側にかかるため、補助車両2の走行輪5には荷重が不足して十分な駆動力が得られないという問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車椅子に補助車両を連結して走行するときに駆動輪に対して十分な荷重を得ることの可能な車椅子連結車両を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための請求項1の発明に係る車椅子連結車両は、車椅子本体と、この車椅子本体の前部に連結され走行を補助する補助車両とからなる車椅子連結車両であって、前記車椅子本体は、車椅子後輪を駆動可能な駆動用モータを搭載している一方、前記補助車両は、車両の前輪となる走行輪と前記車椅子本体の乗員が操作可能な操縦装置とバッテリとを搭載しており、前記バッテリを前記駆動用モータに接続して電力を供給することで前記車椅子後輪を駆動輪として走行可能とされているところに特徴を有する。
【0005】請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記車椅子本体は単体で手動走行可能とされているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用および効果】請求項1の発明によれば、補助車両に搭載されたバッテリを車椅子本体に搭載された駆動用モータに接続して電力を供給する。これにより、荷重の掛かる車椅子後輪を駆動輪として走行できるため、十分な駆動力が得られる。
【0007】請求項2の発明によれば車椅子本体を手動走行可能とすることで、車椅子本体に電気駆動用のバッテリや操縦装置等を搭載する必要がなくなるため、車椅子本体の軽量化を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態について図1から図12を参照しつつ説明する。本実施形態の車椅子連結車両10は、車椅子本体11と、この車椅子本体11の前部に連結可能な補助車両30とから構成されている。まず車椅子本体11について図1から図3を用いて説明する。車椅子本体11は、単体では手動式の車椅子であり、フレーム12の中央に着座部13を備え、その前方下部に一対の足置き14が設けられている。また、足置き14の後方には転向自在な左右一対の自在輪15が備えられており、さらにその後方には左右一対の車椅子後輪16が備えられている。各車椅子後輪16には、ハンドリム17が備えられており、これにより車椅子本体11は手動走行が可能となっている。各車椅子後輪16の車軸はそれぞれ図示しないクラッチ機構を介して駆動用モータ19に連結されており、車椅子本体11は車椅子後輪16を電動駆動することによる走行も可能となっている。また、着座部13の側部には前述のクラッチ機構に連結された切替レバー21が突設されており、この切替レバー21を電動側に操作すると車椅子後輪16が駆動用モータ19の回転軸(図示しない)に連結され、手動側に操作すると両者が切断されるようになっている。また、フレーム12の前部にはコードリール22Aが備えられ、ここから電源プラグ22を引き出して補助車両30側のソケット41に連結することで駆動用モータ19に電力を供給可能とされている。
【0009】フレーム12の下部には、左右一対、前後方向に延びる下部フレーム12Aが設けられている。各下部フレーム12Aの前端付近には斜め下前方へ連結ピン23が突設されている。さらに、両下部フレーム12Aの中央付近から幅方向内側へ延出部24が設けられ、その先端から下方へ向けて連結ピン25が突設されている。これらの連結ピン23,25は後述する補助車両30の位置決め溝44,45に対応する位置に設けられている。
【0010】次に、補助車両30について図1、図3、図4等を参照して説明する。補助車両30は全体として扁平な車体部31を備えている。この車体部31は、後に詳述するように、車椅子本体11に連結可能とされている。車体部31の前部中央には走行輪32が左右に転向可能に設けられており、その上方には車椅子本体11の乗員が操作可能な操縦装置33が立設されている。操縦装置33は、走行輪32に連結されるステアリングシャフト34と、これを収容するステアリングポスト35とを備えている。さらに、ステアリングポスト35の上端にはハンドル36が設けられ、これにより車椅子本体11の乗員が走行輪32を操舵可能とされている。また、ハンドル36の後部中央には操作部37が設けられており、ここには、アクセルや後述の持ち上げ機構49を動作させるスイッチ等が配されている。
【0011】車体部31は、前後に長い略梯子状の車体フレーム38を備えている。車体フレーム38の前後方向中央部は幅寸法がやや大きくされており、その両端部下面に一対の補助輪42が設けられている。さらに、車体フレーム38の後端部下面には一対の補助輪43が設けられており、補助車両30は単体の時には図3に示すように、各補助輪42,43が接地することで操縦装置33が起立した姿勢に支持されるとともに、補助車両30を押して移動させることができるようになっている。
【0012】車体フレーム38の前部上面には走行輪32を挟んで一対のバッテリ39が載置されている。このバッテリ39の後方にはコントロールボックス40が備えられており、ここにはCPUを備えた制御回路(図示しない)が収容されている。また、コントロールボックス40の外側には、前述の制御回路に接続されたソケット41が設けられており、ここに車椅子本体11の電源プラグ22を接続することでバッテリ39の電力を駆動用モータ19に供給可能とされている。さらに、コントロールボックス40の後方には後述する持ち上げ機構49が設けられている。
【0013】また、車体フレーム38の上面には、各補助輪42,43と近接して前後方向に細長い位置決め溝44,45が前後一対ずつ設けられている。これらの位置決め溝44,45は車椅子本体11の各連結ピン23,25に対応する位置に設けられており、後側から連結ピン23,25の先端部を進入させることで、車椅子本体11と補助車両30とが互いに位置決めされるようになっている。また、各位置決め溝44,45の奥部にはそれぞれ連結ピン23,25を差し込み可能な連結孔46,47が凹設されている。前側連結孔46は後側連結孔47に比べて浅く形成されており(図9参照)、後述するように、持ち上げ機構49によって各連結ピン23,25が連結孔46,47内に差し込まれると、車椅子本体11と補助車両30とが所定の姿勢に保持されるようになっている。
【0014】さて、持ち上げ機構49は、左右一対のアーム部51を備えている。両アーム部51は、先端部にくの字形に曲がった係止部51Aを備えており、基端部がそれぞれ車体フレーム38の内側に回動可能に取り付けられている。アーム部51には、係止部51Aを互いに内側に倒した退避位置(図4,図6参照)と、係止部51Aを車体フレーム38の外側へ翼状に広げた係止位置(図5,図7参照)との2つの位置が設定されており、係止位置においては係止部51Aが車椅子本体11の下部フレーム12Aに係止可能とされている。また、両アーム部51は、互いにスプリング53を介して連結されており、これにより常に退避位置側に付勢されている。さらに、両アーム部51には、スプリング53の接続された面とは反対側の面にワイヤ54の端部がそれぞれ接続されている。このワイヤ54は、左右のプーリ55A,55Bに掛けられ、さらに車体部31の後方側に設けられた回動体57の一端の可動プーリ56に掛け渡されている。回動体57の他端にはワイヤ58の一端が接続されており、このワイヤ58の他端は前方側に設けられた連結用モータ59に巻き取り可能に接続されている。連結用モータ59によってワイヤ58が巻き取られると、回動体57が回動して可動プーリ56が後方側に変位するとともに、ワイヤ54が引っ張られて両アーム部51が係止位置へと開くようになっている。
【0015】本実施形態は以上の構成であり、次にその作用を説明する。車椅子連結車両10は、屋内での移動の際等には、車椅子本体11単体を手動式の車椅子として使用する。車椅子本体11は、一般の電動式の車椅子と比較すると、バッテリや、その他操縦装置等の部品が搭載されていないため、十分軽量にすることでき、取り扱いも容易である。
【0016】また、長距離の移動の際等には、車椅子本体11に補助車両30を連結して走行する。車椅子本体11に補助車両30を連結するには、まず図3に示すように、補助車両30と車椅子本体11とを正対させ、矢線のように車椅子本体11を前進させる。すると、各連結ピン23,25の先端が位置決め溝44,45内に進入して各位置決め溝44,45の奥壁44A,45Aに突き当たり、車椅子本体11と補助車両30とが互いに連結可能な位置に位置決めされる(図8及び図9参照)。
【0017】次に、操作部37のスイッチ(図示しない)を操作することにより、連結用モータ59を駆動してワイヤ58を巻き取る。すると、回動体57が回動して、可動プーリ56が後側へ移動し、ワイヤ54が引っ張られる。これによって、退避位置にあった各アーム部51の先端が外側へ開き、各係止部51Aがそれぞれ車椅子本体11の下部フレーム12Aの上面に係止する(図5及び図7参照)。ワイヤ54がさらに引っ張られると、各アーム部51が下部フレーム12Aを下向きに押圧する。すると、フレーム12を支えにして車体部31が後端側を持ち上げるように傾動するとともに、各連結ピン23,25の先端が各連結孔46,47内に入り込み、前側連結ピン23の先端が前側連結孔46の底面に突き当たる。
【0018】このときのフレーム12と車体部31との状態を簡略化して示したのが図12(A)である。ここからアーム部51がフレーム12を押し下げる方向へ変位すると、フレーム12には、前側連結ピン23の先端を支点として車椅子後輪16の車軸16A周り(図中時計回り方向)のトルクが掛かる。一方、車体部31には、走行輪32の車軸32A周りに、車体部31とは逆向き(時計と反対周り方向)のトルクが掛かる。そのため、フレーム12と車体部31とは、互いを支持し合いながらともにトルクの掛かる方向へ傾動する(図12の(B)参照)。こうして、自在輪15と補助輪42,43とが地面から持ち上がり、後側連結ピン25が後側連結孔47の底面に達したところで連結用モータ59が停止して、車体部31とフレーム12とが連結状態で保持される(図10,11参照)。
【0019】次に、コードリール22Aより電源プラグ22を引き出し、補助車両30側のソケット41に接続する。そして、左右車椅子後輪16の切替レバー21を電動側に倒して、その車軸を駆動用モータ19に連結させる。以上のようにして、車椅子本体11の乗員が操作部37のアクセルを操作することで、バッテリ39から駆動用モータ19に電力が供給され、車椅子後輪16を駆動輪として車椅子連結車両10を走行させることができる。
【0020】車椅子連結車両10は、操縦装置33が車椅子本体11の前方に立設されることで、例えば一般の電動車椅子のジョイスティックのような操縦装置に比べると、高速走行時の安定性に優れている。また、持ち上げ機構49によって車椅子本体11の自在輪15と補助車両30の補助輪43とを地面から持ち上げ、車椅子後輪16と走行輪32の3輪で走行するため、凹凸や段差のある道でも安定した走行が可能である。
【0021】本実施形態によれば、補助車両30に搭載されたバッテリ39を車椅子本体11に搭載された駆動用モータ19に接続して電力を供給することで、荷重の掛かる車椅子後輪16を駆動輪として走行できるため、十分な駆動力が得られる。また、車椅子本体11は、単体では手動走行専用となっており、一般的な電動車椅子のように、バッテリや操縦装置等の部品が搭載されていないため、軽量で取り扱いが容易である。
【0022】本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態の車椅子本体11は、単体ではバッテリ等を搭載せず手動走行専用となっているが、本発明によれば、車椅子本体は、バッテリ等を搭載した電動式の車椅子としても良い。これによっても、長距離移動等の際には、補助車両を連結して補助車両側のバッテリを補助的に使用することができるため、車椅子本体のバッテリを軽量化することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000101639
【氏名又は名称】アラコ株式会社
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】 【識別番号】100096840
【弁理士】
【氏名又は名称】後呂 和男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−340391(P2001−340391A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−162154(P2000−162154)