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【発明の名称】 入浴用車椅子
【発明者】 【氏名】横畑 幸生

【氏名】永田 修二

【要約】 【課題】軽量かつコンパクトな入浴用車椅子を提供する。

【解決手段】車体に対して相対的に重心位置を一定とした不等辺四節リンク機構18と、車体に固着された固定ピン32に嵌入する切欠き溝31a及び溝部31b,31c,31d,31eを備えた角度設定プレート31をシートフレーム後部下面に回動自在に枢着し、シートフレームの背受部背面に配されるレバー部材35に連動して回動する解除プレート36により、前記角度設定プレートを上下に回動させることにより固定ピンを溝部から切欠き溝へ移動可能に構成した角度設定機構とからなるリクライニング手段を備え、また、前記不等辺四節リンク機構を構成する第一リンク杆23後端部に回動自在にペタル26を設け、さらに第一リンク杆内のスプリングにより常にペタルは上方回動方向に付勢されるよう構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行可能に前輪2,2及び後輪3,3を具備した車体4と、椅子状のシートフレーム12と、前記車体4とシートフレーム12間に設けられるリクライニング手段17とからなる入浴用車椅子1において、長さの異なる第一リンク杆23及び第二リンク杆25の一端部を車体4に枢着し、他端部をシートフレーム12に枢着することによって入浴者Mの膝部近傍を見掛け上の回転中心として後方に回動可能とし、前記車体4に対して相対的に重心位置を一定とした不等辺四節リンク機構18と、車体4に固着された固定ピン32に嵌入する切欠き溝31a及び溝部31b,31c,31d・・・を備えた角度設定プレート31をシートフレーム12後部下面に回動自在に枢着し、シートフレーム12の背受部12a背面に配されるレバー部材35に連動して回動する解除プレート36により、前記角度設定プレート31を上下に回動させることにより固定ピン32を溝部31b,31c,31d・・・から切欠き溝31aへ移動可能に構成した角度設定機構19とからなるリクライニング手段17を備えたことを特徴とする入浴用車椅子。
【請求項2】 前記不等辺四節リンク機構18を構成する第一リンク杆23後端部に回動自在にペタル26を設け、さらに第一リンク杆23内のスプリング28により常にペタル26は上方回動方向に付勢されるよう構成し、リクライニングに伴ってシートフレーム12のローラ材30により後方回動され、入浴者Mを仰臥姿勢から腰掛け姿勢に姿勢変換する際、前記ペタル26を踏み込むことによりシートフレーム12に持ち上げ力を作用させ、介助者の上肢操作力を軽減できるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の入浴用車椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は高齢者や身体障害者の施設で使用する車椅子に関し、特に施設内を移動したり一般浴槽での湯浴に用いるため、腰掛け姿勢と仰臥姿勢に姿勢変換可能な入浴用車椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】入浴用車椅子は、入浴者を座らせたまま入浴できる車椅子であり、一般浴槽用、車椅子入浴装置用、シャワー入浴装置用、リフト入浴用等がある。ここで一般浴槽用とは、多数の人が同時に入浴できる通常の大型浴槽で使用するものであり、このような浴槽の水深は、入浴者の安全及び介助者の湯当たりや疲労軽減を考えれば可能な限り浅いことが望ましい。そのために、一般浴槽にはリクライニング可能、あるいは座席面が昇降可能である入浴用車椅子が用いられている。
【0003】上記のような一般浴槽に用いられる入浴用車椅子は、図14に示すようにキャスタの付いた車体に椅子状の座席を枢着することによって、リクライニング可能としたものが多い。この場合には、腰掛け姿勢から仰臥姿勢に姿勢変換すると、車体に対して重心が後方に移動するため、前・後輪の車軸間隔を広げ安定するよう構成されていた。また、一方では、前輪と後輪の車軸間距離をリクライニング動作に連動して調節するよう構成されたものもある。
【0004】しかしながら、前者の場合には車体が大きくなってしまうために、施設内での移動(特に、方向転換等)及び機器の保管に問題が生じている。また、後者の場合には車軸間調節機構が必要となるために重量が増し、浴槽の一部に設けられたスロープを押し上げることが困難になってしまうといった問題点がある。
【0005】さらに、仰臥姿勢から腰掛け姿勢に姿勢変換する操作において、入浴で使用する機器であるために動力を備えることは好ましくなく、介助者の上肢操作力に依存しているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の入浴用車椅子では腰掛姿勢から仰臥姿勢に姿勢変換した際に安定性を良くするため、大きな車体を備えており、取り回しや保管に問題がある。また、車軸間距離を調節する機構を備えているために重量が増し、入浴介助が困難になるといった問題点があった。また、姿勢変換時には介助者の上肢操作力に依存するものであったために介助者にかかる負担が大きい等、様々な問題点があった。
【0007】そこで、本発明に係る入浴用車椅子は上記問題点に鑑みなされたもので、リクライニングする際の重心位置の変化を無くすことによって軽量かつコンパクトな入浴用車椅子を提供することを課題としている。また、仰臥姿勢から腰掛け姿勢とする姿勢変換操作においてモーター等の動力機構を備えることなく容易に操作可能とすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、走行可能に前輪2,2及び後輪3,3を具備した車体4と、椅子状のシートフレーム12と、前記車体4とシートフレーム12間に設けられるリクライニング手段17とからなる入浴用車椅子1において、長さの異なる第一リンク杆23及び第二リンク杆25の一端部を車体4に枢着し、他端部をシートフレーム12に枢着することによって入浴者Mの膝部近傍を見掛け上の回転中心として後方に回動可能とし、前記車体4に対して相対的に重心位置を一定とした不等辺四節リンク機構18と、車体4に固着された固定ピン32に嵌入する切欠き溝31a及び溝部31b,31c,31d・・・を備えた角度設定プレート31をシートフレーム12後部下面に回動自在に枢着し、シートフレーム12の背受部12a背面に配されるレバー部材35に連動して回動する解除プレート36により、前記角度設定プレート31を上下に回動させることにより固定ピン32を溝部31b,31c,31d・・・から切欠き溝31aへ移動可能に構成した角度設定機構19とからなるリクライニング手段17を備えたことを特徴とする。
【0009】また、前記不等辺四節リンク機構18を構成する第一リンク杆23後端部に回動自在にペタル26を設け、さらに第一リンク杆23内のスプリング28により常にペタル26は上方回動方向に付勢されるよう構成し、リクライニングに伴ってシートフレーム12のローラ材30により後方回動され、入浴者Mを仰臥姿勢から腰掛け姿勢に姿勢変換する際、前記ペタル26を踏み込むことによりシートフレーム12に持ち上げ力を作用させ、介助者の上肢操作力を軽減できるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
【作用】この入浴用車椅子は、小径車輪が具備された車体を備えているので、施設内の移動において介助者は手軽に作業を行うことができる。また、一般浴槽内での湯浴については、車体に不等辺四節リンク機構により椅子状のシートフレームを配しているので、リクライニングに伴ってシートフレームが前方へ移動しながら後方に傾倒するように揺動するので、車体に対して重心位置はほとんど移動することがない。すなわち、重心の移動がほとんどないのでコンパクトな車体とすることが可能である。さらに、前記不等辺四節リンク機構を構成する一方のリンク杆後端部にはペタル部材が取付けられており、リクライニングさせ仰臥姿勢となった入浴者を腰掛け姿勢に姿勢変換する際に、介助者はペタルを足で踏圧しながら、上肢で押し手を引き上げると、ペタルに連動して第一リンク杆が上方回動し、シートフレームを押し上げる力が作用するので、入浴者が乗車していても比較的軽く操作することが可能である。
【0011】
【実施例】以下、この発明の一実施例を、図面に基づき詳細に説明する。この入浴用車椅子1は、前輪2,2及び後輪3,3を具備した車体4を備えている。この車体4は、前後方向の側部パイプ4a,4aと該側部パイプ4a,4aを繋ぐ左右方向の後パイプ4b,前パイプ4cとから主に構成されており、前記側部パイプ4a,4a前端部にはキャスター型の前輪2,2が、そして、後端部には転動自在な後輪3,3が取り付けられている。
【0012】5は制動手段である。この制動手段5は、略々コ字状に曲折されたブレーキペタル6をプレート7,7を介して側部パイプ4a,4aにピン8,8によりに回動自在に枢着し、ブレーキペタル6端部には制動片9a,9aが両端に一体的に形成されたブレーキパイプ9が取り付けられており、該ブレーキパイプ9の両端部近傍にバネ10,10を掛止し、ブレーキパイプ9を前方へ付勢してなる。11は制動片の作動範囲を規制するための規制部材であり、前記側部パイプ4aに固着されている。
【0013】このように構成された制動手段5は、ブレーキペタル6を踏み込むことにより、バネ10,10に抗しブレーキパイプ9が後方に引き寄せられ、制動片9a,9aが後輪3,3に接当し、後輪3,3の回転を規制する。逆に制動手段5を解除する際には、ブレーキペタル6を上方に跳ね上げれば、ブレーキパイプ9がバネ10,10により前方に引き寄せられ、後輪3,3の回転が可能となる。
【0014】前記車体4の上方には、背受部12aと腰受部12bおよび足受け部12cを一体的に椅子状に構成したシートフレーム12が設けられている。該シートフレーム12には、吸水性の低い、そして軟質の素材で形成された背受マット13、そして、腰受マット14が取り付けられている。また、このシートフレーム12前方下部にはステップ15,15が取付けられている。16,16は押し手である。なお、図面においては前記腰受が平面視において前方開口のコ字状に形成ものを使用している。
【0015】次に、シートフレーム12のリクライニング手段17について説明する。このリクライニング手段17は、車体4に対してシートフレーム12を前方に移動しながら後方に回転するように揺動させる不等辺四節リンク機構18とシートフレーム12を所定の角度に設定する角度設定機構19とからなる。
【0016】まず、前記車体4側には両側部パイプ4a,4aに夫々ボス部材20,21が固着されており、また、シートフレーム12側には補強プレート22,22に夫々空孔部22a,22bが設けられている。そして、このボス部材20と空孔部22aに第一リンク杆23をピン24,24により枢着し、また、ボス体21と空孔部22bには第二リンク杆25をピン24,24により枢着している。これを図9を用いて説明する。Aはボス部材20を示し、Bはボス部材21を示している。Cは空孔部22aを、Cは空孔部22bを示し、辺ACは第一リンク杆23、辺BDは第二リンク杆25を示している。なお、辺AC>辺BDとすることによって、Cは円弧C上を移動し、Dは円弧D上を移動する。そして、辺CはCの位置まで仮想中心0を中心として前方に移動しながら、後方に回転するよう移動する。
【0017】このように、車体4に不等辺四節リンク機構18を介して、シートフレーム12を取付けているので、車体4に対してシートフレーム12は入浴者Mの膝部近傍を見掛け上の中心とした回転運動が可能となり、リクライニングによる重心位置の移動を、車体4に対してほとんど変化させることなく安定して保持できる構成としている。すなわち、車体4を極めてコンパクトに構成することが可能である。
【0018】なお、26は略々コ字状に曲折したパイプ26aの両端にコ字状の板部材26b,26bを固着してなるペタルで、前記第一リンク杆23,23後端部に固着されたブラケット23a,23aに回動自在に枢着されている。また、前記板部材26b、26bにはピン27,27を回動自在に枢着し、第一リンク杆23,23内に挿通している。なお第一リンク杆23,23内にはスプリング28,28及び押圧子29が挿通され、ピン27,27は常に後方に付勢されている。すなわち、該ペタル26は上方に回動する方向に付勢されている。そして、シートフレーム12をリクライニングさせると該ペタル26は背受部12aに固着されたローラ材30が前記スプリング28,28に抗してペタル26を後方に回動するよう構成している。図13(c)に示すように仰臥姿勢となった入浴者を腰掛け姿勢まで戻すときには、このペタル26を踏み込みながら押し手16,16を引き上げればよく、ペタル26を踏み込むことによって、第一リンク杆23,23がシートフレーム12を上昇させる押し上げ力が作用するので入浴者Mが乗車していても比較的軽くシートフレーム12を起こすことが可能である。
【0019】次に角度設定機構19について説明する。該角度設定機構19は、略々中央部に切欠き溝31aを穿設し、後端部を前記シートフレーム12の後部下面に回動自在に枢着した角度設定プレート31と、前記切欠き溝31aに嵌入される固定ピン32を固着し、前記車体4の前パイプ4cに固着された固定板33と、後端部を座部下面から後方に突出するよう固着された支持杆34に回動自在に枢着し、中央部には背受部12a背面に沿って押し手16下部に配されるレバー部材35を挿通した解除プレート36とから構成される。なお、前記角度設定プレート31には、前記固定ピン32が嵌合入できる溝部31b,31c、31dが一体的に複数個穿たれており、前記固定ピン32が該溝部31b,31c、31dに嵌入することによって角度設定プレート31の前後方向の移動が規制されるようになり、前記不等辺四節リンク機構18による揺動が規制されるものである。なお、前記レバー部材35を引き上げることによって、解除プレート36が上方回動され、角度設定プレート31,31を連結する補強部材37を押し上げることによって、固定ピン32が溝部31b,31c,31dから切欠き溝31aに位置することとなり、角度設定可能な状態となるものである。
【0020】38はテスリである。前記シートフレーム12には円弧状のストッパ片39aが一体的に形成されたボス部材39が固着されている。該ボス部材39には、段付き軸部材40が挿通されている。この段付き軸部材40は小径軸部40aと大径部40b及び小径軸部40aの軸心に直行するように固着されたボス部材40cとからなり、大径部40b及びボス部材40cについても円弧状のストッパ片40d,40eが一体的に形成されている。そして、L字状に曲折したテスリ部材41の端部に固着した軸41aを前記ボス部材40cに挿通し固定している。さらに、軸41aにはネジ42を螺着しネジ42の端部が前記ストッパ片40eに当接するよう構成されている。43はカバー部材である。また、44はクッション性のよい被覆材である。このように構成されたテスリ38は、入浴者Mを乗車させたときには、テスリ部材41の先端を内側に向けるようにして入浴者Mのテスリ38とすることが可能であり、また、前方から入浴介助する際にはテスリ部材41先端部を上方外側に回動させると、約270度回転するの先端部は下方に向き前方部が開放され、介助しやすくすることが可能である。さらに、テスリ部材41を後方へ跳ね上げるように回動させれば側方も開放され、乗せ替え介助が容易に行える。
【0021】次に、上例の作用について詳述する。まず、身体障害者や高齢者等をこの入浴用車椅子に乗せて走行させる場合は、図3に示すような腰掛け姿勢で走行させる。この状態で、シートフレーム12は、レバー部材35を引き上げることによって解除プレート36を上方回動させ、角度設定プレート31に固着された補強部材37を押し上げ、溝部31bから切欠き溝31aに固定ピンを相対的に移動させ、溝部31dあるいは溝部31eに嵌入すれば所定角度にシートフレームを傾倒することができる。なお、第一リンク杆23及び第二リンク杆25からなる一対の不等辺四節リンク機構18により車体4にシートフレーム12が配されているので、入浴者Mの膝部近傍を見掛け上の中心とした回動が可能となり、車体4に対して重心位置を移動させることなくリクライニングすることが可能である。そのため、極めてコンパクトな車体4とすることが可能となった。
【0022】また、第一リンク杆23,23の後端部にはペタル26が枢着されており、腰掛け姿勢時にはシートフレーム12の背受部12aに沿うよう上方回動しており、リクライニングに伴いローラ材30がペタル26を下方回動し、踏圧可能となる。該ペタル26を踏圧することによって第一リンク杆23,23にはシートフレームを上方回動させる力が作用するので介助者の上肢にかかる力を軽減することができる。
【0023】
【発明の効果】以上に述べたように、車体に不等辺四節リンク機構を介してシートフレームを配することによって車体に対してシートフレームが前方に移動しながら後方に回動され、リクライニング時の重心の位置をほとんど一定とすることができた。すなわち、車体をコンパクトに構成しても十分安定したものとすることができる。また、不等辺四節リンク機構を構成する第一リンク杆後端部にペタルを設けているので、仰臥姿勢から腰掛け姿勢に姿勢変換させる際に、ペタルを踏圧することによってシートフレームを押し上げる力が作用するので介助者の上肢にかかる力を軽減させることができる。これらのように、入浴用車椅子をコンパクトに構成でき、操作も容易に行うことが可能なので、介助者の入浴介助に要する負担を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】394006129
【氏名又は名称】株式会社いうら
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−340389(P2001−340389A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−161390(P2000−161390)